JP5342051B2 - 建築物の小屋裏換気構造 - Google Patents
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従来、建築物の小屋裏換気構造のため通気口は、屋根の軒裏天井に設置する場合が多い。連続して通気口を設けることができ、開口面積が大きくなるので通気量をも確保できるからである。
そして、軒裏天井は、そもそも隣家火災による延焼を直接的に受ける部位であり、防火上の弱点となる部位であるため、軒裏天井の通気口に火災遮蔽手段を設けた技術が開示されている(特許文献1)。
よって、本発明の一態様では、防火性と共に通気量を十分に確保できる小屋裏換気構造を提供することを目的とする。
他の態様では、本発明は、外部から遮蔽され、防水性にも優れる小屋裏換気構造を提供することを目的とする。
更に他の態様では、本発明は、コンパクトでデザイン上も優れた小屋裏換気構造を提供することを目的とする。
また、水切り材は、軽量金属で成型し、加工され、防水塗料の塗布などの防水加工も施されている。
なお、小屋裏換気構造とは、換気装置、換気ユニット、換気設備等を包含する概念の用語である。
ここで、前記通気路は、外気側は第1の水切りの下端部側と第2の水切りの鉛直部とによって外気に開放され、屋内側は第1の水切りの上端部側と第2の水切りの傾斜延長部とによって屋内側に開放される。
特に、通気路の屋内側は、野地板の下端面及び屋根下地材の下端面に向けて開放されることとなり、そうすると、当該通気路の屋内側は、野地板の下端面或いは野地板から屋根下地材を含めて形成される屋根勾配部材の下端面に対向して設けられることとなり、当該屋根勾配部材の下方に外気に連通する通気路を形成する必要は無く、屋根先端部の層構成を単純化が図られる。また、屋根の層構成の薄化が図られ、ひいては屋根全体の薄化が図られるものとなる。さらには、係る構成により通気路が屋根仕上げ材の直下に設けられることとなり、さらには外面側が第2の水切りに覆われることとなるので、屋根先端部の概観が単純化され、意匠性の向上が図られるものとなる。
このような構成の何れによっても、換気構造は、第2の水切によって外部から遮蔽されるため意匠性に優れ、外からの水切り作用を奏するために防水性にも優れるものとなる。上記フィルター部材は、好適には上記通気路の横断面全体にわたって設置される。
このような構成によれば、通気量を十分に確保しながらコンパクトな換気構造とすることができる。
例えば、以下のような態様も本発明の対象である。
(1)板状体に、複数の通気路を有する不燃性の材料からなる一対の通気路部材が通気路を同軸方向に向けて離間して固着され、上記板状体には、非火災時には収縮状態にあり火災時には熱により膨張する火炎遮断部材が上記一対の通気路部材の間に位置せしめられて固着されてなるフィルター部材。
(2)第2の水切の一方の板状部に、複数の通気路を有する材料からなる通気路部材が固着されてなる屋根換気用フィルター部材。
(3)第2の水切の一方の板状部に、複数の通気路を有する材料からなる一対の通気路部材が通気路を同軸方向に向けて離間して固着され、上記第2の水切の上記一方の板状部には、非火災時には収縮状態にあり火災時には熱により膨張する火炎遮断部材が上記一対の通気路部材の間に位置せしめられて固着されてなる屋根換気用フィルター部材。
なお、通気路部材(板状体)は、不燃性を有することが好ましいが、火炎遮断部材を設けた場合は、可燃性であってもよい。
本願の第二の発明によれば、防火上の弱点である軒裏天井に開口を設けずに換気口を設けることができる。また軒裏天井がなくても防火性能を確保し、屋根面の貫通部をなくして防火性能を確保した換気構造が得られる。
また、フィルター部材は、屋根仕上げ面に隠れるので、意匠(デザイン)がよく、かつ換気量を確保することができる。第三の発明によれば、更なる通気量を確保でき、第四の発明によれば、防火性能が更に向上し、小屋裏へ火がまわることがない。
先ず、建物の屋根の構造から説明すると、図1中、2は、屋根の小屋組をなし、建物中心部から外壁側へ向けて下方に傾斜した勾配屋根構造とされている屋根下地材である。この屋根下地材2の上面には屋根下地材2の略全体にわたって断熱材18及び野地板3が積層状態で敷設され、各下端面が同一面になるように固定されている。すなわち、屋根下地材2の下縁側端面2aと野地板3の下縁側端面3aは、屋根が延びる方向に略直交する同一平面に位置せしめられている。そして、上記野地板3の上には、瓦等を含んでなる屋根仕上げ材11が野地板3に沿って屋根勾配なりに傾斜して敷設されている。図から明らかなように、この実施形態においては、屋根仕上げ材11と野地板3の間は僅かな隙間が形成されているに過ぎず、通気口とはされていない。
上記フィルター部材10は、複数の通気流路を備えた通気部材10aで、図3(a)に詳細に示すように、具体的には蜂の巣状の多数の流路が形成されてなるアルミニウム製のハニカム通気部材10aであり、通気流路の出入口を通気路7に連通させて配設されている。ここで、上記フィルター部材10は、不燃性材料であることが好ましいが、図3(b)に示すように、フィルター部材12に火炎遮断部材12aが配設されているときには、火炎遮断部材12aによって燃焼防止をはかることができるので、上記フィルター部材12及びその通気部材10aが可燃性の材料であってもよい。
この実施形態では、屋根仕上げ材11の下端縁11aは、図1の実施形態と比較すると、屋根下地材2の下縁側端面2a又は野地板3の下縁側端面3aとの間の間隔が短くなっており、排水溝13の内側側面部5aは上方に延びた状態で終端し、内側側面部5aが第1の水切5を構成している。そして、第2の水切6の鉛直部6bと第1の水切5(排水溝13の内側側面部5a)の間にフィルター部材10が流路を上下方向に向けて収容されている。
図6で用いられるフィルター部材12の一例について、図3(b)の拡大斜視図によって説明する。図中、フィルター部材12は、通気部材10aが2つに分かれており、複数の流路の長さが短くなっている点を除いて前述のフィルター部材10と同様の構成であり、一対の通気部材10a、10aが流路の流通方向に離間して配設され、その間の通気路には、火炎遮断部材12aが固着されて配設されている。上記火炎遮断部材12aは、火災時にその周囲の温度が高温になった際、熱により膨張して、通気部材10a、10a間の通気路を埋めてこれを遮断することができるものであり、例えばグラファイト系熱発泡材により構成されるが、同様の遮断効果が得られる材料であれば、如何なる材料を用いてもよい。通気部材10aと火炎遮断部材12aは、外枠フレーム12bによって固定化及び一体化されてフィルター部材12を形成している。外枠フレーム12bによってフィルター部材12を一体化することによって、屋根施工の際の強度確保を行うことができる。更に、外枠フレーム12に、ビス止め用孔12dを有する固定片12cを設けることにより、フィルター部材12をパッケージ化した状態で屋根面に安定して固定することができるので勾配屋根面の施工に有利である。
上記実施形態においては、通気部材10aは、アルミニウム製のハニカム通気部材としたが、防水性と不燃性を有する材料が好ましく、アルミニウム以外の他の金属材もしくはセラミック等を用いることが可能である。しかし、通気路部材(板状体)は、火炎遮断部材を設けた場合は、可燃性材料であってもよい。
また雨水が容易に還流したり流れたりしないように流路が細かく構成された構造であれば、ハニカム状以外の通気構造、例えばコルゲート状通気構造のものであってもよい。
また、フィルター部材は、屋根の桁方向に連続して延びる構成としたが、屋根の桁方向の要所に配設され、不連続な構成としてもよく、フィルター部材を着脱自在又は取替え可能に収容する構造としたり、一体化したフィルター部材としたものを、運搬等に都合のいいように、より小さくセグメント化し、現場で組み立てるものとしたりすることも可能である。
更に、この実施形態では、隣家の火災等によってフィルター部材12、12に流入する空気が高温になると、火炎遮断部材12aが熱により膨張して、フィルター部材12、12間の空間内で膨張し通気路を埋めて遮断する。これにより、隣家の火災等からの延焼を確実に防止することができる。
図7において、14は、図示しない外壁に沿って配設された軒樋であり、底部14aと、該底部14aの内側縁から上方に向けて延びる内側側部14bと、底部14aの外側縁から上方に向けて内側側部14bよりも高い位置まで伸びる外側側部14cとを具備してなる。そして、この実施形態では、軒樋14とは別個に第1の水切5が第2の水切6に対向して設けられている。第1の水切5は、軒先鉛直部材4に固着され、第2の水切6の鉛直部6bに対向して上下方向に延びる側面部5aの上縁が内方に折曲され建物内側に向けて延びる上部折曲部5eとされ、更にその縁部5dで上方に直角に折曲され、また側面部5aの下縁が外方下方に折曲されて下部折曲部5fとされ、その下端5gが軒樋14に向けて臨まされており、第1の水切5を伝って落ちる雨滴が軒樋14に案内される構造とされている。また、第2の水切6の鉛直部6bの下端は第1の水切5の下部折曲部5fの上方に第1の水切5から一定間隔をおいて位置せしめられ、その間を外気が流入する通気口とされている。
この実施形態にあっても、通気量を十分に確保でき、また高い防火性能を達成できる。
図8に示される実施形態では、庇の出の無い屋根の軒先部にフィルター部材12が設置されている。また、この実施形態では、図7の軒先鉛直部材4として外壁17に直接第1の水切5が配設されていて、外壁17が図7に記載の実施形態の軒先鉛直部材4と同等の役割を果たしている。第1通気口8aより導入された外気は、通気路7を経由して、第2通気口8bから、屋根下地材2である屋根パネルのフレーム間を通過して、勾配屋根部材15(野地板3と屋根パネル)の下方に位置する小屋裏9に直接流入する。他方、小屋裏9のよどんだ空気は、棟換気部材22(図4)から排気される。
この実施形態でも他の実施形態と同様に野地板3の下方に断熱材等が敷かれていてもよく、屋根下地材2の材質は木の垂木あるいはスチール等から選択される。
2 屋根下地材(屋根パネルのフレームや垂木)
2a 屋根下地材の下縁側端面
3 野地板
3a 野地板の下縁側端面
4 軒先鉛直部材
5 第1の水切
5a 第1の水切の内側側面部
5b1〜3 第1の水切の排水構辺
5c 第1の水切の折曲辺
5d 第1の水切の縁部
5e 第1の水切の上部折曲部
5f 第1の水切の下部折曲部
5g 第1の水切の下端
6 第2の水切
6a 第2の水切の傾斜延長部
6b 第2の水切の鉛直部
7 通気路
8a 第1通気口
8b 第2通気口
9 小屋裏
10 フィルター部材
10a 通気部材
N 軒先先端部
11 屋根仕上げ材
11a 屋根仕上げ材の下端縁
12 フィルター部材(火炎遮断部材有)
12a 火炎遮断部材
12b 外枠フレーム
12c 固定片
12d ビス止め用孔
13 排水溝
14 軒樋
14a 軒樋の底部
14b 軒樋の内側側部
14c 軒樋の外側側部
15 勾配屋根部材
15a 勾配屋根部材の軒下頂部側終端
16 外壁(軽量気泡コンクリート板)
17 外壁(軒先鉛直部材;軽量気泡コンクリート板)
18 断熱材
19 勾配屋根
20 屋上床
21 パラペット
22 棟換気部材
Claims (5)
- 勾配屋根の勾配を形成する屋根下地材と、
該屋根下地材の下端面よりも上方に下端面を位置づけた状態で当該屋根下地上に設けられる野地板と、
該野地板の下縁側端面よりも下方に延びて前記屋根下地材の下端面と略同一面上に先端部が至る屋根仕上げ材と、
前記屋根仕上げ材先端部の下方であって且つ前記屋根下地材又は野地板の下端縁に対向して設けられる第1の水切りと、
前記野地板の下端縁から延在されて第1の水切りに対向する第2の水切りとを備え、
該第2の水切りは、
前記第1の水切り及び前記屋根仕上げ材の先端部と同一或いはそれよりも前記勾配屋根の下り勾配方向に延長された傾斜延長部と、
該傾斜延長部の先端で折曲して垂下する鉛直部とを備え、
これら第1の水切りと第2の水切りの鉛直部及び傾斜延長部との間に外気から前記野地板の下端縁までを連通する通気路が設けられている
建築物の小屋裏換気構造。 - 前記通気路にフィルター部材が設置された
ことを特徴とする請求項1に記載の建築物の小屋裏換気構造。 - 前記通気路が屋根の桁行き方向に連続して設置されており、更に、前記フィルター部材が屋根の桁行き方向に連続して設置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の建築物の小屋裏換気構造。 - 前記フィルター部材の内部は、複数の貫通孔構造として構成される
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の建築物の小屋裏換気構造。 - 前記フィルター部材は、火炎遮断部材を含む構成である
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の建築物の小屋裏換気構造。
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