JP5346368B2 - 高周波誘導加熱コイル - Google Patents

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Description

本発明は、高周波焼入処理に用いられる高周波誘導加熱コイルに関する。
一般的に、シャフト等のように細長形状に形成された鉄鋼部材の表面全体には、高周波誘導加熱による高周波焼入処理(以下、「焼入処理」という)が施されている。例えば、非特許文献1に開示されるように、焼入処理には、鉄鋼部材の表面を加熱する高周波誘導加熱コイル(以下、「加熱コイル」という)と、この加熱コイルにより加熱された後に赤熱状態になっている鉄鋼部材の表面を冷却する冷却器とが用いられている。このような焼入処理において、鉄鋼部材が加熱コイル及び冷却器に対して鉄鋼部材の長手方向に相対的に移動して、鉄鋼部材の表面全体に焼入処理が施されることとなる。
焼入処理に関する一例として、図4に、ソレノイドコイル方式の焼入装置10を示す。ソレノイドコイル方式の焼入装置10には、加熱コイルとして円筒形状の銅パイプを螺旋形状に巻くことによって形成されたソレノイドコイル11と、環状に形成された冷却器Cとが設けられている。このソレノイドコイル11は、冷却器Cに対してソレノイドコイル11の軸線方向に間隔を空けて配置されている。ソレノイドコイル11には、銅パイプ内の空間によって冷却水経路12が形成され、冷却水経路12にソレノイドコイル11用の冷却水が通るように構成されている。また、冷却器Cの内周部分には、ソレノイドコイル11から冷却器Cに向かう方向に進むに従って冷却器Cの中心側から外周側に傾斜する傾斜面c1が形成されている。この傾斜面c1には複数の貫通孔c2が形成されており、冷却液cが貫通孔c2から噴射可能となっている。
ソレノイドコイル方式の焼入装置10における焼入処理の際には、鉄鋼部材Sがソレノイドコイル11から冷却器Cに向かうように矢印Aの方向に挿通され、鉄鋼部材Sの表面とソレノイドコイル11の内周との間に間隔を空けた状態で、鉄鋼部材Sの表面がソレノイドコイル11によって加熱される。このとき、ソレノイドコイル11の長手方向の範囲内で鉄鋼部材Sの表面に焼入硬化層t1(図4で斜線部により示す)が形成され、この焼入硬化層t1の形状はソレノイドコイル11の長手方向中央部分で最も深くなる円弧形状に形成される。その後、鉄鋼部材Sが、ソレノイドコイル11から冷却器Cに向かうようにソレノイドコイル11及び冷却器Cに対して相対的に移動し、加熱により赤熱状態となっている鉄鋼部材Sの表面に、冷却器Cによって冷却液cが噴射され、鉄鋼部材Sの表面が冷却されることとなる(後述する図7(a)及び図7(b)で網掛部により示す)。
焼入処理に関する別の一例として、図5に、第1の二巻型コイル方式の焼入装置20を示す。第1の二巻型コイル方式の焼入装置20では、加熱コイルとして構成される二巻型コイル21と、図4のソレノイドコイル方式の焼入装置10と同様の冷却器Cとが設けられている。この二巻型コイル21は、環状かつ中空に形成された主加熱導体22及び補助加熱導体23から構成されており、補助加熱導体23の内径は主加熱導体22の内径より大きく形成されている。主加熱導体22は、補助加熱導体23に対して冷却器C側で補助加熱導体23と並ぶように配置されている。主加熱導体22の内周面22aと冷却器C側に位置する主加熱導体22の端面22bとの間における角部22cは、略直角に形成されており、主加熱導体22の鉄鋼部材Sに接近する部位の中で最も鋭くなっている。主加熱導体22の内部には、主加熱導体22用の冷却水を通す冷却水経路24が設けられ、冷却水経路24の断面は、主加熱導体22の断面外形に対応して形成されている。補助加熱導体23の断面外形は四角形状に形成されている。補助加熱導体23の内部には、補助加熱導体23用の冷却水を通す冷却水経路25が設けられ、冷却水経路25の断面は補助加熱導体23の断面外形に対応して四角形状に形成されている。
第1の二巻型コイル方式の焼入装置20における焼入処理の際には、鉄鋼部材Sが主加熱導体22から冷却器Cに向かうように矢印Aの方向に挿通され、鉄鋼部材Sの表面と補助加熱導体23の内周との間に間隔を空けた状態で、焼入品質を高めるために鉄鋼部材Sの表面が補助加熱導体23によって予備的に加熱された後に、予備的に加熱された鉄鋼部材Sの表面が主加熱導体22によって加熱される。このとき、二巻型コイル21の長手方向の範囲内で鉄鋼部材Sの表面に焼入硬化層t2(図5で斜線部により示す)が形成され、この焼入硬化層t2の形状は主加熱導体22に対応する位置で最も深くなる湾曲形状に形成される。その後の冷却器Cによる冷却は、ソレノイドコイル方式の焼入装置10の場合と同様である。
焼入処理に関するさらなる別の一例として、図6に、第2の二巻型コイル方式の焼入装置30を示す。第2の二巻型コイル方式の焼入装置30では、加熱コイルとして構成される二巻型コイル31と、ソレノイドコイル方式の焼入装置10と同様の冷却器Cとが設けられている。この二巻型コイル31は、環状かつ中空に形成された2つの加熱導体32から構成されている。2つの加熱導体32は、それらの厚さ方向に並んで配置されており、2つの加熱導体32の形状は、互いに対して厚さ方向に対称に形成されている。加熱導体32の内周面32aと二巻型コイル31の厚さ方向中央側に位置する加熱導体32の端面32bとの間における角部32cは、略直角に形成されており、加熱導体32の鉄鋼部材Sに接近する部位の中で最も鋭くなっている。加熱導体32の内部には、加熱導体32用の冷却水を通す冷却水経路33が設けられ、冷却水経路33の断面は加熱導体32の外形に対応して形成されている。
第2の二巻型コイル方式の焼入装置30における焼入処理の際には、鉄鋼部材Sが加熱導体32から冷却器Cに向かうように矢印Aの方向に挿通され、鉄鋼部材Sの表面と加熱導体32の内周との間に間隔を空けた状態で、鉄鋼部材Sの表面が2つの加熱導体32によって加熱される。このとき、二巻型コイル31の長手方向の範囲内で鉄鋼部材Sの表面に焼入硬化層t3(図6で斜線部により示す)が形成され、この焼入硬化層t3の形状は略楕円形状に形成される。その後の冷却器Cによる冷却は、ソレノイドコイル方式の焼入装置10の場合と同様である。
高橋勘次郎著、「高周波の工業への応用:誘導加熱・誘電加熱・超音波」、東京電機大学出版局、昭和52年 3月、p.70
ここで、一般的にメーカー等にて設計条件等に基づいて定められている熱処理規格(以下、「熱処理規格」という)では、焼入硬化層の領域と未焼入領域との境界(以下、「焼境」という)が、鉄鋼部材Sの長手方向端部近傍における長手方向の所定の範囲(以下、「焼境範囲」という)内に位置することが要求されている。さらに、このような熱処理規格では、焼境範囲内の焼入硬化層の最大深さ又は鉄鋼部材の端部から所定の距離における焼入硬化層の深さ(以下、「端部近傍の所要深さ」という)が所定の閾値h0以上となることが要求されている。そして、これらの熱処理規格に対して焼境の位置及び端部近傍の所要深さを調節し易くするためには、加熱コイルによる加熱範囲をできる限り狭くすることが有効である。しかしながら、従来におけるソレノイドコイル方式の焼入装置10では、ソレノイドコイル11が長手方向に大きく延びており、さらに、ソレノイドコイル11によって形成される焼入硬化層t1の形状が、ソレノイドコイル11の長手方向中央部分で最も深くなる円弧形状となっているので、ソレノイドコイル11の長手方向両端部分では、焼入硬化層t1の深さが緩やかに減少している。そのため、鉄鋼部材Sの中間部分での焼入硬化層t1の調節は困難ではないが、鉄鋼部材Sの両端部、すなわち、焼入開始部分及び焼入終了部分では、焼境の位置、及び焼入硬化層t1の深さを調節することが難くなっている。その結果、図7(a)に示されるように、焼入終了部分における焼入硬化層t1の焼境b1が焼境範囲B内に位置するように調節された場合、端部近傍の所要深さh1が所定の閾値h0より小さくなるおそれがある。その一方で、図7(b)に示されるように、端部近傍の所要深さh1’が所定の閾値h0より大きくなるように調節された場合、焼入終了部分における焼入硬化層t1の焼境b1’が、焼境範囲B内に位置しなくなるおそれがある。また、焼入開始部分でも同様の問題が起こり得る。
従来における第1の二巻型コイル方式の焼入装置20では、二巻型コイル21の厚さは、ソレノイドコイル11の長手方向の大きさより小さく形成されており、二巻型コイル21の長手方向両端部分では、ソレノイドコイル11と比較して、焼境の位置、及び焼入硬化層t2の深さが調節し易くなっている。しかしながら、二巻型コイル21によって形成された焼入硬化層t2の形状は、主加熱導体22に対応して偏った位置で最も深くなる湾曲形状となっており、補助加熱導体23に対応する位置では、焼入硬化層t2の深さが緩やかに減少している。そのため、焼入終了部分で、焼境の位置及び焼境周辺における焼入硬化層t2の深さを調節することが難くなっている。その結果、図8(a)に示されるように、焼入終了部分における焼入硬化層t2の焼境b2が焼境範囲B内に位置するように調節された場合、端部近傍の所要深さh2が所定の閾値h0より小さくなるおそれがある。その一方で、図8(b)に示されるように、端部近傍の所要深さh2’が所定の閾値h0より大きくなるように調節された場合、焼入終了部分における焼入硬化層t2の焼境b2’が焼境範囲B内に位置しなくなるおそれがある。また、主加熱導体22の角部22cは、高周波電流の集中により発熱し易くなっており、さらに、冷却水経路24から離れていることによって冷却され難くなっている。そのため、主加熱導体22の角部22cが早期に破損し易くなっている。
従来における第2の二巻型コイル方式の焼入装置30でもまた、二巻型コイル31の厚さが、ソレノイドコイル11の長手方向の大きさより小さく形成されており、二巻型コイル31の長手方向両端部分では、ソレノイドコイル11と比較して、焼境の位置、及び焼入硬化層の深さを調節し易くなっている。しかしながら、第2の二巻型コイル方式の焼入装置30では、2つの加熱導体32の角部32cが、高周波電流の集中により発熱し易くなっており、さらに、冷却水経路33から離れていることによって冷却され難くなっている。そのため、2つの加熱導体32の角部32cが早期に破損し易くなっている。
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、焼境の位置、及び焼境周辺での焼入硬化層の深さを調節し易くし、かつ高い耐久性を有する高周波誘導加熱コイルを提供することにある。
課題を解決するために、本発明の一態様における高周波誘導加熱コイルは、
高周波焼入処理に用いられる高周波誘導加熱コイルにおいて、
環状に形成された1つの主加熱導体及び2つの補助加熱導体を備え、
前記補助加熱導体の内径が前記主加熱導体の内径より大きく形成され、
前記補助加熱導体が前記主加熱導体の厚さ方向両端側のそれぞれに並んで配置され、
前記2つの補助加熱導体が互いに並列に接続され、かつ前記主加熱導体と前記2つの補助加熱導体の組合せとが直列に接続されて、前記主加熱導体の電流と前記2つの補助加熱導体の電流とが同一の周方向に流れるように構成されている。
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
本発明の一態様における高周波誘導加熱コイルは、
高周波焼入処理に用いられる高周波誘導加熱コイルにおいて、
環状に形成された1つの主加熱導体及び2つの補助加熱導体を備え、
前記補助加熱導体の内径が前記主加熱導体の内径より大きく形成され、
前記補助加熱導体が前記主加熱導体の厚さ方向両端側のそれぞれに並んで配置され、
前記2つの補助加熱導体が互いに並列に接続され、かつ前記主加熱導体と前記2つの補助加熱導体の組合せとが直列に接続されて、前記主加熱導体の電流と前記2つの補助加熱導体の電流とが同一の周方向に流れるように構成されている。
そのため、高周波誘導加熱コイルにより焼入対象物の表面に形成される焼入硬化層の形状が、高周波加熱コイルの厚さ方向両側で同じように形成されることとなる。よって、このような高周波誘導加熱コイルを用いて焼入対象物に高周波焼入処理を施した場合、焼入開始部分及び焼入終了部分の両方において、焼入硬化層の領域と未焼入領域との境界(以下、「焼境」という)の位置及び焼入硬化層の深さを最適に調節することができる。また、主加熱導体の厚さ方向両側に補助導体が接続されるため、主加熱導体に高周波電流が局所的に流れることを防止できる。よって、主加熱導体の耐久性を高めることができ、高周波誘導加熱コイルの耐久性を高めることができる。さらに、主加熱導体に高周波電流が局所的に流れることが防止されることに伴って、主加熱導体の厚さを薄くして加熱幅を狭くすることができるので、このことによってもまた、焼入開始部分及び焼入終了部分における焼境の位置及び焼入硬化層の深さを最適に調節することができる。
本発明の実施形態に係る高周波誘導加熱コイルを備える高周波焼入装置を用いて、焼入対象物の一部を加熱した状態を模式的に示す縦断面図である。 本発明の実施形態に係る高周波誘導加熱コイルの電気的な接続を示す模式図である。 (a)は、本発明の実施形態に係る高周波誘導加熱コイルを備える高周波焼入装置を用いて、焼入対象物の焼入開始部分に高周波焼入処理を施した状態を模式的に示す縦断面図である。(b)は、本発明の実施形態に係る高周波誘導加熱コイルを備える高周波焼入装置を用いて、焼入対象物の焼入終了部分に高周波焼入処理を施した状態を模式的に示す縦断面図である。 従来におけるソレノイドコイル方式の高周波焼入装置を用いて、焼入対象物の一部を加熱した状態を模式的に示す縦断面図である。 従来における第1の二巻型コイル方式の高周波焼入装置を用いて、焼入対象物の一部を加熱した状態を模式的に示す縦断面図である。 従来における第2の二巻型コイル方式の高周波焼入装置を用いて、焼入対象物の一部を加熱した状態を模式的に示す縦断面図である。 (a)及び(b)は、従来におけるソレノイドコイル方式の高周波焼入装置を用いて、焼入対象物の焼入終了部分に熱処理規格を満足しない高周波焼入処理を施した状態を模式的に示す縦断面図である。 (a)及び(b)は、従来における第1の二巻型コイル方式の高周波焼入装置を用いて、焼入対象物の焼入終了部分に熱処理規格を満足しない高周波焼入処理を施した状態を模式的に示す縦断面図である。
本発明の実施形態に係る高周波加熱コイル(以下、「加熱コイル」という)を備える高周波焼入装置(以下、「焼入装置」という)について以下に説明する。
図1に示すように、焼入装置1は、焼入対象物である鉄鋼部材Sの表面を加熱する加熱コイル2と、従来におけるソレノイドコイル方式の焼入装置10と同様の冷却器Cとを備えている。加熱コイル2と冷却器Cとは、加熱コイル2の厚さ方向(矢印Aに沿った方向)に互いに間隔を空けて配置されている。加熱コイル2は環状に形成された1つの主加熱導体3を備えており、主加熱導体3は内径d1を有している。さらに、加熱コイル2は、環状に形成される2つの補助加熱導体4を備えており、補助加熱導体4は内径d2を有している。
ここで、主加熱導体3及び補助加熱導体4の詳細について説明する。
図1を参照すると、補助加熱導体4は、主加熱導体3の厚さ方向両端側のそれぞれに並んで配置されている。環状の主加熱導体3の中心と、環状の補助加熱導体4の中心と、冷却器Cの中心とは同一軸線上に配置されている。主加熱導体3の断面は、この主加熱導体3の厚さ方向中心を基準として対称に形成されている。より詳細には、主加熱導体3の断面外形は略四角形状に形成され、加熱コイル2の内周側に位置する主加熱導体3の断面外形の両角部にはテーパ3aが形成されている。主加熱導体3の断面内部には四角形状の冷却水経路5が形成され、この冷却水経路5に、主加熱導体3を冷却する冷却水を通すことができるように構成されている。2つの補助加熱導体4の断面は、互いに対して加熱コイル2の厚さ方向に対称に形成されている。より詳細には、補助加熱導体4の内周面4aと加熱コイル2の厚さ方向外側における補助加熱導体4の端面4bとの間には傾斜面4cが形成されている一方で、補助加熱導体4の内周面4aと加熱コイル2の厚さ方向中央側における補助加熱導体4の端面4dとの間における角部4eは、略直角に形成されている。補助加熱導体4の断面内部には補助加熱導体4の外形に対応して冷却水経路6が形成され、この冷却水経路6に、補助加熱導体4を冷却する冷却水を通すことができるように構成されている。補助加熱導体4の内径d2は主加熱導体3の内径d1より大きく形成されており、補助加熱導体4は主加熱導体3に対して外周側にシフトして配置されている。
特に、鉄鋼部材Sを主加熱コイル3及び2つの補助加熱コイル4に挿通した際に、鉄鋼部材Sの表面と主加熱導体3の内周との距離l1に対して、鉄鋼部材Sの表面と補助加熱導体4の内周との距離l2が2倍以上となっていると好ましい。
次に、主加熱導体3と2つの補助加熱導体4との電気的な接続関係について説明する。
図2を参照すると、2つの補助加熱導体4が互いに並列に接続され、電源Pと、主加熱導体3と、2つの補助加熱導体4の組合せとが直列に接続されており、主加熱導体3の電流I1と2つの補助加熱導体4の電流I2とが同一の周方向に流れるように構成されている。補助加熱導体3の電流I2の大きさは主加熱導体3の電流の大きさに対して約半分となっており、2つの補助加熱導体3にそれぞれ流れる電流I2の大きさは略等しくなっている。
このような焼入装置1を用いて鉄鋼部材Sの表面の一部に焼入処理を施す方法について説明する。
図1に示すように、鉄鋼部材Sを加熱コイル2から冷却器Cに向かうように矢印Aの方向に挿通する。このとき、鉄鋼部材Sの表面と主加熱導体3の内周との間隔は距離l1に維持され、鉄鋼部材Sの表面と補助加熱導体4の内周との間隔は距離l2に維持される。このような状態で、鉄鋼部材Sの表面は加熱コイル2によって加熱されて、鉄鋼部材Sの表面に焼入硬化層t(図1で斜線部により示す)が形成される。この焼入硬化層tは、加熱コイル2の厚さ方向中心を基準として加熱コイル2の厚さ方向に対称に形成される。ここで、補助加熱導体4は、その傾斜面4cによって鉄鋼部材Sの表面から離れているので、鉄鋼部材Sの表面の予備加熱のために主に用いられることとなる。そのため、焼入硬化層tにおける加熱コイル2の厚さ方向両側部分の深さが急激に減少して、焼入硬化層tの領域と未焼入領域との境界(以下、「焼境」という)の位置、及び焼境周辺における焼入硬化層の深さを最適に調節することができる。
特に、鉄鋼部材Sを主加熱コイル3及び2つの補助加熱コイル4に挿通した際に、鉄鋼部材Sの表面と主加熱導体3の内周との距離l1に対して、鉄鋼部材Sの表面と補助加熱導体4の内周との距離l2が倍以上となっている場合、焼入硬化層における高周波加熱コイルの厚さ方向両側部分の深さが急激に減少するので、焼境の位置、及び焼境周辺での焼入硬化層の深さを最適に調節することができる一方で、補助加熱導体4による予備加熱が十分に行われるので、焼入品質が損なわれることもない。
焼入装置1を用いて鉄鋼部材Sの表面の全体に焼入処理を施す方法について説明する。
図3(a)に示すように、鉄鋼部材Sを加熱コイル2から冷却器Cに向かうように矢印Aの方向に挿通する。図3(a)に示すような鉄鋼部材Sの焼入開始部分から図3(b)に示すような焼入終了部分に向かって、鉄鋼部材Sの表面が連続的に加熱された後に、この加熱された表面が、冷却器Cによって鉄鋼部材Sの焼入開始部分から焼入終了部分に向かって連続的に冷却される。これによって、焼入硬化層tが鉄鋼部材Sの焼入開始部分から焼入終了部分に向かって延びるように形成される。なお、図3(a)及び図3(b)の焼入硬化層tでは、加熱コイル2によって加熱されただけの領域を斜線部によって示し、加熱コイル2によって加熱された後に冷却器Cによって冷却された領域を網掛部によって示している。
このように鉄鋼部材Sの表面全体に焼入処理が施された状態では、図3(a)に示すように、鉄鋼部材Sの焼入開始部分にて、一般的にメーカー等にて設計条件等に基づいて定められている熱処理規格(以下、「熱処理規格」という)を満足するように、焼境bが鉄鋼部材Sの長手方向端部近傍における長手方向の所定の範囲(以下、「焼境範囲」という)B内に位置し、かつ焼境範囲B内の焼入硬化層tの最大深さ又は鉄鋼部材の端部から所定の距離における焼入硬化層tの深さ(以下、「端部近傍の所要深さ」という)hが所定の閾値h0以上となる。また、図3(b)に示すように、鉄鋼部材Sの焼入終了部分でも同様に、熱処理規格で定められるように、焼境b’が焼境範囲B内に位置し、かつ端部近傍の所要深さh’が所定の閾値h0以上となる。上述したように、鉄鋼部材Sの表面の一部を焼入した場合の焼入硬化層tは、鉄鋼部材Sの長手方向に短くなっており、かつ焼入硬化層tにおける加熱コイル2の厚さ方向両側部分の深さが急激に減少するためである。
以上のように本発明の実施形態によれば、加熱コイル2により鉄鋼部材Sの表面に形成される焼入硬化層tの形状が、加熱コイル2の厚さ方向両側で同じように形成されることとなる。よって、このような加熱コイル2を用いて鉄鋼部材Sに焼入処理を施した場合、焼入開始部分及び焼入終了部分の両方において、焼境b,b’の位置及び焼入硬化層tの深さを最適に調節することができる。また、主加熱導体3の厚さ方向両側に補助導体が接続されるため、主加熱導体3に高周波電流が局所的に流れることを防止できる。よって、主加熱導体3の耐久性を高めることができ、加熱コイル2の耐久性を高めることができる。さらに、主加熱導体3に高周波電流が局所的に流れることが防止されることに伴って、主加熱導体3の厚さを薄くして加熱幅を狭くすることができるので、このことによってもまた、焼入開始部分及び焼入終了部分における焼境b,b’の位置及び焼入硬化層tの深さを最適に調節することができる。
ここまで本発明の実施形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
[実施例]
本発明の実施例として、本発明の実施形態に係る加熱コイル2を有する焼入装置1を用いて焼入対象物に焼入処理を施した。ここで、焼入対象物は、直径32mmかつ長さ200mmの円柱形状に形成された鉄鋼部材とし、焼入条件は、周波数3.3kHz、加熱出力288kW、及び焼入対象物の相対移動速度45mm/secとする。熱処理規格については、焼境範囲Bを、鉄鋼部材の長手方向端から6.5mmから14mmまでの範囲に定めた。また、端部近傍の所要深さの閾値h0を5mmに定め、鉄鋼部材の長手方向端から18.5mmまでの間でこの閾値h0以上となることを条件とした。このような条件で鉄鋼部材の表面に焼入処理を施した結果、加熱コイル2内を流れる冷却水の温度は13.8度となった。なお、鉄鋼部材の表面に形成された焼入硬化層の深さは6mmとなった。また、焼入開始部分の焼境周辺における焼入硬化層の形状と、焼入終了部分の焼境周辺における焼入硬化層の形状とはほぼ同等となっていた。さらに、焼境は、鉄鋼部材の長手方向端から10.2mmに位置しており、焼境範囲B内に位置することとなった。端部近傍の所要深さは、鉄鋼部材の長手方向端から16.5mmの位置で、5mmに定めた閾値h0以上の値を確保した。よって、熱処理規格は満たされていた。
[比較例]
本発明の比較例として、従来における第1の二巻型コイル方式の焼入装置20及び第2の二巻型コイル方式の焼入装置30をそれぞれ用いて、上述の実施例と同様の条件で、焼入対象物に焼入処理を施した。その結果、焼入処理の際、加熱コイル21,31内を流れる冷却水の温度は24.2度となった。
実施例の冷却水の温度は比較例の冷却水の温度と対比して約43%減少している。そのため、本発明の実施形態に係る加熱コイル2は、従来の加熱コイルと比較して温度上昇し難くなっており、高い耐久性を有することが確認できた。
1 高周波焼入装置
2 高周波誘導加熱コイル(加熱コイル)
3 主加熱導体
4 補助加熱導体
S 鉄鋼部材
C 冷却器
c 冷却液
c1 傾斜面
c2 貫通孔
P 電源
I1,I2 電流
d1,d2 内径
l1,l2 距離
t 焼入硬化層
B 焼境範囲
b,b’ 焼境
h,h’ 深さ
A 矢印

Claims (1)

  1. 高周波焼入処理に用いられる高周波誘導加熱コイルにおいて、
    環状に形成された1つの主加熱導体及び2つの補助加熱導体を備え、
    前記補助加熱導体の内径が前記主加熱導体の内径より大きく形成され、
    前記補助加熱導体が前記主加熱導体の厚さ方向両端側のそれぞれに並んで配置され、
    前記2つの補助加熱導体が互いに並列に接続され、かつ前記主加熱導体と前記2つの補助加熱導体の組合せとが直列に接続されて、前記主加熱導体の電流と前記2つの補助加熱導体の電流とが同一の周方向に流れるように構成されていることを特徴とする、高周波誘導加熱コイル。
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