JP3084723B2 - 高分子固体電解質およびその製造方法およびそれからなるコーティング膜 - Google Patents

高分子固体電解質およびその製造方法およびそれからなるコーティング膜

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JP3084723B2 JP02092529A JP9252990A JP3084723B2 JP 3084723 B2 JP3084723 B2 JP 3084723B2 JP 02092529 A JP02092529 A JP 02092529A JP 9252990 A JP9252990 A JP 9252990A JP 3084723 B2 JP3084723 B2 JP 3084723B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、高分子固体電解質およびその製造方法およ
びそれからなるコーティング膜に関する。さらには、そ
の高分子固体電解質からなるコーティング膜に関し、特
に、各種基材表面の帯電防止性、表面硬度、耐摩耗性等
の向上に好ましく用いられる。
[従来の技術] 各種基材の保護、外観品質向上、表面機能付与に関
し、各種のコーティング膜を基材上に形成することによ
り、各性能を向上する方法がこれまで広く行われており
その材料、コーティング方法に関して種々の提案があ
る。
特に、基材またはコーティング膜が静電気を帯電し、
埃が付着する、低湿度時における人体接触時の不快な電
気火花、帯電による計器類や電子機器などの故障等、不
都合を生じることを防ぐための、帯電防止コーティング
膜や、帯電防止処理方法に関しても、これまで種々の提
案がなされている。しかしながら、これまでの方法で
は、帯電防止性能が不十分であったり、逆に表面硬度や
耐水性が悪化したり、処理方法に手間がかかったり数々
の問題を抱えていた。
一方、高分子固体電解質は、固体状態でイオンを伝導
することのできる物質として、最近非常に注目されてい
る。この高分子固体電解質としては、通常、ドナー基を
有する高分子物質と電解質とからなる組成物が、イオン
伝導度が大きいという点で良好である。イオン伝導度が
大きいということは、特にコーティング膜として観た場
合には、帯電防止性能が優れているということであり、
好ましいことである。
しかしながら、従来の高分子固体電解質は、種々の用
途、特に、コーティング膜として用いようとした場合、
ガラス転移温度が低いため、コーティングし硬化させた
後でも、その表面硬度、耐摩耗性は非常に悪いものであ
り、コーティング膜としてはこれまで利用できなかっ
た。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、かかる従来技術の欠点を解消しよう
とするものであり、優れた帯電防止性能を備えた高分子
固体電解質およびその製造方法を提供することを目的と
する。
さらにもう1つ目的は、各種基材に形成可能であり、
特に、高分子固体電解質をその構成要素とするために帯
電防止性に優れ、かつ基材の表面硬度、耐融剤性、耐摩
耗性等の表面性能を向上させるコーティング膜を提供す
ることにある。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記目的を達成するために下記の構成を有
する。
(1) 下記構造式(A)で示される有機ケイ素化合物
の加水分解物を硬化させることによって得られるポリオ
ルガノシロキサンと電解質とを少なくとも含有してなる
ことを特徴とする高分子固体電解質。
R1SiX3 (A) (式中、R1は、エーテル結合(C−O−C)を少なくと
も一つ有し、かつ炭素数が3〜40であり、さらに、Si−
C結合にてケイ素に結合している有機基である。Xは、
加水分解性基である。) (2) 下記構造式(A)で示される有機ケイ素化合物
の加水分解物と、電解質とを少なくとも含有してなる組
成物を硬化することを特徴とする高分子固体電解質の製
造方法。
R1SiX3 (A) (式中、R1は、エーテル結合(C−O−C)を少なくと
も一つ有し、かつ炭素数が3〜40であり、さらに、Si−
C結合にてケイ素に結合している有機基である。Xは、
加水分解性基である。) (3) 請求項(1)記載の高分子固体電解質からなる
ことを特徴とするコーティング膜。
本発明では、高分子固体電解質の高分子物質として、
ドナー基としてエーテル結合を有する有機基を含有する
上記構造式(A)で示される有機ケイ素化合物を用いる
ために、高分子固体電解質としての高いイオン伝導性
と、良好な帯電防止性能を有し、さらに表面硬度、耐摩
耗性などの表面特性が良好である高分子固体電解質を得
ることができる。
前記一般式(A)においてR1は、エーテル結合(C−
O−C)を少なくとも一つ有し、かつ炭素数が3〜40で
あり、さらに、Si−C結合にてケイ素に結合している有
機基である。ここでいうところの、エーテル結合とは、
酸素原子が一重結合で2つの炭素原子と結合した構造で
あり、すなわち、Rは(C−O−C)を一単位として、
少なくとも一つ有することが必要である。
R1としては、上記要件を満たしているものであれば、
特に限定されるものではなく、具体例としては下記一般
式で表される構造を有するものが挙げられる。
R(O(CH2L1L2 (A−1) 以上の式(A−1)〜(A−3)で表される有機基中
のL1,L2,mおよび(p+q)は、それぞれ1以上の整数
であり、かつR1中に含まれる炭素数が3〜40の条件を満
足するように整数が選択される。一方、前記各式中のR
としては炭素数1〜3のアルキル基、炭素数3〜8のエ
ポキシ基、ハロゲン基、(メタ)アクリロイル基、メル
カプト基などの置換基を有する有機基が好ましい。かか
る有機基の中でも、特に硬化反応後においても、エーテ
ル結合が生成可能であるという観点から、エポキシ基を
有する置換基が特に好ましい。また、L1,L2,m,(p+
q)としては、特に表面硬度向上を重要視する用途にお
いては1または2が好ましい。
さらに、一般式(A)中に含まれる加水分解性基であ
るXとは、加水分解可能で、加水分解によってシラノー
ル基を生成し得るものであれば、特に限定されるもので
はない。具体的なXの例としてはメトキシ基、エトキシ
基などのアルコキシ基、メトキシエトキシ基などのアル
コキシアルコキシ基、アセトキシ基などのアシル基、ク
ロロ基、ブロモ基などのハロゲン基などが挙げられる。
特に、炭素原子を含む加水分解性基の場合には、加水分
解後に生成する生成物の沸点との関係から、炭素数が1
〜8のものが好ましく使用される。
以上のような一般式(A)で示される化合物として、
特に好ましい例であるところのR1中にエポキシ基を含む
ものとしては、グリシドキシメチルトリメトキシシラ
ン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリ
シドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシ
エチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルト
リメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキ
シシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリ
シドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
エトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノ
キシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラ
ン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−
グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシド
キシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエ
トキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシ
ラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシランなど
が挙げられる。
これらの中でγ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシエトキシシランなどの
エポキシ基含有有機ケイ素化合物が本発明にとくに有効
である。
また、本発明の加水分解物には一般式(A)以外の有
機化合物として一般式(A′)の加水分解物を含有させ
ることができる。
R1R2SiX2 (A′) (式中、R1、Xは一般式(A)での説明と同じ、R2は、
炭素数が1〜8のアルキル基、アルケニル基、アリール
基およびアラルキル基から選ばれる置換基である。) 一般式(A′)に含まれる置換基であるR2は、前述の
とおり炭素数が1〜8の,アルキル基、アルケニル基、
アリール基およびアラルキル基から選ばれる置換基であ
るが、さらに具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基
などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、ビニ
ル基、アリル基などのアルケニル基、ベンジル基、フェ
ネチル基などのアラルキル基などが挙げられる。かかる
置換基中にはハロゲン、アミノ基、メルカプト基、メタ
クリルオキシ基、シアノ基などの置換基が含まれていて
も何ら問題ない。
その様な化合物としては、グリシドキシメチルメチル
ジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキ
シシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシ
ラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラ
ン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、
β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−
グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グ
リシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリ
シドキシプロピルメチルメトキシシラン、β−グリシド
キシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルメチルジメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルフェニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルジメチルモノメトキシシラン、γ−グリシルキシプロ
ピルジメチルモノエトキシシランが例示される。
本発明に用いられるこれらの有機ケイ素化合物はキュ
ア温度を下げ、硬化をより進行させるために加水分解し
て使用されるが、加水分解は純水または炭酸、酢酸ある
いは硫酸などの酸性水溶液を添加、撹拌することによっ
て製造される。さらに純水、あるいは酸性水溶液の添加
量を調節することによって加水分解の度合をコントロー
ルすることも容易に可能である。加水分解に際しては、
アルコキシ基と等モル以上、3倍モル以下の純水または
酸性水溶液の添加が硬化促進の点で好ましい。加水分解
に際しては、アルコール等が生成してくるので無溶媒で
加水分解することが可能であるが、加水分解をさらに均
一に行なう目的で有機ケイ素化合物と溶媒を混合した
後、加水分解を行うことも可能である。また目的に応じ
て加水分解後のアルコール等を加熱および/または減圧
下にて適当量除去して使用することも可能であるし、そ
の後に適当な溶媒を添加することも可能である。これら
の溶媒としてはアルコール、エステル、エーテル、ケト
ン、ハロゲン化炭化水素あるいはトルエン、キシレンな
どの芳香族炭化水素などの溶媒が挙げられる。またこれ
らの溶媒は必要に応じて2種以上の混合溶媒として使用
することも可能である。
後述のように、高分子固体電解質の製造方法として、
少なくとも構造式(A)で示される有機ケイ素化合物の
加水分解物を含む組成物中に電解質を添加する場合は、
アルコール、エステル、ケトン、ハロゲン化炭化水素等
の極性溶媒を用いることが好ましい。
また、目的に応じて加水分解反応を促進し、さらに予
備縮合等の反応を進めるために室温以上に加熱すること
も可能であるし、予備縮合を抑えるために加水分解温度
を室温以下に下げて行うことも可能であることは言うま
でもない。
また同様の目的で硬化触媒、硬化促進剤、架橋剤等の
添加も可能であり、これらの例としてはアルミニウムア
ルコキシド、アルミニウムアセチルアセトネートなどの
アルミニウム化合物、その他の金属錯化物、イミダゾー
ル、有機酸無水物、各種アミン化合物などのエポキシ樹
脂硬化剤などが使用可能である。
本発明のもう一つの必須成分であるところの電解質と
しては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属な
どの過塩素酸塩、チオシアン塩、トリフルオロメチル硫
酸塩、ハロゲン化塩等、通常の高分子固体電解質におい
て用いられる電解質でよく、特に限定されるものではな
い。具体例としては、LiClO4,LiC,LiBr,LiI,LiCF3SO3,L
iSCN,NaClO4,NaCl,NaBr,NaI,NaCF3SO3,NaSCN,KClO4,KC
l,KBr,KI,KCF3SO3,KSCN等がある。
また、高分子固体電解質の製造方法としては、前記構
造式(A)で示される有機ケイ素化合物の加水分解物と
電解質とを少なくとも含んだ組成物を硬化させる方法、
あるいは構造式(A)で示される有機ケイ素化合物を少
なくとも含む組成物を硬化させた後に、電解質を含んだ
溶媒に含浸せしめることによって電解質を含有せしめる
方法などがあるが、前者の方法が簡単であり好ましい方
法である。この場合、有機ケイ素化合物、電解質の添加
は、組成物調整時のいかなる時点であっても構わない。
上記電解質の固体電解質中での含有量としては、電解
質の金属イオンの数(nM)と、有機ケイ素化合物中のエ
ーテル結合の数(nO)の比(nM/nO)で表すと、nM/nO
0.001以上、1以下となる量で含有されていることが好
ましく、さらには、nM/nOが0.01以上、0.5以下であるこ
とが、良好なイオン伝導性が得られ、帯電防止性が特に
向上する点で好ましい。電解質の添加量が上記nM/nO
0.001未満であると、イオン電導度が低くなり、帯電防
止性能が不充分である傾向があり、また1を越えると、
添加した電解質が硬化後に高分子電解質中に存在できず
に析出してきたり、帯電防止性能以外の他の表面性能が
悪くなったりする傾向にある。
なお、金属イオンの数(nM)とエーテル結合の数
(nO)は、高分子固体電解質を製造する際に添加する、
電解質量、有機ケイ素化合物および場合によっては後述
のポリエーテル化合物から例えば次のような方法によっ
て求めることができる。金属イオンの数nMは、得られた
高分子固体電解質を、アルコール、エステル、ケトン、
ハロゲン化炭化水素等の極性溶媒に浸漬することによ
り、添加された電解質成分を抽出し、この抽出液中の陽
イオンを各種無機分析法で定量することにより求めるこ
とができる。各種無機分析法としては、誘導結合発光分
光分析法(ICP法)、蛍光X線分析法、原子吸光分析
法、ICP質量分析法、イオンクロマトグラフ法等があ
る。
一方、高分子固体電解質中のエーテル結合の数(nO
は、エーテル酸素の数に対応するものであり、硬化前の
塗料組成物の状態において、プロトンNMR測定から、酸
素原子に隣接した炭素原子に結合する水素原子のスペク
トルを積分することにより求めることができる。
また、上記組成物の硬化は、主に加熱処理によってな
され、熱風、赤外線などで行うことができる。加熱温度
は、組成物によって決定されるべきであるが、通常は50
℃〜250℃、より好ましく60℃〜200℃が使用される。
本発明の高分子固体電解質においては、構造式(A)
で示される有機ケイ素化合物とともに、イオン伝導性を
さらに向上させる意味から、分子内に少なくとも1つの
エーテル結合を有するポリエーテル化合物を添加するこ
とも好ましい。このようなポリエーテル化合物の具体例
としては、下記一般式で表わされる構造を分子内に少な
くとも1つ有する化合物が挙げられる。
以上の式(B−1)〜(B−3)で表される有機基中
のL1,L2,mおよび(p+q)は、それぞれ1以上、40以
下の整数である。さらに、その分子内に前記(B−1)
〜(B−3)の式で表わされる構造を有するとともに、
構造式(A)または(A′)で示される有機ケイ素化合
物および(A)および(A′)式以外の後述の種々の有
機ケイ素化合物の官能基と反応可能であるビニル基、
(メタ)アクリル基、エポキシ基、イソシアネート基、
ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、シアノ
基、アミノ基、ハロゲン基等の官能基を分子内に少なく
とも1つ有するポリエーテル化合物が好ましく用いら
れ、かかる(A)、(A′)式,およびそれら以外の有
機ケイ素化合物と共重合させて用いることも好ましい。
以上のポリエーテル化合物の中でも、硬化反応後におい
てもエーテル結合が生成可能であるという観点から、エ
ポキシ基を有するポリエーテル化合物を添加することが
特に好ましく、具体例として、ポリエチレングリコール
(モノ/ジ)グリシジルエーテル、ポリプロピレングリ
コール(モノ/ジ)グリシジルエーテル、ポリテトラメ
チレングリコール(モノ/ジ)グリシジルエーテルなど
のポリアルキレングリコールの末端エポキシ基含有の化
合物、グリセロール(モノ/ジ/トリ)グリシジルエー
テル、ジグリセロール(モノ/ジ/トリ/テトラ/ペン
タ/ヘキサ)グリシジルエーテル、トリグリセロール
(モノ/ジ/トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ/ヘプタ/
オクタ/ノナ)グリシジルエーテル等のグリセリン誘導
体の末端エポキシ基含有の化合物、また、ソルビトー
ル、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、
トリメチロールプロパン等の末端グリシジルエーテル誘
導体等が挙げられる。
さらに、以上のビニル基、(メタ)アクリル基、エポ
キシ基等の官能基を複数個有するポリエーテル化合物
は、表面特性を損なうことなくイオン伝導性を向上させ
る点で特に好ましい添加物質である。
さらに、本発明の高分子固体電解質を形成する組成物
中には、一般式(A)および(A′)で示される以外の
種々の有機ケイ素化合物が含まれていてもよく、また、
上述のポリエーテル化合物を含めて重合可能な官能基を
有する化合物が含まれ、共重合していてもよい。かかる
有機ケイ素化合物としては、メチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシ
シラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルト
リアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチ
ルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエト
キシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルト
リエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ
−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセ
トキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ア
ミノプロピルトリメトキシエトキシシラン、γ−メルカ
プトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロ
ピルトリメトキシエトシラン、γ−メルカプトプロピル
トリエトキシエトキシシラン、N−β−(アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シ
アノエチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシ
シラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチ
ルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン、ト
リアシルオキシシランまたはトリフェノキシシラン類ま
たはその加水分解物およびジメチルジメトキシシラン、
フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシ
シラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロ
プロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピル
メチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキ
シシラン、メチルビニルジエトキシシランなどのジアル
コキシシランまたはジアシルオキシシラン類などがその
例として挙げられる。
また、重合性官能基を有する化合物としては、ビニル
化合物、(メタ)アクリル化合物、イソシアヌレート化
合物、エポキシ化合物等がある。
さらに、本発明の高分子固体電解質中には、上記化合
物以外にも、種々の物質を添加することも可能である。
例えば、表面硬度を上げたり、屈折率を変化させたりす
る目的に応じて、金属あるいは金属酸化物の微粒子を含
有することも好ましい実施態様の一つである。このよう
な微粒子としては、SiO2ゾル、Sb2O5ゾル、CeO2−TiO2
ゾル、TiO2−Snゾル、MgF2ゾルなどがある。また、他の
表面性能を向上させるために紫外線吸収剤、酸化防止剤
の他、界面活性剤などを添加することも好ましい。
本発明の高分子固体電解質は、特に、種々の基材表面
上に塗布されたコーティング膜として好ましく用いら
れ、基材の表面硬度、耐溶剤性、耐摩耗性などの表面性
能を向上させることができる。コーティング膜として用
いる場合、その基材としては、特に限定されるものでは
ないが、液状コーティングの観点から、ガラス、プラス
チック材料がとくに有効な結果を与える。上記のプラス
チック材料としてはポリメチルメタクリレートおよびそ
の共重合体、ポリカーボネート、ジエチレングリコール
ビスアリルカーボネート(“CR−39")、ポリエステル
とくにポリエチレンテレフタレート、および不飽和ポリ
エステル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩化
ビニル、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが好ましい。
さらに種々の被覆材料で被覆された上記のプラスチッ
ク、ガラスなどの基材にも好ましく適用できる。
さらに、上述の基材、及びさらに被覆材料で被覆され
た基材に対して、コーティング膜との密着性、濡れ性を
向上させる意味で、各種の化学及び物理的処理を施すこ
ともできる。例えば、化学的処理として熱水浸漬、溶媒
浸漬、酸化還元処理、酸またはアルカリ処理などがあ
り、物理的処理としては、プラズマ処理、コロナ放電処
理、紫外線照射などが好ましい例である。
コーティング膜の塗布方法としては、通常の塗布作業
で用いられる方法が可能であり、例えば、浸漬法、スピ
ン法、ロール法、スプレー法などがあるが、特に限定さ
れるものではない。
また、コーティング膜の厚みは、必要とされる帯電防
止性能と他の表面性能に応じて設定されるべきものであ
り、特に限定されるものでないが、0.01μm〜10μmが
好ましい。
上記、塗布方法、膜厚に応じて、コーティング膜を与
える塗料を各種揮発性溶媒で希釈することも可能であ
る。このような溶媒としては、特に限定されないが、使
用にあたっては組成物の安定性、基材に対する濡れ性、
揮発性などを考慮して決められるべきである。また溶媒
は、1種のみならず2種以上の混合物として用いること
も可能である。本発明の子固体電解質は、コーティング
膜以外にも、一次および二次電池、エレクトロクロミッ
ク表示素子、ガスセンサー、イオンセンサーなど一般に
高分子固体電解質が用いられる種々の用途に使用可能で
ある。
[実施例] 以下実施例により本発明の内容を説明するが、本発明
はこれに限定されるものではない。
実施例1 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン加水分解
物の調整 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン176gを
撹拌下で液温を10℃にコントロールしながら0.05規定塩
酸水溶液40.3gを滴下混合して、加水分解物を得た。
コーティング組成物の調整 前項で調整した加水分解物を51.8g、エタノールを18.
3g、n−プロパノール18.3g、アルミニウムアセチルア
セトネート1.5g、シリコーン系界面活性剤(トーレ・ダ
ウコーニング・シリコーン社製“SRX−294A")0.15gを
添加し、均一になるまで撹拌した。その後、撹拌下で過
塩素酸リチウム3.15g(金属イオンとエーテル結合の比n
M/nO 0.08)を添加してコーティグ組成物を得た。
塗布及びキュア 基材のプラスチック板としてジエチレングリコールビ
スアリルカーボネート(“CR−39")の板を用い、前処
理として水酸化ナトリウム水溶液に浸漬後洗浄化し乾燥
した。この板に、前項で調整したコーテイング組成物を
用いて浸漬法で塗布した。塗布条件は引き上げ速度20cm
/分であり、塗布した板は93℃の熱風乾燥機で2時間加
熱キュアした。
試験結果 得られたコーテイング膜を有するプラスチック板の性
能は、下記の方法に従って試験を行った。結果は第1表
に示す。
(イ)外観 肉眼にてその透明性、着色性、クラックの有無を観察
した。
(ロ)硬 度 #0000のスチールウールを用いコーティング膜上を擦
り、傷つけ具合いを判定した。
判定基準は、 A:強く擦ってもほとんど傷が生じない B:強く擦ると僅かに傷が発生する (ハ)密着性 コーテイング膜上に1mm間隔のプラスチック板に達す
るゴバン目を100個入れて、セロハン粘着テープ(商品
名“セロハンテープ”にちばん社製)を強く貼付け、90
度方向に急速に剥し、塗膜剥離の有無をしらべた。
(ニ)帯電防止性 20℃65%RHの条件下に1晩放置後、コーテイング膜上
を鹿皮で擦り、灰の付着具合で判定した。
A:灰が付着しない B:灰が付着する 実施例2 過塩素酸リチウムの添加量を6.3g(金属イオンとエー
テル結合の比nM/nO=0.16)にした以外は、実施例1と
同様にしてコーティング膜を有するプラスチック板を得
た。また、実施例1と同様にしてその性能を評価し、結
果を第1表に示した。
比較例1 過塩素酸リチウムを添加しなかった以外は、実施例1
と同様にして、コーティング膜を有するプラスチック板
を得た。また、実施例1と同様にしてその性能を評価
し、結果を第1表に示した。
[発明の効果] 本発明によって、帯電防止性に優れた高分子固体電解
質およびその製造方法を提供することができる。
また、コーティング膜として種々の基材に形成可能で
あり、表面硬度、耐溶剤性、耐摩耗性等の表面性能を向
上させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01B 1/06 H01B 1/06 A (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08K 3/00 C08K 5/41 C09D 5/00 C09D 5/24 C08L 83/06 Fタームテーマコード4J0029

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記構造式(A)で示される有機ケイ素化
    合物の加水分解物を硬化させることによって得られるポ
    リオルガノシロキサンと電解質とを少なくとも含有して
    なることを特徴とする高分子固体電解質。 R1SiX3 (A) (式中、R1は、エーテル結合(C−O−C)を少なくと
    も一つ有し、かつ炭素数が3〜40であり、さらに、Si−
    C結合にてケイ素に結合している有機基である。Xは、
    加水分解性基である。)
  2. 【請求項2】下記構造式(A)で示される有機ケイ素化
    合物の加水分解物と、電解質とを少なくとも含有してな
    る組成物を硬化することを特徴とする高分子固体電解質
    の製造方法。 R1SiX3 (A) (式中、R1は、エーテル結合(C−O−C)を少なくと
    も一つ有し、かつ炭素数が3〜40であり、さらに、Si−
    C結合にてケイ素に結合している有機基である。Xは、
    加水分解性基である。)
  3. 【請求項3】請求項(1)記載の高分子固体電解質から
    なることを特徴とするコーティング膜。
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