JP3944565B2 - フェナザシリン含有π共役ポリマー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェナザシリン誘導体を主鎖に持つポリマー、即ち、光機能材料や電子材料として利用される5,10−ジヒドロ−5H−フェナザシリン(以下、単に「フェナザシリン」という)化合物を主鎖に持つ新規なフェナザシリン系重合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トリフェニルアミン化合物を含むπ共役ポリマーにおいて、下記構造式で示されるポリマーがChemical Communications 2000,p681−682に開示されている。このポリマーは有機薄膜電界発光素子の正孔輸送層及び発光層として有効であることが示されている。
【化2】
【0003】
また、ケイ素で縮環されたジフェニルアミン誘導体である低分子化合物のフェナザシリンは、発光素子の正孔輸送材料として好適に用いられることが、特開平8−302339号公報、特開平10−218884号公報に記載されている。これらのフェナザシリン化合物は高いガラス転移温度Tgを持つことから、発光素子の構成材料として用いた際、通常の低分子化合物が時間の経過とともに結晶化し界面に凸凹が形成されて電気短絡を起こすという欠点があるのに対し、フェナザシリン化合物では経時変化と共に結晶化の進行が少ないという特徴がある。
また、ポリアニリンを代表とする芳香族アミン型ポリマーは、高い電気活性を示すものの、一般の有機溶媒への溶解性が低いため膜形成が容易でなく、素子化が難しいという問題がある。
さらに、低分子化合物は、発光素子等の電子素子の構成材料として用いる場合には真空蒸着装置等の高価な機器を用いなければならず、簡便な手段によって利用できる電子材料が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高い耐熱性及び良好な製膜性を有し、エレクトロクロミック素子を始めとする有機電子材料及び光機能材料等として使用可能なケイ素含有有機重合体、その製造方法及びその重合体を用いた電子素子等を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、エレクトロニクス材料や光機能材料等の技術分野に用いられる有機ケイ素ポリマーについて、鋭意研究を重ねた結果、ケイ素原子を含む特定の繰り返し構造単位からなる新規なフェナザシリン系ポリマーが優れた特性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、下記一般式(1)で表されるフェナザシリン骨格を主鎖に有するフェナザシリン系重合体が提供される。
【化3】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリーロキシ基を示し、R3は水素原子、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリーロキシ基を示す。Arは、o−フェニレン、p−フェニレン、チオフェン−2,5−ジイル、チオフェン−2,3−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,3−ジイル、ピリジン−4,5−ジイル、ナフタレン−1 , 4 - ジイル、ナフタレン−2 , 6 - ジイル、ナフタレン−1 , 2−ジイル、ナフタレン−1 , 7 - ジイル、アントラセン−9,10−ジイル、アントラセン−1,4−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、アントラセン−1,7−ジイル、及びビフェニレン−4,4´−ジイルからなる群から選ばれる二価の基を示し、これらの芳香族環上が置換されていても良い。nは3〜30,000の整数である。)
【0006】
また、本発明によれば、ハロゲン化フェナザシリン化合物とジスタニル化合物またはジボリル化合物とを、パラジウム系触媒の存在下に反応させる上記したフェナザシリン系重合体の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、上記のフェナザシリン系重合体を含む有機薄膜を用いたことを特徴とする電子素子及び発光素子が提供される。また、上記のフェナザシリン系重合体を構成要素に用いた有機薄膜エレクトロクロミック(ECD)素子及び有機薄膜エレクトロルミネッセンス(EL)素子が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の前記一般式(1)で表されるフェナザシリン系重合体は、文献未記載の新規化合物であり、5,10−ジヒドロ−5H−フェナザシリン化合物を主鎖骨格に持つポリマーである。
一般式(1)において、R1 及びR2 は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリーロキシ基であり、また、R3 は水素原子、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリーロキシ基である。
【0008】
まず、上記のR1〜R3におけるアルキル基としては、メチル、エチル、n−またはiso−プロピル、n−、iso−またはtert−ブチル、n−、iso−またはneo−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等の直鎖、分岐、環状の炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルキル基が挙げられる。また、アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−またはiso−プロポキシ、n−、iso−またはtert−ブトキシ、n−、iso−またはneo−ペントキシ、n−ヘキソキシ、シクロヘキシソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ等の直鎖、分岐、環状の炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルコキシ基が挙げられる。また、アリール基としては、フェニル基、o−、m−、p−トリル基、1−および2−ナフチル基、アントリル基等の炭素数6〜20、好ましくは6〜14のアリール基が挙げられる。アリーロキシ基としては、フェノキシ基、o−、m−、p−トリロキシ基、1−および2−ナフトキシ基、アントロキシ基等の炭素数6〜20、好ましくは6〜14のアリーロキシ基が挙げられる。
【0009】
次に、前記一般式(1)において、Arは、o−、p−フェニレン、チオフェン−2,5−ジイル、チオフェン−2,3−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,3−ジイル、ピリジン−4,5−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、アントラセン−9,10−ジイル、アントラセン−1,4−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、アントラセン−1,7−ジイル、及びビフェニレン−4,4’−ジイルからなる群から選ばれる二価の基を示し、これらの芳香族化合物の芳香環上が置換された化合物も含まれる。
【0010】
Arとして、芳香環上が置換された化合物としては、アルコキシベンゼン−1,4−ジイル、アルキルベンゼン−1,4−ジイル、アリールベンゼン−1,4−ジイル、アリーロキシベンゼン−1,4−ジイル、2,5−、2,3−、2,6−ジアルコキシベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5−トリアルコキシベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5,6−テトラアルコキシベンゼン−1,4−ジイル、2,5−、2,3−、2,6−ジアルキルベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5−トリアルキルベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5,6−テトラアルキルベンゼン−1,4−ジイル、2,5−、2,3−、2,6−ジアリールベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5−トリアリールベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5,6−テトラアリールベンゼン−1,4−ジイル、2,5−、2,3−、2,6−ジアリーロキシベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5−トリアリーロキシベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5,6−テトラアリーロキシベンゼン−1,4−ジイル、アルコキシチオフェン−2,5−ジイル、アルキルチオフェン−2,5−ジイル、アリールチオフェン−2,5−ジイル、アリーロキシチオフェン−2,5−ジイル、ジアルコキシチオフェン−2,5−ジイル、ジアルキルチオフェン−2,5−ジイル、ジアリールチオフェン−2,5−ジイル、ジアリーロキシチオフェン−2,5−ジイルが挙げられる。
【0011】
さらに、R1〜R3における「置換されていてもよい」の置換基としては、後記する重合反応に関与しないものであればよく、例えば、前記したアルコキシ基、アルキル基、アリール基、アリーロキシ基が挙げられる。
また、一般式(1)中のnは、数平均重合度であって、3〜30,000の範囲の整数である。
【0012】
本発明の前記一般式(1)で表されるフェナザシリン系重合体の製造方法の1例としては、ハロゲン化フェナザシリン化合物とジスタニル化合物またはジボリル化合物をパラジウム系触媒の存在下に反応させることにより行うことができる。この反応は、下記反応式(a)で示される。
【0013】
【化4】
反応式(a)において、R1〜R3は及びArは、いずれも前記一般式(1)で説明したと同意義である。また、X1及びX2は、それぞれ独立にハロゲン原子を示し、Y1、Y2は、それぞれ独立にボリル基またはスタニル基を示す。nは数平均重合度で3〜30,000の整数である。
【0014】
この製造方法では、まず、ハロゲン化されたフェナザシリン化合物及びジスタニルまたはジボリル化合物を適当な有機溶媒に溶解させ、次いで、その溶液中に、このモノマーに対し0.001〜20当量のパラジウム系触媒を添加することにより縮重合反応が進行し、一般式(1)で表されるフェナザシリン系重合体を容易に得ることができる。
【0015】
反応式(a)中のハロゲン化フェナザシリン化合物において、X1及びX2で示されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、特に臭素原子が好ましい。
【0016】
また、反応式(a)中のY1−Ar−Y2において、Y1及びY2で示されるボリル基としては、ジヒドロキシボリル基、ジメトキシボリル基、ジエトキシボリル基、メトキシエトキシボリル基、2,1,3−ジオキサボリル基、2,1,3−ジオキサボリル基が挙げられる。また、Y1及びY2で示されるスタニル基としては、トリメチルスタニル基、トリエチルスタニル基、トリブチルスタニル基、ジメチルブチルスタニル基が挙げられる。
【0017】
上記の重縮合反応には、この種の反応において通常用いられる種々の溶媒を用いることができる。これを例示すれば、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)等である。
【0018】
本発明の重縮合反応にはパラジウム系触媒が用いられる。そのパラジウム系触媒としては、従来公知の金属パラジウムを含むパラジウム化合物やパラジウム錯体が用いられる。具体的には、テトラキス(トリフェニルホスフイン)パラジウム、酢酸パラジウム、テトラキス(トリメチルホスフイン)パラジウム、トリス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフイン)パラジウム、テトラキス(トリエチルホスフィト)パラジウム、テトラキス(トリフェニルアルシン)パラジウム、カルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、(η2−エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、(η2−無水マレイン酸)[1,2−ビスジフェニルホスフイノ)エタン]パラジウム、ビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、(クロロメチル)(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、ジエチルビス(トリフェニルフォスフィノ)パラジウム、ジエチルビス(トリメチルフォスフイノ)パラジウム、ジエチルビス(トリ−i−プロピルフォスフィト)パラジウム、ジメチル[1,2−ビスジメチルホスフイノ)エタン]パラジウム、ジメチル[1,3−ビスジメチルホスフィノ)プロパン]パラジウム、ジメチル[1,2−(ビスジメチルアミノ)エタン]パラジウム、ジメチルビス(4−エチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン)パラジウム、ビス(トブチルイソシアニド)ジメチルパラジウムビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルイソシアニト)ジメチルパラジウムジフェニルビス(メチルジフェニルホスフィニト)パラジウム、ジベンジルビス(トリメチルホスフイン)パラジウム、ジエチニルビス(トリエチルホスフイン)パラジウム、ジネオペンチル(2,2’一ビピリジル)パラジウム、ブロモ(メチル)ビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ベンゾイル(クロロ)ビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、シクロペンタジエニルフェニル)(トリエチルホスフイン)パラジウム、η一アリルペンタメチルシクロペンタジエニル)パラジウム、π−アリル(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムテトラフルオロほう酸塩、ビス(π−アリル)パラジウム、ビスケセチルアセトナト)パラジウム、ジクロロエチレンジアミンパラジウム、塩化パラジウム、パラジウム炭素などの担持パラジウム金属等を例示することができる。これらのパラジウム系触媒は、原料のフェナザシリン化合物一当量あたり、0.001〜20当量、好ましくは0.01〜0.1当量の割合で用いられる。
【0019】
また、式(a)においては、パラジウム系触媒に対し0.1〜10当量の塩化リチウムや臭化銅等の添加剤を加えて反応させてもよい。
さらに、本重合反応では塩基を加えて反応させることができる。その塩基としては、カップリング反応において通常用いられる種々の塩基を用いることができる。これを例示すれば、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムエトキシド、酢酸ナトリウム、トリエチルアミン、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウム、酢酸カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸三リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、フッ化セシウム、酸化アルミニウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルシピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリンが挙げられる。使用する塩基の量としては、前記反応式(a)に示したフェナザシリン化合物1当量に対して1〜100当量、好ましくは1〜20当量である。また、これらの塩基は水溶液にして使用してもよい。
【0020】
この重縮合反応は、溶媒の融点〜溶媒の沸点まで種々の温度で実施できるが、特に0℃〜100℃程度が望ましい。反応終了後、生成物は再沈法等によって容易に精製できる。本発明のフェナザシリン系重合体は、数平均重合度nが3〜30,000の範囲のものであるが、好ましくは5〜10,000である。
【0021】
前記の方法によって得られる本発明のフェナザシリン系重合体は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、トリフルオロ酢酸等の有機酸、THF等の通常の有機溶剤に容易に結晶化することなく溶解するから、スピンコート法、ヂップコート法、ロールコート法等の通常の塗布法を用いて簡易に成膜化して薄膜を形成できるものであり、様々な光機能材料や半導体等の電子材料として使用可能である。また、このフェナザシリン系重合体は、高強度等の機械的特性と優れた耐熱性を有するうえに、多様な電気的特性及び光特性を持つことから、有機薄膜エレクトロクロミック素子等の電子材料に用いることができる。また、有機薄膜発光素子や有機感光体の正孔輸送層として用いることもできる。さらに、ポリマーの溶液が高い蛍光量子収率を持つことから、有機薄膜発光素子の発光層に用いることができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によっては何ら限定されるものではない。
実施例1
下記式に示すポリ{(10,10−ジ−n−オクチル−5−メチル−フェナザシリン−2,8−ジイル)−alt−(2,5−ジヘキシロキシベンゼン−1,4−ジイル)}の合成
【化5】
窒素雰囲気下で2,8−ジブロモ−10,10−ジ−n−オクチル−5−メチルフェナザシリン328mgと1,4−ジオクチロキシ−2,5−ベンゼンジボロン酸(反応式a参照、Ar=2,5−ジヘキシロキシベンゼン−1,4−ジイル,Y1=Y2=ジヒドロキシボリル基)202mgをトルエン10mLに加えて懸濁させた。次に、炭酸カルシウム1.07gを11mLの水に溶かしたものを加えてかくはんした。更にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)32mgを加えた後、90℃に昇温して48時間かくはんした。生成した反応液をメタノールに注ぎ、得られた粉末をろ過した。この粉末を塩酸水溶液、メタノール水溶液の順で洗浄することにより、ポリマー368mg(モノマー単位として0.65mmol)を単離した。
【0023】
得られたポリマーは、THF、クロロホルム等の一般の有機溶媒に可溶であり、数平均分子量は9,000、重量平均分子量は21,000であった。
また、そのポリマーのNMRスペクトルデータは、以下のとおりである。
1H−NMR(CDCl3):δ6.8〜8.0(m,8H),3.95(t,4H),3.63(s,3H),0.8〜2.0(m,54H)
13C−NMR(CDCl3):δ150.46,150.14,134.74,131.03,130.29,129.96,129.56,127.91,120.65,116.43,114.66,69.84,38.44,33.85,33.65,31.94,31.59,33.85,33.65,31.94,31.59,29.49,29.39,29.34,25.83,23.97,22.67,22.64,14.10,14.03,13.71
29Si−NMR(CDCl3):δ−20.21
【0024】
得られたポリマーのクロロホルム溶液について紫外可視吸収スペクトル測定を行った結果、吸収極大波長は359nmであった。また、励起光を紫外可視吸収スペクトル測定での吸収極大波長にして蛍光スペクトルを測定した結果、415nmに蛍光極大波長を持ち、その際の蛍光量子収率は31%であった。また、電気化学的にドーピングしたポリマーのキャストフィルムの電気伝導度は0.43S/cmであった。
【0025】
実施例2
下記式に示すポリ{(10,10−ジ−n−オクチル−5−メチル−5,10−ジヒドロフェナザシリン−2,8−ジイル)−alt−(チオフェン−2,5−ジイル)}の合成
【化6】
窒素雰囲気下で2,8−ジブロモ−10,10−ジ−n−オクチル−5−メチルフェナザシリン584mgとビス(トリメチルスタニル)チオフェン(反応式a参照、Ar=チオフェン−2,5−ジイル基)404mgをトルエン10mLに加えて溶解させた。次に、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)56mgを加えた後、90℃に昇温して48時間かくはんした。生成した反応液をメタノールに注ぎ、得られた粉末をろ過した。この粉末をフッ化カリウム水溶液、メタノール水溶液の順で洗浄することにより、ポリマー459mg(モノマー単位として0.65mmol)を単離した。
【0026】
得られたポリマーは、テトラヒドロフラン、クロロホルム等の通常の有機溶媒に可溶であり、その数平均分子量は7100、重量平均分子量は11600であった。また、得られたポリマーのNMRスペクトルデータは、以下のとおりである。
1H−NMR(CDCl3):δ6.8〜8.0(m,8H),3.58(s,3H),0.8〜2.0(m,34H)
13C−NMR(CDCl3):δ150.35,130.76,128.90,127.44,125.53,122.72,121.45,115.58,38.54,33.45,31.92,29.27,29.16,23.73,22.68,14.12,13.43
29Si−NMR(CDCl3):δ−19.50
【0027】
得られたポリマーのクロロホルム溶液について紫外可視吸収スペクトル測定を行った結果、吸収極大波長は405nmであった。また、励起光を紫外可視吸収スペクトル測定での吸収極大波長にして蛍光スペクトルを測定した結果、460nmに蛍光極大波長を持ち、その際の蛍光量子収率は31%であった。また、電気化学的にドーピングしたポリマーのキャストフィルムの電気伝導度は1.8S/cmであった。
【0028】
実施例3
ポリマーを用いたエレクトロクロミック素子
電気化学セルの構成を三極式とし、作用極としてグラッシーカーボン電極、対極として白金棒、参照極として銀・銀イオン電極を用いた。また、支持電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウム(TBAP)を用い、溶媒として脱水アセトニトリルまたは脱水ジクロロメタンを使用した。
下記したポリマーのフィルム状態における電気化学応答は、ポリマー1mgを200μlのジクロロエタンまたはトリフルオロ酢酸に溶解させ、そのポリマー溶液を電極表面にキャストして観察した。また、溶存状態におけるポリマーの電気化学応答は支持電解質を含んだジクロロメタン溶液に溶解させた後、観察した。
ポリマーの分光電気化学応答は、市販の透明電極(50×5mm)上にポリマー溶液をキャストし、これを作用極とした。これを対極(白金板)、参照極と共に石英セル内に配置し、電位変化におけるポリマーの色調変化を分光器により検出した。
【0029】
ポリ{(10,10−ジ−n−オクチル−5−メチル−フェナザシリン−2,8−ジイル)−alt−(2,5−ジヘキシロキシベンゼン−1,4−ジイル)}を作用極に用いた場合、中性ではポリマーの色は無色であったが、キャストフィルムに引加する電位を高くすることにより無色から茶色、黒色へと変化した。
【0030】
ポリ{(10,10−ジ−n−オクチル−5−メチル−フェナザシリン−2,8−ジイル)−alt−(チオフェン−2,5−ジイル)}を作用極に用いた場合、中性ではポリマーの色は黄色であったが、キャストフィルムに引加する電位を高くすることにより黄色から青色へと変化した。
【0031】
【発明の効果】
本発明のフェナザシリン系重合体は、汎用の有機溶剤に容易に溶解して、スピンコート等の通常の塗膜形成法を用いて簡易に薄膜化できるから、多様な光機能材料や半導体等の電子材料の素材として利用できるものである。このフェナザシリン系重合体は、耐熱性を有するうえに、優れた電気的特性、光特性及び高い強度等の機械的特性を持つことから、有機薄膜エレクトロクロミック素子、有機感光体、有機薄膜発光素子等の電子材料とすることができる。
Claims (6)
- 下記一般式(1)で表されるフェナザシリン骨格を主鎖に有するフェナザシリン系重合体。
- ハロゲン化フェナザシリン化合物とジスタニル化合物またはジボリル化合物とを、パラジウム系触媒の存在下に反応させることを特徴とする請求項1に記載のフェナザシリン系重合体の製造方法。
- 請求項1に記載のフェナザシリン系重合体を含む有機薄膜を用いたことを特徴とする電子素子。
- 請求項1に記載のフェナザシリン系重合体を含む有機薄膜を用いたことを特徴とする発光素子
- 請求項1に記載のフェナザシリン系重合体を構成要素に用いたことを特徴とする有機薄膜エレクトロクロミック素子。
- 請求項1に記載のフェナザシリン系重合体を構成要素に用いたことを特徴とする有機薄膜エレクトロルミネッセンス素子。
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