JPH0796178A - 内燃機関排ガス中の炭化水素吸着剤 - Google Patents

内燃機関排ガス中の炭化水素吸着剤

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JPH0796178A
JPH0796178A JP5244221A JP24422193A JPH0796178A JP H0796178 A JPH0796178 A JP H0796178A JP 5244221 A JP5244221 A JP 5244221A JP 24422193 A JP24422193 A JP 24422193A JP H0796178 A JPH0796178 A JP H0796178A
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Japan
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exhaust gas
zeolite
internal combustion
combustion engine
metal component
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JP5244221A
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Hiroshi Hanaoka
博史 花岡
Osamu Kuroda
黒田  修
Akira Kato
加藤  明
Hiroshi Miyadera
博 宮寺
Takeshi Atago
武士 阿田子
Ikuhisa Hamada
幾久 浜田
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Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高吸着容量を持ち、吸脱着温度がより高温
で、かつ必要に応じて燃焼触媒機能を有し、さらには高
OFPのHCを選択的に浄化することができるこのよう
な内燃機関の排ガス浄化用の吸着剤の提供。 【構成】 ゼオライト表面にAg、Cu、Ni、Zn、
Ba、Mgの中の少なくとも一種の金属成分を担持した
オゾン生成能力の高い炭化水素(HC)に関しての吸着
能力が特に高い吸着剤である。さらに、Pt、Pd、C
o、Mnの中の少なくとも一種の金属成分を担持した吸
着剤、さらにCeO2を担持すること、またはその上に
La23を担持させた吸着剤でも良い。ゼオライトは、
ZSM−5、モルデナイト、Y型ゼオライトおよびX型
ゼオライトがHCの吸着量が多い。SiO2/Al23
比が15〜250の上記のゼオライトを用いると耐水性
が向上する。また、本脱着剤は排ガス温度300℃以下
で脱着するHC量が小さい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車などの内燃機関
から排出される排気ガスの浄化装置に用いる炭化水素吸
着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の排気ガスには、炭化水素(H
C)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)とい
った有害成分が含まれており、1970年以降これらの
有害成分に対する排出量の規制が行われている。このう
ちHCは光化学スモッグ(オキシダント)生成の原因と
なるため、今後規制が厳しくなる動きにある。またHC
に対する規制は、単なるHC総量の規制から、各HC成
分のオゾン生成能力(OFP)により重み付けされた規
制へと移行する動きもある。このオゾン生成能力はMI
R(Maximum Incremental Reactivity Values)とい
う、炭化水素1gによって生成され得るオゾンの最高量
の指標で表され、一般に低級オレフィン(エチレン、プ
ロピレンなど)や芳香族炭化水素(キシレン、トリメチ
ルベンゼンなど)で大きい。
【0003】この自動車の排気ガス中の有害成分を浄化
するために、通常その排気通路に白金−ロジウム/アル
ミナ系の三元触媒が設置されている。しかし、この三元
触媒は約300℃以上の温度に達しないと有効に働か
ず、エンジン起動直後の排ガス温度が低い場合に排気ガ
スを十分に浄化できない。したがって、排出されるHC
の大部分はこのエンジン起動時のものであり、排出規制
強化に対応するにはこれを低減する必要がある。このエ
ンジン起動時のHCを浄化するために、吸着剤を用いて
エンジン起動時の低温の排ガス中からHCを吸着保持し
て、その後の排ガス温度の上昇とともに吸着したHCを
脱着・浄化する方法が開示されている(特開平2−75
327号、特開平2−135126号、特開平5−31
359号など)。特開平5−31359号公報による
と、吸着剤に関して、白金(Pt)、パラジウム(P
d)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニ
ウム(Ru)から選ばれる少なくとも一種以上の貴金属
をイオン交換した高シリカゼオライト(Si/Al比4
0以上)を吸着剤として用いる方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】吸着剤を用いてエンジ
ン起動時の排ガスを浄化するシステムを実現するにあた
っては、その吸着剤に下記のような特性が要求される。
まず、当然であるが、システムの小型化のために吸着剤
の単位容積あたりのHC吸着容量が大きいことが必要で
ある。また吸着剤のHCとの吸着力を強化し、吸着温度
および脱着温度をより高温化すれば、吸着剤使用温度範
囲が拡大でき、一旦吸着したHCの後処理も容易とな
る。すなわち脱着HCを三元触媒などで浄化するシステ
ムの場合、浄化触媒が活性化する300℃までの脱着量
が小さいと、換言すると、300℃以上での脱着量が大
きいと、脱着HCを容易に燃焼浄化することができる。
特開平2−75327号、特開平2−126937号に
は、これらの目的とした吸着剤が提案されているが、実
用化の点でさらに脱着温度を上昇できれば、その効果は
大となる。
【0005】さらに、脱着温度が高くなれば、すなわち
HCを高温まで吸着剤に保持させることができれば、吸
着剤に燃焼触媒機能を持たせることにより、HCを吸着
剤上で燃焼浄化することが可能となる。この場合、三元
触媒による後処理をすることなく、吸着HCを処理する
ことが可能となる。また、オゾンの生成を抑制するため
には、オゾン生成能力(OFP)の高いHC(低級オレ
フィン、芳香族炭化水素など)を選択的に浄化する必要
がある。しかしこの点に関しては、上記いずれの公知の
システムおよび吸着剤においても、ほとんど考慮されて
いない。本発明の目的は、特に内燃機関エンジン起動時
の排ガス浄化システムの実用化という観点から、高吸着
容量を持ち、吸脱着温度がより高温で、かつ必要に応じ
て燃焼触媒機能を有し、さらには高OFPのHCを選択
的に浄化することができるHC吸着剤を提供するもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決する吸
着剤について鋭意検討した結果、本発明者らは主成分と
して金属成分で修飾したゼオライトを用いることにより
目的を達成できることを見い出した。本発明の特徴は、
排ガス中の炭化水素吸着剤において、オゾン生成能力の
高いHCに関しての吸着能力が特に高いことにある。前
述の如く、オゾン生成を抑制するため、高OFPを持つ
HCの浄化率を向上させることが吸着剤に要求される重
要な課題である。高OFPを持つHCとして、エチレ
ン、プロピレンなどの低級オレフィンや、キシレン、ト
リメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素などがあるが、
中でも低級オレフィンは通常のゼオライトでは吸着浄化
が困難であり、しかも排ガス中に多量に含まれている。
本発明者らは、ゼオライトに金属成分を分散担持させる
ことにより、低級オレフィンの吸着能を向上できること
を見い出した。また、これらの活性成分の担持の効果
は、高OFPを持つHCの浄化率向上だけでなく、脱着
温度の高温化にも適していることを見い出した。
【0007】本発明の特徴は、ゼオライト表面に金属成
分を分散させることにある。金属成分の担持方法として
はイオン交換法が好ましいが、他に湿式混練法、含浸法
など、イオン交換法と同等の効果、すなわち活性成分を
イオン状もしくは高分散状態で担持する方法であれば良
い。金属成分としては、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッ
ケル(Ni)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、マグ
ネシウム(Mg)から選ばれる少なくとも一種以上の金
属成分が好ましく、中でもAg成分を担持することによ
り良好な結果が得られる。また、Agの担持量はイオン
交換率で表現して10%以上が好ましい。
【0008】さらに、上記金属成分に加え、他の金属成
分を担持することにより、吸着剤上でHCを燃焼できる
ことを見い出した。本発明のさらに他の特徴は、上記金
属成分に加え、Pt、Pd、Co、Mnから選ばれた少
なくとも一種以上の金属成分を担持することにある。中
でもPdを添加することにより良好な結果が得られ、ゼ
オライトに対するその担持量は0.1重量%で特に良好
である。さらに加えてCeO2等のCe成分を担持する
ことにより、HC燃焼が促進されること、特にゼオライ
トに対してCeO2担持量3重量%以上で燃焼促進効果
が大であることを見い出した。本発明のさらに他の特徴
は、上記金属成分に、さらにLa23等のLa成分を好
ましくはゼオライトに対して3重量%以上担持すること
にある。
【0009】上記金属あるいは金属酸化物を担持するゼ
オライトとしては、ZSM−5、モルデナイト、Y型ゼ
オライトおよびX型ゼオライトがHCの吸着量が多く好
ましい。特にモルデナイトおよびY型ゼオライト型が優
れている。ZSM−5、モルデナイト、Y型ゼオライト
またはX型ゼオライトに金属成分を担持することも本発
明の特徴である。また、水の吸着妨害を抑制する観点か
ら、SiO2を多く含有する上記ゼオライトが有効であ
ることを見い出した。すなわち、本発明の他の特徴は、
SiO2/Al23比が15〜250の上記のゼオライ
トを用いることにより、耐水性を向上できることにあ
る。また、上記吸着剤は粉末状、ペレット状など形状に
制限はないが、圧力損失を低減するためモノリスなどの
担体に被覆していることがより好ましい。脱着したHC
の後処理の観点から、排ガス温度300℃以下で脱着す
るHCの量が小さいことが重要であるが、本発明の更な
る特徴としては、排ガス温度300℃以下での脱着HC
量が全吸着量の50%以下であることにある。
【0010】
【作用】本発明によれば、吸着剤としてZSM−5、モ
ルデナイト、Y型ゼオライトなどのゼオライトに、特定
の金属を担持して修飾することにより、吸着容量の向
上、特に高OFPを持つHCの吸着能の向上、吸脱着温
度の高温化(吸着剤表面へのHCの吸着と脱着は平衡関
係にあるため、一般に脱着温度が高いということは、平
衡が高温側へずれることであり、従って吸着温度(ある
いはその上限)が高温化することになる。)、さらに
は、吸着HCの吸着剤上での燃焼が図れ、HCを効果的
に浄化することができる。これは、Ag、Cu、Ni、
Zn、Ba、Mgなどの担持金属イオンがイオン交換に
よりゼオライト表面に高分散し、ゼオライトの表面の陽
イオンを中心とする静電場が変化して吸着分子の極性と
の相互作用が強くなるか、あるいは担持金属(またはそ
の酸化物)がゼオライト表面に高分散し、ゼオライトの
吸着能を補強してHCの吸着力が向上すること、Pt、
Pd、Co、Mnなどにより吸着HCの燃焼が促進され
ること、CeO2により燃焼能力が強化されるものと考
えられる。また本発明においては、ゼオライトのSiO
2/Al23比が15〜250で良好な吸着能が得られ
る。これはSiO2/Al23比が15未満では水の吸
着が強く起こりHC吸着容量が減少してしまい、SiO
2/Al23比が250を超えると、活性成分の担持量
が少なくなる、あるいは高分散状態が得難くなることに
よるものと考えられる。
【0011】
【実施例】
実施例1 市販Y型ゼオライト(SiO2/Al23比5.6、以
下HY1)を、次の操作によりイオン交換した。すなわ
ち、HY120gを、酢酸銀Ag(CH3COO)14.
5gを含む600ccの水溶液中に加え、80℃に保ち
ながら7時間撹拌した。徐冷した後、吸引濾過、洗浄し
て吸着剤の前駆体を得た。この前駆体を120℃の温度
で空気中で1時間乾燥させ、その後温度500℃で、空
気中で2時間焼成してAgイオン交換Y型ゼオライト
(以下AgY1)を得た。この粉末を5トン/cm2の圧
力でプレスし、10〜20メッシュの粒状に成形した。
得られたAgY1のイオン交換率は34%であった。但
し、イオン交換率は以下の式により求めた。
【数1】
【0012】実施例2 実施例1の酢酸銀の代わりに酢酸銅Cu(CH3CO
O)2・H2Oの8.7gを用いて同様の操作を行い、C
uイオン交換Y型ゼオライト(以下CuY1)を得た。
得られたCuY1のイオン交換率は49%であった。 実施例3 実施例1の酢酸銀の代わりに硝酸マグネシウムMg(N
32・6H2Oの11.2gを用いて同様の操作を行
い、Mgイオン交換Y型ゼオライト(以下MgY1)を
得た。得られたMgY1のイオン交換率は6.6%であ
った。
【0013】実施例4 実施例1の酢酸銀の代わりに硝酸ニッケルNi(N
32・6H2Oの12.7gを用いて同様の操作を行
い、Niイオン交換Y型ゼオライト(以下NiY1)を
得た。得られたNiY1のイオン交換率は26%であっ
た。 実施例5 実施例1の酢酸銀の代わりに硝酸バリウムBa(N
32・6H2Oの11.4gを用いて同様の操作を行
い、Baイオン交換Y型ゼオライト(以下BaY1)を
得た。得られたBaY1のイオン交換率は22%であっ
た。
【0014】実施例6 実施例1の酢酸銀の代わりに硝酸亜鉛Zn(NO32
6H2Oの13.0gを用いて同様の操作を行い、Zn
イオン交換Y型ゼオライト(以下ZnY1)を得た。得
られたZnY1のイオン交換率は23%であった。 実施例7 SiO2/Al23比124の市販Y型ゼオライト(以
下HY2)100gを、酢酸銀10.9gを含む100
0ccの水溶液中に加え、実施例1と同様に操作を行っ
て、Agイオン交換Y型ゼオライト(以下AgY2)を
得た。得られたAgY2のイオン交換率は41%であっ
た。
【0015】実施例8 SiO2/Al23比16の市販モルデナイト(以下H
1)20gを、酢酸銀12.4gを含む600ccの
水溶液中に加え、実施例1と同様の操作を行って、Ag
イオン交換モルデナイト(以下AgM1)を得た。得ら
れたAgM1のイオン交換率は31%であった。 実施例9 SiO2/Al23比203の市販モルデナイト(以下
HM2)100gを、酢酸銀5.4gを含む1000c
cの水溶液中に加え、実施例1と同様の操作を行って、
Agイオン交換モルデナイト(以下AgM2)を得た。
得られたAgM2のイオン交換率は73%であった。
【0016】実施例10 実施例9のHM2100gに酢酸銀2.7gを混ぜ、水
で湿らせて室温で約10分間湿式混練を行った。これを
実施例1同様、120℃、空気中で1時間乾燥させ、そ
の後500℃、空気中で2時間焼成しAg担持モルデナ
イト(以下Ag−HM2)を得た。この粉末を5トン/
cm2の圧力でプレスし、10〜20メッシュの粒状に
成形した。 実施例11 実施例9のHM2100gに、酢酸銀2.7gを含む水
溶液で含浸し、実施例1同様、120℃、空気中で1時
間乾燥、500℃、空気中で2時間焼成し、Ag担持モ
ルデナイト(以下Ag/HM2)を得た。この粉末を5
トン/cm2の圧力でプレスし、10〜20メッシュの
粒状に成形した。
【0017】実施例12 実施例9におけるHM2およびAgM2の粉末をスラリー
状にして、コージェライト製モノリス担体(セル数40
0/inch)にコーティングした。コーティング操作
を繰り返し、表7のようなコーティング量のモノリス状
吸着剤を得た。 実施例13 市販のZSM−5ゼオライト(SiO2/Al23比8
0、以下HZSM−5)を、酢酸銀13.6gを含む6
00ccの水溶液中に加え、実施例1と同様の操作を行
って、Agイオン交換ZSM−5ゼオライト(以下Ag
ZSM−5)を得た。得られたAgZSM−5のイオン
交換率は68%であった。これを実施例12と同様、ス
ラリー状にして、コージェライト製モノリス担体にコー
ティングしてモノリス状吸着剤を得た。
【0018】実施例14 実施例12におけるAgM2のモノリス状吸着剤に、硝
酸パラジウムを含む水溶液を含浸し、120℃、空気中
で1時間乾燥し、次いで500℃、空気中で2時間焼成
して、Pd担持Agイオン交換モルデナイト(以下Pd
/AgM2)を得た。得られた吸着剤のPdの担持量は
0.1重量%であった。 実施例15 実施例12におけるAgM2のモノリス状吸着剤に、塩
化白金酸を含む水溶液を含浸し、実施例14と同様の操
作を行って、Pt担持Agイオン交換モルデナイト(以
下Pt/AgM2)を得た。得られた吸着剤のPtの担
持量は0.1重量%であった。
【0019】実施例16 実施例12におけるAgM2のモノリス状吸着剤に、硝
酸コバルトを含む水溶液を含浸し、実施例14と同様の
操作を行って、Co担持Agイオン交換モルデナイト
(以下Co/AgM2)を得た。得られた吸着剤のCo
の担持量は1重量%であった。 実施例17 実施例12におけるAgM2のモノリス状吸着剤に、硝
酸マンガンを含む水溶液を含浸し、実施例14と同様の
操作を行って、Mn担持Agイオン交換モルデナイト
(以下Mn/AgM2)を得た。得られた吸着剤のMn
の担持量は1重量%であった。
【0020】実施例18 実施例14におけるPd/AgM2のモノリス状吸着剤
に、硝酸セリウムを含む水溶液を含浸し、120℃、空
気中で1時間乾燥し、次いで500℃、空気中で2時間
焼成して、Pd,CeO2担持Agイオン交換モルデナ
イト(以下Ce/Pd/AgM2)を得た。得られた吸
着剤のCeO2の担持量は3重量%であった。 実施例19 実施例18におけるCe/Pd/AgM2のモノリス状
吸着剤に、硝酸ランタンを含む水溶液を含浸し、120
℃、空気中で1時間乾燥し、次いで500℃、空気中で
2時間焼成して、Pd,CeO2,La23担持Agイ
オン交換モルデナイト(以下La/Ce/Pd/AgM
2)を得た。得られた吸着剤のLa23の担持量は3重
量%であった。
【0021】実施例20 実施例9と同じ市販モルデナイト(HM2)100g
を、酢酸銀2.7gを含む1000ccの水溶液中に加
え、実施例1と同様の操作を行ってAgイオン交換モル
デナイトを得た。得られたAgイオン交換モルデナイト
のイオン交換率は43%であった。 実施例21 実施例9と同じ市販モルデナイト(HM2)100g
を、酢酸銀1.4gを含む1000ccの水溶液中に加
え、実施例1と同様の操作を行ってAgイオン交換モル
デナイトを得た。得られたAgイオン交換モルデナイト
のイオン交換率は14%であった。 実施例22 実施例9と同じ市販モルデナイト(HM2)100g
を、酢酸銀0.7gを含む1000ccの水溶液中に加
え、実施例1と同様の操作を行ってAgイオン交換モル
デナイトを得た。得られたAgイオン交換モルデナイト
のイオン交換率は6%であった。
【0022】試験例1 実施例1〜6により得られた6種類の粒状吸着剤につい
て、エチレンの吸着量を求めた。エチレンの吸着量は、
Heをキャリア−ガスとして流通した吸着剤を50℃に
保持し、1%エチレン−He混合ガスをパルスして測定
を行った。この結果を表1に示した。これら6種の金属
イオンでイオン交換を行うことにより、高OFP、低沸
点であるエチレンの吸着量が大きく増加する。
【0023】
【表1】
【0024】試験例2 実施例7および9により得られた粒状吸着剤HY2、A
gY2、HM2、AgM2について、小型ガソリンエンジ
ン(排気量145cc)の実排ガス中のHC吸着量を求
めた。排ガスの組成は、一例としてHC(C614
算):500ppm、O2:1.5%、CO:5.5
%、H2O:10%であった。HCの吸着量は空間速度
15,000/h、吸着剤を50℃に保持して測定を行
った。また、吸着が飽和に達した時点で吸着剤を加熱昇
温して(30℃/min.)、HCの脱着量を求めた。
結果を表2に示す。Agをイオン交換することにより、
吸着量が増加するとともに、三元触媒の活性化する30
0℃に達する以前に脱着するHCの量が50%以下に減
り、脱着温度が(換言すれば吸着温度が)高温化する。
【0025】
【表2】
【0026】試験例3 実施例10および11から得られたAg−HM2および
Ag/HM2について、試験例2と同様にして実排ガス
中のHC吸着量を求め、AgM2の結果と比較してAg
の担持方法の効果をみた。結果を表3に示す。いずれの
方法でもAgで修飾することにより吸着容量の向上およ
び300℃以下での脱着量が50%以下まで減少する効
果が確認できる。その効果はイオン交換法で担持した場
合に最も大きい。
【0027】
【表3】
【0028】試験例4 実施例1のAgY1および実施例8のAgM1について、
試験例2と同様の方法で炭化水素の吸着量を測定し、A
gY2およびAgM2の結果と比較した。結果を表4に示
す。SiO2/Al23比が15以下のAgY1は、水分
を強く吸着するため炭化水素の吸着量が小さく、好まし
くないことが分かった。
【0029】
【表4】
【0030】試験例5 試験例2のHM2およびAgM2において、吸着開始後0
〜60秒の間、吸着剤前後の排ガスをバッグにサンプリ
ングし、ガスクロマトグラフ(検出器:FID)を用い
て、各炭化水素の成分の吸着除去率を測定した。ここで
吸着除去率は、次式により求めた。結果を表5に示す。
Agイオン交換により、高OFP、低沸点のエチレン、
プロピレンの吸着除去率が向上することがわかった。
【数2】
【0031】
【表5】
【0032】試験例6 実施例9のHM2、AgM2および実施例20〜22の各
Agイオン交換モルデナイトについて、試験例2と同様
の方法で炭化水素の吸着量を測定した。結果を表6に示
す。イオン交換率10%以上で炭化水素の吸着量が特に
多く好ましい。
【0033】
【表6】
【0034】試験例7 実施例12によるHM2およびAgM2および実施例13
によるHZSM−5、AgZSM−5のモノリス状吸着
剤についてHC吸脱着特性を空間速度10,000/h
で試験例2と同様に評価した。結果を表7に示す。モノ
リス状の吸着剤においても、イオン交換により吸着量の
増加、脱着温度の高温化が見られることが分かった。
【0035】
【表7】
【0036】試験例8 実施例12によるAgM2および実施例14〜18によ
り得られた5種類のモノリス状吸着剤について、HC吸
脱着特性を空間速度10,000/hで試験例2と同様
に評価した。結果を表8に示す。Pt,Pd,Co,M
nの担持により、吸着したHCのうち昇温によって脱着
する量(全脱着量)が減ることがわかった。その後再び
同様の測定を繰り返してもHC吸着量が減少しなかった
ことから、この全脱着量の減少は吸着したHCの燃焼浄
化によるものであるといえる。すなわち、Pt,Pd,
Co,Mnの担持により、吸着したHCの燃焼が促進さ
れることがわかった。さらにCeO2を担持することに
より燃焼活性が促進されることがわかった。
【0037】
【表8】
【0038】試験例9 実施例18および19により得られたCe/Pd/Ag
2およびLa/Ce/Pd/AgM2の2種類のモノリ
ス状吸着剤について、HC吸脱着特性を空間速度10,
000/hで試験例2と同様に評価した。その後850
℃、空気中で50時間熱処理した後、再びHC吸脱着特
性を評価した。結果を表9に示す。Laを担持すること
により、熱処理による吸着量の減少が抑えられ、耐熱性
が向上していることがわかる。
【0039】
【表9】
【0040】
【発明の効果】ゼオライト表面を金属成分、特にAgで
修飾することにより、HC吸着容量の増加および脱着温
度の高温化が得られる。また、さらに、Pt,Pd,C
o,Mnから選ばれる1種以上、およびCeO2を担持
することにより吸着HCの燃焼浄化が可能となる。加え
てLa23を添加することにより高温の耐熱性が向上す
る。このように、吸着剤を用いてエンジン起動時のHC
を浄化するシステムの小型化が可能となり、吸着剤が機
能する温度範囲が拡大する。また単に吸着容量が大きい
だけでなく、OFPの高い炭化水素の浄化率を向上でき
ることから、全体としてオゾンの生成を大幅に抑制でき
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年11月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項7
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項8
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01D 53/72 53/86 ZAB 53/94 B01J 29/20 ZAB A 9343−4G B01D 53/36 ZAB 104 Z (72)発明者 宮寺 博 茨城県日立市大みか町7丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 阿田子 武士 茨城県勝田市大字高場2520番地 株式会社 日立製作所自動車機器事業部内 (72)発明者 浜田 幾久 広島県呉市宝町3番36号 バブコック日立 株式会社呉研究所内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オゾン生成能力の高い炭化水素に関して
    の吸着能力が特に高いことを特徴とする内燃機関排ガス
    中の炭化水素吸着剤。
  2. 【請求項2】 主成分として金属成分で修飾したゼオラ
    イトを含有することを特徴とする請求項1記載の内燃機
    関排ガス中の炭化水素吸着剤。
  3. 【請求項3】 銀、銅、ニッケル、亜鉛、バリウム、マ
    グネシウムから選ばれた少なくとも一種の金属成分で修
    飾したゼオライトを含有したことを特徴とする請求項2
    記載の内燃機関排ガス中の炭化水素吸着剤。
  4. 【請求項4】 ゼオライトを修飾する金属成分の担持量
    が、イオン交換率にして10%以上であることを特徴と
    する請求項2または3のいずれかに記載の内燃機関排ガ
    ス中の炭化水素吸着剤。
  5. 【請求項5】 銀、銅、ニッケル、亜鉛、バリウム、マ
    グネシウムから選ばれた少なくとも一種の金属成分と、
    これに加うるに白金、パラジウム、コバルト、マンガン
    から選ばれた少なくとも一種以上の金属成分で修飾した
    ゼオライトを含有することを特徴とする請求項2記載の
    内燃機関排ガス中の炭化水素吸着剤。
  6. 【請求項6】 銀、銅、ニッケル、亜鉛、バリウム、マ
    グネシウムから選ばれた少なくとも一種の金属成分の担
    持量がイオン交換率にして10%以上であり、白金、パ
    ラジウム、コバルト、マンガンから選ばれた少なくとも
    一種以上の金属成分の担持量がゼオライトに対して0.
    1重量%以上であることを特徴とする請求項5記載の内
    燃機関排ガス中の炭化水素吸着剤。
  7. 【請求項7】 銀、銅、ニッケル、亜鉛、バリウム、マ
    グネシウムから選ばれた少なくとも一種の金属成分と、
    これに加うるに白金、パラジウム、コバルト、マンガン
    から選ばれた少なくとも一種以上の金属成分と、さらに
    セシウム成分で修飾したゼオライトを含有することを特
    徴とする請求項2記載の内燃機関排ガス中の炭化水素吸
    収剤。
  8. 【請求項8】 銀、銅、ニッケル、亜鉛、バリウム、マ
    グネシウムから選ばれた少なくとも一種の金属成分の担
    持量がイオン交換率にして10%以上であり、ゼオライ
    トに対して白金、パラジウム、コバルト、マンガンから
    選ばれた少なくとも一種以上の金属成分の担持量が0.
    1重量%以上であり、セシウム成分の担持量が3重量%
    以上であることを特徴とする請求項7記載の内燃機関排
    ガス中の炭化水素吸着剤。
  9. 【請求項9】 銀、銅、ニッケル、亜鉛、バリウム、マ
    グネシウムから選ばれた少なくとも一種の金属成分と、
    これに加うるに白金、パラジウム、コバルト、マンガン
    から選ばれた少なくとも一種以上の金属成分と、さらに
    セシウム成分とランタン成分で修飾したゼオライトを含
    有することを特徴とする請求項2記載の内燃機関排ガス
    中の炭化水素吸着剤。
  10. 【請求項10】 銀、銅、ニッケル、亜鉛、バリウム、
    マグネシウムから選ばれた少なくとも一種の金属成分の
    担持量がイオン交換率にして10%以上であり、ゼオラ
    イトに対して白金、パラジウム、コバルト、マンガンか
    ら選ばれた少なくとも一種以上の金属成分の担持量が
    0.1重量%以上であり、セシウム成分の担持量が3重
    量%以上であり、ランタン成分の担持量が3重量%以上
    であるとを特徴とする請求項9記載の内燃機関排ガス中
    の炭化水素吸着剤。
  11. 【請求項11】 ゼオライトがZSM−5、モルデナイ
    ト、Y型ゼオライト、X型ゼオライトから選ばれた少な
    くとも一種以上のゼオライトであることを特徴とする請
    求項2〜10のいずれかに記載の内燃機関排ガス中の炭
    化水素吸着剤。
  12. 【請求項12】 ゼオライト中の酸化ケイ素/酸化アル
    ミニウム比が15〜250であることを特徴とする請求
    項11記載の内燃機関排ガス中の炭化水素吸着剤。
  13. 【請求項13】 モノリス担体上に被覆されていること
    を特徴とする請求項2〜12のいずれかに記載の内燃機
    関排ガス中の炭化水素吸着剤。
  14. 【請求項14】 被吸着炭化水素の脱着に関して、排ガ
    ス温度300℃以下で脱着する炭化水素の量が全吸着量
    の50%以下である、銀、銅、ニッケル、亜鉛、バリウ
    ム、マグネシウムから選ばれた少なくとも一種の金属成
    分で修飾したゼオライトを含有したことを特徴とする請
    求項2記載の内燃機関排ガス中の炭化水素吸着剤。
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