JP5346921B2 - ジメチルエーテルのカルボニル化方法 - Google Patents

ジメチルエーテルのカルボニル化方法 Download PDF

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Description

本発明は、ゼオライト触媒の存在下に、ジメチルエーテルと一酸化炭素との反応により酢酸メチルを調製する方法に関する。
メタノール及び/又はその反応性誘導体を、均一系触媒の存在下においてカルボニル化反応させて酢酸を生成する液相カルボニル化方法が商業的に実施されている。不均一系触媒を使ったメタノールとジメチルエーテルとを用いる気相カルボニル化方法も公知である。
欧州特許出願公開第0596632号明細書は、メタノールのカルボニル化のための蒸気相プロセスであって、高温高圧下で、そして銅、ニッケル、イリジウム、ロジウム又はコバルトを担持するモルデナイト触媒の存在下に酢酸を生成する蒸気相プロセスを記載する。
国際公開第01/07393号パンフレットは、一酸化炭素と水素とを含む供給原料の触媒変換のプロセスであって、エステル、酸、酸無水物及びその混合物のうちの少なくとも一つを生成するのに十分な温度と圧力の条件下で、固体超強酸、ヘテロポリ酸、粘土、ゼオライト及び分子篩の存在下に、ハロゲン化物プロモータの不存在下に、アルコール、エーテル及びこれらの混合物のうちの少なくとも一つを生成し、そして一酸化炭素をアルコール、エーテル及びアルコールとエーテルの混合物のうちの少なくとも一つと反応させるプロセスを記載する。しかしながら、ゼオライトを用いてカルボニル化反応を触媒する実施例はない。
国際公開第2005/105720号パンフレットは、ハロゲンの実質的な不存在下に、250から600℃の範囲の温度及び10から200バールの圧力下に、銅、ニッケル、イリジウム、ロジウム又はコバルトで修飾されておりかつフレームワーク元素としてシリコンとアルミニウムと、ガリウム、ホウ素及び鉄のうち少なくとも1つとを有しているモルデナイト触媒の存在下に、脂肪族アルコール又はそれの反応性誘導体を一酸化炭素とカルボニル化させることによって、カルボン酸及び/若しくはエステル又はその無水物を生成する方法を記載する。ジメチルエーテルを供給原料として用いる実施例はない。
国際公開第2006/121778号パンフレットは、モルデナイト触媒又はフェリエライト触媒の存在下に、ジメチルエーテルなどの低級アルキルエーテルを実質的な無水条件の下で一酸化炭素とカルボニル化させることによって、低級脂肪族カルボン酸の低級アルキルエステルを生成する方法を記載する。ガリウムフレームワーク修飾モルデナイトをジメチルエーテルのカルボニル化のための触媒として使用することを実施例として記載する。
前述の従来技術に鑑みると、実質的な無水条件下において、ゼオライト触媒を用いてジメチルエーテルから酢酸メチルを生成する、改善された不均一系気相方法に対する需要は依然として顕在である。
カルボニル化方法が低レベルの白金を担持する銅及び/又は銀モルデナイト触媒を用いて行われた場合には、触媒活性度の改善が達成できることが、今日知られている。
したがって本発明は、実質的な無水条件下における、イオン交換されるか、又は銀及び銅のうち少なくとも1つを担持するモルデナイト触媒の存在下における、ジメチルエーテル供給物の一酸化炭素とのカルボニル化を含む酢酸メチルの生成方法であって、前記モルデナイトもまたイオン交換されるか、又はアルミニウムに対して0.05から10モル%の範囲の白金を担持してなる前記生成方法を提供する。
本発明の方法において供給物として使用されるジメチルエーテルは、実質的に純粋なジメチルエーテルであってもよい。商慣行上、ジメチルエーテルは、メタノール合成触媒及びメタノール脱水触媒を媒体とした、合成ガス(水素と一酸化炭素の混合物)の触媒変換によって生成される。この触媒変換により、大部分がジメチルエーテルである生成物が生じるが、該生成物は若干のメタノールを含むこともある。本発明の方法において、供給物中に存在するメタノールの量がジメチルエーテルの酢酸メチル生成物へのカルボニル化を阻害するほどの量でないという条件下においては、ジメチルエーテル供給物は少量のメタノールを含むこともある。5重量%以下のメタノール量、例えば1重量%のメタノール量は、ジメチルエーテル供給物において、許容される量であることが知られている。
好ましくは、ジメチルエーテルは、供給物全量(リサイクル分も含む)を基準として、0.1から20モル%、例えば1.5から20モル%、例えば1.5から10モル%の濃度、1.5から5モル%の濃度で供給物中に存在する。
一酸化炭素は実質的に純粋な一酸化炭素、例えば典型的には工業用ガスの供給業者によって提供される一酸化炭素であることもあり、あるいは、該一酸化炭素は、ジメチルエーテルから酢酸メチルへの変換を阻害しない不純物、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン、メタン及び/又は二酸化炭素を含むこともある。
一酸化炭素供給物は、水素を含むこともある。炭化水素の水蒸気改質によって、並びに炭化水素の部分的酸化によって、水素と一酸化炭素との混合物が商業生産される。そのような混合物は、一般的には合成ガスと言われる。合成ガスは、主に一酸化炭素と水素を含むが、それよりも少ない量の一酸化炭素を含有することもある。
好ましくは、一酸化炭素対水素のモル比が、1:3から15:1の範囲であればよく、例えば1:1から10:1、例えば1:1から4:1でもよい。
プロセスにおいて水素が存在する場合、水素分圧は少なくとも0.1バールゲージ(barg)、例えば1から30バールゲージであればよい。
一酸化炭素対ジメチルエーテルのモル比は、好ましくは1:1から99:1、例えば2:1から60:1の範囲であればよい。
本発明の方法において用いられる触媒は、イオン交換されているか又は白金及び銀と銅とのうち少なくとも一つを担持しているモルデナイトである。モルデナイトの構造は周知であり、例えば、「The Atlas of Zeolite Framework Types (C. Baerlocher,W. M. Meier,D. H. Olson,5thed. Elsevier,Amsterdam,2001)」で定義されている。インターネット版(http://www.iza−structure.org/databases/)では、モルデナイトを含むゼオライトに関する幾何学的及び構造的な詳細の概要である。
モルデナイトは通常、Na−モルデナイト、NH−モルデナイト、又はH−モルデナイトとして入手可能である。触媒として使用するに先立ち、モルデナイトは、白金及び銀又は銅のうち1又はそれ以上にイオン交換され、あるいは白金及び銀又は銅のうち1又はそれ以上を担持する。これらの金属のモルデナイトへの担持は、イオン交換、湿式含浸及び初期湿潤法といった周知技術などのいかなる方法によって行ってもよい。モルデナイトがイオン交換される場合、ゼオライト上の陽イオン交換可能な部分の100%までが周知技術を用いて前記金属イオンに交換され得る。前記交換されたモルデナイト内に残存する陽イオンはいずれも陽子であることが好ましく、それゆえ、アンモニウム型又は水素型から前記交換プロセスを開始するのが簡便である。
イオン交換に対する代替として、アンモニウム型又は水素型のモルデナイトに金属塩の溶液を含浸し、その後乾燥させるということも可能である。アンモニウム型を用いる場合、前記担持、あるいは白金及び銅/銀とのイオン交換の完了後にモルデナイトを焼成することが好適である。
前記金属は、同時に又は逐次的にモルデナイト上に担持され得る。前記担持が逐次的に行われる場合、各金属担持の間に焼成及び/又は乾燥の工程を実施できる。最終金属成分の担持後、触媒を乾燥及び/又は焼成することができる。焼成は高温(例えば500℃)で行うことができる。前記担持を逐次的に行う場合、白金を担持に先立って、銅及び/又は銀をゼオライト上に担持させることが好ましい。
モルデナイトの含浸のために、いかなる適切な銅塩、銀塩及び白金塩又はその合成物を用いてもよい。好適には、硝酸白金(II)、酢酸銅、硝酸銅(II)などの銅(II)塩、及び硝酸銀の溶液を用いることができる。使用し得る他の適切な白金化合物は、Pt(NH(OH)−xHO、白金(II)、アセチルアセトネート及び[Pt(NH](NO)である。一般的に、Pt(NO(Kなどのアルカリ金属対イオンを含有する白金合成物の使用は好ましくない。アルカリ金属対イオンはカルボニル化反応に対する障害として作用し得るからである。
モルデナイト中の金属担持は、モルデナイト中のアルミニウムのグラム原子当たりの金属のグラム原子としての金属の担持分率で表示することができる。金属担持は、以下の関係式によって、モルデナイト中のアルミニウムに対するモル比担持として表示することができる:
モル%金属=(金属のグラム原子/アルミニウムのグラム原子)×100
したがって、例えばモルデナイト中のアルミニウムのグラム原子当たりの銅の0.55グラム原子という担持は、モルデナイト中のアルミニウムに対する銅の55モル%という担持に等しい。
銅と銀は各々、アルミニウムに対して1から200モル%、例えば50から120モル%、例えば50から110モル%、好適には55から120モル%、例えば55から110モル%の範囲の量で担持され得る。銅と銀の全担持は、好ましくは、アルミニウムに対して1から200モル%、例えば55から120モル%、例えば50から110モル%、又は50から120モル%、例えば50から110モル%の範囲であり得る。
白金は、アルミニウムに対して0.05から10モル%、例えば1から10モル%、例えば1から5モル%の範囲の量で担持される。好適な白金担持は、例えば0.05から5モル%、例えば0.05から2モル%である。
モルデナイト・フレームワークは、シリコンフレームワーク原子とアルミニウムフレームワーク原子に加えて、ガリウム、鉄、及び/又はホウ素などの元素を含有し得る。
本発明の方法のためには、モルデナイトのシリカ対アルミナ比が少なくとも5であることが好ましいが、好適には100以下、例えば7から40の範囲、例えば10から30の範囲である。アルミニウム原子がフレームワーク修飾元素によって置換されている場合、シリカ:Xの比率(ここでXはアルミニウム、ガリウム、鉄及び/又はホウ素などの三価元素である。)は少なくとも5であり、好ましくは100以下であり、例えば7から40、例えば10から30の範囲である。
モルデナイトが追加的な三価のフレームワーク元素を含有する場合、モルデナイト中の金属担持は、モルデナイト中の全三価元素のグラム原子当たりの金属のグラム原子という、金属の担持分率で表示できる。金属担持はまた、モルデナイト中の全三価元素に対するモル百分率担持として、以下の関係式によっても表示することができる:
モル%金属=(金属のグラム原子/全三価元素のグラム原子)×100
前記方法は、実質的な無水条件、すなわち水の実質的な不存在下で行われる。ジメチルエーテルの酢酸メチルへのカルボニル化は、その場では水分を発生させない。水分は、酢酸メチルを形成するために、ジメチルエーテルのカルボニル化を阻害することが知られている。このように、本発明の方法において、可能な限り、水分の量は少ない量に保たれている。これを達成するために、ジメチルエーテルと一酸化炭素反応物(及び触媒)は、前記方法の導入前に、乾燥されていることが好適である。しかし、少量の水分は、酢酸メチルの形成に悪影響を与えないため、許容される。好適には、水分は、ジメチルエーテル供給物中に、2.5重量%以下、例えば0.5重量%以下であれば存在していてもよい。
本発明の方法は、好適には100℃から350℃までの範囲の温度で行うことができる。
本発明の方法は、1から100バールゲージ、例えば10から100バールゲージの範囲の全圧下で行うことができる。
ガス空間速度(GHSV)は、500から40000h−1、例えば2000から20000h−1の範囲であることが好ましい。
カルボニル化反応は、水の実質的な不存在下に行われるものであることから、モルデナイト触媒は使用前に乾燥させてあることが望ましい。前記触媒は、例えば、400から500℃の温度で加熱することにより乾燥させてもよい。
モルデナイト触媒は、高温下で、少なくとも1時間、窒素、一酸化炭素、水素又はその混合物が流れる中で、使用直前に前記触媒を加熱することにより活性化されるのが好適である。
好ましくは、本発明の方法は、ヨウ化物のようなハロゲン化物の実質的な不存在下において実施される。「実質的」の用語は、前記反応物ガス(ジメチルエーテル及び一酸化炭素)や触媒の中の全ハロゲン化物(例えばヨウ化物)の含有量が500ppm未満、好ましくは100ppm未満であることを指す。
本発明の方法は、所望の温度及び圧力で維持されるモルデナイト触媒の固定床、流動床又は移動床を通じて、ジメチルエーテルの蒸気及び一酸化炭素ガスを通すことによって行われることが好ましい。
必要に応じて、ジメチルエーテル供給物を、モルデナイト触媒の床の直前で、アルミナ又はコランダムの床に接触させてもよい。
前記方法の第一生成物は酢酸メチルであるが、少量の酢酸が生成されることもある。本発明の方法によって生成される酢酸メチルは、蒸気の形で除去することができ、その後、液化される。
酢酸メチルは、回収して販売してもよく、あるいは他の化学プロセスに回送してもよい。酢酸メチルがカルボニル化反応の生成物から回収される場合、その酢酸メチルの一部又は全てが加水分解されて酢酸を形成することがある。あるいは、カルボニル化反応生成物はすべて、加水分解段階に回送してもよく、その後、酢酸は分離される。加水分解は、酸性触媒の存在下では、反応蒸留などの周知技術によって行ってもよい。
前記方法は、連続処理又はバッチ処理のいずれかで、好ましくは連続処理で行われる。
触媒であるH−モルデナイト、Cu−モルデナイト及びPt/Cu−モルデナイトについて、時間(hr)ごとの酢酸メチルの空時収量(STY)(gL−1−1)を示す。 触媒であるH−モルデナイト、Ag−モルデナイト及びPt/Ag−モルデナイトについて、時間(hr)ごとの酢酸メチルの空時収量(STY)(gL−1−1)を示す。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
実施例1
触媒の調製
H−モルデナイトの調製
シリカ対アルミナ比が20のモルデナイト(例、Sued−Chemie)は、全4サイクルで、250バールでパウテックローラーコンパクターにより圧縮され、モルデナイトは砕かれて篩にかけられ、125から160ミクロンまでの範囲の粒子サイズ画分とされた。それから、2.5gのモルデナイトは、ランプ速度1℃/分での空気(気流速度1L/分)下で、温度が500℃のマッフル炉(炉容量=12L)内で、温度が120℃になるまで焼成され、120℃で180分保たれ、それから、1℃/分の割合で、500℃までに加熱され、500℃で180分間保たれた。
銀(Ag)を担持するモルデナイトの調製
シリカ対アルミナ比が20のモルデナイト(例、Sued−Chemie)は、モルデナイト中のアルミニウムに対して55モル%の銀担持を与えるために、硝酸銀(I)溶液で処理された。
3648μLの水に溶解される4mol/Lの濃度の硝酸銀(I)852μLからなる溶液が調製され、その溶液を5gのモルデナイトに含浸するために用いられた。所望の銀を担持するように、金属溶液の量を測定するために、モルデナイト上に吸着されている水分の量を測定することにより、モルデナイトのLOI(強熱減量,600℃)が測定された(一般的には10から20%であるが、本実施例では18.03%である)。含浸の後、モルデナイトを周囲条件で1時間、攪拌機にかけた。その後、銀を担持するモルデナイトは、強制対流炉(雰囲気として空気)へ移されて、80℃で、20時間、加熱された。乾燥工程の後、銀を担持するモルデナイトは、以下の手順により焼成された。ランプ速度1℃/分での空気(気流速度1L/分)下で、温度が500℃のマッフル炉(炉容量=12L)内で、温度が120℃になるまで焼成され、120℃で180分保たれ、それから、1℃/分の割合で、500℃までに加熱され、500℃で180分間保たれた。それから、銀を担持するモルデナイトは、マッフル炉内で、1L/分の割合で、(乾燥した)空気が送られることにより、室温へ冷却された。銀を担持するモルデナイトは、160μmの篩を介して静かに押し通されて、125−160μmの範囲のサイズを有する粒子を得るために篩にかけられた。
銅(Cu)を担持するモルデナイトの調製
シリカ対アルミナ比が20のモルデナイト(例、Sued−Chemie)は、モルデナイト中のアルミニウムに対して55モル%の割合で銅を担持するように、硝酸銅(II)溶液で処理された。
1824μLの水に溶解される4mol/Lの濃度の硝酸銅(II)426μLからなる溶液を調製し、その溶液を2.5gのモルデナイトの含浸に用いた。所望の銅を担持するように、金属溶液の量を測定するために、モルデナイト上に吸着されている水分の量を測定することにより、モルデナイトのLOI(強熱減量,600℃)が測定された(一般的には10から20%であるが、本実施例では18.03%である)。含浸の後、モルデナイトを周囲条件で1時間、攪拌機にかけた。その後、銅を担持するモルデナイトは、強制対流炉(雰囲気として空気)へ移されて、80℃で、20時間、加熱された。乾燥工程の後、銅を担持するモルデナイトは、以下の手順により焼成された。ランプ速度1℃/分での空気(気流速度1L/分)下で、温度が500℃のマッフル炉(炉容量=12L)内で、温度が120℃になるまで焼成され、120℃で180分保たれ、それから、1℃/分の割合で、500℃までに加熱され、500℃で180分間保たれた。それから、銅を担持するモルデナイトは、マッフル炉内で、1L/分の(乾燥した)空気が送られることにより、室温へ冷却された。銅を担持するモルデナイトは、160μmの篩を介して静かに押し通されて、125から160μmの範囲のサイズを有する粒子を得るために篩にかけられた。
白金(Pt)を担持するモルデナイトの調製
シリカ対アルミナ比が20のモルデナイト(例、Sued−Chemie)は、モルデナイト中のアルミニウムに対して1モル%の割合で白金を担持するように、硝酸白金(II)溶液で処理された。
1941μLの水に溶解される0.1mol/Lの濃度の硝酸白金(II)309μLからなる溶液を調製し、その溶液を2.5gのモルデナイトの含浸に用いた。所望の白金の担持が達成するように金属溶液の量を測定するために、モルデナイト上に吸着されている水分の量を測定することにより、モルデナイトのLOI(強熱減量,600℃)が測定された(一般的には10から20%であるが、本実施例では18.03%である)。含浸の後、モルデナイトを周囲条件で1時間、攪拌機にかけた。その後、白金を担持するモルデナイトは、強制対流炉(雰囲気として空気)へ移されて、80℃で、20時間、加熱された。乾燥工程の後、白金を担持するモルデナイトは、以下の手順により焼成された。ランプ速度1℃/分での空気(気流速度1L/分)下で、温度が500℃のマッフル炉(炉容量=12L)内で、温度が120℃になるまで焼成され、120℃で180分保たれ、それから、1℃/分の割合で、500℃までに加熱され、500℃で180分間保たれた。それから、白金を担持するモルデナイトは、マッフル炉内で、1L/分の(乾燥した)空気が送られることにより、室温へ冷却された。白金を担持するモルデナイトは、160μmの篩を介して静かに押し通されて、125から160μmの範囲のサイズを有する粒子を得るために篩にかけられた。
銀/白金(Ag/Pt)を担持するモルデナイトの調製
シリカ対アルミナ比が20のモルデナイト(例、Sued−Chemie)は、モルデナイト中のアルミニウムに対して1モル%の割合で白金担持を与えるために、硝酸白金(II)溶液で処理され、さらに、モルデナイト中のアルミニウムに対して55モル%の割合で銀を担持するために、硝酸銀(I)溶液で処理された。1515μLの水に溶解される0.1mol/Lの濃度の硝酸白金(I)309μLと4.0mol/Lの濃度の硝酸銀(I)426μLからなる溶液を調製し、その溶液を2.5gのモルデナイトの含浸に用いた。所望の銀と白金を担持するように、金属溶液の量を決定するための、モルデナイト上に吸着される水分の量を決定するために、モルデナイトのLOI(強熱減量,600℃)が測定された(一般的には10から20%であるが、本実施例では18.03%である)。含浸の後、モルデナイトを周囲条件で1時間、攪拌機にかけた。その後、銀/白金を担持するモルデナイトを、強制対流炉(雰囲気として空気)に移し、80℃で、20時間、加熱した。乾燥工程の後、銀/白金を担持するモルデナイトは、以下の手順により焼成された。ランプ速度1℃/分での空気(気流速度1L/分)下で、温度が500℃のマッフル炉(炉容量=12L)内で、温度が120℃になるまで焼成され、120℃で180分保たれ、それから、1℃/分の割合で、500℃までに加熱され、500℃で180分間保たれた。それから、銀/白金を担持するモルデナイトは、マッフル炉内で、1L/分の(乾燥した)空気流下で、室温へ冷却された。銀/白金を担持するモルデナイトは、160μmの篩を介して静かに押し通されて、125から160μmの範囲のサイズを有する粒子を得るために篩にかけられた。
銅/白金(Cu/Pt)を担持するモルデナイトの調製
シリカ対アルミナ比が20(例、Sued−Chemie)のモルデナイトが、モルデナイト中のアルミニウムに対して1mol%の白金担持を与えるために、硝酸白金(II)溶液で処理され、さらに、モルデナイト中のアルミニウムに対して55mol%の銅担持を与えるために、硝酸銅(II)溶液で処理された。1515μLの水に溶解される0.1mol/Lの濃度の硝酸白金(II)309μLの溶液に加えて4.0mol/Lの濃度の硝酸銅(II)426μLの溶液を調製し、2.5gのモルデナイトの含浸に用いた。所望の銅と白金の担持を達成するのに必要な金属溶液の量を測定するために、モルデナイト上に吸着されている水分の量を測定することにより、モルデナイトのLOI(強熱減量,600℃)が測定される(一般的には10から20%であるが、本実施例では18.03%である)。含浸の後、モルデナイトを周囲条件で1時間、攪拌機にかけた。その後、銅/白金を担持するモルデナイトは、強制対流炉(雰囲気として空気)へ移されて、80℃で、20時間、加熱された。乾燥工程の後、銅/白金を担持するモルデナイトは、以下の手順により焼成された。ランプ速度1℃/分での空気(気流速度1L/分)下で、温度が500℃のマッフル炉(炉容量=12L)内で、温度が120℃になるまで焼成され、120℃で180分保たれ、それから、1℃/分の割合で、500℃までに加熱され、500℃で180分間保たれた。それから、銅/白金を担持するモルデナイトは、マッフル炉内で、1L/分の(乾燥した)空気流下で、室温まで冷却された。銅/白金を担持するモルデナイトは、160μmの篩を介して押し通されて、125から160μmの範囲のサイズを有する粒子を得るために篩にかけられた。
ジメチルエーテルのカルボニル化
H−モルデナイト、Cu−モルデナイト、Ag−モルデナイト、Pt/Cu−モルデナイト及びPt/Agモルデナイトの各自が、前記で述べられているように調製されたが、それらのモルデナイトは、以下の実験方法により、ジメチルエーテルのカルボニル化を触媒するために用いられた。
実験は、例えば国際公開第2005/063372号パンフレットに記載されているような16台の同一の反応装置を含む圧力流反応装置において行われた。反応装置に触媒サンプルを供給する前に、100から350μmのふるい画分のステアタイト床(約5cm)をそれぞれの触媒ホルダーに配置した。125から160μmのふるい画分のコランダムのゾーン(約5cm)は、ステアタイト床の上に配置された。触媒の1mLのサンプルは、コランダム床の上に配置された。触媒サンプルは、粒径が125から160μmである約5cmのコランダムゾーン(試験用に用いる反応装置の内径は3.6mm)によって覆われた。100から350μmのふるい画分のステアタイトの5cm(約)のゾーンは、コランダム床の上に配置された。各ゾーンは、衝撃と振動を介して凝固され、安定した床と触媒ゾーンの所定の開始高さとを得た。それから、触媒のサンプルは、流速4L/時間で、一酸化炭素(CO)により、45バールという所望の反応圧力で加圧された。触媒は、220℃の保持温度へ0.5℃/分で加熱され、そこで3時間の滞在時間を保持された。その後、再度3時間の滞在時間により、温度は、0.5℃/分で300℃まで引き上げられた。この時点で、触媒作用は完全に行われたと考えられ、ガス供給は、4L/時間の流速で、一酸化炭素(CO)/水素(H)の比が4である一酸化炭素と水素の混合物へとスイッチした。一方で、ジメチルエーテル(DME)は、蒸気として、それぞれ0.168L/時間、0.352L/時間、及び0.536L/時間という条件で、供給された。全供給物においてのCO/H/DMEの比が、モルベースで、0から28時間においては76.6/19.2/4.2で、28時間から54時間においては73/18.2/8.8で、54時間から95時間においては69.3/17.3/13.4となるようになるためである。したがって、全供給ガス量に関しては、それらの触媒は、4000h−1のガス空間速度(GHSV)で試験された。加えて、窒素は、16の反応装置出口間の圧力スイングを等しくするために、0から50mL/分の変動率で、導入された。試験反応装置からの出口流をガスクロマトグラフに通し、反応物及びカルボニル化生成物の濃度を測定した。
カルボニル化の実験結果は、図1と2に示される。
図1は、触媒であるH−モルデナイト、Cu−モルデナイト及びPt/Cu−モルデナイトについて、時間(hr)ごとの酢酸メチルの空時収量(STY)(gL−1−1)を示す。
図2は、触媒であるH−モルデナイト、Ag−モルデナイト及びPt/Ag−モルデナイトについて、時間(hr)ごとの酢酸メチルの空時収量(STY)(gL−1−1)を示す。
図1及び2は、白金を含有するCu−モルデナイト触媒とAg−モルデナイト触媒が、白金を含有しないCu−モルデナイトとAg−モルデナイトに比べて、より高い空時収量(STY)を提供することを示す。
実施例2
触媒の調製
銅(Cu)を担持するモルデナイト(触媒A)の調製
シリカ対アルミナ比が20のH−モルデナイト(例、Sued−Chemie)(40g)が、6.43gの硝酸銅(II)ヘミペンタヒドラート(98% ACS)と攪拌子とともに、500mLの丸底フラスコに入れられた。濃厚なスラリーを得られるまで、十分な脱イオン水(約100mL)が、フラスコに加えられた。それから、フラスコに蓋をゆるく被せ、一晩攪拌させた。それから、銅を担持するモルデナイトは、100℃12時間炉で乾燥させる前に、ロータリーエバポレーターを用いて真空乾燥された。それから、モルデナイトは、静的空気雰囲気下において、マッフル炉(炉の容量は18L)内で、焼成された。温度は、5℃/分の割合で上昇して室温から500℃まで上昇し、24時間この温度が保たれた。その後、スペカック(Specac)社製のプレス機を用いて、33mmのダイセットで、モルデナイトを12メートルトンで圧縮し、その後、モルデナイトは砕かれて篩にかけられ、212から335ミクロンまでの範囲の粒子サイズ画分とされた。モルデナイトは、モルデナイトに含まれるアルミニウムに対して、55モル%の銅担持を有していた。
銅/白金(Cu/Pt)を担持するモルデナイト(触媒B)の調製
前記記載により調製した3gの触媒Aは、押圧するのとふるいがけする前に、粉状にされた。これに、水1mL当たり硝酸白金(II)0.05gを含有する溶液298μLを加えた。同時に、(溶液の全量が約3mLとなるように)水が追加され、その結果得られたスラリーは、確実な混合のため、ローラーベンチで少なくとも1時間攪拌された。それから、静的空気雰囲気下においてマッフル炉内で焼成される前に、銅を担持したモルデナイトは、50℃で少なくとも16時間乾燥され、それから110℃で4時間乾燥された。焼成の温度は、2℃/分の割合で上昇して室温から500℃まで上昇し、2時間この温度が保たれた。その後、スペカック(Specac)社製のプレス機を用いて、33mmのダイセットで、モルデナイトを12メートルトンで圧縮し、その後、モルデナイトは砕かれて篩にかけられ、212から335ミクロンまでの範囲の粒子サイズ画分とされた。モルデナイトは、モルデナイトに含まれるアルミニウムに対して、それぞれ55モル%の銅と1モル%の白金とを担持した。
銅/白金(Cu/Pt)−モルデナイト(触媒C)の調製
アルミニウムに対して55モル%の銅と10モル%の白金とを有するモルデナイトは、触媒Bと同様に調製されたが、水1mL当たり0.05gの硝酸白金(II)が含まれている溶液を、298μLではなく、2886μL用いた。
ジメチルエーテルのカルボニル化
各々の触媒A、B及びCは、以下の実験手順で用いてジメチルエーテルのカルボニル化を触媒するために用いられた。
カルボニル化反応は、例えは、国際公開第2006/107187号パンフレットに記載されているような、60台の同一並列恒温並流チューブ反応装置からなる圧力流反応装置において、行われた。反応装置は、15台の反応装置の4ブロック(独立して温度調節ができるそれぞれのブロック)において配置された。各々の反応装置チューブでは、50μLの触媒(それぞれ4000h−1対応のガス空間速度(GHSV)を与えるように設計された)が、20μmの孔容積を有する焼結金属を担持された。全ての触媒サンプルは、供給速度が3.4mL/分の98.6モル%の窒素(N)、1.4モル%のヘリウム(He)中で、大気圧下で、5℃/分ずつ100℃までなるように加熱された。なお、この温度で、1時間保たれた。それから、反応装置は98.6モル%の窒素(N)、1.4モル%のヘリウム(He)で30バールゲージまで加圧され、そして、そのシステムは、1時間、この条件で保たれた。ガス供給物は、Nとヘリウム混合から3.4mL/分のガス供給速度で、63.1モル%の一酸化炭素、15.8モル%の水素、19.7モル%の窒素と1.4モル%のヘリウムへと変わった。そして、反応装置は、温度が300℃になるように、3℃/分の割合で加熱された。それから、そのシステムは、3時間10分の間、この条件で保たれた。この時点で、触媒作用は、完全に実行されたと考えられる。そして、ガス供給が、ガス供給速度が3.4mL/分の中で、63.1モル%の一酸化炭素、15.8モル%の水素、14.8モル%の窒素、1.4モル%のヘリウムと4.9モル%のジメチルエーテルへと変えられた。その反応は、約112時間続けられた。反応装置からの出口流は、2つのガスクロマトグラフを通された。これらのクロマトグラフの1つは、各々熱伝導度検出器を備える3つのカラム(分子ふるい 5A,Porapak(登録商標) QおよびCP−Wax−52)を有するバリアン 4900 マイクロGCであった。これらのクロマトグラフのもう一方は、各々フレームイオン化検出器を備える2つのカラム(CP−Sil 5およびCP−Wax 52)を有するインターサイエンストレースGCであった。データは、92.2時間から102.2時間という平均時間であった。
カルボニル化実験の結果を下の表1に示す。
Figure 0005346921
STYacetylsとは、酢酸(AcOH)の生成量についての空時収量(STY)に、MWAcOH/MWMeOAcを乗じた酢酸(AcOH)の生成量を示した空時収量を加算したものと定義される。

Claims (15)

  1. 実質的な無水条件下における、銀及び銅のうち少なくとも一つにイオン交換されているか又は銀及び銅のうち少なくとも一つを担持しているモルデナイト触媒の存在下における、ジメチルエーテル供給物の一酸化炭素とのカルボニル化を含む酢酸メチルの生成方法であって、前記モルデナイトもまた、アルミニウムに対して0.05から10モル%の範囲の量の白金にイオン交換されるか又はアルミニウムに対して0.05から10モル%の範囲の量の白金を担持する酢酸メチルの生成方法。
  2. 白金担持がアルミニウムに対して1から10モル%の範囲である請求項1に記載の方法。
  3. 白金担持がアルミニウムに対して1から5モル%の範囲である請求項2に記載の方法。
  4. 銅がアルミニウムに対して1から200モル%の範囲の量で担持される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 銅担持がアルミニウムに対して55から120モル%の範囲である請求項4に記載の方法。
  6. 銀がアルミニウムに対して1から200モル%の範囲の量で担持される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
  7. 銀がアルミニウムに対して55から120モル%の範囲の量で担持される請求項6に記載の方法。
  8. 銅と銀の全担持がアルミニウムに対して1から200モル%の範囲である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
  9. カルボニル化が水素の存在下に行われる請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
  10. カルボニル化が100から350℃の範囲の温度下で行われる請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
  11. カルボニル化が1から100バールゲージの範囲の全圧下で行われる請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 少なくともいくつかの酢酸メチル生成物が酢酸に加水分解される請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
  13. カルボニル化が水素とモルデナイトの存在下に行われ、該モルデナイトは、アルミニウムに対して50から120モル%の範囲の量の銀及び銅のうち少なくとも一つにイオン交換されているか又はアルミニウムに対して50から120モル%の範囲の量の銀及び銅のうち少なくとも一つを担持しており、かつ、アルミニウムに対して1から10モル%の白金にイオン交換されているか又はアルミニウムに対して1から10モル%の白金を担持している請求項1に記載の方法。
  14. 実質的な無水条件下においてジメチルエーテル供給物を一酸化炭素とカルボニル化することによって酢酸メチルを生成する際に用いる触媒であって、前記触媒は、アンモニウム型又は水素型のモルデナイトを白金及び銀と銅とのうち少なくとも1つと同時にイオン交換又は含浸して、前記含浸/イオン交換されたモルデナイトを乾燥及び/又は焼成することによって生成され、また前記触媒はアルミニウムに対して0.05から10mol%の量の白金を含んでなる触媒。
  15. 実質的な無水条件下においてジメチルエーテル供給物を一酸化炭素とカルボニル化することによって酢酸メチルを生成する際に用いる触媒であって、前記触媒は、アンモニウム型又は水素型のモルデナイトを銀と銅とのうち少なくとも1つとイオン交換又は含浸して、前記含浸/イオン交換されたモルデナイトを乾燥及び/又は焼成して銅及び/又は銀を担持するモルデナイトを得、その後、前記銅及び/又は銀を担持するモルデナイトを白金とイオン交換させあるいは前記銅及び/又は銀を担持するモルデナイトに白金を含浸させ、また前記触媒はアルミニウムに対して0.05から10mol%の量の白金を含んでなる触媒。
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