JP3583111B2 - 換気棟構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は空気が流入して、排気孔から空気が排出される換気棟に関する発明であって、特に建物、家屋において屋根の中央上部に開口部を開けて換気する換気棟に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、様々な種類の換気棟が提供されている。
換気棟による換気方法は建物や家屋の頂上に開口部を設け、建物や家屋の屋根裏の空気を屋根頂上の開口部へと放出させるものであり、このような換気をすることによって、屋根裏にたまる湿気、熱気、結露などを放出して、建物や家屋内の空気を和らげて、室内を快適な状況にし、冷暖房機などの効果を有効に発揮させることができるものである。
【0003】
このような屋根裏換気に換気棟は使用されている。
この換気棟の技術は例えば特開2001−146825号公報、特開2001−254492号公報に開示されているように、建物や家屋の屋根の頂上部を開口し、この開口部の上部に換気棟を設置して屋根裏の空気を換気するものであり、換気するための排気孔を開ける一方、換気棟内の通風孔や開口部周辺に遮水板を設置して、屋根裏に雨水などが入り込まないようにしていた。
【0004】
また、実開平4−92929号公報には、カバー部材とスペーサー材とを備えた換気棟の技術が開示されている。
しかし、この技術もスペーサー材とカバー部材とを、スペーサー材と屋根材、水切捨版とを固定するものであるため、外部からの圧力や暴風雨等に耐え得るものではなかった。特にスペーサー材の取付位置によっては、棟瓦の重力でカバー部材が押し下げられ、通風機構の空気の通りが阻害されたり、通風機構が塞がれることがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで外部からの圧力や台風などの暴風雨時にも強く、屋根裏への雨水の浸入を的確に防止し、特に換気棟の頂部に取り付ける棟瓦の重量によっても空気が通る部分である通風機構が塞がれたりしないような、外力に強い構造を備えたものが望まれていた。
さらに、建物や家屋の頂部に設置されるものであるために、施工の簡易性も望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明では排気孔をもつ通風機関において、排気孔部分の下側の外壁部材を軒方向に端部を延長した延長部分を有し、該延長部分には少なくとも空気を通す第2排気孔が形成され、それより外側の部分を上方向に屈曲して防風雨壁を形成し、該防風雨壁の上端は少なくとも通風機関の排気孔部分の上端よりも上方に位置させたものである。
【0007】
これにより、暴風雨のような横殴りの風雨でも、通風機構の内部にまで侵入することを防止することができる。また、横殴りの風雨が防風雨壁の上方を棟瓦に沿って通過することでその付近で負圧が生じ、その負圧により、軒方向に延長されている部分に形成されている第2排気孔から空気が流れ込む。そしてこの流れにより排気孔出口付近でも負圧が生じて、この負圧により通風機構内部に留まっている空気が円滑に外部に放出される。
【0008】
また、空気が通る孔を開けた通風部分と、互いに着接する部分を少なくとも有する上部と下部の2つの外壁部材と
前記着接部分以外の所では所定の間隔で離間している前記2つの外壁部材間に位置する部材であって、少なくとも前記2つの外壁部材に着接する部分と前記2つの外壁部材間を支持する部分とを有する中間部材とからなり、
2つの外壁部材と中間部材とを適宜の位置で着接するごとく組み合わせることにより、一つの換気棟における換気孔構造を形成するとともに、防風雨壁を下側の外壁部材にて形成することが好ましい。
【0009】
これにより、通風機構はフレームにより形成される構造ではなく、縦断した場合において箱型となるモノコック構造である。このモノコック構造により、外部からの圧力を箱型の外形全体で分散させることができるから、暴風雨や積雪などの外力にも強い構造となっている。
また、特に外力がかかる棟瓦の設置付近には、通風機構の内部に上下2つの外壁部材間に位置する中間部材の支持部分を位置せしめ、2重のモノコック構造としてある。この2重のモノコック構造により、従来の通風機構では耐え切れなかった棟瓦の重力にも耐えうるものとなる。
なお、ここで「着接」とは接着した状態に着けることであり、接着している箇所をネジなどで固定している場合も、ただ単に接してつけているだけでなんら固定していない場合も含む意味である。
【0010】
また、中間部材の端部の一方若しくは両方を屈曲させて遮断壁を形成し、該遮断壁の一部若しくは全部を着接する外壁部材に対して垂直の方向よりも軒側に傾斜させていることが好ましい。
【0011】
これにより、この遮断壁は本来風雨が外から入ってくるのを遮断するためのものであるが、この遮断壁が軒側に傾斜しているため、屋根裏内部の空気が通りやすくなっている。また、排気孔から外部の風雨が入ってきても、軒方向に傾斜しているこの遮断壁付近で風雨をせき止めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明における実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
換気棟は図2、図3に示すように建物や家屋の屋根裏部分の空気を換気するために設けられるものである。従来は屋根裏部分の空気を十分に換気することができず、熱気、湿気、結露などが屋根裏部分にたまることが多かった。この熱気などにより、建物や家屋内で冷暖房機により冷暖房を行なうときに、その効果を半減させていた。
このような場合において、上方にたまりやすい熱気などの空気を屋根の頂上部分に開けた開口部分から換気することにより、屋根裏の熱気、湿気、結露などを取り除くことができ、建物や家屋の室内を快適な状態にし、建物内の冷暖房機の効果を十分に発揮することができる。
【0013】
本発明の換気棟は屋根の頂頭部に配置される棟瓦4や棟木6の直下において左右に配置される野地板18,18(図2、図3)を所定の間隔を隔てることにより開口部19を開け、棟木6を固定する棟木支持金具20を設け、また、この棟木支持金具20の両側に前記開口部19に浸水しないように捨水切22を設け、棟木6に屋根裏の空気が通るための通風機構1を備え、最後に頂上に棟瓦4を配置した構造となっている。
【0014】
本発明の換気棟構造において、特に暴風雨時に通風機構1に暴風雨が入り込まないように防風雨壁2が形成されている。
また、本発明の通風機構1は上部外壁部材11と下部外壁部材12を組み合わせて形成されている。通風機構1の軒方向端部には排気孔13があるが、この下部を延長させて排気孔9の近くに少なくとも空気を通す孔を開け、第2排気孔3(図9〜図11)としている。そして第2排気孔3より外側の部分を上方向に屈曲させて防風雨壁2(図10、図11)としている。
【0015】
第2排気孔3は防風雨壁2までの延長部分のいずれかの部分に形成されておればよいが通風機構1の軒方向端部に形成されている排気孔9の近くになるべく形成されていることが好ましい。
第2排気孔3は複数の孔が等間隔を置いて形成されたものであるが、開孔状態はこの場合のみに限られず、例えば横に長い1つの孔であってもよい。
【0016】
防風雨壁2は下部外壁部材12の延長部分を上方向に屈曲して形成したものである。側面略L字型に屈曲したものでもよいが、図1に示すように二度屈曲させた後、真直ぐ立上げたものでもよく、また、複数回屈曲したものでもよい。ただし、少なくとも排気孔9に暴風雨が直接、入りこまないように防御することができるものでなければならない。
したがって、少なくとも防風雨壁2の上端は排気孔9が形成されている部分よりも高く設定しておく必要がある。
なお、手指を怪我しない等施工者の安全を配慮して、防風雨壁2の上端部はカエシを設けておくことが好ましいところ、防風雨壁2の上端部にカエシを設けている実施の一例を図13に示している。
【0017】
防風雨壁2の上端は図1においては通風機構1の上に設置されている棟瓦4の脚部分の上端よりも高く設定されている。この防風雨壁2により、風雨は防風雨壁2で遮断され、上方向又は/及び下方向に向かう。防風雨壁2の上端は棟瓦4の脚部分の上端よりも高く設定されているために、その真上あたりでは風雨が通り抜け、棟瓦4に沿って上昇する。
【0018】
図1には暴風雨の流れを示している。防風雨壁2の上端真上あたりを風雨が通り抜け、棟瓦4に沿って通過すると、その付近で負圧が発生し、それより高圧の周りの空気がその負圧の方に流れる。そして、この負圧Aに流れこむように第2排気孔3から空気が流れ込む。さらに、第2排気孔3から流れ込む空気の流れでその付近に負圧Bが生じる。そして、この負圧Bの近くに排気孔9が存在しているから、この負圧Bにより通風機構1内部に留まっている空気が円滑に外部に放出され、換気棟の換気がスムーズに行なわれることになる。
防風雨壁2が備えられているため、暴風雨が排気孔9から通風機構1の内部に侵入することを防止でき、かつ排気孔9周辺で生じる空気の流れにより通風機構1内部に留まっている空気が外に排出されやすくなるために、通風機構1の空気の流れを円滑にすることができる。
【0019】
次に上記通風機構1について説明する。
この通風機構1は上部外壁部材11と下部外壁部材12とからなり、内部に中間部材13、中間部材14を有する構成となっている。
【0020】
図5に上部外壁部材を示す。
上部外壁部材11の内端は水平状に屈曲させてあり、この部分で棟木6に固定される。この棟木6に固定する棟木固定部分5には一定の間隔でネジ孔8が開けられ、棟木6にネジによって螺着される。
そして棟木固定部分5から軒方向に向かって下方向に傾斜するように屈曲させてある。この傾斜部分にも中間部材13、中間部材14を螺着するためのネジ孔8が開孔されている。
また、上記第1の屈曲部分に続いてその外側部分を内側より緩やかな傾斜となるように更に屈曲させてある。このように2度屈曲させてあるのは、換気棟が屋根の頂頭部から突き出た形状となるため、その頂頭部から下って屋根の位置近くに排気孔9を位置させるようにするためである。
【0021】
このように、上側の外壁となる上記外壁部材11は少なくとも2度屈曲されており、中央の屈曲箇所の位置11a、つまり2度目の屈曲箇所11aからその軒方向端部の通風部分15までの長さは棟瓦4の脚部分の形状により、決定される。棟瓦4には平板瓦、山形瓦、S型瓦などがあり、これらの棟瓦の脚に全て適合させ得るようにかかる長さを決める必要がある。図13にはこの2度目の屈曲箇所11aから軒方向端部の通風部分15までの長さを短くした変形実施例の一例を示している。
【0022】
上部外壁部材11の外端部分から更にほぼ直角の下方に屈曲してある。そしてこの屈曲した部分に複数個の孔を開けた通風部分15がある。この通風部分15の複数個の孔は通風機構1の空気が外部へ放出される出口となる排気孔9である。そしてこの通風部分15からさらに直角の内方に屈曲し、下部外壁部材12と着接する着接部分7としてある。この屈曲部分にも一定間隔でネジ孔8が開けられている。そしてこの着接部分7からまた直角の上方に屈曲して遮断壁10を形成してある。
【0023】
図6に下部外壁部材12を示す。
下側の外壁となる下部外壁部材12は内端に上部外壁部材11と着設するための着接部分7を有し、該着接部分7から直角の下方に屈曲して、空気が通る孔が開けられた通風部分15を有する。この通風部分15の孔は通風機構1に空気が入る入口となる。この通風部分15から外側に下がるように傾斜させて屈曲しており、この傾斜部分からさらに屈曲してある。屈曲してあるこの部分には中間部材14を取り付けるためのネジ孔8が開けられている。
そして、ネジ孔8が開けられているこの面を外方に延長してその部分に第2排気孔3が形成され、さらに、それより外側の部分を上方向に屈曲して前記防風雨壁2を形成してある。
なお、下部外壁部材12の着接部分7の折曲方向を、例えば図12に示すように図6、図10の場合と逆方向に屈曲させてもよい。
【0024】
中間部材13を図7に示す。
この中間部材13は上部外壁部材11の内側に取り付けられるものである。
その中央部分には上部外壁部材11と着接するための着接部分7が形成されている。この着接部分7は上部外壁部材11と固定するためのネジ孔8が複数箇所、開孔されている。着接部分7の内端、外端である両端部は屈曲して遮断壁10を形成してある。
上記外壁部材11に中間部材13を取り付けるにあたっては、中間部材13を上部外壁部材11の内方に重ねあわせ、中間部材13の着接部分7に開けられているネジ孔8と上部外壁部材11に開けられているネジ孔8とにネジを通して、螺着することで固定する。
【0025】
中間部材13の内端に形成されている遮断壁10は軒方向に傾斜させている。このように傾斜させると外壁と垂直に切り出された壁よりも軒方向に傾斜させる方が通風機構1内の空気が排気孔9に向かって流れ出るのをスムーズにすることができ、かつ、暴風を伴った雨水が通風機構1に入り込んだときに外壁にあたって乱流のような状態になり、効率良く雨水の浸入を遮断することができるためである。したがって、この傾斜は下側の外壁部材12の内側に形成されている通風部分15、上側の外壁部材11への中間部材13の取付位置、遮断壁10の長さにより、所定角度、所定長さに設定すべきである。
【0026】
もう一つの中間部材14を図8に示す。
中間部材14は内端に遮断壁10が形成されており、該遮断壁10の外側には下部外壁部材12と着接するための着接部分7が軒方向に向いて形成されている。この着接部分7には下部外壁部材12と固定するためのネジ孔8が複数箇所に一定の間隔で開孔されている。
また、中間部材14の内端の遮断壁10は中間部材13の傾斜遮断壁10と同様、傾斜させて形成されている。この場合の傾斜方向は前述の場合と同様に下側の外壁部材12の内側に形成されている通風部分15、上側の外壁部材11への中間部材13の遮断壁10の長さ、下側の外壁部材12への中間部材14の取付位置などにより、所定角度、所定長さに設定すべきであるが、下側の外壁部材12に対して垂直の方向よりも軒側に傾斜させてある。このように傾斜させることにより、屋根裏内部の空気が通りやすくなり、また、排気孔9から外部の風雨が入ってきても、この方向に傾斜させてある遮断壁10付近で風雨をせき止めることができる。
【0027】
下部外壁部材12と着接する中間部材14の着接部分7の外部には下側の外壁部材12に対して垂直の上方向に屈曲され、その部分には複数の孔が開けられている。この部分は下部外壁部材12と上部外壁部材11とを支持する支持部分16として機能する。
そしてこの支持部分16に続いてその外側をさらに軒方向に延び出させて、上部外壁部材11と着接する着接部分7としてあり、その外側はさらに下方に屈曲されて遮断壁10としてある。
【0028】
上部外壁部材11と下部外壁部材12は所定の間隔が保持されるように重ね合わされ形成されている上部外壁部材11の着接部分7に形成されているネジ孔8と下部外壁部材12に形成されているネジ孔8とにネジを通して螺着する。また、この場合と同様に上部外壁部材11の内側に中間部材13が、下部外壁部材12の内側に中間部材14がそれぞれ固定される。このようにして、上部外壁部材11、下部外壁部材12、中間部材13、中間部材14を組み合わせた通風機構1が形成される。
このように組み合わされた通風機構1を図9に示す。
なお、下部外壁部材12の内端に位置する着接部分7は上部外壁部材11と接する状態にあればよく、必ずしもネジなどでその部分を固定しなくてもよい。
【0029】
上部外壁部材11と下部外壁部材12との組み合わせにより、通風機構1は断面した場合において、箱型の形状となり、外からの圧力を箱型の外壁全体で分散、吸収できるモノコック構造であるため、従来の通風機構に比べ暴風雨や積雪などの外力にも強い通風機構となる。そのうえ、特に棟瓦4により外力を受ける箇所の内部に支持部材16を位置させたことで棟瓦に積雪などで重量が増したとしても、それに強い換気棟とすることができ、外部からの圧力によって通風機構1が折れ曲がって塞がれてしまうことはない。
【0030】
組み合わせたこの通風機構1は図10に示すように、屋根裏の空気が通風機構1に流入し、この組み合わせによって形成される通風部分を通り、排気孔9から外に排気される。なお、図10の矢印は屋根裏の空気が通風機構1を通り、外に放出される状態を示している。
一方、暴風雨などにより、排気孔9より雨水が通風機構1の内部に浸入することがあっても、図11に示すように排気孔9の外側に位置する防風雨壁2や通風機構1の内部に設置されている遮断壁10により、雨水が屋根裏まで浸入することが防止される。
なお、図11の矢印は通風機構1内に浸入した暴風雨などが遮断壁10などにより遮断される状態を示している。
【0031】
次に換気棟全体の構造について説明する。
換気棟の全体は図2、図3において示すが、図2では棟瓦4に平板瓦を、図3では棟瓦4に山形瓦を用いた場合に示す。S型瓦を用いる場合もある。
換気棟は建物や家屋の屋根の頂頭部に配置される棟瓦4や棟木6において、左右に配置される屋根瓦17,17、野地板18,18を所定の間隔を隔てることにより開口部19が開けられている。ここには逆Y字型脚21を備え、U字型の支持部を備えている棟木支持金具20が使用されている。この棟木支持金具20の逆Y字型脚21を野地板18と屋根瓦17の間に挿入し、両者で挟み込んで固定する。そしてU字型の支持部で棟木6が支持される。
上述した換気棟はこの棟木6などに固定すればよい。棟木支持金具20はこの形態のみに限られるものではなく、逆T字型の脚をもつ形態でもよく、いずれの形態の棟木支持金具20を用いた場合にも、上述の換気棟を用いることができる。
【0032】
棟木支持金具20の逆Y字型脚21の両脇には捨水切22が取り付けられている。捨水切22は外側に向かって順次低くなるように開いたL字型形状であり、棟木支持金具20の逆Y字型脚21と同じように外端部分を野地板18と屋根瓦17の間に挿入し、両者で挟み込んで固定する。また、捨水切22の上端にはカエシを設けておくことが好ましい。
捨水切22は万が一、通風機構1内を雨水が通り抜けて来た場合においても前記開口部19に雨水が浸入しないように防止するためのものである。
【0033】
この換気棟構造において、雨水などが浸透し易い箇所には防水処理が施された被膜物を取り付けておくことが好ましい。施工の容易さに鑑みて、防水テープ23を用いるのが好ましい。
また、屋根瓦17のうちその頂上部において、上面から内端面全体、さらにはこの屋根瓦17と野地板18に挟持されている棟木固定金具20とその両端に取り付けられている捨水切22に跨って、防水テープ23を貼り付けることが好ましい。防水テープは図2、図3の断面図にのみ図示されているが、開口部19に雨水が浸入するのを防ぐために、その付近全体にわたって取り付けることが望ましい。
【0034】
その他、暴風雨時に開孔部19に雨水がはいったり、棟木6に雨水がかかり棟木6が腐ることを防止するために、棟木6の上面部や棟木固定金具20の逆Y字型脚21の脚先と野地板18との境目などにも防水テープ23を取り付けるのが望ましい。
なお、防水テープ23は例えばテープの表面に防水処理を施したブチルゴム材からなるものであり、通気性を有するものとしてもよい。
【0035】
左右の屋根瓦17と屋根瓦17とのジョイント部分は少なからず隙間が開いているから、特に暴風雨時にはジョイント部分の隙間から雨水が吹き上がってくることがある。
また、この隙間が狭くても毛細現象により雨水が前記ジョイント部分の隙間を通って開口部19にまで達することがある。
従来、このような場合には鉄板を取り付ける等の鉄板加工を施すことにより対処していたが、防水テープ23を貼り付けることで、施工が簡単になるとともに暴風雨に強い換気棟を実現することができる。
【0036】
棟木支持金具20に支持されている棟木6の上面に、通風機構1として組み合わされている上部外壁部材11の棟木固定部分5を固定する。この固定には棟木固定部分5に開孔されているネジ孔8にネジを通して棟木6に螺着する。通風機構1は棟木6の上面に左右対称となるように設置され、一対の通風機構1が棟木6の左右両側方に位置することになる。
つまり、2つの通風機構1、1は棟木6の上面に螺着され、各々棟木6の側方に外側、すなわち、棟方向に延びるように設置される。
【0037】
通風機構1の下には屋根瓦17が位置し、通風機構1の上には棟瓦4が取り付けられる。この通風機構1と屋根瓦17と棟瓦4とは発泡体24を用いて固定することが好ましい。発泡体24にはスポンジ状の発泡体を用いるのが望ましいが、これのみに限定されるものではなく、ポリスチレンなどその他の素材のものを用いてもよい。
【0038】
発泡体24による固定には粘着テープや接着剤を用い、発泡体24と通風機構1、発泡体24と屋根瓦17、発泡体24と棟瓦4とをこれら粘着テープや接着剤で固定する。この場合において、発泡体24は削るとその形状を容易に変更させうるため、建物の屋根瓦17の勾配や棟瓦4の種類に柔軟に対応させることができ、前記固定に有利である。
また、発泡体は棟瓦4や通風機構1の圧力を吸収して分散する効果を有するとともに、スポンジ状の発泡材を使用するとその吸水性により、棟瓦4と通風機構1、通風機構1と屋根瓦17に雨水が入り込んだ場合も雨水の開口部19への浸入を防止することができる。
【0039】
【発明の効果】
請求項1記載の発明により、暴風雨のような横殴りの風雨にさらされても、通風機構の内部に風雨が侵入することを防止することができる。また、横殴りの風雨が防風雨壁の上方を通過してその付近に負圧が生じ、その負圧により、軒方向に延長されている部分に形成されている第2排気孔から空気が流れ込む。そしてこの流れにより排気孔付近でも負圧が生じて、この負圧により通風機構内部に留まっている空気が円滑に外部に放出される。
【0040】
請求項2記載の発明により、通風機構はフレームにより形成される構造ではなく、断面した場合において箱型となるモノコック構造である。このモノコック構造により、外部からの圧力を箱型の外壁全体で分散させることができるから、暴風雨や積雪などの外力にも強い構造となる。
また、特に外力がかかる棟瓦の設置付近には、通風機構の内部に上下2つの外壁部材間に位置する中間部材の支持部分を位置せしめ、2重のモノコック構造としてあるから、この2重のモノコック構造により、従来の通風機構では耐え切れなかった棟瓦の重力にも耐えうる効果がある。
【0041】
請求項3記載の発明により、軒側に傾斜している遮断壁により、屋根裏内部の空気が通りやすくなっており、また、排気孔から外部の風雨が入ってきても、軒方向に傾斜しているこの遮断壁付近で風雨をせき止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】暴風雨壁の一例を示す断面図である。
【図2】換気棟全体の一例を示す断面図であり、棟瓦に平板瓦を用いた場合を示す。
【図3】換気棟全体の一例を示す断面図であり、棟瓦に山形瓦を用いた場合を示す。
【図4】通風機構全体の一例を示す斜視図である。
【図5】図4に例示する通風機構の一構成部分である上面外壁部材の一例を示す斜視図である。
【図6】図4に例示する通風機構の一構成部分である下面外壁部材の一例を示す斜視図である。
【図7】図4に例示する通風機構の一構成部分である中間部材の一例を示す斜視図である。
【図8】図4に例示する通風機構の一構成部分である中間部材の一例を示す斜視図である。
【図9】図4に例示する通風機構の構成部分である上面外壁部材、下面外壁部材、中間部材、中間部材を組み合わせる状態を一例として示す斜視図である。
【図10】図4に例示するは通風機構の拡大断面図で、空気が排気される道のりを示したものである。
【図11】図4に例示する通風機構の拡大断面図で、風雨が通風機構の内部に侵入する状況を示したものである。
【図12】図4に例示する通風機構の一構成部分である下部外壁部材の一部を変形させた場合の一例を通風機構全体の拡大断面図である。
【図13】図4に例示する通風機構の一構成部分である下部外壁部材の一部を変形させた上、防風雨壁にカエシを取り付けた等、実施例の一例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1…通風機構
2…防風雨壁
3…第2排気孔
4…棟瓦
5…棟木固定部分
6…棟木
7…着接部分
8…ネジ孔
9…排気孔
10…遮断壁
11…上部外壁部材
12…下部外壁部材
13…中間部材
14…中間部材
15…通風部分
16…支持部分
17…屋根瓦
18…野地板
19…開口部
20…棟木支持金具
21…逆Y字型脚
22…捨水切
23…防水テープ
24…発泡体
Claims (3)
- 排気孔を有する通風機構において、排気孔の出口の下側から軒方向に延長された延長部分を有し、該延長部分には少なくとも空気を通す第2排気孔が形成され、それより外側の部分を上方向に屈曲して防風雨壁を形成し、該防風雨壁の上端を少なくとも排気孔よりも高くしたことを特徴とする換気棟構造。
- 空気が通る孔を開けた通風部分と、互いに着接する部分を少なくとも有する上部と下部の2つの外壁部材と
前記着接部分以外の所では所定の間隔で離間している前記2つの外壁部材間に位置する部材であって、少なくとも前記2つの外壁部材に着接する部分と前記2つの外壁部材間を支持する部分とを有する中間部材とからなり、
2つの外壁部材と中間部材とを適宜の位置で着接するごとく組み合わせることにより、一つの換気棟における換気孔構造を形成するとともに、防風雨壁を下側の外壁部材にて形成したことを特徴とする請求項1記載の換気棟構造。 - 中間部材の端部の一方若しくは両方を屈曲させて遮断壁を形成し、該遮断壁の一部若しくは全部を着接する外壁部材に対して垂直の方向よりも軒側に傾斜させていることを特徴とする請求項2記載の換気棟構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002085305A JP3583111B2 (ja) | 2002-03-26 | 2002-03-26 | 換気棟構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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