JP2008144230A - 薄板製部材の熱処理方法および装置 - Google Patents

薄板製部材の熱処理方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】熱処理対象領域11やその近傍に貫通穴12の形成された薄板製部材10を誘導加熱しても貫通穴12の縁に特異昇温部が発現しないようにする。
【解決手段】熱処理対象領域11には薄板製部材10の一方の面から加熱用誘導子20を対向させてトランスバース配位で配置するとともに、貫通穴12には線輪30を遊挿または近接させて、加熱用誘導子20に高周波通電すると線輪30には加熱用誘導子20による高周波磁束とは逆相の高周波磁束の生じる状態を確立した上で、加熱用誘導子20に高周波通電を行う。このような手軽かつ低コストな手法により、貫通穴12近傍の磁界が減殺されて特異昇温が防止される。
【選択図】 図1

Description

この発明は、薄板製部材を誘導加熱する薄板製部材の熱処理方法に関し、詳しくは、薄板製部材の熱処理対象領域やその近傍に貫通穴が形成されている場合にも使用することができる薄板製部材の熱処理方法に関する。
また、本発明は、上記の方法の実施に好適な薄板製部材の熱処理装置に関する。
自動車のセンターピラーや他の薄板製部材に対して焼入等のために誘導加熱を施すことが行われており(例えば特許文献1,2参照)、薄板製部材における熱処理対象領域が細長いときばかりか幅広のときにも一発加熱方式で加熱処理を遂行できるようになっている。一発加熱方式は、熱処理対象領域の全域を全域同時に加熱できる大きさの誘導作用部を有する加熱用誘導子を用いて熱処理対象領域全域を一気に加熱する一括方式である。この方式では、熱処理対象領域に薄板製部材の表裏のうち一方から加熱用誘導子を対向させ、その状態で加熱用誘導子に高周波通電する。そうすると、薄板製部材のうち加熱用誘導子と対向している熱処理対象領域に、強い誘導電流が流れて、そこが例えば900℃といった高温になる。
一方、移動加熱方式は、熱処理対象領域の一部の小領域を加熱できる大きさの誘導作用部を有する加熱用誘導子を熱処理対象領域に対してその全範囲に亘り相対移動させる走査方式であるが、この方式でも、熱処理対象領域に薄板製部材の表裏のうち一方から加熱用誘導子を対向させ、その状態で加熱用誘導子に高周波通電することにより、熱処理対象領域を誘導加熱する。
何れにしても熱処理対象領域やその近傍に貫通穴が形成されていると、誘導加熱では貫通穴の周囲に加熱エネルギが集中して加熱むらが生ずるため(例えば特許文献1参照)、誘導加熱の利用は加熱むらの問題にならない応用に限られ、例えば焼入れのように急冷での割れや歪みを回避したり抑制する等のために入熱分布の均等化が重要視される熱処理には、誘導加熱は用いないで、他の加熱方式が用いられる。
特開2003−160062号公報 特開2004−353035号公報
熱処理対象領域ないしはその近傍に貫通穴の形成された薄板製部材を誘導加熱するときの問題点を、図面を引用して詳述する。図5は、一発加熱方式による熱処理の一例を示し、(a)が薄板製部材10の斜視図、(b)が加熱用誘導子20の斜視図、(c)が薄板製部材10と加熱用誘導子20との対向状態の斜視図、(d)がその端面図、(e)が薄板製部材10のうち熱処理対象領域11と貫通穴12とを含んでいる長方形部分の平面図、(f)がその一部拡大平面図である。
図示した薄板製部材10は(図5(a)参照)、長方形の平板をプレスマシン等で曲げて蒲鉾状に形成したものであり、その頂部の細長い長方形の領域の両縁の部分が熱処理対象領域11である(加熱用誘導子20の対向する部分であり、図では散点を付して示した)。この薄板製部材10では、両脇の熱処理対象領域11に挟まれる形で貫通穴12が存在しており、貫通穴12は長手方向に等ピッチで分散し、何れも幅方向にはほぼ中央に位置している。
このような薄板製部材10の熱処理対象領域11を一発加熱方式で誘導加熱するには、熱処理対象領域11に適合したU字状の誘導作用部21を具えた加熱用誘導子20が用いられる(図5(b)参照)。誘導作用部21は、ほぼ平行な往復導体(銅チューブや銅線)が板面から離れた経路をとる部分22で繋がった形をしていて、高周波通電すると高周波磁束25を生じるものであり、その磁束形成軸線方位(磁束の代表方位)23が往復導体部分の中間でU字面と直交する方向を向くようになっている。なお、便宜上「軸線方位」と表現しているが、この誘導作用部21にあっては、この方位は面状の広がりを持った言わば「軸面方位」である。
この加熱用誘導子20を、誘導作用部21の往復導体が薄板製部材10の熱処理対象領域11に隙間を介して倣う形で該熱処理対象領域11の一方の面側から例えば表側から対向させると(図5(c),(d)参照)、加熱用誘導子20の磁束形成軸線方位23が熱処理対象領域11の板面に直交するトランスバース配位となる。そして、その状態で高周波電源24等の給電機構から加熱用誘導子20に高周波通電を行う。そうすると、熱処理対象領域11が誘導加熱されるが、その際、薄板製部材10に貫通穴12が存在するため、貫通穴12の縁部には、貫通穴12が無ければ生じない特異昇温部13が、発現する(図5(e),(f)参照)。その発現位置は、このケースでは、貫通穴12によって狭められた幅方向径線偏りの領域ではなく、長手方向径線偏りの領域であり(図ではクロスハッチング部分を参照)、特に両端部の貫通穴12の外向き領域(図5(e)の黒塗り部)では赤熱状態となる。そして、この部分にも予定外の焼きが入ってしまうこととなり、そこは穴の縁であるため強度設計上好ましくない。
この特異昇温部13の発現は、トランスバース配位された加熱用誘導子20によって薄板製部材10に生じた誘導電流が図5(f)に示すような電路X,x を辿って薄板製部材10の板面内を周回するためであると考えられる。すなわち、電路X,x は、誘導作用部21と対向する二条の領域(太い長破線で示す電路X)を往復幹線とし、この二本の幹線の間が横断路線群(細い長破線で示す電路x)で補完された態様の周回路であり、貫通穴12の存在による横断路線xの乱れ(貫通穴12を避けた迂回)によって生じる高電流密度領域が特異昇温部13になるということである。
特異昇温部13の発現パターンは、貫通穴12の熱処理対象領域11との位置関係などによって種々異なることとなるため、上記電路内の横断路線の、更には往復幹線の、不都合な乱れが払拭ないし軽減されるように上記位置関係をあれこれ工夫したり或いは熱処理対象領域の画定を譲歩含みで行ったりする対策によって特異昇温部を皆無ないし無害にすることはできる。
しかしながら、そのような不確定な対策や消極的対策は、検討コストや,強度設計自由度の観点から、無用に済ませたい対策である。また、部材の種類によっては、誘導加熱による熱処理の採用自体を妨げる要因ともなる。
そこで、貫通穴を有する薄板製部材の熱処理対象領域を誘導加熱しても貫通穴の縁に特異昇温部が発現しないよう薄板製部材の熱処理方法を改良することが課題となる。
しかも、その改良に際しては、手軽かつ低コストといった利点が損なわれないようにすることも更なる課題となる。
さらに、その熱処理方法の実施に好適な薄板製部材の熱処理装置を実現することも重要な課題となる。
本発明の薄板製部材の熱処理方法(請求項1)は、このような課題を解決するために創案されたものであり、貫通穴を有する薄板製部材の熱処理対象領域に誘導加熱を適用して熱処理を施す薄板製部材の熱処理方法であって、 前記熱処理対象領域の一方の面に対向させて前記誘導加熱のための高周波磁束を生じさせる加熱用誘導子をその磁束形成軸線方位が前記熱処理対象領域の板面に直交するトランスバース配位にて配置するとともに、 前記貫通穴には、この穴に遊挿ないし近接させて、前記加熱用誘導子による高周波磁束とは逆相の高周波磁束を前記加熱用誘導子による磁束形成と同期して形成する機能を有する前記貫通穴径寸法に近い外径寸法の電磁変換子を配置し、 この状態で前記加熱用誘導子に高周波通電することで、前記加熱用誘導子による高周波磁束と前記電磁変換子による逆相の高周波磁束とを同期形成させて前記加熱用誘導子による高周波磁束を前記貫通穴位置では減殺しながら前記誘導加熱を行う、ことを特徴とする。
また、本発明の薄板製部材の熱処理方法(請求項2)は、上記の請求項1記載の薄板製部材の熱処理方法を、電磁変換子として有端電磁線輪を用いて具体化したものであり、具体的には、前記電磁変換子は、単巻または複巻の有端電磁線輪であって、その磁束形成軸線方位が前記熱処理対象領域の板面に直交するトランスバース配位で配置されるとともに、前記逆相の高周波磁束を生じる通電相条件にて高周波通電される、ことを特徴とする。
さらに、本発明の薄板製部材の熱処理方法(請求項3)は、上記の請求項1記載の薄板製部材の熱処理方法を、電磁変換子として無端電磁線輪を用いて具体化したものであり、具体的には、前記電磁変換子は、単巻または複巻の電磁線輪の両端が相互に短絡されている無端電磁線輪であって、その磁束形成軸線方位が前記熱処理対象領域の板面に直交するトランスバース配位にて電気的孤立態様で配置されている、ことを特徴とする。
また、本発明の薄板製部材の熱処理方法(請求項4)は、上記の請求項1記載の薄板製部材の熱処理方法を、電磁変換子として導電性板状体を用いて具体化したものであり、具体的には、前記電磁変換子は、導電性の板状体であって、その面方位が前記熱処理対象領域の板面の面方位に沿う配位にて電気的孤立態様で配置されている、ことを特徴とする。
また、本発明の薄板製部材の熱処理方法(請求項5)は、上記の請求項1〜請求項4記載の薄板製部材の熱処理方法であって更に、前記電磁変換子に、前記貫通穴に遊挿できる寸法の露頭を、前記電磁変換子の配置時に該露頭が前記貫通穴内に位置する位置取りにて設けておく、ことを特徴とする。
また、本発明の薄板製部材の熱処理装置(請求項6)は、上記の請求項2記載の薄板製部材の熱処理方法を実施するのに好適なものであり、具体的には、貫通穴を有する薄板製部材の熱処理対象領域に誘導加熱を適用して熱処理を施すための薄板製部材の熱処理装置であって、前記熱処理対象領域を誘導加熱するために該領域に対向させてトランスバース配位で配置される加熱用誘導子と、該誘導子による高周波磁束と逆相の高周波磁束を形成させるために前記貫通穴に遊挿ないし近接させてトランスバース配位で配置される、前記貫通穴径寸法に近い外径寸法の単巻または複巻の有端電磁線輪と、前記加熱用誘導子と前記有端電磁線輪に高周波通電するための給電機構と、前記誘導加熱によって熱処理温度に加熱された熱処理対象領域を急冷するための冷媒噴射機構とを備えている、ことを特徴とする。
また、本発明の薄板製部材の熱処理装置(請求項7)は、上記の請求項3記載の薄板製部材の熱処理方法を実施するのに好適なものであり、具体的には、貫通穴を有する薄板製部材の熱処理対象領域に誘導加熱を適用して熱処理を施すための薄板製部材の熱処理装置であって、前記熱処理対象領域を誘導加熱するために該領域に対向させてトランスバース配位で配置される加熱用誘導子と、該誘導子による高周波磁束と逆相の高周波磁束を形成させるために前記貫通穴に遊挿ないし近接させてトランスバース配位にて電気的孤立態様で配置される、前記貫通穴径寸法に近い外径寸法の単巻または複巻の無端電磁線輪と、前記加熱用誘導子に高周波通電するための給電機構と、前記誘導加熱によって熱処理温度に加熱された熱処理対象領域を急冷するための冷媒噴射機構とを備えている、ことを特徴とする。
また、本発明の薄板製部材の熱処理装置(請求項8)は、上記の請求項4記載の薄板製部材の熱処理方法を実施するのに好適なものであり、具体的には、貫通穴を有する薄板製部材の熱処理対象領域に誘導加熱を適用して熱処理を施すための薄板製部材の熱処理装置であって、前記熱処理対象領域を誘導加熱するために該領域に対向させてトランスバース配位で配置される加熱用誘導子と、該誘導子による高周波磁束と逆相の高周波磁束を形成させるために前記貫通穴に遊挿ないし近接させるとともに自身の面方位が前記熱処理対象領域の板面の面方位に沿う配位にて電気的孤立態様で配置される、前記貫通穴径寸法に近い外径寸法の導電性の板状体と、前記加熱用誘導子に高周波通電するための給電機構と、前記誘導加熱によって熱処理温度に加熱された熱処理対象領域を急冷するための冷媒噴射機構とを備えている、ことを特徴とする。
また、本発明の薄板製部材の熱処理装置(請求項9)は、上記の請求項6〜請求項8に記載された薄板製部材の熱処理装置であって更に、前記有端電磁線輪または前記無端電磁線輪もしくは前記板状体は、前記熱処理対象領域の前記加熱用誘導子を対向させる板面側から前記加熱用誘導子と一緒に導入して前記貫通穴の穴内ないし近傍に配置できる相互位置関係にて前記加熱用誘導子と相互絶縁取合で結合されている、ことを特徴とする。
このような本発明の薄板製部材の熱処理方法(請求項1)にあっては、新たに電磁変換子の使用が追加され、高周波通電に先立って貫通穴に電磁変換子が遊挿ないし近接させられる。そして、高周波通電時には、前記の貫通穴の縁部における赤熱状態に至る特異昇温部の発現が解消される。これは、貫通穴位置では、電磁変換子による逆相の高周波磁束が加熱用誘導子による高周波磁束を減殺するので、加熱用誘導子の高周波磁束による電界の電位傾度が貫通穴位置では著減し、その結果、前述のように誘導電流が迂回して高電流密度となっている穴の縁部における誘導電流由来の入熱密度=電位傾度×電流密度を迂回電流の流域面積相当の小さい値とすることができて、赤熱に至るような特異昇温が起こらなくなるためであると考えられる。
したがって、この発明によれば、熱処理対象領域やその近傍に貫通穴の形成された薄板製部材を誘導加熱しても貫通穴の縁に特異昇温部が発現しない薄板製部材の熱処理方法を実現することができる。
また、本発明の薄板製部材の熱処理方法(請求項2)や薄板製部材の熱処理装置(請求項6)にあっては、電磁変換子が有端電磁線輪という形で具現化されており、この線輪への高周波通電というアクティブな手法によって前記逆相の高周波磁束が形成される。この線輪は小形の補助誘導子のようなものなので、誘導加熱の設備や技術があれば、手軽に而も大したコストを掛けないで、準備し使用することができる。また、線輪への高周波通電については、線輪を加熱用誘導子に相互逆相取合で直列接続などした接続体に対して加熱用誘導子駆動用の高周波電源から一括的に通電を行うことで、専用電源を増設せずに行える。貫通穴位置での磁束減殺度合の加減は、線輪の径寸法や巻き数の選定、更には貫通穴との軸線方向位置関係の調整によって行える。
線輪への高周波通電を、加熱用誘導子駆動用電源とは別の高周波電源によって行うこともできる。この場合は、単一の電源を共用した場合より磁束減殺度合の加減の自由度が増す。
この有端線輪方式は、逆相高周波磁束の形成を、補助誘導子とも云えるこの線輪への高周波通電によって行うことから、逆相高周波磁束の増減を線輪巻線の増減などによって自由度高く(逆相磁束強化方向にも特段の上限なしに)行える点に特徴がある。すなわち、磁束減殺度合の加減範囲が減殺度合増強側に広いという利点を有する。
さらに、本発明の薄板製部材の熱処理方法(請求項3)や薄板製部材の熱処理装置(請求項7)にあっては、電磁変換子が無端電磁線輪という形で具現化されており、高周波通電中の加熱用誘導子との相互誘導(トランス結合)によってこの線輪に二次電流が生じ、その際この線輪によって前記逆相の高周波磁束も形成されることを利用したものであり、線輪への給電を要しないパッシブな手法である。この線輪も小形の補助誘導子のようなものなので、誘導加熱の設備や技術があれば、手軽に而も大したコストを掛けないで、準備し使用することができる。
この無端電磁線輪による貫通穴位置での磁束減殺度合の加減も無端電磁線輪の場合と同様の、線輪の径寸法や巻き数の選定、あるいは磁束集束用強磁性体棒材や電磁誘導軽減用導電体棒材の線輪内出し入れによる線輪インダクタンスの増減、更には貫通穴との軸線方向位置関係の調整によって行える。
この無端線輪方式は、線輪への給電が不要であるため、上述した有端線輪方式と比べて、設備や操業に関する負担が少ないうえ、磁束減殺度合の加減も行えるという利点を有する。
また、本発明の薄板製部材の熱処理方法(請求項4)や薄板製部材の熱処理装置(請求項8)にあっては、電磁変換子が導電性の板状体という形で具現化されており、高周波通電中の加熱用誘導子との相互誘導(トランス結合)によって、単巻線輪として機能するこの板状体に二次電流が生じ、その際この板状体によって前記逆相の高周波磁束も形成されることを利用したものであり、板状体への給電を要しないパッシブな手法である。板状体の材質としては、限定はされないが、電磁変換機能に優れる強磁性鋼材系が推奨される。この導電性板状体は、一般的な機械加工で作れるので、誘導加熱の設備や技術が有ろうと無かろうと、手軽に而も大したコストを掛けないで、準備し使用することができる。
この導電性板状体方式における磁束減殺度合の加減は、板状体の外径寸法や厚さの設定、更には貫通穴との軸線方向位置関係の調整によって行える。
板状体として強磁性材製のものと非磁性材製のものを使い分けたり併用したりすることも状況に応じて有用である。
この導電性板状体方式も、板状体への給電が不要であり、有端線輪方式と比べて負担が少ない。この導電性板状体方式は、無端線輪方式と同様の利点に加えて、板状体の作成に材工コストを殆ど要しないという利点を有する。
また、本発明の薄板製部材の熱処理方法(請求項5)にあっては、電磁変換子に露頭を設けておいて、その露頭が貫通穴内で働くようにしたことにより、貫通穴近傍に対する磁束減殺の作用状態が直接的・直観的なものとなる
そのため、磁束減殺の度合いの調整が容易になる。これは、パッシブな手法において特に有益であり、アクティブな手法においても有効である。
また、本発明の薄板製部材の熱処理装置(請求項9)にあっては、加熱用誘導子の薄板製部材の熱処理対象領域への対向配置と同時に電磁変換子の配置までなされるようにしたことにより、熱処理作業の繁雑化が回避される。
なお、本発明における貫通穴への電磁変換子の装備・稼働は、前記の貫通穴の縁部の特異昇温が赤熱状態に至っているような貫通穴についてのみ行われればよい。また、その場合、上記特異昇温の減殺は、赤熱状態に至るのが回避される程度の減殺で十分に目的が達せられることとなる。
本発明の薄板製部材の熱処理装置の一実施形態(第1形態)を、図面を引用して説明する。図1は、(a)が薄板製部材10と加熱用誘導子20と有端電磁線輪30との配置状態の平面図、(b)がその配置状態の縦断面図、(c)及び(d)が要部の一部縦断斜視図、(e)が高周波通電回路の概要図、(f)が磁束密度の時間変化の例である。
この薄板製部材の熱処理装置は、貫通穴を有する薄板製部材を被処理物としてその熱処理対象領域に誘導加熱を適用して熱処理を施すためのものなので、ここでも被処理物は課題の欄で既述した薄板製部材10とするが、ここでは簡明化のため熱処理対象領域11を含んでいる長方形部分だけを図示した(図1(a)〜(d)参照)。貫通穴12も、二条の熱処理対象領域11の間に等ピッチで一列に形成されているものを図示した。このような薄板製部材10や諸条件の具体例は、例えば、炭素鋼や低合金鋼の冷間圧延鋼板,熱間圧延鋼板,あるいはこれらに亜鉛メッキやアルミニウムメッキを施したもののプレス成形品で、厚さが1.0〜4.0mm、熱処理対象領域11を含む頂部の{長さ,巾}が{300,30}〜{1200,200}mm、貫通穴12の直径が5〜50mm、熱処理温度が750〜1000℃、といったところである。
この薄板製部材の熱処理装置は、熱処理対象領域11を誘導加熱するために熱処理対象領域11に対向させてトランスバース配位で配置される既述の加熱用誘導子20と(図1(a)〜(b)参照)、貫通穴12の穴径寸法に近い外径寸法の有端電磁線輪30からなる新規な電磁変換子と(図1(a)〜(d)参照)、加熱用誘導子20や有端電磁線輪30に高周波通電する共用の給電機構としての高周波電源24と(図1(e)参照)、誘導加熱によって熱処理温度に加熱された熱処理対象領域11を急冷するための冷媒噴射機構とを具えている。なお、冷媒噴射機構は、従来と同じで足り、例えば水を噴霧するような機構で良いので、図示を割愛した。
有端電磁線輪30は、例えば銅チューブを巻回して形成され、必要量の磁束を発生できれば、ワンターンコイルといった単巻の電磁線輪でも(図1(c)参照)、ソレノイドコイルといった複巻の電磁線輪でも良い(図1(d)参照)。有端電磁線輪30の外径寸法は、貫通穴12の穴径寸法より少し大きいのを図示したが、同径でも、少し小さくても良い。このような有端電磁線輪30は加熱用誘導子20よりも小さく、有端電磁線輪30の磁束形成軸線方位31がコイル形状の軸線とほぼ一致しており、この軸線を図示のように板面に直交させることでトランスバース配位となる。
高周波電源24は、加熱用誘導子20だけでなく有端電磁線輪30にも給電するため、給電線の配線接続状態が変更されている。具体的には(図1(e)参照)、一個の加熱用誘導子20と数個の有端電磁線輪30の直列接続体に高周波通電するようになっている。
しかも、その配線接続は、次の条件も満たすような通電相条件にて、なされている。
すなわち、加熱用誘導子20の誘導作用部21を薄板製部材10の熱処理対象領域11の一方の面にトランスバース配位で即ち磁束形成軸線方位23が熱処理対象領域11の板面に直交する状態で対向配置するとともに、有端電磁線輪30をそれぞれ貫通穴12にトランスバース配位で、即ち磁束形成軸線方位31が熱処理対象領域11の板面に直交する状態で近接させた状態で或いは更に進めて一部遊挿や全部遊挿させたうえで、高周波電源24から高周波給電を行えば、加熱用誘導子20ばかりか有端電磁線輪30にも高周波通電がなされて、加熱用誘導子20の誘導作用部21によって熱処理対象領域11に作用する高周波磁束が生じるとともに、有端電磁線輪30によって貫通穴12位置に作用する高周波磁束が生じ、加熱用誘導子20による高周波磁束を正相(Asinωt相当)とすると有端電磁線輪30による高周波磁束が逆相(−Bsinωt相当)となる、という通電相条件を満たすように給電線が接続されている。
なお、図示の接続例では(図1(e)参照)、六個の有端電磁線輪30が直列接続され、それが加熱用誘導子20と直列接続されているが、これらの接続は、上記の通電相条件を満たすなら並列や直並列など他の接続態様によっても良い。
また、正相の高周波磁束と逆相の高周波磁束は、何れも高周波通電の周期で概ね正弦波状に変化するが、磁束形成軸線方位23,31の成分で比較すると、両者の波形は互いに向き(正負)の反転したものとなる(図1(b),(f)参照)。
このような薄板製部材の熱処理装置を使用して行う本発明の薄板製部材の熱処理方法の一実施形態(第1形態)を、図1を引用して説明する。上述したように、図1は、(a)が薄板製部材10と加熱用誘導子20と有端電磁線輪30との配置状態の平面図、(b)がその配置状態の縦断面図、(c)及び(d)が要部の一部縦断斜視図、(e)が高周波通電回路の概要図、(f)が磁束密度の時間変化の例である。
ここでは、薄板製部材10を一発加熱方式で誘導加熱するため、高周波通電に先立ち、薄板製部材10の熱処理対象領域11に例えば表側から加熱用誘導子20の誘導作用部21を対向させて、両者をほぼ平行にすることにより、加熱用誘導子20の磁束形成軸線方位23を熱処理対象領域11の板面に直交させる操作すなわちトランスバース配位を確立する操作は(図1(a),(b)参照)、従前より引き継がれており、前提事項として行われる。
それに加え(図1(a)〜(d)参照)、縁部の特異昇温を避けたい貫通穴12には、それぞれ、有端電磁線輪30が薄板製部材10の裏側から近接配置される。
その際、有端電磁線輪30の磁束形成軸線方位31が貫通穴12の中心を通るとともに熱処理対象領域11の板面に裏面側から直交するよう配置が調整される(図1(a)〜(d)参照)。すなわち、有端電磁線輪30も貫通穴12毎に設けられた各々が薄板製部材10に対しトランスバース配位で対向配置される。
かかる配置状態を確立したら、高周波電源24から直列接続の加熱用誘導子20と有端電磁線輪30へ高周波通電を行う(図1(e)参照)。この高周波通電は、有端電磁線輪30の存在しないときと大差のない条件で行えば良く、一例を挙げると、周波数が10kHz〜100kHz、電力が10kW〜100kWである。
このように加熱用誘導子20に高周波通電すると、誘導作用部21によって磁束形成軸線方位23の高周波磁束が熱処理対象領域11のところに形成されるとともに、同時に高周波通電のなされた有端電磁線輪30によって磁束形成軸線方位31の高周波磁束が貫通穴12のところに形成される。磁束形成軸線方位23,31は重なるか平行になっているうえ、磁束形成軸線方位23の高周波磁束と磁束形成軸線方位31の高周波磁束は正相と逆相という反対の極性で同期形成されることから(図1(f)参照)、貫通穴12のところでは、有端電磁線輪30による逆相の高周波磁束が加熱用誘導子20による高周波磁束を減殺するので、加熱用誘導子20の高周波磁束による電界の電位傾度が貫通穴12位置では著減し、その結果、周回する誘導電流が貫通穴12を迂回するものの、特異昇温の発現した貫通穴12の縁部における誘導電流由来の入熱密度=電位傾度×電流密度が小さくなって、貫通穴12の縁部の特異昇温や赤熱が回避される。
なお、上記特異昇温や赤熱の回避を目的とした高周波磁束の減殺を過不足のないものとするための磁束減殺度合の加減については、例えば、有端電磁線輪30の巻数を増やすか有端電磁線輪30を貫通穴12に近づけて減殺度合を強めたり、或いは、逆に、有端電磁線輪30の巻数を減らすか有端電磁線輪30を貫通穴12から遠ざけて減殺度合を弱めたりする手法で行うことができる。
こうして、この実施形態の薄板製部材の熱処理方法にあっては、不所望な特異昇温部の発現を回避しながら薄板製部材10の熱処理対象領域11の全体を適切に誘導加熱することができる。
本発明の薄板製部材の熱処理装置について他の実施形態(第2形態)を、図面を引用して説明する。図2は、(a)が無端電磁線輪40の斜視図、(b)及び(c)が薄板製部材10の熱処理対象領域11と無端電磁線輪40との配置状態の縦断面図である。
この第2形態の熱処理装置は、上述した第1形態の装置における有端電磁線輪30を無端電磁線輪40で置き換えたものである。
無端電磁線輪40は(図2(a)参照)、有端電磁線輪30の両端を例えばコイル形状の中心で接続することで相互に短絡した電磁変換子であり、複巻のものだけ図示したが、単巻のものを排除する訳ではない。このような無端電磁線輪40は、有端電磁線輪30と異なり、誘導作用部21からの相互誘導によって無端電磁線輪40内に生じた誘導電流が自身の内部を無端周回するようになっているので、電気的孤立態様で設置される。具体的には、加熱用誘導子20にも高周波電源24にも導通がとられていない。
無端電磁線輪40は、縁部の特異昇温を避けたい貫通穴12それぞれに一つずつ設けられ、単独でトランスバース配位にて配置しても良いが(図2(b)参照)、露頭41を付設することができるようにもなっている(図2(c)参照)。
露頭41は、電気良導体からなり、貫通穴12に遊挿できる寸法で例えばコイン状に形成されている。露頭41は、線輪で形成しても良く、その場合、無端電磁線輪40の端部を兼ねていても良い(図示せず)。
このような薄板製部材の熱処理装置を使用して行う本発明の薄板製部材の熱処理方法の一実施形態(第2形態)を、図面を引用して説明する。上述したように、図2は、(a)が無端電磁線輪40の斜視図、(b)及び(c)が薄板製部材10の熱処理対象領域11と無端電磁線輪40との配置状態の縦断面図である。
貫通穴12が二条の熱処理対象領域11の間に列設されている薄板製部材10を被処理物として、それに熱処理温度への誘導加熱と該加熱後の冷却とを適用するという熱処理の手順は、上述した第1形態のそれと同様である。また、薄板製部材10を一発加熱方式で誘導加熱するため、高周波通電に先立ち、薄板製部材10に例えば表側から加熱用誘導子20をトランスバース配位で対向させる操作や(図示せず)、特異昇温を避けたい貫通穴12それぞれに電磁変換子を薄板製部材10の裏側から近接配置することも(図2(b),(c)参照)、第1形態について上述したの同様である。
ただし、電磁変換子が、高周波を通電する有端電磁線輪30でなくなり、通電不要な無端電磁線輪40になっている(図2(a)参照)。
この無端電磁線輪40を貫通穴12に近接配置するとき、無端電磁線輪40がトランスバース配位で配置される(図2(b)参照)。さらに(図2(c)参照)、露頭41が付設されている場合は、露頭41が貫通穴12内に位置する位置取りにて配置される。これにより、加熱用誘導子20の相互誘導取合が確立される。そして、高周波電源24から加熱用誘導子20に高周波通電を行うと、相互誘導現象として無端電磁線輪40に逆相の誘導電流が流れる状態になる。
かかる状態を確立したら、高周波電源24から加熱用誘導子20へ高周波通電を行う。すると、無端電磁線輪40に逆相の誘導電流が流れることで、無端電磁線輪40により加熱用誘導子20による高周波磁束とは逆相の磁束が同期形成されて、加熱用誘導子20による高周波磁束が貫通穴12の位置では無端電磁線輪40による逆相の高周波磁束によって減殺される。
こうして、この第2形態の薄板製部材の熱処理方法にあっても、不所望な特異昇温部の発現を回避しながら、貫通穴12を有する薄板製部材10の熱処理対象領域11を適切に誘導加熱することができる。
本発明の薄板製部材の熱処理装置について他の実施形態(第3形態)を、図面を引用して説明する。図3は、(a)が導電性板状体50の斜視図、(b)及び(c)が薄板製部材10の熱処理対象領域11と導電性板状体50との配置状態の縦断面図である。
この第3形態の熱処理装置は、上述した第2形態の装置における無端電磁線輪40を導電性板状体50で置き換えたものである。
導電性板状体50は(図3(a)参照)、電気良導体をコイン状や円柱状に形成した電磁変換子であり、外周面の表層部に誘導電流を無端周回させる態様で用いるので、加熱用誘導子20にも高周波電源24にも接続されず、電気的孤立態様で設置されており、厚さの大小などで磁気抵抗や電気抵抗を調整することができる。
導電性板状体50は、特異昇温を避けたい貫通穴12それぞれに一つずつ設けられて、その面方位が熱処理対象領域11の板面の面方位に沿う配位にて配置されるようになっている(図3(b),(c)参照)。
外径が貫通穴12の穴径寸法より小さい場合には、端部が貫通穴12内に位置する位置取りで端部を貫通穴12に遊挿しても良いが(図3(b)参照)、外径が貫通穴12の穴径寸法より大きいか同径の場合は、貫通穴12に遊挿できる寸法の露頭51を一端に形成しておき、この露頭51を貫通穴12に遊挿するのが良い(図3(c)参照)。
このような薄板製部材の熱処理装置を使用して行う本発明の薄板製部材の熱処理方法の一実施形態(第3形態)を、図面を引用して説明する。上述したように、図3は、(a)が導電性板状体50の斜視図、(b)及び(c)が薄板製部材10の熱処理対象領域11と導電性板状体50との配置状態の縦断面図である。
貫通穴12が二条の熱処理対象領域11の間に形成されている薄板製部材10を被処理物として、それに熱処理温度への誘導加熱と該加熱後の冷却とを適用するという熱処理の手順は、上述した第1,第2形態のそれと同様である。また、薄板製部材10を一発加熱方式で誘導加熱するため、高周波通電に先立ち、薄板製部材10に例えば表側から加熱用誘導子20をトランスバース配位で対向させる操作や(図示せず)、特異昇温を避けたい貫通穴12それぞれに電磁変換子を薄板製部材10の裏側から近接配置することも(図3(b),(c)参照)、第1,第2形態について上述したの同様である。
ただし、電磁変換子が、有端電磁線輪30や無端電磁線輪40でなく、通電は無端電磁線輪と同様に不要な導電性板状体50になっている(図3(a)参照)。
この導電性板状体50を貫通穴12に近接配置するとき、導電性板状体50の面方位が薄板製部材10の熱処理対象領域11の面方位に沿う配位(云わば、貫通穴12と同軸の配位)にて配置する(図3(b),(c)参照)。その際、導電性板状体50が貫通穴12に遊挿可能な場合には導電性板状体50の一端を貫通穴12に遊挿するが(図3(b)参照)、導電性板状体50の一端に露頭51が形成されている場合には露頭51が貫通穴12内に位置する位置取りにて配置する(図3(c)参照)。これにより、加熱用誘導子20との相互誘導取合が確立され、高周波電源24から加熱用誘導子20に高周波通電を行うと、相互誘導現象として導電性板状体50に逆相の誘導電流が流れる状態になる。
かかる状態を確立したら、高周波電源24から加熱用誘導子20へ高周波通電を行う。すると、導電性板状体50の外周面の表層部に逆相の誘導電流が流れることで、導電性板状体50により加熱用誘導子20による高周波磁束とは逆相の磁束が同期形成されて、加熱用誘導子20による高周波磁束が貫通穴12の位置では導電性板状体50による逆相の高周波磁束によって減殺される。
こうして、この第3形態の薄板製部材の熱処理方法にあっても、不所望な特異昇温部の発現を回避しながら、貫通穴12を有する薄板製部材10の熱処理対象領域11を適切に誘導加熱することができる。
本発明の薄板製部材の熱処理装置について他の実施形態(第4形態)を、図面を引用して説明する。図4は、(a)が誘導子変換子結合体60を斜め上から見下ろした斜視図、(b)が誘導子変換子結合体60を斜め下から見上げた斜視図、(c)が薄板製部材10と誘導子変換子結合体60との配置状態の縦断面図である。
この第4形態の熱処理装置には、上述した第3形態の装置と同様に一個の加熱用誘導子20と複数個の導電性板状体50とが設けられているが、上述の装置と異なり、加熱用誘導子20と導電性板状体50とが相互絶縁取合で結合されて誘導子変換子結合体60になっている。相互絶縁取合での結合は絶縁物を介在させて連結することでなされるが、熱処理対象領域11の加熱用誘導子20を対向させる板面側から加熱用誘導子20と一緒に導電性板状体50を導入して配置することができるように、例えば、二本の誘導作用部21に架設された絶縁板61と、貫通穴12に対応した配置で複数個が設けられ何れも絶縁板61に植設されている絶縁棒62とで、加熱用誘導子20に各導電性板状体50が固定されている。また、導電性板状体50の外径は貫通穴12の穴径より小さくなっている。
このような薄板製部材の熱処理装置の使用態様等を、図面を引用して説明する。図4(c)は、薄板製部材10と誘導子変換子結合体60との配置状態の縦断面図である。
この場合も、貫通穴12が二条の熱処理対象領域11の間に形成されている薄板製部材10を被処理物として、それに熱処理温度への誘導加熱と該加熱後の冷却とを適用するという熱処理の手順は、上述した第1〜第3形態のそれと同様である。また、薄板製部材10を一発加熱方式で誘導加熱するため、高周波通電に先立ち、薄板製部材10に例えば表側から加熱用誘導子20をトランスバース配位で対向させる操作も第1〜第3形態について上述したの同様である。
ただし、加熱用誘導子20が誘導子変換子結合体60に組み込まれて導電性板状体50と予め結合されていて、薄板製部材10に表側から加熱用誘導子20を対向させると、それに随伴して導電性板状体50がやはり薄板製部材10の表側から貫通穴12に導入されるので、導電性板状体50が貫通穴12内で遊挿状態を維持するよう誘導子との結合の位置関係を調整したうえで結合・固定する。
このように、誘導子変換子結合体60を装備した薄板製部材の熱処理装置にあっては、トランスバース配位で加熱用誘導子20を配置することにより、加熱用誘導子20と相互誘導取合となっている導電性板状体50が同時に随伴配置される。
かかる状態を確立したら、高周波電源24から加熱用誘導子20へ高周波通電を行う。すると、導電性板状体50の外周面の表層部に逆相の誘導電流が流れることで、導電性板状体50により加熱用誘導子20による高周波磁束とは逆相の磁束が同期形成されて、加熱用誘導子20による高周波磁束が貫通穴12の位置では導電性板状体50による逆相の高周波磁束によって減殺される。
こうして、この第4形態の薄板製部材の熱処理方法にあっても、不所望な特異昇温部の発現を回避しながら、貫通穴12を有する薄板製部材10の熱処理対象領域11を適切に誘導加熱することができる。しかも、誘導子変換子結合体60の配置作業の負担は加熱用誘導子20の配置作業の負担と大差ないので、手軽に熱処理作業を進めることができる。
[その他]
上記第4実施形態では、複数個の導電性板状体50が加熱用誘導子20に結合して誘導子変換子結合体60が構成されているが、誘導子変換子結合体60に含まれる導電性板状体50は特異昇温の状況によっては例えば一個だけでも良い。
また、総ての導電性板状体50を無端電磁線輪40や有端電磁線輪30で置き換えて誘導子変換子結合体60を構成しても良く、無端電磁線輪40と導電性板状体50を混在させるなどして誘導子変換子結合体60を構成しても良い。結合部位の取合が相互絶縁取合になっていることを前提として、上述した通電相条件も満たせば、無端電磁線輪40や導電性板状体50を有端電磁線輪30で置き換えることも可能である。
上記実施形態では、有端電磁線輪30や無端電磁線輪40の巻数が四巻や五巻になっていたが、これは一例であり、線輪30,40の巻は、単巻でも二巻でも三巻でも良く、六巻以上でも良い。
上記実施形態では、加熱終了後に薄板製部材10を冷却することだけ述べ、加熱用誘導子20の冷却には言及しなかったが、誘導子や線輪に銅チューブを採用する等のことにより、その中空部を水路とした水冷も可能になるので、加熱パワーが大きい場合には、加熱用誘導子20に通電しながら加熱用誘導子20を水冷すると良い。加熱用誘導子20だけでなく有端電磁線輪30や無端電磁線輪40まで水冷するようにしても良い。
上記実施形態では、線輪30,40が空芯になっていたが、有芯でも良く、前述のように(発明の効果の欄における請求項3や請求項7に関する説明を参照)、強磁性体棒材(コア材)等の出し入れでインダクタンスを調整することができる。
本発明の薄板製部材の熱処理方法は、一発加熱方式に好適なものであるが、移動加熱方式にも適用することができる。その場合、有端電磁線輪については通電タイミングを加熱用誘導子の移動に同期させることが必要になる場合もあるが、無端電磁線輪や導電性板状体については必要ない。
本発明の薄板製部材の熱処理方法は、自動車ボディーに用いる鋼板のプレス成形品に限らず、平板も含めた他の薄板製部材にも、適用可能であり、また、薄板製部材の全体に限らず、その一部領域の誘導加熱にも、適用することができる。
また、貫通穴のピッチが不等ピッチでも、貫通穴がそもそも一個だけでも、本発明の薄板製部材の熱処理方法は適用可能であり有効である。貫通穴の形状も円形に限られる訳でなく、楕円形や長穴など種々の形状の貫通穴についても本発明が適用可能である。
さらに、本発明は、焼入れに限らず、他の熱処理にも適用可能である。例えば、焼戻しや、整粒調質のための加熱、歪取りのための加熱などにも、本発明を適用することができる。
本発明の薄板製部材の熱処理方法および薄板製部材の熱処理装置に係る一実施形態(第1形態)を示し、(a)が薄板製部材と加熱用誘導子と有端電磁線輪との配置状態の平面図、(b)がその配置状態の縦断面図、(c)及び(d)が要部の一部縦断斜視図、(e)が高周波通電回路の概要図、(f)が磁束密度の時間変化の例である。 本発明の薄板製部材の熱処理方法および薄板製部材の熱処理装置に係る他の実施形態(第2形態)を示し、(a)が無端電磁線輪の斜視図、(b)及び(c)が薄板製部材と無端電磁線輪との配置状態の縦断面図である。 本発明の薄板製部材の熱処理方法および薄板製部材の熱処理装置に係る他の実施形態(第3形態)を示し、(a)が導電性板状体の斜視図、(b)及び(c)が薄板製部材と導電性板状体との配置状態の縦断面図である。 本発明の薄板製部材の熱処理装置に係る他の実施形態(第4形態)を示し、(a)が誘導子変換子結合体を見下ろした斜視図、(b)が誘導子変換子結合体を見上げた斜視図、(c)が薄板製部材と誘導子変換子結合体との配置状態の縦断面図である。 本発明の技術課題を示し、(a)が薄板製部材の斜視図、(b)が加熱用誘導子の斜視図、(c)が薄板製部材と加熱用誘導子との対向状態の斜視図、(d)がその端面図、(e)が薄板製部材のうち熱処理対象領域と貫通穴とを含んでいる長方形部分の平面図、(f)がその一部拡大平面図である。
符号の説明
10…薄板製部材、11…熱処理対象領域、12…貫通穴、13…特異昇温部、
20…加熱用誘導子、21…誘導作用部、22…逃げ部分、
23…磁束形成軸線方位、24…高周波電源(給電機構)、25…磁束、
30…有端電磁線輪(電磁変換子)、31…磁束形成軸線方位、
40…無端電磁線輪(電磁変換子)、41…露頭、
50…導電性板状体(電磁変換子)、51…露頭、
60…誘導子変換子結合体、61…絶縁板、62…絶縁棒

Claims (9)

  1. 貫通穴を有する薄板製部材の熱処理対象領域に誘導加熱を適用して熱処理を施す薄板製部材の熱処理方法であって、
    前記熱処理対象領域の一方の面に対向させて前記誘導加熱のための高周波磁束を生じさせる加熱用誘導子をその磁束形成軸線方位が前記熱処理対象領域の板面に直交するトランスバース配位にて配置するとともに、
    前記貫通穴には、この穴に遊挿ないし近接させて、前記加熱用誘導子による高周波磁束とは逆相の高周波磁束を前記加熱用誘導子による磁束形成と同期して形成する機能を有する前記貫通穴径寸法に近い外径寸法の電磁変換子を配置し、
    この状態で前記加熱用誘導子に高周波通電することで、前記加熱用誘導子による高周波磁束と前記電磁変換子による逆相の高周波磁束とを同期形成させて前記加熱用誘導子による高周波磁束を前記貫通穴位置では減殺しながら前記誘導加熱を行う、
    ことを特徴とする薄板製部材の熱処理方法。
  2. 前記電磁変換子は、単巻または複巻の有端電磁線輪であって、その磁束形成軸線方位が前記熱処理対象領域の板面に直交するトランスバース配位で配置されるとともに、前記逆相の高周波磁束を生じる通電相条件にて高周波通電される、ことを特徴とする請求項1記載の薄板製部材の熱処理方法。
  3. 前記電磁変換子は、単巻または複巻の電磁線輪の両端が相互に短絡されている無端電磁線輪であって、その磁束形成軸線方位が前記熱処理対象領域の板面に直交するトランスバース配位にて電気的孤立態様で配置されている、ことを特徴とする請求項1記載の薄板製部材の熱処理方法。
  4. 前記電磁変換子は、導電性の板状体であって、その面方位が前記熱処理対象領域の板面の面方位に沿う配位にて電気的孤立態様で配置されている、ことを特徴とする請求項1記載の薄板製部材の熱処理方法。
  5. 前記電磁変換子に、前記貫通穴に遊挿できる寸法の露頭を、前記電磁変換子の配置時に該露頭が前記貫通穴内に位置する位置取りにて設けておく、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載された薄板製部材の熱処理方法。
  6. 貫通穴を有する薄板製部材の熱処理対象領域に誘導加熱を適用して熱処理を施すための薄板製部材の熱処理装置であって、
    前記熱処理対象領域を誘導加熱するために該領域に対向させてトランスバース配位で配置される加熱用誘導子と、該誘導子による高周波磁束と逆相の高周波磁束を形成させるために前記貫通穴に遊挿ないし近接させてトランスバース配位で配置される、前記貫通穴径寸法に近い外径寸法の単巻または複巻の有端電磁線輪と、前記加熱用誘導子と前記有端電磁線輪に高周波通電するための給電機構と、前記誘導加熱によって熱処理温度に加熱された熱処理対象領域を急冷するための冷媒噴射機構とを備えている、
    ことを特徴とする薄板製部材の熱処理装置。
  7. 貫通穴を有する薄板製部材の熱処理対象領域に誘導加熱を適用して熱処理を施すための薄板製部材の熱処理装置であって、
    前記熱処理対象領域を誘導加熱するために該領域に対向させてトランスバース配位で配置される加熱用誘導子と、該誘導子による高周波磁束と逆相の高周波磁束を形成させるために前記貫通穴に遊挿ないし近接させてトランスバース配位にて電気的孤立態様で配置される、前記貫通穴径寸法に近い外径寸法の単巻または複巻の無端電磁線輪と、前記加熱用誘導子に高周波通電するための給電機構と、前記誘導加熱によって熱処理温度に加熱された熱処理対象領域を急冷するための冷媒噴射機構とを備えている、
    ことを特徴とする薄板製部材の熱処理装置。
  8. 貫通穴を有する薄板製部材の熱処理対象領域に誘導加熱を適用して熱処理を施すための薄板製部材の熱処理装置であって、
    前記熱処理対象領域を誘導加熱するために該領域に対向させてトランスバース配位で配置される加熱用誘導子と、該誘導子による高周波磁束と逆相の高周波磁束を形成させるために前記貫通穴に遊挿ないし近接させるとともに自身の面方位が前記熱処理対象領域の板面の面方位に沿う配位にて電気的孤立態様で配置される、前記貫通穴径寸法に近い外径寸法の導電性の板状体と、前記加熱用誘導子に高周波通電するための給電機構と、前記誘導加熱によって熱処理温度に加熱された熱処理対象領域を急冷するための冷媒噴射機構とを備えている、
    ことを特徴とする薄板製部材の熱処理装置。
  9. 前記有端電磁線輪または前記無端電磁線輪もしくは前記板状体は、前記熱処理対象領域の前記加熱用誘導子を対向させる板面側から前記加熱用誘導子と一緒に導入して前記貫通穴の穴内ないし近傍に配置できる相互位置関係にて前記加熱用誘導子と相互絶縁取合で結合されている、ことを特徴とする請求項6乃至請求項8の何れかに記載された薄板製部材の熱処理装置。
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