JP2007282340A - モータ用固定子コアの焼鈍方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】固定子コアを磁場焼鈍するにあたり、加熱後の冷却過程において磁場印加の効果を維持しつつ適切な冷却を行って、効果的に磁場焼鈍することのできる方法を確立する。
【解決手段】固定子コア1のティース部12の各スロットにティース部12と絶縁状態にした導体2を配設するとともに、ティース部12の内周面側に円筒状の強磁性体3を装着し、隣り合う導体2の片端部どうしを電気的に接続して導体2に直流電流を流したときにティース部12とヨーク部11と強磁性体3とで閉磁路が形成される構成とし、この固定子コア1をキュリー点以上の温度に加熱し、その後の冷却過程においてキュリー点直上の温度から350℃までの温度範囲において、導体2に直流電流を流して固定子コア1に対し磁場の強さが10000A/m〜1000A/mの範囲内で強磁場と弱磁場を交互に繰り返し印加する。
【選択図】図1
【解決手段】固定子コア1のティース部12の各スロットにティース部12と絶縁状態にした導体2を配設するとともに、ティース部12の内周面側に円筒状の強磁性体3を装着し、隣り合う導体2の片端部どうしを電気的に接続して導体2に直流電流を流したときにティース部12とヨーク部11と強磁性体3とで閉磁路が形成される構成とし、この固定子コア1をキュリー点以上の温度に加熱し、その後の冷却過程においてキュリー点直上の温度から350℃までの温度範囲において、導体2に直流電流を流して固定子コア1に対し磁場の強さが10000A/m〜1000A/mの範囲内で強磁場と弱磁場を交互に繰り返し印加する。
【選択図】図1
Description
本発明は、無方向性電磁鋼板を素材とするモータ用固定子コアの焼鈍方法に関する。
近年、モータ用固定子コアの磁気特性の向上策として、固定子コアを磁場中で焼鈍する方法が提案されている。
たとえば特許文献1には、鋼片内の2以上の方向に励磁される電磁鋼鋼片を有する鉄芯の、電磁鋼鋼片をその励磁方向と同じ方向の磁場中で焼鈍する方法が記載されている。また、特許文献2には、鉄芯に磁界を印加しながら焼鈍する方法において、鉄芯に印加する磁界をコイルによって発生するとともに、コイルからの発熱若しくはコイルからの高周波磁場印加によって鉄芯を加熱して焼鈍する方法が記載されている。また、特許文献3には、無方向性電磁鋼板を素材として製作されたモータ用固定子コアを焼鈍するに際して、加熱後の固定子コアの冷却過程においてキュリー点直上の温度から300℃までの温度範囲において固定子コアに対してモータ駆動時の固定子の励磁方向と同じ方向に磁場を印加する焼鈍方法が記載されている。
モータ用固定子コアを磁場中で焼鈍することにより、鉄損が改善されるなどの磁気特性の向上が得られることは十分に考えられ、そのために、コアの形状に対応した各種の装置を使用した磁場焼鈍の検討が行われてきた。しかし現状では、素材特性および焼鈍条件と焼鈍後の鉄芯の磁気特性との関係についての解明が不十分であったり、また、コアの形状に対応した装置の構成や磁場の印加条件が不適切であったりして、最適な焼鈍方法とそれを実施するための装置構成は未だ確立されていないのが実状である。
前記の特許文献1,2で提案されている鉄芯の磁場中焼鈍においては、素材特性および焼鈍条件と焼鈍後の鉄芯の磁気特性との関係に関して十分な解明がなされていない。また特許文献1には実施例の一つとして、本発明の対象とするモータ用固定子コアの磁場中焼鈍の例が記載されているが、この実施例の装置構成では、固定子コアに対して強い磁場を印可することはできず、磁場焼鈍の効果を十分に発揮させることはできない。また特許文献3で提案されている固定子コアの焼鈍方法においては、素材特性および焼鈍条件と焼鈍後の鉄芯の磁気特性との関係に関しては十分な解明が行われているが、この実験検討においては、固定子コアをリング状の形状のものとして、それに見合った装置を使用して実験検討が行われており、焼鈍装置の構成の面からみると、実際の固定子コアへの磁場印加を想定した構成とはなっておらず、また、実用的に効果のある印加磁場の強度とコアの冷却調整の手法に関してなんら触れられてはおらず、いわゆる学術的基礎実験の範囲にとどまっている。
本発明では、ヨーク部と複数のティース部を有するモータ用固定子コアを対象とし、この固定子コアを磁場焼鈍するにあたり、加熱後の冷却過程において磁場印加の効果を維持しつつ適切な冷却を行って、効果的に磁場焼鈍することのできる方法を確立することを目的とする。
本発明に係るモータ用固定子コアの焼鈍方法は、環状のヨーク部とこのヨーク部から半径方向に突出した複数のティース部を有する形状に打ち抜かれた無方向性電磁鋼板を積層して製作されたモータ用固定子コアを焼鈍する方法であって、固定子コアのティース部の各スロットにティース部と絶縁状態にした導体を配設するとともに、ティース部の内周面側に円筒状の強磁性体を装着し、隣り合う前記導体の片端部どうしを電気的に接続して同導体に直流電流を流したときに前記固定子コアのティース部とヨーク部と前記強磁性体とで閉磁路が形成される構成とし、前記固定子コアをキュリー点以上の温度に加熱し、その後の冷却過程においてキュリー点直上の温度から350℃までの温度範囲において、前記導体に直流電流を流して前記固定子コアに対し磁場の強さが10000A/m〜1000A/mの範囲内で強磁場と弱磁場を交互に印加することを特徴とするモータ用固定子コアの焼鈍方法である。
ヨーク部と複数のティース部を有するモータ用固定子コアを焼鈍するに際して、固定子コアのティース部の各スロットにティース部と絶縁状態にした導体を配設するとともに、ティース部の内周面側に円筒状の強磁性体を装着し、隣り合う導体の片端部どうしを電気的に接続することにより、加熱後の冷却過程において導体に直流電流を流したときに固定子コアのティース部とヨーク部と円筒状の強磁性体とで閉磁路が形成され、これによって、固定子コアに対する印加磁場の方向がモータ駆動時の固定子の励磁方向と同じ方向となり、固定子コアの結晶内の磁区の磁化方向がモータ駆動時の固定子の励磁方向に近い方向となる。その結果、固定子を励磁したときに固定子コアの磁区が容易に励磁方向に向くようになり、磁束密度が高くなってヒステリシス損が減少し、固定子の全鉄損を向上させるとともに、モータ出力を向上させることができる。
また、固定子コアのティース部の各スロットに配設した導体に直流電流を流して固定子コアに磁場を印可する構成とすることにより、加熱後の冷却過程において、固定子コアに対して強い磁場を印加することができ、磁場焼鈍の効果をより高めることができる。さらに、導体に流す直流電流を増減して固定子コアに対し磁場の強さが10000A/m〜1000A/mの範囲内で強磁場と弱磁場を交互に印加することにより、強磁場の印加による磁場焼鈍の効果を、弱磁場を印加することで維持しつつ、固定子コアの冷却を促進し、強磁場の印加時の発熱と弱磁場の印加時の冷却とをバランスさせて、固定子コアを適正な冷却速度で均一に冷却することができる。
固定子コアを磁場中で焼鈍することにより固定子コアの磁化特性が向上するメカニズムは、つぎのように言われている。すなわち、固定子コア自体を構成する各結晶内の複数の磁区は、固定子コアの焼鈍時にキュリー点以上の温度でいったん消失し、キュリー点より低い温度に冷却したときに再現するが、この再現した複数の磁区の磁化方向が、冷却過程で磁場が印加されていることによって、大部分の磁区が印加磁場の方向に向き、その後350℃前後で磁場印加を断つと、磁区の磁化方向はそれまでの印加磁場の方向に三次元的に一番近い磁化容易軸方向に原則的に固定する。さらに、磁場を印加するときに、固定子コアに対する印加磁場の方向をモータ駆動時の固定子の励磁方向と同じ方向とすることにより、上記の固定された磁区の磁化方向がモータ駆動時の固定子の励磁方向に近い方向となるので、固定子を励磁したときに固定子コアの磁区が容易に励磁方向に向くようになり、磁束密度が高くなる。これによって、ヒステリシス損が減少して固定子の全鉄損を向上させるとともに、モータ出力を向上させることになる。
本発明においては、ヨーク部と複数のティース部とからなる固定子コアを対象としているので、このような形状の固定子コアに適した構成の焼鈍装置を使用すること、および、加熱後の冷却過程において固定子コアへの磁場の印加と冷却のコントロールを適切に行うことが重要となる。このため本発明の焼鈍方法においては、まず、固定子コアのティース部の各スロットに、スロットに挿入可能な最大断面積でかつティース部と絶縁状態にした導体を1個配設するとともに、ティース部の内周面側に円筒状の強磁性体を装着し、隣り合う導体の片端部どうしを電気的に接続して、この導体に直流電流を流したときに固定子コアのティース部とヨーク部と強磁性体とで閉磁路が形成される構成とした装置を使用する。
ここで、固定子コアのティース部の各スロットに配設する導体としては、棒線状または板状の銅製のものが適している。この導体には絶縁皮膜を施し、導体とティース部とを電気的に絶縁する。焼鈍時の加熱工程で固定子コアと導体はともに750℃程度に加熱されるので、導体の絶縁皮膜はこの程度の温度でも絶縁状態を維持できるように、セラミック被膜とするのが望ましい。これらの導体は、隣り合う導体を1組として、2個の導体の片端部どうしを電気的に接続し、一方の導体から他方の導体に直流電流が流れるようにし、同様にして全部の組の導体に直流電流が流れるようにする。
ティース部の内周面側に装着する円筒状の強磁性体は、ティース部の各スロットに配設した導体に直流電流を流したときに、固定子コアのティース部とヨーク部と強磁性体とで閉磁路が形成されるようにするためのものである。このような閉磁路が形成されることによって、導体に直流電流を流したときに固定子コアに印可される磁場の方向が、モータ駆動時の固定子の励磁方向と同じ方向となるのである。この強磁性体の材質や製作方法はとくに限定されるものではないが、固定子コアのティース部と接触ないし近接した状態で加熱され冷却されるので、固定子コアよりは熱膨張係数が小さい材質であることが望ましい。たとえば、固定子コアの素材である無方向性電磁鋼板よりも熱膨張係数の小さい無方向性電磁鋼板をリング状に打ち抜き、これを積層して円筒状としたものを使用することができる。
このように固定子コアに導体を配設し、強磁性体を装着した構成としたうえで、固定子コアをキュリー点以上の温度に加熱し、その後の冷却過程において、キュリー点直上の温度から350℃までの温度範囲において、導体に直流電流を流して固定子コアに磁場を印可するのであるが、本発明においては、固定子コアに対して、強磁場と弱磁場を交互に印加することを特徴とする。ここで、強磁場を印可するときには、磁場の強さが10000〜7000A/mとなるように導体に直流電流を流し、弱磁場を印可するときは、磁場の強さが1000〜3000A/mとなるように導体に直流電流を流すのが望ましい。冷却過程において強磁場と弱磁場を交互に固定子コアに印加するのは、以下の理由による。
本発明者らの実験の結果により、磁場を印加することによって、磁場を印加しない場合に比べて固定子コアの磁化特性が1.5倍以上向上するような効果を得るためには、印可する磁場の強さが10000〜7000A/mの範囲が望ましい、ということが確認された。ここで、10000A/mより強い磁場を印可しても磁化特性の向上効果は飽和するので、上記の範囲とするのが好ましい。しかし、このような強い磁場を連続して印可するように導体に大きな電流を連続して流すと、導体の発熱が大きくなり、固定子コアの冷却が阻害されることになる。一方、本発明者らの実験の結果によれば、磁化特性の向上効果は強磁場の連続印加でなくても、強磁場を印加した後に1000A/m以上の磁場を印加しておけば、強磁場の印加による向上効果を維持できることが確認された。このことは、磁場焼鈍による磁化特性の向上効果が、当該固定子コアを使用したモータの駆動時に加えられる磁場の強さが1000A/m未満の領域でのみ現れる、ということとも密接な関係を有している。それ故、強磁場を印可した後に弱磁場を印可して固定子コアの冷却を進行させ、固定子コアに強磁場と弱磁場を交互に繰り返し印加することにしたのである。また、固定子コアの形状寸法によっては、導体の断面積を大きくすることができて導体の発熱の問題がないような場合でも、強磁場と弱磁場の交互印加は省エネルギの観点から有効な方式である。
さらに本発明者らの実験の結果によると、強磁場の印加は数秒程度の短時間であっても磁化特性の向上効果があることがわかった。また、強磁場の印加を止めた後でも10分間程度、1000〜3000A/mの磁場を印加しておれば、強磁場の印加による固定子コアの磁化特性向上効果が失われることなく、導体の温度を500℃程度下げることができる、ということが確認された。そこで、焼鈍の冷却過程において10000〜7000A/mの範囲の強磁場と1000〜3000A/mの範囲の弱磁場を交互に繰り返して固定子コアに印加することとし、これによって、磁場焼鈍の効果を維持しつつ、強磁場の印加時の発熱と弱磁場の印加時の冷却とをバランスさせて、固定子コアを適正な冷却速度で均一に冷却することが可能となるのである。
図1および図2は本発明の実施例における固定子コアの焼鈍時の構成を模式的に示す図であり、図1は固定子コアのティース部への導体の配設と強磁性体の装着状態を示し、図2は導体の配線状態を示す。図3は導体の実際の配設状態と強磁性体の実際の装着状態を示す部分平面図である。
図1は、被焼鈍材である固定子コア(以下、コアという)1のティース部12の各スロットに導体2を配設し、ティース部12の内周面側に円筒状の強磁性体(以下、内周リングという)3を装着した状態を平面的に視た模式図である。コア1は、環状のヨーク部11とこのヨーク部11から半径方向に突出した多数のティース部12を有する形状に打ち抜かれた無方向性電磁鋼板を積層して製作されたものである。図1では便宜的に、ティース部12は12個のみを示し、導体2は+または−の記号として示しているが、図3の部分拡大図に示すように、実際のティース部12は多数個あり、また導体2は板状の銅ブロックの表面にセラミック被膜を施したもので、ティース部12と同数個ある。内周リング3は、コア1の素材である無方向性電磁鋼板よりも熱膨張係数の小さい無方向性電磁鋼板をリング状に打ち抜き、これを積層して円筒状としたものである。
図2は、導体の配線状態を示す図であるが、これも便宜的に12個のティース部12を展開した状態でかつ2段に示し、ティース部12の各スロットに配設した導体2とそれぞれの導体間の配線を模式的に示している。
コア1の焼鈍を実施するに先立って、図1および図2に示すように、コア1のティース部12の各スロットに導体2を配設するとともに、ティース部12の内周面側に強磁性体3を装着し、隣り合う導体2の片端部どうしを電気的に接続した構成物を準備する。この構成物においては、導体2に直流電源DC(図2参照)から直流電流を流したときに、ティース部12とヨーク部11と内周リング3とで閉磁路C(図1参照)が形成され、これによって、加熱後の冷却時にコア1に印可される磁場の方向が、このコア1を使用したモータの駆動時の固定子励磁方向と同じ方向となる。
コア1の磁場焼鈍は、まず、上記の構成物を常法により750℃程度に均一に加熱する。そして、その後の冷却過程において、キュリー点直上の温度から350℃までの温度範囲において、導体2に直流電流を流してコア1に対し磁場の強さが10000A/m〜1000A/mの範囲内で強磁場と弱磁場を交互に繰り返し印加する。以下、実験例に基づいて具体的に説明する。
(実験条件)
コアの素材:A社製無方向性電磁鋼板35A250(JIS)
固有抵抗60μΩ・cm 板厚0.35mm
コアの寸法:外径250mm、内径150mm ティース数48個
導体:断面が5mm×16mmの銅板を各スロットに1個配設
内周リング:材質50A700(JIS) 外径約150mm、内径75mm
ティースとの隙間0.2mm
磁路の長さ:約100mm(図1の符号C参照)
加熱温度:750℃
磁場の印加:750℃〜350℃までの冷却過程で強磁場と弱磁場を交互に印加
強磁場:10000〜9000A/m(DC1000〜900Amp)で3〜10秒間(この通電によりコアの温度が700℃時で約20℃昇温)
弱磁場:1000〜3000A/m(DC100〜300Amp)で5〜30分間(この通電によりコアの温度が700℃時で約30〜50℃降温)
上記の強弱DC通電と炉の加熱源(AC50Hzヒータ)により、設定した目標焼鈍サイクルとなるようにコントロールした。
コアの素材:A社製無方向性電磁鋼板35A250(JIS)
固有抵抗60μΩ・cm 板厚0.35mm
コアの寸法:外径250mm、内径150mm ティース数48個
導体:断面が5mm×16mmの銅板を各スロットに1個配設
内周リング:材質50A700(JIS) 外径約150mm、内径75mm
ティースとの隙間0.2mm
磁路の長さ:約100mm(図1の符号C参照)
加熱温度:750℃
磁場の印加:750℃〜350℃までの冷却過程で強磁場と弱磁場を交互に印加
強磁場:10000〜9000A/m(DC1000〜900Amp)で3〜10秒間(この通電によりコアの温度が700℃時で約20℃昇温)
弱磁場:1000〜3000A/m(DC100〜300Amp)で5〜30分間(この通電によりコアの温度が700℃時で約30〜50℃降温)
上記の強弱DC通電と炉の加熱源(AC50Hzヒータ)により、設定した目標焼鈍サイクルとなるようにコントロールした。
(実験結果)
表1に実験結果を示す。表1の磁場の強さは、モータの駆動時に固定子に加えられる磁場の範囲内で、磁場焼鈍の効果が現れた範囲を重点的に取り上げている。表1には、上記の条件で焼鈍したコアに、これらの磁場を加えたときのコアの透磁率の数値を記載している。この透磁率は、磁場の強さと磁化特性との関係において、磁場焼鈍の効果を明確に表す指標となり得るものである。なお表1には、対照として通常の磁場なし焼鈍の場合と打ち抜きのまま(焼鈍なし)の場合の結果を併せて示す。図4は表1の結果を図示したものである。
表1に実験結果を示す。表1の磁場の強さは、モータの駆動時に固定子に加えられる磁場の範囲内で、磁場焼鈍の効果が現れた範囲を重点的に取り上げている。表1には、上記の条件で焼鈍したコアに、これらの磁場を加えたときのコアの透磁率の数値を記載している。この透磁率は、磁場の強さと磁化特性との関係において、磁場焼鈍の効果を明確に表す指標となり得るものである。なお表1には、対照として通常の磁場なし焼鈍の場合と打ち抜きのまま(焼鈍なし)の場合の結果を併せて示す。図4は表1の結果を図示したものである。
表1からわかるように、磁場焼鈍と磁場なし焼鈍で透磁率に差が出始めるのは、焼鈍後のコアに加えられる磁場の強さが1000A/m未満となるときである。なお、打ち抜きのままとの比較では、磁場の強さが1000A/mのときでも差が残っているが、これは打ち抜き加工時の歪みが残留しているためであり、磁場焼鈍の効果は磁場なし焼鈍との比較で論ずるのが至当である。本発明の方法により磁場焼鈍したコアは、磁場なし焼鈍の場合に比較して磁化特性が格段に向上しており、とくに、焼鈍後のコアに加えられる磁場の強さが50A/m付近での透磁率の値が1.5倍以上に向上している。また、図4の破線で示すように、透磁率が最大となる点が、磁場焼鈍を行うことによって低磁場側に移動している。このような低磁場における磁化特性の向上は、高周波電流によっても駆動される電気自動車用モータなどに使用される固定子コアの製造に本発明の焼鈍方法を適用したときに、モータの出力向上と小型化および鉄損の低減に寄与するところが大である。
本発明に係るモータ用固定子コアの焼鈍方法は、電気自動車用モータをはじめとする高周波電流により駆動されるモータに適用することにより、モータ特性(出力、鉄損)の向上に寄与する。
1 固定子コア
2 導体
3 強磁性体
11 ヨーク部
12 ティース部
C 閉磁路
2 導体
3 強磁性体
11 ヨーク部
12 ティース部
C 閉磁路
Claims (1)
- 環状のヨーク部とこのヨーク部から半径方向に突出した複数のティース部を有する形状に打ち抜かれた無方向性電磁鋼板を積層して製作されたモータ用固定子コアを焼鈍する方法であって、固定子コアのティース部の各スロットにティース部と絶縁状態にした導体を配設するとともに、ティース部の内周面側に円筒状の強磁性体を装着し、隣り合う前記導体の片端部どうしを電気的に接続して同導体に直流電流を流したときに前記固定子コアのティース部とヨーク部と前記強磁性体とで閉磁路が形成される構成とし、前記固定子コアをキュリー点以上の温度に加熱し、その後の冷却過程においてキュリー点直上の温度から350℃までの温度範囲において、前記導体に直流電流を流して前記固定子コアに対し磁場の強さが10000A/m〜1000A/mの範囲内で強磁場と弱磁場を交互に印加することを特徴とするモータ用固定子コアの焼鈍方法。
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Cited By (2)
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CN108390524A (zh) * | 2018-04-10 | 2018-08-10 | 昆山鸿仕达智能科技有限公司 | 一种马达定子整形机构 |
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