JP2008008755A - 高温ガス炉用燃料コンパクトの製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料コンパクトの製造装置を全体的に小型化することができ、また各製造工程を1台の装置で行うことができて工程を簡易化することができること。
【解決手段】 燃料コンパクトを成型するプレス金型20内にオーバーコート粒子OPを投入する粒子投入ユニット30と、プレス金型20に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布ユニット40と、プレス金型20内で成型された燃料コンパクトをプレス金型20から取り出すコンパクト取出ユニット50とを一体化して配置し、これらのユニット30、40、50を順次プレス金型20に対応するように搬送して、プレス金型20に潤滑剤を塗布する工程と、オーバーコート粒子OPを投入する工程と、プレス金型20から成型済みの燃料コンパクトを取り出す工程とを順次行うことができるようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高温ガス炉用燃料コンパクトを製造する装置に関し、特に、装置全体をコンパクト化し、製造工程を簡易化するのに適合した高温ガス炉用燃料コンパクトの製造装置に関するものである。
高温ガス炉は、燃料を含む炉心構造を熱容量が大きく高温で健全性を維持する黒鉛で構成し、炉心を冷却するために、高温下でも化学反応が起こることがないヘリウムガスを冷却ガスとして用いているので、固有の安全性が高く、約900℃の高い出口温度のヘリウムガスを回収して、この高温熱を発電、水素製造、化学プラント等の広い分野で利用することができる。
この高温ガス炉の燃料は、二酸化ウランをセラミック状に焼結した直径が約350−650ミクロンの燃料核の周囲に炭素又は炭化珪素等のセラミックス層を被覆して形成された被覆燃料粒子を基本構造としている。
高温ガス炉に一般的に用いられる被覆燃料粒子は、4層の被覆層を有している。第一層は、密度が約1g/cmの低密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状の核分裂生成物(FP)のガス溜めとしての機能と燃料核のスウェリングを吸収するバッファとしての機能とを併せ持っている。第二層は、密度が約1.8g/cmの高密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状FPの保持機能を有する。第三層は、密度が約3.2g/cmの炭化珪素(SiC)の被覆であり、これは、固体FPの保持機能を有すると共に、被覆の主要な補強部材としての機能を有する。最後に、第四層は、第二層と同様に、密度が約1.8g/cmの高密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状FPの保持機能と第三層の保護層としての機能を有する。
一般的な被覆燃料粒子は、約500−1000μmの直径を有する。この被覆燃料粒子は、黒鉛マトリックス中に分散させた後、一定形状の燃料コンパクトの形態に成型加工され、この燃料コンパクトの一定数量を黒鉛筒に入れ、上下を栓で閉じて燃料棒とされる。この燃料棒は、六角柱型黒鉛ブロックの複数の挿入口に差し込まれて高温ガス炉の燃料となる。多数個の六角柱型黒鉛ブロックをハニカム配列に多段に重ねて炉心を構成している。
高温ガス炉の燃料は、一般的には、次のようにして製造される。まず、酸化ウラン粉末を硝酸に溶かして硝酸ウラニル原液とし、この硝酸ウラニル原液に純水、添加剤を添加し攪拌して滴下原液を作る。添加剤は、滴下された硝酸ウラニル原液の液滴が落下中にそれ自体の表面張力で真球状になるようにするために添加される。このような添加剤としては、アルカリ条件下で凝固する性質を有する樹脂、例えば、ポリビニールアルコール樹脂、ポリエチレングリコール、メトローズ等を使用することができる。このように調製された滴下原液は、所定の温度に冷却されて粘度が調整された後、細径の滴下ノズルを振動させる等の方法を用いてアンモニア水中に滴下される。
液滴は、アンモニア水溶液表面に着水するまでの空間でアンモニアガスを吹き付けて表面をゲル化させることによって着水時の変形が防止される。硝酸ウラニルは、アンモニア水中でアンモニアと充分に反応させ、重ウラン酸アンモニウムの粒子となる。この粒子は、大気中で焙焼され三酸化ウラン粒子となり、更に還元焼結されて高密度のセラミック二酸化ウランの燃料核となる。
この燃料核は、流動床に装荷され、この流動床内に供給される反応ガス(被覆ガス)が熱分解されて燃料核の上に被覆が施される。第一層の低密度熱分解炭素は、約1400℃でアセチレン(C)を熱分解して被覆される。第二層及び第四層の高密度熱分解炭素は、約1400℃でプロピレン(C)を熱分解して被覆される。第三層のSiCは、約1600℃でメチルトリクロロシラン(CHSiCl)を熱分解して被覆される。このように4層の被覆が施されて被覆燃料粒子が得られる。
一般的な燃料コンパクトは、被覆燃料粒子に黒鉛粉末、粘結剤等からなる黒鉛マトリックス材をコーティングしてオーバーコート粒子にした後、このオーバーコート粒子を温間プレスして中空円筒形または円筒形にプレス金型で成型し、この成型品を焼成することにより得られる。
従来技術の燃料コンパクトの製造においては、オーバーコート粒子をプレス金型にセットするための粒子投入装置と、プレス金型に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置と、温間プレスされた燃料コンパクトをプレス金型から取り出す燃料コンパクト取出装置とがそれぞれ別々に備えられており、燃料コンパクト製造装置が全体的に大型化すると共に燃料コンパクト製造装置が複雑化する欠点があった。
本発明が解決しようとする課題は、燃料コンパクトを製造する装置を全体的に小型化することができ、また各製造工程を1台の装置で行うことができて工程を簡易化することができる高温ガス炉用燃料コンパクトの製造装置を提供することにある。
本発明の基本的な課題解決手段は、燃料コンパクトを成型するプレス金型を備えた高温ガス炉用燃料コンパクトの製造装置であって、このプレス金型の内部にオーバーコート粒子を投入する粒子投入ユニットと、プレス金型に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布ユニットと、プレス金型内で成型された燃料コンパクトをプレス金型から取り出すコンパクト取出ユニットとを一体化して配置し、これらのユニットを順次プレス金型に対応するように搬送する搬送手段を具備していることを特徴とする高温ガス炉用燃料コンパクトの製造装置を提供することにある。
本発明の基本的な課題解決手段において、粒子投入ユニット、潤滑剤塗布ユニット及びコンパクト取出ユニットは、次のような形態とすることができる。
即ち、粒子投入ユニットは、オーバーコート粒子が充填される粒子容器と、オーバーコート粒子をプレス金型内に投入する粒子投入口と、粒子投入口を開閉するシャッターとから成っている形態とすることができる。
また、潤滑剤塗布ユニットは、潤滑剤が充填される潤滑剤容器と、潤滑剤をプレス金型に塗布するノズルと、潤滑剤容器からノズルに潤滑剤を供給する配管とから成っている形態とすることができる。
コンパクト取出ユニットは、プレス金型内の燃料コンパクトを径方向又は軸方向から挟み込むチャックから成っている形態とすることができる。
搬送手段は、粒子投入ユニットの粒子投入口と、潤滑剤塗布ユニットのノズルと、コンパクト取出ユニットのチャックとの中心が同一円上を回転する回転軸を有し、これらの粒子投入口、ノズル及びチャックが回転軸の回転によってプレス金型に順次整列して作業することができるようにするのが望ましい。
このように、プレス金型にオーバーコート粒子を投入する粒子投入ユニットと、プレス金型に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布ユニットと、プレス金型内で成型された燃料コンパクトをプレス金型から取り出すコンパクト取出ユニットとをプレス金型の上方に一体化して配置し、これらのユニットを順次プレス金型に対応するように搬送するので、装置を一纏めにして全体的に小型化することができ、また各製造工程を簡易化することができる。
本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に述べると、図1及び図2は、本発明に係わる高温ガス炉用燃料コンパクトの製造装置10を示す。図1から解るように、この製造装置10は、燃料コンパクトを成型する任意の形態の温間プレス金型20と、このプレス金型20にオーバーコート粒子OPを投入する粒子投入ユニット30と、プレス金型20に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布ユニット40と、プレス金型20内で成型された燃料コンパクトをプレス金型20から取り出すコンパクト取出ユニット50と、これらのユニット30、40及び50を順次プレス金型20に対応するように搬送する搬送手段60とを備えている。
プレス金型20は、図示の形態では、コアロッド22を有する円筒形の金型本体24と、上下のパンチ26(上パンチは図示せず)から成っているが、有底の金型本体を有して下パンチを有しない形態のものであってもよい。上パンチは、粒子投入ユニット30の上方に位置していて、粒子投入後、粒子投入ユニット30をプレス金型20の整列から外すことによって、粒子投入ユニット30に干渉することなく、プレス作業することができるようになっている。
図示の形態では、搬送手段60は、図示しない基台に回転自在に支持された回転軸62と、この回転軸から水平方向に延びる3つのアーム64、66、68とから成り、粒子投入ユニット30、潤滑剤塗布ユニット40及びコンパクト取出ユニット50は、それぞれ、これらのアーム64、66、68の先端に支持されている。この場合、各ユニット64、66、68の中心軸線が回転軸62の回転軸線から同じ水平放射位置のところにあって、回転軸62が所定角度回転すると、各ユニット64、66、68の中心軸線がプレス金型20の中心軸線に整列するようになっている。
粒子投入ユニット30は、図1及び図2から解るように、オーバーコート粒子OPが充填されるホッパー状の粒子容器32と、オーバーコート粒子OPをプレス金型20内に投入する粒子投入口34と、粒子投入口34を開閉するシャッター36とから成っている。粒子投入口34がプレス金型20に整列した状態で、シャッター36が開くと、粒子容器32内のオーバーコート粒子OPは、プレス金型20の型窪内に充填される。
潤滑剤塗布ユニット40は、潤滑剤が充填される潤滑剤容器(図示せず)と、潤滑剤をプレス金型20に塗布する一般に市販されているオリフィスノズルの如きノズル42と、潤滑剤容器からノズル42に潤滑剤を供給するナイロンチューブの如き配管44とから成っている。
潤滑剤容器は、床上に設置されており、配管44は、アーム66に平行に延びて回転軸62内に入って下降し、回転軸62の回転に干渉しないようにして床上の潤滑剤容器に連結されている。潤滑剤を潤滑剤容器からノズル42に供給するために、空気、不活性ガス等の圧縮気体の如き気体の圧力を利用したり、ポンプを利用したりすることができる。
コンパクト取出ユニット50は、図2に示すように、プレス金型20内の燃料コンパクトを径方向又は軸方向から挟み込むチャック52から成っており、このチャック52によってプレス金型20から取り出された燃料コンパクトは、図示しないトレー上に移して次の工程に搬送することができる。
回転軸62の回転軸線から同じ水平放射位置のところにあるユニット64、66、68の中心軸線は、粒子投入ユニット30の粒子投入口34、潤滑剤塗布ユニット40のノズル42、コンパクト取出ユニット50のチャック52の中心であるので、これらの粒子投入口34、ノズル42、チャック52の中心が回転軸62の回転軸線を中心とする同一円上を回転することになる。
なお、図示していないが、粒子投入ユニット30のシャッター36の開閉、潤滑剤塗布ユニット40の潤滑剤の供給及びチャック52の開閉操作は、電気制御系統によって所定の順序で行われるが、その詳細な説明は省略する。
次に、本発明の製造装置の具体的実施例とその操作を以下に述べる。
粒子投入ユニット30の粒子容器32は、例えば、余裕を見込んでオーバーコート粒子約100gを容易に充填することができるように100 mLの容積を有し、また粒子投入口34の外径は、温間プレス金型の外径より小さくなるように、20 mmとした。この粒子投入ユニット30によってオーバーコート粒子OPをプレス金型20に投入してから燃料コンパクトを取り出すまでの工程を述べると、次の通りである。
オーバーコート粒子45gを粒子投入ユニット30の粒子容器32に入れ、粒子投入ユニット30、潤滑剤塗布ユニット40及びコンパクト取出ユニット50の中心が温間プレス金型20の中心に整列するように配置した。
この状態で、まず、潤滑剤塗布ユニット40のノズル42が温問プレス金型20上になるように回転軸62を回転し、温間プレス金型20に潤滑剤を不活性ガスの圧力を利用して塗布した。次に、粒子投入ユニット30の粒子投入口34が温間プレス金型20上になるように回転軸62を回転し、粒子投入ユニット30のシャッター36を開き、温間プレス金型20内にオーバーコート粒子OPの全量を投入した。
その後、オーバーコート粒子OPを温問プレスし、燃料コンパクトを成型した後、コンパクト取出ユニット50のチャック52の中心が温問プレス金型20上になるように回転軸62を回転し、このチャック52によってプレス金型20から燃料コンパクトを取り出した。
このように、回転軸62の往復回転によって、潤滑剤塗布ユニット40、粒子投入ユニット30及びコンパクト取出ユニット50を順次プレス金型20に整列させて簡単な工程で燃料コンパクトを製造することができた。
なお、上記実施例では、各ユニットを回転軸62を中心に往復回転運動してプレス金型20に整列させたが、同じフレーム上に粒子投入ユニット30とその前後に潤滑剤塗布ユニット40、コンパクト取出ユニットとを搭載してフレームを前後運動させてもよく、3つのユニット30、40、50の配置、移動は、任意に選択することができる。
本発明によれば、プレス金型の上方に、オーバーコート粒子を投入する粒子投入ユニットと、プレス金型に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布ユニットと、プレス金型内で成型された燃料コンパクトをプレス金型から取り出すコンパクト取出ユニットとを一体的にして配置し、これらのユニットを順次プレス金型に対応するように搬送するので、装置を一纏めにして全体的に小型化することができ、また単に各ユニットを交互にプレス金型に整列するように搬送するだけでよいので、工程を簡易化することができ、高温ガス炉用の燃料コンパクトの製造に有益に利用することができる。
本発明の燃料コンパクトの製造装置の一部を断面で示す正面図である。 図1の装置の上面図である。
符号の説明
OP オーバーコート粒子
10 燃料コンパクトの製造装置
20 プレス金型
22 コアロッド
24 金型本体
26 上下のパンチ
30 粒子投入ユニット
32 粒子容器
34 粒子投入口
36 シャッター
40 潤滑剤塗布ユニット
42 ノズル
44 配管
50 コンパクト取出ユニット
52 チャック
60 搬送手段
62 回転軸
64、66、68 3つのアーム






Claims (5)

  1. 燃料コンパクトを成型するプレス金型を備えた高温ガス炉用燃料コンパクトの製造装置であって、前記プレス金型の内部にオーバーコート粒子を投入する粒子投入ユニットと、前記プレス金型に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布ユニットと、前記プレス金型内で成型された燃料コンパクトを前記プレス金型から取り出すコンパクト取出ユニットとを一体化して配置し、前記粒子投入ユニット、潤滑剤塗布ユニット及び前記コンパクト取出ユニットを順次プレス金型に対応するように所定の順序で搬送する搬送手段を具備していることを特徴とする高温ガス炉用燃料コンパクトの製造装置。
  2. 請求項1に記載の高温ガス炉用燃料コンパクトの製造装置であって、前記粒子投入ユニットは、前記オーバーコート粒子が充填される粒子容器と、前記オーバーコート粒子を前記プレス金型内に投入する粒子投入口と、前記粒子投入口を開閉するシャッターとから成っていることを特徴とする高温ガス炉用燃料コンパクトの製造装置。
  3. 請求項1又は2に記載の高温ガス炉用燃料コンパクトの製造装置であって、前記潤滑剤塗布ユニットは、前記潤滑剤が充填される潤滑剤容器と、前記潤滑剤を前記プレス金型に塗布するノズルと、前記潤滑剤容器から前記ノズルに前記潤滑剤を供給する配管とから成っていることを特徴とする高温ガス炉用燃料コンパクトの製造装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の高温ガス炉用燃料コンパクトの製造装置であって、 前記コンパクト取出ユニットは、前記プレス金型内の燃料コンパクトを径方向又は軸方向から挟み込むチャックから成っていることを特徴とする高温ガス炉用燃料コンパクトの製造装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の高温ガス炉用燃料コンパクトの製造装置であって、 前記搬送手段は、前記粒子投入ユニットの粒子投入口と、前記潤滑剤塗布ユニットのノズルと、前記コンパクト取出ユニットのチャックとの中心が同一円上を回転する回転軸を有していることを特徴とする高温ガス炉用燃料コンパクトの製造装置。




















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