JP2014204845A - 抗菌剤収容体 - Google Patents

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清弘 和気
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Abstract

【課題】抗菌効果がなくなったことを可視的に確認することができる抗菌剤収容体を提供することを課題とする。
【解決手段】多孔性の固形担体に抗菌性物質を担持させた抗菌剤と、該抗菌剤を収容する収容体3とを備えた抗菌剤収容体1であって、前記収容体が、略扁平状に形成されて一対の面を有するとともに、少なくとも一方の面に、前記抗菌性物質を外気へ放出して抗菌作用を生じさせる拡散孔4が形成され、かつ、前記収容体の面に、前記抗菌性物質の放出量に対応して視覚効果を変化させることにより、前記抗菌作用の減衰状態を表示するインジケーター7が設けられていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、抗菌性物質を含む粒子状の抗菌剤を収容して構成された抗菌剤収容体に関する。
近年、二酸化塩素は塩素に代わる殺菌消毒剤として注目されている。従来、二酸化塩素を発生させる方法としては、亜塩素酸ナトリウム水溶液(安定化二酸化塩素水溶液)と酸(活性化剤)を混合反応させるのが主流であった(特許文献1)。しかしながら、このような方法は、反混合の手間がかかることや副反応を生ずるおそれがあることにより、一般の使用者が手軽に使用できるものではなかった。
このような問題を解決する技術として、多孔性無機質担体に二酸化塩素ガスを吸着保持せしめてなる殺菌消毒剤が開発されている(特許文献2)。この殺菌消毒剤は、容器に収容して保管され、使用時には、容器の上蓋を開放し、その開口部から二酸化塩素ガスを徐々に空気中に拡散させることが記載されている。
一方、抗菌性物質等の薬剤を収納するケースや袋といった収容体としては次のようなものが知られている。例えば、気体不透過性シートからなる袋状の収容体内に徐散性薬剤を収容し、当該収容体に開口部を形成するとともに、該開口部を薬剤放出膜によって覆った徐散性薬剤収容体が知られている(特許文献3)。また、撥水性の不織布に脱臭剤を封入し、これを冷蔵庫内に設置した樹脂製のカセットに収容することが知られている(特許文献4)。
特開昭60−161307号公報 特開平6−233985号公報 特開平10−167323号公報 特開2003−148861号公報
ところで、前述した何れの技術においても、二酸化塩素ガスの拡散の有無の確認、すなわち、抗菌効果が維持されているか否かを確認することができず、二酸化塩素ガスの全てが拡散し、抗菌効果がなくなってしまったにも係わらず、継続して使用してしまうといった不具合があった。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、抗菌効果がなくなったことを可視的に確認することができる抗菌剤収容体を提供することを課題とする。
前述した課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の抗菌剤収容体は、抗菌性物質を含む粒子状の抗菌剤と、該抗菌剤を収容する収容体とを備えた抗菌剤収容体であって、前記収容体が、略扁平状に形成されて一対の面を有するとともに、少なくとも一方の面に、前記抗菌性物質を外気へ放出して抗菌作用を生じさせる拡散孔が形成され、かつ、前記収容体の面に、前記抗菌性物質の放出量に対応して視覚効果を変化させることにより、前記抗菌作用の減衰状態を表示するインジケーターが設けられていることを特徴とする。
このような構成とすることにより、収容された前記抗菌剤から放出された抗菌性物質は、前記拡散孔を介して外気に拡散して抗菌作用を生じさせる。
ここで、前記抗菌性物質の放出量に応じて、前記インジケーターの視覚効果が変化し、使用者は、このインジケーターの視覚的な変化を確認することにより、その抗菌効果の減衰状況を確認することができる。
したがって、抗菌効果が消滅した抗菌剤収容体を継続して使用することがなくなり、抗菌効果が消滅した時点で、新規の抗菌剤収容体と交換することができ、効果的な抗菌作用を継続して得ることができる。
本発明の請求項2に記載の抗菌剤収容体は、請求項1に記載の前記インジケーターが、大気中の酸素との反応時間により色が漸次変化するようになされていることを特徴とする。
このような構成とすることにより、抗菌効果の変化を視覚的に容易に確認することができる。
本発明の請求項3に記載の抗菌剤収容体は、請求項2に記載の前記インジケーターが、前記収容体に形成された酸素不透過膜上に積層されているとともに、上面に酸素の透過量を調整する酸素透過制御膜が積層されて構成されていることを特徴とする。
このような構成とすることにより、前記インジケーターへの酸素の浸入量を容易に調製することができ、前記インジケーターの視覚的変化を前記抗菌性物質の拡散量に効率よく対応させることができる。
本発明の請求項4に記載の抗菌剤収容体は、請求項2ないし請求項3の何れかに記載の前記収容体に、前記拡散孔および前記インジケーターを覆って設けられる剥離可能なシールが貼着され、このシールが、酸素不透過性材料によって形成されていることを特徴とする。
このような構成とすることにより、未使用時において、前記シールにより、前記拡散孔およびインジケーターを外気から遮断しておくことにより、前記抗菌性物質の拡散および前記インジケーターの視覚的変化を防止し、使用時に前記シールを剥離することにより、前記拡散孔の開放および前記インジケーターの視覚的変化の開始を同時に行なわせることができる。
これによって、前記抗菌性物質の拡散開始時期と前記インジケーターによる表示開始時期とを一致させ、このインジケーターの表示と前記抗菌性物質の拡散量との対応性を高めることができる。
本発明によれば、抗菌性物質の拡散量を可視的に確認することができ、抗菌効果の有無を容易に把握することができる。
本発明の一実施形態に係る抗菌剤収容体を示す正面図である。 本発明の一実施形態に係る抗菌剤収容体の要部の拡大断面図である。 本発明の一実施形態に係る抗菌剤収容体の使用手順を示す正面図である。 本発明の一実施形態に係る抗菌剤収容体の使用手順を示す正面図である。 本発明の一実施形態に係る抗菌剤収容体の使用手順を示す正面図である。
以下、本発明の抗菌剤収容体の一実施形態について、図1ないし図3を参照して説明する。
図1に示す抗菌剤収容体1は、不織布からなる内部収容体2とそれを収納するアルミニウム蒸着フィルムからなる収容体3とを備える。
前記内部収容体2には、固形の粒子状の抗菌剤が、内部収容体2の容積の60%程度の充填率で収納されている。
前記内部収容体2は、抗菌剤を収納しない状態では、四角形のシート状(縦45mm×横65mm(内部空間形成領域)であり、1枚の不織布を2つ折りにし、周囲を貼り付けて製造したものである。
そして、前記内部収容体2には、その全体にセピオライト微粒子の径より小さい径の微細孔(図示しない)が形成されている。該微細孔は、セピオライト微粒子を透過しないが二酸化塩素分子は透過する。
したがって、前記内部収容体2が、前記収容体3に形成されている拡散孔4を、前記収容体3の内面から覆う飛散防止膜となされる。
前記収容体3は、前記内部収容体2を収納しない状態では、四角形のシート状(縦55mm×横85mm(内部空間形成領域))であり、アルミニウム蒸着フィルムを2枚重ねて周囲を圧着して製造したものである。
なお、前記収容体3は、アルミニウムシートの表裏面に樹脂フィルムを貼り合わせたラミネートシートを所定形状に切り出した後、これらのシートの周縁部を熱融着により一体化して袋状に形成することもできる。
また、収容体3の長辺側の圧着部31は、中央が幅広になっていて、その中央にストラップ(図示しない)を取り付けるための長穴5が形成されている。収容体3は抗菌性物質を実質的に透過しない材料で形成されていればよい。また、抗菌性物質の安定性を維持する観点から遮光性の材料であることが好ましい。
前記収容体3は、前記内部収容体2の約1.6倍の体積を有する。なお、本実施形態のような扁平な抗菌剤収容体1を用いる場合の体積は、抗菌剤収容体1正面の面積(内部空間形成領域に相当する部分)で近似することができる。
ここで、前記内部収容体2と前記収容体3の体積比は、1:3〜1:1.2程度、さらには1:2〜1:1.2程度が好ましい。このような範囲とすることにより、内部収容体2と収容体3との間に、適度な隙間を形成することができ、後に詳述する、抗菌性物質の大気への徐放性を担保することができる。特に、前記収容体3として扁平なものを用いることで、前記内部収容体2と収容体3との所定の位置に、適度な隙間を形成することができる。
前記収容体3として扁平なものを用い、抗菌剤収容体1全体を扁平な形状とすることにより、首から吊り下げたり、ポケットに入れたりすることができ、携帯に便利となる。抗菌剤収容体1の最大厚み(最も厚い部分の厚み、本実施形態では中央付近)は、好ましくは3mm〜10mm程度、さらに好ましくは3mm〜8mm程度である。
また、収容体3は、その形状が扁平であることに加え、周囲の圧着部分が強固であるため、携帯時に衝撃が加わっても、収容体3が大きく変形することがない。そのため、衝撃等に起因する収容体3の変形によって、抗菌剤が漏れ出したり、多量の二酸化塩素分子が一度に放出されたりするリスクが小さい。
前記収容体3には、本実施形態においては、図1に示すように、一対の長辺に沿って前記拡散孔4が設けられている。
そして、前記拡散孔4は、前記収容体3の表面に貼着される剥離可能なシール6で塞がれ、この抗菌剤収容体1を使用する際に、前記シール6を剥離して前記拡散孔4を開口する。
前記抗菌剤は、セピオライトからなる多孔性の微粒子(平均粒径0.1mm)に二酸化塩素を物理的に吸着、担持させたものである。セピオライト等の無機質固形担体に二酸化塩素を吸着させる方法は公知である(特許文献2参照)。例えば、亜塩酸ナトリウム水溶液に無機酸を添加し、発生した混合体を亜塩素酸ナトリウム水溶液で洗浄することにより、混合体中の塩素を二酸化塩素に転化して二酸化塩素を生成し、これを無機質固形担体に吸着させる。
なお、固形担体は、表面に二酸化塩素等の抗菌性物質を担持できればよく、多孔性のもののみならず、表面に凹凸があるものを使用してもよい。また固形担体は、無機材料で形成されたもののみならず、セルロース等の有機材料で形成されたものであってもよい。
また、本発明における二酸化塩素は、安定化二酸化塩素(亜塩素酸塩)を含む概念であり、この場合は有機酸を合わせて担持させることにより二酸化塩素を発生させることができる。
前記抗菌剤における二酸化塩素は、周囲の空気の振動などの物理的な力や微粒子同士の衝突により、セピオライトから解離する。
ここで、セピオライト等の無機質固形担体の平均粒径(メジアン径)は、0.01〜1mmの範囲にあることが好ましい。なお、本発明において平均粒径は、レーザー回折・散乱法の原理を用いた装置で測定することができる。
平均粒径を一定の範囲とすることにより、抗菌剤の流動性を制御することができ、第1の収容体からの抗菌性物質の放出を安定的に継続させることができる。さらに、当該効果をより大きいものとする観点から、前記内部収容体2における該無機質固形担体の充填率を30〜80%程度、好ましくは40〜70%程度とすることが好ましい。本発明における充填率は、抗菌剤を非圧縮下で充填したときの見かけ上の体積を、内部収容体2の容量で除することで求めることができる。
流動性が高いほど、また、充填率が低いほど、抗菌性物質の放出が進みやすくなる。
一方、本実施形態においては、図3に示すように、前記収容体3の一方の面に、前記抗菌性物質の放出量に対応して視覚効果を変化させることにより、前記抗菌作用の減衰状態を表示するインジケーター7が設けられている。
前記インジケーター7は、たとえば、大気中の酸素との反応時間により色が漸次変化するようになされており、好ましくは、図2に示すように、前記収容体3に形成された酸素不透過膜8上に積層されているとともに、上面に酸素の透過量を調整する酸素透過制御膜9が積層される。
そして、前記酸素透過制御膜9は、前記インジケーター7を透視可能な透明若しくは半透明の材料によって形成され、その酸素透過量は、前記インジケーター7が大気中の酸素と反応して生じる色の経時的な変化が、前記抗菌剤からの二酸化塩素の放出量と対応した変化となるように調整されている。
さらに、前記シール6は、前記拡散孔4を覆うとともに、前記インジケーター7を前記酸素透過制御膜9とともに覆って設けられている。
つぎに、本実施形態における二酸化塩素の放出のしくみについて説明する。
抗菌剤を構成するセピオライト微粒子に担持された二酸化塩素は、抗菌剤収容体1の振動等によって発生する空気の流れ、抗菌剤を構成する微粒子同士の衝突等によって、微粒子表面から解離し、不織布からなる内部収容体2の全面に形成された微細孔から外に放出され、前記収容体3の内部をゆっくりと拡散する。
使用前においては、前記シール6によって前記拡散孔4およびインジケーター7が覆われていることにより、前記拡散孔4が閉じられ、また、前記インジケーター7と大気との接触が遮断されている。
したがって、前記抗菌性物質の拡散はなく、かつ、前記インジケーター7の可視的変化(本実施形態においては色変化)はない。
そして、前記シール6を剥離すると、前記拡散孔4が開放されて、前記収容体3内に放出されている抗菌性物質が前記拡散孔4を介して外気へ拡散させられるとともに、前記インジケーター7に、その表面を覆っている酸素透過制御膜9を介して大気中の酸素が接触し、この酸素との反応により変色が開始される。
継続使用により、前記抗菌性物質の拡散が継続して行なわれるとともに、これに対応して、前記インジケーター7の色が徐々に変化する。
この色変化は、たとえば、使用開始時においては、図3に示すように、薄いグレーに発色し、ついで、図4に示すように、濃いグレーに変色し、前記抗菌性物質が拡散しきった時点で、図5に示すように、黒色に変色する。
したがって、使用者は、前記インジケーター7が黒色に変わった時点で取り替え時期を視覚的に確認することができ、抗菌剤収容体1の取り替え時期を効果的に確認することができ、抗菌作用を有効に継続させることができる。
なお、前記実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法、あるいは、構成については一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
たとえば、前記収容体3の表面に、図3ないし図5に示すように、抗菌効果がなくなった時点での前記インジケーター7の色と同一色の確認用の表示10を予め表記しておき、取り替え時期の確認を容易にすることもできる。
1 抗菌剤収容体
2 内部収容体(飛散防止膜)
3 収容体
4 拡散孔
5 長穴
6 シール
7 インジケーター
8 酸素不透過膜
9 酸素透過制御膜
31 圧着部

Claims (4)

  1. 抗菌性物質を含む粒子状の抗菌剤と、該抗菌剤を収容する収容体とを備えた抗菌剤収容体であって、
    前記収容体が、略扁平状に形成されて一対の面を有するとともに、少なくとも一方の面に、前記抗菌性物質を外気へ放出して抗菌作用を生じさせる拡散孔が形成され、
    かつ、前記収容体の面に、前記抗菌性物質の放出量に対応して視覚効果を変化させることにより、前記抗菌作用の減衰状態を表示するインジケーターが設けられていることを特徴とする抗菌剤収容体。
  2. 前記インジケーターが、大気中の酸素との反応時間により色が漸次変化するようになされていることを特徴とする請求項1に記載の抗菌剤収容体。
  3. 前記インジケーターが、前記収容体に形成された酸素不透過膜上に積層されているとともに、上面に酸素の透過量を調整する酸素透過制御膜が積層されて構成されていることを特徴とする請求項2に記載の抗菌剤収容体。
  4. 前記収容体に、前記拡散孔および前記インジケーターを覆って設けられる剥離可能なシールが貼着され、このシールが、酸素不透過性材料によって形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3の何れかに記載の抗菌剤収容体。
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