JP3485485B2 - 粉体プレス装置、パンチ及び粉体プレス方法 - Google Patents
粉体プレス装置、パンチ及び粉体プレス方法Info
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Description
パンチおよび粉体プレス方法に関し、特にたとえば湿式
プレスや乾式プレスによって磁石などの成形体を製造す
るために用いられる、粉体プレス装置、パンチおよび粉
体プレス方法に関する。
付きの上パンチを降下させ、上パンチと下パンチとダイ
スとによって形成されるキャビティ内に、水を混合して
スラリー状にした粉体を充填した後、上パンチによって
上方から粉体を押圧しつつ、脱水し、成形体を形成して
いた。そして、ダイスを降下させた後、下パンチに密着
している成形体を真空吸着によって取り出していた。
形体との接触面は、放電加工した後にさらにラッピング
加工して、平滑に仕上げられていた。
では、平均粒子径が1.0μm以下または成形体が極め
て大きいとき、成形体を下パンチから取り外しにくく、
プレス割れを起こしやすい。また、成形体の取り外しに
時間がかかる。これは、ラッピング加工によって下パン
チの接触面を鏡面に加工するため、成形体と下パンチと
の密着度が高くなることが原因である。
施す方法、放電加工した後に研磨(粗磨き)する方法を
それぞれ試みたが、いずれの場合も離型性には変化がな
かった。
型性を改善できる、粉体プレス装置、パンチおよび粉体
プレス方法を提供することである。
に、請求項1に記載の粉体プレス装置は、上パンチと下
パンチとダイスとによって形成されるキャビティ内に粉
体を充填しプレスすることによって成形体を得る粉体プ
レス装置において、成形体に接触する上パンチおよび下
パンチの少なくともいずれか一方の接触面に第1の溝を
有し、かつ第1の溝に波状の第2の溝が形成され、第1
の溝の間隔は0.1mm〜2.0mm、第1の溝の深さ
は0.2μm〜100.0μm、接触面の表面粗度はR
a=0.05μm〜25μmであることを特徴とする。
パンチと下パンチとダイスとによって形成されるキャビ
ティ内に粉体を充填しプレスすることによって成形体を
得る粉体プレス装置において、成形体に接触する上パン
チおよび下パンチの少なくともいずれか一方の接触面に
第1の溝を有し、かつ第1の溝に波状の第2の溝が形成
され、第1の溝の間隔は0.1mm〜2.0mm、第1
の溝の深さは0.2μm〜100.0μm、粉体の平均
粒子径は1μm以下であることを特徴とする。
求項1または2に記載の粉体プレス装置において、第1
の溝は接触面の少なくとも端部に形成されるものであ
る。
パンチと下パンチとダイスとによって形成されるキャビ
ティ内に粉体を充填しプレスすることによって成形体を
得る粉体プレス装置において、成形体に接触する上パン
チおよび下パンチの少なくともいずれか一方の接触面に
溝を有し、溝の間隔は0.1mm〜2.0mm、溝の深
さは0.2μm〜100.0μmであることを特徴とす
る。
パンチと下パンチとダイスとによって形成されるキャビ
ティ内に粉体を充填しプレスすることによって成形体を
得る粉体プレス装置において、成形体に接触する上パン
チおよび下パンチの少なくともいずれか一方の接触面に
溝を有し、粉体をプレスして形成され上パンチまたは下
パンチに付着した成形体に液体を散布する液体散布手段
を含むことを特徴とする。
パンチと下パンチとダイスとによって形成されるキャビ
ティ内に粉体を充填しプレスすることによって成形体を
得る粉体プレス装置において、粉体をプレスして形成さ
れ上パンチまたは下パンチに付着した成形体に液体を散
布する液体散布手段を備えることを特徴とする。
求項5または6に記載の粉体プレス装置において、液体
は水であるものである。
求項1ないし7のいずれかに記載の粉体プレス装置にお
いて、湿式プレスに用いられるものである。
スして成形体を形成する粉体プレス装置に用いられるパ
ンチにおいて、成形体との接触面に第1の溝を有し、か
つ第1の溝に波状の第2の溝が形成され、第1の溝の間
隔は0.1mm〜2.0mm、第1の溝の深さは0.2
μm〜100.0μm、接触面の表面粗度はRa=0.
05μm〜25μmであることを特徴とする。
レスして成形体を形成する粉体プレス装置に用いられる
パンチにおいて、成形体との接触面に第1の溝を有し、
かつ第1の溝に波状の第2の溝が形成され、第1の溝の
間隔は0.1mm〜2.0mm、第1の溝の深さは0.
2μm〜100.0μm、粉体の平均粒子径は1μm以
下であることを特徴とする。
または10に記載のパンチにおいて、第1の溝は接触面
の少なくとも端部に形成されるものである。
レスして成形体を形成する粉体プレス装置に用いられる
パンチにおいて、成形体との接触面に溝を有し、溝の間
隔は0.1mm〜2.0mm、溝の深さは0.2μm〜
100.0μmであることを特徴とする。
ないし12のいずれかに記載のパンチにおいて、湿式プ
レス用の粉体プレス装置に用いられるものである。
上パンチと下パンチとダイスとによって形成されるキャ
ビティ内に粉体を充填しプレスすることによって成形体
を形成する第1ステップ、上パンチまたは下パンチに付
着した成形体に液体を散布する第2ステップ、および液
体を散布した後成形体をそれが付着している上パンチま
たは下パンチから取り外す第3ステップを備える。
請求項14に記載の粉体プレス方法において、液体は水
であるものである。
請求項14または15に記載の粉体プレス方法におい
て、湿式プレスに用いられるものである。
ンチから成形体を取り外す場合を想定すると、請求項
1、請求項2、請求項4、請求項5に示す粉体プレス装
置では、下パンチの接触面に溝があるので、離型剤が適
度に下パンチの接触面全面に均一に保持されかつ下パン
チと成形体との間に空気が侵入し易くなると考えられ、
プレスの際に成形体とパンチとの接着を防ぐ。さらに、
下パンチから成形体を取り外すとき他方の上パンチを上
方に移動することによって成形体には上からの押圧がな
くなるので、スプリングバック力が働くと考えられ、そ
の結果、溝と成形体との間にずれが生じ成形体が浮き上
がる。その際、下パンチと成形体との間に空間ができ、
両者の密着が弱まり離型性が向上するので、成形体の取
り出しが容易になる。請求項9、請求項10、請求項1
2に記載するパンチを用いて粉体プレス装置を構成した
場合についても同様である。
粉体の粒子が溝に入り込んで離れにくくなる一方、表面
粗度が小さすぎるとパンチと成形体とが密着して離型性
が悪くなる。そこで、請求項1、請求項9に記載するよ
うに、表面粗度をRa=0.05μm〜25μmにすれ
ば、溝に粒子が入り込みパンチと成形体との間のすき間
をふさぐということはなく、また、プレスの際、離型剤
が溝の中に適度に残り、接触面全面に均一に離型剤が分
布すると考えられ、離型性が高まる。このように粉体の
粒子が溝に入って目詰まりを起こさないのでパンチは繰
り返し使用できる。
に、粉体の平均粒子径が1μm以下の場合に効果が顕著
になる。これは、一般に、粉体の平均粒子径が小さくな
るほど成形体とパンチの接触面との密着性が高まり離型
性が悪化するが、この発明のように接触面に溝を形成す
れば、粉体の平均粒子径が小さくても離型剤を接触面全
面に均一に保持でき、離型性が向上すると考えられるか
らである。
に、パンチの接触面の少なくとも端部に溝を形成するこ
とによって、パンチと成形体との間に空気がさらに侵入
し易くなると考えられ、両者の密着性が弱まり離型性が
さらに向上する。
に、溝の間隔が0.1mm〜2.0mm、溝の深さが
0.2μm〜100.0μmであれば、パンチの接触面
に所望の溝を安定してかつ作業効率よく形成できる。
きには、請求項5、請求項6、請求項14に記載するよ
うに、パンチに付着した成形体に液体を散布すれば、液
体がパンチと成形体との間にまで浸透して成形体の離型
性が高まるので、成形体の取り外しが容易となる。
に、液体として水を用いることによって、低コストで環
境に優しくかつ成形体の特性を変化させることなく、成
形体の離型性を向上できる。
載するように、上述の粉体プレス装置、パンチおよび粉
体プレス方法は、湿式プレスを行う場合に効果的であ
る。
の実施の形態について説明する。
施の形態の粉体プレス装置10は、湿式プレスによって
磁石などの成形体を製造するプレス装置であり、固定台
12上に配置される略角柱状の下パンチ14を含み、固
定台12は支柱16によって支持される下パンチ支持台
18上に配置される。この実施の形態では、固定台12
上には4個の下パンチ14が配置される。
含み、ダイス20には下パンチ14が貫入可能な貫通孔
22が形成される。貫通孔22の大きさおよび形状は、
下パンチ14の断面形状およびその大きさとほぼ等しく
設定され、この実施の形態では下パンチ14に対応して
4個の貫通孔22が形成される。ダイス20の近傍に
は、スラリー状の粉体を貯蔵する粉体貯蔵部24が設け
られ、貫通孔22と粉体貯蔵部24とは粉体投入路26
を介して連通されている。
てダイス支持台30によって支持され、たとえば図示し
ないシリンダ等によってダイス支持台30を上下動(矢
印A方向)させることによって、ダイス20が下パンチ
14に対して相対的に上下動する。
される。上パンチ32は、固定台34の下面に取り付け
られかつ各下パンチ14に対応するように配置されるパ
ンチ部36を含み、固定台34は支持台38の下面に取
り付けられる。上パンチ32内部には、その先端がパン
チ部38表面に臨み水分の通路となる略直径2mmの脱
水路40が設けられ、脱水路40は支持台38の側面に
設けられる脱水用パイプ42に接続される。
の表面は成形体の上面形状に対応して凹状に形成され、
そのパンチ部36の表面には、スラリー状の粉体の水分
を吸収するための濾布44が形成され、さらに、上パン
チ32の下方には、同様に粉体の水分を吸収するために
巻き取り式の濾紙46が配置される。したがって、プレ
ス時には、粉体の水分は、濾紙46、濾布44によって
吸収され、脱水路40、脱水用パイプ42を介して排出
される。濾紙46は通常1ストローク(1回の使用)毎
に巻き取られる。上パンチ32は、たとえば図示しない
シリンダ等によって上下動(矢印B方向)され、プレス
工程に応じて下パンチ14との相対位置が決定される。
は、プレスによって得られた成形体を取り出すための取
り出し機48が設けられる。図2からよくわかるよう
に、取り出し機48の下面には、成形体の上面形状に合
致した表面形状を有する保持部50が形成され、保持部
50の略中央部には、成形体を吸引し取り出すための吸
引部52が設けられる。また、取り出し機48の一端に
は、たとえばケロシンを主成分とする離型剤を噴出する
ための噴出口54が設けられる。次のプレス工程におい
て下パンチ14から成形体を容易に取り出せるよう、下
パンチ14から成形体を取り外した後に、噴出口54か
ら下パンチ14の接触面56(後述)に離型剤が噴出さ
れる。このような取り出し機48は、水平動(矢印C方
向)することによって、下パンチ14の上方に出没可能
となる。
において、注目すべきは下パンチ14である。
上面すなわち粉体と接触する接触面56は、得ようとす
る成形体の形状に合わせて湾曲状に形成され、接触面5
6の両端部には成形体の面取り用に鍔部58が立ち上が
って形成される。また、接触面56には、2つの鍔部5
8間に溝60が形成される。図3(b)に示すように、
溝60の隣り合う頂部62間には、さらに波状の溝64
が形成される。溝60の状態は、図4に示す図面代用写
真から明らかとなる。溝60は図4(a)に示すように
形成され、溝60の頂部62間の波状の溝64は、拡大
写真である図4(b)に示すように形成される。
ドミルを用いたミリング加工によって形成される。加工
時には、ボール状の刃先が円を描きながら直進するよう
にボールエンドミルを回転させながら接触面56を削っ
ていき、溝60がたとえば接触面56の湾曲方向に沿っ
て形成される。
の間隔Wは0.1mm〜2.0mm、溝60の深さDは
0.2μm〜100.0μmである。
状のものでは、先端径(半径)3mmまたは5mmのボ
ールエンドミルが用いられ、これらのボールエンドミル
は、間隔Wおよび深さDが上述の範囲に収まるように溝
60を形成するのに適している。ここで、先端径が5m
mを越えるボールエンドミルでは、溝60の形成時に鍔
部58に沿って加工できず、鍔部58をも削ってしまい
その厚みを一定にできない場合があり、その結果、得ら
れた成形体の面取り部が不均一になり、場合によっては
成形体に面取りしていない部分が生じてしまう。また、
先端径が3mm未満のボールエンドミルでは、作業時間
が長くなり、作業性が悪い。したがって、先端径が5m
mを越えるまたは3mm未満のボールエンドミルは、溝
60の形成には適さない。なお、平均粒子径が1.0μ
m以下のときには、溝60の間隔Wが0.1mm〜0.
5mm、溝の深さDが0.2μm〜10.0μmである
ことが好ましい。溝64の間隔Xは、0.5μm〜1
0.0μm程度に設定される。
a=0.05μm〜25μmであることが望ましい。表
面粗度にはJIS規格があり、Ra(μm)=0.02
5、0.05、0.1、0.2、0.4、0.8、1.
6、3.2、6.3、12.5、25、50、100と
規定されているが、Ra=0.025μm以下では溝加
工が困難であり、Ra=50μm以上では成形体にばら
つきが生じ、製品誤差が大きくなり、大量生産に適さな
い。したがって、このような弊害のないRa=0.05
μm〜25μmを表面粗度の範囲とする。表面粗度がこ
の範囲内であれば、溝60に粉体の粒子が入り込み下パ
ンチ14と成形体との間のすき間をふさぐということは
なく、また、プレスの際、離型剤が溝60の中に適度に
残り、接触面56全面に均一に離型剤が分布すると考え
られ、離型性が高まる。なお、平均粒子径が1.0μm
以下の場合には、表面粗度はRa=0.1μm〜3.2
μmであることが好ましい。
であれば効果が顕著となる。これは、一般に、粉体の平
均粒子径が小さくなるほど粘度が向上し、成形体と下パ
ンチ14の接触面56との密着性が高まり離型性が悪化
するが、接着面56に溝60を形成すれば離型剤を接触
面56全面に均一に分布でき、離型性が向上すると考え
られるからである。
垂直にあるいは斜め方向に形成されてもよい。さらに、
溝60は、接触面56の端部から中央部に向かって形成
されてもよく、中央部に設けられなくてもよい。
5(a)〜(d)を参照して説明する。
り出し機48によって取り外され搬送された後は、図5
(a)に示すように、下パンチ14の接触面56はダイ
ス20の上面より高い位置にある。ついで、図5(b)
に示すように、ダイス20が上昇しかつ上パンチ32す
なわちパンチ部36が降下すると、パンチ部36、下パ
ンチ14、ダイス20によってキャビティ66が形成さ
れ、密閉されたキャビティ66内に、粉体貯蔵部24内
のスラリー状の粉体68が粉体投入路26を通って充填
される。このときのスラリー状の粉体68には、重量比
55%〜75%の濃度の水溶液を用いる。
部36およびダイス20が降下すると、粉体68が圧縮
され、スラリー状の粉体68の水分のみが上パンチ32
の脱水路40を通り排出されることによって脱水され、
成形体70が形成される。なお、磁石を生成するときに
は、磁界中で粉体68が加圧される。
パンチ部36が上昇すると共にダイス20が降下する
と、成形体70がダイス20上面から露出する。そし
て、取り出し機48を成形体70上に導き、取り出し機
48の吸引部52による真空吸着によって成形体70を
保持部50で保持し、取り出し機48を水平動させるこ
とによって成形体70が取り出される。その後、次回の
プレス工程のために下パンチ14の接触面56に、成形
体70との密着を防ぐための離型剤を噴出口54から噴
出する。
下パンチ14の接触面56には溝60があるので、離型
剤が適度に下パンチ14の接触面56全面に均一に保持
され、かつ接触面56と成形体70との間に空気が侵入
し易くなると考えられ、プレスの際に成形体70と下パ
ンチ14との接着を防ぐ。このとき、接触面56に形成
される溝64に離型剤が入り込むことによって、接触面
56での離型剤の保持がより一層安定化される。
14から成形体70を取り外すとき上パンチ32を上方
に移動することによって成形体70には上からの押圧が
なくなるので、図6(b)に示すように、成形体70に
はスプリングバック力が働き押し込められていた粒子が
拡がろうとすると考えられ、その結果、図6(c)に示
すように、溝60と成形体70との間にずれが生じ成形
体70が浮き上がる。その際、下パンチ14と成形体7
0との間に空間ができ、溝60を介してその空間に空気
が入り込むので、両者の密着が弱まり離型性が向上す
る。したがって、成形体70の取り出しが容易になり、
成形体70と下パンチ14との接着による作業の停止が
ほとんどなり、作業効率が向上する。なお、スプリング
バック力は、溝60だけではなく溝64においても働い
ていると考えられる。
60を形成することによって、下パンチ14と成形体7
0との間に空気がさらに侵入し易くなると考えられ、離
型性がさらに向上する。
0では、離型性が向上するので、取り出し時における成
形体56の割れ・欠けを少なくでき、歩留まりが向上す
る。また、散水する必要がないので、プレスサイクルの
工程を減らすことができ、プレス1サイクル当たりの生
産時間が短くなるため、生産効率が大幅に向上する。
置10による実験結果を示す。
粉体プレス装置としては、1度のプレスによって32個
の成形体が得られる装置が用いられた。そして、不離型
回数とは、60ストローク(プレス回数が60回)当た
りの、下パンチ14と成形体との密着による装置の停止
回数を示す。
タを示し、(a)はミリング加工、(b)は旋盤加工に
よって、下パンチ14の接触面56を加工した場合を示
す。
ように、旋盤加工の場合には平均粒子径が1.0以下の
場合には不離型回数が多くなるのに対して、ミリング加
工の場合には平均粒子径1.0以下の場合であっても不
離型回数は増えない。したがって、ミリング加工によっ
て溝60を形成すれば、平均粒子径が1.0μm以下と
小さい場合であっても離型性を高く保つことができる。
間隔Wおよび深さDに関するデータを示し、(a)は先
端径3mmのボールエンドミル、(b)は先端径5mm
のボールエンドミルを用いた場合を示す。
数からは、表面粗度Ra=0.05μm以上の場合であ
れば良好な結果が得られるが、その中でも、※を付した
組み合わせが成形体70の良品率や生産性の点から好ま
しい。また、平均粒子径が0.8μmで、表面粗度Ra
=0.8μm、溝60の深さD=10.0μm、溝60
の間隔W=0.2mmにミリング加工した場合、表面粗
度Ra=0.1μm、溝60の深さD=0.2μm、溝
60の間隔W=0.1mmにミリング加工した場合のい
ずれにおいても、60ストローク当たりの不離型回数は
0回であった。これらの結果より、溝60の間隔Wは
0.1mm〜2.0mm、溝60の深さDは0.2μm
〜100.0μmが好ましい。
表面粗度Ra=0.8μmに放電加工した場合には60
ストローク当たり不離型回数は2回、という結果と比較
してもわかるように、下パンチ14の接触面56に溝6
0を形成すれば離型性が向上する。
発明の他の実施の形態の粉体プレス装置10aを説明す
る。
の接触面56には溝が形成されておらず、その代わりに
散水機能を有する点を除いて、粉体プレス装置10と同
様であるので、その重複する説明は省略する。
ラッピング、旋盤、放電等の任意の方法によって加工さ
れる。また、取り出し機48では、図1に一点鎖線で示
しかつ図7からよくわかるように、給水のための給水パ
イプ72および散水のために引出・収納可能な散水ノズ
ル74が備えられている。
ついて、図8(a)〜(d)、図9(a)および(b)
を参照して説明するが、図8(a)〜(d)の動作につ
いては、図5(a)〜(d)の動作と同様であるので、
重複説明は省略する。
(d)において成形体70を下パンチ14から取り外せ
なければ、図9(a)に示すように、取り出し機48の
散水ノズル74を引き出して成形体70の上面を散水す
る。すると、水は成形体70に浸透して成形体70の下
面と下パンチ14の接触面56との間に引き込まれる。
上述のように散水した後、図9(b)に示すように、
2、3秒後に取り出し機48によって成形体70が取り
出される。その後、取り出し機48を水平動させて下パ
ンチ14上方から取り除き、噴出口54から下パンチ1
4の接触面56に離型剤が噴出される。
ば、脱水された成形体70の上方から散水することによ
って、成形体70が膨張・変形し、スプリングバック力
が強められ、下パンチ14から浮き上がり成形体70と
下パンチ14との間に隙間を形成して離型しやすくな
る。したがって、取り出し時における成形体70の割れ
・欠けを少なくすることができるので、製品の歩留まり
が向上し、作業効率が向上する。このとき、成形体70
と下パンチ14との間は真空に近い減圧状態になってい
ると考えられ、水の浸透力が大きくなる。したがって、
成形体70の上方から散水すれば、重力をも利用して水
の浸透を促進でき、成形体70と下パンチ14との間に
水が容易に引き込まれ、減圧状態が解除されると考えら
れる。
は成形体70に浸透しやすいので、成形体70が下パン
チ14から離型するまでの所要時間が短くて済む。
結果を表3に示す。
方法によって、粉体プレス装置10aの下パンチ14を
加工したときの、「水かけ無し」と「水かけ後」のそれ
ぞれの不離型回数を示す。ここで、ラッピング加工とは
手作業による鏡面加工をいう。旋盤加工とは、回転させ
た工作物に刃を接触させて工作物を切削する方法をい
う。放電加工とは、刃の代わりに放電の際の熱で工作物
を削る方法をいう。
「水かけ後」の方が不離型回数が大幅に減少し、離型性
が向上していることがわかる。
た粉体プレス装置10においても、下パンチ14から成
形体70を取り外せない場合には、成形体70に散水し
て成形体70の離型性を向上させてもよい。
4に成形体70が付着する場合について述べたが、これ
に限定されず、上パンチ32に成形体70が付着する場
合にもこの発明を適用できる。この場合、上パンチ32
すなわちパンチ部36の表面に溝が形成され、また、散
水する場合には上パンチ32に付着した成形体70に散
水する。
能である。
形状に応じてボールエンドミルまたはフラットエンドミ
ルが選択的に用いられる。
を形成することによって、または成形体に散水すること
によって、成形体とパンチとの間の密着性を弱めること
ができ、離型性を高めることができる。
下パンチおよびダイスについては斜め上方から、上パン
チおよび取り出し機については斜め下方からそれぞれ見
たときの斜視図である。
は溝の部分を示す拡大図解図である。
あり、(b)は溝の部分を拡大した写真である。
図解図である。
機を示す斜視図である。
ある。
Claims (16)
- 【請求項1】 上パンチと下パンチとダイスとによって
形成されるキャビティ内に粉体を充填しプレスすること
によって成形体を得る粉体プレス装置において、 前記成形体に接触する前記上パンチおよび前記下パンチ
の少なくともいずれか一方の接触面に第1の溝を有し、
かつ前記第1の溝に波状の第2の溝が形成され、前記第
1の溝の間隔は0.1mm〜2.0mm、前記第1の溝
の深さは0.2μm〜100.0μm、前記接触面の表
面粗度はRa=0.05μm〜25μmであることを特
徴とする、粉体プレス装置。 - 【請求項2】 上パンチと下パンチとダイスとによって
形成されるキャビティ内に粉体を充填しプレスすること
によって成形体を得る粉体プレス装置において、 前記成形体に接触する前記上パンチおよび前記下パンチ
の少なくともいずれか一方の接触面に第1の溝を有し、
かつ前記第1の溝に波状の第2の溝が形成され、前記第
1の溝の間隔は0.1mm〜2.0mm、前記第1の溝
の深さは0.2μm〜100.0μm、前記粉体の平均
粒子径は1μm以下であることを特徴とする、粉体プレ
ス装置。 - 【請求項3】 前記第1の溝は前記接触面の少なくとも
端部に形成される、請求項1または2に記載の粉体プレ
ス装置。 - 【請求項4】 上パンチと下パンチとダイスとによって
形成されるキャビティ内に粉体を充填しプレスすること
によって成形体を得る粉体プレス装置において、 前記成形体に接触する前記上パンチおよび前記下パンチ
の少なくともいずれか一方の接触面に溝を有し、 前記溝の間隔は0.1mm〜2.0mm、前記溝の深さ
は0.2μm〜100.0μmであることを特徴とす
る、粉体プレス装置。 - 【請求項5】 上パンチと下パンチとダイスとによって
形成されるキャビティ内に粉体を充填しプレスすること
によって成形体を得る粉体プレス装置において、 前記成形体に接触する前記上パンチおよび前記下パンチ
の少なくともいずれか一方の接触面に溝を有し、 前記粉体をプレスして形成され前記上パンチまたは前記
下パンチに付着した前記成形体に液体を散布する液体散
布手段を含むことを特徴とする、粉体プレス装置。 - 【請求項6】 上パンチと下パンチとダイスとによって
形成されるキャビティ内に粉体を充填しプレスすること
によって成形体を得る粉体プレス装置において、 前記粉体をプレスして形成され前記上パンチまたは前記
下パンチに付着した前記成形体に液体を散布する液体散
布手段を備えることを特徴とする、粉体プレス装置。 - 【請求項7】 前記液体は水である、請求項5または6
に記載の粉体プレス装置。 - 【請求項8】 湿式プレスに用いられる、請求項1ない
し7のいずれかに記載の粉体プレス装置。 - 【請求項9】 粉体をプレスして成形体を形成する粉体
プレス装置に用いられるパンチにおいて、 前記成形体との接触面に第1の溝を有し、かつ前記第1
の溝に波状の第2の溝が形成され、前記第1の溝の間隔
は0.1mm〜2.0mm、前記第1の溝の深さは0.
2μm〜100.0μm、前記接触面の表面粗度はRa
=0.05μm〜25μmであることを特徴とする、パ
ンチ。 - 【請求項10】 粉体をプレスして成形体を形成する粉
体プレス装置に用いられるパンチにおいて、 前記成形体との接触面に第1の溝を有し、かつ前記第1
の溝に波状の第2の溝が形成され、前記第1の溝の間隔
は0.1mm〜2.0mm、前記第1の溝の深さは0.
2μm〜100.0μm、前記粉体の平均粒子径は1μ
m以下であることを特徴とする、パンチ。 - 【請求項11】 前記第1の溝は前記接触面の少なくと
も端部に形成される、請求項9または10に記載のパン
チ。 - 【請求項12】 粉体をプレスして成形体を形成する粉
体プレス装置に用いられるパンチにおいて、 前記成形体との接触面に溝を有し、 前記溝の間隔は0.1mm〜2.0mm、前記溝の深さ
は0.2μm〜100.0μmであることを特徴とす
る、パンチ。 - 【請求項13】 湿式プレス用の粉体プレス装置に用い
られる、請求項9ないし12のいずれかに記載のパン
チ。 - 【請求項14】 上パンチと下パンチとダイスとによっ
て形成されるキャビティ内に粉体を充填しプレスするこ
とによって成形体を形成する第1ステップ、 前記上パンチまたは前記下パンチに付着した前記成形体
に液体を散布する第2ステップ、および 前記液体を散布した後前記成形体をそれが付着している
前記上パンチまたは前記下パンチから取り外す第3ステ
ップを備える、粉体プレス方法。 - 【請求項15】 前記液体は水である、請求項14に記
載の粉体プレス方法。 - 【請求項16】 湿式プレスに用いられる、請求項14
または15に記載の粉体プレス方法。
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