JP2007165807A - 磁石 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気的吸引力の増加を図ることが可能な磁石を提供する。
【解決手段】磁束Φによる磁気的吸引力を利用し、互いに離れて位置する2つの磁路部材、例えば固定磁路(例えば、一端側端部磁路3または軸方向磁路5)と可動磁路(例えば、プランジャー7)とを接離する磁石であって、機械構造用炭素鋼を焼鈍加工して得たものから成る磁路部材を適用する。前記の焼鈍加工においては、各磁路部材の全てに施しても良いが、各磁路部材の一部に対してのみ施しても良く、鉄鋼を再結晶温度(変態点の温度)以上の温度にて加熱(例えば、数時間加熱)した後、徐々に冷却(例えば、焼成炉内にて徐々に冷却)して行う。例えば、再結晶温度(750℃程度)〜950℃以下の範囲内で加熱を行ったものとする。
【選択図】図1
【解決手段】磁束Φによる磁気的吸引力を利用し、互いに離れて位置する2つの磁路部材、例えば固定磁路(例えば、一端側端部磁路3または軸方向磁路5)と可動磁路(例えば、プランジャー7)とを接離する磁石であって、機械構造用炭素鋼を焼鈍加工して得たものから成る磁路部材を適用する。前記の焼鈍加工においては、各磁路部材の全てに施しても良いが、各磁路部材の一部に対してのみ施しても良く、鉄鋼を再結晶温度(変態点の温度)以上の温度にて加熱(例えば、数時間加熱)した後、徐々に冷却(例えば、焼成炉内にて徐々に冷却)して行う。例えば、再結晶温度(750℃程度)〜950℃以下の範囲内で加熱を行ったものとする。
【選択図】図1
Description
本発明は、磁石に関するもの、例えば磁束発生手段からの磁束により2つの磁路部材が接離する磁石に関するものであって、特に前記の磁路部材の技術に係わるものである。
従来の遮断装置の電磁アクチェータ等の電磁石(例えば、特許文献1)においては、磁束による磁気的吸引力を利用し、互いに離れて位置する2つの磁路部材(磁性を有する部材;例えば、後述の一端側端部磁路とプランジャー)を接離して、その接離によって該遮断装置の開閉を行うことが可能な磁石である。
一般的な電磁石においては、複数の磁路部材、例えば、略筒状体の磁路本体と、その磁路本体の各端部を塞ぐように設けた端部磁路(以下、それぞれを一端側端部磁路,他端側端部磁路と称する)と、により該電磁石の磁路が構成される。また、必要に応じて、該一端側端部磁路から他端側端部磁路方向に突出する軸方向磁路(固定された磁路部材;すなわち、固定磁路あるいは固定鉄心と称することができる磁路部材)が、磁路の一部として構成される。前記の一端側端部磁路,他端側端部磁路,軸方向磁路には、それぞれ略同一軸心上に軸孔が穿設される。
前記のように構成された磁路内には、該磁路内で可動(前記の他端側端部磁路と軸方向磁路との間で可動)するプランジャー(可動する磁路部材;すなわち、可動磁路あるいは可動鉄心と称することができる磁路部材)が配置される。このプランジャーには、該プランジャーの可動方向に貫通するプランジャー軸が取付けられ、そのプランジャー軸は前記の各軸孔に挿入される。また、前記の一端側端部磁路と他端側端部磁路との間であって、プランジャー(あるいは、軸方向磁路およびプランジャー)の外周側には、磁束発生手段である励磁コイルや始動磁石が配置される。
前記のような電磁石の励磁コイルに給電すると、その給電によって磁束が発生して磁路内を透過(循環)し、プランジャーが磁気的吸引力により駆動して、一端側端部磁路(あるいは、軸方向磁路)とプランジャーとの対向する側の各面(以下、それぞれを対向面と称する)が互いに当接する。これにより、プランジャー軸の一端側に接続される負荷、例えば遮断器の操作器が駆動して該遮断器の開閉が行われる。
前記の操作器を速やかに駆動するためには、前記の磁気的吸引力を大きくすることが考えられ、例えば、起磁力(アンペアターン(A・T))を増加したり、強磁性元素を含む磁石合金(例えば、W鋼,Cr鋼,W−Cr鋼,Co鋼等)を用いて成る磁路部材、すなわち保磁力の高い磁石鋼を用いて成る磁路部材が、一般的に適用されている。
また、前記のような強磁性元素を含む磁石鋼は比較的高価なものが多く、製品コストの上昇を招く恐れがあることから、例えば比較的安価な鉄鋼(例えば、Feの他に例えばC,Si,Mn,P,S等の不純物を含有し一般的に市販されている鉄鋼)を用いて成る磁路部材(以下、鉄鋼磁路部材と称する)も、一般的に適用されている。
特開2002−8498号公報
前記のように、単なる鉄鋼を用いて成る鉄鋼磁路部材(例えば、市販の鉄鋼を単に形状加工して得た鉄鋼磁路部材)を適用した磁石は、前記の磁石合金のような保磁力を持たないため、十分な磁気的吸引力が得られなかった。
本発明は、強磁性元素を含む磁石合金や単なる鉄鋼を用いて成る鉄鋼磁路部材を適用するのではなく、機械構造用炭素鋼(JIS G4051)を焼鈍加工して得たものから成る鉄鋼磁路部材(以下、機械鋼磁路部材と称する)を適用した磁石に関するものである。
具体的には、請求項1に記載の発明は、複数の磁路部材から成る磁路を備え、各磁路部材のうち互いに離れて位置する2つの磁路部材を、磁束(例えば、磁束発生手段からの磁束)による磁気的吸引力により接離する磁石であって、前記の磁路部材のうち少なくとも何れか一つは、機械構造用炭素鋼を焼鈍加工して得た機械鋼磁路部材であることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の発明において、焼鈍加工は、各磁路部材のうち少なくとも何れかの一部(例えば、磁路のうち磁束が集中する部位)に対して施したことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記請求項1または2記載の発明において、焼鈍加工は、各磁路部材における各対向面(例えば当接面)側のうち少なくとも何れか一つに施したことを特徴とする請求項1記載の磁石。
請求項4記載の発明は、前記請求項1〜3記載の発明において、焼鈍加工における加熱工程の温度は、再結晶温度以上であることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、前記請求項1〜3記載の発明において、焼鈍加工における加熱工程の温度は、再結晶温度〜950℃であることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、前記請求項1〜5記載の発明において、焼鈍加工における加熱工程は、高周波加熱によることを特徴とする。
請求項1記載の発明では、磁路を構成する複数の磁路部材のうち少なくとも何れか一つが、焼鈍加工されていない鉄鋼よりも磁束が透過し易くなる。
請求項2記載の発明では、磁路を構成する各磁路部材のうち少なくとも何れかの一部(例えば、磁路のうち磁束が集中する部位)が、焼鈍加工されていない鉄鋼よりも磁束が透過し易くなる。
請求項3記載の発明では、磁路を構成する各磁路部材における各対向面(例えば当接面)側のうち少なくとも何れか一つが、焼鈍加工されていない鉄鋼よりも磁束が透過し易くなる。
請求項4記載の発明では、焼鈍加工された箇所(例えば、磁路を構成する複数の磁路部材のうち少なくとも何れか一つ、各磁路部材のうち少なくとも何れかの一部、または各磁路部材における各対向面側のうち少なくとも何れか一つ)において、結晶構造が十分に伸張されたものとなり、磁束が透過し易くなる。
請求項5記載の発明では、焼鈍加工された箇所(例えば、磁路を構成する複数の磁路部材のうち少なくとも何れか一つ、各磁路部材のうち少なくとも何れかの一部、または各磁路部材における各対向面側のうち少なくとも何れか一つ)において、磁気構造の歪みの無い(または、歪みの少ない)ものとなり、磁束が透過し易くなる。
請求項6記載の発明では、磁路を構成する複数の磁路部材のうち少なくとも何れか一つが、高周波加熱が施された程度に応じて、焼鈍加工されていない鉄鋼よりも磁束が透過し易くなる。
請求項1〜6記載の発明によれば、電流を増加させるまたは磁石コイルの巻数を増やさなくとも、磁束密度が向上する。したがって、従来と同等の起磁力を得るのであれば、電流またはコイルの巻数を減らすことができるので、該起磁力を発生させるための電源回路の電源容量を小さくできると共にコイルの巻線断面積を減らすことができる、もしくはコイルの巻数を減らすことができ、装置の小型化,低コスト化および省エネルギー化が図れ、且つ機械的強度も保たれる。換言すれば、従来の場合、起磁力を上げるためには電流または巻数を増やしていたため、大型化,高コスト化およびエネルギーを大量に浪費させていたが、請求項1〜6記載の発明の場合、従来よりも小型化,低コスト化、および省エネルギー化を保ちつつも起磁力が向上するため、磁気的吸引力も向上する。
また、請求項2,3記載の発明は、焼鈍加工された部位に応じて十分な磁気的吸引力を得ることができ、小型化や低コスト化(省エネルギー化)を図ることが可能となる。
請求項4記載の発明は磁束密度を十分大きくでき、請求項5記載の発明は磁気構造の歪みを誘発することなく磁束密度を十分大きくでき、それぞれ十分な磁気的吸引力を得、小型化や低コスト化(省エネルギー化)を図ることが可能となる。
ゆえに、前記のように2つの磁路部材が接離する磁石を利用する技術分野において、貢献することができる。
以下、本発明に係る実施の形態の磁石を図面等に基づいて詳細に説明する。
本実施の形態は、複数の磁路部材から成る磁路を備え、各磁路部材のうち互いに離れて位置する2つの磁路部材(例えば、後述の電磁石では、固定磁路(一端側端部磁路または軸方向磁路等)と可動磁路(プランジャー等))を、磁束による磁気的吸引力により接離することが可能な磁石に係るものである。
[電磁石の構成例]
図1は本実施の形態における磁石の一例の概略構成を示す説明図である。図1において、符号1は電磁石を示すものであり、その電磁石1の磁路1aは複数個の磁路部材によって構成され、主に、略筒状体の磁路本体2と、その磁路本体2の各端部に対し該磁路本体2を塞ぐように設けられた一端側端部磁路3,他端側端部磁路4と、一端側端部磁路3から他端側端部磁路4方向に突出する軸方向磁路5と、によって構成される。
図1は本実施の形態における磁石の一例の概略構成を示す説明図である。図1において、符号1は電磁石を示すものであり、その電磁石1の磁路1aは複数個の磁路部材によって構成され、主に、略筒状体の磁路本体2と、その磁路本体2の各端部に対し該磁路本体2を塞ぐように設けられた一端側端部磁路3,他端側端部磁路4と、一端側端部磁路3から他端側端部磁路4方向に突出する軸方向磁路5と、によって構成される。
一端側端部磁路3,他端側端部磁路4の各内面にはそれぞれ窪部(図1中では切り欠き部)3a,4aが形成され、それら窪部3a,4aに対して前記の磁路本体2の端部がそれぞれ嵌合される。また、一端側端部磁路3,他端側端部磁路4にはそれぞれ軸孔3b,4bが穿設され、軸方向磁路5には一端側端部磁路3の軸孔3bと連通するように軸孔5bが穿設される。さらに、軸方向磁路5は、例えばボルト5aを介して、一端側端部磁路3に取付けられる。さらにまた、磁路本体2には、該磁路本体2の略中央部から内径方向に突出する中間磁路部6が形成され、磁路1aの一部を構成している。
前記のように構成された磁路1a内には、該磁路1a内で可動(図1中では、他端側端部磁路4と軸方向磁路5との間で可動)し、プランジャー7が配置される。このプランジャー7には、該プランジャー7の可動方向に貫通し突出するプランジャー軸7aが取付けられ、そのプランジャー軸7aは前記の各軸孔3b,4b,5bに挿入される。なお、図1中のプランジャー7においては、該プランジャー7の軸方向寸法が軸方向磁路5の軸方向寸法よりも短く形成されている。
磁路1a内における軸方向磁路5やプランジャー7の外周側であって、中間磁路部6と一端側端部磁路3との間には、磁束発生手段である第1励磁コイル8aが配置される。また、中間磁路部6と他端側端部磁路4との間においては、第2励磁コイル8bの他に、永久磁石からなる始動磁石9が配置される。図1中では、他端側端部磁路4に支持された部材(以下、支持部材と称する)10が、前記の始動磁石8と第2励磁コイル8bとの間に位置する。この支持部材10により、他端側端部磁路4と中間磁路部6との間に、第2励磁コイル8bと始動磁石9とが支持されている。
なお、磁路1aにおいて軸方向磁路5を省略し、プランジャー7を一端側端部磁路3と他端側端部磁路4との間で稼動するように構成してもよい。また、第1励磁コイル8a,第2励磁コイル8bを用いる替わりに、永久磁石を適宜用いても良い。さらに、前記の軸孔5bにおいては、その軸孔5bの軸方向に対する横断面の形状が丸型以外の形状(例えば、楕円状,多角形状等)であって、プランジャー軸7aの形状に応じて任意に設計された軸通路とすることが好ましい。
[電磁石1の動作例]
図1のように構成された電磁石1の第1励磁コイル8a,第2例示コイル8bに給電すると磁束Φが発生し、その磁束Φが中間磁路部6および始動磁石9を介し磁路1a内を透過して循環する。この磁束Φによる電磁的吸引力に応じてプランジャー7が軸方向に駆動し、該プランジャー7と軸方向磁路5との各対向面同士が接離する。これにより、プランジャー軸7aの一端側に接続される負荷、例えば遮断器の操作器が駆動して該遮断器の開閉が行われる。
図1のように構成された電磁石1の第1励磁コイル8a,第2例示コイル8bに給電すると磁束Φが発生し、その磁束Φが中間磁路部6および始動磁石9を介し磁路1a内を透過して循環する。この磁束Φによる電磁的吸引力に応じてプランジャー7が軸方向に駆動し、該プランジャー7と軸方向磁路5との各対向面同士が接離する。これにより、プランジャー軸7aの一端側に接続される負荷、例えば遮断器の操作器が駆動して該遮断器の開閉が行われる。
[プランジャー7の一例]
図1のように構成された電磁石1のプランジャー7においては、該プランジャー7の軸方向磁路5に対する対向面のうち当接面の形状が平坦であるものでも良いが、例えば図1,図2に示すように、リング状でそれぞれ同心円状に位置する複数個の溝部7bと、それら各溝部7b間に位置(すなわち、溝部7b同様に同心円状に位置)するリング状の突起部7cと、から成る磁束整流手段70が形成されたもの(すなわち、当接面が凹凸状をなしているプランジャー)でも良い。
図1のように構成された電磁石1のプランジャー7においては、該プランジャー7の軸方向磁路5に対する対向面のうち当接面の形状が平坦であるものでも良いが、例えば図1,図2に示すように、リング状でそれぞれ同心円状に位置する複数個の溝部7bと、それら各溝部7b間に位置(すなわち、溝部7b同様に同心円状に位置)するリング状の突起部7cと、から成る磁束整流手段70が形成されたもの(すなわち、当接面が凹凸状をなしているプランジャー)でも良い。
前記のように磁束整流手段70を有する場合、軸方向磁路5およびプランジャー7を流れる磁束Φは、例えば図2に示すように、該磁束整流手段70によって整流(例えば、図2中のΦ1のように整流)され、各対向面では突起部7cのみを透過(例えば、図2中のΦ2のように透過)する。前記の整流に応じて、前記の磁束Φが軸方向磁路5内部およびプランジャー7内部で分散しながら流れる。
これにより、たとえ磁束が各対向面付近にて湾曲し易い構成(例えば、互いに離れて位置する2つの磁路部材の断面積が異なるなど、対向面付近の磁気抵抗が均一でない場合)であっても、その磁束の湾曲を抑制できる。
[磁路部材の一例]
図1のように構成された電磁石1の磁路部材においては、機械鋼磁路部材(Feの他に例えばC等の不純物を含有する機械構造用炭素鋼(JIS G4051)を焼鈍加工して得た鉄鋼磁路部材)を、適用することができる。
図1のように構成された電磁石1の磁路部材においては、機械鋼磁路部材(Feの他に例えばC等の不純物を含有する機械構造用炭素鋼(JIS G4051)を焼鈍加工して得た鉄鋼磁路部材)を、適用することができる。
一般的な鉄鋼(例えば、市販されている鉄鋼)は焼入れ加工によって硬化されているため、該鉄鋼自体の結晶構造(結晶格子)は凝集した状態である。これに対し、機械鋼磁路部材に用いられる機械構造用炭素鋼は、焼鈍加工すると変態現象が起こり、該結晶構造は伸張される。このように焼鈍加工によって結晶構造が伸張された鉄鋼磁路部材によれば、焼入れ加工された状態の鉄鋼磁路部材と比較して、磁束を透過し易い、すなわち磁界に対する磁束密度を大きくすることができる。
なお、前記の機械構造用炭素鋼以外の鉄鋼を焼鈍加工して得た部材、例えば電磁軟鉄(JIS SUY−B)は大きい磁束密度を有するものの、硬度が極めて低くく(例えば、ビッカーズ硬度が約600N)、図1のような電磁石に適用した場合には機械的強度が低いものとなってしまう。このようなことから、従来は、焼鈍加工された鉄鋼が電磁石に適用されることはなかった。
一方、機械鋼磁路部材自体は、電磁軟鉄と比較して安価ではあるものの磁束密度が遥かに低く、該電磁軟鉄同様に電磁石に適用されることはなかったが、焼鈍加工によって電磁軟鉄の約2〜3倍高い硬度(例えば、ビッカーズ硬度が約1200N〜1900N)が得られる。したがって、機械鋼磁路部材を図1のような電磁石に適用した場合には、十分な機械的強度も得られる。
前記の焼鈍加工においては、該焼鈍加工前の鉄鋼に関して磁界に対する磁束密度を増加させることが主な目的であり、例えば磁石の適用対象である遮断器の操作器を駆動できるように増加(例えば、磁束密度が1.6T以上となるように増加)させる。例えば、該加工対象である鉄鋼を焼成炉等により再結晶温度(変態点の温度)以上の温度にて加熱工程(例えば、数時間の加熱工程)を行った後、その加熱された鉄鋼の温度を徐々に降下(例えば、焼成炉内にて徐々に降下)させる冷却工程を行う。
なお、加熱工程の温度が低過ぎると、結晶構造が伸張されず、磁束密度が十分とならない場合がある。また、前記の加熱工程の温度が高過ぎると、変態現象が起こっている際に磁気構造(磁気的結晶構造)の歪みが生じ易く、磁界に対する磁束密度が小さくなる場合がある。このため、前記の加熱工程においては、結晶構造が伸張し、該磁気構造の歪みを誘発しない温度にて行うことが好ましい。例えば、再結晶温度(750℃程度)〜950℃の範囲内で加熱工程を行うことにより、前記の磁気構造の歪みを誘発することなく磁束密度を大きくすることが可能であるが、たとえ再結晶温度(750℃程度)〜950℃の範囲外であっても、該磁束密度が大きくなる加熱工程であれば良い。
前記の焼鈍加工は、各磁路部材の全てに施しても良いが、各磁路部材のうち少なくとも何れか一つに施してもよく、該磁路部材の一部に対してのみ施しても良い。すなわち、前記の焼鈍加工の程度に応じて磁界に対する磁束密度を大きくできると共に、該焼鈍加工に要する費用を低減(例えば、高周波加熱による焼鈍加工の場合には消費電力等を節約)することができる。
例えば、図1に示す磁路1aの場合、一端側端部磁路3,軸方向磁路5,中間磁路部6,プランジャー7,始動磁石9,支持部材10における各対向面付近(各当接面付近)のみを焼鈍加工することが考えられる。特に、磁路1aのうち磁束密度が集中し易い箇所、例えば磁路1aの角部や突起部等の部位を焼鈍加工すると、他の部位を焼鈍加工した場合と比較して飽和磁束密度がより大きくなる(図1,2では、特に突起部7c)。
なお、前記の各対向面付近のうち、軸方向磁路5とプランジャー7とにおける対向面付近のみを焼鈍加工した場合は、他の対向面の何れかのみを焼鈍加工した場合と比較して、当接面の面積が大きいことから、より一層効果的に磁束密度を大きくすることができる。
また、前記のように焼鈍加工した鉄鋼磁路部材を適用することにより、焼入れ加工された状態の鉄鋼磁路部材を適用した場合と比較して、例えば励磁コイル等を少なからず省略することができる。例えば、図1に示す電磁石1では第1励磁コイル8a,第2励磁コイル8bの巻回数を少なからず減らこと(例えば、焼鈍加工された磁路部材が位置する付近に対してのみ巻回する)ができる。
すなわち、電流を増加させるまたは磁石コイルの巻数を増やさなくとも、磁束密度が向上する。したがって、従来と同等の起磁力を得るのであれば、電流またはコイルの巻数を減らすことができるので、該起磁力を発生させるための電源回路の電源容量を小さくできると共にコイルの巻線断面積を減らすことができる、もしくはコイルの巻数を減らすことができ、装置の小型化,低コスト化および省エネルギー化が図れ、且つ機械的強度も保たれる。換言すれば、従来の場合、起磁力を上げるためには電流または巻数を増やしていたため、大型化,高コスト化およびエネルギーを大量に浪費させていたが、本実施の形態によれば、従来よりも小型化,低コスト化、および省エネルギー化を保ちつつも起磁力が向上するため、磁気的吸引力も向上する。
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
1…電磁石、1a…磁路、2…磁路本体、3…一端側端部磁路、3a,4a…窪部、3b,4b,5b…孔、4…他端側端部磁路、5…軸方向磁路、5a…ボルト、6…中間磁路部、7…プランジャー,7a…プランジャー軸、7b…溝部、7c…突起部、8a…第1励磁コイル、8b…第2励磁コイル、9…始動磁石、10…支持部材、70…磁束整流手段、Φ…磁束。
Claims (6)
- 複数の磁路部材から成る磁路を備え、各磁路部材のうち互いに離れて位置する2つの磁路部材を、磁束による磁気的吸引力により接離する磁石であって、
前記の磁路部材のうち少なくとも何れか一つは、機械構造用炭素鋼を焼鈍加工して得たものから成る機械鋼磁路部材であることを特徴とする磁石。 - 前記の焼鈍加工は、各磁路部材のうち少なくとも何れかの一部に対して施したことを特徴とする請求項1記載の磁石。
- 前記の焼鈍加工は、各磁路部材における各対向面側のうち少なくとも何れか一つに施したことを特徴とする請求項1または2記載の磁石。
- 前記の焼鈍加工における加熱工程の温度は、再結晶温度以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の磁石。
- 前記の焼鈍加工における加熱工程の温度は、再結晶温度〜950℃であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の磁石。
- 前記の焼鈍加工における加熱工程は、高周波加熱によることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の磁石。
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Cited By (2)
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JP2009085322A (ja) * | 2007-09-28 | 2009-04-23 | Keihin Corp | 電磁アクチュエータ |
WO2020105296A1 (ja) * | 2018-11-19 | 2020-05-28 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 電磁石装置、及び電磁継電器 |
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WO2020105296A1 (ja) * | 2018-11-19 | 2020-05-28 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 電磁石装置、及び電磁継電器 |
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