JP2007101425A - 高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被覆燃料粒子の被覆破損が生じがたいこと、被覆燃料粒子の充填率を高いこと、製造上の難度が低いこと、高い生産性を有すること、製品のコストダウンがはかれることなどを満足させる高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法を提供する。
【解決手段】燃料コンパクト用の成形材料である被覆燃料粒子Aや黒鉛マトリックス材溶液Bを成形型11の成形空間14内に投入して型を閉じた後、温度上昇させながら成形型11の成形空間14内部を圧縮して成形材料を燃料コンパクト形状に成形する。
【選択図】図1
【解決手段】燃料コンパクト用の成形材料である被覆燃料粒子Aや黒鉛マトリックス材溶液Bを成形型11の成形空間14内に投入して型を閉じた後、温度上昇させながら成形型11の成形空間14内部を圧縮して成形材料を燃料コンパクト形状に成形する。
【選択図】図1
Description
本発明は高温ガス炉用燃料コンパクトの製造技術に属し、より詳しくは、被覆燃料粒子の充填率が高くて被覆破損の生じがたい燃料コンパクトの製造方法に関する。
高温ガス炉については周知のとおり、熱容量が大きくて高温健全性の良好な黒鉛で炉心構造(燃料を含む)を構成し、高温下でも化学反応の起こらない不活性ガスたとえばHeガスを冷却ガスとして用いている。こうすることで固有の安全性が高くなり、高い出口温度のHeガスも取り出すことができるようになる。この高温ガス炉から得られる約900℃の高熱は、発電をはじめ、水素製造・化学プラント・その他を含む幅広い分野での熱利用を可能にするものである。
高温ガス炉の燃料については、下記の特許文献1〜2や非特許文献1などを参照してつぎのことがいえる。直径500〜1000μmの被覆燃料粒子は、核燃料物質の酸化物からなる燃料核(直径350〜650μm)の外周面に4層の被覆が施されたものである。被覆燃料粒子の被覆層で、低密度炭素からなる第1被覆層は、ガス状の核分裂生成物FPを溜めるためのガス溜め機能と燃料核スウェリングを吸収するためのバッファ機能とを併せもつものである。高密度炭素からなる第2被覆層にはガス状FPの保持機能があり、炭化珪素SiCからなる第3被覆層には固体状FPの保持機能がある。第2被覆層と同様の高密度炭素からなる第4被覆層には、固体状FPの保持機能があるほか第3被覆層に対する保護機能もある。これら以外に関しては、被覆燃料粒子を黒鉛粉末と混ぜ合わせて一定の形状に焼結したものが燃料コンパクトとなり、一定数量の燃料コンパクトを黒鉛筒に入れて封じたものが燃料棒となる。最終的には、所定数の燃料棒を黒鉛ブロックの各挿入口に装填したものが高温ガス炉の燃料となる。
高温ガス炉の燃料は以下のようにして製造するのが一般である。燃料核をつくる初期のステップでは、硝酸ウラニル原液をアンモニア溶液中に滴下して重ウラン酸アンモニウム粒子を形成し、当該粒子を乾燥した後、酸化・還元・焼結する。燃料核を第1被覆層〜第4被覆層で被覆して被覆燃料粒子をつくるときは、燃料核を高温流動床に導入しCVD法を実施することで各層を形成する。燃料コンパクトをつくるときは、被覆燃料粒子を黒鉛マトリックス材によりコーティングしてオーバコート被覆燃料粒子(単に被覆燃料粒子とかオーバコート粒子とかいうこともある)とした後、そのオーバコート粒子を成形かつ焼結する。燃料棒をつくるステップでは、燃料コンパクトを黒鉛筒に封入すればよい。こうして得られた燃料棒を黒鉛ブロックの各挿入口に装填することで高温ガス炉の燃料ができあがる。
高温ガス炉に用いられる既成の燃料において、被覆燃料粒子は直径が500〜1000μmであり、これを黒鉛マトリックス材でコーティングしたオーバコート粒子の場合は直径が1000〜2000μmである。したがって被覆燃料粒子の外周面には厚さ100〜500μmもの黒鉛マトリックス材が介在する。このオーバコート粒子を燃料コンパクト中に均一分散させるためには、オーバコート粒子の直径(外径)を高精度に仕上げておくことが重要で、そうでない場合は、粒子の分散不均一に起因して燃料が低品質のものになる。さらに敷衍すると、オーバコート精度の高い被覆燃料粒子が歩留まりよく高速生産できるときには、最終の燃料製品なども高精度で廉価なものになる。
このような技術事項を考慮に入れた粒子製造手段として、外径の均一化をはかりながらオーバコート粒子を製造するという転動造粒技術がある。この転動造粒技術は周知のとおり、被覆燃料粒子入りのパン(皿形のコーティング容器)を回転させながら粒子表面を黒鉛マトリックス材でコーティングするという方法である。より具体的には、コーティング容器内にオーバコート前の被覆燃料粒子を所定量入れた後、ノズルを介して黒鉛マトリックス材(結合剤を含む)を噴霧しつつ被覆燃料粒子を容器回転により転動・回転させてその粒子表面に黒鉛マトリックス材によるオーバコート層を形成する。この場合に単一であるところのノズルは、コーティング容器内の被覆燃料粒子に対して黒鉛マトリックス材をスポット供給することとなる。オーバコート層の形成に際しては、また、被覆燃料粒子の表面をアルコールなどの粒子湿潤液で湿潤させて黒鉛マトリックス材の付着性をよくすることも行われている。
特開平06−265669号公報
特開平07−218674号公報
原子力百科事典 ATMICA[平成16年12月 7日インターネット検索]<URL:http://www-atm.jst.go.jp/atomica/03030301_1.html>
被覆燃料粒子の表面にオーバコート層を形成する理由は大きく分けて二つある。その一つは、燃料コンパクトの製造時のプレス成形圧で被覆燃料粒子が破損するのを防ぐことである。他の一つは、被覆燃料粒子を燃料コンパクト内に均一分散させ、燃焼時に被覆燃料粒子が熱的機械的に破損するのを防ぐことである。この破損防止の観点からすると、被覆燃料粒子表面のオーバコート層は厚いほどよいことになる。その一方で被覆燃料粒子の場合はオーバコート層の厚さが増すために燃料核が相対的に小さくなる。これは寸法の定められた燃料コンパクトにとって、エネルギ源たる核燃料物質の量が少なくなるということであるから、高燃焼度化が期待できなくなる。
上記で明らかなように、被覆燃料粒子の破損防止と燃料コンパクトの高燃焼度化は技術的に対立する事項である。したがって、この二つの事項について同時に高度化をはかるということは技術的に困難である。ちなみに既存の燃料コンパクトについていうと、下記の式で定義される被覆燃料粒子の充填率が35%程度に留まっている。
被覆燃料粒子の充填率=[被覆燃料粒子の体積]÷[燃料コンパクトの体積]
被覆燃料粒子の充填率=[被覆燃料粒子の体積]÷[燃料コンパクトの体積]
本発明はこのような技術上の課題に鑑み、被覆燃料粒子の被覆破損が生じがたいこと、被覆燃料粒子の充填率を高いこと、製造上の難度が低いこと、高い生産性を有すること、製品のコストダウンがはかれることなど、これらを満足させることのできる高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法を提供しようとするものである。
本発明の請求項1に係る高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法は所期の目的を達成するために下記の課題解決手段を特徴とする。すなわち、請求項1に記載された高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法は、燃料コンパクト用の成形材料である被覆燃料粒子や黒鉛マトリックス材溶液を成形型の成形空間内に投入して型を閉じた後、温度上昇させながら成形型の成形空間内部を圧縮して成形材料を燃料コンパクト形状に成形することを特徴とする。
本発明の請求項2に係る高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法は、請求項1に記載された方法において、被覆燃料粒子を成形型の成形空間内に投入した後、成形型を振動させつつその成形空間内に黒鉛マトリックス材溶液を投入することを特徴とする。
本発明の請求項3に係る高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法は、請求項1または2に記載された方法において、成形材料を圧縮しながら黒鉛マトリックス材溶液中の溶剤を蒸発させる先行処理と、成形材料を圧縮しながら黒鉛マトリックス材中の粘結剤を熱硬化させる後行処理とを行うことを特徴とする。
本発明の請求項4に係る高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法は所期の目的を達成するために下記の課題解決手段を特徴とする。すなわち、請求項4に記載された高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の方法でつくられた燃料コンパクトを窒素雰囲気中で予備焼成して黒鉛マトリックス材中の粘結剤を炭化させ、つぎに、予備焼成後の燃料コンパクトを真空中で焼結して黒鉛マトリックス材中に含まれるガス成分を除去することを特徴とする。
本発明に係る高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法はつぎのような効果を有する。
(1) 成形型の成形空間内に投入された燃料コンパクト用の成形材料(被覆燃料粒子+黒鉛マトリックス材溶液)を圧縮成形するもので、その成形材料の一つが液状ないし泥状の黒鉛マトリックス材であるから低圧での成形が行える。この低圧成形によるときは、オーバコート層のない被覆燃料粒子であっても被覆破損が生じがたい。この被覆破損防止によって燃料コンパクト製造時の良品の歩留まりを高めることができる。
(2) 燃料コンパクトを製造するときの被覆燃料粒子としてオーバコート層がないものの使用が可能であるから、それを用いて燃料コンパクト中の被覆燃料粒子の充填率を高めることができる。具体的な成果として、従来35%程度であった当該充填率を50%以上に向上させることができる。
(3) 低圧成形であるから燃料コンパクトを製造するときの成形型の取り扱いや操作が簡単である。これは燃料コンパクトをつくるときの難度が低いということである。それに低圧成形は装置の消耗も少ないから、メンテナンス上の負担も軽減される。
(4) 被覆燃料粒子についてはオーバコート層を要しないから、この層の形成や検査などに要していた手数をすべて省略することができる。一方で燃料コンパクトの成形はこれが簡単に実施できるものである。したがって被覆燃料粒子から燃料コンパクトまでを総合して高い生産性を確保することができる。
(5) 被覆燃料粒子としてオーバコート層のない低価格品を使用できること、燃料コンパクト製造時の良品の歩留まりが高いこと、燃料コンパクトの製造難度が低く生産性が高いこと、メンテナンス上の負担が軽いことなど、これらの相乗効果で製品(燃料コンパクト)のコストダウンをはかることができる。
(1) 成形型の成形空間内に投入された燃料コンパクト用の成形材料(被覆燃料粒子+黒鉛マトリックス材溶液)を圧縮成形するもので、その成形材料の一つが液状ないし泥状の黒鉛マトリックス材であるから低圧での成形が行える。この低圧成形によるときは、オーバコート層のない被覆燃料粒子であっても被覆破損が生じがたい。この被覆破損防止によって燃料コンパクト製造時の良品の歩留まりを高めることができる。
(2) 燃料コンパクトを製造するときの被覆燃料粒子としてオーバコート層がないものの使用が可能であるから、それを用いて燃料コンパクト中の被覆燃料粒子の充填率を高めることができる。具体的な成果として、従来35%程度であった当該充填率を50%以上に向上させることができる。
(3) 低圧成形であるから燃料コンパクトを製造するときの成形型の取り扱いや操作が簡単である。これは燃料コンパクトをつくるときの難度が低いということである。それに低圧成形は装置の消耗も少ないから、メンテナンス上の負担も軽減される。
(4) 被覆燃料粒子についてはオーバコート層を要しないから、この層の形成や検査などに要していた手数をすべて省略することができる。一方で燃料コンパクトの成形はこれが簡単に実施できるものである。したがって被覆燃料粒子から燃料コンパクトまでを総合して高い生産性を確保することができる。
(5) 被覆燃料粒子としてオーバコート層のない低価格品を使用できること、燃料コンパクト製造時の良品の歩留まりが高いこと、燃料コンパクトの製造難度が低く生産性が高いこと、メンテナンス上の負担が軽いことなど、これらの相乗効果で製品(燃料コンパクト)のコストダウンをはかることができる。
本発明に係る高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法について、はじめは添付図面を参照して製造手段や原料を説明し、それから添付図面に基づき製造工程を説明する。
図1に例示された成形型11はダイス12と下パンチ15と上パンチ17とを主体にして構成された加圧成形式(圧縮成形式)のものである。成形型11のダイス12は、上面が全開で下面に開口部13を有する筒状容器であり、その具体的一例として円筒状の成形用容器からなる。この成形型11ではダイス12の内部空間が成形空間14となる。ダイス12は、また、図示しない加熱手段で加熱することができるものである。その加熱手段の代表例として、ダイス12の周壁に埋め込まれたりその周壁外周面に装備されたりする電熱式のヒータをあげることができる。したがって加圧式の成形型11は、加熱式の成形装置でもある。成形型11の下パンチ15は、成形空間14内の底部に配置されてダイス12の開口部13を開閉自在に閉じるものである。下パンチ15はダイス12の内周面沿いに成形空間14内を上下動することができ、その下面には昇降用の軸16が取り付けられている。成形型11の上パンチ17はダイス12の上部側から成形空間14内に出し入れすることができ、その上面に昇降用の軸18が取り付けられている。上パンチ17は、成形空間14内に配置されたときにダイス12の内周面に沿って成形空間14内を上下動することができる。このほか成形型11には、これ全体またはダイス12のみを振動させるための振動付与装置(電動式バイブレータ・超音波式バイブレータ・油圧式バイブレータ・アンバランス式バイブレータなど)が装備される。
本発明方法の実施形態でつくられる燃料コンパクトの最終寸法(完成品の大きさ)は直径20〜30mm、高さ35〜45mmの範囲内にある。具体的一例としてそれは直径≒25mm、高さ≒40mmである。したがって、成形型11のうちで燃料コンパクトの大きさに関与する部分はこれに対応した寸法に設定される。さらにいうと、熱処理による燃料コンパクトの収縮や切削整形加工による燃料コンパクトの目減りなど、成形後の処理で燃料コンパクトがサイズダウンするので、成形型各部の寸法とくに成形空間14の寸法はそれらを考慮した大きさに設定される。成形型11は金型・ゴム型・その併用型(組み合わせ型)のいずれかである。したがって成形型11のダイス12・下パンチ15・上パンチ17などは金属製であったりゴム製であったりする。
燃料コンパクトの主原料として用いられる図1の被覆燃料粒子Aについては、その詳細が図2に示されている。図2に例示された被覆燃料粒子Aはコア部分に燃料核aを備えていて、その外周面が第1被覆層a1・第2被覆層a2・第3被覆層a3・第4被覆層a4で覆われているものである。図2のような被覆燃料粒子Aは、以下に述べるような工程を実施することでつくられる。
燃料核aの形成では、はじめ酸化ウラン粉末を硝酸に溶解して硝酸ウラニル原液をつくり、それから硝酸ウラニル原液に純水と増粘剤とを加え撹拌して滴下原液をつくる。この場合の増粘剤は滴下されて落下する硝酸ウラニル原液が自身の表面張力で真球状となるように添加される。増粘剤としてはポリビニールアルコール樹脂・アルカリ条件下で凝固する性質のある樹脂・ポリエチレングリコール・メトローズなどあげることができる。上記のように調製された滴下原液は、所定温度の冷却による粘度調整後、細径の滴下ノズルを振動させつつここからアンモニア水中に滴下される。この際の液滴は、ノズル下端からアンモニア水溶液に着水するまでの間にアンモニアガスを吹き付けられてゲル化されるため着水時の変形が防止される。こうした場合の硝酸ウラニルはアンモニア水溶液中で重ウラン酸アンモニウムの粒子となる。重ウラン酸アンモニウム粒子は大気中で焙焼されて三酸化ウラン粒子となり、さらにこれが還元・焼結されることで高密度のセラミック状二酸化ウランからなる燃料核aが得られる。一例として、燃料核aの直径は350〜650μmである。
第1被覆層a1・第2被覆層a2・第4被覆層a4は、それぞれ、炭化水素系気相原料の熱分解反応生成物(微粒状のCVD反応生成物)を所定厚さにデポジットさせることで形成できる。第3被覆層a3の場合は、水素やアルゴンをキャリアガスにしてシラン化合物をCVD反応領域に供給し、そのシラン化合物の熱分解反応生成物を所定厚さにデポジットさせることで形成したりする。この種の被覆層については、それぞれの層を一層ずつ各別に形成しても構わないが、通常は各層を連続形成する。その際に用いられる装置の代表例は電気炉構造の加熱式流動床である。もちろん原料ガスは既述の炭化水素系であり、キャリアガスはアルゴンなど不活性ガスである。そのほか、各被覆層を同一の流動床で連続形成するときは、一つの被覆層を形成するごとに流動床内をパージガスで掃気することがある。
上記の流動床に導入された燃料核aの外周面に最初に形成されるのは、低密度炭素からなる第1被覆層a1である。このときの原料ガスは一例としてアセチレン(C2H2)からなり、これを1400℃の温度で熱分解したときの炭素微粒子が燃料核aの外周面に堆積されて所定厚の第1被覆層a1が形成される。つぎに形成されるのは、高密度炭素からなる第2被覆層a2である。このときの原料ガスは一例としてプロピレン(C3H6)からなり、これを1400℃の温度で熱分解したときの炭素微粒子が第1被覆層a1の外周面に堆積されて所定厚の第2被覆層a2が形成される。そのつぎに形成されるのは、炭化珪素(SiC)からなる第3被覆層a3である。このときの原料ガスは一例としてメチルトリクロロシラン(CH3SiCl3)からなり、これを1600℃の温度で熱分解したときの炭化珪素微粒子が第2被覆層a2の外周面に堆積されて所定厚の第3被覆層a3が形成される。このあとに形成されるのは高密度炭素からなる第4被覆層a4である。第4被覆層a4の場合は第2被覆層a2と同じ要領で所定の厚さに形成される。
こうして得られる被覆燃料粒子Aの各被覆層の仕様については、つぎのとおりである。低密度炭素(低密度熱分解炭素)からなる第1被覆層a1は厚さ30〜150μm、密度0.8〜1.2g/cm3で、一例では厚さ60μm、密度1.0/cm3のものである。この第1被覆層a1は、ガス状の核分裂生成物(FP)を溜めるためのガス溜め機能や燃料核スウェリングを吸収するためのバッファ機能を併せもっている。高密度炭素(高密度熱分解炭素)からなる第2被覆層a2は厚さ20〜50μm、密度1.6〜2.0g/cm3で、一例では厚さ30μm、密度1.8g/cm3である。この第2被覆層a2にはガス状FPの保持機能がある。炭化珪素(SiC)からなる第3被覆層a3は厚さ20〜50μm、密度3.0〜3.2/cm3で、一例では厚さ25μm、密度3.2/cm3である。この第3被覆層a3は主要な強度保証層であり、固体状FPに対する保持機能をも有する。第2被覆層a2と同様の高密度炭素(高密度熱分解炭素)からなる第4被覆層a4も厚さ20〜80μmで、密度1.6〜2.0g/cm3で、一例では厚さ45μm、密度約1.8g/cm3である。この第4被覆層a4には固体状FPの保持機能があるほか第3被覆層a3に対する保護機能もある。燃料核aの外周面にこれら第1被覆層a1〜第4被覆層a4が形成された被覆燃料粒子Aは直径(外径)500〜1500μmであり、一例では直径1000μmである。
燃料コンパクトの副原料として用いられる図1の黒鉛マトリックス材溶液Bは、黒鉛マトリックス材に液体溶媒を加えて液状にしたものである。ここでいう液状の範囲には、流動性のものはもちろん、自己形態が保持できない泥土状のものや塑性変形する粘土状のものなども含まれる。黒鉛マトリックス材溶液Bにおける黒鉛マトリックス材は黒鉛粉末と粘結剤(バインダ)とからなる。この場合の黒鉛粉末は、人造黒鉛粉末と天然黒鉛粉末とのうちのいずれか一方またはその混合物からなる。また、粘結剤はフェノール樹脂あるいは他の熱硬化性樹脂である。黒鉛マトリックス材を液状にするための液体溶媒は揮発性に富んだアルコール系の液体からなる。
図1において、既述の被覆燃料粒子Aや黒鉛マトリックス材溶液Bを用いて高温ガス炉用燃料コンパクトを製造するときは、図3に例示するような工程が実施される。
図3の主原料投入工程では図1(A)のごとく、上面が開放された成形型11の成形空間14内に計量済みの被覆燃料粒子Aが投入される。すなわち燃料コンパクト完成品における被覆燃料粒子Aの充填率を40〜60%にするため、計量ホッパなどを備えた粒子供給手段(図示せず)を介して、それに見合う量の被覆燃料粒子Aが成形空間14内に投入される。
図3の副原料投入工程では図1(B)のごとく、被覆燃料粒子投入後の成形型11の成形空間14内に所定量の黒鉛マトリックス材溶液Bが投入される。すなわち図示しない副原料供給系において、黒鉛マトリックス材溶液Bが供給量を測定されながら成形空間14内に投入される。この場合の黒鉛マトリックス材溶液Bの供給量も、被覆燃料粒子Aの上記充填率を考慮したものである。黒鉛マトリックス材溶液Bの投入時には、また、垂直方向および/または水平方向の微細振動が振動装置を介して成形型11に付与される。したがって成形空間14内に投入された黒鉛マトリックス材溶液Bは、各被覆燃料粒子Aの間の微小な空間にもよく行きわたる。
図3の加熱加圧(加熱圧縮)工程では、成形型11を加熱(加温)して黒鉛マトリックス材溶液B中の液体溶媒を積極的に揮発させるという溶媒蒸発処理と、図1(C)のごとく成形型11の上部から成形空間14内に上パンチ17を入れ、これを圧し下げて成形空間14内の充填物を圧縮するという成形処理とが行われる。このときの加熱温度と成形圧について、加熱温度は35〜50℃(一例:40℃)に設定され、圧縮成形圧は、被覆燃料粒子Aの被覆破損を回避するため5〜15MPa程度の低圧(一例:6MPa)に設定される。かくて成形空間14内には一次成形物ができあがる。
図3の粘結剤軟化工程では、上記一次成形物について、その黒鉛マトリックス材中の粘結剤(熱硬化性樹脂)が加熱されて軟化状態になる。すわわち図1(D)において、成形型11が70〜90℃(一例:80℃)で15〜45分(一例:20分)加熱され、これで成形空間14内の一次成形物が加熱されるため、その黒鉛マトリックス材中の粘結剤が軟化状態になる。しかしながらこのときの加熱温度は、100〜200℃のような樹脂硬化温度ではないから、粘結剤が架橋状態(熱硬化状態)に至ることはない。図3の粘結剤熱処理工程では加圧を要しない。これは成形空間14内の一次成形物を上パンチ17で圧縮しなくてよいということである。したがって上パンチ17は、図1(D)のごとく成形型11内から一時的に取り除かれるか、または、成形型11内にあっても成形空間14内の一次成形物に圧縮力が作用しないように保持される。かくて成形空間14内には二次成形物ができあがる。
図3の粘結剤硬化工程では、成形空間14内の上記二次成形物が加熱加圧されて熱硬化成形される。すわわち図1(E)において、成形型11を加熱することで黒鉛マトリックス材中の粘結剤を加熱するという熱処理と、成形型11内の上パンチ17を圧し下げて成形空間14内の成形物を圧縮するという成形処理とが行われる。この工程での加熱温度は100〜200℃(一例:100℃)である。一方で成形圧(圧縮成形圧)は、被覆燃料粒子Aの被覆破損を回避するために5〜15MPa程度の低圧(一例:10MPa)に設定される。かくて成形空間14内には三次成形物ができあがる。
図1(E)において、上パンチ17を成形型11内から取り除いた後、下パンチ15を上昇させることで三次成形物が成形空間14内から取り出される。こうして取り出された図1(F)の三次成形物が、燃料コンパクト形状に成形された燃料コンパクト(燃料コンパクト成形物)Cである。
図3の予備焼成工程では、不活性ガス雰囲気に保持された高温炉(図示せず)内に燃料コンパクトCを入れて、その黒鉛マトリックス材中の粘結剤(熱硬化性樹脂)を炭化させる。この場合の処理条件はつぎのとおりである。不活性ガスについてはHe・Ar・N2などのいずれでもよく、一例としてN2が用いられる。高温炉による予備焼成処理温度は600〜900℃(一例:800℃)である。予備焼成処理時間は15〜45分(一例:20分)である。かくて図1(G)のごとき予備焼成燃料コンパクトDが得られる。
図3の焼結工程では、上記高温炉内の雰囲気ガスがパージされて真空に保持され、当該炉温が1600〜2000℃(一例:1800℃)に保持される。この焼結処理により予備焼成燃料コンパクトD中に含まれるガス成分が除去され、図1(H)のごとき焼結燃料コンパクトEが得られる。この焼結燃料コンパクトEが最終製品(完成品)となる。
完成後の燃料コンパクトEについて、そのSiC被覆層の破損率や貫通破損率(露出ウラン率)を既成の手段で測定したところ、本発明の製造方法に起因するところの被覆燃料粒子破損は認められなかった。
本発明方法は、被覆燃料粒子と黒鉛マトリックス材溶液とを成形型内で一体化して成形するという湿式成形手段を主体にしたものであるから、対立する技術課題が解消されて被覆燃料粒子の被覆破損防止と被覆燃料粒子の高充填率とが両立する。しかもそれが、製造難度の低下・高生産性・製品のコストダウンなどを同時に満足させるから、産業上の利用可能性が高い。
A 被覆燃料粒子
B 黒鉛マトリックス材溶液
C 燃料コンパクト(燃料コンパクト成形物)
D 予備焼成燃料コンパクト
E 焼結燃料コンパクト(完成品)
11 成形型
12 ダイス
14 成形空間
15 下パンチ
17 上パンチ
B 黒鉛マトリックス材溶液
C 燃料コンパクト(燃料コンパクト成形物)
D 予備焼成燃料コンパクト
E 焼結燃料コンパクト(完成品)
11 成形型
12 ダイス
14 成形空間
15 下パンチ
17 上パンチ
Claims (4)
- 燃料コンパクト用の成形材料である被覆燃料粒子や黒鉛マトリックス材溶液を成形型の成形空間内に投入して型を閉じた後、温度上昇させながら成形型の成形空間内部を圧縮して成形材料を燃料コンパクト形状に成形することを特徴とする高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法。
- 被覆燃料粒子を成形型の成形空間内に投入した後、成形型を振動させつつその成形空間内に黒鉛マトリックス材溶液を投入する請求項1に記載の高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法。
- 成形材料を圧縮しながら黒鉛マトリックス材溶液中の溶剤を蒸発させる先行処理と、成形材料を圧縮しながら黒鉛マトリックス材中の粘結剤を熱硬化させる後行処理とを行う請求項1または2に記載の高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の方法でつくられた燃料コンパクトを窒素雰囲気中で予備焼成して黒鉛マトリックス材中の粘結剤を炭化させ、つぎに、予備焼成後の燃料コンパクトを真空中で焼結して黒鉛マトリックス材中に含まれるガス成分を除去することを特徴とする高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法。
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JP2005293119A JP2007101425A (ja) | 2005-10-06 | 2005-10-06 | 高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法 |
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WO2012047657A2 (en) * | 2010-09-27 | 2012-04-12 | Purdue Research Foundation | Ceramic-ceramic composites and process therefor, nuclear fuels formed thereby, and nuclear reactor systems and processes operated therewith |
WO2012047657A3 (en) * | 2010-09-27 | 2012-07-05 | Purdue Research Foundation | Ceramic-ceramic composites and process therefor, nuclear fuels formed thereby, and nuclear reactor systems and processes operated therewith |
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