JP5347287B2 - ダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質およびその用途 - Google Patents

ダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質およびその用途 Download PDF

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Description

本発明は、一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などに利用可能なプロトン伝導性成分に無機を複合化したダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質に関する。
燃料電池は、高い発電効率を有し、排出物も少ない環境への負担の低い発電システムである。近年の地球環境保護、化石燃料依存からの脱却への関心の高まりにつれて、脚光を浴びている。燃料電池は、小型の分散型発電施設、自動車や船舶等の移動体の駆動源としての発電装置、また、リチウムイオン電池等の二次電池に替わる携帯電話やモバイルパソコン等への搭載が期待されている。
高分子電解質型燃料電池は、プロトン伝導性の固体高分子電解質膜の両面に一対の電極を設け、純水素あるいは改質水素ガスを燃料として一方の電極(燃料極)へ供給し、酸素ガスあるいは空気を酸化剤として異なる電極(空気極)へ供給し、起電力を得るものである。また、水電解は、固体高分子電解質膜を用いて、水を電気分解することにより燃料電池反応の逆反応が起こり水素と酸素を製造するものである。
しかしながら、実際の燃料電池や水電解ではこれらの主反応の他に、副反応が起こる。その代表的なものが過酸化水素(H22)の生成であり、この過酸化水素に起因するラジカル種が固体高分子電解質膜を劣化させる原因となっている。
従来、固体高分子電解質膜としては、Nafion(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成工業(株)社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子(株)社製)の商品名で市販されているパーフルオロスルホン酸系膜が、その化学安定性が優れている点から用いられてきた。
しかしながら、Nafionのようなパーフルオロスルホン酸系膜は、製造が困難であるため、非常に高価であるという問題があり、燃料電池車や家庭用燃料電池発電システム等の民生用途への普及の大きな障害となっている。また、分子内に大量のフッ素原子を有しているため、使用後の廃棄処理についても、環境への大きな負荷という問題を抱えている。
また、燃料電池はより高温で、かつ電極間のプロトン伝導膜の膜厚が薄いほど、膜抵抗が小さく、発電出力を高めることができる。しかし、これらのパーフルオロ酸系膜は、熱変形温度が80〜100℃程度で、高温時のクリープ耐性が非常に乏しく、それゆえ燃料電池にこれらの膜を用いた際の発電温度を80℃以下に保たなければならず、発電出力に制限があるといった問題がある。また、長期に使用した際の膜厚の安定性にも乏しく、電極間の短絡(ショート)を防ぐために、ある程度の膜厚(50μm以上)が必要で、薄膜化が困難であると考えられている。
こういったパーフルオロスルホン酸系膜の問題を解決するために、フッ素原子を含まず、より安価で、エンジニアプラスチックにも用いられるような耐熱性主鎖骨格を有する固体高分子電解質膜が、現在、数多く研究されている。ポリアリーレン系、ポリエーテルエーテルケトン系、ポリエーテルスルホン系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリイミド系、ポリベンザゾール系の主鎖芳香環をスルホン化したポリマーが提案されている(非特許文献1〜3)。
また、燃料を純水素あるいは改質水素ガスではなく、液体を供給、特にメタノール水溶液を供給する方式は、ダイレクトメタノール方式の燃料電池として、リチウムイオン電池に代わる電池として注目されている。ダイレクトメタノール型燃料電池用電解質膜としてNafionを用いた燃料電池が数多く研究されてきたが、高濃度のメタノール使用時にメタノールクロスオーバーを回避することが難しいという問題がある。そのため、ポリアリーレン系、ポリエーテルエーテルケトン系、ポリエーテルスルホン系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリイミド系、ポリベンザゾール系の主鎖芳香環をスルホン化したポリマーが非パーフルオロスルホン酸系膜として研究されているが、十分な耐メタノール透過抑制能は得られてはいない。
ところで、有機高分子材料に無機成分を複合化させた有機無機複合化材料は、ガスの透過性、強度、熱的安定性、光学特性、電気的特性などを改良するために古くから研究されている。複合化する際、ナノおよびマイクロオーダーで複合させることが物性の発現に重要であり、そのため、有機高分子材料と無機成分を化学的な相互作用を利用し複合化させる方法が一般に用いられている(非特許文献4〜6)。
メタノール透過を抑制するために複合化電解質膜も研究されており、無機成分と複合化することによりメタノール透過抑制に顕著な効果があることがわかっている。しかしながら、プロトン伝導性材料に無機成分を加えていくとプロトン伝導度が低下する傾向が一般的に見られる(非特許文献7、8、特許文献1〜3)。これは、無機成分添加によりプロトン伝導のパスが切断されることや、複合化のためにプロトン伝導に寄与するプロトン酸基と無機成分をイオン的あるいは共有結合的に結合することにより、プロトン伝導が阻害されることが原因となっていることが考えられる。
Polymer Preprints, Japan, Vol. 42, No.7, p.2490-2492(1993) Polymer Preprints, Japan, Vol. 43, No.3, p.735-736(1994) Polymer Preprints, Japan, Vol. 42, No.3, p.730(1993) Polymer, vol. 38, No.6, 1345-1356(1997) Polymer Preprints, Japan, Vol. 48, No.14, 4245-4246(1999) Journal of Membrane Science, vol.157, 219-226(1999) Journal of Membrane Science, vol.203, 215-225(2002) Macromol. Chem. Phys., Vol. 207, 336-341(2006) 特許第3513097号 特開2006−2449号公報 特開2007−73201号公報
非特許文献1〜3に記載されたものでは、主鎖芳香環がスルホン化されたポリマーは吸
水性が大きく、耐熱水性が劣ることから、スルホン酸基等の親水基の導入量に制限がある。また、発電耐久性の尺度とされるフェントン試薬耐性(ヒドロキシラジカル耐性)に乏しい材料であった。また、これらの電解質膜を長期間100℃以上の高温下に暴露した際、スルホン酸が脱離しプロトン伝導性能の低下を生じたり、また、スルホン酸基が導入されていない他の芳香環と架橋反応を起こし、脆化するという問題点を有していた。膜の脆化が進行すると、長期発電時に膜の破断(ピンホール)が発生し、発電不能となる可能性が高い。
また、非特許文献4〜8、特許文献1〜3のように、一般的に無機成分の添加によりメタノール透過を抑制出来る一方で、プロトン伝導度は低下(膜抵抗の場合、上昇)するという、いわゆるトレードオフの関係にある。
このように、従来より提案されていたものは、必ずしもプロトン伝導性と、メタノール透過性などのバランスに優れてはいなかった。
このため、本発明の目的は、従来検討されてきた複合化による問題点を解決し、無機成分の添加により伝導度を低下(膜抵抗を上昇)させずにメタノールの透過を抑制し、かつ、メタノール溶液中で寸法安定性に優れた高分子電解質、および該電解質を含むダイレクトメタノール型燃料電池用燃料電池を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、プロトン伝導性材料(A)とともに、Si成分として、窒素を含む複素環化合物、アミノ基あるいは置換基アミ
ノ基などを含むSi成分からなる無機成分(B-a)および、窒素を含む複素環化合物、アミ
ノ基あるいは置換基アミノ基などを含まないSi成分からなる無機成分(B-b)と、さらに
Al、Ti、Zrの少なくとも1つの酸化物を含む金属酸化物(B-c)の4成分を必須とし
て含む高分子電解質が、本発明の目的を満たす新規な材料であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1](A)プロトン伝導性重合体と、
(B)下記成分(B-a)、(B-b)および(B-c)を加水分解・脱水縮合反応して得られる反応
物:
(B-a)下記式(X)で表される化合物、
(B-b)前記(B-a)成分以外の化合物であって、下記式(Y)で表される化合物、および
(B-c)Al、Ti又はZrのアルコキシド
とを含んでなるダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質。
Si(OR20E(R21)F(R22)G …(X)
(式(X)中、Eは2〜3、Fは0〜1、Gは1〜2であり、E+F+G=4である。R20、R21は、
互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。R22は、含窒素複素環構造又は置換されていてもよいアミノ基を有する
、ハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。)
Si(OR30)e(R31)f …(Y)
(式(Y)中、eは2〜4、fは0〜2であり、e+f=4である。R30およびR31は、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。)
[2]前記成分(B-a)を表す式(X)中のR22で表される基が、ピロール基、チアゾール基、
ベンゾチアゾール基、イソチアゾール基、オキサゾール基、ベンゾオキサゾール基、イソオキサゾール基、イミダゾール基、イミダゾリン基、イミダゾリジン基、ベンゾイミダゾール基、ピラゾール基、トリアジン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピリダジン基、ピラジン基、インドール基、キノリン基、イソキノリン基、ブリン基、テトラゾール基、テトラジン基、トリアゾール基、カルバゾール基、アクリジン基、キノキサリン基、キナゾリン基、インドリジン基、イソインドール基、3H-インドール基、2H-ピロール基、1H-インダゾール基、プリン基、フタラジン基、ナフチリジン基、シンノリン基、プテリジン基、カルボリン基、フェナントリジン基、ペリミジン基、フェナントロリン基、フェナジン基、フェナルサジン基、フェノチアジン基、フラザン基、フェノキサジン基、ピロリジン基、ピロリン基、ピラゾリン基、ピラゾリジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、インドリン基、イソインドリン基、キヌクリジン基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の基またはその誘導体である[1]のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質。
[3]前記成分(B-a)を表す式(X)中のR22で表される基が、イミダゾール基、イミダゾリ
ン基、ピリジン基、ピロール基、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、トリアジン
基、トリアゾール基、1級アミン基、2級アミン基、3級アミン基からなる群から選ばれた少なくとも1種の基を含む[1]または[2]のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電
解質。
[4]前記成分(B-b)を表す式(Y)中の、R30およびR31で表される基が、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、n−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基からなる炭化水素基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基を含む[1]〜[3]のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質。
[5]前記成分(B-c)が、チタンアルコキシドを含む[1]〜[4]のダイレクトメタノール用高分子電解質。
[6]前記成分(A)が、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基およびフェノール性水酸
基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の基を有するプロトン伝導性重合体である[1]〜[5]のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質。
[7]前記成分(A)が、パーフルオロスルホン酸系重合体、カルボキシル基およびスルホ
ン酸基を有するパーフルオロカーボン系重合体、およびスルホン酸又はアルキルスルホン酸基を有するポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルフィド、ポリホスファゼン、ポリアリーレン、ポリフェニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリスルホネート、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリチアゾール、ポリフェニルキノキサリン、ポリキノリン、ポリシロキサン、ポリトリアジンからなる群から選ばれる少なくとも1種である[1]〜[6]のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質。
[8]前記成分(A)が、下記一般式(I)で表される構造単位を含むポリアリーレン系共
重合体である[1]〜[7]のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質。
Figure 0005347287
(式中、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)l
−(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基
を有する芳香族基を示す。pは1〜12の整数を示し、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。)
[9]前記成分(A)が、下記一般式(II)で表される構造単位を含むポリアリーレン系共
重合体である[1]〜[8]のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質。
Figure 0005347287
(式中、A、Dは独立に直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH
−、−COO−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−(CH2)l−(lは1〜
10の整数である)、−CR'2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原
子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。s、tは0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。
[10]イオン交換容量が、0.1〜5meq/gである[1]〜[9]のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質。

[11]以下の工程を含む[1]〜[10]のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質膜の
製造方法;
前記(B-a)〜(B-c)成分を加水分解縮合して加水分解縮合物を得る工程、
該加水分解縮合物中の溶媒を濃縮し溶媒組成を変更する工程、
得られた加水分解縮合物と前記(A)プロトン伝導性重合体とを溶媒に溶解した混合液を、基材上に塗布して塗膜を形成する工程、および
該塗膜中に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去して高分子電解質膜を形成する工程。[12]下記成分(B-a)〜(B-c)を加水分解縮合して得られる反応物が、(A)プロトン伝導性重合体中に相溶あるいは分散されてなる高分子電解質膜:
(B-a)下記式(X)で表される化合物
(B-b)前記(B-a)成分以外の化合物であり、下記式(Y)で表される化合物、および
(B-c)Al、Ti又はZrのアルコキシド。
Si(OR20E(R21)F(R22)G・・・(X)
(式(X)中、Eは2〜3、Fは0〜1、Gは1〜2であり、E+F+G=4である。R20、R21は、
互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。R22は、含窒素複素環構造又は置換されていてもよいアミノ基を有する
、ハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。)
Si(OR30)e(R31)f・・・(Y)
(式(Y)中、eは2〜4、fは0〜2であり、e+f=4である。R30およびR31は、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。)
本発明のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質は、第1に、メタノール透過を抑制しながらプロトン伝導度が向上している上に、第2に、メタノール水溶液中での寸法安定性が向上しているという従来見られなかった特性を有している。したがって、本発明の高分子電解質は、一次電池用電解質、二次電池用電解質、ダイレクトメタノール型燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などの伝導膜として利用可能であり、この工業的意義は極めて大である。
以下、本発明について詳細に説明する。
[ダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質]
本発明に係るダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質は、
(A)プロトン伝導性重合体と、
(B)下記成分(B-a)、(B-b)および(B-c)を加水分解・脱水縮合反応して得られる反応
物:
(B-a)下記式(X)で表される化合物、
(B-b)前記(B-a)成分以外の化合物であって、下記式(Y)で表される化合物、および
(B-c)Al、Ti又はZrのアルコキシド
とを含んでなる。
Si(OR20E(R21)F(R22)G …(X)
(式(X)中、Eは2〜3、Fは0〜1、Gは1〜2であり、E+F+G=4である。R20、R21は、
互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。R22は、含窒素複素環構造又は置換されていてもよいアミノ基を有する
、ハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。)
Si(OR30)e(R31)f …(Y)
(式(Y)中、eは2〜4、fは0〜2であり、e+f=4である。R30およびR31は、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。)
以下、各成分について説明する。
(A)プロトン伝導性重合体
プロトン伝導性重合体(A)としては、プロトン酸基を有する重合体であれば特に制限されない。プロトン酸基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、アルキルスルホン酸基、アルキルカルボン酸基、アルキルホスホン酸基及びフェノール性水酸基等からなる群より選ばれた少なくとも1種以上ものが好ましい。より好ましくは、スルホン酸、ホスホン酸、アルキルスルホン酸であり、特に好ましくはスルホン酸、アルキルスルホン酸である。このプロトン酸基によってプロトン伝導性が付与される。
このようなプロトン伝導性重合体(A)としては、具体的には、パーフルオロスルホン酸系重合体、カルボキシル基およびスルホン酸基とを有するパーフルオロカーボン系重合体などのパーフルオロ系プロトン伝導性重合体が挙げられる。さらに、上記のプロトン酸基を含む、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルフィド、ポリホスファゼン、ポリアリーレン、ポリフェニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ尿素、ポリスルホン、ポリスルホネート、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリチアゾール、ポリフェニルキノキサリン、ポリキノリン、ポリシロキサン、ポリトリアジン、ポリジエン、ポリピリジン、ポリピリミジン、ポリオキサチアゾール、ポリテトラザピレン、ポリオキサゾール、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリピロリドン、ポリアクリレート誘導体、ポリメタクリレート誘導体、ポリスチレン誘導体等の非パーフルオロ系プロトン伝導性重合体なども用いることが可能である。
これらのなかでも、好ましくは、パーフルオロスルホン酸系重合体、カルボキシル基およびスルホン酸基とを有するパーフルオロカーボン系重合体、スルホン酸又はアルキルスルホン酸基を有するポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルフィド、ポリホスファゼン、ポリアリーレン、ポリフェニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリスルホン、ポリスルホネート、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリチアゾール、ポリフェニルキノキサリン、ポリキノリン、ポリシロキサン、ポリトリアジン、ポリピリジン、ポリピリミジン、ポリオキサチアゾール、ポリテトラザピレン、ポリオキサゾール、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリピロリドン、ポリアクリレート誘導体、ポリメタクリレート誘導体、ポリスチレン誘導体等である。
より好ましくは、パーフルオロスルホン酸系重合体、カルボキシル基およびスルホン酸基とを有するパーフルオロカーボン系樹脂、スルホン酸又はアルキルスルホン酸基を有するポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルフィド、ポリホスファゼ
ン、ポリアリーレン、ポリフェニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリスルホネート、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリチアゾール、ポリフェニルキノキサリン、ポリキノリン、ポリシロキサン、ポリトリアジン等である。
さらに、本発明では、プロトン伝導性重合体(A)として、下記一般式(I)で表されるスルホン酸基を有するポリアリーレン系共重合体であることが好ましい。
Figure 0005347287
一般式(I)において、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−CO
O−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。このうち、Yとして−CO−、−SO2−が好ましい。
Zは直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。このうち直接結合、−O−が好ましい。
Arは−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置
換基(pは1〜12の整数を示す)を有する芳香族基を示す。芳香族基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。当該−SO3Hまたは−O(CH2)p
3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基(pは1〜12の整数を示す)は、少なくとも1個置換されていることが必要であり、ナフチル基である場合には2個以上置換していることが好ましい。
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、nは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、kは1〜4の整数を示す。
m、nの値とY、Z、Arの構造についての好ましい組み合わせとして、
(1)m=0、n=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として−SO3Hを有
するフェニル基である構造、
(2)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(3)m=1、n=1、k=1であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(4)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として2個の−SO3
Hを有するナフチル基である構造、
(5)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−O(CH2)4SO3Hを有するフェニル基である構造などを挙げることができる。
より好ましくは、上記一般式(I)で表される構造および下記一般式(II)で表される構造を有するポリアリーレン系共重合体が好ましい。
Figure 0005347287
一般式(II)において、A、Dは独立に直接結合または、−CO−、−SO2−、−
SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2l−(lは1〜10の整数である)、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、
芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。ここで、−CR’2−で表される構造の具体的な例として、メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、プロピル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、などが挙げられる。これらのうち、直接結合または、−CO−、−SO2−、−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−が好ましい。
Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、酸素原子が好ましい。
1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル
基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。アリル基としては、プロペニル基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
s、tは0〜4の整数を示す。rは0または1以上の整数を示し、上限は通常100、好ましくは1〜80である。
s、tの値と、A、B、D、R1〜R16の構造についての好ましい組み合わせとしては

(1)s=1、t=1であり、Aが−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化
水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または、−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(2)s=1、t=0であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または、−SO2−で
あり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(3)s=0、t=1であり、Aが−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化
水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子またはニトリル基であ
る構造が挙げられる。
(4)s=1、t=1、2であり、Aが−C(CF3)2−または、−C(CR’2)2−(R’は炭化水素基または環状炭化水素基)であり、Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原
子またはフッ素原子である構造、
(5)s=0、t=1、2であり、Aが−C(CF3)2−または、−C(CR’2)2−(R’は炭化水素基または環状炭化水素基)であり、Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原
子またはフッ素原子またはニトリル基である構造が挙げられる。
上記一般式(I)で表される構造および上記一般式(II)で表される構造を有するポリアリーレン系共重合体としては、下記一般式(III)で表されるポリアリーレン系共重合
体が挙げられる。
Figure 0005347287
…(III)
一般式(III)において、A、B、D、Y、Z、Ar、k、m、n、r、s、tおよび
1〜R16は、それぞれ上記一般式(I)および(II)中のA、B、D、Y、Z、Ar
、k、m、n、r、s、tおよびR1〜R16と同義である。x、yはx+y=100モル
%とした場合のモル比を示す。
本発明で用いられるスルホン酸基を有するポリアリーレン系共重合体は、式(I)で表される構造単位すなわちxのユニットを0.5〜100モル%、好ましくは10〜99.999モル%の割合で、式(II)で表される構造単位すなわちyのユニットを99.5〜0モル%、好ましくは90〜0.001モル%の割合で含有している。
スルホン酸基を有するポリアリーレン系共重合体の製造には、例えば下記に示すA1法
、B1法、C1法の3通りの方法を用いることができる。
(A1法)
例えば、特開2004−137444号公報に記載の方法で、上記一般式(I)で表さ
れる構造単位となりうるスルホン酸エステル基を有するモノマーと、上記一般式(II)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーとを共重合させ、スルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを製造し、このスルホン酸エステル基を脱エステル化して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することにより合成することができる。(B1法)
例えば、特開2001−342241号公報に記載の方法で、上記一般式(I)で表さ
れる骨格を有しスルホン酸基、スルホン酸エステル基を有しないモノマーと、上記一般式(II)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーとを共重合させ、この重合体を、スルホン化剤を用いて、スルホン化することにより合成することもできる。
(C1法)
一般式(I)において、Arが−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2pSO3Hで
表される置換基を有する芳香族基である場合には、例えば、特願2003−295974号(特開2005-60625号公報)に記載の方法で、上記一般式(I)で表される構造単位とな
りうる前駆体のモノマーと、上記一般式(II)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーとを共重合させ、次にアルキルスルホン酸またはフッ素置換されたアルキルスルホン酸を導入する方法で合成することもできる。
(A1法)において用いることのできる、上記一般式(I)で表される構造単位となり
うるスルホン酸エステル基を有するモノマーの具体的な例として、下記に示すようなスルホン酸エステル類を挙げることができる。
Figure 0005347287
(B1法)において用いることのできる、上記一般式(I)で表される構造単位となり
うるスルホン酸基、またはスルホン酸エステル基を有しないモノマーの具体的な例として、下記に示すようなスルホン酸エステル類を挙げることができる。
Figure 0005347287
(C1法)において用いることのできる、上記一般式(I)で表される構造単位となり
うる前駆体のモノマーの具体的な例として、下記に示すようなモノマー類を挙げることができる。
Figure 0005347287
また、いずれの方法においても用いられる、上記一般式(II)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーの具体的な例として、以下のものが挙げられる。
r=0の場合、例えば4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンズアニリド、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロ
ロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4−クロロ安息香酸
−4−クロロフェニルエステル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリルが挙げられる。これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物などが挙げられる。
r=1の場合、例えば特開2003−113136に記載の化合物を挙げることができる。
r≧2の場合、例えば特開2004−137444号公報、特開2004−244517号公報、特願2003−143914号(特開2004-346164号公報)、特願2003−
348523号(特開2005-112985号公報)、特願2003−348524号、特願20
04−211739号(特開2006-28414号公報)、特願2004−211740号(特開2006-28415号公報)に記載の化合物を挙げることができる。
スルホン酸基を有するポリアリーレン系共重合体を得るためは、まず、これらの、上記一般式(I)で表される構造単位となりうるモノマーと、上記一般式(II)で表される構
造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーとを共重合させ、前駆体のポリアリーレンを得ることが必要である。この共重合は、触媒の存在下に行われるが、この際使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、(1)遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)、ならびに(2)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
ここで、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物、塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物などが挙げられる。これらのうち特に、塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好ましい。また、配位子としては、トリフェニルホスフィン、トリ(2-メチル)フェニルホスフィン、トリ(3-メチル)フェニルホスフィン、トリ(4-メチル)フェニルホスフィン、2,2'−ビピリジン、1,5−シクロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどが挙げられるが、トリフェニルホスフィン、トリ(2-メチル)フェニルホスフィン、2,2'−ビピリジンが好ましい。上記配位子は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
さらに、あらかじめ配位子が配位された遷移金属(塩)としては、例えば、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケルビス(トリ(2-メチル)フェニルホ
スフィン)、臭化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、ヨウ化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、硝酸ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'-ビピリジン)、臭化ニッケル(2,2'-ビピリジン)、ヨウ化ニッケル(2,2'-ビピリジン)、硝酸ニッケル(2,2'ビピリジン)、ビス(1,5−シクロオクタジ
エン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられるが、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケルビス(トリ(2-メチル)フェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'-ビピリジン)が好まし
い。
本発明の触媒系において使用することができる上記還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどを挙げることできるが、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、有機酸などの酸に接触させることにより、より活性化して用いることができる。
また、本発明の触媒系において使用することのできる「塩」としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物、フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などが挙げられるが、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
触媒系における各成分の使用割合は、遷移金属塩または配位子が配位された遷移金属(塩)が、上記一般式(I)であらわされる構造体となりうるモノマー前駆体、上記一般式(II)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーの前駆体の総計1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満では、重合反応が充分に進行せず、一方、10モルを超えると、分子量が低下するという問題がある。触媒系において、遷移金属塩および配位子を用いる場合、この配位子の使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不充分となり、一方、100モルを超えると、分子量が低下するという問題がある。
また、触媒系における還元剤の使用割合は、上記一般式(I)であらわされる構造体となりうるモノマー前駆体、上記一般式(II)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーの前駆体の総計1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、重合が充分進行せず、一方、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難になるという問題がある。
さらに、触媒系に「塩」を使用する場合、その使用割合は、上記一般式(I)であらわされる構造体となりうるモノマー前駆体、上記一般式(II)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーの前駆体の総計1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満では、重合速度を上げる効果が不充分であり、一方、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難となるという問題がある。
本発明で使用することのできる重合溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタムなどが挙げられ、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらの重合溶媒は、充分に乾燥してから用いることが好ましい。重合溶媒中における上記一般式(I)であらわされる構造体となりうるモノマー前駆体、上記一般式(II)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーの前駆体の総計の濃度は、通常、1〜90質量%、好ましくは5〜40質量%である。
また、本発明の重合体を重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜80℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
スルホン酸基を有するポリアリーレン系共重合体は、この前駆体のポリアリーレンを、スルホン酸基を有するポリアリーレンに変換して得ることができる。この方法としては、下記の3通りの方法(A2)、(B2)、(C2)法がある。
(A2法)前駆体のスルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを、特開2004−1
37444に記載の方法で脱エステル化する方法。
(B2法)前駆体のポリアリーレンを、特開2001−342241号公報に記載の方法でスルホン化する方法。
(C2法)前駆体のポリアリーレンに、特願2003−295974号(特開2005-60625号公報)に記載の方法で、アルキルスルホン酸基を導入する方法。
(A2法)は、
加水分解によりスルホン酸エステル基(−SO3R)をスルホン酸基(−SO3H)に転換する方法である。
具体的には、
(1)少量の塩酸を含む過剰量の水またはアルコールに、上記ポリアリーレンを投入し、5分間以上撹拌する方法
(2)トリフルオロ酢酸中で上記ポリアリーレンを80〜120℃程度の温度で5〜10時間程度反応させる方法
(3)ポリアリーレン中のスルホン酸エステル基(−SO3R)1モルに対して1〜5倍
モルのリチウムブロマイドを含む溶液、例えばN−メチルピロリドンなどの溶液中で上記ポリアリーレンを80〜150℃程度の温度で3〜10時間程度反応させた後、塩酸を添加する方法
などを挙げることができる
(B2法)は、
スルホン酸基、スルホン酸エステル基を有しない前駆体のポリアリーレンを、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸、硫酸、亜硫酸水素ナトリウムなどの公知のスルホン化剤を用いて、公知の条件でスルホン化することができる〔PolymerPreprints, Japan, Vol.42,
No.3, p.730(1993);PolymerPreprints,Japan, Vol.42, No.3, p.736(1994);PolymerPreprints,Japan, Vol.42, No.7, p.2490-2492(1993)〕。すなわち、このスルホン化の反応条件としては、スルホン酸基、スルホン酸エステル基を有しない前駆体のポリアリーレンを、無溶剤下、あるいは溶剤存在下で、上記スルホン化剤と反応させる。溶剤としては、例えばn−ヘキサンなどの炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドのような非プロトン系極性溶剤のほか、テトラクロロエタン、ジクロロエタン、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。反応温度は特に制限はないが、通常、−50〜200℃、好ましくは−10〜100℃である。また、反応時間は、通常、0.5〜1,000時間、好ましくは1〜200時間である
(C2法)は、
上記(C1法)に示すモノマー類を、上記一般式(II)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーとを共重合させることにより、−OM基あるいは−SM基(Mは、水素原子あるいはアルカリ金属原子を示す)を有する前駆体ポリアリーレンを得た後、下記一般式(IV)あるいは(V)で表される化合物をアルカ
リ条件下で反応させることによってスルホン化することができる。
Figure 0005347287
式(IV)中、R40は水素原子、フッ素原子、アルキル基、およびフッ素置換アル
キル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示し、gは1〜20の整数を示す。
Figure 0005347287
式(V)中、Lは、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子のいずれかを示し、
Mは水素原子あるいはアルカリ金属原子を示す。R40、gは、式(IV)中のR40
gと同義である。
一般式(IV)で表される化合物の具体例としては、以下のような化合物が挙げら
れる。
Figure 0005347287
一般式(V)で表される化合物の具体例としては、以下のような化合物が挙げられ
る。
Figure 0005347287
一般式(IV)および(V)で表される化合物をアルカリ条件下で反応させる場合
、前駆体ポリアリーレンを溶解させても良く、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキサイ
ドなどの誘電率の高い極性溶媒を挙げる事ができる。
式(V)中のMが水素原子の場合、アルカリ金属、水素化アルカリ金属、または
アルカリ金属炭酸塩などを必要に応じて加えることによりアルカリ金属塩とすることができる。
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが例示でき、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、およびアルカリ金属炭酸塩としてはそれぞれ、上記アルカリ金属の水素化物、水酸化物、炭酸塩が例示できる。通常、アルカリ金属は、前駆体ポリアリーレン中の−OM基あるいは−SM基に対して過剰気味で反応させ、通常、−OM基
あるいは−SM基の1.1〜4倍当量を使用する。好ましくは、1.2〜3倍当量の使用である。
上記のイオン交換容量は、例えば一般式(I)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーと、上記一般式(II)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーの種類、使用割合、組み合わせを変えることにより、調整することができる。
このようにして得られるポリアリーレン系共重合体の分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。
上記、プロトン酸基を有するプロトン伝導性材料のイオン交換容量は通常0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜4meq/g、さらに好ましくは0.8〜3meq/gである。0.3meq/g未満では、プロトン伝導度が低く発電性能が低い。一方、5meq/gを超えると、耐水性が大幅に低下してしまうことがある。
成分(B)
成分(B)は、以下に述べる成分(B−a)、(B−b)および(B−c)を加水分解・脱水縮合反応(以下、「加水分解縮合反応」という。)して得られる反応物である。
成分(B−a)
成分(B−a)は、下記式(X)で表される化合物である。
Si(OR20)E(R21)F(R22)G …(X)
式中、Eは2〜3、Fは0〜1、Gは1〜2であり、E+F+G=4である。また、R20、R21は、水素原子又はハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。R22は、含窒素複素環構
造又は置換されていてもよいアミノ基を有し、かつハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。
成分(B−a)は、含窒素複素環構造又は置換されていてもよいアミノ基を有する炭化水素基を有しているため、成分(A)との相溶性に優れており、均一な高分子電解質を得ることができる。
上記式(X)中のR20、R21又はR22が取り得る炭化水素基は、脂肪族基、脂環族基、芳
香族基の何れであってもよい。かかる炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基である。炭素数が24を越えると、金属アルコシキドが過度に安定であり、反応性が悪くなる。
これらの炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso-プロピル基、ブチル基、iso-ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、フェニル基、ナフチル基、グリシドキシプロピル基、エポキシシクロヘキシルエチル基、ビニル基、アリル基、メタクロキシプロピル基などが挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso-プロピル基、ブチル基、iso-ブチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、フェニル基である。より好ましくは、メチル基、エチル基、フェニル基である。
ハロゲン化された炭化水素基としては、トリフルオロメチル基、トリフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロフェニル基、パーフルオロビフェニル基などが挙げられる。好ましくは、トリフルオロプロピル基である。
上記式(X)中のR22が取り得る含窒素複素環構造としては、ピロール基、チアゾール
基、ベンゾチアゾール基、イソチアゾール基、オキサゾール基、ベンゾオキサゾール基、
イソオキサゾール基、イミダゾール基、イミダゾリン基、イミダゾリジン基、ベンゾイミダゾール基、ピラゾール基、トリアジン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピリダジン基、ピラジン基、インドール基、キノリン基、イソキノリン基、ブリン基、テトラゾール基、テトラジン基、トリアゾール基、カルバゾール基、アクリジン基、キノキサリン基、キナゾリン基、インドリジン基、イソインドール基、3H-インドール基、2H-ピロール基、1H-インダゾール基、プリン基、フタラジン基、ナフチリジン基、シンノリン基、プテリジン基、カルボリン基、フェナントリジン基、ペリミジン基、フェナントロリン基、フェナジン基、フェナルサジン基、フェノチアジン基、フラザン基、フェノキサジン基、ピロリジン基、ピロリン基、ピラゾリン基、ピラゾリジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、インドリン基、イソインドリン基、キヌクリジン基があげられる。
このうち、イミダゾール基、イミダゾリン基、ピリジン基、ピロール基、ベンズイミダゾール基、ベンゾオキサゾール基、トリアジン基、トリアゾール基がより望ましい。
上記式(X)中のR22のアミノ基は、−NH2で表される1級アミノ基であっても、−NHRや-NR2(Rは置換基)で表される2級または3級アミノ基であってもよい。
上記式(X)中のR22が取り得るアミノ基の置換基としては、メチル基、エチル基、n
−プロピル基、iso−プロピル基、tert-ブチル基、iso-ブチル基、n−ブチル基、s
ec−ブチル基、オクチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル基、アダマンタンメチル基、2−エチルヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]へプチル基、ビシクロ[2.2.1]へプチルメチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メチルブチル基、3,
3−ジメチル−2,4−ジオキソランメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル
メチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、アリル基、2−ヒドロキシエチル基などの直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、5員の複素環を有する炭化水素基や、フェニル基、ナフチル基、トルイル基などの芳香族環基が挙げられ、このうち、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、tert-ブチル基、iso-ブチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基等により
置換されたアミノ基の他、2−アミノエチル基、6−アミノヘキシル基、アミノ(ポリプロピレンオキシ)基、ウレイド基、イソシアネート基等が挙げられる。
成分(B−a)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
Figure 0005347287
Figure 0005347287
Figure 0005347287
Figure 0005347287
Figure 0005347287
Figure 0005347287
また、上記化合物においてSiに結合するメトキシ基が、エトキシ基、プロピキシ基、ブチロキシ基、iso−プロピキシ基に置き換わった化合物なども挙げられる。
成分(B−b)
成分(B−b)は、(B−a)成分以外のものであり、下記式(Y)で表される化合物である。
Si(OR30e(R31)f・・・(Y)
式中、eは2〜4、fは0〜2であり、e+f=4である。R30およびR31は、水素原
子又はハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。
成分(B−b)は、成分(B−a)とは異なり含窒素複素環構造および置換されていてもよいアミノ基を有する炭化水素基を有していない。成分(B−b)は、プロトン伝導度
や寸法安定性などの膜物性の観点から、プロトン酸基と相互作用可能な窒素を含む複素環化合物やアミノ基あるいは置換基アミノ基を有する無機成分(B−a)の成分量や金属酸化物(B−c)の成分量を制御するために添加される。
上記式(Y)中のR30又はR31はが取り得る炭化水素基は、上記式(X)中のR20、R21
又はR22が取り得る炭化水素基と同様である。式(Y)中の炭化水素基と式(X)中の炭
化水素基は、同一であっても異なっていてもよい。
成分(B−b)としては、具体的には、以下化合物が挙げられる。
Figure 0005347287
Figure 0005347287
また、上記化合物においてSiに結合するメトキシ基が、エトキシ基、プロピキシ基、ブチロキシ基、iso−プロピキシ基に置き換わった化合物なども挙げられる。
このうち、特にテトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシラン(TEOS)、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが特に好ましい。
成分(B−c)
成分(B−c)は、Al、Ti又はZrのアルコキシドである。成分(B−c)の添加により、本発明の高分子電解質から得られる高分子電解質膜のプロトン伝導性を向上(膜抵抗の場合、低減)させることが可能になる。また、成分(A)のプロトン伝導性重合体に成分(B−a)のみを添加するとプロトン伝導性が低下する場合があるが、成分(B−c)を添加することにより、かかる悪影響を低減して、プロトン伝導性に優れた高分子電解質膜を得ることができる。
成分(B−c)のアルコキシド基は直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよく、好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜10のアルコキシド基である。炭素数が24を越えると、金属アルコシキドが過度に安定となって、反応性が悪くなる。かかるアルコキシド基の具体例は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、t−オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、2−ヘキシルデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシルメチル基、オクチルシクロヘキシル基等である。この内、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基が好ましい。
成分(B−c)の具体例は、アルミニウムトリ−n−ブトキシド、アルミニウムトリ−sec−ブトキシド、アルミニウムトリ−tert−ブトキシド、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ−iso−プロポキシドなどの
アルミニウムアルコキシド、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトラ−iso−プロポキシド、チタニウムテトラ−n−ブトキシド、チタニウムテトラ−tert−ブトキシド、クロロチタニウムトリ−iso−プロポキシドなどのチタニウムアルコキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−tert−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−iso−プロポキシド、ジルコニウムテトラエトキシドなどのジルコニウムアルコキシドなどが挙げられる。
これらの中では、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトラ−iso−プロポキシド、チタニウムテトラ−n−ブトキシド、チタニウムテトラ−tert−ブトキシドが好ましい。
各成分の配合量
成分(B−a)〜(B−c)の配合比は、(B−a)〜(B−c)成分の合計量を100モル%として、(B−a)が0.01〜40mol%が良く、より好ましくは0.1〜30mol%、さらに好ましくは1〜20mol%であり、(B−b)が30〜99.9mol%が良く、より好ましくは40〜95mol%、さらに好ましくは50〜90mol%であり、(B−c)が0.01〜40mol%が良く、より好ましくは0.1〜30mol%、さらに好ましくは1〜20mol%である。
このような組成であると、(B-a)〜(B-c)成分の反応物が、成分(A)に均一に分散した高
分子電解質を得ることが可能であるとともに、プロトン伝導性や寸法安定性などの膜物性の点にも優れた高分子電解質を得ることができる。
プロトン酸基と相互作用可能な窒素を含む複素環化合物やアミノ基あるいは置換基アミノ基を有する無機成分(B−a)の成分量や金属酸化物(B−c)の成分量を制御するために添加される。
高分子電解質の製造方法
高分子電解質は、以下の(A法)、(B法)により製造することができる。
(A法)
成分(B−a)、(B−b)および(B−c)を混合するために溶媒中で攪拌した後、水を添加して、加水分解縮合反応させて加水分解縮合液(以下、「ゾル溶液」という。)を得る。一方、成分(A)を溶解させた溶液(以下、ポリマー液とも呼ぶ)を調製し、ゾル溶液とポリマー液とを混合して、高分子電解質を製造する方法である。
ゾル溶液の調整法
成分(B−a)〜(B−c)を溶解させる溶媒は、溶解するものであれば特に制限はないが、好ましくはカーボネート化合物(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、複素環化合物(3−メチル−2−オキサゾリジノン、N−メチルピロリドン等)、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、鎖状エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、エステル類(カルボン酸エステル、リン酸エステル、ホスホン酸エステル等)、非プロトン極性物質(ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、非極性溶媒(トルエン、キシレン等)、塩素系溶媒(メチレンクロリド、エチレンクロリド等)等を用いることができる。
このうち、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、複素環化合物(3−メチル−2−オキサゾリジノン、N−メチルピロリドン等)、非プロトン極性物質(ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が好ましい。
これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。溶媒の量は、金属アルコキシドに対して0〜95質量%が好ましく、より好ましくは5〜95質量%である。
加水分解縮合反応における前駆体の反応性を制御する目的で、金属原子とキレート化しうる安定化剤を用いてもよい。安定化剤としては、例えばアセト酢酸エステル類(アセト酢酸エチル等)、1,3−ジケトン類(アセチルアセトン等)、アセトアセタミド類(N,N−ジメチルアミノアセトアセタミド等)等が挙げられる。この内、アセチルアセトン
が好ましい。
これら安定化剤を用いる場合、その使用量は、ゾル−ゲル反応に影響しない範囲であれば特に制限されるものではないが、金属アルコキシド(中の金属)に対して0.01〜2等量が好ましく、より好ましくは0.01〜1等量である。2等量を超えると、ゾル−ゲル反応が遅くなる傾向がある。
さらに、加水分解縮合反応を調節する触媒として酸若しくは塩基からなる触媒を用いることもできる。アルカリ塩基触媒としては、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、アンモニア等が一般的である。酸触媒としては、無機又は有機のプロトン酸を用いることができる。無機プロトン酸としては、塩酸、硫酸、硼酸、硝酸、過塩素酸、テトラフルオロ硼酸、ヘキサフルオロ砒素酸、臭化水素酸等が挙げられる。有機プロトン酸としては、酢酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、マレイン酸等が挙げられ、これらのうち、塩酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸、マレイン酸が好ましい。触媒の添加量は、全金属アルコキシドを100mol%としたとき、0.01から20mol%、好ましくは0.02から10mol%で添加するのが良い。触媒の量が多すぎると加水分解及び脱水縮合反応の反応速度が速く制御しにくくなり、少な過ぎると十分に反応が進行しない場合がある。
添加する水の量は、全アルコキシ基に対して、モル比で0.1から3の範囲にあることが望ましく、好ましくは、0.2から2.5の範囲にある。水の量が多すぎると加水分解及び脱水縮合反応の反応速度が速く制御しにくくなり、少な過ぎると十分に反応が進行しない場合がある。
加水分解及び脱水縮合反応は、通常、0から100℃の範囲で行われ、好ましくは、10から70℃、より好ましくは20から60℃の範囲である。反応温度が高過ぎると加水分解及び脱水縮合反応の反応速度が速く制御しにくくなり、低過ぎると十分に反応が進行しない場合がある。
また、反応時に圧力を加えても良く、通常1から5気圧(0.101〜0.505MPa
)の範囲、より好ましくは1から3気圧(0.101〜0.303MPa)の範囲である。
前駆体を加水分解及び脱水縮合反応した後に、反応したゾル溶液の溶媒を濃縮し、反応時に使用した溶媒と異なる溶媒に置換しても良い。置換する溶媒は、後述するポリマー溶液に用いる溶媒と同じものが好ましい。このような溶媒を使用することによって、ゾル溶液をポリマー溶液に均一に分散させることが可能になる。
ゾル溶液中の成分(B−a)、(B−b)および(B−c)を加水分解・脱水縮合反応して得られる反応物の濃度は、通常、5〜70質量%、好ましくは7〜50質量%である

成分(A)のポリマー溶液の調整法
成分(A)を溶解させる溶媒としては、溶解するものであれば特に制限はないが、たとえば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクト
ン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチル尿素、ジメチルイ
ミダゾリジノン、アセトニトリルなどの非プロトン系極性溶剤や、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶剤
、メタノール、エタノール、プロパノール、iso−プロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、γ−ブチルラクトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン等のエーテル類などが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で、ま
たは2種以上を組み合わせて用いることができる。特に溶解性、溶液粘度の面から、N−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」ともいう。)が好ましい。
2種以上の混合溶媒を使用する場合、非プロトン系極性溶剤と他の溶剤との混合物を用いることが望ましく、該混合溶媒の組成は、非プロトン系極性溶剤が95〜25質量%、好ましくは90〜25質量%、他の溶剤が5〜75質量%、好ましくは10〜75質量%(但し、合計は100質量%)であることが望ましい。他の溶剤の量が上記範囲内にあると、溶液粘度を下げる効果に優れる。この場合の非プロトン系極性溶剤と他の溶剤との組み合わせとしては、非プロトン系極性溶剤としてNMP、他の溶剤として幅広い組成範囲で溶液粘度を下げる効果があるメタノールが好ましい。
ポリマー溶液中の成分(A)の濃度は、通常、5〜40質量%、好ましくは7〜25質量%である。
なお、ポリマー溶液の粘度は、プロトン酸基を有するプロトン伝導性材料の分子量や、ポリマー濃度や、添加剤の濃度にもよるが、通常、1,000〜100,000mPa・s、好ましくは2,000〜50,000mPa・sである。なお粘度が高過ぎると、ゾル溶液との混合が困難になることがある。
溶液混合
上記、ゾル溶液とポリマー溶液を混合することにより、ダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質を得ることができる。必要に応じて、得られたポリマー溶液を精製して不純物を除去しても良く、また溶液濃度を調整してもよい。また、粉体で使用する場合は、混合溶液から、さらに溶媒を留去すれば、粉体のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質を得ることができる。また、膜として使用する場合は、後述のようにフィルム状に成形するキャスティング法などによりを製造することができる。
(B法)
(B法)は、成分(B−a)、(B−b)および(B−c)を、成分(A)からなるポ
リマー溶液中で混合した後、水を添加し加水分解・脱水縮合反応を行い高分子電解質を製造する方法である。それぞれの前駆体を可溶な溶媒に溶解させてからポリマー溶液に溶解させても良い。使用する溶媒としては、上記(A法)のゾル溶液調製に例示した溶媒が挙げられる。
(B法)に用いられるポリマー溶液その他の成分は、それぞれ、前記(A法)の場合と同様である。
(A法)(B法)により得られたダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質は、成分(A)中に、成分(B−a)〜(B−c)を加水分解縮合して得られる反応物が分散された構造を有している。
以上の(A法)および(B法)で得られた高分子電解質のイオン交換容量は通常0.1〜4.5meq/g、好ましくは0.3〜3.5meq/g、さらに好ましくは0.5〜3.0meq/gである。また、電解質中の(B−a)〜(B−c)成分の合計量は、(A)成分と(B−a)〜(B−c)成分の合計量100質量%に対して、1〜50質量%、好ましく5〜45質量%は、更に好ましくは10〜40質量%である。
[高分子電解質膜の製造]
本発明のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質は、一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などに好適である。またその使用態様は、膜状態、溶液状態、粉体状態のいずれであってもよい。これらの使用態様のうち膜状態、溶液状態が好ましい(以下、膜状態のことを高分子電解質膜と呼ぶ)。
高分子電解質膜は、高分子電解質を基体上に流延してフィルム状に成形するキャスティング法などによりを製造することができる。
キャスティング法により製膜する場合、電解質を溶液状態にし、その際の成分(A)と
(B−a)〜(B−c)を加水分解縮合して得られる反応物からなる全固形分の濃度を、通常、5〜40質量%、好ましくは7〜25質量%とする。固形分濃度が前記範囲の下限以上であれば、製膜時に厚膜化することなく、薄膜化が可能であり、ピンホールの発生が抑制できる。一方、全固形分濃度が前記範囲の上限以下であれば、溶液粘度が高すぎることもなければ、低すぎることもないので、フィルム化が容易であり、得られた膜も表面平滑性に優れている。
また、電解質膜中の(B−a)〜(B−c)成分の合計量は、(A)成分、(B−a)〜(B−c)成分の合計量100質量%に対して、1〜50質量%、好ましく5〜45質量%は、更に好ましくは10〜40質量%である。成分(B−a)〜(B−c)の配合量の合計が上記範囲内であれば、電解質膜のプロトン伝導度、メタノール透過性、メタノール水溶液中での寸法安定性が優れている。
なお、電解質は一旦乾燥したものを溶液状態にしてよく、また、成分(A)と(B−a
)〜(B−c)を加水分解縮合して得られる反応物を含む混合溶液を乾燥することなく、必要に応じて不純物を除去し、濃度調整した混合溶液をそのまま使用してもよい。
基体としては、通常の溶液キャスティング法に用いられる基体であれば特に限定されず、たとえばプラスチック製、金属製などの基体が用いられ、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの熱可塑性樹脂からなる基体が用いられる。
成膜後、得られた未乾燥フィルムを水に浸漬すると、未乾燥フィルム中の有機溶剤を水と置換することができ、得られる高分子電解質膜の残留溶媒量を低減することができる。なお、成膜後、未乾燥フィルムを水に浸漬する前に、未乾燥フィルムを予備乾燥してもよい。予備乾燥は、未乾燥フィルムを通常50〜150℃の温度で、0.1〜10時間保持することにより行われる。
未乾燥フィルム(予備乾燥後のフィルムも含む。以下同じ。)を水に浸漬する際は、枚葉を水に浸漬するバッチ方式でもよく、基板フィルム(たとえば、PET)上に成膜された状態の積層フィルムのまま、または基板から分離した膜を水に浸漬させて、巻き取っていく連続方式でもよい。また、バッチ方式の場合は、処理後のフィルム表面に皺が形成されるのを抑制するために、未乾燥フィルムを枠にはめるなどの方法で、水に浸漬させることが望ましい。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際の水の使用量は、未乾燥フィルム1質量部に対して、10質量部以上、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50質量部以上の割合である。水の使用量が上記範囲であれば、得られる高分子電解質膜の残存溶媒量を少なくすることができる。また、浸漬に使用する水を交換したり、オーバーフローさせたりして、常に水中の有機溶媒濃度を一定濃度以下に維持しておくことも、得られる高分子電解質膜の残存溶媒量を低減することに有効である。さらに、高分子電解質膜中に残存する有機溶媒量の面内分布を小さく抑えるためには、水中の有機溶媒濃度を撹拌等によって均質化させることが効果的である。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際の水の温度は、置換速度および取り扱いやすさの点から、通常5〜80℃、好ましくは10〜60℃の範囲である。水温が高いと、有機溶媒と水との置換速度は速くなるが、フィルムの吸水量も大きくなるので、乾燥後に得られる高分子電解質膜の表面状態が悪化することがある。水温が低ければ置換速度が低く、また冷却する必要があるなどの効率的ではない。
また、フィルムの浸漬時間は、初期の残存溶媒量、水の使用量および処理温度にもよるが、通常10分〜240時間、好ましくは30分〜100時間の範囲である。
上記のように未乾燥フィルムを水に浸漬した後乾燥すると、残存溶媒量が低減された膜が得られるが、このようにして得られる膜の残存溶媒量は、通常5質量%以下である。また、浸漬条件によっては、得られる膜の残存溶媒量を1質量%以下とすることができる。このような条件としては、たとえば、未乾燥フィルム1質量部に対する水の使用量が50質量部以上であり、浸漬する際の水の温度が10〜60℃、浸漬時間が10分〜10時間である。
上記のように未乾燥フィルムを水に浸漬した後、フィルムを30〜100℃、好ましくは50〜80℃で、10〜180分、好ましくは15〜60分乾燥し、次いで、50〜150℃で、好ましくは500mmHg〜0.1mmHgの減圧下、0.5〜24時間、真空乾燥することにより、膜を得ることができる。
また、高分子電解質膜を製造する際に、硫酸、リン酸などの無機酸、リン酸ガラス、タングステン酸、リン酸塩水和物、β-アルミナプロトン置換体、プロトン導入酸化物等の
無機プロトン伝導体粒子、カルボン酸を含む有機酸、スルホン酸を含む有機酸、ホスホン酸を含む有機酸、適量の水などを併用してもよい。
以上のようにして得られる高分子電解質膜は、その乾燥膜厚が、通常10〜100μm、好ましくは15〜80μmである。
高分子電解質膜のイオン交換容量は通常0.1〜4.5meq/g、好ましくは0.3〜3.5meq/g、さらに好ましくは0.5〜3.0meq/gである。0.1meq/g未満では、プロトン伝導度が低く発電性能が低い。一方、5meq/gを超えると、耐水性が大幅に低下してしまうことがある。
[実施例]
以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例中の各種の測定項目は、下記のようにして求めた。実施例において、「%」とは特に断りのない限り「質量%」を意味する。
<評価方法>
[スルホン酸基の当量]
得られたスルホン化ポリマーの水洗水が中性になるまで蒸留水で洗浄して、フリーの残存している酸を除去した後、乾燥させた。この後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解させ、フェノールフタレインを指示薬として、NaOHの標準液にて滴定し、中和点から、スルホン酸基の当量(イオン交換容量)(meq/g)を求めた。
[破断強度および弾性率の測定]
破断強度および弾性率の測定は、JISK7113に準じて行った(引っ張り速度:50mm/min)。ただし、弾性率は、標線間距離をチャック間距離とし算出した。JIS
K7113に従い、温度23±2℃、相対湿度50±5%の条件下で48時間試料の状態調整を行った。ただし、試料の打ち抜きは、JIS K 6251に記載の7号ダンベルを用いた。引っ張り試験測定装置は、INSTRON製5543を用いた。
[膜抵抗の測定]
膜を濃度1mol/lの硫酸を介して上下から導電性カーボン板ではさみ、室温でカーボン板間の交流抵抗を測定し、下記の式で求めた。
膜抵抗(Ω・cm2)=膜をはさんだカーボン間の抵抗値(Ω)−ブランク値(Ω)×接
触面積(cm2
伝導度(S/cm)=膜厚/(膜抵抗×10000)
[メタノール水溶液浸漬試験]
50vol%の70℃メタノール水溶液に、伝導膜を6時間浸漬した。浸漬前後の面積を測定し、面積変化率(%)を計算した。
面積変化率(%)=(浸漬後の面積/浸漬前の面積)×100
[メタノール透過性]
浸透気化測定法(パーベーパレーション法)により測定した。所定のセルにフィルムをセットし、表面側から10質量%のメタノール水溶液を供給、裏面から減圧し、透過液を液体窒素でトラップした。メタノール透過量は下記の式から計算した。
メタノール透過量(g/m2/h)=[透過液重量(g)/回収時間(h)/試料面積(m2)]×透過液のメタノール濃度
[合成例1] 成分(A)の合成1
3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチルの調製
Figure 0005347287
攪拌機、冷却管を備えた3Lの三口フラスコに、クロロスルホン酸(233.0g、2モル)を加え、続いて2,5−ジクロロベンゾフェノン(100.4g、400ミリモル
)を加え、100℃のオイルバスで8時間反応させた。所定時間後、反応液を砕氷(1000g)にゆっくりと注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを留去し、淡黄色の粗結晶(3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸クロリド)を得た。粗結晶は精製することなく、そのまま次工程に用いた。
2,2-ジメチル-1-プロパノール(ネオペンチルアルコール)(38.8g、440ミリモル)をピリジン300mLに加え、約10℃に冷却した。ここに上記で得られた粗結晶を約30分かけて徐々に加えた。全量添加後、さらに30分撹拌し反応させた。反応後、反応液を塩酸水1000ml中に注ぎ、析出した固体を回収した。得られた固体を酢酸エチルに溶解させ、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを留去し、粗結晶を得た。これをメタノールで再結晶し、目的物である3-(2,5-ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチルの白色結晶を得た。
次に撹拌羽根、温度計、窒素導入管、Dean-Stark管、冷却管を取り付けた1
Lセパラブル3口フラスコに4、4’−ジフルオロベンゾフェノン102.7g(471
mmol)、4−クロロ−4'−フルオロベンゾフェノン26.2g(112mmol)、レゾルシノール43.7g(397mmol)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン46.4g(132mmol)、炭酸カリウム87.8g(635mmol)をはかりとった。DMAc625mL、トルエン250mLを加え、窒素雰囲気下、150℃で加熱還流した。反応によって生成する水をトルエンとの共沸により、Dean-Stark管から取
り除いた。3時間後に水の生成が認められなくなったところで、トルエンを系外に取り除き、160℃で7時間撹拌した後、4−クロロ−4’−フルオロベンゾフェノン15.2g(65.0mmol)を加え、さらに3時間撹拌した。
放冷後、反応溶液に不溶の無機物を、セライトをろ過助剤に用いたろ過によって除いた。ろ液をメタノール2.0Lに注ぎ、反応物を凝固させた。沈殿した凝固物をろ過し、少
量のメタノールで洗浄し、真空乾燥した。乾燥した生成物を、テトラヒドロフラン200mLに再溶解した。この溶液をメタノール2.0Lに注ぎ、再沈殿した。凝固物をろ過し
、真空乾燥して、134g(収率68%)の目的物を得た。GPCで求めたポリスチレン換算の数平均分子量は4000、重量平均分子量は8200であった。得られた化合物は下記構造で表されるオリゴマーであることを確認した。
Figure 0005347287
スルホン化ポリマーの合成
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、3−(2,5−ジク
ロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル75.0g(187mmol)、上記化
合物(Mn4000)52.0g(13mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド3.93g(6.0mmol)、ヨウ化ナトリウム0.90g(6.0mmo
l)、トリフェニルホスフィン21.0g(80mmol)、亜鉛31.4g(480mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。ここにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)3
40mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc550mLを加えて希釈し、不溶物を濾過した。
得られた溶液を攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れた。115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム48.7g(560mmol)を加えた。7時間攪拌後、アセトン3.3Lに注いで生成物を沈殿させた。ついで、1N塩酸、純水の順で洗浄後、乾燥して目的の重合体88gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は105,000であった。ここで得られたプロトン伝導性重合体(成分(A))を「ポリマーA1」とする。ポリマーA1は、下記式(20-1)で表される重合体である。ポリマーA1のイオン交換容量は、1.8meq/gであった。
Figure 0005347287
[合成例2;成分(A)の合成2]
撹拌羽根、温度計、窒素導入管、Dean-Stark管、冷却管を取り付けた1Lセ
パラブル3口フラスコに4、4’−ジフルオロベンゾフェノン52.4g(240mmo
l)、4−クロロ−4'−フルオロベンゾフェノン14.1g(60.0mmol)、4,4'−(1,3−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(Bis−M)70.2g(203mmol)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン23.7g(67.5mmol)、炭酸カリウム44.8g(324mmol)をはかりとった。DMAc320mL、ト
ルエン130mLを加え、窒素雰囲気下、150℃で加熱還流した。反応によって生成する水をトルエンとの共沸により、Dean-Stark管から取り除いた。3時間後に水
の生成が認められなくなったところで、トルエンを系外に取り除き、160℃で7時間撹拌した後、4−クロロ−4’−フルオロベンゾフェノン7.7g(33.0mmol)を加え、さらに3時間撹拌した。
放冷後、反応溶液に不溶の無機物を、セライトをろ過助剤に用いたろ過によって除いた。ろ液をメタノール2.0Lに注ぎ、反応物を凝固させた。沈殿した凝固物をろ過し、少
量のメタノールで洗浄し、真空乾燥した。乾燥した生成物を、テトラヒドロフラン200mLに再溶解した。この溶液をメタノール2.0Lに注ぎ、再沈殿した。凝固物をろ過し
、真空乾燥して、110g(収率74%)の目的物を得た。GPCで求めたポリスチレン換算の数平均分子量は5500、重量平均分子量は8300であった。得られた化合物は下記構造で表されるオリゴマーであることを確認した。
Figure 0005347287
スルホン化ポリマーの合成
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、3−(2,5−ジク
ロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル56.1g(140mmol)、上記化
合物(Mn5500)38.71g(7.0mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド2.88g(4.0mmol)、ヨウ化ナトリウム0.66g(4.0m
mol)、トリフェニルホスフィン15.4g(60mmol)、亜鉛23.0g(352mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。ここにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)253mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc
780mLを加えて希釈し、不溶物を濾過した。
得られた溶液を攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れた。115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム40.1g(462mmol)を加えた。7時間攪拌後、アセトン3.7Lに注いで生成物を沈殿させた。ついで、1N塩酸、純水の順で洗浄後、乾燥して目的の重合体67gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は165,000であった。ここで得られたプロトン伝導性重合体(成分(A))を「ポリマーA2」とする。ポリマーA2は、下記式(20-2)で表される重合体である。ポリマーA2のイオン交換容量は、1.7meq/gであった。
Figure 0005347287
[実施例1]
100mLサンプル管に、1-アミノプロピルトリメトキシシラン(成分(B−a))1.79g、TEOS(テトラエトキシシラン、成分(B−b))35.42g、N−メチルピロリドン16.51gを秤量し、ベンゼンスルホン酸・1水和物2.40gを加え、5分撹拌した。その後、混合溶液を40〜45℃程度で保ちながら、水6.88gを少量ずつ滴下することにより加水分解及び脱水縮重合反応をさせた。1時間撹拌の後、チタニウムテトラ−iso−プロポキシド(成分(B−c))5.73gを追加し、更に1h以上撹拌した。反応液の組成を表1−1に示す。反応終了後、エバポレーターにより濃縮し、成分(B−a)〜(B−c)の合計濃度が20質量%になるようにN−メチルピロリドン/メタノール=3/1(質量比)の混合溶媒を追加し、ゾル溶液を作製した。
合成例1で得られたポリマーA14gをN−メチルピロリドン/メタノール=3/1(質量比)の混合溶媒24.6gに溶解させたポリマー溶液に、上述のゾル溶液5gを少量ずつ滴下しながら撹拌することにより混合溶液を作製した。
混合溶液をPET基板上にドクターブレードで製膜し、乾燥機により80℃30分、100℃30分、140℃1時間乾燥した後、水に25℃1時間を4回浸漬することにより有機溶媒を留去し、膜厚40μmの高分子電解質膜(40−1)を得た。
得られた高分子電解質膜のイオン交換容量、機械的性質、膜抵抗、メタノール溶液中での膨潤度、メタノール透過性について測定した結果を表2に示す。
[実施例2〜8]
表1−1に記載の各成分を用いた他は、実施例1と同様にして、高分子電解質を調製した。
[実施例9〜16]
表1−2に記載の各成分を用いた他は、実施例1と同様にして、高分子電解質を調製した。
[実施例17、18、比較例1〜4]
表1−3に記載の各成分を用いた他は、実施例1と同様にして、高分子電解質を調製した。
Figure 0005347287
Figure 0005347287
Figure 0005347287
Figure 0005347287
Figure 0005347287
Figure 0005347287
Figure 0005347287
Figure 0005347287
Figure 0005347287
Figure 0005347287
Figure 0005347287
表2に示したように、実施例1から8で得られたフィルムは、比較例1と比較し、伝導度は同等以上でメタノール透過性およびメタノール水溶液中での面積変化率が小さいことがわかった。また、実施例9から18で得られたフィルムは、比較例2と比較し、伝導度は同等以上でメタノール透過性およびメタノール水溶液中での面積変化率が小さいことがわかった。さらに実施例1から18で得られたフィルムを、比較例3および4と比較するとプロトン伝導度とメタノール透過が共に改良されていた。このように、(B−a)、(B−b)および(B−c)のすべての成分が必須として含む相乗効果によって、従来のものにない、プロトン伝導性とメタノール透過性が共に改良されることがわかった。

Claims (12)

  1. (A)プロトン伝導性重合体と、
    (B)下記成分(B-a)、(B-b)および(B-c)を加水分解・脱水縮合反応して得られる反応物:
    (B-a)下記式(X)で表される化合物、
    (B-b)前記(B-a)成分以外の化合物であって、下記式(Y)で表される化合物、および
    (B-c)Al、Ti又はZrのアルコキシド
    とを含んでなることを特徴とするダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質。
    Si(OR20E(R21)F(R22)G …(X)
    (式(X)中、Eは2〜3、Fは0〜1、Gは1〜2であり、E+F+G=4である。R20、R21は、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。R22は、含窒素複素環構造有する、ハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。)
    Si(OR30)e(R31)f …(Y)
    (式(Y)中、eは2〜4、fは0〜2であり、e+f=4である。R30およびR31は、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。)
  2. 前記成分(B-a)を表す式(X)中のR22で表される基が、ピロール基、チアゾール基、ベンゾチアゾール基、イソチアゾール基、オキサゾール基、ベンゾオキサゾール基、イソオキサゾール基、イミダゾール基、イミダゾリン基、イミダゾリジン基、ベンゾイミダゾール基、ピラゾール基、トリアジン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピリダジン基、ピラジン基、インドール基、キノリン基、イソキノリン基、ブリン基、テトラゾール基、テトラジン基、トリアゾール基、カルバゾール基、アクリジン基、キノキサリン基、キナゾリン基、インドリジン基、イソインドール基、3H-インドール基、2H-ピロール基、1H-インダゾール基、プリン基、フタラジン基、ナフチリジン基、シンノリン基、プテリジン基、カルボリン基、フェナントリジン基、ペリミジン基、フェナントロリン基、フェナジン基、フェナルサジン基、フェノチアジン基、フラザン基、フェノキサジン基、ピロリジン基、ピロリン基、ピラゾリン基、ピラゾリジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、インドリン基、イソインドリン基、キヌクリジン基およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の基またはその誘導体であることを特徴とする請求項1に記載のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質。
  3. 前記成分(B-a)を表す式(X)中のR22で表される基が、イミダゾール基、イミダゾリン基、ピリジン基、ピロール基、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、トリアジン基、トリアゾール基からなる群から選ばれた少なくとも1種の基を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質。
  4. 前記成分(B-b)を表す式(Y)中の、R30およびR31で表される基が、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、n−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基からなる炭化水素基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質。
  5. 前記成分(B-c)が、チタンアルコキシドを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のダイレクトメタノール用高分子電解質。
  6. 前記成分(A)が、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基およびフェノール性水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の基を有するプロトン伝導性重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質。
  7. 前記成分(A)が、パーフルオロスルホン酸系重合体、カルボキシル基およびスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系重合体、およびスルホン酸又はアルキルスルホン酸基を有するポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルフィド、ポリホスファゼン、ポリアリーレン、ポリフェニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリスルホネート、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリチアゾール、ポリフェニルキノキサリン、ポリキノリン、ポリシロキサン、ポリトリアジンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質。
  8. 前記成分(A)が、下記一般式(I)で表される構造単位を含むポリアリーレン系共重合体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質。
    Figure 0005347287
    (式中、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基を有する芳香族基を示す。pは1〜12の整数を示し、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。)
  9. 前記成分(A)が、下記一般式(II)で表される構造単位を含むポリアリーレン系共重合体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質。
    Figure 0005347287
    (式中、A、Dは独立に直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−CR'2−(R'は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。s、tは0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。
  10. イオン交換容量が、0.1〜5meq/gであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質。
  11. 以下の工程を含むダイレクトメタノール型燃料電池用高分子電解質膜の製造方法;
    下記(B-a)〜(B-c)成分を加水分解縮合して加水分解縮合物を得る工程、
    (B-a)下記式(X)で表される化合物、
    (B-b)前記(B-a)成分以外の化合物であって、下記式(Y)で表される化合物、および
    (B-c)Al、Ti又はZrのアルコキシド
    Si(OR20E(R21)F(R22)G …(X)
    (式(X)中、Eは2〜3、Fは0〜1、Gは1〜2であり、E+F+G=4である。R20、R21は、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。R22は、含窒素複素環構造又は置換されていてもよいアミノ基を有する、ハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。)
    Si(OR30)e(R31)f …(Y)
    (式(Y)中、eは2〜4、fは0〜2であり、e+f=4である。R30およびR31は、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。)
    該加水分解縮合物中の溶媒を濃縮し溶媒組成を変更する工程、
    得られた加水分解縮合物と前記(A)プロトン伝導性重合体とを溶媒に溶解した混合液を、基材上に塗布して塗膜を形成する工程、および該塗膜中に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去して高分子電解質膜を形成する工程。
  12. 下記成分(B-a)〜(B-c)を加水分解縮合して得られる反応物が、(A)プロトン伝導性重合体中に相溶あるいは分散されてなる高分子電解質膜:
    (B-a)下記式(X)で表される化合物
    (B-b)前記(B-a)成分以外の化合物であり、下記式(Y)で表される化合物、および
    (B-c)Al、Ti又はZrのアルコキシド。
    Si(OR20E(R21)F(R22)G・・・(X)
    (式(X)中、Eは2〜3、Fは0〜1、Gは1〜2であり、E+F+G=4である。R20、R21は、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。R22は、含窒素複素環構造有する、ハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。)
    Si(OR30)e(R31)f・・・(Y)
    (式(Y)中、eは2〜4、fは0〜2であり、e+f=4である。R30およびR31は、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はハロゲン化されていてもよい炭化水素基である。)
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