JP2020106496A - 品質予測装置、品質予測方法、およびプログラム - Google Patents

品質予測装置、品質予測方法、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 製品の品質が低下する兆候を検出することができるようにする。【解決手段】 品質予測装置700は、所定の座標系における両短辺シェル厚差の対数頻度分布を2つの領域S、Lに分け、領域S、Lのそれぞれにおいて、両短辺シェル厚差の対数頻度分布の値の線形近似を行い、一次関数911、912の傾きaの絶対値および切片bを導出し、切片bの絶対値をリニア値Nに変換する。そして、品質予測装置700は、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δaと、領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]と、領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]とを導出し、それらを事前に設定されている閾値と比較する。【選択図】 図7

Description

本発明は、品質予測装置、品質予測方法、およびプログラムに関し、特に、製品の品質を予測するために用いて好適なものである。
製造プロセスにおいて製造された工業製品の品質を事前に予測し、その原因を取り除くように操業を行うことで、製品の歩留まりや品質の向上等、操業の改善を図るためのアクションをとることが望まれる。製品の品質を予測する技術として特許文献1に記載の技術がある。
特許文献1では、過去に製造された製品の品質データと当該製品の製造時の操業データから算出した特徴量データとを対応付けて実績データベースに記憶しておく。そして、品質を予測すべき製品の製造時の操業データから特徴量データを算出し、算出した特徴量データと、実績データベースに記憶された各特徴量データとの類似度を算出する。そして、算出した類似度と実績データベース内の品質データとから、製品の品質予測値を算出する。
特開2009−70227号公報 国際公開第2015/115651号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、製品の製造時の操業データから算出した特徴量データを用いて、当該製品の品質を予測する。従って、特許文献1に記載の技術では、これから製造が開始される製品の品質を予測することが容易ではなく、例えば、数か月程度の長期に亘る品質トラブルが発生する虞があることを事前に検出することが容易ではないという問題点がある。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、これから製造が開始される製品の品質を事前に予測することができるようにすることを目的とする。
本発明の品質予測装置は、製品の品質を予測する品質予測装置であって、前記製品の品質の指標値である品質指標値を取得する品質指標値取得手段と、前記品質指標値の対数頻度分布を導出する品質指標分布導出手段と、前記品質指標値の対数頻度分布における前記品質指標値の範囲を複数の領域に分け、当該複数の領域のそれぞれにおいて、当該品質指標値の対数頻度分布を近似した初等関数を特徴づける指標値である分布特徴指標値を導出する分布特徴指標値導出手段と、前記分布特徴指標値に基づいて、前記製品の品質に関する予測を行う品質予測手段と、を有し、前記品質指標値の対数頻度分布は、発生頻度または発生確率を自然対数の値で表現した場合の前記品質指標値の頻度分布または確率分布であり、前記分布特徴指標値は、前記初等関数で表現される式における係数および定数の少なくとも一方に基づいて導出される値であることを特徴とする。
本発明の品質予測方法は、製品の品質を予測する品質予測方法であって、前記製品の品質の指標値である品質指標値を取得する品質指標値取得工程と、前記品質指標値の対数頻度分布を導出する品質指標分布導出工程と、前記品質指標値の対数頻度分布における前記品質指標値の範囲を複数の領域に分け、当該複数の領域のそれぞれにおいて、当該品質指標値の対数頻度分布を近似した初等関数を特徴づける指標値である分布特徴指標値を導出する分布特徴指標値導出工程と、前記分布特徴指標値に基づいて、前記製品の品質に関する予測を行う品質予測工程と、を有し、前記品質指標値の対数頻度分布は、発生頻度または発生確率を自然対数の値で表現した場合の前記品質指標値の頻度分布または確率分布であり、前記分布特徴指標値は、前記初等関数で表現される式における係数および定数の少なくとも一方に基づいて導出される値であることを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記品質予測装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのものである。
本発明によれば、これから製造が開始される製品の品質を予測することができる。
図1は、鋼板の製造プロセスの各工程の概略の一例を示す図である。 図2は、連続鋳造工程における連続鋳造設備の概要の一例を示す図である。 図3は、連続鋳造設備の鋳型付近の断面の一例を示す図である。 図4は、連続鋳造設備の鋳型付近の断面の一部(浸漬ノズルを除く右半分)を示す図である。 図5は、所定の基準を満たさない気泡性欠陥が発生したコイルと、両短辺シェル厚差が閾値を上回る鋳片の発生頻度を示す図である。 図6は、両短辺シェル厚差の頻度分布の平均値(AVE.)および標準偏差(σ)の、各月における値の一例を示す図である。 図7は、品質予測装置700の機能的な構成の一例を示す図である。 図8は、両短辺シェル厚差の対数頻度分布の一例を示す図である。 図9は、所定の座標系における両短辺シェル厚差の対数頻度分布を示す図である。 図10は、分布特徴指標値と、分布特徴指標値の差の絶対値の一例を示す図である。 図11は、分布特徴指標値と、分布特徴指標値の差の絶対値の一例を示す図である。 図12は、分布特徴指標値と、分布特徴指標値の差の絶対値の一例を示す図である。 図13は、品質予測方法の一例を説明するフローチャートである。 図14は、所定の座標系における品質指標値の対数頻度分布の一例を概念的に示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態では、品質の予測対象の製品が、鉄鋼業において製造される鋼板(コイル)であり、品質が、ブローホールと称される気泡性欠陥である場合を例に挙げて説明する。具体的には、気泡性欠陥の数よび程度等から定まる所定の基準を満たさない鋼板(コイル)である場合に、当該鋼板(コイル)の品質は不良であるものとする。そこで、まず、鋼板を製造する製造プロセスの一例について簡単に説明する。
<鋼板の製造プロセス>
図1は、鋼板の製造プロセスの各工程の概略の一例を示す図である。
高炉工程101では、鉄鉱石およびコークスを含む高炉原料を用いた還元反応により溶銑を製造する。転炉工程102では、溶銑に対して一次精錬および二次精錬を含む処理を行い、溶鋼の成分を例えば約300ton単位で調整し、溶鋼鍋に出鋼する。転炉工程102での出鋼単位をチャージという。精錬後の溶鋼鍋は、連続鋳造工程103に運ばれる。連続鋳造工程103では、溶鋼を複数チャージ分連続して鋳造し、スカーフにより表面を溶削した後、規定の長さに切断することで、スラブ等の鋳片を製造する。連続して鋳造する複数チャージをキャストという。圧延工程104では、鋳片を加熱し、加熱した鋳片を、所定の厚みや幅になるように成形(圧延)する。圧延工程104では、例えば、粗圧延、熱間圧延、冷間圧延がこの順で行われる。圧延工程104で圧延後の鋼板が巻き取られることによりコイルが得られる。めっき工程105では、冷間圧延後の鋼板を巻き取ったコイルを巻き戻し、鋼板の表面にめっき処理を行い、めっき処理後の鋼板を巻き取ってコイルとする。めっきとしては、例えば、溶融亜鉛めっきが挙げられる。本実施形態では、圧延工程104で得られるコイルを品質の予測対象の製品とする。
気泡性欠陥は、連続鋳造工程103において溶鋼流内に発生する気泡に起因するものである。図2に、連続鋳造工程103における連続鋳造設備の概要の一例を示す。転炉および二次精錬で作られた溶鋼は溶鋼鍋201に入れられ、タンデッシュ202を介して鋳型4へ注がれる。鋳型4に接触した溶鋼は冷やされて凝固し、鋳造速度がコントロールされながらロール204で運ばれて、ガス切断機205で適当な長さに切断され、スラブ、ブルーム、ビレット等、断面の形状が異なる鋳片が製造される。鋳片の表層に欠陥がある場合、表層除去装置206により鋳片の表層が除去(削剥)される。表層除去装置206としては、鋳片の表層を溶削するスカーフィング装置や、鋳片の表層を研削するグラインダー装置がある。
<連続鋳造設備の概要>
図3に、連続鋳造設備の鋳型付近の断面の一例を示す。1は溶鋼、2は凝固シェル、3はモールドフラックス層、4は鋳型、5は冷却水、6は浸漬ノズルである。
図3に示すように、連続鋳造工程103では、浸漬ノズル6から鋳型4内に溶鋼1が注入される。鋳型4内に注入された溶鋼1は、鋳型4で冷却され、その表面から凝固シェル2が形成されて凝固する。表面は凝固シェル2となっているが内部は凝固していない鋼が、鋳型4の下端部から、鋳造速度がコントロールされて連続的に引き出され、ロールにより搬送される。このようにして鋳型4から引き出される過程で、鋳型4の下方に配置される2次冷却部分(冷却スプレーから噴射される冷却水)によって鋼の冷却を進めることで、内部まで鋼が凝固される。
浸漬ノズル6の吐出孔から鋳型4内に吐出される溶鋼流には、不活性ガスの気泡等が随伴する。また、メニスカスに達した溶鋼1の上昇流にモールドフラックス(パウダー)が巻き込まれることがある。図3に示すように、浸漬ノズル6の吐出孔6a、6bから左右両側に溶鋼流が吐出される。例えば、図3に示すように、浸漬ノズル6の一方の吐出孔6aが詰まること等により、当該一方の吐出孔6aから吐出される溶鋼流6cよりも、他方の吐出孔6bから吐出される溶鋼流6dの流量および流速が大きくなると、吐出孔6bから吐出される溶鋼流6dにより生じる下降流が大きくなる。そうすると、気泡6eのように、メニスカス(上方)に移動せずに下方に向かって移動する気泡が発生する。このような気泡6eは、鋳型4の下部における凝固シェル2に捕捉(トラップ)される。図2では、吐出孔6aから吐出される溶鋼流6cの流量および流速が小さく、吐出孔6bから吐出される溶鋼流6dの流量および流速が大きいことを、矢印線の太さで表現する。鋳型4の上部(メニスカス付近)で凝固シェル2に捕捉(トラップ)された気泡6f、6gによる欠陥は、(凝固シェル2が薄い状態であるため)鋳片の表層に出現し、連続鋳造工程103で検出されることが多い。このような欠陥は、前述したように表層除去装置206で除去される。尚、以下の説明では、浸漬ノズル6の吐出孔6a、6bから左右両側に吐出される溶鋼流6c、6dの流量および流速に偏りが生じることを、必要に応じて、偏流と称する。
これに対し、鋳型4の下部で凝固シェル2に捕捉(トラップ)された気泡6eによる欠陥は、(凝固シェル2が厚い状態であるため)鋳片の表層には出現せず、圧延後の鋼板(コイル)の表層に出現することが多い。前述した気泡性欠陥(ブローホール)は、このように連続鋳造工程103では検出されず、圧延工程104による圧延後の鋼板(コイル)で検出される欠陥である。尚、鋳型4の上部(メニスカス付近)で凝固シェル2に捕捉(トラップ)された気泡6f、6gによる欠陥であっても、連続鋳造工程103では検出されず、圧延工程104による圧延後の鋼板(コイル)で検出されることがある。このような欠陥も、気泡性欠陥と見做されるが、このような気泡性欠陥は全体からすると非常に少数であると考えられることから、以下の説明において気泡性欠陥はブローホールを指すものとする。
前述したように、気泡性欠陥は偏流に起因して生じる。また、偏流が生じると、鋳型4の左右両側にできる凝固シェル2の厚みに偏りが生じる。そこで、本実施形態では、コイルに生じる気泡性欠陥に関する品質を判定するための指標として、鋳型4の左右両側にできる凝固シェル2の厚みの差を用いる。凝固シェル2の厚みは、例えば、特許文献2に記載の手法で導出することができる。
<凝固シェル2の厚みの導出方法の例>
図4は、連続鋳造設備の鋳型付近の断面の一部(浸漬ノズルを除く右半分)を示す図である。前述したように、溶鋼1から鋳型4用の冷却水5までの間に凝固シェル2、モールドフラックス層3、および鋳型4の各熱伝導体が存在する。鋳型4には、複数の測温手段である熱電対7が鋳造方向(鋳型4の高さ方向、z軸方向)に位置をずらして埋設されている。熱電対7の埋設位置は、鋳造状況を監視するために従来から使用している熱電対7の埋設位置(既存の鋳型4における熱電対7の埋設位置)でも、特許文献2に記載されている熱電対7の埋設位置でもよい。本実施形態では、湯面下600(mm)において、凝固シェル2の厚みsを導出する。そこで、最上段の熱電対7の埋設位置と最下段の熱電対7の埋設位置との間に、湯面下600(mm)の位置が含まれるようにする。尚、湯面下600(mm)とは、鋳型4内の溶鋼1の湯面レベルの位置を最高位置とし、鋳型4内の溶鋼1の湯面レベルの位置より600(mm)下方の位置(即ち、鋳型4内の溶鋼1の湯面レベルの位置から、鋳型4の高さ方向(z軸方向)に沿って下方に600(mm)離れた位置)をいう。
前述したように、凝固シェル2の厚みを導出する方法は、特許文献2に記載されているので、ここでは、その詳細な説明を省略し、その概略についてのみ簡単に説明する。
特許文献2では、モールドフラックス層3および凝固シェル2にそれぞれ熱抵抗があるという条件の下で、溶鋼1と凝固シェル2との間の熱伝達係数βおよび凝固シェル2の厚みsを導出する。具体的には、鋳造方向の埋設位置が相互に異なる複数の熱電対7で測定された温度を用いて、モールドフラックス層3を間に挟む凝固シェル2と鋳型4との間の熱伝達係数α=α(t,z)と、溶鋼1と凝固シェル2との間の熱伝達係数β=β(t,z)とを、逆問題を解くことにより導出し、熱伝達係数α、βを用いて、凝固シェル2の厚みsを導出する。
まず、各熱電対7の埋め込み深さ位置での鋳型4の温度Tc=Tc(t,z)から、以下の式(1)を用いて、鋳型4の内壁面の温度Tm=Tm(t,z)を導出する。また、各熱電対7の埋め込み深さ位置での鋳型4の温度Tc=Tc(t,z)から以下の式(2)を用いて、鋳型4を通過する熱流束qout(t,z)を導出する。
Figure 2020106496
ここで、d1は、鋳型4の内壁面からの熱電対7の埋め込み深さ(鋳型内壁面垂直方向の距離)である。λmは鋳型4の熱伝導率である。hwは、h鋳型4と冷却水5との間の熱伝達係数である。d2は、熱電対7から冷却水5までの鋳型内壁面垂直方向の距離である。hwは鋳型4と冷却水5との間の熱伝達係数である。Tw=Tw(t,z)は、冷却水5の温度である。
尚、特許文献2では、t=t0+η、z=Vc・ηによる変数変換によって、変数(t,z)を変数(t0,η)に変換している。(1)式および(2)式におけるηは、当該変数である。また、最下端にある熱電対7の鋳造方向の位置をzeとし、z1∈(0,ze)とする。
凝固シェル2の比熱cs、凝固シェル2の密度ρs、凝固シェル2の熱伝導率λs、凝固潜熱L、溶鋼1の温度T0、凝固温度Ts、鋳造速度Vc、最下端にある熱電対7の鋳造方向の位置zeは既知であり、熱伝達係数α、β、鋳型4の内壁面の温度Tmが与えられれば、t0を任意時刻として、η∈[0,ze/Vc]に対しt=t0+η、z=Vc・η上で、Tとsを、プロファイル法を用いて求めることができる。プロファイル法で得られるTおよびsをα、β、およびTmに因っているとして、以下の式(3)のように表す。
Figure 2020106496
また、モールドフラックス層3を通過する熱流束qoutは、以下の式(4)で表せる。
Figure 2020106496
従って、式(2)で与えられるqoutに対し、式(4)が成り立つようにαおよびβを推定する問題が鋳型4内の凝固伝熱現象における逆問題となる。この逆問題は、式(2)で与えられるqoutに対し、以下の式(5)で表せる最小二乗法による最小化問題を解くことに帰着される。
Figure 2020106496
従って、熱電対7の埋め込み深さ位置での鋳型4の温度Tcと、鋳型4を通過する熱流束qoutと、鋳型4の内壁面の温度Tmとを用いて、式(5)の最小化問題を解くことにより、各時刻、各位置(t,z)における熱伝達係数α、βを同時に導出(決定)する。
(5)式において、η0=0、ηi=ηi-1+dη(dη>0、i=1、2、・・・、n)、ηn=z1/Vcであり、Tprof(α、β、Tm)が数値的に計算できることから、前記最小化問題は、ガウス・ニュートン法等を用いた一般的な数値解法で解くことができる。式(5)の最小化問題を解くことにより各時刻、各位置(t,z)において決定したα、β、およびTmを、式(3)に適用すれば、各時刻、各位置(t,z)における凝固シェル2の厚みs、および各時刻、各位置(t,z,x)における凝固シェル2の温度Tが得られる。このようにして得られた(t,z)における凝固シェル2の厚みsを、sest(t,z)と表すことにする。
本実施形態では、湯面下600(mm)の位置において(この位置のz軸座標をzpとする)、鋳型4の左右の2つの短辺部のうちの一方の短辺部側における凝固シェル2の厚みsest(t,zp)と、他方の短辺部側における凝固シェル2の厚みsest(t,zp)とを導出する。そして、1つの鋳片を鋳造しているときに導出される、各短辺部側の凝固シェル2の厚みsest(t,zp)の時間平均値を、当該鋳片に対する各短辺部側の凝固シェル2の厚みsest(t,zp)とする。以下の説明では、鋳型4の左右の2つの短辺部のうち第1の短辺部側における凝固シェル2の厚みsest(t,zp)の時間平均値から第2の短辺部側における凝固シェル2の厚みsest(t,zp)の時間平均値を減算した値を、必要に応じて、両短辺シェル厚差と称する。尚、第1の短辺部と第2の短辺部とが入れ替わることはないものとする。即ち、例えば、図3において、紙面に向かって左側の短辺部を第1の短辺部、紙面に向かって右側の短辺部を第2の短辺部とする場合、紙面に向かって右側の短辺部が第1の短辺部、紙面に向かって左側の短辺部が第2の短辺部として両短辺シェル厚差が計算されることはないものとする。
<知見>
次に、本発明者らが得た知見を説明する。
本発明者らは、所定の基準を満たさない気泡性欠陥が発生したコイルを、月ごとに集計した。その結果を図5(a)に示す。図5(a)は、所定の基準を満たさない気泡性欠陥が発生したコイルの、各月における発生頻度の一例を示す図である。図5(a)の縦軸の発生頻度指数は、基準の数を「1」とした場合の、所定の基準を満たさない気泡性欠陥が発生したコイルの数を示す(発生頻度指数は無次元量である)。以下の説明では、所定の基準を満たさない気泡性欠陥が発生したコイルを、必要に応じて、欠陥コイルと称する。
図5(a)に示す例では、4月に欠陥コイルの発生数が急増し、欠陥コイルが多く発生する状態が継続していることが分かる。尚、図示を省略するが、7月以降もこの傾向(欠陥コイルが多く発生する状態)が継続した。気泡性欠陥による品質トラブルは、短期間のものから長期に亘って継続するものまであり、その継続期間は種々の期間になるが、長期に亘って継続するほど、深刻な品質トラブルとなる。従って、長期に亘って継続する気泡性欠陥による品質トラブルが発生する虞があることを事前に検出することが望まれる。
また、本発明者らは、図5(a)に示す調査と並行して、図5における調査対象のコイルのもととなる鋳片のそれぞれに対し、両短辺シェル厚差を導出した。このとき、<凝固シェル2の厚みの導出方法の例>の項で説明した方法を用いて両短辺シェル厚差を導出したが、その場合には、両短辺シェル厚差は、鋳型4に埋設された熱電対7で温度が測定される時刻毎に導出されるため、当該鋳片4が連続鋳造される間の両短辺シェル厚差の平均を以て、当該鋳片に対する両短辺シェル厚差とした。そして、両短辺シェル厚差が閾値を上回った鋳片の数を、月ごとに集計した。尚、鋳片の品質に影響が生じることが想定される値として工場で管理されている値を、閾値とした。その結果を図5(b)に示す。図5(b)は、両短辺シェル厚差が閾値を上回った鋳片の、各月における発生頻度の一例を示す図である。図5(b)の縦軸の偏流頻度指数は、基準の数を1とした場合の、両短辺シェル厚差が閾値を上回った鋳片の数を示す(偏流頻度指数は無次元量である)。
図5(a)と図5(b)とを比較すると、両短辺シェル厚差が閾値を上回る鋳片の発生頻度は、欠陥コイルの発生頻度と連動していることが分かる。このことは、前述したように、両短辺シェル厚差が大きくなると、鋳型4の下部において気泡が凝固シェル2に捕捉(トラップ)され易くなる傾向になることに対応する。
次に、本発明者らは、両短辺シェル厚差の頻度分布を、月ごとに導出し、その平均値と標準偏差とを導出した。その結果を図6に示す。図6は、両短辺シェル厚差の頻度分布の平均値(AVE.)および標準偏差(σ)の、各月における値の一例を示す図である。図6に示すように、両短辺シェル厚差の頻度分布の平均値(AVE.)および標準偏差(σ)からでも、図5(a)および図5(b)に示したのと同様に、4月以降に、値が大きく変動することが分かる。
図5〜図6に示した例では、欠陥コイルの数が急増しないと(具体的には4月にならないと)、深刻な品質トラブルの発生を検出することができない。そこで、本発明者らは、図5〜図6に示した例において、4月の時点よりも前の時点で、欠陥コイルの発生が増大することを予測する手法を検討した。図6に示す結果から、両短辺シェル厚差の頻度分布の平均値(AVE.)および標準偏差(σ)では、4月以降にならないと、異常を検出することができない。このことから、本発明者らは、両短辺シェル厚差の頻度分布は、平均値および標準偏差により規定される正規分布では精度良く表されないと考えた。そして、鋭意検討の結果、本発明者らは、発生頻度または発生確率を自然対数の値で表現した場合の、両短辺シェル厚差の頻度分布または確率分布は、複数の領域ごとに線形近似することができることを見出した。
以下の本発明の実施形態は、このような知見に基づいてなされたものである。
<品質予測装置700>
図7は、品質予測装置700の機能的な構成の一例を示す図である。品質予測装置700は、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備えた情報処理装置、または、専用のハードウェアを用いることにより実現される。品質予測装置700の各機能は、例えば、CPUが、ROM等に記憶されたコンピュータプログラムを、RAM等をワークメモリとして使用して実行することにより実現される。
<<品質指標値取得部701>>
品質指標値取得部701は、各鋳片に対する両短辺シェル厚差を導出する。鋳片に対する両短辺シェル厚差を導出する方法の一例は、<凝固シェル2の厚みの導出方法の例>の項で説明した通りである。
<<品質指標記憶部702>>
品質指標記憶部702は、品質指標値取得部701により導出された鋳片に対する両短辺シェル厚差を記憶する。本実施形態では、品質指標記憶部702は、連続鋳造工程103における操業スケジュールを管理する上位のコンピュータから、現在連続鋳造中の鋳片に対して付与されている鋼材番号と、当該鋳片の品種と、当該鋳片のサイズとを示す情報を取得する。品質指標記憶部702は、品質指標値取得部701により導出された鋳片に対する両短辺シェル厚差と、当該鋳片に対して付与されている鋼材番号と、当該鋳片の品種およびサイズとを相互に関連付けて記憶する。
<<品質指標分布導出部703>>
品質指標分布導出部703は、品質指標記憶部702において、所定の期間における両短辺シェル厚差が記憶されたか否かを判定する。例えば、品質指標分布導出部703は、品質指標記憶部702において、当月の一か月分の両短辺シェル厚差が記憶されたか否かを判定する。
品質指標分布導出部703は、所定の期間における両短辺シェル厚差が導出されると、当該両短辺シェル厚差に基づいて、発生頻度または発生確率を自然対数の値で表現した場合の、当該両短辺シェル厚差の頻度分布または確率分布を導出する。本実施形態では、頻度を自然対数の値で表現した場合の、両短辺シェル厚差の頻度分布を導出する場合を例に挙げて説明する。また、以下の説明では、発生頻度を自然対数の値で表現した場合の、両短辺シェル厚差の頻度分布を、必要に応じて、両短辺シェル厚差の対数頻度分布と略称する。
図8は、両短辺シェル厚差の対数頻度分布の一例を示す図である。図8において、横軸の両短辺シェル厚差は、最大値を「1」として表した両短辺シェル厚差の値を示す(図8に示す両短辺シェル厚差は、無次元量である)。頻度(自然対数)は、最大値を「1」として表した両短辺シェル厚差の頻度の自然対数の値を示す(図8に示す頻度(自然対数)は、無次元量である(「1」の自然対数の値は「0」である))。
また、図8において、両短辺シェル厚差の対数頻度分布は、両短辺シェル厚差の頻度が最大値であるときの両短辺シェル厚差の値を唯一有し(即ち、ピークを有し)、中立点は、この両短辺シェル厚差の頻度が最大値であるときの両短辺シェル厚差の値(両短辺シェル厚差の対数頻度分布のピークの位置における両短辺シェル厚差の値)を示す。尚、両短辺シェル厚差の頻度の最大値は、両短辺シェル厚差の頻度の値のうち、ノイズと見なされる値を除いた値の中から定められるものとする。例えば、両短辺シェル厚差の対数頻度分布に対するカーブフィッティング(曲線回帰)により得られる曲線における最大値を、両短辺シェル厚差の頻度の最大値とすることができる。品質指標分布導出部703は、このようにして中立点を導出する。
<<分布特徴指標値導出部704>>
分布特徴指標値導出部704は、品質指標分布導出部703により導出された両短辺シェル厚差の対数頻度分布を、当該両短辺シェル厚差が中立点以下である領域Aと、当該両短辺シェル厚差が中立点以上である領域Bとに分ける(図8を参照)。以下の説明では、このようにして領域A、Bに分けられた両短辺シェル厚差を、必要に応じて、領域Aの両短辺シェル厚差、領域Bの両短辺シェル厚差と称し、領域A、Bに分けられた両短辺シェル厚差の対数頻度分布を、必要に応じて、領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布、領域Bの両短辺シェル厚差の対数頻度分布と称する。
分布特徴指標値導出部704は、領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布、領域Bの両短辺シェル厚差の対数頻度分布を、所定の2次元直交座標系に、それぞれ個別に設定する。
次に、分布特徴指標値導出部704は、所定の2次元直交座標系の座標における、領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布を複数の領域に分ける。分布特徴指標値導出部704は、当該複数の領域のそれぞれにおいて、領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布の値の線形近似を行い、当該線形近似により得られる一次関数の傾きおよび切片を導出する。分布特徴指標値導出部704は、領域Bについても、領域Aと同様に、所定の2次元直交座標系の座標における、領域Bの両短辺シェル厚差の対数頻度分布を複数の領域に分ける。そして、分布特徴指標値導出部704は、当該複数の領域のそれぞれにおいて、領域Bの両短辺シェル厚差の対数頻度分布の値の線形近似を行い、当該線形近似により得られる一次関数の傾きおよび切片を導出する。
本実施形態では、分布特徴指標値導出部704は、以下の2次元直交座標系の座標に、領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布の値を設定する。当該2次元直交座標系の座標の縦軸は、両短辺シェル厚差の頻度の自然対数の値であり、横軸は、両短辺シェル厚差の値である。また、当該2次元直交座標系の座標の原点は、領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布における、両短辺シェル厚差の頻度の自然対数の値の最大値と、領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布における、中立点とに定まる点である。
これと同様に、分布特徴指標値導出部704は、以下の2次元直交座標系の座標に、領域Bの両短辺シェル厚差の対数頻度分布の値を設定する。当該2次元直交座標系の座標の縦軸は、両短辺シェル厚差の頻度の自然対数の値であり、横軸は、両短辺シェル厚差の値である。また、当該2次元直交座標系の座標の原点は、領域Bの両短辺シェル厚差の対数頻度分布における、両短辺シェル厚差の頻度の自然対数の値の最大値と、領域Bの両短辺シェル厚差の対数頻度分布における、中立点とに定まる点である。
以下の説明では、このようにして所定の2次元直交座標系の座標に与えられた領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布、領域Bの両短辺シェル厚差の対数頻度分布を、それぞれ、必要に応じて、所定の座標系における領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布、所定の座標系における領域Bの両短辺シェル厚差の対数頻度分布と称する。
図9は、所定の座標系における領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布を示す図である。尚、図8では、中立点の値(頻度が最大である両短辺シェル厚差)が「0」である場合を例示している。図9では、便宜上、所定の座標系における領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布の値を、縦軸に関し対称移動させたもの(領域Aの値を軸801に関して対称移動させたもの)を示す。
分布特徴指標値導出部704は、所定の座標系における領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布を、縦軸に相対的に近い領域Sと、縦軸から相対的に遠い領域Lとに分ける(図9(a)、図9(b)を参照)。
領域S、Lは、例えば、以下の第1の方法のようにして定めることができる。
まず、品質予測装置700を稼動させる前に、所定の座標系における領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布を、所定の期間(例えば1カ月)における両短辺シェル厚差を用いて前述したようにして導出しておくことを、所定の期間が経過するたびに繰り返し行う。そして、オペレータは、所定の座標系における領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布において、各領域において線形近似を適切に行えるという観点から、縦軸に相対的に近い領域と遠い領域との境界を定める。そして、所定の座標系における領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布において、両短辺シェル厚差の値が当該境界以下の値の領域を、縦軸に相対的に近い領域Sとし、両短辺シェル厚差の値が当該境界以上の値の領域を、縦軸から相対的に遠い領域Lとする。
また、領域S、Lを以下の第2の方法のように定めてもよい。
例えば、品質予測装置700を稼動させる前に、所定の座標系における領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布を、所定の期間(例えば1カ月)における両短辺シェル厚差を用いて前述したようにして導出する。そして、このようにして得られた所定の座標系における領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布に対し、当該対数頻度分布の値を縦軸に近い方の値から順に値を選択して、最小二乗法を用いた線形回帰分析を行う。このような線形回帰分析を、残差平方和が閾値を上回るまで、選択する値の数を所定数ずつ増やしながら繰り返し行う。
そして、残差平方和が閾値以下のときに選択した値のうちの最大値以下の領域を、縦軸に相対的に近い領域Sとし、それ以外の領域を、縦軸から相対的に遠い領域Lとする。尚、閾値は、例えば、最小二乗法による線形回帰分析による線形近似に対して要求する精度(残差平方和の値として許容できる値)に基づいて設定することができる。
所定の座標系における領域Bの両短辺シェル厚差の対数頻度分布についても、以上に同様にして、縦軸に相対的に近い領域Sと相対的に遠い領域Lとに分けることができる。
次に、分布特徴指標値導出部704は、領域S、Lのそれぞれにおいて、領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布の値の線形近似を行い、当該線形近似により得られる一次関数911、912(図9(a)、図9(b)を参照)の傾きaの絶対値および切片bを導出する。線形近似の手法は、公知の線形回帰分析の手法により実現することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。前述したように、領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布の縦軸は、両短辺シェル厚差の頻度の自然対数の値である。分布特徴指標値導出部704は、切片bの絶対値(原点からの距離)を、以下の(1)式によりリニア値Nに変換する。
N=exp(|b|) ・・・(1)
そして、分布特徴指標値導出部704は、リニア値Nの逆数1/Nを導出する。更に、分布特徴指標値導出部704は、傾きaの絶対値とリニア値Nの逆数1/Nとを乗算した値a/Nを導出する。以下の説明では、傾きaの絶対値、リニア値Nの逆数1/N、傾きaの絶対値とリニア値Nの逆数1/Nとを乗算した値a/Nを、必要に応じて、分布特徴指標値a、1/N、a/Nと称する。分布特徴指標値a、1/N、a/Nは、前述した線形近似により得られる一次関数911、912を特徴づける指標値の一例である。分布特徴指標値導出部704は、以上のようにして、領域Aの領域S、Lのそれぞれについて、分布特徴指標値a、1/N、a/Nを導出する。また、分布特徴指標値導出部704は、領域Bについても、領域Aと同様にして、領域Bの領域S、Lのそれぞれについて、分布特徴指標値a、1/N、a/Nを導出する。
次に、分布特徴指標値導出部704は、領域Aの領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δaと、領域Aの領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]と、領域Aの領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]とを導出する。同様に、分布特徴指標値導出部704は、領域Bの領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δaと、領域Bの領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]と、領域Bの領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]とを導出する。
図10は、月ごとに導出した領域Aの領域S、Lにおける分布特徴指標値a(図10(a))と、領域Aの領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δa(図10(b))の一例を示す図である。図11は、月ごとに導出した領域Aの領域S、Lにおける分布特徴指標値1/N(図11(a))と、領域Aの領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N](図11(b))の一例を示す図である。図12は、月ごとに導出した領域Aの領域S、Lにおける分布特徴指標値a/N(図12(a))と、領域Aの領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N](図12(b))の一例を示す図である。図10〜図12に示す結果は、図6に示した平均値(AVE.)および標準偏差(σ)を導出する際に用いた両短辺シェル厚差と同じ両短辺シェル厚差を用いて導出した結果である。
図10〜図12に示すように、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δa、領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]、および領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]は、11月付近から減少傾向となり、1月から2月の間で急激に小さくなることが分かる。図5(a)と図6とを比較すれば明らかなように、図6では、所定の基準を満たさない気泡性欠陥が発生したコイルが急増した4月にならないと、そのことを検出することができない。これに対し、図5(a)と図10〜図12とを比較すれば明らかなように、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δa、領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]、および領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]の何れにおいても、欠陥コイルが急増した4月よりも前の時点で、欠陥コイルが増える兆候があることを検出することができる。このように本実施形態では、長期に亘って継続する気泡性欠陥による品質トラブルであっても、その発生の虞があることを事前に検出することができることが分かる。
<<品質予測部705>>
品質予測部705は、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δa、領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]、および領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]の少なくとも何れか1つが、それらに対して事前に設定されている閾値を下回るか否かを判定する。
閾値は、例えば、以下のようにして定めることができる。
まず、品質予測装置700を稼動させる前に、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δaを、所定の期間(例えば1カ月)における両短辺シェル厚差を用いて前述したようにして導出しておくことを、所定の期間が経過するたびに繰り返し行う。そして、図10(b)に示すような、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δaの時間変化のグラフを作成する。また、両短辺シェル厚差の導出対象である鋳片から製造されたコイルが、気泡性欠陥について所定の基準を満たしているか否かを、前記所定の期間毎に集計し、図5(a)に示すような、欠陥コイルの発生頻度の時間変化のグラフを作成する。
そして、オペレータは、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δaの時間変化のグラフと、欠陥コイルの発生頻度の時間変化のグラフとに基づいて、例えば、欠陥コイルの発生頻度が急増する前のタイミングであって、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δaの時間変化の傾向が大きく変化するタイミングでの、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δaの値を基準にして、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δaに対する閾値を決定する。例えば、図5(a)および図10(b)に示す例では、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δaに対する閾値を「1.8」とすることができる。
領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]に対する閾値と、領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]に対する閾値についても、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δaに対する閾値と同様にして決定することができる。
品質予測部705は、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δa、領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]、および領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]の少なくとも何れか1つが、それらに対して事前に設定されている閾値を下回る場合、欠陥コイルが増加する虞があると判定する。
<<出力部706>>
出力部706は、品質予測部705により、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δa、領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]、および領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]の少なくとも何れか1つが、それらに対して事前に設定されている閾値を下回ると判定されると、欠陥コイルが増加する虞があることを示す情報を出力する。出力の形態として、例えば、コンピュータディスプレイへの表示と、外部装置への送信と、品質予測装置700の内部または外部の記憶媒体への記憶との少なくとも何れか1つを採用することができる。
<動作フローチャート>
次に、図13のフローチャートを参照しながら、本実施形態の品質予測装置700を用いた品質予測方法の一例を説明する。
まず、ステップS1301において、品質指標値取得部701は、各鋳片に対する両短辺シェル厚差を導出する。
次に、ステップS1302において、品質指標記憶部702は、ステップS1301で導出された鋳片に対する両短辺シェル厚差を記憶する。
次に、ステップS1303において、品質指標分布導出部703は、所定の期間における両短辺シェル厚差が記憶されたか否かを判定する。この判定の結果、所定の期間における両短辺シェル厚差が記憶されていない場合、処理はステップS1301に戻る。そして、所定の期間における両短辺シェル厚差が記憶されるまで、ステップS1301〜S1303の処理が繰り返し実行される。所定の期間における両短辺シェル厚差が記憶されると、処理はステップS1304に進む。
処理がステップS1304に進むと、品質指標分布導出部703は、所定の期間における両短辺シェル厚差に基づいて、両短辺シェル厚差の対数頻度分布を導出する(図8を参照)。
次に、ステップS1305において、分布特徴指標値導出部704は、ステップS1304で導出された両短辺シェル厚差の対数頻度分布における中立点を導出し、ステップS1304で導出された両短辺シェル厚差の対数頻度分布を、当該中立点以下の領域Aと、当該中立点以上の領域Bとに分ける(図8を参照)。
次に、ステップS1306において、分布特徴指標値導出部704は、ステップS1305で分けられた領域を特定する変数iを「1」に設定する。ここでは、変数iが「1」であることは領域Aを示し、変数iが「2」であることは領域Bを示すものとする。
次に、ステップS1307において、分布特徴指標値導出部704は、ステップS1306で設定された変数iにより特定される領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布の値を所定の2次元直交座標系の座標に与えて、所定の座標系における領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布を導出する。
次に、ステップS1308において、分布特徴指標値導出部704は、ステップS1307で導出された所定の座標系における領域Aの両短辺シェル厚差の対数頻度分布の複数の領域S、Lを特定する変数jを「1」に設定する。ここでは、変数jが「1」であることは領域Sを示し、変数jが「2」であることは領域Lを示すものとする。
次に、ステップS1309において、分布特徴指標値導出部704は、変数iで特定される領域Aの、変数jで特定される領域Sの分布特徴指標値a、1/N、a/Nを導出する。
次に、ステップS1310において、分布特徴指標値導出部704は、変数jの値が「2」であるか否かを判定する。この判定の結果、変数jの値が「2」でない場合、処理はステップS1311に進む。処理がステップS1311に進むと、分布特徴指標値導出部704は、変数jの値に「1」を加算する。そして、処理はステップS1309に戻り、分布特徴指標値導出部704は、更新後の変数jで特定される領域Lの分布特徴指標値a、1/N、a/Nを導出する。
以上のようにして、領域Aの領域S、Lの分布特徴指標値a、1/N、a/Nが導出され、ステップS1310において、変数jの値が「2」であると判定されると、処理はステップS1312に進む。
処理がステップS1312に進むと、分布特徴指標値導出部704は、変数iで特定される領域Aについて、ステップS1309で導出された領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δa、ステップS1309で導出された領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]、およびステップS1309で導出された領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]を導出する。
次に、ステップS1313において、品質予測部705は、変数iで特定される領域Aについて、ステップS1312で導出された領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δa、領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]、および領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]の少なくとも何れか1つが、それらに対して事前に設定されている閾値を下回るか否かを判定する。この判定の結果、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δa、領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]、および領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]の何れも閾値を下回らない場合には、処理はステップS1314を省略して後述するステップS1315に進み、そうでない場合には、処理はステップS1314に進む。
処理がステップS1314に進むと、出力部706は、欠陥コイルが増加する虞があることを示す情報を品質予測情報として出力する。
次に、ステップS1315において、分布特徴指標値導出部704は、変数iの値が「2」であるか否かを判定する。この判定の結果、変数iの値が「2」である場合、図13のフローチャートによる処理が終了し、そうでない場合、処理はステップS1316に進む。処理がステップS1316に進むと、分布特徴指標値導出部704は、変数iの値に「1」を加算する。これにより、領域Bが指定される。そして、処理はステップS1307に戻り、ステップS1316で更新された変数iにより特定される領域Bの両短辺シェル厚差の対数頻度分布の値を所定の2次元直交座標系の座標に与えて、所定の座標系における領域Bの両短辺シェル厚差の対数頻度分布を導出する。以降、前述したステップS1308〜S1315の処理が実行され、変数iで特定される領域Bについて、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δa、領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]、および領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]の導出と、それらと事前に設定されている閾値との比較と、比較の結果に応じた品質予測情報の出力とが行われる。
<まとめ>
以上のように本実施形態では、品質予測装置700は、所定の座標系における両短辺シェル厚差の対数頻度分布を2つの領域S、Lに分け、領域S、Lのそれぞれにおいて、両短辺シェル厚差の対数頻度分布の値の線形近似を行い、一次関数911、912の傾きaの絶対値および切片bを導出し、切片bの絶対値をリニア値Nに変換する。そして、品質予測装置700は、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δaと、領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]と、領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]とを導出し、それらを事前に設定されている閾値と比較する。従って、これから製造が開始される製品の品質を予測することができる。よって、欠陥コイルの数が急増する前から、欠陥コイルが増加する虞があること検出することができ、鋼板(コイル)の品質が低下する兆候を、当該品質の低下が顕著に表れる前に検出することができる。これにより、長期に亘る品質トラブルが発生する虞があることを事前に検出することができるようになる。
<変形例>
<<第1の変形例>>
本実施形態では、閾値との比較対象(領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δa、領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]、および領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N])が1つでも閾値を下回る場合に、欠陥コイルが増加する虞があると判定する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。
例えば、欠陥コイルが増加する虞の判定結果に対する信頼性を重視する場合、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δa、領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]、および領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]の少なくとも2つまたは全部が、それらに対して事前に設定されている閾値を下回る場合に、欠陥コイルが増加する虞があると判定してもよい。
<<第2の変形例>>
本実施形態では、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δa、領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]、および領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]の全てを導出する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。
例えば、処理の簡素化を重視する場合、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δa、領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]、および領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]の全部を導出して閾値と比較せずに、これらのうちの何れか1つまたは2つのみを導出して閾値と比較してもよい。
<<第3の変形例>>
本実施形態では、閾値と比較する対象が、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δa、領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]、および領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。
例えば、領域Sにおける分布特徴指標値a、領域Sにおける分布特徴指標値1/N、領域Sにおける分布特徴指標値a/N、領域S、Lにおける分布特徴指標値aの差の絶対値Δa、領域S、Lにおける分布特徴指標値1/Nの差の絶対値Δ[1/N]、および領域S、Lにおける分布特徴指標値a/Nの差の絶対値Δ[a/N]のそれぞれについて、単位時間当たりの変化量を導出し、それらを閾値と比較してもよい。例えば、図10(b)、図11(b)、図12(b)に示す例では、1月から2月にかけて値が急減(負の値で急増)している。そこで、これらの単位時間当たりの変化量が急減することを検出するために、当該単位時間当たりの変化量に対する閾値を負の値とし、当該単位時間当たりの変化量が当該閾値を下回る場合に、欠陥コイルが増加する虞があると判定してもよい。
閾値は、例えば、領域Sにおける前記分布特徴指標値の単位時間当たりの変化量と、領域S、Lにおける前記分布指標値の差の絶対値の単位時間当たりの変化量とのそれぞれについて、欠陥コイル数が平常である(即ち、増加していない)期間における標準偏差を導出し、この標準偏差に一定値を掛けた値を設定することができる。一定値を小さく設定すると欠陥コイル数が増加することを予測できない可能性が高まり、一定値を大きく設定すると欠陥コイル数が増加することを過度に予測する可能性が高まる。一定値は、−30以上且つ−0.5以下とするのが好ましく、−15以上且つ−1以下とするのがより好ましい。
<<第4の変形例>>
本実施形態では、予測対象の製品が、鋼板(コイル)であり、品質が、ブローホール(気泡性欠陥)である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本実施形態の適用対象は、このようなものに限定されない。
図14は、所定の座標系における品質指標値の対数頻度分布の一例を概念的に示す図である。図14は、図9(a)および図9(b)を一般化し、且つ、説明の便宜上、抽象化して示すものである。図14(a)は、製品の欠陥に関し所定の基準を満たしていない製品の数が少ない状態に対応し、図14(b)は、製品の欠陥に関し所定の基準を満たしていない製品の数が多い場合に対応する。
品質指標値は、製品の品質の指標値である。本実施形態の例では、品質指標値は、両短辺シェル厚差である。
図14(a)では、品質指標値の対数頻度分布1410に基づいて、領域S、Lにおける一次関数1411、1412が導出されたことを示す。図14(a)に示すように、製品の欠陥に関し所定の基準を満たしていない製品の数が少ない状態では、領域S、Lにおける一次関数1411、1412の傾きa1、a2および切片b1、b2は乖離する。
これに対し、所定の基準を満たしていない製品の数が増加する兆候を示し始めると、領域Sにおける一次関数1411の傾きa1が、領域Lにおける一次関数1412の傾きa2に近づくようになる。同様に、所定の基準を満たしていない製品の数が増加する兆候を示し始めると、領域Sにおける一次関数1411の切片b1が、領域Lにおける一次関数1412の切片b2に近づくようになる。そうすると、小さな値の品質指標値(品質良の製品)の発生頻度が低くなると共に大きな値の品質指標値(品質不良の製品)の発生頻度が高くなる。即ち、図14(b)に示す品質指標値の対数頻度分布1420のように、領域S、Lにおける一次関数1421、1422の傾きおよび切片が接近するようになる。このことは、製品の欠陥に関し所定の基準を満たさない製品が多くなることに対応する。
また、図8〜図9に示すように、中立点付近における傾きが0(ゼロ)近くになるような両短辺シェル厚差の対数頻度分布に限らず、図14に示すように、中立点に近くなるにつれて傾き(の絶対値)が0(ゼロ)に近づかずに大きくなる(急峻になる)ような両短辺シェル厚差の対数頻度分布に対しても本実施形態の手法を適用することができる。このようにする場合にも、例えば、本実施形態で説明した第2の方法を用いることにより領域S、Lを定めることができる。尚、中立点に近くなるにつれて両短辺シェル厚差の対数頻度分布の傾き(の絶対値)が図14に示すものよりも大きくなる(急峻になる)場合には、例えば、本実施形態で説明した第2の方法を用いることにより、中立点付近の領域を他の領域と分けることができる(即ち、図14では領域の数は領域S、Lの2つであるが、領域の数を3つ以上にすることができる)。
以上のような現象は、品質指標値の対数頻度分布が、品質指標値の値で分けられた複数の領域のそれぞれにおいて線形近似することが可能な分布を示していれば、コイルにおけるブローホール(気泡性欠陥)に関する予測以外の予測にも適用することができる。
例えば、非金属介在物やモールドフラックスが凝固シェル2に捕捉されると、圧延工程104において、スリバー疵と称される線状の欠陥等が生じることが知られている。このような非金属介在物に起因して発生するスリバー疵についても、本実施形態の手法を適用することができる。このようにする場合、本実施形態の説明において、気泡を、非金属介在物に置き替え、ブローホール(気泡性欠陥)を、スリバー疵と置き替えればよい。
また、その他の工業製品についても、例えば、発生頻度または発生確率を自然対数の値で表現した場合の、所定の欠陥の数の頻度分布または確率分布を、複数の領域ごとに近似(本実施形態では線形近似)することができれば、本実施形態の手法を適用することが可能である。この場合、品質指標値は、欠陥の数になり、頻度は、当該数の欠陥を有する製品の発生頻度になる。
また、製品は、最終製品(顧客に納入する製品)に限定されず、中間製品(最終製品になる前の段階の製品)であってもよい。
また、複数の領域は、2つに限定されず、3つ以上であってもよい。この場合、例えば、とり得る2つの領域の組み合わせの全てにおいて分布特徴指標値a、1/N、a/Nの差の絶対値Δa、Δ[1/N]、Δ[a/N]を事前に設定されている閾値と比較することができる。また、複数の領域のうち、品質指標値が最も大きい範囲の領域と、当該以外の領域との分布特徴指標値a、1/N、a/Nの差の絶対値Δa、Δ[1/N]、Δ[a/N]を事前に設定されている閾値と比較してもよい。
また、前述した各変形例の一部または全部を組み合わせることも可能である。
<<その他の変形例>>
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
700:品質予測装置、701:品質指標値取得部、702:品質指標記憶部、703:品質指標分布導出部、704:分布特徴指標値導出部、705:品質予測部、706:出力部

Claims (10)

  1. 製品の品質を予測する品質予測装置であって、
    前記製品の品質の指標値である品質指標値を取得する品質指標値取得手段と、
    前記品質指標値の対数頻度分布を導出する品質指標分布導出手段と、
    前記品質指標値の対数頻度分布における前記品質指標値の範囲を複数の領域に分け、当該複数の領域のそれぞれにおいて、当該品質指標値の対数頻度分布を近似した初等関数を特徴づける指標値である分布特徴指標値を導出する分布特徴指標値導出手段と、
    前記分布特徴指標値に基づいて、前記製品の品質に関する予測を行う品質予測手段と、を有し、
    前記品質指標値の対数頻度分布は、発生頻度または発生確率を自然対数の値で表現した場合の前記品質指標値の頻度分布または確率分布であり、
    前記分布特徴指標値は、前記初等関数で表現される式における係数および定数の少なくとも一方に基づいて導出される値であることを特徴とする品質予測装置。
  2. 前記品質予測手段は、前記複数の領域における前記分布特徴指標値を事前に設定されている閾値と比較することにより、前記製品の品質に関する予測を行うことを特徴とする請求項1に記載の品質予測装置。
  3. 前記分布特徴指標値導出手段は、前記品質指標値の対数頻度分布を線形近似した場合の一次関数を導出し、当該一次関数の傾きと、所定の2次元直交座標系における当該一次関数の切片との少なくとも一方に基づいて導出される指標値を、前記分布特徴指標値として導出することを特徴とする請求項1または2に記載の品質予測装置。
  4. 前記分布特徴指標値導出手段は、前記一次関数の傾きの絶対値を、前記分布特徴指標値として導出することを特徴とする請求項3に記載の品質予測装置。
  5. 前記分布特徴指標値導出手段は、前記所定の2次元直交座標系における前記一次関数の切片の絶対値のリニア値の逆数を、前記分布特徴指標値として導出することを特徴とする請求項3に記載の品質予測装置。
  6. 前記分布特徴指標値導出手段は、前記一次関数の傾きの絶対値と、前記所定の2次元直交座標系における前記一次関数の切片の絶対値のリニア値の逆数との積を、前記分布特徴指標値として導出することを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の品質予測装置。
  7. 前記品質指標値の対数頻度分布は、前記品質指標値の頻度が最大値であるときの前記品質指標値を唯一有し、
    前記品質指標分布導出手段は、前記品質指標値の頻度が最大値であるときの前記品質指標値である中立点を導出し、
    前記分布特徴指標値導出手段は、前記品質指標値が前記中立点以上である領域と、前記品質指標値が前記中立点以下である領域とのそれぞれにおいて、前記分布特徴指標値を導出し、
    前記品質予測手段は、前記品質指標値の対数頻度分布の中立点以上の領域と、前記品質指標値の対数頻度分布の中立点以下の領域とのそれぞれにおいて、当該領域における前記分布特徴指標値に基づいて、前記製品の品質に関する予測を行うことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の品質予測装置。
  8. 前記製品は、圧延後の鋼板が巻き回されたコイルであり、
    前記品質は、前記コイルの表面に形成される欠陥に関する品質であり、
    前記品質指標値は、連続鋳造工程における両短辺シェル厚差であり、
    前記両短辺シェル厚差は、鋳型の2つの短辺部のうち第1の短辺部側における凝固シェルの厚みの時間平均値から、前記鋳型の2つの短辺部のうち第2の短辺部側における凝固シェルの厚みの時間平均値を減算した値であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の品質予測装置。
  9. 製品の品質を予測する品質予測方法であって、
    前記製品の品質の指標値である品質指標値を取得する品質指標値取得工程と、
    前記品質指標値の対数頻度分布を導出する品質指標分布導出工程と、
    前記品質指標値の対数頻度分布における前記品質指標値の範囲を複数の領域に分け、当該複数の領域のそれぞれにおいて、当該品質指標値の対数頻度分布を近似した初等関数を特徴づける指標値である分布特徴指標値を導出する分布特徴指標値導出工程と、
    前記分布特徴指標値に基づいて、前記製品の品質に関する予測を行う品質予測工程と、を有し、
    前記品質指標値の対数頻度分布は、発生頻度または発生確率を自然対数の値で表現した場合の前記品質指標値の頻度分布または確率分布であり、
    前記分布特徴指標値は、前記初等関数で表現される式における係数および定数の少なくとも一方に基づいて導出される値であることを特徴とする品質予測方法。
  10. 請求項1〜8の何れか1項に記載の品質予測装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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