JP5343227B2 - 側鎖にエポキシ基を持つフェナザシリン系重合体 - Google Patents

側鎖にエポキシ基を持つフェナザシリン系重合体 Download PDF

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Description

本発明はフェナザシリン誘導体を主鎖に持つ重合体、即ち、5,10−ジヒドロ−5H−フェナザシリン(以下、単に「フェナザシリン」という)化合物を主鎖に持つ新規なフェナザシリン系重合体に関するものである。
従来、プラスチックに蛍光性を付与するために、様々な有機系の蛍光性化合物が利用されている(特許文献1参照)。
しかし、上記従来の有機系の蛍光性化合物は、低分子量の有機化合物を用いているため、この蛍光性化合物を樹脂に練り込んで蛍光性樹脂とした場合、時間の経過と共に樹脂に含有されている蛍光性化合物が樹脂の表面に移動するという、ブリード現象を起こしやすかった。このため、蛍光性化合物が脱離しやすくなり、蛍光性樹脂の蛍光強度が時間とともに低下してしまうという問題があった。また、こうして蛍光性樹脂の表面に移動した蛍光性化合物が、この蛍光性樹脂に接触するものに転写され、色移りを起こすおそれもあった。
特開平7−157691号公報
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、ブリード現象や色移りがさらに起こり難く、蛍光強度が長期にわたって低下し難い蛍光性樹脂組成物及びその製造方法、並びにそれらに用いることが可能な蛍光性高分子化合物を提供することを解決すべき課題としている。
本発明の蛍光性樹脂組成物は、蛍光性高分子化合物と基材ポリマーとが、該蛍光性高分子化合物が有する官能基と該基材ポリマーが有する官能基との間で架橋されていることを特徴とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1)で表されるフェナザシリン化合物を主鎖骨格とする重合体が樹脂に直接結合させることが可能な蛍光性添加剤として有用であることを見いだした。即ち、本発明のフェナザシリン系重合体は下記一般式(1)で示されるような5,10−ジヒドロ−5H−フェナザシリン化合物を主鎖骨格とすることを特徴とする。
Figure 0005343227
(式中、Rは置換されていてもよい二価のアルキル基を示し、R,Rは、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基または水素原子を示し、nは平均重合度である。)
また、本発明によると、下記一般式(2)で示されるようなフェナザシリン系重合体も提供される。
Figure 0005343227
(式中、Rは置換されていてもよい二価のアルキル基を示し、R,Rは、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基または水素原子を示し、nは平均重合度であり、Arは二価のアリール基を示す。)
また、前記一般式(1)および前記一般式(2)に示したフェナザシリン系重合体は、下記一般式(3)で表されるフェナザシリン化合物を原料として製造することができる。
Figure 0005343227
(式中、Rは置換されていてもよい二価のアルキル基を示し、R,Rは、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基または水素原子を示し、R,Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子または水素原子または置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基を示す。)
本発明によれば、新規なフェナザシリン系重合体により、ブリード現象や色移りがさらに起こり難く、蛍光強度が長期にわたって低下し難い蛍光性樹脂組成物が提供される。
前記一般式(1)〜(3)において、R〜Rで表されるアルキル基としては、メチル、エチル、n−またはiso−プロピル、n−、iso−またはtert−ブチル、n−、iso−またはneo−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等の直鎖、分岐、環状の炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルキル基が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−またはiso−プロポキシ、n−、iso−またはtert−ブトキシ、n−、iso−またはneo−ペントキシ、n−ヘキソキシ、シクロヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ等の直鎖、分岐、環状の炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルコキシ基があげられる。アリール基としては、フェニル基、o−、m−、p−トリル基、1−および2−ナフチル基、アントリル基等の炭素数6〜20、好ましくは6〜14のアリール基が挙げられる。アリーロキシ基としては、フェノキシ基、o−、m−、p−トリロキシ基、1−および2−ナフトキシ基、アントロキシ基等の炭素数6〜20、好ましくは6〜14のアリーロキシ基が挙げられる。
また、Rで表される二価のアルキル基としては、メチレン、エタン−1,2−ジイル、エタン−1,1−ジイル、プロパン−1,1−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル等の直鎖、分岐の炭素数1〜20、望ましくは2〜8の二価のアルキル基が挙げられる。
また、前記一般式(2)において、Arで表される二価のアリール基としては、o−、p−フェニレン、チオフェン−2,5−ジイル、チオフェン−2,3−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,3−ジイル、ピリジン−4,5−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、アントラセン−9,10−ジイル、アントラセン−1,4−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、アントラセン−1,7−ジイル、ビフェニレン−4,4’−ジイル,フルオレン―2,7ジイルが挙げられ、これらの芳香族化合物の芳香環上が置換された化合物も含まれる。
前記一般式(3)において、R,Rで表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、特に臭素原子が望ましい。
前記一般式(1),(2)における平均重合度nは、1を超える任意の数字を取りうるが、2<n<10000の範囲であることが望ましい。
前記一般式(1)で表される重合体は、一般式(3)においてR=Rがハロゲン原子であるハロゲン化フェナザシリン化合物を溶媒に溶かし、このモノマーに対し1〜20当量のニッケル錯体を用いて脱ハロゲン化カップリング反応下にて重合を行うことによって製造することができる。この場合の反応は式(a)で表される。
Figure 0005343227
(式中、Rは置換されていてもよい二価のアルキル基を示し、R,Rはそれぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基または水素原子を示し、R,Rはそれぞれ独立にハロゲン原子を示し、nは平均重合度である。)
前記ニッケル錯体としては、テトラカルボニルニッケル(0)、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、(η−エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、テトラキス(イソシアン化t−ブチル)ニッケル(0)、[(1,2,5,6,8,10−η)−trans,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエン]ニッケル(0)、等を例示することができる。ニッケル錯体は、前記(3)の化合物一当量あたり、0.1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で用いられる。
また、ニッケル錯体には支持配位子として0.1〜10当量の2,2’−ビピリジルやトリフェニルホスフィン等の配位子を加えてもよい。例を挙げれば、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)に2,2’−ビピリジルを1当量加えて用いる、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)にトリフェニルホスフィンを2当量加えて用いる等である。
前記一般式(2)で表される重合体の製造は、一般式(3)においてR及びRがハロゲン原子であるハロゲン化フェナザシリン化合物とジスタニル化合物又はジボリル化合物をパラジウム系触媒の存在下に反応させることにより行うことができる。この反応は、下記反応式(b)で示される。
Figure 0005343227
反応式(b)において、R〜R,Arおよびnは、いずれも前記一般式(1)〜(3)の説明と同意義である。R,Rはそれぞれ独立にハロゲン原子を示し、Y,Yは、ボリル基又はスタニル基を示す。
これらの製造方法では、まず、一般式(3)のフェナザシリン化合物及びジスタニル化合物又はジボリル化合物を適当な有機溶媒に溶解させる。そして、その溶液中にモノマー1当量に対して0.001〜20当量のパラジウム系触媒を添加することにより縮重合反応が進行し、一般式(2)で表されるフェナザシリン系重合体を容易に得ることができる。
反応式(b)中のY−Ar−Yにおいて、Y及びYで示されるスタニル基としては、トリメチルスタニル基、トリエチルスタニル基、トリブチルスタニル基、ジメチルブチルスタニル基が挙げられる。また、Y及びYで示されるボリル基としては、ジヒドロキシボリル基、ジメトキシボリル基、ジエトキシボリル基、メトキシエトキシボリル基、2,1,3−ジオキサボリル基が挙げられる。
ここで、重縮合反応にはパラジウム系触媒が用いられる。パラジウム系触媒としては、従来公知の金属パラジウムを含むパラジウム化合物やパラジウム錯体が用いられる。具体的には、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム、テトラキス(トリメチルホスフィン)パラジウム、トリス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリエチルホスフィト)パラジウム、テトラキス(トリフェニルアルシン)パラジウム、カルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、(η−エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、(η−無水マレイン酸)[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム、ビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、クロロ(メチル)(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、ジエチルビス(トリフェニルフォスフィト)パラジウム、ジエチルビス(トリメチルフォスフィト)パラジウム、ジエチルビス(トリ−i−プロピルフォスフィト)パラジウム、ジメチル[1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン]パラジウム、ジメチル[1,3−ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン]パラジウム、ジメチル[1,2−ビス(ジメチルアミノ)エタン]パラジウム、ジメチルビス(4−エチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン)パラジウム、ビス(t−ブチルイソシアニド)ジメチルパラジウムビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルイソシアニド)ジメチルパラジウムジフェニルビス(メチルジフェニルホスフィニト)パラジウム、ジベンジルビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、ジエチニルビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ジネオペンチル(2,2’−ビピリジル)パラジウム、ブロモ(メチル)ビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ベンゾイル(クロロ)ビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、シクロペンタジエニル(フェニル)(トリエチルホスフィン)パラジウム、η−アリル(ペンタメチルシクロペンタジエニル)パラジウム、π−アリル(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムテトラフルオロほう酸塩、ビス(π−アリル)パラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、ジクロロエチレンジアミンパラジウム、塩化パラジウム、パラジウム炭素などの担持パラジウム金属等を例示することができる。これらのパラジウム系触媒は、原料のフェナザシリン化合物1当量あたり、0.001〜20当量、好ましくは0.01〜0.1当量の割合で用いられる。
また、反応式(b)においては、パラジウム系触媒に対し0.1〜10当量の塩化リチウムや臭化銅等の添加剤を加えて反応させてもよい。さらに、重縮合反応では塩基を加えて反応させることができる。その塩基としては、カップリング反応において通常用いられる種々の塩基を用いることができる。これを例示すれば、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムエトキシド、酢酸ナトリウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウム、酢酸カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸三リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、フッ化セシウム、酸化アルミニウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルシピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリンが挙げられる。
使用する塩基の量としては、前記反応式(b)に示したフェナザシリン化合物1当量に対して1〜100当量、好ましくは1〜20当量である。また、これらの塩基は水溶液にして使用してもよい。
反応式(a)および反応式(b)に示したハロゲン化フェナザシリン化合物において、R及びRで示されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、合成の容易さおよび化合物の安定性から特に臭素原子が好ましい。
反応式(a)および(b)における重合反応は、この種の反応において通常用いられる種々の溶媒を用いることができる。これを例示すれば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)等である。
また、反応式(a)および(b)における重合反応は、溶媒の融点〜溶媒の沸点まで種々の温度で実施できるが、特に0℃〜100℃程度が望ましい。反応後は、再沈等によって精製できる。
上記フェナザシリン系重合体を添加する樹脂としての基材ポリマーとしては、エポキシ基と化学結合するための官能基を有する高分子であれば用いることができる。このような基材ポリマーとして、例えば、ポリエステル樹脂やポリアミド樹脂等、末端にカルボキシ基やアミノ基やヒドロキシ基を有するポリマーが挙げられる。これらの樹脂はそれらの末端官能基に架橋剤を結合させることができる。このような樹脂として、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン−MXD 6等が挙げられる。また、基材ポリマーとして化学結合するための官能基を有する生分解性高分子を用いることもできる。このような生分解性高分子として、例えば、ポリ乳酸、澱粉、酢酸セルロース、(キトサン/セルロース/澱粉)、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリエチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/テレフタレート)、ポリビニルアルコール等の合成高分子系の生分解性プラスチックや、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシバリレート)等が挙げられる。これらの生分解性樹脂は、土壌中で微生物によって分解されるため、環境問題を生じ難いという利点がある。
本発明の蛍光性樹脂組成物は、蛍光性高分子化合物と基材ポリマーとを架橋させることによって得ることができる。架橋方法については特に限定されるものではないが、工業的には連続的に処理できる方法が好ましい。具体的には、例えば、上記の成分を所定の割合で混合したものを一軸スクリュー押出機や二軸混練押出機などで溶融混合し、直ちに成形して成形品とすることができる。また、上記の成分を所定の割合で量り取り、溶剤によって均一に溶解してから溶媒を留去させてもよい。
本発明の蛍光性樹脂組成物には、発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて副次的な添加物を加えて様々な改質を行うことが可能である。副次的な添加物の例としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、顔料、抗菌剤、安定剤、静電剤、難燃剤、核形成剤、各種フィラー等その他の類似のものが挙げられる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
下記に示す2,8−ジブロモ−5,10−ジメチル−10−(3−(オキシラン−2−イルメトキシ)プロピル)−5,10−ジヒドロフェナザシリン−2,8−ジイル)の合成(一般式(3),R=プロパン−1,3−ジイル,R=R=メチル基,R=R=臭素原子)
Figure 0005343227
まず、氷浴中で9.23gのN−メチル−2,2’,4,4’−テトラブロモジフェニルアミンを100mLのエーテルに懸濁させた後に26.0mLのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6M)を加えた。さらにジクロロメチルシランを2.20g加え、沈殿が生成した後に氷浴を外して24時間攪拌した。反応液を氷水に注ぎ、エーテルで抽出した後にヘキサンで洗浄することにより4.15gの2,8−ジブロモ−5,10−ジメチル−5,10−ジヒドロフェナザシリンを単離した。
続いて、5mLのトルエンに0.80gの2,8−ジブロモ−5,10−ジメチル−5,10−ジヒドロフェナザシリン(2.09mmol)とアリルグリシジルエーテル250μLを溶かした溶液に塩化白金酸を10mg加えて100℃で48時間撹拌した。反応生成物をカラムクロマトグラフィーで精製することにより1.01g(2.03mmol)の2,8−ジブロモ−5,10−ジメチル−10−(3−(オキシラン−2−イルメトキシ)プロピル)−5,10−ジヒドロフェナザシリンを単離した。
NMRスペクトルデータについては以下の通りである。
H−NMR(CDCl):δ7.51(d,2H),7.43(dd,2H),6.90(d,2H),3.0〜3.7(m,8H),2.75(t,1H),2.5〜2.6(m,1H),1.4〜1.6(m,2H),0.81(t,2H),0.52(s,2H)
13C−NMR(CDCl):δ149.42,135.45,132.72,124.27,117.09,113.69,73.58,71.33,50.71,44.23,38.32,23.51,11.35,−5.06
実施例2
下記に示すポリ(5,10−ジメチル−10−(3−(オキシラン−2−イルメトキシ)プロピル)−5,10−ジヒドロフェナザシリン−2,8−ジイル)の合成(一般式(1),R=プロパン−1,3−ジイル,R=R=メチル基)
Figure 0005343227
窒素雰囲気下で120mgのビス(シクロオクタジエン)ニッケル(0)に1,5−シクロオクタジエン1mLを加えた後にトルエン4mLを加えて懸濁させた。さらに2,2’−ビピリジル130mgを加えて攪拌した。さらに191mg(0.38mmol)の2,8−ジブロモ−5,10−ジメチル−10−(3−(オキシラン−2−イルメトキシ)プロピル)−5,10−ジヒドロフェナザシリン(一般式(3),R=プロパン−1,3−ジイル,R=R=メチル基,R=R=臭素原子)を加えた後に60℃に昇温して48時間攪拌した。反応液に水を加え、さらにクロロホルムで抽出した後、有機層の溶媒を留去させることにより上記化合物(ポリマー1)を40mg(モノマーユニットとして0.12mmol)を単離した。ポリマーの数平均分子量は1000(n=3.0)重量平均分子量は1900(n=5.6)であった。
クロロホルム溶液の吸収極大波長は345nmであり、蛍光極大波長は402nmであった。
実施例3
下記に示すポリ(5,10−ジメチル−10−(3−(オキシラン−2−イルメトキシ)プロピル)−5,10−ジヒドロフェナザシリン−2,8−ジイル−alt−2,5−ジイル)(一般式(2),R=プロパン−1,3−ジイル,R=R=メチル基,Ar=チオフェン−2,5−ジイル)の合成
Figure 0005343227
窒素雰囲気下で2,8−ジブロモ−5,10−ジメチル−10−(3−(オキシラン−2−イルメトキシ)プロピル)−5,10−ジヒドロフェナザシリン(一般式(3),R=プロパン−1,3−ジイル,R=R=メチル基,R=R=臭素原子)440mg(0.9mmol)とビス(トリメチルスタニル)チオフェン382mg(0.9mmol)をトルエン5mLに加えて溶解させた。次に、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)52mgを加えた後、90℃に昇温して4日間かくはんした。反応液をメタノールに注ぐことにより得られた粉末を水、メタノール、ヘキサンの順で洗浄することにより、上記化学式に示す化合物(ポリマー2)を293mg(モノマー単位として0.7mmol)単離した。ポリマーのクロロホルム可溶部の数平均分子量は1500(n=3.5)重量平均分子量は2900(n=7.0)であった。
得られた化合物のクロロホルム溶液の吸収極大波長は379nmであり、蛍光極大波長は453nmであった。
実施例4
樹脂との結合
ポリカプロラクトン(分子量1250,120mg)とポリマー2(69.9mg)をフラスコにとり、190℃で12時間加熱することにより蛍光性ポリマーと樹脂との反応を行った。反応生成物のクロロホルム可溶部の分子量は2500であった。このことから、ポリカプロラクトンは蛍光性ポリマーとの化学結合を起こしていると考えられる。
反応生成物のクロロホルム溶液の吸収極大波長は397nmであり、蛍光極大波長は453nmであった。
実施例5
成形体の作成
ポリマー2(15mg)とポリ乳酸(島津製作所 ラクティ9030)(30g)をビーカーに混ぜて、混練機(Custom Scientifics Instruments社製 CS−194AV−247)によりペレットの作成を行い、さらにプラスチック成形機(Custom Scientifics Instruments社製 CS−188MMX−209)を用い、200℃で射出成形することにより試験片の作製を行った。試験片の吸収極大波長は402nmであった。また、蛍光極大波長は453nmであった。

Claims (7)

  1. 下記構造式(1)で示されるフェナザシリン系重合体。
    Figure 0005343227
    (式中、R無置換のアルキレン基を示し、R,Rは、それぞれ独立に、無置換のアルキル基を示し、nは平均重合度である。)
  2. 下記構造式(2)で示されるフェナザシリン系重合体。
    Figure 0005343227
    (式中、R無置換のアルキレン基を示し、R,Rは、それぞれ独立に、無置換のアルキル基を示し、nは平均重合度であり、Arは無置換のチエニレン基を示す。)
  3. 下記一般式(3)で示されるフェナザシリン化合物。
    Figure 0005343227
    (式中、R は無置換のアルキレン基を示し、R,Rは、それぞれ独立に、無置換のアルキル基を示し、R,Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子を示す。)
  4. 請求項3に記載のフェナザシリン化合物をニッケル錯体を用いて脱ハロゲン化重縮合反応させて重合することを特徴とする請求項1に記載の重合体の製造方法。
  5. 請求項3に記載のフェナザシリン化合物と、ジスタニル化合物又はジボリル化合物とを、パラジウム系触媒の存在下で反応させることによって重合することを特徴とする請求項2に記載の重合体の製造方法。
  6. 請求項1に記載のフェナザシリン系重合体および/または請求項2に記載のフェナザシリン系重合体を含む蛍光剤。
  7. エポキシ基と化学結合可能な官能基を有する基材ポリマーに請求項6の蛍光剤が添加され、該蛍光剤のエポキシ基が基材ポリマーの官能基と架橋されていることを特徴とする蛍光性樹脂。
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