JP2005259558A - 有底孔内表面加熱用誘導子 - Google Patents

有底孔内表面加熱用誘導子 Download PDF

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Abstract

【課題】孔底近傍は十分強く残部は適度に加熱する有底孔内表面加熱用誘導子を実現。
【解決手段】金型10の水冷孔11の内表面を誘導加熱するため、孔底近傍区間を加熱する先端側作用部33は、金属条線31を孔軸線直交磁束を生じる姿勢で配した多重巻線輪で構成するとともに線輪内の孔底寄りに磁心34を偏心配置し、残部区間を加熱する根元側作用部32は、金属条線31を捲回しない。これにより、磁束密度が孔底で大きく高まり他のところで緩やかに変化する。また、先端側作用部33の長さを孔直径の2〜5倍とし、孔底面対向間隔を均等にし、孔底面対向側の金属条線を扁平にし、金属製のチューブを一筆書き状に連ねて構成する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、高周波誘導加熱装置に取り付けて用いられる誘導子(加熱コイル)に関し、詳しくは、金属部材に穿設された有底孔に挿入してその有底孔の内表面(内壁面)を加熱するのに好適な有底孔内表面加熱用誘導子に関する。
典型的な応用例を挙げると、金型昇温防止用の水冷孔(有底孔)を穿孔形成したダイカスト金型(金属部材)を熱処理対象に、金型全体を焼入れ焼戻しした後、水冷孔部分だけ軟化させる(硬度を下げる)べく二次的に焼き戻すために、その穴内を誘導加熱するとき等に、有底孔内表面加熱用誘導子が用いられる。
自動車産業などの各産業において近年はアルミニウム合金の適用が多くなってきており、また技術の多様化もあって、ダイカスト金型には、より高温まで強度および靱性を持たせた材料が開発されている。このような金型は、通常、焼入れにて全体の硬さをHRC50程度に高くして、型彫部におけるヒートクラックの発生を抑制している。反面、全部が高硬度のままでは、熱サイクルにより金型昇温防止用水冷孔の孔底部に過大な熱応力が発生し、水冷孔の近傍が割れ易くて、金型の寿命を縮めることにもなるので、水冷孔のところを部分的・局所的に軟化焼戻しすることも必要であり、そのために、水冷孔内に加熱コイルを挿入して孔内壁面を誘導加熱することが行われている(例えば特許文献1,2参照)。
従来、そのような加熱コイルとして、ソレノイド型コイル(図7(a),特許文献1参照)と、ヘアピン状コイル(図7(b),特許文献2参照)とが知られている。何れも、高周波電源20(高周波誘導加熱装置)に接続されるとともに、焼入れした金属部材10(金型等)に穿設されている細長い有底孔11(水冷孔等)の中に挿入されて、高周波通電されると、有底孔11の内表面を誘導加熱するものであるが、その誘導加熱を有底孔11内で万遍なく行うために、ソレノイド形の加熱コイル21は金属条線が筒状に捲回形成され、ヘアピン状の加熱コイル22は金属条線がU字状に折曲形成されている。
また、このような加熱コイル21,22にあってはコイル長手方向の中央部に磁束が集中するため、有底孔11の昇温状態をみると、孔軸線方向の中央部が最高温度になり、そこを含む中間部は昇温しやすいが、有底孔11の入口部分・根元側や孔底部分・先端側は昇温しにくい。特に孔底近傍は熱伝導で周囲へ熱が逃げやすいため温度が上がり難い。そこで、誘導加熱時の温度分布の均一化を図るため、ソレノイド形の加熱コイル21では不等ピッチ化や移動加熱さらには渦巻形化などが加味され、ヘアピン状の加熱コイル22では二体のU字面の向き合わせ配置や孔軸線中心の方位切換あるいは回転などが加味される。
特開平6−315753号公報 特開平9−143550号公報
しかしながら、このような従来の有底孔内表面加熱用誘導子では、有底孔の孔軸線方向の温度分布における最高温度と最低温度との温度差が100℃以上になることも多々あり、その温度差を50℃程度に収められれば良い方であった(特許文献2の段落0026など参照)。
一方、金型の高精度化や成型処理の高速化などに伴って金型の熱処理に関する要求仕様が厳しくなっている。具体的には、たとえば焼入れ硬さHRC50程度の金型を対象として、水冷孔部分の焼戻し硬さを、水冷孔の入口から孔底の最奥まで、HRC30〜35の範囲に収めるといったことが求められる。この仕様を加熱温度に直すと、温度差を30℃程度に収めることが必要となる。
金型の水冷孔の焼戻しを目的とするような場合、最適加熱温度が700℃〜800℃の間にあって材料のA変態点(約780℃)を跨ぐこととなって、比透磁率が温度によって大きく変化するので、電路を一系統しか具えていない誘導子では、水冷孔の孔軸線方向に温度むらが生じたときに調整することができない。
さらに、孔形状の急変部である孔底近傍では、入熱の困難さと熱の散逸とが複雑に絡み合って、温度分布の調整が一層困難であり、コイル電流を強めるといった処置だけでは改善できない要素を孕んでいる。因みに、コイルの展開長の長いソレノイド型コイルの場合、コイル電流を増やすと、コイル冷却のため金属条線の中空に通す水等の冷媒が過熱しやすいので、コイル電流の増強自体に限界が来る。
そこで、有底孔の内表面を誘導加熱するに際して孔軸線方向の温度分布の均一度を向上させるべく、ソレノイド型コイルともヘアピン状コイルとも異なる新規形状の誘導子であって、孔底近傍を十分強く加熱するとともに残部を適度に加熱することのできる有底孔内表面加熱用誘導子を案出することが技術的な課題となる。
本発明の有底孔内表面加熱用誘導子(当初請求項1)は、このような課題を解決するために創案されたものであり、金属部材に穿設されている細長い有底孔の内表面を誘導加熱するための孔内挿入型の有底孔内表面加熱用誘導子であって、前記有底孔内で孔底近傍区間の加熱を受持つ先端側作用部と残部区間の加熱を受持つ根元側作用部とを有し、その先端側作用部は、前記有底孔内で孔軸線と直交する(即ち自己の長手方向と直行する)方位の磁束が生じる姿勢で組込まれた多重巻線輪を具え、更にこの多重巻線輪内に磁心を(なるべく孔底寄りで)偏心配置したものである、ことを特徴とする。
また、本発明の有底孔内表面加熱用誘導子(当初請求項2)は、上記の当初請求項1記載の有底孔内表面加熱用誘導子であって更に、前記先端側作用部の長さを前記有底孔の直径の2〜5倍とした、ことを特徴とする。
さらに、本発明の有底孔内表面加熱用誘導子(当初請求項3)は、上記の当初請求項1,2記載の有底孔内表面加熱用誘導子であって更に、前記先端側作用部は、前記多重巻線輪の孔底面対向側の捲回軌道を、孔底面と0.5〜1.5mmの範囲の全域均等な間隔で対向させうる軌道としたものである、ことを特徴とする。
また、本発明の有底孔内表面加熱用誘導子(当初請求項4)は、上記の当初請求項1〜3記載の有底孔内表面加熱用誘導子であって更に、前記先端側作用部は、前記多重巻線輪を構成する金属条線の断面形状を、少なくとも孔底面対向側に関しては、扁平な断面形状としたものである、ことを特徴とする。
また、本発明の有底孔内表面加熱用誘導子(当初請求項5)は、上記の当初請求項1〜4記載の有底孔内表面加熱用誘導子であって更に、前記先端側作用部と前記根元側作用部とを、金属製のチューブを一筆書き状に連ねて構成した、ことを特徴とする。
このような本発明の有底孔内表面加熱用誘導子(当初請求項1)にあっては(図1参照)、有底孔の孔軸線方向すなわち誘導子自体の長手方向にみて、有底孔の入口部分から中間部分までの第一区間52の加熱を受持つ根元側作用部が、捲回の無い又は少ない金属条線からなる。また、孔底近傍のうちの孔入口寄りの第二区間53および孔底寄りの第三区間54の加熱を受持つ先端側作用部が、捲回された金属条線からなり、この部分の金属条線すなわち多重巻線輪が孔軸線と直交する方位の磁束が生じる姿勢で組込まれている。さらに、上記第三区間には、多重巻線輪内の孔底寄りに磁心が偏心配置されている。
このように誘導子を長手方向(孔軸線方向)で構造の異なる三つの区間に区分して磁束密度が緩やかに変化するように構成し、且つ金属条線の捲回態様の切換えと磁心配置の有無とによって磁束密度を三段階に仕分けことにより、熱が逃げやすい孔底・孔奥(第三区間)には、それに見合う高密度で入熱がなされ、その近傍(第二区間)には、それより少ないがやはり散熱程度に見合う中密度で入熱がなされ、孔入口や中間部分(第一区間)には、さらに少ない低密度であるがやはりそこの散熱程度に見合う入熱がなされる。
したがって、この発明によれば、孔底近傍を十分強く加熱するとともに残部を適度に加熱することのできる有底孔内表面加熱用誘導子を実現することができる。
また、そのような誘導子の構造を前提として誘導加熱時の有底孔内表面における孔軸線方向の昇温均一度を向上させるには、先端側作用部の長さを有底孔の直径の2〜5倍とすることや(当初請求項2)、先端側作用部における多重巻線輪の孔底面対向側の捲回軌道を孔底面と0.5〜1.5mmの範囲の全域均等な間隔で対向させうる軌道とすることが(当初請求項3)、有効である。また、孔底面への入熱を増強するには、先端側作用部において多重巻線輪を構成する金属条線の断面形状を少なくとも孔底面対向側に関しては扁平な断面形状にして、金属条線内電流の電束分布を孔底面側に寄せるように絞り込むことが(当初請求項4)、有効である(図6参照)。また、そのような誘導子の構造を前提として、先端側作用部と根元側作用部とにおける金属条線については、金属製のチューブを一筆書き状に連ねて構成することにより、従来品同様の容易さで、より高性能な誘導子を製造することができる。
本発明の有底孔内表面加熱用誘導子の一実施形態について、その構成を、図面を引用して説明する。図1は、有底孔内表面加熱用誘導子である加熱コイル30の構造を示し、(a)が側面図、(b)が正面図、(c)がAA断面矢視図、(d)がBB断面矢視図、(e)が磁心34を省いたBB断面矢視図、(f)が有底孔11周囲の縦断面および加熱コイル30の模式図である。
加熱コイル30は、金属部材10に穿設されている細長い有底孔11の内表面を誘導加熱するため有底孔11の中に挿入されるので(図1(f)参照)、既述した加熱コイル21,22と同様、孔内挿入型として有底孔11に対応した外形寸法にされるが、例えば孔内面とのクリアランスが側面とは1mm程度で底面とは0.5mm程度になるような外形寸法にされるが、具体的形状が、ソレノイド型コイルでもなく、ヘアピン状コイルでもない、言わば変則形態コイルとなっている(図1(a)〜(e)参照)。
詳述すると、加熱コイル30は金属条線31と磁心34とを組み合わせたものであり、金属条線31には、電気伝導に優れ冷媒を流せる丸い銅管(金属製チューブ)が多用され、加熱対象の有底孔11の内径に応じて適宜な径が選定されるが、外径1.5〜6mm程度の小径の銅管が使いやすい。また、金属条線31の表面には、電気絶縁および輻射熱遮断のため、例えばアルミナ系塗料が塗布されている。磁心34には、強磁性体が採用され、材質としては、体積固有抵抗が常温で10Ω・cm(=100000Ω・cm)以上のものが、渦電流発熱を小さくできる点で望ましい。
磁心34の形状は、有底孔11の孔底およびその極近傍(第三区間)に横向きで納まるよう、短い丸棒状や,微小なビヤ樽状になっている。
金属条線31は一筆書き状に連なる一本物であるが、その形状は、有底孔11内で孔底近傍区間(第三区間+第二区間)の加熱を受持つ先端側作用部33と、残部区間(第一区間)の加熱を受持つ根元側作用部32とで異なる。
すなわち、根元側作用部32では、金属条線31が、有底孔11の内表面に沿って有底孔11の軸線とほぼ平行に走る直線状態で、二本並んでいる。また、先端側作用部33では、金属条線31が捲回されて多重巻線輪となっている。この多重巻線輪は、有底孔11内で孔軸線と直交する方位すなわち加熱コイル30の長手方向と直交する方位の磁束が生じる姿勢で組込まれた長円形状の捲回部であり、孔底形状に適合させつつクリアランスがばらつかないよう留意して3〜4回程度の複数巻きとするのが望ましい。また、その際、先端側作用部33の長さは有底孔11の直径の2〜5倍にすると良い。
さらに、そのような先端側作用部33のうち磁心34の偏心配置される最奥部分では、多重巻線輪の折り返し部分をなす金属条線31が、有底孔11の底面との対向面積を増やすと同時に対峙距離を均等に縮めるよう、扁平な断面形状に変形加工されている。また、この部分では、上述したようにクリアランスを均等にすべく、半球状・半円U字状になっている有底孔11の孔底に適合させて、金属条線31の折り返し位置を調整しており、孔軸線上やその近くでは折り返し位置が先端側へ突出ぎみになっているが孔軸線から離れたところでは折り返し位置が根元側へ後退ぎみになっている。このような先端側作用部33は、その多重巻線輪の孔底面対向側の捲回軌道が、有底孔11の孔底の半球面(凹面)よりも上記クリアランス分だけ曲率半径の小さい半球面を倣っていて、孔底面と0.5〜1.5mmの範囲の全域均等な間隔で対向させうる軌道となっている。
なお、金属条線31の多重巻線輪の内側に磁心34を偏心配置で組み込むためには、磁心34に金属条線31を巻き付けるようにして金属条線31の多重巻線輪の捲回形成と磁心34の偏心配置とを同時に行っても良く、金属条線31の多重巻線輪の捲回形成より磁心34の偏心配置を後にして多重巻線輪の先端部に磁心34を嵌め込むのでも良い。
また、図示の加熱コイル30は、図示の便宜上、根元側作用部32より先端側作用部33が長くなっているように画いているが、実際には、先端側作用部33より根元側作用部32の長いことが多い。
この実施形態の有底孔内表面加熱用誘導子すなわち変則形態の加熱コイル30について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図1(f)及び図2は、加熱コイル30の使用状態を示し、図1(f)が有底孔11周囲の縦断面および加熱コイル30の模式図、図2(a),(b)がBB断面矢視相当の横断面図、図2(c)が有底孔11周囲の縦断面および加熱コイル30の正面図、図2(d),(e)がBB断面矢視相当の横断面図である。
変則形態の加熱コイル30も(図1(f)参照)、既述の加熱コイル21,22同様、焼入れした金属部材10(金型等)に穿設されている細長い有底孔11(水冷孔等)の内表面を誘導加熱するために、金属条線31の両通電端が高周波電源20(高周波誘導加熱装置)に接続されるとともに、磁心34配置側を先にして有底孔11の中に挿入される。その際、加熱コイル30の先端を有底孔11の底面との距離0.5mm程度のところまで進めて、金属条線31に流れる高周波電流を孔底に近づけ、その近接効果を利用して、孔底およびその近傍に生じる磁力や誘導電流を増強させるようにする。加熱コイル30と有底孔11の側面との距離は何処も1mm程度で出来るだけ均等に維持する。
その状態で(図2参照)、金属条線31に高周波通電がなされると、磁心34のところには多くの磁束35が集中し(図2(a)参照)、その高密な磁束35が有底孔11の底部近傍の半球面部・半円U字状部分やそこより少し中間寄りの辺に分布する。これにより、有底孔11の孔底近傍には、高密度で大きな入熱がなされて、ほぼ楕円状の横断面を持った加熱領域12が発現する(図2(b)参照)。また、その加熱領域12を孔軸線方向に縦断面で見ると、有底孔11の孔底近傍から孔入口にかけて徐々に加熱領域12が小さくなる(図2(c)参照)。
このような通電加熱状態を継続しながら、加熱コイル30を有底孔11の孔軸線を中心に方位切換させると(図2(d)参照)、加熱領域12の重畳領域が円輪状になることから、有底孔11の内表面への入熱分布状態が横断面上で周方向に均一化されるので、有底孔11の内表面の昇温は周方向に均一になる。ここで、加熱コイル30の方位切換は、90゜の切換を1回または2n+1回(nは自然数)行えば良い。2n+1回の場合は、給電系との取合の点で、往復動作によって切換えるのがよい。また、有底孔11の孔軸線方向については、有底孔11の内表面への入熱量が、孔底近傍では大きく、そこから孔入口へかけて漸減するが、その変化が熱の散逸程度の変化と概ね釣り合うので、有底孔11の内表面の昇温は軸線方向にもほぼ均一になる。
なお、高周波電源20から加熱コイル30に供給する高周波通電の周波数は、30kHz〜100kHz程度が多用される。電路をなす金属条線31の径が小さいほど、金属条線31の表層に電流を流して磁力を発生させて有底孔11の孔底近傍の昇温効率を良くするために、高い周波数が用いられる。また、極性の異なる電路から発生する磁束の相互打消し合いが生じないような周波数の選定もなされる。
本発明の有底孔内表面加熱用誘導子の他の実施形態について、その構成を、図面を引用して説明する。図3は、(a),(b)何れも有底孔11周囲の縦断面および変則形態の加熱コイル40(誘導子)の模式図であり、(a)が変則形態コイル40の使用状態、(b)がヘアピン状コイル22の使用状態を示している。
この変則形態コイル40が上述した加熱コイル30と相違するのは、金属条線31の形状が一部変更されている点と、加熱時にヘアピン状の加熱コイル22が併用される点である。このような併用は、単独でも十分な均一昇温を得るために加熱コイル40の調整を重ねたのではコスト面で不利になる場合や時間的に間に合わない場合などに、行われる。
金属条線31の形状は(図3(a)参照)、上述したのと根元側・穴入口側のところで異なっており、並走する二本の距離が近づけられている。そのため、変則形態コイル40は、上述の根元側作用部32に相当する第一区間の部分が、根元側・穴入口側の加熱を受持つ孔入口加熱部42と、中間部分の加熱を受持つ孔中間加熱部43とに細区分され、孔入口加熱部42の加熱力が弱くなっている。孔中間加熱部43は上述の根元側作用部32と同じままであり、穴底近傍の加熱を受持つ孔奥加熱部44も、上述の根元側作用部32と同じで、タテ巻の多重巻線輪やその中に偏心配置の磁心34を具えている。
この場合、先ず(図3(a)参照)変則形態コイル40を使用して有底孔11の穴底近傍を重点的に加熱し、それから直ちに(図3(b)参照)変則形態コイル40に代えてヘアピン状の加熱コイル22を有底孔11の中に挿入して、有底孔11の入口部分や中間部を重点的に加熱する。
これにより、有底孔11の内表面の昇温を周方向にも軸線方向にも均一に行える誘導加熱が容易に具現される。
本発明の有底孔内表面加熱用誘導子(変則形態コイル)の実施例1について、図面を引用して説明する。図4は、(a)が有底孔11内の測定点を示し、(b)が測定結果の表である。上述の変則形態コイル30と、金型に見立てた温度測定用の金属部材10とを試作して、昇温状態を確かめた。
金属部材10には、金型に適したSKD61材を長さ300mm×高さ200mm×幅80mmのブロックに切り出したものを採用し、それに直径15mmで深さ150mmの有底孔11を縦に穿ち(図4(a)参照)、さらに、そのブロック全体に焼入れ処理と焼戻し処理を施した。その表面の硬さはHv470〜480(HRC47〜48)であった。また、有底孔11の先端部・底面部分は、応力集中を避けるために半球面状に丸く仕上げ、有底孔11の内壁には、温度測定のため、熱電対を埋設した。
具体的には、有底孔11の最奥の測定点11a(孔底から0mm)や,底面から側面に遷移する測定点11b(孔底から7.5mm),その上方の数カ所の測定点11c(孔底から15mm),11d(孔底から20mm),11e(孔底から25mm),根元側作用部32と先端側作用部33との境目のところの測定点11f(孔底から50mm)に、熱電対を設置した。
変則形態コイル30は、金属条線31には直径2.5mmの銅管が採用され、磁心34には、体積固有抵抗が常温で10Ω・cm(=1000000Ω・cm)のフェライト(鉄系酸化物)が採用され、多重巻線輪の巻き数は3回で、その多重巻線輪の縦方向長さ即ち先端側作用部33の長さは50mm弱である。ただし、金属条線31の断面形状は、多重巻線輪の孔底面対向側も含めて、円形のままであり、扁平にはしなかった(直径が3.0mm以上の金属条線を用いる場合には、短径を2.0〜2.5mmにする扁平化を行って、孔底面への入熱を強化することが望ましい)。
このような変則形態コイル30を有底孔11に挿入して高周波通電を行い、次いで、変則形態コイル30の方位を90゜進めた上で再度高周波通電を行った。その周波数は60kHzで電力は5kWであった。
そして、温度を測定したところ、約100℃/分で昇温したので、測定点11fが760℃に達したところで、昇温加熱は止め、供給電力を下げて温度保持に移行した。11分間の温度保持の後、自然放冷させて、軟化処理を行った。温度保持から自然放冷に移る時点の温度分布は(図4(b)参照)、各測定点11a〜11fで、それぞれ740℃,760℃,760℃,770℃,758℃,760℃となっており、その温度差30℃は目標の温度差30℃を満たしたものとなっている。
本発明の有底孔内表面加熱用誘導子の実施例2について、図面を引用して説明する。図5は、(a)が有底孔11内の測定点11a,11b,11fを示し、(b)が測定結果の表である。
上述した実施例1とほぼ同様の条件で、本発明の変則形態コイル30と従来のソレノイド形の加熱コイル21とヘアピン状の加熱コイル22とを対比させる測定を行った。
ここでは、孔径Dが直径15mmの場合と11.5mmの場合とで測定を行って、本発明の変則形態コイル30同士の比較と、本発明の変則形態コイル30と従来のヘアピン状の加熱コイル22との比較と、本発明の変則形態コイル30と従来のソレノイド形の加熱コイル21との比較とを行った。
何れの場合も、測定点11fを760℃に昇温保持したときの測定点11a,11bの温度を測定した。
その結果、ソレノイド形の加熱コイル21では測定点11aが560℃で温度差が200℃ほど有り、ヘアピン状の加熱コイル22では測定点11bが610℃で温度差が150℃ほど有ったのに、本発明の変則形態コイル30にあっては、測定点11a,11bの温度が悪い方でも740℃,730℃に達しており、温度差が20℃,30℃で目標の30℃に収まっている。
本発明の一実施形態について、有底孔内表面加熱用誘導子の構造を示し、(a)が側面図、(b)が正面図、(c)がAA断面矢視図、(d)がBB断面矢視図、(e)が磁心を省いたBB断面矢視図、(f)が有底孔周囲の縦断面および誘導子の模式図である。 有底孔内表面加熱用誘導子の使用状態を示し、(a),(b)がBB断面矢視相当の横断面図、(c)が有底孔周囲の縦断面および誘導子の正面図、(d)がBB断面矢視相当の横断面図である。 本発明の他の実施形態について、(a),(b)何れも有底孔周囲の縦断面および誘導子の模式図であり、(a)が変則形態コイルの使用状態、(b)がヘアピン状コイルの使用状態を示している。 本発明の実施例1について、(a)が有底孔内の測定点を示し、(b)が測定結果の表である。 本発明の実施例2について、(a)が有底孔内の測定点を示し、(b)が測定結果の表である。 金属条線の孔底面対向部における電流状態を対比して示し、(a)が丸いままの断面形状のとき、(b)が扁平な断面形状としたときである。 従来の有底孔内表面加熱用誘導子を示し、(a)がソレノイド型コイル、(b)がヘアピン状コイルである。
符号の説明
10 金属部材(焼入部品、金型)
11 有底孔(加熱対象孔、焼戻し部、水冷孔)
11a,11b,11c,11d,11e,11f 測定点
12 加熱領域
20 高周波電源(誘導加熱用電源装置)
21 加熱コイル(有底孔内表面加熱用誘導子、ソレノイド型コイル)
22 加熱コイル(有底孔内表面加熱用誘導子、ヘアピン状コイル)
30 加熱コイル(有底孔内表面加熱用誘導子、変則形態コイル)
31 金属条線(金属製チューブ)
32 根元側作用部
33 先端側作用部
34 磁心
35 磁束(孔軸線と直交方位)
40 加熱コイル(有底孔内表面加熱用誘導子、変則形態コイル)
42 孔入口加熱部
43 孔中間加熱部
44 孔奥加熱部
52 第一区間
53 第二区間
54 第三区間

Claims (5)

  1. 金属部材に穿設されている細長い有底孔の内表面を誘導加熱するための孔内挿入型の有底孔内表面加熱用誘導子であって、前記有底孔内で孔底近傍区間の加熱を受持つ先端側作用部と残部区間の加熱を受持つ根元側作用部とを有し、その先端側作用部は、前記有底孔内で孔軸線と直交する方位の磁束が生じる姿勢で組込まれた多重巻線輪を具え、更にこの多重巻線輪内に磁心を偏心配置したものである、ことを特徴とする有底孔内表面加熱用誘導子。
  2. 前記先端側作用部の長さを前記有底孔の直径の2〜5倍とした、ことを特徴とする請求項1記載の有底孔内表面加熱用誘導子。
  3. 前記先端側作用部は、前記多重巻線輪の孔底面対向側の捲回軌道を、孔底面と0.5〜1.5mmの範囲の全域均等な間隔で対向させうる軌道としたものである、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された有底孔内表面加熱用誘導子。
  4. 前記先端側作用部は、前記多重巻線輪を構成する金属条線の断面形状を、少なくとも孔底面対向側に関しては、扁平な断面形状としたものである、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載された有底孔内表面加熱用誘導子。
  5. 前記先端側作用部と前記根元側作用部とを、金属製のチューブを一筆書き状に連ねて構成した、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載された有底孔内表面加熱用誘導子。
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