JP5342054B2 - 袋入り抗菌剤 - Google Patents
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Description
このような問題を解決する技術として、多孔性無機質担体に二酸化塩素ガスを吸着保持せしめてなる殺菌消毒剤が開発されている(特許文献2)。この殺菌消毒剤は、容器に充填して保管され、容器の上蓋を開放して二酸化塩素ガスを開口部から徐々に空気中に放散させて使用することが記載されている。
すなわち、特許文献2に記載されるような静置して使用することを前提とした製品を単に携帯用に転用しただけでは、その安全性を十分に確保することができないだけでなく、効果の持続性も不十分となる。
従って、本発明は、振動や衝撃の下でも、安定した量の二酸化塩素を継続的に放出させることが可能な、携帯に適した固形の抗菌剤を提供することを課題とする。
このような構成の袋入り抗菌剤は、第1の袋体の外に放出された抗菌性物質を一旦第1の袋体と第2の袋体の隙間に保持することができ、さらにその抗菌性物質を縁部の放出孔から大気中へ放出させるため、強い振動や衝撃が加わっても、一度に大気中に抗菌性物質が放出されることを抑制することができる。
多角形状の複数辺の縁部に放出孔を設けることにより、静置時においても空気の流路を確保することができ、効率よく抗菌性物質を放出させることができる。
円形又は楕円形の縁部に放出孔を間隔をおいて複数設けることにより、静置時においても空気の流路を確保することができ、効率よく抗菌性物質を放出させることができる。
放出孔を、第2の袋体の表面と裏面の両方に設けることにより、静置時において、より効率よく空気の流路を確保することができる。
これにより、第2の袋体内の空気の循環が効率的に行われるので、より効率よく抗菌性物質を放出させることができる。
第1の袋体と第2の袋体との体積比をこのようにすることで、第1の袋体と第2の袋体との間の隙間を適度に形成することができ、振動や衝撃を与えた場合の第1の袋体からの抗菌性物質の放出がより安定したものとなる。
比較的粒径の小さい無機質固形担体とし、充填率を上記の範囲とすることで、粒子の流動性を高めることができ、第1の袋体からの抗菌性物質の放出を長期間にわたり安定したものとすることができる。
このような構成とすることにより、未使用時には、放出孔からの抗菌性物質の放出を防ぐことができ、保管に適したものとなる。
これらの無機質固形担体を用いることにより、抗菌性物質の適度な吸着を実現することができる。
以下、本発明の袋入り抗菌剤の実施形態1について、図1〜4を参照しながら説明する。
図1に示す袋入り抗菌剤1は、不織布からなる袋体2(第1の袋体)とそれを収納するアルミニウム蒸着フィルムからなる袋体3(第2の袋体)とを備える。袋体2には、固形の粒子状の抗菌剤4が、袋体2の体積の60%程度の充填率で収納されている。
袋体2には、その全面にセピオライト微粒子の径より小さい径の微細孔(図示しない)が形成されている。該微細孔は、セピオライト微粒子を透過しないが二酸化塩素分子は透過する。
また、抗菌性物質の安定性を維持する観点から遮光性の材料であることが好ましい。
ここで、袋体2と袋体3の体積比は、1:3〜1:1.2程度、さらには1:2〜1:1.2程度が好ましい。このような範囲とすることにより、袋体2と袋体3との間に、適度な隙間を形成することができ、後に詳述する、抗菌性物質の大気への徐放性を担保することができる。特に、袋体3として扁平なものを用いることで、袋体2と袋体3との所定の位置に、適度な隙間を形成することができる。この作用効果については、後に詳述する。
放出孔31は、剥離可能なシール6でふさがれている。袋入り抗菌剤を使用する場合には、シール6を剥離して放出孔31を開口する(図2参照)。
抗菌剤4における二酸化塩素は、周囲の空気の振動などの物理的な力や微粒子同士の衝突により、セピオライトから解離する。
粒径を一定の範囲とすることにより、抗菌剤4の流動性を制御することができ、第1の袋体からの抗菌性物質の放出を安定的に継続させることができる。さらに、当該効果をより大きいものとする観点から、前記第1の袋体における該無機質固形担体の充填率を30〜80%程度、好ましくは40〜70%程度とすることが好ましい。本発明における充填率は、抗菌剤を非圧縮下で充填したときの見かけ上の体積を、第1の袋体の容量で除することで求めることができる。
流動性が高いほど、また、充填率が低いほど、抗菌性物質の放出が進みやすくなる。
図4は、図1のA−A断面図である。
抗菌剤4を構成するセピオライト微粒子に担持された二酸化塩素は、袋入り抗菌剤1の振動等によって発生する空気の流れ、抗菌剤4を構成する微粒子同士の衝突等によって、微粒子表面から解離し、不織布からなる袋体2の全面に形成された微細孔から、袋体2の外に放出される。通常の状態では、抗菌剤4を収納する袋体2は、その中心部周辺において最も厚みがあり、袋体3の内側と接触している。一方、抗菌剤4を収納する袋体2は、端部に行くほど厚みがなくなり、袋体2より体積が大きい袋体3との間に隙間S1及び隙間S2を形成する。袋体2の微細孔から放出された二酸化塩素は、隙間S1に一時的に保
持され袋体3の放出孔31から徐放される。また、隙間S2に一時的に保持された二酸化塩素は、袋体3内の隙間S1へとゆっくりと拡散し、放出孔31から徐放される。
また、本実施形態の場合、袋体3の縁部に圧力が加わった場合でも、隙間S1に保持された量の二酸化塩素のみが一度に放出されるだけであり、所定量以上の二酸化塩素が一度に放出される危険性を回避することができる。
次に、図5を参照しながら本発明の実施形態2について説明する。
なお、上述した実施形態1と同じ構成については、図1と同一の符号を付して説明を簡略化する。
袋体2には、その全面にセピオライトの微粒子より小さい径の微細孔(図示しない)が形成されている。
袋体3は、袋体2の約1.9倍の体積を有する。
袋体3には、その縁部に直径約4mmの放出孔31が、円弧状に間隔をおいて複数個設けられている。なお、図示しないが、放出孔31は、剥離可能なシールでふさがれていることが好ましい。
なお、袋体3は、楕円形であってもよい。
次に、図6を参照しながら本発明の実施形態3について説明する。
なお、上述した実施形態1と同じ構成については、図1と同一の符号を付して説明を簡略化する。
袋体2には、その全面にセピオライトの微粒子より小さい径の微細孔(図示しない)が形成されている。
袋体3は、袋体2の約1.6倍の体積を有する。
袋体3には、その長辺の縁部、及び短辺の縁部に直径約4mmの放出孔31が複数個設けられている。このように、四角形状の複数の辺に放出孔を設けることにより、静置時においても、袋体3内の空気の流路を確保することができ、効率よく抗菌性物質を放出させることができる。
次に、図7、図8を参照しながら本発明の実施形態4について説明する。
なお、上述した実施形態1と同じ構成については、図1と同一の符号を付して説明を簡略化する。
袋体2には、その全面にセピオライトの微粒子より小さい径の微細孔(図示しない)が形成されている。
袋体3は、抗菌剤4を含む袋体2を収納しない状態では、四角形のシート状(85mm×55mm(内部空間形成領域))である。袋体3は、アルミニウム蒸着フィルムを2枚重ねて周囲を圧着して製造される。袋体3の圧着部32の一方の長辺側は、中央が幅広になっていて、中央にストラップ(図示しない)を取り付けるための長穴5が形成されている。
袋体3は、袋体2の約1.6倍の体積を有する。
袋体3には、表面の上側の長辺の縁部に直径約4mmの放出孔31が複数個設けられている。また、裏面の下側の長辺の縁部に直径約4mmの放出孔31が複数個設けられている。
このように、表面と裏面の互いに異なる辺に放出孔を設けることにより、静置時においても、袋体3内の空気の流路を確保することができ、効率よく抗菌性物質を放出させることができる。
上記で製造した実施形態1の袋入り抗菌剤を用いて、果物(ミカン)の腐敗試験を行った。
半分に割ったミカンを密封容器3つに入れ、2つには実施形態1の袋入り抗菌剤を入れ(サンプル1、サンプル2)、1つには何も入れなかった(コントロール)。サンプル1の密封容器は1日に数回振動させ、サンプル2とコントロールの密封容器は静置して、ミカンの状態を経時観察した。
上記で製造した実施形態3の袋入り抗菌剤を用いて、果物(ミカン)の腐敗試験を行った。
半分に割ったミカンを密封容器に入れ、実施形態3の袋入り抗菌剤を入れた(サンプル3)。サンプル3の密封容器は静置して、ミカンの状態を経時観察した。
2 袋体(第1の袋体)
3 袋体(第2の袋体)
31 放出孔
32 圧着部
4 抗菌剤
5 長穴
6 シール
S1、S2 隙間
Claims (7)
- 多孔性の無機質固形担体に二酸化塩素を担持させた粒子状の抗菌剤と、該抗菌剤を収容する第1の袋体と、第1の袋体を収容する第2の袋体と、を備えた携帯用の袋入り抗菌剤であって、
第1の袋体は、全面に無機質固形担体の粒径より小さな径の微細孔を有し、
第2の袋体は、前記二酸化塩素を大気中に放出するための放出孔を有し、
前記第1の袋体及び第2の袋体は、第1の袋体が第2の袋体の内側の一部に接触し得る程度にそれぞれ扁平に形成され、
前記第2の袋体は、アルミニウム蒸着フィルムを2枚重ねて周囲を圧着して形成され、
前記第2の袋体の放出孔は複数設けられ、前記放出孔の少なくとも一部は、前記第2の袋体の縁部に設けられ、これらの放出孔は、剥離可能なシールでふさがれており、
前記第2の袋体には、第2の袋体の吊り下げに用いる穴が設けられていることを特徴とする、携帯用の袋入り抗菌剤。 - 前記第2の袋体には、第1の袋体が第2の袋体の内側に接触する部分と、第1の袋体と第2の袋体との間に隙間が形成される部分とがあり、前記放出孔は、前記第2の袋体の前記隙間が形成される部分に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の携帯用の袋入り抗菌剤。
- 前記第2の袋体は扁平な多角形状であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の携帯用の袋入り抗菌剤。
- 前記第1の袋体と第2の袋体との体積比が、1:2〜1:1.2であることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の携帯用の袋入り抗菌剤。
- 前記第1の袋体における粒子状の抗菌剤の充填率が30〜80%であることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の携帯用の袋入り抗菌剤。
- 前記粒子状の抗菌剤の粒径が0.01〜1mmであることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載の携帯用の袋入り抗菌剤。
- 前記無機質固形担体はセピオライト、ゼオライト、シリカ、アルミナ、及びシリカアルミナから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1〜6の何れかに記載の携帯用の袋入り抗菌剤。
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