JP3240685B2 - 反射防止性を有する物品 - Google Patents

反射防止性を有する物品

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JP3240685B2
JP3240685B2 JP15344792A JP15344792A JP3240685B2 JP 3240685 B2 JP3240685 B2 JP 3240685B2 JP 15344792 A JP15344792 A JP 15344792A JP 15344792 A JP15344792 A JP 15344792A JP 3240685 B2 JP3240685 B2 JP 3240685B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は反射防止性を有する物品
に関するものであり、帯電防止性、耐摩耗性、透明性な
どに優れる。特に、鮮明な画像を与えることが重要とさ
れる各種画像表示装置の前面板あるいは入力用装置部品
などとして好適に使用される。
【0002】
【従来の技術】種々の透明基板において、帯電防止性を
付与するために、金、銀、アルミニウム等の金属薄膜、
さらには酸化スズ、アンチモンドープの酸化スズ膜、あ
るいは酸化スズドープの酸化インジウム薄膜(ITO
膜)などが最も良く知られている。
【0003】しかしながら通常スパッタリング、熱CV
D、真空蒸着等の方法で行われる為、非常に生産性が悪
く、コスト的にも高価であるという問題があった。また
性能的にも薄膜であることからキズや磨耗が生じ易いと
言う欠点があった。そのた・、本発明者らは特開昭63
−193971号公報、昭63−228527号公報、
特開平3−287663号公報等で導電性、帯電防止
性、表面硬度、耐摩耗性に優れたコーティング膜を提案
している。
【0004】一方、反射防止を透明基板に付与する技術
においては、従来、屈折率が基材と異なる物質を、真空
着蒸法などにより、基材上に単層あるいは複層形成させ
る方法が行われ、例えば、光学技術コンタクトVo19
8,17〜23(1971)などに記載されている。
【0005】しかしながら、この蒸着法により形成され
た反射防止膜は用途によっては次のような問題点があ
る。
【0006】(1)高度の真空度を要するために処理す
べき基材の大きさ、材料に制限を生ずる。又製造時間が
長くなり、生産性、経済性が低下する。
【0007】(2)通常かなりの加熱を要し、基材によ
っては変形・分解などの問題を生ずる。
【0008】(3)使用される被膜形成材料は主として
無機化合物であり、緻密な膜を構成する反面、プラスチ
ック基材の場合には線膨脹係数の差による耐熱性、付着
性の低下を生じ易い。
【0009】そのため発明者らは特公昭62−1618
3号公報、特公昭62−58634号公報、特開昭63
−21601号公報等において、コーティング法による
反射防止性被膜を設ける技術を提案している。
【0010】さらに、帯電防止性および反射防止性の両
機能を有する材料が、特開平2−75137号公報、特
公平4−14761号公報に示されているが、これらに
おいては、インジウム錫酸化物等の導電薄膜やフッ化マ
グネシウム等の低屈折率膜を蒸着法やスパッタリング法
で設けるため、大きい面積の基板には適用ができず、ま
た、プラスチック基板において用いる場合には、高温処
理ができないため、表面硬度、接着性、耐水性など問題
点を有していた。さらに、生産性が低いため高価である
などの問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明はしかる問題点
を解決することを目的とするものであり、帯電防止性、
反射防止性、耐摩耗性、透明性に優れた物品を提供する
ことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために下記の構成を有する。
【0013】「透明基板上の少なくともその一部に、透
明性を有する電導性塗膜と、下記Aの塗膜とをこの順序
で有し、電導性塗膜とAの塗膜との間に、チタン、アル
ミニウムおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも一
種の金属の酸化物を20重量%以上含有する液状組成物
から得られる透明塗膜が介在することを特徴とする反射
防止性を有する物品。
【0014】A.一般式(1)または(2)で表わされ
る有機ポリシロキサン系化合物およびその加水分解物か
ら選ばれる少なくとも1種の化合物を20重量%以上含
有する液状組成物から得られる透明塗膜。
【0015】 R1 a 2 b Si(OR)4-a-b (1) (ここで、R1 ,R2 は各々アルキル基、アルケニル
基、アリル基、およびハロゲン基、エポキシ基、グリシ
ドキシ基、アミノ基、メルカプト基、メタクリルオキシ
基およびシアノ基から選ばれる置換基を有する炭化水素
基から選ばれる置換基であり、Rは炭素数1〜8のアル
キル基、アルコキシアルキル基およびアシル基から選ば
れる置換基である。aおよびbは、0または1であ
る。) (R3 Q)SiXc 3-c (2) (ここで、R3 は炭素数1〜20のフッ素含有アルキル
基であってエーテル結合あるいはエステル結合を1個以
上含んでいてもよい。Qは二価の有機基、Xは炭素数1
〜5のアルキル基、Yはハロゲン、アルコキシ基および
4 C00基(R4 は水素原子又は炭素数1〜5のア
ルキル基)から選ばれる置換基、Cは0または1であ
る。」 本発明に用いられる透明基板としては、透明であれば特
に限定されるものではなく、ガラス基材、各種の透明プ
ラスチック基材などが用いられ、例えばポリメチルメタ
クリレートおよびその共重合体、ポリカーボネート、ジ
エチレングリコールビスアリルカーボネート(“CR−
39”)、ポリエステルとくにポリエチレンテレフタレ
ート、ポリ1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレー
ト等の共重合体ポリエステル類および不飽和ポリエステ
ル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩化ビニ
ル、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが好ましく用いら
れる。さらに種々の被覆材料で被覆された上記のプラス
チック、ガラスなどの基材にも好ましく適用できる。
【0016】さらに、これらの基材およびさらに被覆材
料で被覆された基材に対して、コーティング膜との密着
性、漏れ性を向上させる意味で、各種の化学および物理
的処理を施することもできる。例えば、化学的処理とし
て熱水浸漬、溶媒浸漬、酸化還元処理、酸またはアルカ
リ処理などがあり、物理的処理としては、プラズマ処
理、コロナ放電処理、紫外線照射などが好ましい例であ
る。
【0017】次いで、電導性塗膜の塗布方法としては、
通常の塗布作業で用いられる方法が可能であり、例え
ば、浸漬法、スピン法、ロール法、スプレー法などがあ
るが、特に限定されるものではない。
【0018】また、電導性塗膜の厚みは、必要とされる
帯電防止性能と他の表面性能に応じて設定されるべきも
のであり、特に限定されるものでないが、0.01μm
〜10μmが好ましい。
【0019】上記、塗布方法、膜厚に応じて、電導性塗
膜を与える塗料を各種揮発性溶媒で希釈することも可能
である。このような溶媒としては、特に限定されない
が、使用にあたっては組成物の安定性、基材に対する漏
れ性、揮発性などを考慮して決められるべきである。ま
た溶媒は、1種のみならず2種以上の混合物として用い
ることも可能である。
【0020】本発明における電導性塗膜はイオン電導
体、あるいは電子伝導体を各種ビヒクル中に含有させて
被膜化されたものであるが、ビヒクルとしては、耐摩耗
性の観点から、熱硬化性、光重合性、活性光線などによ
り重合されて硬化被膜となる成分が好ましく用いられ
る。
【0021】熱硬化性の好ましいビヒクルとしては、特
に限定されるものではないが、前記一般式(1)、R1
a 2 b Si(OR)4-a-b で表わされる有機ポリシロ
キサン系化合物および/またはその加水分解物が好まし
く用いられる。その具体的な代表例としては、メチルシ
リケート、エチルシリケート、n−プロピルシリケー
ト、i−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、
sec−ブチルシリケートおよびt−ブチルシルケート
などのテトラアルコキシシラン類、およびその加水分解
物さらにはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチ
ルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキ
シエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェ
ニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロ
ロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルト
リアセトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピル
トリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シ
アノエチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシ
シラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチ
ルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキ
シシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α
−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシ
ドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエ
チルトリエトキシシラン、α−グリキシドキシプロピル
トリメトキシシラン、α−グリシドキシブロピルトリエ
トキシシラン、β−グリキドキシプロピルトリメトキシ
シラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルトリフェノキシシラン、α−グリシドキシブチ
ルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエ
トキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシ
ラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ
−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシ
ドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブ
チルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリ
エトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)
メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロ
ヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエ
トキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポ
キシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリフェノキシシラン、γ−(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、
δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメ
トキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)ブチルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシ
ラン、トリアシルオキシシラン、またはトリフェノキシ
シラン類またはその加水分解物およびジメチルジメトキ
シシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチル
ジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、
γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロ
ロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセト
キシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジ
エトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシ
シラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビ
ニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラ
ン、グリキドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリ
キドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシド
キシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシ
エチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチ
ルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメ
チルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチ
ルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチル
ジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジ
メトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェ
ノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジプロポキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシ
シランなどのジアルコキシシランまたはジアシルオキシ
シラン類またはその加水分解物がその例である。
【0022】これらの有機ケイ素化合物は1種又は2種
以上併用することも可能である。
【0023】これらの有機ケイ素化合物はキュア温度を
下げ、硬化をより進行させるためには加水分解して使用
することが好ましい。
【0024】加水分解は純水または塩酸、酢酸あるいは
硫酸などの酸性水溶液を添加、攪拌することによって製
造される。さらに純水、あるいは酸性水溶液の添加量を
調節することによって加水分解の度合をコントロールす
ることも容易に可能である。加水分解に際しては、一般
式(1)の加水分解性基と等モル以上、3倍モル以下の
純水または酸性水溶液の添加が硬化促進の点で特に好ま
しい。
【0025】加水分解に際しては、アルコール等が生成
してくるので、無溶媒で加水分解することが可能である
が、加水分解をさらに均一に行なう目的で有機ケイ素化
合物と溶媒を混合した後、加水分解を行なうことも可能
である。また目的に応じて加水分解後のアルコール等を
加熱および/または減圧下に適当量除去して使用するこ
とも可能であるし、その後に適当な溶媒を添加すること
も可能である。これらの溶媒としては、アルコール、エ
ステル、エーテル、ケトン、ハロゲン化炭化水素あるい
はトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などの溶媒
が挙げられる。またこれらの溶媒は必要に応じて2種以
上の混合溶媒として使用することも可能である。また、
目的に応じて加水分解反応を促進し、さらに予備縮合等
の反応を進めるために室温以上に加熱することも可能で
あるし、予備縮合を抑えるために加水分解温度を室温以
下に下げて行うことも可能であることは言うまでもな
い。かかる有機ケイ素化合物および/またはその加水分
解の硬化は通常、加熱によって行なわれるものである
が、加熱時間の短縮、低温硬化を目的に各種の硬化触媒
が好ましく添加される。硬化触媒としてはカルボン酸の
アルカリ金属塩やアルミニウム、チタン、ジルコニウム
などのアルコキシドあるいはキレート化合物が挙げられ
る。
【0026】とくに、アセチルアセトンアルミニウム塩
に代表されるアルミニウムキレート化合物は組成物の安
定性、透明性さらには着色がないなどの点から好ましく
用いられる。
【0027】また前記一般式(1)で示される有機ポリ
シロキサン系化合物の中でもとくに基材との接着性、表
面硬度向上、耐熱性、耐候性などの点からR1 、R2
しては炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアル
ケニル基、あるいはフェニル基、さらにはエポキシ基、
グリシドキシ基を有する有機基が好ましい。
【0028】かかる前記ビヒクル中には、さらに、無機
ガラス、ITO膜または酸化スズ膜を表面に有する無機
ガラスなどの無機系基材への接着性向上などの点から誘
電体コロイド状無機酸化物を添加することが好ましい。
ここで誘電体コロイド状無機酸化物の具体例としてはS
i、Ti、Al、Zr、Sb、W、Taなどの金属酸化
物が挙げられ、とくに透明性付与の点から平均粒子径が
1nm〜200nmであるものが好ましく使用される。中で
も誘電性を向上させる目的にはSbなどのVa族金属酸
化物が特に好ましい。
【0029】さらには、ビヒクル中に、電導性塗膜の伝
導性をより向上させる意味から分子内に少なくとも1つ
のエーテル結合を有するポリエーテル化合物を添加する
ことも好ましい。中でも種々の有機化合物の官能基と反
応可能である置換基として、ビニル基、(メタ)アクリ
ル基、エポキシ基、イソシアネート基、ヒドロキシル
基、チオール基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ
基、ハロゲン基等を、分子内に少なくとも1つ有するポ
リエーテル化合物が好ましく用いられ、かかる一般式
(1)の有機ポリシロキサン系化合物と共重合させて用
いることも好ましい。また、ポリエーテル化合物の中で
も、硬化反応後においてもエーテル結合が生成可能であ
るという観点から、エポキシ基を有するポリエーテル化
合物を添加することが特に好ましい。具体例としては、
ポリエチレングリコール(モノ/ジ)グリシジルエーテ
ル、ポリプロピレングリコール(モノ/ジ)グリシジル
エーテル、ポリエトラメチレングリコール(モノ/ジ)
グリシジルエーテルなどのポリアルキレングリコールの
末端にエポキシ基を含有する化合物、グリセロール(モ
ノ/ジ/トリ)グリシジルエーテル、ジグリセロール
(モノ/ジ/トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)グリシジ
ルエーテル、トリグリセロール(モノ/ジ/トリ/テト
ラ/ペンタ/ヘキサ/ヘプタ/オクタ/ノナ)グリシジ
ルエーテル等のグリセリン誘導体の末端にエポキシ基を
含有する化合物、また、ソルビトール、ペンタエリスリ
トール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロ
パン等の末端グリシジルエーテル誘導体等が挙げられ
る。さらに、ビニル基、(メタ)アクリル基、エポキシ
基等の官能基を複数個有するポリエーテル化合物は、表
面特性を損なうことなくイオン伝導性を向上させる点で
特に好ましい添加物質である。
【0030】また、光重合性あるいは活性光線により重
合する電導性塗膜のビヒクルとしてとしては、化合物中
に光重合性官能基を有するものが挙げられ、光重合性官
能基としては、例えば、アクリル基、メタアクリル基、
スチリル基、アリル基などのビニル重合性官能基、ヒド
ロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、
エポキシ基、イソシアナート基など各種の官能基が挙げ
られる。その取り扱いやすさ、入手の容易さ、さらには
透明性などの点からアクリル基やメタアクリル基が特に
好ましい。これらの官能基と反応可能なものとしては、
前述のビニル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、イ
ソシアネート基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボ
キシル基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン基等の官能基
以外に、メラミン官能基やシラノール基、ウレア基など
が挙げられ、これらの官能基を有する化合物を共重合成
分として使用することが好ましい。共重合可能な単官
能、多官能単量体もしくはプレポリマーとしては、光重
合可能なアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基
等を有する各種化合物が用いられ、具体的には、エポキ
シ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレー
ト、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル
(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレー
ト、エポキシジ(メタ)アクリレート、ウレタン(メ
タ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ジアル
キルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリアルキ
レンオキサイド鎖を有するジ(メタ)アクリレート等の
反応性二重結合を有する化合物を挙げることができ、こ
れらを複数種併用することも好ましい。
【0031】また、光重合可能な無機高分子としては、
−P=N−骨格を有するホスファゼン樹脂が挙げられ、
上記重合性官能基を導入し、重合せしめたホスファゼン
硬化樹脂も好ましく用いられる。
【0032】重合方法としては、光重合においては紫外
線や可視光線、活性光線としては、X線、電子線、α線
などによる重合方法が用いられ、それぞれ硬化促進剤を
用いることも好ましい。
【0033】光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベン
ゾインエチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベ
ンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類、ベンゾ
フェノン、4,4′−ビスメチルアミノベンゾフェノ
ン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、
4,4′−ジクロロベンゾフェノン、p−クロロベンゾ
フェノン、p−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェ
ノン類、ベンジルメチルケタール等のケタール類、9,
10−アントラキノン、2−エチルアントラキノン等の
アントラキノン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェ
ニルケトン等のフェニルケトン類、2−ヒドロキシ−2
メチルプロピオフェノン等のプロピオフェノン類、p−
tertブチルトリクロロアセトフェノン、2,2−ジ
エトキシアセトフェノン等のアセトフェノン類、2−ク
ロロチオキサントン等のチオキサントン類が挙げられ
る。これらの光重合開始剤は単独で用いてもよいが、2
種以上組み合わせて用いてもよい。これらの硬化促進剤
は通常、樹脂100重量部に対して、0.1〜5.0重
量部の間で好適に用いることができる。
【0034】前記紫外線による光重合においては、紫外
線照射における光源としては、低圧、高圧、超高圧の各
水銀ランプやケミカルランプ、メタルハライドランプ等
が使用可能である。中でも照射効率が良好なことから高
圧水銀ランプがもっとも好適に用いられる。
【0035】また加熱硬化や常温硬化の場合での硬化促
進剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブ
チルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、p−ク
ロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ
アセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有
機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル等の有機ア
ゾ化合物、またアミン系化合物としてメチルエチルアミ
ン、t−ブチルアミン、ジメチル−p−トルイジン、ジ
フェニルアミン、o−ニトロアニリン等のアミン系の化
合物を用いることができる。これらは過酸化物系、有機
アゾ系、アミン系化合物を単独あるいは組合わせて使用
することが好ましく、その使用量は、樹脂100重量部
に対して0.1〜5.0重量部の間で好適に用いること
ができる。
【0036】電導性塗膜用の塗液中には、硬化樹脂、重
合性希釈剤、充填剤、安定剤、レベリング剤、消泡剤、
シロキサン系あるいは界面活性剤系の帯電防止剤等を添
加することも可能である。硬化樹脂としては、エポキシ
樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬
化性樹脂が挙げられる。
【0037】電導性塗膜中に添加されるイオン電導体あ
るいは電子伝導体としては、微粒子状で、塗膜に分散し
た時に十分な透明性を与え、かつ電導性を与えるもので
あればとくに限定されるものではない。イオン電導体と
しては種々の電解質が挙げられ、アルカリ金属、アルカ
リ土類金属、遷移金属などの過塩素酸塩、チオシアン
塩、トリフルオロメチル硫酸塩、ハロゲン化塩等があ
り、具体例としては、LiClO4 ,LiCl,LiB
r,LiI,LiCF3 SO3 ,LiSCN,NaCl
4 ,NaCl,NaBr,NaI,NaCF3
3 ,NaSCN,KClO4 ,KCl,KBr,K
I,KCF3 ,SO3 ,KSCN等がある。
【0038】電子伝導体としては高い導電性と透明性の
両者を満足させやすいと言う点から酸化錫系微粒子(酸
化錫とアンチモンの混合系、酸化錫と燐の混合系などを
含む)、あるいは酸化インジウム微粒子(酸化インジウ
ムと錫の混合系を含む)などの導電性微粒子が好まし
い。さらにかかる導電性微粒子の平均粒子径としては上
述の目的が達せられるものであればよいが、とくに分散
状態を安定化し、均一被膜を得ることが容易であるとい
う点から10オングストロームから5μmの一次粒子径
を有するものが好ましい。ここで、一次粒子径とは、何
らかの分散方法によって実質的に分散可能な粒子径を意
味するものである。また、かかる導電性微粒子は、目的
とする被膜の導電性と透明性によっても異なるが、通常
は30〜90重量%が電導性塗膜中に含まれていること
が好ましい。すなわち、これより少ないと十分な導電性
を得にくく、またこれより多くなると透明性などの外
観、さらには基材との接着性などが低下する傾向にあ
る。
【0039】とかる電導性微粒子等の分散方法として
は、単純な攪拌羽根使用による攪拌でも充分であるが、
さらに分散状態を良好にする意味からはペイントコンデ
ィショナー、サンドミル、三本ロール、ボールミル、ホ
モミキサー、ホモジナイザーなどが好ましく使用され
る。
【0040】本発明におけるA塗膜、すなわち、一般式
(1)または(2)で表わされる有機ポリシロキサン系
化合物およびその加水分解物から選ばれる少なくとも1
種の化合物を20重量%以上含有する液状組成物から得
られる透明塗膜(以下、反射防止塗膜Aという)は、次
の条件を満たす時反射防止効果が発現される。
【0041】まず、電導性塗膜上に、反射防止塗膜を1
層設ける場合には、基材上の電導性塗膜が、mλ/4×
0.7<n1 1 <mλ/4×1.3、反射防止塗膜
が、nλ/4×0.7<n2 2 <nλ/4×1.3
(ここで、n1 2 は各々塗膜の屈折率、d1 2 は各
々塗膜の膜厚(nm単位)、mは正整数、nは奇の正整
数、λは可視周辺領域内で選ばれる任意の基準波長(n
m単位)である)を満たすたことが必要である。。
【0042】また、電導性塗膜と反射防止塗膜Aとの間
に、チタン、アルミニウムおよびジルコニウムから選ば
れる少なくとも一種の金属の酸化物を20重量%以上含
有する液状組成物から得られる透明塗膜(以下、反射防
止塗膜Bという)を設けることも好ましく、その場合に
は、基材上の電導性塗膜が、l/4λ×0.7<n1
1 <l/4λ×1.3、反射防止塗膜Bが、mλ/4×
0.7<n2 2 <mλ/4×1.3m、反射防止塗膜
が、nλ/4×0.7<n3 3 <nλ/4×1.3
(ここでn1 、n2 、n3 は各々の塗膜の屈折率d1
2 、d3 は各々の塗膜の膜厚(nm単位)、l、mは
正の整数、nは奇数、λは可視周辺領域内で選ばれる任
意の基準波長(nm単位)である)を満たすことが必要
である。
【0043】反射防止塗膜は、電導性塗膜の表面に反射
防止塗膜Aを設けることを必須条件とし、より好ましく
は、電導性塗膜より高い屈折率を有する反射防止塗膜B
からなる塗膜をその中間に設けることによって、より優
れた反射防止効果が得られるものである。
【0044】本発明における反射防止塗膜Aは、前述の
とおり、一般式(1)または(2)式で表わされる有機
ポリシロキサン系化合物およびその加水分解物から選ば
れる少なくとも1種の化合物を20重量%以上含有する
ことが必要であるが、これより少ないと硬度、耐水性な
どに問題があり、さらには、屈折率を低下させるために
必要である。
【0045】一般式(1)で表わされる化合物およびそ
の加水分解物の具体例としては前記電導性塗膜中の有機
ケイ素化合物またはその加水分解物と同様のものを挙げ
ることができる。
【0046】一般式(2)で表わされるフッ素含有有機
化合物の具体的な代表例としては、3,3,3−トリフ
ロロプロピルトリアルコキシシラン、3,3,3−トリ
フロロプロピルメチルジアルコキシシラン、3−トリフ
ロロアセトキシプロピルトリアルコキシシランなどがそ
の例として挙げられる。
【0047】また反射防止性塗膜Aの膜厚は10〜50
0nmであることが好ましく、さらには、50〜300
nmであることが好ましい。10nm未満では、反射防
止効果、さらには表面硬度が充分に得られない傾向があ
る。また500nmを越えると、反射防止性の点で不十
分な場合がある。
【0048】さらには耐摩耗性、耐擦傷性、耐衝撃性、
耐薬品性、可撓性、耐光性などを向上させる目的で一般
式(1)の有機ポリシロキサン系化合物を2種以上添加
することも好ましい。また無機系材料としては微粒子状
シリカ、微粒子状酸化アンチモンなどがあり、とくに硬
度、染色性の観点からコロイド状に分散されたシリカゾ
ルが好ましく用いられる。
【0049】本発明において、より優れた反射防止性を
有する物品とするためには、電導性塗膜の屈折率を透明
基材の屈折率より0.05以上高くし、反射防止塗膜B
の屈折率を電導性塗膜の屈折率より高くし、さらに、反
射防止塗膜Aの屈折率を、電導性塗膜、反射防止塗膜B
の屈折率より低くすることが効果的である。
【0050】前述のとおり、反射防止塗膜Bとしては、
塗膜への均一な配合、接着性等から、チタン、アルミニ
ウムおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも一種の
金属の酸化物を用い、これらを20重量%以上含有する
液状組成物から得られる透明塗膜が用いられる。ここ
で、かかる金属酸化物の含有量が20重量より少ない
と、屈折率、接着性、硬度、耐水性の点で不十分とな
る。金属の形態としては特に入手が容易である、配合が
容易で透明性が得やすいことからアルコキシドまたはキ
レート化合物が好適に用いられる。金属含有アルコキシ
ドまたはキレート化合物の具体的な例としてはチタンテ
トラエトキシド、チタンテトラ−i−プロポキシド、チ
タンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラ−sec
−ブトキシド、チタンテトラ−tert−ブトキシド、
アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ−i−
プロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、ジルコニ
ウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラ−i−プロ
ポキシド、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジ
ルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテト
ラ−sec−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−ter
t−ブトキシドなどの金属アルコレート化合物およびそ
のオリゴマー、さらにはジ−イソプロポキシチタニウム
ビスアセチルアセテート、ジ−エトキシチタニウムビス
アセチルアセトネート、ビスアセチルアセトンジルコニ
ウム、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウ
ムジn−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アル
ミニウムジ−i−プロポキシドモノメチルアセテート、
トリ−n−ブトキシドジルコニウムモノエチルアセトア
セテートなどのキレート化合物などである。
【0051】組成物中には上記金属酸化物以外に透明性
をそこなわない範囲で各種の有機材料およびまたは無機
系材料の添加が可能である。有機材料としてはエポキシ
樹脂、各種アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹
脂、繊維素系重合体、有機置換されたケイ素系化合物な
どが挙げられる。また無機系材料としては各種アルキル
シリケート類、微粒子状シリカとくにコロイド状に分散
されたシリカゾルが好ましく用いられる。
【0052】さらには、反射防止塗膜Bは、2層以上設
けられた場合にも、1層とみなすこととし、2層以上設
けられる場合、チタン、アルミニウムおよびジルコニウ
ムから選ばれる金属の含有量の異なった塗膜であって
も、同一の含有量の塗膜であってもよい。
【0053】本発明においては、アルコキシドまたはキ
レート化合物の加水分解を高め、すべてチタン、アルミ
ニウム、ジルコニウムの酸化物とするために、また硬度
を高めるため、水を含む環境化での処理を行うことが好
ましい。
【0054】水を含む環境下での処理とは、具体的に
は、水中あるいは熱水中へ浸漬する、また、必要に応じ
てメチルアルコール、アセトン、エチルアルコール、エ
チレングリコールなどの親水性溶媒への浸漬、または、
カチオン、アニオン、ノニオンなどの界面活性剤を含む
水あるいは熱水中への浸漬、あるいは、加湿下での暴露
などが挙げられる。処理時間、処理温度などは目的およ
び基材に応じて決められるべきであるが、通常処理時間
は1分間から180分間、処理温度は10℃から100
℃の範囲が好ましい。
【0055】本発明の反射防止塗膜AおよびBの加熱硬
化方法としては、熱風、赤外線などによる方法が用いら
れる。また加熱温度は適用される透明基体、反射防止塗
膜用組成物によって決定されるべきであるが、通常は5
0〜250℃、より好ましくは60〜200℃が使用さ
れる。これより低温では硬化または乾燥が不十分であ
り、またこれにより高温になると熱分解などが起こって
黄変などの問題点を生ずる。さらに重合体中の硬化性官
能基により、紫外線、電子線、γなどの放射線を用いて
硬化させることもできる。
【0056】反射防止塗膜AおよびBのコーティングに
当っては通常揮発性溶媒に希釈して塗布される。溶媒と
して用いられるものは、とくに限定されないが、使用に
あたっては組成物の安定性、透明基材に対するぬれ性、
揮発性などを考慮して決められるべきである。また溶媒
は1種のみならず2種以上の混合物として用いることも
可能である。
【0057】本発明においては、電導性塗膜あるいは反
射防止塗膜に、塗膜の色調と補色関係にある染料または
顔料を塗膜色調を感じない程度で、あるいは、着色する
目的で、電導性を阻害しない範囲で添加することも可能
であり、また、また塗膜は染色性に優れることから任意
の濃度に染色させることも可能である。
【0058】本発明において透明基材への電導性塗膜の
塗布、反射防止塗膜との接着性向上、耐水性向上、清浄
化などを目的として表面処理として各種の前処理を施す
ことが可能である。とくに本発明に有効な手段としては
活性化ガス処理、薬品処理などが挙げられる。
【0059】かかる活性化ガス処理とは、常圧もしくは
減圧下において生成するイオン、電子あるいは励起され
た気体による処理である。これらの活性化ガスを生成す
る方法としては、例えばコロナ放電、減圧下での直流、
低周波、高周波あるいはマイクロ波による高電圧放電な
どによるものである。特に減圧下での高周波放電によっ
て得られる低温プラズマによる処理が好適である。
【0060】ここで使用されるガスは特に限定されるも
のではないが、具体例としては酸素、窒素、水素、炭酸
ガス、二酸化硫黄、ヘリウム、ネオン、アルゴン、フレ
オン、水蒸気、アンモニア、一酸化炭素、塩素、一酸化
窒素、二酸化窒素などが挙げられる。
【0061】これらは一種のみならず、二種以上混合し
ても使用可能である。前記の中で好ましいガスとして
は、酸素を含んだものが挙げられ、空気などの自然界に
存在するものであってもよい。さらに好ましくは、純粋
な酸素ガスが接着性向上に有効である。さらには同様の
目的で前記処理に際しては被処理基材の温度を上げるこ
とも可能である。
【0062】一方、薬品処理の具体例としては苛性ソー
ダなどのアルカリ処理、塩酸、硫酸、過マンガン酸カリ
ウム、重クロム酸カリウムなどの酸処理、芳香環を有す
る有機溶剤処理などが挙げられる。
【0063】以上の前処理は連続的、または階段的に併
用して実施することも十分可能である。
【0064】本発明によって得られた反射防止性を有す
る物品は、帯電防止性、反射防止性、耐摩耗性、透明性
に優れることから、各種透明材料を基板とした物品、特
に光学材料として利用することができる。主な用途とし
ては、陰極線管(CRT)、レーザディスプレイ、フォ
トクロミックディスプレイ、エレクトロクロミックディ
スプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、
発光ダイオードディスプレイ、エレクトロルミネセン
ト、パネル等の各種ディスプレイの前面板あるいはこれ
らのディスプレイへの直接コーティングやディスプレイ
の入力用装置部品としても利用される。またその他の用
途として、光学用レンズ、メータカバー、オーバヘッド
プロジェクター、コンタクトガラス等の帯電防止性、反
射防止性を要求される分野等に広く使われる。
【0065】以下に本発明の趣旨を明瞭にするために実
施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0066】
【実施例】
実施例1 (1)シラン加水分解物の調製 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン23.6
gを10℃に冷却し、攪拌しながら0.01規定塩酸水
溶液5.4gを徐々に滴下し、滴下終了後、室温にてさ
らに1時間攪拌をつづけてシラン加水分解物を得た。
【0067】(2)前記シラン加水分解物に、エチルア
ルコール18.7g、フェネチルアルコール100.3
g、シリコーン系界面活性剤0.08gを添加混合し、
アルミニウムアセチルアセトネート0.5gを添加し、
充分に攪拌した後、さらに導電性微粒子として平均微粒
子径が0.1μmの酸化インジウム/酸化スズ系混合無
機酸化物を39.5gを添加し、ペイントコンディショ
ナーで十分に分散させてコーティング剤とした。
【0068】(3)コーティグ剤の塗布、キュア 前項のコーティング剤を厚み3.0mmの平板状プラスチ
ック基板(CR−39,ジシエチレングリコールビスア
リルカーボネート、片面反射率4%)に#16のバーコ
ーターを使用して塗布した。塗布後、5分間室内にてセ
ッティングを行い、その後、80℃、12分間、さらに
100℃で1時間、加熱キュアさせた。
【0069】次いで低屈折率として次の組成物を調整し
塗布した。
【0070】(4)コーティング組成物の調製 (a)加水分解物の調製 回転子を備えた反応器中にメチルトリメトキシシラン
4.9g、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキ
シシラン3.5gを仕込み、液温を10℃に保ち、マグ
ネチックスターラで攪拌しながら0.01規定塩酸水溶
液2.8gを徐々に滴下、滴下終了後冷却をやめて加水
分解物を得た。
【0071】(b)塗料の調製 前記シラン加水分解物にn−プロピルアルコール56.
0g蒸溜水24.0g、エチルセロソルプ7.5gをあ
らかじめn−プロピルアルコールで5%に調製下シリコ
ーン系界面活性剤1.0gおよびアルミニウムアセチル
アセトネート0.24gを添加し、充分攪拌した後、コ
ーティング組成物とした。
【0072】(5)反射防止性物品の作成 前記3によって得られたプラスチック基材に、前記4で
調製したコーティング組成物を下記条件でスピンコーテ
ィングした。コーティング後は、82℃で、12分の予
備硬化を行い、さらに93℃で、4時間加熱キュアして
反射防止硬化物品を得た。
【0073】スピンコート条件 回転数:3500rpm 回転時間:30秒 得られた反射防止物品の全光線透過率は92.1%であ
った。評価結果を表1に示した。
【0074】(6)評価方法 (イ)塗膜厚み JIS B0651に従って行った。
【0075】(ロ)表面固有抵抗 4探針法による表面抵抗値(シート抵抗値)を求めた。
塗膜した。
【0076】(ハ)ヘイズ 直読ヘーズコンピューター(スガ試験機(株)製) (ニ)反射率 基材の裏面を黒く塗りつぶし、分光光度計にて波長55
0nmの反射率を測定した。
【0077】実施例2 実施例1の導電性微粒子に変えて、攪拌下で過塩素酸リ
チーム0.5gを添加する他は実施例1と同様にして行
なった。結果を表1に示した。
【0078】実施例3 実施例1の内、(15)で得た反射防止塗膜を設ける前
に次の組成物からなる高屈折率組成物を調製し、塗布
し、キュアを行なった。他は実施例1と同様に行なっ
た。
【0079】(1)高屈折率組成物の調製 アセチルアセトン263.9g中に攪拌下でテトラn−
プチルチタネート13.8g、アルミニウムアセチルア
セトネート塩20.3g、メタノール分散コロイド状シ
リカ(平均粒子径12±1mμ、固形分30%)21.
3gを添加し、充分攪拌を行なってコーティング組成物
を得た。
【0080】(2)塗布およびキュア (1)で調製したコーティング組成物を浸漬法(引き上
げ速度2.5cm/分)で塗布し、93℃の熱風乾燥機で
60分間加熱後、50℃の熱水に60分間浸漬後、水滴
を窒素ブローで除去した後、さらに93℃で60分間加
熱乾燥を行なった。
【0081】実施例4 実施例1の(1)〜(3)のコーティング剤のビヒクル
に変えて、クロロエチルメタクリレート、あるいはヘキ
サアクリレートおよびペンタエリスリトールテトラアク
リレート系の光重合性官能基を有する硬化性ホスファゼ
ン樹脂50g、溶媒としてメチルイソブチルケント50
g、ベンジルアルコール50g、光重合開始剤としてp
−クロロベンゾフェノン0.1gを混合した。次いでア
ンチモンドープした平均粒子径1.0μm以下の酸化錫
微粒子を110g添加し、分散媒を100g加え、ホモ
ジナイザで3.0Hr分散した。コーティング液を塗布
し、高圧水銀灯(2400mj/cm2 )にて硬化させ塗
膜を得た。その他の低屈折率層は実施例1と同様にコー
ティングした。結果を表1に示した。
【0082】実施例5 実施例1の(4)のコーティング組成物に変えて実施例
1の(1)で調製したシラン加水分解10.95g、実
施例3(1)で使用した同じメタノール分散コロイド状
シリカ21.3gおよびメタノール分散コロイド状シリ
カ21.03gおよびメタノール172.56g、エチ
レングリコール57.53g、水2.32g、シリコー
ン系界面活性剤の5%メタノール溶液5.05g、アル
ミニウムアセトネート0.631gをそれぞれ室温下で
添加し、コーティング組成物を得た。その他は実施例1
と同様に行った。結果を表1に示した。
【0083】
【表1】
【0084】
【発明の効果】本発明によって得られた反射防止性を有
する物品は、以下のような効果がある。
【0085】(1)電導性、反射防止膜をともに、塗膜
として設けるため、大面積の基板を用いた物品とするこ
とができる。
【0086】(2)透明プラスチック基板に適用した場
合、従来に比べ、表面硬度、接着性、耐水性に優れた物
品とすることができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−90345(JP,A) 特開 平5−80205(JP,A) 特開 平5−107403(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 1/10 - 1/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板上の少なくともその一部に、透明
    性を有する電導性塗膜と、下記Aの塗膜とをこの順序で
    し、電導性塗膜とAの塗膜との間に、チタン、アルミ
    ニウムおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも一種
    の金属の酸化物を20重量%以上含有する液状組成物か
    ら得られる透明塗膜が介在することを特徴とする反射防
    止性を有する物品。 A.一般式(1)または(2)で表わされる有機ポリシ
    ロキサン系化合物およびその加水分解物から選ばれる少
    なくとも1種の化合物を20重量%以上含有する液状組
    成物から得られる透明塗膜。 R1 a2 bSi(OR)4-a-b (1) (ここで、R1,R2は各々アルキル基、アルケニル基、
    アリル基、およびハロゲン基、エポキシ基、グリシドキ
    シ基、アミノ基、メルカプト基、メタクリルオキシ基お
    よびシアノ基から選ばれる置換基を有する炭化水素基か
    ら選ばれる置換基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル
    基、アルコキシアルキル基およびアシル基から選ばれる
    置換基である。aおよびbは、0または1である。) (R3Q)SiXc3-c (2) (ここで、R3は炭素数1〜20のフッ素含有アルキル
    基であってエーテル結合あるいはエステル結合を1個以
    上含んでいてもよい。Qは二価の有機基、Xは炭素数1
    〜5のアルキル基、Yはハロゲン、アルコキシ基および
    4C00-基(R4は水素原子又は炭素数1〜5のアル
    キル基)から選ばれる置換基、Cは0または1であ
    る。)
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