JP7115240B2 - 連続鋳造におけるブレークアウト予知方法 - Google Patents

連続鋳造におけるブレークアウト予知方法 Download PDF

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Description

本発明は、連続鋳造におけるブレークアウト予知方法に関し、詳細には、拘束性ブレークアウトの予知方法に関する。
鋳片の連続鋳造において、タンディッシュから浸漬ノズルを介して鋳型に注入された溶鋼は、鋳型内で冷却されて鋳型と接する部分が凝固し、凝固シェルを形成する。凝固シェルが形成された鋳片は、鋳型の下方から引き抜かれて二次冷却帯で冷却される。しかし、連続鋳造中に凝固シェルが鋳型内面に固着すると、鋳型と凝固シェル間の潤滑が阻害され、鋳造が進行するに従って凝固シェルが引き伸ばされて破断し、破断部が鋳型下端に達することによりブレークアウトが発生する場合がある。これを拘束性ブレークアウトと呼んでいる。
ブレークアウトが発生すると、その復旧に長時間を要し、生産性を著しく低下させる。ブレークアウトの発生を防止するには、ブレークアウトの発生を予知して、これに対処する必要がある。拘束性ブレークアウトの原因となる鋳型内における凝固シェルの破断が発生すると、鋳型に溶鋼が接触することにより鋳型の温度が一部上昇する。従って、拘束性ブレークアウトの予知は、鋳型の温度挙動を指標とするのが通例である。
例えば、特許文献1には、凝固シェル破断により鋳型に溶鋼が接触した際の鋳型温度上昇速度に着目し、鋳型温度の上昇速度が所定範囲を超過したときにブレークアウト発生として予知する方法が開示されている。
特許文献2には、凝固シェル破断により鋳型に溶鋼が接触した際の鋳型温度上昇量の絶対値に着目し、鋳型温度が定常水準より高温側に推移したときにブレークアウト発生として予知する方法が開示されている。
特許文献3には、凝固シェル破断により鋳型に溶鋼が接触した際の鋳造上下方向の下側が上側に比べて温度が遅れて上昇することに着目し、上下方向2点の温度測定を行い、下測定点の鋳型温度が上測定点の鋳型温度を超えたときにブレークアウト発生として予知する方法が開示されている。
また、特許文献4では、鋳型温度の上昇速度が所定範囲を超過したときにブレークアウト発生を予知する方法において、鋳造速度の変化に伴い鋳型温度の変化率閾値を変更することによりブレークアウト発生予知の精度向上を図っている。
特開昭57-152356号公報 特開昭57-115959号公報 特開昭57-115961号公報 特開平5-57413号公報
特許文献1及び特許文献2の手法では、測定温度の高温側推移を基にブレークアウトを判定しているが、鋳造速度の上昇による凝固シェル厚の減少や溶鋼温度上昇によって鋳型へ供給される熱量が増大することにより測定温度が高温側に推移した際に誤検知が発生するおそれがある。
また、特許文献3の手法では、温度測定位置における局所的なパウダーフィルム剥離により、鋳型と凝固シェル間のエアーギャップが拡大し、上側測定位置における温度が降下した際に鋳造方向上下の測定温度が逆転することにより誤検知が発生するおそれがある。
さらにまた、特許文献4の手法では、鋳造条件に応じて判定閾値を変更しているものの、偶発的な測定温度のハンチングによる誤検知が発生するおそれがある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、鋳片の連続鋳造において、鋳造条件の変化や測定温度の偶発的なハンチングにかかわらず、ブレークアウトの発生を正確に予知することが可能な方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明に係る連続鋳造におけるブレークアウト予知方法は、連続鋳造設備の鋳型壁面に埋設された温度検出器を用いて鋳型温度を測定するステップと、
温度測定点における鋳型温度を基に(1)式を用いて逐次計算される温度上昇速度Qが、(2)式を用いて計算される温度上昇開始速度の閾値Qminを超え、その超えた時間が閾値t秒を超えた場合に鋳型温度上昇速度超過発生と判定するステップと、
前記鋳型温度上昇速度超過発生後に、(3)式を用いて逐次計算される温度上昇量Rが閾値R上minを超過する時間が閾値t秒を超過した場合に鋳造方向温度上昇量超過発生と判定するステップと、
前記鋳造方向温度上昇量超過発生後に、(4)式を用いて計算される温度ピーク時間P秒以内に、(5)式を用いて逐次計算される温度下降速度Sが閾値Sminを超過した時間が閾値t秒を超えた場合に鋳造方向温度下降速度超過発生と判定するステップとを備え、
前記鋳造方向温度下降速度超過が発生した際に、ブレークアウトに至る可能性があると判定することを特徴としている。
Q=ΔTmold/Δt (1)
min=a×Tsteel+b (2)
R=Tmold-TAve.mold (3)
P=c×V+d (4)
S=-ΔTmold/Δt (5)
ここで、ΔTmold:前回測定時と今回測定時の鋳型温度差(℃)、Δt:前回測定時と今回測定時の時間差、Tsteel:溶鋼温度、Tmold:現在の鋳型温度、TAve.mold:今回測定時より前における鋳型温度の平均値、P:ブレークアウト発生時鋳型温度のピーク時間、V:鋳造速度、a,b,c,d:過去のブレークアウト発生時の温度ピークより決定する係数
拘束性ブレークアウトの原因となる鋳型への凝固シェル焼付きが発生した場合、凝固シェルが破断して薄肉となった部位が鋳造方向に移動していく。そのため、鋳型の温度測定を行うと、温度が一旦上昇して下降する特徴的な温度ピークが検出される。
本発明者らは、この特徴的な温度ピークが溶鋼温度と鋳造速度の影響を受けることを見出した。また、この特徴的な温度ピークと測定温度の偶発的なハンチングを区別するためには、測定温度の変化の継続時間を考慮すればよいことを見出した。そこで、第1の発明では、溶鋼温度と鋳造速度の影響を考慮して温度ピークの特徴を捉え、さらに温度変化の継続時間に閾値を設けてブレークアウト判定を行うことにより、誤検知を抑制してブレークアウト予知精度を向上させることに成功した。具体的には、鋳型温度上昇速度、鋳造方向温度上昇量、及び鋳造方向温度下降速度の全てが閾値を超え、その閾値を超えた時間が所定の時間を超えた際にブレークアウトに至る可能性があると判定する。
また、第2の発明に係る連続鋳造におけるブレークアウト予知方法は、連続鋳造設備の鋳型壁面に温度検出器を鋳造方向上下2段に埋設し、該温度検出器を用いて鋳型温度を測定するステップと、
上側温度測定点における鋳型温度を基に(1)式を用いて逐次計算される温度上昇速度Qが、(2)式を用いて計算される温度上昇開始速度の閾値Qminを超え、その超えた時間が閾値t秒を超えた場合に鋳型温度上昇速度超過発生と判定するステップと、
前記鋳型温度上昇速度超過発生後に、(3)式を用いて逐次計算される温度上昇量Rが閾値R上minを超過する時間が閾値t秒を超過した場合に鋳造方向上側温度上昇量超過発生と判定するステップと、
前記鋳造方向上側温度上昇量超過発生後に、(4)式を用いて計算される温度ピーク時間P秒以内に、(5)式を用いて逐次計算される温度下降速度Sが閾値Sminを超過した時間が閾値t秒を超えた場合に鋳造方向上側温度下降速度超過発生と判定するステップと、
前記鋳型温度上昇速度超過発生後に、(6)式を用いて計算される上下時間差U秒経過後からP/2秒以内に、下側温度測定点における温度上昇速度Qが閾値Qminを超えた時間が閾値t秒を超えた場合に鋳造方向下側温度上昇速度超過発生と判定するステップを備え、
前記鋳造方向上側温度下降速度超過及び前記鋳造方向下側温度上昇速度超過が発生した際に、ブレークアウトに至る可能性があると判定することを特徴としている。
U=X/V (6)
ここで、X:上段と下段の温度測定点間距離
なお、(1)式~(5)式は第1の発明と同じである。
第2の発明では、ブレークアウト予知の精度をさらに向上させるため、鋳型の鋳造方向上下2段に温度検出器を埋設して、鋳型下側の温度の変化も考慮する。具体的には、鋳型温度上昇速度、鋳造方向上側温度上昇量、及び鋳造方向上側温度下降速度に加えて、鋳造方向下側温度上昇速度が閾値を超えた際にブレークアウトに至る可能性があると判定する。
第3の発明に係る連続鋳造におけるブレークアウト予知方法は連続鋳造設備の鋳型壁面に温度検出器を鋳造方向上下2段に埋設し、該温度検出器を用いて鋳型温度を測定するステップと、
上側温度測定点における鋳型温度を基に(1)式を用いて逐次計算される温度上昇速度Qが、(2)式を用いて計算される温度上昇開始速度の閾値Q min を超え、その超えた時間が閾値t 秒を超えた場合に鋳型温度上昇速度超過発生と判定するステップと、
前記鋳型温度上昇速度超過発生後に、(3)式を用いて逐次計算される温度上昇量Rが閾値R 上min を超過する時間が閾値t 秒を超過した場合に鋳造方向上側温度上昇量超過発生と判定するステップと、
前記鋳造方向上側温度上昇量超過発生後に、(4)式を用いて計算される温度ピーク時間P秒以内に、(5)式を用いて逐次計算される温度下降速度Sが閾値S min を超過した時間が閾値t 秒を超えた場合に鋳造方向上側温度下降速度超過発生と判定するステップと、
前記鋳型温度上昇速度超過発生後に、(6)式を用いて計算される上下時間差U秒経過後からP/2秒以内に、下側温度測定点における温度上昇速度Qが閾値Q min を超えた時間が閾値t 秒を超えた場合に鋳造方向下側温度上昇速度超過発生と判定するステップと、
前記鋳造方向下側温度上昇速度超過発生後に、前記下側温度測定点における温度上昇量Rが閾値R下minを超過する時間が閾値t秒を超過した場合に鋳造方向下側温度上昇量超過発生と判定するステップを備え、
前記鋳造方向上側温度下降速度超過及び前記鋳造方向下側温度上昇量超過が発生した際に、ブレークアウトに至る可能性があると判定することを特徴としている
なお、(1)式~(6)式は第2の発明と同じである。
当該構成では、鋳型温度上昇速度、鋳造方向上側温度上昇量、鋳造方向上側温度下降速度、及び鋳造方向下側温度上昇速度に加えて、鋳造方向下側温度上昇量が閾値を超えた際にブレークアウトに至る可能性があると判定する。
本発明に係る連続鋳造におけるブレークアウト予知方法では、溶鋼温度と鋳造速度の影響を考慮して温度ピークの特徴を捉え、さらに温度変化の継続時間に閾値を設けてブレークアウト判定を行うので、従来に比べて、鋳造条件の変化に伴う温度変化及び偶発的な測定温度のハンチングによる誤検知を抑制してブレークアウト予知精度を向上させることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る連続鋳造におけるブレークアウト予知方法を実施するシステム構成図である。 過去の拘束性ブレークアウト発生時における溶鋼温度と温度上昇開始速度との関係を示したグラフである。 過去の拘束性ブレークアウト発生時における温度上昇速度超過時間の分布を示したグラフである。 過去の拘束性ブレークアウト発生時における温度上昇量の分布を示したグラフである。 過去の拘束性ブレークアウト発生時における鋳造速度と温度ピーク時間との関係を示したグラフである。 過去の拘束性ブレークアウト発生時における温度上昇量超過時間の分布を示したグラフである。 過去の拘束性ブレークアウト発生時における温度下降速度の分布を示したグラフである。 過去の拘束性ブレークアウト発生時における温度下降速度超過時間の分布を示したグラフである。 本発明の第2の実施の形態に係る連続鋳造におけるブレークアウト予知方法を実施するシステム構成図である。 拘束性ブレークアウト発生時における鋳型温度の変化を示した模式図である。 過去の拘束性ブレークアウト発生時における下側温度上昇量の分布を示したグラフである。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。
[第1の実施の形態]
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る連続鋳造におけるブレークアウト予知方法を実施するシステム構成を示す。
本実施の形態では、連続鋳造設備の鋳型を構成する鋳型壁面10の上部に、複数の熱電対(温度検出器の一例)11が鋳型幅方向に間隔をあけて1段埋設されている。各温度測定点における熱電対11の出力は、温度上昇速度演算部16、温度上昇量演算部17、及び温度下降速度演算部18に送られる。
温度上昇速度演算部16、温度上昇量演算部17、及び温度下降速度演算部18の演算結果は評価部19に送られ、評価部19は、これら演算部の演算結果と、温度ピーク時間演算部14及び上昇速度閾値演算部15の演算結果に基づいてブレークアウト判定を行う。
なお、上記各演算部14~18による計算及び評価部19による判定はプロセスコンピュータ(図示省略)が実行する。
以下、本実施の形態に係る連続鋳造におけるブレークアウト予知方法の手順について詳細に説明する。
先ず、温度上昇速度演算部16において、熱電対11で測定された鋳型温度を基に(7)式を用いて温度上昇速度Qを逐次(例えば、0.1秒毎に)計算し、演算結果を評価部19に出力する。
Q=ΔTmold/Δt (7)
ここで、ΔTmold:前回測定時と今回測定時の鋳型温度差(℃)、Δt:前回測定時と今回測定時の時間差
一方、上昇速度閾値演算部15では、タンディッシュ(図示省略)の溶鋼温度測定情報を参照し、(8)式を用いて温度上昇開始速度の閾値Qminを計算する。(8)式のa,bは、過去のブレークアウト発生時の温度ピークより決定する係数であり、過去の拘束性ブレークアウト発生時における溶鋼温度と温度上昇開始速度との関係を示した図2のグラフから求めることができる。具体的には、図2のグラフにおける閾線の傾きをa、閾線の切片をbとする。
min=a×Tsteel+b (8)
ここで、Tsteel:溶鋼温度
評価部19は、温度上昇速度Qが温度上昇開始速度の閾値Qminを超え、その超えた時間が閾値t秒を超えた場合に鋳型温度上昇速度超過発生と判定する。
本実施の形態における閾値tは、過去の拘束性ブレークアウト発生時における温度上昇速度超過時間の分布を示した図3のグラフより1.2秒とする。
温度上昇量演算部17では、(9)式を用いて温度上昇量Rを逐次計算し、演算結果を評価部19に出力する。
R=Tmold-TAve.mold (9)
ここで、Tmold:現在の鋳型温度、TAve.mold:今回測定時より前における鋳型温度の平均値(例えば、今回測定時より25秒前から10秒前の鋳型温度の平均値)
評価部19は、鋳型温度上昇速度超過発生後に、温度上昇量Rが閾値R上minを超過する時間が閾値t秒を超過した場合に鋳造方向温度上昇量超過発生と判定する。
閾値R上minは、過去のブレークアウト発生時における測定温度上昇量実績より求められるブレークアウトが発生しない上限の温度上昇量である。本実施の形態では、過去の拘束性ブレークアウト発生時における温度上昇量の分布を示した図4のグラフより3℃とする。また、閾値tは、過去の拘束性ブレークアウト発生時における温度上昇量超過時間の分布を示した図6のグラフより1.5秒とする。
温度ピーク時間演算部14では、鋳造速度情報を参照し、(10)式を用いて、ブレークアウト発生時鋳型温度のピーク時間P(秒)を計算する。(10)式のc,dは、過去のブレークアウト発生時の温度ピークより決定する係数であり、過去の拘束性ブレークアウト発生時における鋳造速度と温度ピーク時間との関係を示した図5のグラフから求めることができる。具体的には、図5のグラフにおける回帰線の傾きをc、回帰線の切片をdとする。
P=c×V+d (10)
ここで、V:鋳造速度
また、温度下降速度演算部18では、(11)式を用いて温度下降速度Sを逐次計算する。
S=-ΔTmold/Δt (11)
評価部19は、鋳造方向温度上昇量超過発生後に、温度ピーク時間P秒以内に、温度下降速度Sが閾値Sminを超過した時間が閾値t秒を超えた場合に鋳造方向温度下降速度超過発生と判定する。
閾値Sminは、過去のブレークアウト発生時の下降速度実績より求められるブレークアウトが発生しない上限の下降速度である。本実施の形態では、過去の拘束性ブレークアウト発生時における温度下降速度の分布を示した図7のグラフより1.3℃/秒とする。また、閾値tは、過去の拘束性ブレークアウト発生時における温度下降速度超過時間の分布を示した図8のグラフより2.4秒とする。
そして、評価部19は、鋳造方向温度下降速度超過が発生した際に、ブレークアウトに至る可能性があると判定する。
[第2の実施の形態]
図9に、本発明の第2の実施の形態に係る連続鋳造におけるブレークアウト予知方法を実施するシステム構成を示す。
第2の実施の形態に係るブレークアウト予知システムでは、鋳型壁面10の鋳造方向上下2段に熱電対11が埋設されている点が第1の実施の形態に係るブレークアウト予知システムと異なっている。各上側温度測定点12の直下に下側温度測定点13が設置されている。
図10は、拘束性ブレークアウト発生時における鋳型温度の変化を示した模式図である。同図からわかるように、拘束性ブレークアウトが発生すると、鋳型内で凝固シェルが破断することに起因して鋳型上部測定点において測定温度が一度上昇して下降する温度ピークが発生し、さらに鋳造が進むと、鋳型下部測定点において測定温度が一度上昇して下降する温度ピークが時間遅れで発生する。
第2の実施の形態では、上側温度測定点12で測定された鋳型温度を基に、第1の実施の形態と同様のステップを実施する。なお、以降の説明では、上側温度と下側温度を明確に区別するため、前述した「鋳造方向温度」を「鋳造方向上側温度」と呼ぶことにする。
さらに、第2の実施の形態では、下側温度測定点13の温度上昇ピークがブレークアウトに起因することを検知するため、評価部19が、鋳型温度上昇速度超過発生後に、(12)式を用いて計算される上下時間差U秒経過後からP/2秒以内に、下側温度測定点13における温度上昇速度Qが閾値Qminを超えた時間が閾値t秒を超えた場合に鋳造方向下側温度上昇速度超過発生と判定する。
U=X/V (12)
ここで、X:上側温度測定点12と下側温度測定点13との間の距離
そして、評価部19は、鋳造方向上側温度下降速度超過及び鋳造方向下側温度上昇速度超過が発生した際に、ブレークアウトに至る可能性があると判定する。
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態に係る連続鋳造におけるブレークアウト予知方法では、第2の実施の形態におけるステップに加えて、以下のステップを実施する。
評価部19は、鋳造方向下側温度上昇速度超過発生後に、下側温度測定点13における温度上昇量Rが閾値R下minを超過する時間が閾値t秒を超過した場合に鋳造方向下側温度上昇量超過発生と判定する。
閾値R下minは、過去のブレークアウト発生時における下側測定温度上昇量実績より求められるブレークアウトが発生しない上限の温度上昇量である。本実施の形態では、過去の拘束性ブレークアウト発生時における下側温度上昇量の分布を示した図11のグラフより4.5℃とする。
そして、評価部19は、鋳造方向上側温度下降速度超過及び鋳造方向下側温度上昇量超過が発生した際に、ブレークアウトに至る可能性があると判定する。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
本発明の効果について検証するために実施した検証試験について説明する。
連続鋳造機を用いて、従来例並びに本発明の第1の実施の形態に係る方法(実施例1)、本発明の第2の実施の形態に係る方法(実施例2)、本発明の第3の実施の形態に係る方法(実施例3)について、それぞれ4000チャージの操業を実施した。
なお、従来例は、鋳型温度の上昇速度が所定範囲を超過したときにブレークアウト発生を予知する方法において、鋳造速度の変化に伴い鋳型温度の変化率閾値を変更する手法(特許文献4記載の方法)とした。
ブレークアウト予知精度を検証するためには、ブレークアウトの発生を確実に予知し防止することに加えて、ブレークアウトの危険が無い場合にブレークアウト予知を過剰に発報しないことを確認する必要がある。なお、ブレークアウト予知が発報された際は、鋳造速度をダウンさせるブレークアウト防止処置を行った。
表1に、検証試験中に発生したブレークアウト発生件数並びにブレークアウト予知発報件数を示す。
Figure 0007115240000001
ブレークアウト発生件数については、従来例並びに実施例1~3ともゼロ件となっており、本発明の実施の形態に係る方法によってブレークアウトの発生を確実に予知し、防止できていることがわかる。
また、ブレークアウト予知発報件数は、従来例において153件、実施例1で73件、実施例2で48件、実施例3で31件発生しており、本発明の実施の形態に係る方法によれば過剰にブレークアウト予知を発報していないことがわかる。
上記の結果から、本発明の実施の形態に係る方法は、従来例と比較してブレークアウトを精度良く検知可能であることが確認できた。
10:鋳型壁面、11:熱電対(温度検出器)、12:上側温度測定点、13:下側温度測定点、14:温度ピーク時間演算部、15:上昇速度閾値演算部、16:温度上昇速度演算部、17:温度上昇量演算部、18:温度下降速度演算部、19:評価部

Claims (3)

  1. 連続鋳造設備の鋳型壁面に埋設された温度検出器を用いて鋳型温度を測定するステップと、
    温度測定点における鋳型温度を基に(1)式を用いて逐次計算される温度上昇速度Qが、(2)式を用いて計算される温度上昇開始速度の閾値Qminを超え、その超えた時間が閾値t秒を超えた場合に鋳型温度上昇速度超過発生と判定するステップと、
    前記鋳型温度上昇速度超過発生後に、(3)式を用いて逐次計算される温度上昇量Rが閾値R上minを超過する時間が閾値t秒を超過した場合に鋳造方向温度上昇量超過発生と判定するステップと、
    前記鋳造方向温度上昇量超過発生後に、(4)式を用いて計算される温度ピーク時間P秒以内に、(5)式を用いて逐次計算される温度下降速度Sが閾値Sminを超過した時間が閾値t秒を超えた場合に鋳造方向温度下降速度超過発生と判定するステップとを備え、
    前記鋳造方向温度下降速度超過が発生した際に、ブレークアウトに至る可能性があると判定することを特徴とする連続鋳造におけるブレークアウト予知方法。
    Q=ΔTmold/Δt (1)
    min=a×Tsteel+b (2)
    R=Tmold-TAve.mold (3)
    P=c×V+d (4)
    S=-ΔTmold/Δt (5)
    ここで、ΔTmold:前回測定時と今回測定時の鋳型温度差(℃)、Δt:前回測定時と今回測定時の時間差、Tsteel:溶鋼温度、Tmold:現在の鋳型温度、TAve.mold:今回測定時より前における鋳型温度の平均値、P:ブレークアウト発生時鋳型温度のピーク時間、V:鋳造速度、a,b,c,d:過去のブレークアウト発生時の温度ピークより決定する係数
  2. 連続鋳造設備の鋳型壁面に温度検出器を鋳造方向上下2段に埋設し、該温度検出器を用いて鋳型温度を測定するステップと、
    上側温度測定点における鋳型温度を基に(1)式を用いて逐次計算される温度上昇速度Qが、(2)式を用いて計算される温度上昇開始速度の閾値Qminを超え、その超えた時間が閾値t秒を超えた場合に鋳型温度上昇速度超過発生と判定するステップと、
    前記鋳型温度上昇速度超過発生後に、(3)式を用いて逐次計算される温度上昇量Rが閾値R上minを超過する時間が閾値t秒を超過した場合に鋳造方向上側温度上昇量超過発生と判定するステップと、
    前記鋳造方向上側温度上昇量超過発生後に、(4)式を用いて計算される温度ピーク時間P秒以内に、(5)式を用いて逐次計算される温度下降速度Sが閾値Sminを超過した時間が閾値t秒を超えた場合に鋳造方向上側温度下降速度超過発生と判定するステップと、
    前記鋳型温度上昇速度超過発生後に、(6)式を用いて計算される上下時間差U秒経過後からP/2秒以内に、下側温度測定点における温度上昇速度Qが閾値Qminを超えた時間が閾値t秒を超えた場合に鋳造方向下側温度上昇速度超過発生と判定するステップを備え、
    前記鋳造方向上側温度下降速度超過及び前記鋳造方向下側温度上昇速度超過が発生した際に、ブレークアウトに至る可能性があると判定することを特徴とする連続鋳造におけるブレークアウト予知方法。
    Q=ΔTmold/Δt (1)
    min=a×Tsteel+b (2)
    R=Tmold-TAve.mold (3)
    P=c×V+d (4)
    S=-ΔTmold/Δt (5)
    U=X/V (6)
    ここで、ΔTmold:前回測定時と今回測定時の鋳型温度差(℃)、Δt:前回測定時と今回測定時の時間差、Tsteel:溶鋼温度、Tmold:現在の鋳型温度、TAve.mold:今回測定時より前における鋳型温度の平均値、P:ブレークアウト発生時鋳型温度のピーク時間、V:鋳造速度、X:上段と下段の温度測定点間距離、a,b,c,d:過去のブレークアウト発生時の温度ピークより決定する係数
  3. 連続鋳造設備の鋳型壁面に温度検出器を鋳造方向上下2段に埋設し、該温度検出器を用いて鋳型温度を測定するステップと、
    上側温度測定点における鋳型温度を基に(1)式を用いて逐次計算される温度上昇速度Qが、(2)式を用いて計算される温度上昇開始速度の閾値Q min を超え、その超えた時間が閾値t 秒を超えた場合に鋳型温度上昇速度超過発生と判定するステップと、
    前記鋳型温度上昇速度超過発生後に、(3)式を用いて逐次計算される温度上昇量Rが閾値R 上min を超過する時間が閾値t 秒を超過した場合に鋳造方向上側温度上昇量超過発生と判定するステップと、
    前記鋳造方向上側温度上昇量超過発生後に、(4)式を用いて計算される温度ピーク時間P秒以内に、(5)式を用いて逐次計算される温度下降速度Sが閾値S min を超過した時間が閾値t 秒を超えた場合に鋳造方向上側温度下降速度超過発生と判定するステップと、
    前記鋳型温度上昇速度超過発生後に、(6)式を用いて計算される上下時間差U秒経過後からP/2秒以内に、下側温度測定点における温度上昇速度Qが閾値Q min を超えた時間が閾値t 秒を超えた場合に鋳造方向下側温度上昇速度超過発生と判定するステップと、
    前記鋳造方向下側温度上昇速度超過発生後に、前記下側温度測定点における温度上昇量Rが閾値R下minを超過する時間が閾値t秒を超過した場合に鋳造方向下側温度上昇量超過発生と判定するステップを備え、
    前記鋳造方向上側温度下降速度超過及び前記鋳造方向下側温度上昇量超過が発生した際に、ブレークアウトに至る可能性があると判定することを特徴とする連続鋳造におけるブレークアウト予知方法。
    Q=ΔT mold /Δt (1)
    min =a×T steel +b (2)
    R=T mold -T Ave.mold (3)
    P=c×V +d (4)
    S=-ΔT mold /Δt (5)
    U=X/V (6)
    ここで、ΔT mold :前回測定時と今回測定時の鋳型温度差(℃)、Δt:前回測定時と今回測定時の時間差、T steel :溶鋼温度、T mold :現在の鋳型温度、T Ave.mold :今回測定時より前における鋳型温度の平均値、P:ブレークアウト発生時鋳型温度のピーク時間、V :鋳造速度、X:上段と下段の温度測定点間距離、a,b,c,d:過去のブレークアウト発生時の温度ピークより決定する係数
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