JP3357421B2 - 磁石用粉末の磁場成形方法および磁石の製造方法 - Google Patents

磁石用粉末の磁場成形方法および磁石の製造方法

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JP3357421B2 JP14004093A JP14004093A JP3357421B2 JP 3357421 B2 JP3357421 B2 JP 3357421B2 JP 14004093 A JP14004093 A JP 14004093A JP 14004093 A JP14004093 A JP 14004093A JP 3357421 B2 JP3357421 B2 JP 3357421B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は希土類磁石の成形方法お
よび希土類磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高性能を有する希土類磁石としては、粉
末冶金法によるSm−Co系磁石でエネルギー積32M
GOeのものが量産されている。また、近年Nd−Fe
−B磁石やNd−Fe−Co−B磁石等のR−T−B系
磁石(Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも1種であ
り、Tは、FeまたはFeおよびCoである)が開発さ
れ、特開昭59−46008号公報には焼結磁石が開示
されている。また、さらに近年、R−T−N系の磁石等
も開発が盛んに行われるようになっている。
【0003】これらの異方性磁石を製造する際、成形方
法として磁場成形方法が行われる。このとき異方性磁石
の残留磁束密度を向上させるためには、磁場成形の際の
配向度を向上させることが重要である。配向度が高くな
れば角形性が向上して着磁率も改善される。
【0004】配向度を向上させるために、磁場成形の際
に印加磁界強度を大きくする方法がとられる。しかし、
磁界発生コイルの発熱が大きくなるため、極端に大きな
磁界を印加することは難しい。このため、磁界印加時間
の短いパルス磁界を利用して高い磁界を印加する方法が
提案されている(特開昭61−208809号等)。前
記パルス磁界のような高い磁界を印加するような場合、
一般には用いるパンチやダイス等は非磁性材で構成し、
これを空芯コイル内に配置する。
【0005】本発明者らは、特願平4−72581号
で、配向のために高いパルス磁界を印加する方法におい
て、磁石粉末の成形体の相対密度が25〜55%の範囲
内にあるときに少なくとも3回のパルス磁界を印加する
方法を提案した。この方法により、配向度が向上し、高
い残留磁束密度を有する磁石が得られる。しかし、空芯
コイル内にダイスと上下パンチを配置し、パンチ軸方向
に磁界を印加して磁場成形を行なういわゆる縦磁場成形
に際し、このような高いパルス磁界の印加を行っても、
上下パンチ軸方向に厚さの薄い成形体を得ようとする
と、残留磁束密度等の磁気特性がきわめて低くなり、実
用化できないことが判明した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
Rおよび遷移元素を含有する磁石粉末を上下パンチ間
で、上下パンチ軸方向成分を有する磁界中で磁場成形す
る際、特に上下パンチ軸方向に薄い希土類磁石用の成形
体を得る際に、配向不良等による磁気特性の低下が防止
された成形方法と、その成形方法を用いた磁石の製造方
法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(8)の本発明により達成される。 (1)R(Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも1種
である。)および遷移元素を含有する磁石粉末を上下パ
ンチ間で、この上下パンチ軸方向成分を有する磁界中で
磁場成形する際に、上パンチおよび/または下パンチの
パンチ面に、前記軸方向の総厚Lmが、 (CL−Lc)≧Lm≧1mmでありかつ CL≧(Lm+Lc)>20mm (CLは磁界を印加するために用いるコイルの有効長で
あり、Lcは磁石粉末の成形後の前記軸方向の厚さであ
る。)である強磁性体を配置し、磁界を印加して上下パ
ンチで押圧し、20mm≧Lc≧1mmの成形体を得る磁石
粉末の磁場成形方法。 (2)前記強磁性体は、飽和磁化Bsが10000G 以
上である上記(1)の磁石用粉末の磁場成形方法。 (3)前記磁界は、印加方向が成形圧力印加方向とほぼ
一致している上記(1)または(2)の磁石用粉末の磁
場成形方法。 (4)前記磁界は、強度が20kOe 以上である上記
(1)〜(3)のいずれかの磁石用粉末の磁場成形方
法。 (5)前記磁界は、持続時間が10μs 〜0.5sec の
パルス磁界である上記(1)〜(4)のいずれかの磁石
用粉末の磁場成形方法。 (6)前記パルス磁界は、前記磁石粉末の成形体の相対
密度が25〜55%の範囲内にあるときに、少なくとも
3回のパルス磁界を前記成形体に印加する上記(5)の
磁石用粉末の磁場成形方法。 (7)前記磁石粉末が、R−T−B系の磁石粉末(T
は、FeまたはFeおよびCoである。)、R−Co系
の磁石粉末またはR−T−N系の磁石粉末のいずれかで
ある上記(1)〜(6)のいずれかの磁石用粉末の磁場
成形方法。 (8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法によ
り成形された磁石の製造方法。
【0008】
【作用および効果】前記空芯コイルタイプの成形装置を
用い、コイルにより磁界を印加すると、コイル内の磁石
粉末に生じた反磁界が、印加した磁界による磁石粉末の
配向効果を低下させ、得られた磁石の磁気特性が低下す
る。
【0009】反磁界によるこのような影響は、パンチ、
ダイス間のキャビティの形状により異なり、一般にはパ
ンチ間のキャビティ厚、すなわち成形体の上下パンチ軸
方向の厚さが薄いものほど大きい。そこで、本発明で
は、使用するパンチの少なくとも一方のパンチ面に強磁
性体を配置し、キャビティ内の磁性体の厚さをみかけ上
厚くする。そのため、磁石粉末に発生する反磁界が磁石
粉末の配向に及ぼす影響を低下させることができ、配向
不良による磁気特性の低下を防止できる。
【0010】なお、特開昭61−272915号公報に
は、異方性永久磁石の製造の際、パルス磁場の存在下
で、上下のうち少なくとも片方が強磁性体のパンチを用
いてプレス成形する方法が開示されている。強磁性体の
パンチを用いる目的は、印加したパルス磁場による磁気
的吸引力により、前記強磁性体製のパンチを移動・加圧
し、成形することにある。しかし、このようなパンチ吸
引が行われると、成形圧力のコントロールが難しく、成
形密度が一定にできず、焼結後の形状バラツキが大きく
なる等の不都合が生じることになるため好ましくない。
【0011】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0012】本発明の磁場成形方法は、R(Rは、Yを
含む希土類元素の少なくとも1種である。)および遷移
元素を含有する磁石粉末に適用される。
【0013】磁石粉末の組成は特に限定されず、希土類
元素および遷移元素を含むものであれば特に制限はない
が、本発明は特に、R−T−B系磁石(Tは、Feまた
はFeおよびCoである。)、R−Co系磁石あるいは
R−T−N系磁石の製造に好適である。
【0014】R−T−B系の磁石粉末は、通常、Rを2
7〜38重量%、Tを51〜72重量%、Bを0.5〜
4.5重量%含有することが好ましい。R含有量が少な
すぎると鉄に富む相が析出して高保磁力が得られなくな
り、R含有量が多すぎると高残留磁束密度が得られなく
なる。B含有量が少なすぎると高保磁力が得られなくな
り、B含有量が多すぎると高残留磁束密度が得られなく
なる。なお、T中のCo量は30重量%以下とすること
が好ましい。さらに、保磁力を改善するために、Al、
Cr、Mn、Mg、Si、Cu、C、Nb、Sn、W、
V、Zr、Ti、Moなどの元素を添加してもよいが、
添加量が6重量%を超えると残留磁束密度が低下してく
る。
【0015】磁石粉末中には、これらの元素の他、不可
避的不純物あるいは微量添加物として、例えば炭素や酸
素が含有されていてもよい。
【0016】このような組成を有する磁石粉末は、実質
的に正方晶系の結晶構造の主相を有する。そして、通
常、体積比で0.5〜10%程度の非磁性相を含むもの
である。
【0017】磁石粉末の製造方法は特に限定されない
が、通常、母合金インゴットを鋳造し、これを粉砕して
製造するか、還元拡散法によって得られた合金粉末を粉
砕して製造する。磁石粉末の平均粒子径は、通常、1〜
10μm 程度とする。
【0018】R−Co系の磁石粉末は、Rと、Fe、N
i、MnおよびCrから選ばれる1種以上の金属と、C
oとを含有する。この場合、好ましくは前記に加えさら
にCuまたは、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびV
から選ばれる1種以上の金属を含有し、特に好ましくは
前記に加えさらにCuと、Nb、Zr、Ta、Hf、T
iおよびVから選ばれる1種以上の金属とを含有する。
これらのうち特に、SmとCoとの金属間化合物、好ま
しくはSmCo5 金属間化合物や、Sm2 Co17金属間
化合物を主相とするもので、特にSm2 Co17金属間化
合物を主相とし、この主相が実質的にロンボヘドラルの
結晶構造を有するものが好ましい。Sm2 Co17金属間
化合物を主相とする場合、粒界には、SmCo5 系を主
体とする副相が存在する。具体的組成は、製造方法や要
求される磁気特性等に応じて適宜選択すればよいが、例
えばSm2 Co17金属間化合物を主相とする場合の好ま
しい組成例を下記に示す。
【0019】R:20〜30重量%、特に22〜28重
量%程度、Fe、Ni、MnおよびCrの1種以上:1
〜35重量%程度、Nb、Zr、Ta、Hf、Tiおよ
びVの1種以上:0〜6重量%、特に0.5〜4重量%
程度、Cu:0〜10重量%、特に1〜10重量%程
度、Co:残部。
【0020】前記希土類元素の具体例としては、例え
ば、Y、La、Ce、Pr、Nb、Sm、Eu、Gd、
Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等を挙げる
ことができ、特に、Smおよび/またはCeを含むこと
が好ましい。
【0021】また、Fe、Ni、MnおよびCrの1種
以上としては、Feが好ましく、特に、Feを含み必要
に応じNi、MnおよびCrの1種以上を含むことが好
ましい。
【0022】また、Nb、Zr、Ta、Hf、Tiおよ
びVの1種以上としてはZrが好ましく、特に、Zrを
含み必要に応じNb、Ta、Hf、TiおよびVの1種
以上を含むことが好ましい。
【0023】また、必要に応じて前記元素の他、Si、
Mo、Ca、O、C等の他の元素の1種以上を全体の3
重量%程度以下添加してもよい。なお、これらは不純物
として全体の3重量%程度以下含まれていてもよい。
【0024】R−Co系磁石粉末の製造方法は、特に限
定されない。磁石粉末の平均粒子径は、通常、1〜20
μm 程度とする。
【0025】R−T−N系の磁石粉末は、R、Nおよび
Tを含有する。
【0026】Rは、Sm単独、あるいはSmおよびその
他の希土類元素の1種以上である。Sm以外の希土類元
素としては、例えばY、La、Ce、Pr、Nd、E
u、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu
等が挙げられる。Sm以外の希土類元素が多すぎると結
晶磁気異方性が低下するため、Sm以外の希土類元素は
Rの70%以下とすることが好ましい。Rの含有率は、
5〜15原子%、好ましくは7〜14原子%とする。R
の含有率が前記範囲未満であると保磁力が低下し、前記
範囲を超えると残留磁束密度が低下してしまう。
【0027】Nの含有率は、0.5〜25原子%、好ま
しくは5〜20原子%とする。本発明では、Nの一部に
換えてCおよび/またはSiを含有する構成としてもよ
い。この場合、Nの含有率は0.5原子%以上であり、
N、CおよびSiの合計含有率は25原子%以下であ
る。Nの含有率が前記範囲未満となると、キュリー温度
の上昇と飽和磁化の向上が不十分であり、N、Cおよび
Siの合計含有率が前記範囲を超えると残留磁束密度が
低下する。Nの一部に換えて含有されるCおよび/また
はSiは、飽和磁化、保磁力およびキュリー温度向上効
果を示す。CおよびSiの合計含有率の下限は特にない
が、合計含有率が0.25原子%以上であれば、前記し
た効果は十分に発揮される。
【0028】なお、磁石のキュリー温度は、組成によっ
て異なるが430〜650℃程度である。
【0029】残部は実質的にTである。TはFe、また
はFeおよびCoであり、T中のFeの含有率は20原
子%以上、特に30原子%以上であることが好ましい。
T中のFeの含有率が前記範囲未満となると残留磁束密
度が低下する。なお、T中のFe含有率の上限は特にな
いが、80原子%を超えると残留磁束密度が低下する傾
向にある。
【0030】磁石中には、母合金中に含まれる元素M
や、Mn、Ni、Zn等の上記以外の元素が含有されて
いてもよく、また、B、O、P、S等の元素が含有され
ていてもよい。
【0031】なお、磁石は、Th2 Zn17型の菱面体晶
系の結晶構造を主相として有する。
【0032】R−T−N系の磁石粉末の製造方法は、通
常用いられている方法であれば特に限定されない。磁石
粉末の平均粒子径は、通常、1〜10μm 程度とする。
【0033】次に、図1を用い、成形工程を説明する。
なお、図1に示す例は本発明を説明する一例であり、そ
の構造等はいわゆる加圧方向と印加磁場方向とがほぼ平
行となる縦磁場成形をおこなうものであれば特に限定さ
れない。
【0034】本発明は、前記希土類磁石粉末を用いる磁
石の磁場成形時、磁石粉末6の成形後の厚さ(パンチ
4、4押圧方向厚さ)Lcが20mm≧Lc≧1mmである
成形体を得るためのものである。Lcは、磁石粉末6の
成形後の体積をパンチ面の面積で除した値であり、この
場合のパンチ面の面積とは投影面積である。Lcがこの
範囲より大きすぎると反磁界等が配向におよぼす影響は
ほとんどなくなり、本発明の効果はほとんどなくなる。
また、前記未満の厚さの成形は実質的に不可能である。
【0035】本発明では、上または下のパンチ4、4の
少なくとも一方のパンチ面に、強磁性体5を配置したパ
ンチ4、4を具えた成形装置1を用いる。この場合、上
のみあるいは下のみに強磁性体5を有するパンチ4、4
を用いても、上下に強磁性体5、5を有するパンチ4、
4を用いてもよい。
【0036】配置される強磁性体5、5の総厚Lmは、
成形装置1に設置されている磁界を印加するために用い
るコイル2の有効長をCLとすると、(CL−Lc)≧
Lm≧1mmである。
【0037】Lmは、この範囲であれば反磁界の影響を
うち消すためには充分であり、Lmがこの範囲より短す
ぎると本発明の実効がなくなってくる。また、長すぎて
も得られる磁石の配向性に基づく磁気特性の向上は期待
できず、磁場により生じた強磁性体5、5を吸引する力
により、成形圧力の制御が難しくなり、磁石の形状バラ
ツキが大きくなりやすい。
【0038】さらに、LcとLmとの和は、CL≧(L
c+Lm)>20mmである。Lc+Lmがこの範囲より
短すぎると反磁界の影響により配向不良となりやすく、
また長すぎても得られる磁石の配向性に基づく磁気特性
の向上は期待できない。
【0039】なお、本明細書中において磁界を印加する
ために用いるコイルの有効長CLとは、コイル2の巻線
部分のパンチ軸方向の一方の端部から他方の端部までの
長さとする。
【0040】本発明でパンチの一部を構成する強磁性体
5、5に用いる強磁性材料は、飽和磁化Bsが1000
0G 以上のダイス鋼や超硬合金等を用いることができ
る。強磁性材料としては飽和磁化Bsが高いほど好まし
いが、通常用いられる材料では15000G 程度以下で
ある。
【0041】強磁性体5、5に用いる材料の飽和磁化B
sが前記より低すぎると印加する高い磁界により磁性材
料が磁気的に飽和するため、磁石粉末6に生じた反磁界
の影響を低下させることができない。
【0042】また、強磁性体5、5はパンチの少なくと
も一部を構成するため、ロックウェル硬さ試験のCスケ
ールにおける硬さの値がHRC40程度以上の強度を有
する強磁性体であることが好ましい。
【0043】これら強磁性体はパンチ4にロー付け等の
方法で一体化される。
【0044】また、本発明で用いる成形装置1では、通
常、強磁性体5、5は非磁性材のパンチ4、4のパンチ
面全面に設けられるが、必要に応じてパンチ面の一部の
みを強磁性体とすることもできる。パンチ面の一部のみ
強磁性体とするときの強磁性体5と非磁性材料部分との
面積比や強磁性体5のパンチ面の形状はどのようであっ
てもよい。
【0045】また、これらパンチ面は印加する磁界によ
り生じる磁束方向に必ずしも垂直である必要はない。す
なわち、これらの面部分や強磁性体を種々の形状とする
ことで、例えば、磁石粉末6への印加磁界の磁束方向を
変化させることができ、配向方向を部分的に変化させる
等の制御も容易に可能となる。また、強磁性体5とパン
チ4との接合面も必ずしも平面でなくてもよい。これら
の場合、強磁性体5、5の厚さLmとは、強磁性体の全
体積をパンチ面積で除した値であり、この場合のパンチ
面積とは投影面積である。
【0046】なお、磁場成形に用いる磁性粉末6は、焼
結磁石とするための成形体を成形するときは、通常、実
質的に前記磁石粉末のみとすることが好ましく、例えば
ボンド磁石とするための成形体を成形するときは、通
常、磁性粉末6にエポキシ系あるいはフェノール系等の
樹脂をあらかじめ混合し、分散させた後に磁場成形を行
なうことが好ましい。なお、これら樹脂の混合量は1〜
5重量%が好ましい。
【0047】本発明では、印加する磁界の印加方向を、
後述する成形のための圧力印加方向とほぼ平行とするこ
とが好ましい。磁界印加方向と圧力印加方向とがほぼ直
交するいわゆる横磁場成形法では、本発明の強磁性体
5、5をもつパンチ4、4を具えた成形装置では、磁界
印加により生じる反磁界の磁石粉末の配向への影響を防
止できない。
【0048】本発明では、このような強磁性体5、5を
もつパンチ4、4を使用した成形の際に、配向のために
印加する磁界の強度は、好ましくは20kOe 以上、より
好ましくは30kOe 以上である。
【0049】このような高い磁界を印加する方法として
は、パルス磁界を用いることが好ましい。また、パルス
磁界を用い、複数回パルス磁界を印加する場合は、少な
くとも1回、好ましくはすべてのパルス磁界を前記範囲
以上とする。印加する磁界の強度が前記範囲未満となる
と磁石粉末6の配向が不十分となる傾向がある。なお、
印加する磁界の強度の上限は特にないが、磁界発生装置
が大型化することや、50kOe を超える強度としても配
向度の向上は殆どみられないことなどから、通常、50
kOe 以下とする。
【0050】パルス磁界を用いる場合、持続時間は通
常、10μs 〜0.5sec 程度とすることが好ましい。
持続時間が前記範囲未満となると配向が不十分となる傾
向にあり、前記範囲を超えると磁界印加用コイル2の発
熱が大きくなりすぎる傾向にある。なお、本明細書にお
いて持続時間とは磁界印加の開始から終了までの時間で
ある。
【0051】パルス磁界印加の間隔は特に限定されな
い。
【0052】成形圧力は、成形開始から終了まで一定で
あってもよく、漸増または漸減してもよく、不規則変化
してもよい。成形圧力に特に制限はない。成形圧力が低
いほど配向性は良好となるが、成形圧力が低すぎると成
形体の強度が不足してハンドリングに問題が生じるた
め、通常、0.5〜4ton/cm2 程度とすることが好まし
い。
【0053】本発明では、成形に際しパルス磁界を印加
する場合は、前記の条件内であれば特に制限はないが、
以下に示す条件を満足することで、配向の効果が増加す
る。
【0054】すなわち、磁石粉末6の成形体の相対密度
が25〜55%、好ましくは30〜45%の範囲内にあ
るときに、少なくとも3回の前記条件のパルス磁界を成
形体に印加する。本明細書において相対密度とは、実測
密度を理論密度で除した値の百分率である。実測密度
は、成形装置1の成形空間内に充填した磁石粉末6の重
量と、成形空間の内容積から算出する。
【0055】成形体の相対密度が前記範囲以外のときに
印加されたパルス磁界は、磁石粉末6の配向度向上に対
する寄与率が低い。従って、パルス磁界の印加回数が3
回以上であっても、成形体相対密度が前記範囲であると
きに少なくとも3回のパルス磁界が印加されなければ、
十分な配向度が得られない。
【0056】また、成形体の密度を増加させながら少な
くとも3回のパルス磁界を印加してもよく、成形体の密
度をほぼ一定に保って少なくとも3回のパルス磁界を印
加してもよい。
【0057】さらに、成形体の相対密度が前記範囲外で
あるときにも磁界を印加してよい。すなわち、前記密度
範囲においてパルス磁界を印加する前および/または印
加した後に、パルス磁界や、定常磁界、断続的な磁界な
どを印加してもよい。
【0058】なお、成形体の最終的な相対密度、すなわ
ち成形体の相対密度は、通常、50〜60%程度であ
る。また、成形体の平面寸法、形状等には制限はない。
【0059】前記のようにして得られた成形体は、後述
するように焼結されて焼結磁石としたり、あらかじめ前
記樹脂等を混合した後に磁場成形した成形体を、キュア
リング処理等を施してボンド磁石としたりする。
【0060】焼結磁石とする際の焼結時の各種条件に特
に制限はないが、例えば1000〜1250℃で0.5
〜12時間、特に1〜5時間程度焼結し、その後、急冷
することが好ましい。なお、焼結雰囲気は、真空中また
はArガス等の非酸化性ガス雰囲気であることが好まし
い。さらに焼結後、時効処理、着磁処理等が必要に応じ
て施される。
【0061】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0062】実施例1 組成が31.0Nd−1.5Dy−68.5Fe−1.
0B(重量%)の合金インゴットを鋳造により作製し
た。この合金インゴットをジョークラッシャおよびブラ
ウンミルにより−#32にまで粗粉砕し、次いで、ジェ
ットミルにより微粉砕し、平均粒子径4μm の磁石粉末
6を得た。
【0063】用いた成形装置の一部は、図1に示す構成
をもつ。この装置の金型部分は非磁性材料製のダイス3
と、一部に強磁性体5をもち、残り部分が非磁性金属製
のパンチ4、4とから構成され、印加する磁界により生
じる磁束方向と垂直な平面に、3.2cm×3.2cmの面
積の成形空間(キャビティ)を有する。なお、CL=1
20mmである。
【0064】強磁性体5、5として飽和磁化(Bs)が
12kGで厚さが10mmのダイス鋼を具えたパンチ4、4
(すなわちLmは20mm)と、強磁性体5、5を具えて
いないパンチ4、4とを用い、前記磁石粉末6の成形後
の厚さ(Lc)を表1になるように磁石粉末6の量を変
化させて前記成形空間内に充填し、以下の条件で磁場成
形を行った。
【0065】磁場成形条件は、印加圧力を1ton/cm2
し、前記成形空間の中心におけるパルス磁界の印加強度
を30kOe として、磁石粉末の相対密度が30〜45%
の間に、前記パルス磁界を6回印加した。得られた成形
体の最終密度は相対密度として53%であった。なお、
実測密度を求めるために、必要な成形空間の内容積は、
パンチ4の移動量から算出した。また、理論密度は7.
62g/cm2 とした。
【0066】このようにして得られた成形体を、110
0℃、2時間真空焼結し、時効処理を施し、焼結磁石を
得た。得られた磁石について、Bsが12kGのダイス鋼
を具えたパンチ4、4で成形したものを試料番号1〜6
とし、強磁性体を具えていないパンチ4、4で成形した
ものを試料番号7〜12として、配向方向の残留磁束密
度(Br)を測定した。結果を表1にまとめて示す。な
お、表示単位はkGとした。
【0067】
【表1】
【0068】表1より、強磁性体5,5としてBsが1
2kGのダイス鋼を具えたパンチ4、4を用いた試料番号
1〜6はLc≦20mmであってもBrの低下は認められ
なかった。一方、強磁性体5,5を具えていないパンチ
4、4を用いた試料番号7〜12では、Lc≦20mmで
磁気特性が低下した。そのためLc≦20mmでは設計上
の磁気特性が得られず、本発明の成形方法を用いない場
合は組成変更等での対応が必要である。
【0069】比較例1 強磁性体5、5の部分に、実施例1で用いたダイス鋼に
かえて飽和磁化Bsが6kGで、厚さが10mmの磁性超硬
金属を用い、他は実施例1と同様にして磁場成形、焼結
および時効処理を施して焼結磁石を得た。得られた磁石
について、実施例1と同様にBrを測定した。その結
果、Lc≦20mmの試料では、試料番号7〜11と同様
に磁気特性が低下した結果が得られた。
【0070】実施例2 組成が26.0Sm−15.0Fe−7.0Cu−2.
5Zr−Bal.Co(重量%)の合金インゴットを鋳
造により作成した。この合金インゴットをブラウンミル
およびジェットミルを用いて粉砕し、平均粒径4μm の
磁石粉末6を得た。
【0071】この磁石粉末6を、強磁性体5、5として
Bsが12kGで厚さが10mmのダイス鋼を具えたパンチ
4、4(すなわちLmは20mm)と強磁性体5、5を具
えていないパンチ4、4とを用い、実施例1の装置を用
いてLcを表2のように変化させ、以下の条件で磁場成
形を行った。
【0072】磁場成形条件は、印加圧力を3ton/cm2
し、実施例1と同様の磁場を印加して成形体を得た。こ
の成形体を1200℃、1時間Arガス雰囲気中で焼結
し、時効処理を施して焼結磁石を得た。得られた磁石に
ついて、Bsが12kGのダイス鋼を具えたパンチ4、4
を用いたものを試料番号13、15とし、強磁性体5,
5を具えていないパンチ4、4を用いたものを試料番号
14、16として、Brを測定した。結果を表2にまと
めて示す。なお、表示単位はkGとした。
【0073】
【表2】
【0074】表2より、R−Co系磁石においても、本
発明の成形方法を用た磁石ではLc≦20mmでの磁気特
性の低下がなく、本発明の効果が認められた。
【0075】実施例3 組成が24.0Sm−72.5Fe−3.5N(重量
%)で、平均粒径2μmの磁石粉末6を作成した。
【0076】この磁石粉末6に3重量%となるようにエ
ポキシ樹脂を混合し、強磁性体5、5としてBsが12
kGで厚さが10mmのダイス鋼を具えたパンチ4、4(す
なわちLmは20mm)と強磁性体5、5を具えていない
パンチ4、4とを用い、実施例1と同じ装置によりLc
を表3のように変化させ、実施例1と同じ条件で磁場成
形を行い、キュアリング処理してボンド磁石を得た。得
られた磁石について、Bsが12kGのダイス鋼を具えた
パンチ4、4を用いたものを試料番号17、19とし、
強磁性体を具えていないパンチ4、4を用いたものを試
料番号18、20として、Brを測定した。結果を表3
にまとめて示す。なお、表示単位はkGとした。
【0077】
【表3】
【0078】表3より、R−T−N系磁石においても、
本発明の成形方法を用た磁石ではLc≦20mmでの磁気
特性の低下がなく、本発明の効果が認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形方法で用いる、好ましいパンチの
一例を有する成形装置の一部を示す断面図である。
【符号の説明】 1 成形装置(一部) 2 コイル 3 ダイス 4 パンチ 5 強磁性体 6 磁石粉末
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 3/02

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 R(Rは、Yを含む希土類元素の少なく
    とも1種である。)および遷移元素を含有する磁石粉末
    を上下パンチ間で、この上下パンチ軸方向成分を有する
    磁界中で磁場成形する際に、 上パンチおよび/または下パンチのパンチ面に、前記軸
    方向の総厚Lmが、 (CL−Lc)≧Lm≧1mmでありかつ CL≧(Lm+Lc)>20mm (CLは磁界を印加するために用いるコイルの有効長で
    あり、Lcは磁石粉末の成形後の前記軸方向の厚さであ
    る。)である強磁性体を配置し、磁界を印加して上下パ
    ンチで押圧し、20mm≧Lc≧1mmの成形体を得る磁石
    粉末の磁場成形方法。
  2. 【請求項2】 前記強磁性体は、飽和磁化Bsが100
    00G 以上である請求項1の磁石用粉末の磁場成形方
    法。
  3. 【請求項3】 前記磁界は、印加方向が成形圧力印加方
    向とほぼ一致している請求項1または2の磁石用粉末の
    磁場成形方法。
  4. 【請求項4】 前記磁界は、強度が20kOe 以上である
    請求項1〜3のいずれかの磁石用粉末の磁場成形方法。
  5. 【請求項5】 前記磁界は、持続時間が10μs 〜0.
    5sec のパルス磁界である請求項1〜4のいずれかの磁
    石用粉末の磁場成形方法。
  6. 【請求項6】 前記パルス磁界は、前記磁石粉末の成形
    体の相対密度が25〜55%の範囲内にあるときに、少
    なくとも3回のパルス磁界を前記成形体に印加する請求
    項5の磁石用粉末の磁場成形方法。
  7. 【請求項7】 前記磁石粉末が、R−T−B系の磁石粉
    末(Tは、FeまたはFeおよびCoである。)、R−
    Co系の磁石粉末またはR−T−N系の磁石粉末のいず
    れかである請求項1〜6のいずれかの磁石用粉末の磁場
    成形方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の方法に
    より成形された磁石の製造方法。
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