JP5339644B2 - 磁石用固形材料の製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明は、磁性材料粉体を衝撃圧縮して、分解や脱窒を防止しながら高密度・高性能の永久磁石を得る、磁石用固形材料の製造方法に関する。
そして、近年、かかる希土類−鉄−窒素−水素系磁性材料が前記要望に沿う新磁石材料として、その実用化への期待が高まっている。
例えば、R−Fe−N−H系磁性材料を原料とするボンド磁石の中で、極めて高い磁気特性を有するものとして(BH)max=186kJ/m3の圧縮成形ボンド磁石が非特許文献2にて報告されているが、従来のSm−Co系、Nd−Fe−B系焼結磁石等と比較して、R−Fe−N−H系磁性材料の高い基本磁気特性を十分に発揮しきれていない。
また、特許文献3には、大型でヒビや欠けのない成形体を得る目的で、円筒収束衝撃波を用いてTh2Zn17型希土類−鉄−窒素系磁性材料を圧縮固化する方法が開示されているが、当該方法により得られる磁石においても、密度の最高値が7.43g/cm3、保磁力の最高値が0.62MA/mと、まだ満足できるものではなかった。
以上のように、高密度で分解がなく高磁気特性で、しかも熱安定性が良い磁石用固形材料が強く求められている。
また、特許文献4に優れた磁気特性を有する希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料(以下R−Fe−N−H−O系磁性材料という)が提案されており、酸素成分を制御することにより、磁気特性、耐食性ともに優れた材料とした材料である。保磁力の向上に伴う安定した磁気特性を有することと耐酸化性が比較的高いために錆が発生しにくいことが大きな特徴とされる。
また、本発明者らは、更に、菱面体晶または六方晶の結晶構造を有するR−Fe−N−H−O系磁性材料を含有し、軽量で磁気特性とその安定性が高い磁石用固形材料を得るために、原料組成と含有率、その製造方法について鋭意検討したところ、窒素だけでなく水素、酸素をも含む磁性材料粉体を用い、その体積分率を80〜97体積%として、磁場中で圧粉成形体にした後、前記圧粉体を一定の衝撃波圧力を有する水中衝撃波で衝撃圧縮し、密度6.15g/cm3以上で100℃以上でも使用可能な、金属結合又はイオン結合により固化したR−Fe−N−H−O系磁石用固形材料を容易に得ることができるという知見を得て、本発明を完成した。
すなわち、本発明の態様は以下のとおりである。
前記希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料が、一般式R α Fe 100−α−β−γ−δ N β H γ O δ で表され、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも一種の元素であり、又、α、β、γ、δは原子百分率で、5≦α≦20、10≦β≦25、0.1≦γ≦3.3、0.01≦δ≦10であり、
前記希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料の粉体を原料粉体全体に対して80〜100体積%含む原料粉体を3〜40GPaの水中衝撃波を用いて、衝撃圧縮固化することを特徴とする磁石用固形材料の製造方法。
(2)菱面体晶又は六方晶の結晶構造を有する希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料を、80〜100体積%含有した磁石用固形材料の製造方法であって、
前記希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料が、一般式RαFe100−α−β−γ−δNβHγOδMεで表され、RはYを含む希土類元素から選ばれる少なくとも一種の元素であり、MはZn,In,Sn、Ga、Al、B、C、Ca、Ge、Mg、Si、Ti、V、Zr、Co、Mnから選ばれる少なくとも1種の元素及び/又は、Mn−Al−C合金、Al−Cu−Mg合金、MgO、Al2O3、ZrO2、SiO2、フェライト、CaF2、AlF3、TiC、SiC、ZrC、Si3N4、ZnN、AlNから選ばれる少なくとも一種であり、又、α、β、γ、δ、εはモル百分率で、5≦α≦20、10≦β≦25、0.1≦γ≦3.3、0.01≦δ≦10、0.1≦ε≦10であり、
前記希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料の粉体を原料粉体全体に対して80〜100体積%含む原料粉体を3〜40GPaの水中衝撃波を用いて、衝撃圧縮固化することを特徴とする磁石用固形材料の製造方法。
(3)前記原料粉体が、前記希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料の粉体以外の成分として硬磁性材料の粉体を含むことを特徴とする(1)または(2)に記載の磁石用固形材料の製造方法。
(4)前記原料粉体が、前記希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料の粉体以外の成分として軟磁性材料の粉体を含むことを特徴とする(1)または(2)に記載の磁石用固形材料の製造方法。
(5)前記原料粉体が、前記希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料の粉体以外の成分として非磁性材料の粉体を含むことを特徴とする(1)または(2)に記載の磁石用固形材料の製造方法。
(6)前記原料粉体を圧粉成形した後、水中衝撃波を用いて衝撃圧縮固化することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の磁石用固形材料の製造方法。
(7)前記原料粉体の圧粉成形を磁場中で行うことを特徴とする(6)に記載の磁石用固形材料の製造方法。
(8)磁石用固形材料を切削加工及び/又は塑性加工により成形する工程を更に含むことを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の磁石用固形材料の製造方法。
(9)磁石用固形材料を角柱状、円筒状、リング状、円板状又は平板状の形状に成形することを特徴とする(8)に記載の磁石用固形材料の製造方法。
(10)磁石固形材料を少なくとも一度100℃以上且つ分解温度より低い温度で熱処理をする工程を更に含むことを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の磁石用固形材料の製造方法。
(11)前記水中衝撃波の圧力が3〜30GPaであることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の磁石用固形材料の製造方法。
(12)前記水中衝撃波の圧力が3〜22GPaであることを特徴とする(11)に記載の磁石用固形材料の製造方法。
ここでいう希土類元素とは、周期表第IIIa族のYおよび原子番号57から71までのLa系列の15元素、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luを指す。
ここで言う分解とは、R−Fe−N−H−O系磁性材料粉体の結晶構造が変化するのに伴ってα−Fe分解相が生じることであり、このα−Fe分解相の存在は磁気特性に悪影響を及ぼすので、上記のような分解は防止すべき現象である。但し、本発明で用いる原料の製造工程並びに本発明の磁石用固形材料を製造する工程で、酸素を含む層が非晶質化することがあるが、この現象を本発明でいう分解と区別する。
本発明の磁石用固形材料に用いられるR−Fe−N−H−O系磁性材料は、公知の方法により調製される。
例えば、希土類−鉄合金を高周波法、超急冷法、R/D法、HDDR法、メカニカルアロイング法、メカニカルグラインディング法などで調製し、数十〜数百μm程度に粗粉砕した後、窒素−水素混合ガス、アンモニア−水素混合ガスなどの雰囲気下で窒化水素化処理を行って微粉砕を行い、R−Fe−N−H−O系磁性材料を調製する。これらの工程中では、酸素源の種類、濃度を制御することが重要である。磁性材料の組成、合金の処理法や窒化法によっては粗粉砕や微粉砕を行わない場合もある。
以上のR−Fe−N−H−O系磁性材料は、好ましくは0.1〜100μmの平均粒径を有する粉体状として得られ、磁石用固形材料の原料として供給される。平均粒径が0.1μm未満であると、磁場配向性が不十分となりやすく、残留磁束密度が低くなる傾向がある。逆に平均粒径が100μmを超えると材料組成によっては保磁力が低くなる場合があり、また密度を高くする製造条件が厳しくなる場合があるため、実用性に乏しくなる傾向にある。優れた磁場配向性を付与させるために、更に好ましい平均粒径の範囲は1〜100μmである。
高い磁化と保磁力を併せ持つ磁石用固形材料の原料として、R、Feの好ましい範囲は、それぞれ5≦α≦20、10≦β≦25である。
これに対して、R−Fe−N−H−O系磁性材料を用いた磁石の場合、上記の表面処理を必要としないか、或いは簡便なものとすることができる。即ち、コスト的に有利であるだけでなく、アクチュエータやモータとして使用する場合、ステータとロータ間のギャップが磁性の低い表面層分だけ狭く取れるので、回転や反復運動のトルクを大きく取れる利点があり、磁石の磁力を最大限活かすことができる。このため、例えば常温の(BH)max値がNd−Fe−B系磁石より劣る場合であっても、同様なパフォーマンスを発揮することができる。R−Fe−N−H−O系磁性材料を含有した磁石においては、表面処理を必要としない場合、常温の(BH)max値が200kJ/m3以上であればコストパフォーマンスの優れた好ましい磁石となり、240kJ/m3以上であれば更に好ましい。但し、本発明の中で、ピンニング型の磁化反転機構を持つ磁石用固形材料においては、原料磁性粉自体が熱安定性、耐食性に非常に優れるため、高温扁平用途では特に、常温の(BH)max値が200kJ/m3未満であっても好適に用いられるが、その場合であっても常温の(BH)max値が100kJ/m3以上あることが望ましい。
本発明の磁石用固形材料における第1の態様は、7.45g/cm3より高い密度を有することを特徴とするR−Fe−N−H−O系磁石用固形材料である。磁化及び磁束密度は充填率に比例するため、密度が小さくなるほど残留磁束密度が低くなり、最大エネルギー積が低下するので、一般に充填率が高い磁石用固形材料ほど高性能磁石用として好適に用いられる。また、R−Fe−N−H−O系磁石材料は多くの場合微粉体であるため、連続孔であるボイド等の酸素の通り道が多く存在すると、微粉体の表面が酸化劣化して保磁力が低下する要因となる。従って、材料組成・用途によっては、十分に密度を上昇させ、表面からの酸素の進入を防ぐことが必要であり、充填率は95%以上、好ましくは98%以上であることが要求され、特に表面近くの充填率は100%近いことが要求される場合がある。
しかし、磁石用固形材料がR−Fe−N−H−O系材料のみで構成され、残部が大気である場合の密度が6.15g/cm3以下であると、いかなる形態、体積の磁石を形成する場合においても磁石内にボイドを多く含み、しばしば衝撃や負荷により欠けや崩壊へと発展するヒビ、割れの原因となったり、上記のような保磁力低下をきたす傾向がある。
これに対し、水素が上記で規定される範囲内に制御されれば、通常、その主相は熱力学的に安定なR2Fe17N3Hx相又は余剰な窒素を含むR2Fe17N3+ΔHx相(通常xは0.01〜2程度の範囲)になって熱的、機械的なエネルギーによるα−Fe分解相及び窒化希土類への分解は、Hを含まないTh2Zn17型R−Fe−N系磁性材料に比べて顕著に抑制される。
また、R−Fe−N−H−O系原料粉体中の酸素はこの安定なR2Fe17N3Hx相内に必ずしも全量含まれる必要はなく、この強磁性層の周りに局在し、R−Fe−N−H−O、R−Fe−H−O、R−Fe−O、R−Fe−N−H−O−M、R−Fe−H−O−M、R−Fe−O−MなどのR、Fe、N、H、Mのうち少なくとも1種とOを含む任意の組成の非晶質相を形成している構造を取ることが磁気特性の安定上好ましい場合がある。このような磁性粉体の構造の一例として、J.Alloys and Compounds.、第193巻、235頁には、ある条件で作製した強磁性を示すR−Fe−N−H−O微粉体の表面に、酸素が富化された100nm程度の非晶質層が存在する構造を取ることが報告されている。この酸素を多く含む層が分解し、α−Fe分解相に変化すると保磁力が大きく低下する。従来の衝撃波圧縮法によっては、この非晶質相の分解も誘発されるため、従来法によりR−Fe−N−H−O系材料が高性能な磁石用固形材料となりにくいもうひとつの理由になっている。
上述のように、R−Fe−N−H−O系磁性材料はHを含まないR−Fe−N系磁性材料に比べて、熱的・機械的エネルギーによる分解が顕著に抑制されるが、仮に、これが分解して、約100nmを超える粒径の大きなα−Fe分解相と希土類窒化物相とが生じた場合、高価な希土類が多く含まれているのにも関わらず、α−Fe分解相が逆磁区の芽となり、保磁力が大きく低下して好ましくない。
このような微構造を達成するために、R−Fe原料の作製法として、M成分を加え、超急冷法によりR−Fe−M原料とする公知の方法や、メカニカルアロイング法又はメカニカルグラインディング法などの公知の方法、又はそれに準じた粉砕法でR−Fe又はR−Fe−M原料を作製するなどの方法を採用できる。
また、このとき、軟磁性副相の量は5〜50体積%であることが好ましい。5体積%未満であると、保磁力は比較的高くなるが、残留磁束密度がR−Fe−N−H−O系材料単独の場合よりさほど高くならず、50体積%を超えると逆に残留磁束密度は高くなるが保磁力が低下し、何れも高い(BH)maxが得られない傾向がある。より好ましい軟磁性相量の範囲は10〜40体積%である。
本発明の磁石用固形材料は、特に保磁力が高く角形比の高い磁石とすることを目的として、R−Fe−N−H−O系磁性材料の粒界に非磁相を存在させることができる。
R−Fe−N−H−O系磁石用固形材料と軟磁性材を接合一体化した例を図1、図2に示す。
図2は、R−Fe−N−H−O系磁性材料層(硬磁性層)と軟磁性層が交互に積層され一体化された磁石用固形材料の断面の一例を示す。図2のような構成にすると、磁石の表面磁束密度を損なうことなく、低コスト化が図れる。
本発明の磁石用固形材料は、図3に示すように、その表面の一部又は全部を非磁性の固形材料で覆うことができる。
本発明の磁石用固形材料は、着磁後の磁気特性に優れることが特徴である。R−Fe−N−H−O系材料が磁気異方性材料であった場合、圧縮成形時に80kA/m以上、好ましくは800kA/m以上の磁場で、磁性粉体を磁場配向することが望ましい。更にまた、衝撃波圧縮成形後に1.6MA/m以上、より好ましくは2.4MA/m以上の静磁場若しくはパルス磁場で着磁することにより、残留磁束密度及び保磁力を増加させることが望ましい。
R−Fe−N−H−O系磁性材料が等方性材料である場合、圧縮成形時の磁場配向は不要であるが、上記のような着磁を行って、充分磁気的に異方化することが必須となる。
R−Fe−N−H−O系材料の組成や磁性材料以外の部分の種類により、R−Fe−N−H−O系材料の体積分率と密度の関係は変わるが、熱安定性の良い磁石用固形材料とするために80体積%以上の磁性材料含有率が求められ、軽量である磁石用固形材料とするために7.45g/cm3以下の密度が求められるので、より好ましい磁石用固形材料は、R−Fe−N−H−O系磁性材料を80〜97体積%含有し、しかも密度が6.15〜7.45g/cm3の範囲にあるものである。
本発明の磁石用固形材料において、R−Fe−N−H−O系磁性材料以外の成分は密度6.5g/cm3以下の元素、化合物またはそれらの混合物であることが好ましい。密度が6.5g/cm3を越える元素などであると、磁性材料の体積分率を80%に限定しても、磁石用固形材料全体の密度が7.45g/cm3を越える場合が多く、軽量である本発明における第2の態様の特徴が活かせなくなるので好ましくない。
R−Fe−N−H−O系磁性材料以外の部分が密度6.5g/cm3以下であるガス、例えば、窒素ガス、He、Ar、Neなどの不活性ガスのうち少なくとも1種や水素ガス、アンモニアガスのような還元性ガスであっても良い。これらの磁性材−ガス複合磁石用固形材料は軽量であることが特徴である。
この中で、特にBaO・6Fe2O3系、SrO・6Fe2O3系、La添加フェライト系などの硬磁性フェライト、場合によってはMn−Zn系、Ni−Zn系軟磁性フェライトなどを含有させることにより、磁気特性やその安定性を向上させることができる。これらの磁性材−無機物複合磁石用固形材料は機械的強度が高く、熱安定性や磁気特性に優れる。
結晶相は酸素を含まないか、又は非晶質相より酸素量が少ない。この傾向から、結晶相は特に磁化の高い強磁性相となり、非晶質相は非磁性相又は常磁性体も含めた磁化の低い相となりやすい。しかもこの結晶相と非晶質相が強固に結合し一体となって本発明の磁石用固形材料を形成するため、機械的強度が高く、磁気特性、特に角形比が高く、磁気特性の安定性、特に保磁力の安定性が高い材料となる。
以上のような構造を有する磁石用固形材料を製造するときには、非晶質相が分解して磁気特性及びその安定性を悪化させないように衝撃波圧力を小さい範囲に制御する必要がある場合が多い。
Br≦μ0HcJ(Pc+1)(11000−50Tmax)/(10000−6Tmax)
であれば更に望ましい。
上記の関係式は、磁石が顕著な減磁をしない条件を定める式であるが、その意味について以下に補足する。ここに顕著な減磁とは、不可逆でかつ大きな減磁のことを指し、例えば1000時間以内に不可逆減磁率で−20%を越えるような減磁を言う。
R−Fe−N−H−O系材料の組成や温度領域によってα(Br)、α(HcJ)の値は変わるが、ほぼα(Br)は−0.06%/℃、α(HcJ)は−0.5%/℃である。α(Br)の値に比べてα(HcJ)の値の方が絶対値が大きく、両者とも負の値なので、Tが高いほど(2)式を満たす正の値の組み合わせ(Br、HcJ)の領域は小さくなる。従って、本発明の磁石用固形材料を用いて成る磁石が、パーミアンス係数Pcの条件で使用される場合、動作中最も高くなる温度Tmax℃により決定される(2)式の範囲にBr及びHcJを制御することにより、磁石の減磁を緩和することができることになる。
(2)式にT=Tmax、α(Br)=−0.06、α(HcJ)=−0.5を代入し、整理すると下記式(3)のようになる。
しかし、Pc=1、Tmax=100℃である用途の場合、(3)式から、Brを0.99T以上とする必要はない。即ち、この場合、0.99Tより高いBrを有した磁石用固形材料であったとしても磁石の動作又は使用によって減磁して、0.99TのBrを有した磁石とパフォーマンスは変わらなくなるのである。従って、磁性体の体積分率をむしろ83〜85%程度に下げて、Br=0.99T程度の磁石とし、軽量かつコストの安い磁石とする方が好ましい。
この他に、熱安定性が低下する大きな原因としては、磁性粉体同士が、充分金属結合により接合して固化していないことが挙げられる。本来、永久磁石は外界に静磁ポテンシャルを作るために、結晶の容易磁化方向を揃えているが、磁気的に非平衡な状態であるため、磁性粉体同士が充分結合され固定されていない状態であると、各磁性粉がマトリックスの中で回転するなどして容易磁化方向の向きを変え、蓄えられた静磁エネルギーが徐々に小さくなっていく。
例えば、Sm2Fe17N3H0.1Ox材料は、ニュークリエーション型の磁場反転機構を持つため粒径と保磁力HcJがほぼ反比例するような関係を持つ。2μm未満になると保磁力が0.76MA/mを越えるが、この領域では、磁性粉の粒径が小さくなるに従って凝集しやすくなり、通常工業的に利用されている磁場では磁性粉体の磁場配向度が急激に落ちて、角形比が低下する。
本発明の磁石用固形材料であると、衝撃波圧縮固化した際に組織を微細化することができるために、保磁力が0.76MA/m未満の磁性粉体を用いて角形比の高い圧粉体を調製し、これを衝撃波圧縮固化すると同時に保磁力を向上させ、高い角形比と高い保磁力を併せ持つ磁石用固形材料とすることができる。保磁力が0.8〜1.2MA/mの範囲の場合、角形比を95%から、磁場配向の方法と磁性材料の成分などの工夫を加えることによりほぼ100%の範囲で調整することが可能である。
水中衝撃波による衝撃圧縮方法としては、二重管の最内部に当該粉体を圧粉成形し、中間部に水を入れ、外周部に爆薬を配置し、爆薬を爆轟させることで、前記中間部の水中に衝撃波を導入し、最内部の当該粉体を圧縮する方法や、当該粉体を密閉容器中へ圧粉成形し、水中へ投入し、爆薬を水中にて爆轟させ、その衝撃波により当該粉体を圧縮する方法や、特許第2951349号公報又は、特許第3220212号公報による方法が選択できる。いずれの方法においても、以下に示す水中衝撃波による衝撃圧縮の利点を得ることができる。
(1)水中衝撃波の圧力は、爆薬と水のユゴニオ関係によって決まり、圧力Pは概略次式で示される。
P=288(MPa){(ρ/ρ0)7.25−1}
上式より、水中衝撃波を用いた場合には、水の密度ρの基準値ρ0に対する変化に関する圧力Pの増加量が非常に大きいため、爆薬量の調節により容易に超高圧が得られ、その際の磁性材料の温度は従来の衝撃波を用いた場合に比べて容易に低温度に保持される。
(2)衝撃圧力自体の持続時間が長い。
(3)体積圧縮と衝撃波の非線形現象に基づくエントロピーの増加による磁性材料の温度上昇は極めて短時間に消失する。
(4)磁性材料の温度は、その後高く保持されることが少なく、又、長く保持されることが少ない。
(5)衝撃圧力が被圧縮体に均一に負荷される。
水中衝撃波のもつ、これらの優れた特徴によって初めて、R−Fe−N−H−O系材料が熱分解を起こさず、高密度に容易に圧縮固化される。
更に、圧粉成形を磁場中で行うことにより、磁性材料粉体の磁化容易軸を一方向に揃えることができ、得られた圧粉体を衝撃圧縮固化により固形化しても、配向性は損なわれず、磁気的に一軸性の異方性をもつ磁石用固形材料が得られる。
R−Fe−N−H−O系磁性材料の製造法において酸素源、又は水素源並びに酸素源を接触させて、酸素成分、水素成分を導入することが重要であると既に述べたが、衝撃波圧縮の雰囲気に酸素源や水素源を存在させ接触させて、目的とする組成の磁石用固形材料と成す方法も有効である。
以上述べたように、磁性粉体として熱的に安定でα−Fe分解相を析出しにくい、水素を含むR−Fe−N−H−O系材料を選び、上記水中衝撃波圧縮固化法にて固形化することにより初めて本発明の磁石用固形材料を作製することができるのであり、この磁石用固形材料を用いて製造する磁石は、高磁気特性で、耐酸化性に優れ、ボンド磁石のように磁性粉体の結合材としての樹脂成分を含まないため、熱安定性に優れた特徴を有する。
最高使用温度Tmaxが100℃以上である用途には、従来のR−Fe−N−H−O系ボンド磁石であると、樹脂成分を含みかつ磁性粉体同士が金属結合で固化していないために、熱安定性に劣り、使用することが難しかった。本発明の磁石用固形材料であれば、よしんば樹脂成分を含んでいてもR−Fe−N−H−O系磁性粉同士が金属結合で固化しているので熱安定性に優れる。さらに磁石用固形材料のBr、HcJが、磁石としたときのPcとTmax及び(3)式で規定される領域にあれば、大きく減磁せず、軽量でコストパフォーマンスが高い上に熱安定性がさらに優れた磁石とすることができる。
Tmaxの上限はR−Fe−N−H−O系材料のキュリー点付近であり、400℃を越えるが、磁石用固形材料の組成や成分、磁石としての使われ方によりTmax上限は400℃以下の様々な値をとる。例えば、Znで被覆したHcJ=1.6MA/mであるR−Fe−N−H−O系材料を用いたとしても、Tmaxが220℃以上のとき、本発明の磁石用固形材料を磁石として使用することは好ましくない。
また、これらの装置又は部品に用いるとき、本発明の磁石用固形材料を各種加工を施してから、各形状のヨークやホールピース、各種整磁材料を接着、密着、接合した上で組み合わせて用いても良い。
また、本発明の磁石用固形材料を永久磁石同期モータ用ロータとして、もしくはその構成材料の硬磁性材料として使用する場合、本発明の表面磁石構造ロータとして、図5〜図6に示す回転軸断面構造とすることができる。また、埋込磁石構造ロータとして図7〜図12に示す回転軸断面構造とすることができる。
但し、上記の判定法は、磁石用固形材料の原料となるR−Fe−N−H−O系磁性材料にもともとFe軟磁性材料のような44°付近にピークを持つ材料が含有されている場合は適用できない。この場合、R−Fe−N−H−O系磁性材料を含む原料と磁石用固形材料におけるb/aの相対比により、分解の有無の目安とすることは可能である。
また、本件発明は以下の具体例によって何ら技術的範囲が限定されるものではない。
平均粒径60μmのSm2Fe17母合金をNH3分圧0.35atm、H2分圧0.65atmで酸素分圧10−3atm以下のアンモニア−水素混合ガス気流中、465℃で7.2ks窒化水素化を行った後、酸素分圧10−5atmアルゴン気流中で1.8ksアニールを行い、溶存酸素量40ppm、含水量20ppmの炭化水素系溶媒を粉砕溶媒として用い10−1atmの窒素気流中で仕込んだボールミルにより平均粒径が約2μmとなるように粉砕し、R−Fe−N−H−O系磁性材料粉体を得た。この粉体を、1.2MA/mの磁場中で磁場配向させながら圧粉成形を行うことで成形体を得た。図13は水中衝撃波を用いた衝撃圧縮法を行う装置の一例を示す説明図である。得られた成形体を図14に示す如く銅製パイプ1に入れて銅製プラグ2に固定した。さらに銅製パイプ3を銅製プラグ2に固定し、更に、この間隙に水を充填し、外周部に均一な間隙を設け、紙筒4を配置し、銅製パイプ3と紙筒4の間隙中に280gの硝酸アンモニウム系爆薬5を装填し、起爆部6より前記爆薬を起爆し、爆薬を爆轟させた。このとき衝撃波圧力は16GPaであった。
爆薬量を調節して同様の実験を多数回繰り返した。
衝撃波圧力が4GPaより低いと、得られた磁石用固形材料の充填率は必ずしも80%を超えず、衝撃波圧力が30GPaより高いとα−Fe分解相等の分解物が生じることが確認された。又、充填率80%を超える磁石用固形材料をより再現性良く得るためには、衝撃波圧力を3〜30GPaとすることが好ましいことも分かった。又、衝撃波圧力を6〜30GPaとすることで、充填率90%を超える磁石用固形材料が再現性良く得られることも確認された。
さらに、密度が7.45g/cm3を超えるバルク磁石をより再現性良く得るためには、この衝撃波圧力を10〜30GPaとすることが好ましいことも分かった。又、衝撃波圧力12〜30GPaでは密度7.55g/cm3を超えるバルク磁石を再現性良く得ることができることも確認された。
平均粒径20μmのSm2Fe17母合金をN2ガス気流中、495℃で72ks窒化を行うこと以外は製造例1と同様に、ただし衝撃波圧力を18GPaとすることにより、Sm9.1Fe77.7N13.2なる組成の磁石用固形材料を作製した。 この磁石用固形材料を4.0MA/mのパルス磁場で着磁し磁気特性を測定した結果、残留磁束密度Br=0.96T、保磁力HcJ=0.36MA/m、(BH)max=120kJ/m3の結果を得た。又、アルキメデス法により密度を測定した結果7.50g/cm3であった。
この材料のX線回折図には、Th2Zn17型菱面体晶の結晶構造以外にα−Fe分解相由来の回折線も観察された。44°付近におけるα−Fe分解相の回折線とTh2Zn17型菱面体晶の結晶構造を示す(303)最強線との強度比b/aは0.21であった。
図14は、爆薬の爆轟波を直接用いて衝撃圧縮を行う装置の一例を示す説明図である。この装置を用いて、製造例1で得た平均粒径2μmのR−Fe−N−H−O系磁性粉体を銅製パイプ1に入れて銅製プラグ2に固定し、外周部に均一な間隙を設け、紙筒4を配置し、前記間隙中に実施例と同量の硝酸アンモニウム系爆薬5を装填し、起爆部6より前記爆薬を起爆し、爆薬を爆轟させた。衝撃圧縮後、パイプ1から固化した試料を取り出し、X線回折法により解析した結果、衝撃圧縮後はSmNと多量のα−Fe分解相が生成していることが認められ、出発原料のR−Fe−N−H−O系化合物が分解していることが分かった。このときの回折線の強度比b/aは約3であった。
所定量のSm及びFeの金属粉体(重量比16.85:83.15)をめのうボールによる振動ボールミルで180ks間メカニカルアロイング処理したのち、10−5atm以下の真空中600℃で7.2ks間熱処理した。この粉体には、Fe軟磁性材料が約30体積%含まれていた。この粉体を、NH3分圧0.35atm、H2分圧0.65atmの酸素分圧10−3atm以下のアンモニア−水素混合ガス気流中、380℃、1.2ksの条件で窒化水素化処理し、続いて同温度で水素中300sの時間熱処理した。この粉体を用いて、製造例1と同様に、ただし衝撃波圧力を18GPaとすることにより、Sm5.9Fe78.5N8.8H3.0O3.8なる組成の磁石用固形材料を作製した。
この材料のX線回折図には、Th2Zn17型菱面体晶の結晶構造以外にα−Fe由来の回折線も観察されたが、この材料はもともとα−Fe分解相ではないFe軟磁性材料を含む材料であるため、固化によってα−Fe分解相が生じたか否かはX線回折法によって厳密に判定することができなかった。なお、透過型電子顕微鏡観察を行った結果、Fe軟磁性相の体積分率は約30%、その結晶粒径は10〜50nm程度であり、R−Fe−N−H−O系磁性材料の体積分率が約70%である磁石用固形材料となった。
製造例1で得た平均粒径約2μmのR−Fe−N−H−O系粉体と、平均粒径約25μmで組成がSm11.5Co57.6Fe24.8Cu4.4Zr1.7であるSm−Co系粉体を、体積比で50:50の割合になるようにめのう乳鉢に仕込み、溶存酸素量40ppm、含水量30ppmのシクロヘキサン中で湿式混合した。この作業は酸素分圧10−1atmのグローブボックス中で行った。
この混合粉体を用いて、製造例1と同様に、ただし衝撃波圧力を14GPaとすることにより、R−Fe−N−H−O系磁性材料の体積分率50%のR−Fe−N−H−O系磁石用固形材料(酸素量1.7原子%)を作製した。この磁石用固形材料を4.0MA/mのパルス磁場で着磁し磁気特性を測定した結果、残留磁束密度Br=1.08T、保磁力HcJ=0.85MA/m、(BH)max=215kJ/m3であった。
公知のジエチル亜鉛を用いた光分解法によって、R−Fe−N−H−O系磁性材料の表面にZn金属を被覆した平均粒径約1μmのSm−Fe−Co−N−H−O磁性粉体を調製し、この粉体を用いて、製造例1と同様に、ただし衝撃波圧力を16GPaとすることにより、R−Fe−N−H−O系磁性材料の体積分率が100%であるSm8.2Fe62.6Co6.9N12.2H3.3O3.8Zn3.0なる組成の磁石用固形材料を作製した。
この磁石用固形材料を4.0MA/mのパルス磁場で着磁し磁気特性を測定した結果、残留磁束密度Br=1.24T、保磁力HcJ=0.79MA/m、(BH)max=263kJ/m3であった。密度は7.71g/cm3であった。さらに、X線回折法で解析した結果、固化した磁石用固形材料は、Th2Zn17型菱面体晶の結晶構造を有していることが確認された。44°付近におけるα−Fe分解相の回折線とTh2Zn17型菱面体晶の結晶構造を示す(303)最強線との強度比b/aは0.08であった。
R−Fe−N−H−O系磁性材料として、公知の方法(特開平8−55712号公報)により得た、磁化反転機構がピンニング型である平均粒径30μmのSm−Fe−Co−Mn−N−H−O磁性粉体を用いて、製造例1と同様に、ただし衝撃波圧力を14GPaとすることにより、R−Fe−N−H−O系磁性材料の体積分率が100%である、Sm8.5(Fe0.89Co0.11)66.6Mn3.6N18.5H2.6O0.2なる組成の磁石用固形材料を作製した。この磁石用固形材料を4.0MA/mのパルス磁場で着磁し磁気特性を測定した結果、残留磁束密度Br=1.08T、保磁力HcJ=0.39MA/m、(BH)max=128kJ/m3であった。体積法で求めた密度は7.70g/cm3であった。さらに、この材料のX線回折図には、Th2Zn17型菱面体晶の結晶構造以外にα−Fe分解相由来の回折線も観察された。44°付近におけるα−Fe分解相の回折線とTh2Zn17型菱面体晶の結晶構造を示す(303)最強線との強度比b/aは0.06であった。
R−Fe−N−H−O系磁性材料以外の成分をAl2O3とし、製造例1で作製したR−Fe−N−H−O系磁性材料の体積分率が96%となるように配合し、前記混合粉体を減量とする磁石用固形材料を製造例1と同様にして作製した。但し、衝撃波圧力は15GPaとした。その後、4.0MA/mのパルス磁場で着磁し、Br、HcJ、角形比Br/Js、(BH)maxを測定した。
その結果を表1に示した。保磁力HcJが0.83MA/mと大きい値であるにも関わらず、角形比96%を得ることができた。
R−Fe−N−H−O系磁性材料以外の成分及び、衝撃波圧力を表1に示したとおりとする以外は、製造例1と同様にして磁石用固形材料を作製し、実施例5と同様にしてそれらの各種磁気特性を測定した。その結果を表1に示した。
公知の方法により製造された、平均粒径30μmのR−Fe−N−H−O系HDDR等方性磁性粉体を用いて、製造例1と同様に、R−Fe−N−H−O系磁性材料の体積分率が100%である、Sm8.3Fe76.1B0.9Ti2.4N12.0H0.1O0.2なる組成の磁石用固形材料を作製した。
この磁石用固形材料を4.0MA/mのパルス磁場で着磁し磁気特性を測定した結果、残留磁束密度Br=0.70T、保磁力HcJ=1.05MA/m、(BH)max=75.4kJ/m3の結果を得た。又、アルキメデス法により密度を測定した結果7.45g/cm3であった。
この材料のX線回折図には、菱面体晶、六方晶の結晶構造以外にα−Fe分解相由来の回折線も観察され、比b/aは0.15であった。
平均粒径60μmのSm2Fe17母合金をNH3分圧0.35atm、H2分圧0.65atmで酸素分圧10−3atm以下のアンモニア−水素混合ガス気流中、465℃で7.2ks窒化水素化を行った後、酸素分圧10−3atmとしたアルゴン気流中で7.2ksアニールを行い、溶存酸素量45ppm、含水量20ppmの炭化水素系溶媒を粉砕溶媒として用い10−1atmの窒素気流中で仕込んだボールミルにより平均粒径が約2μmとなるように粉砕した。この粉体を用い、製造例1と同様に、但し衝撃波圧力は25GPaとして、R−Fe−N−H−O系磁性材料の体積分率が100%である、Sm8.0Fe67.8N11.9H2.6O9.7組成を有する磁石用固形材料を得た。このとき、成形体を保持する銅製パイプ1の中は湿度を有した大気で満たした。この磁石用固形材料を4.0MA/mのパルス磁場で着磁し、磁気特性を測定した結果、残留磁束密度Br=1.06T、保磁力HcJ=0.73MA/m、(BH)max=158kJ/m3の結果を得た。又、アルキメデス法により密度を測定した結果、密度7.55g/cm3、充填率は99%であった。
本試料表面を鏡面研磨後5%ナイタール腐食液で30秒間腐食し、FE−SEMにて観察を行った結果、視野内に粒状に観察される部分と前記粒状部分の隙間を埋める様に存在する部分との2相構造であることが判った。EBSPにて各部分の結晶方位の観察を行った結果、前記粒状部分はTh2Zn17型菱面体晶の結晶構造が観察され、その他の部分は非晶質であることが確認された。観察断面の面積比より、Th2Zn17型菱面体晶部分(結晶相)対非晶質部分(非晶質相)が6対4の体積比で存在することが判った。
2 銅製プラグ
3 銅製パイプ(水を保持するために使用)
4 紙筒(爆薬を保持するために使用)
5 爆薬
6 起爆部
7 水
8 試料部(希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料を含む試料)
Claims (12)
- 菱面体晶又は六方晶の結晶構造を有する希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料を、80〜100体積%含有した磁石用固形材料の製造方法であって、
前記希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料が、一般式R α Fe 100−α−β−γ−δ N β H γ O δ で表され、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも一種の元素であり、又、α、β、γ、δは原子百分率で、5≦α≦20、10≦β≦25、0.1≦γ≦3.3、0.01≦δ≦10であり、
前記希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料の粉体を原料粉体全体に対して80〜100体積%含む原料粉体を3〜40GPaの水中衝撃波を用いて、衝撃圧縮固化することを特徴とする磁石用固形材料の製造方法。 - 菱面体晶又は六方晶の結晶構造を有する希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料を、80〜100体積%含有した磁石用固形材料の製造方法であって、
前記希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料が、一般式RαFe100−α−β−γ−δNβHγOδMεで表され、RはYを含む希土類元素から選ばれる少なくとも一種の元素であり、MはZn,In,Sn、Ga、Al、B、C、Ca、Ge、Mg、Si、Ti、V、Zr、Co、Mnから選ばれる少なくとも1種の元素及び/又は、Mn−Al−C合金、Al−Cu−Mg合金、MgO、Al2O3、ZrO2、SiO2、フェライト、CaF2、AlF3、TiC、SiC、ZrC、Si3N4、ZnN、AlNから選ばれる少なくとも一種であり、又、α、β、γ、δ、εはモル百分率で、5≦α≦20、10≦β≦25、0.1≦γ≦3.3、0.01≦δ≦10、0.1≦ε≦10であり、
前記希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料の粉体を原料粉体全体に対して80〜100体積%含む原料粉体を3〜40GPaの水中衝撃波を用いて、衝撃圧縮固化することを特徴とする磁石用固形材料の製造方法。 - 前記原料粉体が、前記希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料の粉体以外の成分として硬磁性材料の粉体を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の磁石用固形材料の製造方法。
- 前記原料粉体が、前記希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料の粉体以外の成分として軟磁性材料の粉体を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の磁石用固形材料の製造方法。
- 前記原料粉体が、前記希土類−鉄−窒素−水素−酸素系磁性材料の粉体以外の成分として非磁性材料の粉体を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の磁石用固形材料の製造方法。
- 前記原料粉体を圧粉成形した後、水中衝撃波を用いて衝撃圧縮固化することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の磁石用固形材料の製造方法。
- 前記原料粉体の圧粉成形を磁場中で行うことを特徴とする請求項6に記載の磁石用固形材料の製造方法。
- 磁石用固形材料を切削加工及び/又は塑性加工により成形する工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の磁石用固形材料の製造方法。
- 磁石用固形材料を角柱状、円筒状、リング状、円板状又は平板状の形状に成形することを特徴とする請求項8に記載の磁石用固形材料の製造方法。
- 磁石固形材料を少なくとも一度100℃以上且つ分解温度より低い温度で熱処理をする工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の磁石用固形材料の製造方法。
- 前記水中衝撃波の圧力が3〜30GPaであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の磁石用固形材料の製造方法。
- 前記水中衝撃波の圧力が3〜22GPaであることを特徴とする請求項11に記載の磁石用固形材料の製造方法。
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