JP4697938B2 - 高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造法 - Google Patents

高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造法 Download PDF

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Description

本発明は、高温ガス炉用燃料の製造に関し、二酸化ウランなどウランの化合物から成る燃料核に多重の被覆層を形成して被覆燃料粒子とする流動床反応装置を備えた高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造法に関するものである。
高温ガス炉は、燃料を含む炉心構造を熱容量が大きく高温健全性が良好な黒鉛で構成すると共に、冷却ガスとして高温下でも化学反応が起こらないHeガス等の気体を用いることにより、固有の安全性が高く、高い出口温度のガスを取り出すことが可能であり、約900℃の高温熱は、発電はもちろんのこと水素製造や化学プラント等、幅広い分野での熱利用を可能にするものである。
高温ガス炉の燃料は、二酸化ウランをセラミックス状に焼結した直径350〜650μmの燃料核の周囲に計4層の被覆を施したものである。4層の被覆のうち、第1層は密度約1g/cm の低密度熱分解炭素で、ガス状の核分裂生成物(FP)のガス溜としての機能及び燃料核のスウェリングを吸収するバッファとしての機能を併せ持つものである。
第2層は密度約1.8g/cm の高密度熱分解炭素でガス状FPの保持機能を有する。第3層は密度約3.2g/cm の炭化珪素(以下、SiCと称す)で固体FPの保持機能を有するとともに、被覆層の主要な強度部材である。第4層は、第2層と同様の密度約1.8g/cm の高密度熱分解炭素でガス状FPの保持機能とともに第3層の保護層としての機能も持っている。
一般的な被覆燃料粒子の直径は500〜1000μmである。この被覆燃料粒子は黒鉛マトリックス中に分散させた後、一定形状を持つ燃料コンパクトに成形加工される。更に、燃料コンパクトは黒鉛でできた筒に一定数量入れられ、上下に栓をし、燃料棒となる。
最終的に燃料棒は六角柱型黒鉛ブロックの複数の挿入口に入れられ、高温ガス炉の燃料となる。また、この六角柱型黒鉛ブロックを多数個、ハニカム配列に複数段重ねて高温ガス炉の炉心を構成している。
尚、高温ガス炉用燃料の特徴の一つとして、UO と同様にUCO、PuO 、ThO などをセラミックス状に焼結したものを燃料核として使用することも可能である。その場合もUO 燃料核の場合と同じく、燃料核の周囲に4層の被覆を施したものが被覆燃料粒子として使用される。
このような高温ガス炉の燃料は、一般的に以下のような工程を経て製造される。まず、二酸化ウラン燃料核の場合、酸化ウラン粉末を硝酸に溶解し、硝酸ウラニル原液とする。この硝酸ウラニル原液に純水、増粘剤を加えて撹拌することにより滴下原液とする。
増粘剤は、滴下された硝酸ウラニルの液滴が落下中に自身の表面張力により真球状になるように添加される。増粘剤としては、例えばポリビニルアルコール樹脂、アルカリ条件下で凝固する性質を有する樹脂、ポリエチレングリコール、メトローズなどを挙げることができる。
上記のように調整された滴下原液は所定の温度に冷却され粘度を調整した後、細径の滴下ノズルを振動させることによりアンモニア水中に滴下される。また、液滴は、アンモニア水溶液に着水するまでの空間でアンモニアガスを吹きつけて表面をゲル化させることにより、着水時の変形が防止される。アンモニア水中で硝酸ウラニルはアンモニアと充分に反応して重ウラン酸アンモニウムの粒子となる。
重ウラン酸アンモニウム粒子は、大気中で焙焼され、三酸化ウラン粒子となり、更に還元・焼結されることにより高密度のセラミック状二酸化ウランからなる燃料核となる。
得られたこの燃料核を流動床に装荷し、被覆ガスを熱分解させることにより被覆を施す。第1層の低密度炭素の場合は約1400℃でアセチレン(C)を、第2層及び第4層の高密度熱分解炭素の場合は約1400℃でプロピレン(C)を、第3層のSiCの場合は約1600℃でメチルトリクロロシラン(CHSiCl)を熱分解する。
前述の被覆ガスを使用して各被覆層を形成させる際には、被覆層を各粒子に均一に付けるため別のガスを用いて粒子を反応管内で十分に流動させた状態で行う。これが、被覆燃料粒子の製造装置を流動床と呼ぶ所以である。粒子を流動させるためのガスとしては、第1、2及び4層を被覆する場合は不活性ガスの一つであるアルゴンガスを、そして第3層を被覆する際には水素ガス又は水素ガス+不活性ガスの一つであるアルゴンガスが一般的に使用されている。
一般的な燃料コンパクトは、被覆燃料粒子を黒鉛粉末、増粘剤等からなる黒鉛マトリックス材と共に中空円筒形又は円筒形にプレス成型又はモールド成形したグリーンコンパクトを焼成して得られる。焼成は、グリーンコンパクト内にバインダーとして含まれるフェノール樹脂を炭化させるために熱処理を実施し、さらにコンパクト内に含まれるガス成分を除去することを目的とした熱処理を実施する(例えば、特許文献1参照)。
図2は従来の高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置の構成を示す説明図である。高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置は図2に示すように、二酸化ウランから成る燃料核22を流動床反応管25の上部窓(図示せず)から入れて、流動ガス入口26からガス導入ノズル24及びガス噴出ノズル23を通して被覆ガスと流動ガスとを流すことにより被覆を施す流動床反応管25と、この反応管25の外周に配設され燃料核を加熱する黒鉛製のヒーター21と、同じく黒鉛製でヒーター21のさらに外周に配設される断熱材28とを備える。被覆ガスや流動ガスは廃ガス排出口27から炉外へ出され、被覆された被覆燃料粒子は流動ガス入口26から取り出される。
特開2000−284084号公報
本発明は、二酸化ウランを焼結した燃料核の表面に、第1層の低密度炭素層と、第2層の高密度熱分解炭素層と、第3層のSiC層と、第4層の高密度熱分解炭素層とを順に被覆形成する高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造法において、原子炉内で使用した際に、核分裂反応により発生する核分裂生成物に対する閉じ込め性能の高い高品質な被覆層を持つ被覆燃料粒子を工業規模で安定して製造することを目的とする。
請求項1に記載された発明に係る高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造法は、二酸化ウランを焼結した燃料核の表面に、第1層の低密度炭素層と、第2層の高密度熱分解炭素層と、第3層のSiC層と、第4層の高密度熱分解炭素層とを順に被覆形成する高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造法において、
第1層の低密度炭素層被覆温度を1300〜1500℃とする場合、室温から第1層の被覆温度までの昇温速度を25℃/分以下、被覆ガスとしてのアセチレンの流量を60〜220L/min、流動ガスとしてのアルゴンの流量を90〜250L/min、被覆速度を10μm/分以上とし、
第2層の高密度熱分解炭素層被覆温度を1350〜1480℃とする場合、第1層の被覆温度から第2層の被覆温度までの昇温速度を25℃/分以下、被覆ガスとしてのプロピレンの流量を30〜120L/min、流動ガスとしてのアルゴンの流量を140〜190L/min、被覆速度を4μm/分以下とし、
第3層のSiC層被覆温度を1500〜1650℃とする場合、第2層の被覆温度から第3層の被覆温度までの昇温速度を25℃/分以下、被覆ガスとしての水素+メチルトリクロロシランの流量を5〜9L/min、流動ガスとしての水素の流量を350〜450L/min、被覆速度を0.3μm/分以下とし、
第4層の高密度熱分解炭素層被覆温度を1350〜1520℃とする場合、第3層の被覆温度から第4層の被覆温度までの降温速度を20℃/分以下、被覆ガスとしてのプロピレンの流量を35〜110L/min、流動ガスとしてのアルゴンの流量を65〜240L/min、被覆速度を3.4μm/分以下とする被覆条件で形成することを特徴とするものである。
請求項に記載された発明に係る高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造法は、請求項に記載の第4層の高密度熱分解炭素層の被覆終了後の降温速度が20℃/分以下であることを特徴とするものである。
本発明の被覆燃料粒子製造条件により、二酸化ウランを焼結した燃料核の表面に、第1層の低密度炭素層と、第2層の高密度熱分解炭素層と、第3層のSiC層と、第4層の高密度熱分解炭素層とを順に被覆形成することにより、原子炉内で使用した際に、核分裂反応により発生する核分裂生成物に対する閉じ込め性能の高い高品質な被覆層を持つ被覆燃料粒子を工業規模で安定して製造することが可能となる効果がある。
本発明は、高温ガス炉燃料の被覆燃料粒子の製造工程のうち、二酸化ウランを焼結した燃料核の表面に、第1層の低密度炭素層と、第2層の高密度熱分解炭素層と、第3層のSiC層と、第4層の高密度熱分解炭素層とを順に被覆形成された製造法において、原子炉内で使用した際に、核分裂反応により発生する核分裂生成物に対する閉じ込め性能の高い高品質な被覆層を持つ被覆燃料粒子を工業規模で安定して製造するために必要な被覆燃料粒子製造条件を提供するものである。
まず、第1層の低密度炭素層は、密度約1g/cm の低密度熱分解炭素で、ガス状の核分裂生成物(FP)のガス溜としての機能と、燃料核のスウェリングを吸収するバッファとしての機能とを併せ持つ。
本発明では、第1層の低密度炭素層を、室温から第1層の被覆温度までの昇温速度を25℃/分以下、被覆温度を1300〜1500℃、被覆ガス(アセチレン)流量を60〜220L/min、流動ガス(アルゴン)流量を90〜250L/min、被覆速度を10μm/分以上とする被覆燃料粒子製造条件で形成するものであるため、前述の2つの機能が確実となり、原子炉内で使用した際に、核分裂反応により発生するガス状の核分裂生成物(FP)のガス溜としての機能と、燃料核のスウェリングを吸収するバッファとしての機能の高い高品質な被覆層を持つ被覆燃料粒子を工業規模で安定して製造することが可能となる。
次に、第2層の高密度熱分解炭素層は、密度約1.8g/cm の高密度熱分解炭素で、ガス状FPの保持機能を有する。
別の本発明では、第2層の高密度熱分解炭素層を、第1層の被覆温度から第2層の被覆温度までの昇温速度を25℃/分以下、被覆温度を1350〜1480℃、被覆ガス(プロピレン)流量を30〜120L/min、流動ガス(アルゴン)流量を140〜190L/min、被覆速度を4μm/分以下とする被覆燃料粒子製造条件で形成するものであるため、前述の保持機能が確実となり、原子炉内で使用した際に、核分裂反応により発生するガス状の核分裂生成物(FP)に対する閉じ込め性能の高い高品質な被覆層を持つ被覆燃料粒子を工業規模で安定して製造することが可能となる。
次に、第3層のSiC層は、密度約3.2g/cm の炭化珪素(SiC)で固体状の核分裂生成物(FP)の保持機能を有するとともに、被覆層の主要な強度部材としての機能を有している。
別の本発明では、第3層のSiC層を、第2層の被覆温度から第3層の被覆温度までの昇温速度を25℃/分以下、被覆温度を1500〜1650℃、被覆ガス(水素+メチルトリクロロシラン)流量を5〜9L/min、流動ガス(水素)流量を350〜450L/min、被覆速度を0.3μm/分以下とする被覆燃料粒子製造条件で形成するものであるため、前述の保持機能及び強度部材としての機能が確実となり、原子炉内で使用した際に、核分裂反応により発生するガス状の核分裂生成物(FP)に対する閉じ込め性能の高い高品質な被覆層を持つ被覆燃料粒子を工業規模で安定して製造することが可能となる。
次に、第4層の高密度熱分解炭素層は、第2層と同様の密度約1.8g/cm の高密度熱分解炭素でガス状の核分裂生成物(FP)の保持機能を有するとともに、第3層の保護層としての機能も有している。
別の発明では、第4層の高密度熱分解炭素層を、第3層の被覆温度から第4層の被覆温度までの降温速度を20℃/分以下、被覆温度を1350〜1520℃、被覆ガス(プロピレン)流量を35〜110L/min、流動ガス(アルゴン)流量を65〜240L/min、被覆速度を3.4μm/分以下とする被覆燃料粒子製造条件で形成するものであるため、前述の保持機能及び保護層としての機能が確実となり、原子炉内で使用した際に、核分裂反応により発生するガス状の核分裂生成物(FP)に対する閉じ込め性能の高い高品質な被覆層を持つ被覆燃料粒子を工業規模で安定して製造することが可能となる。
前記各層において各層の被覆燃料粒子製造条件で形成することにより、各層の機能が確実となるが、最も好ましい態様としては、第1層から第4層の被覆燃料粒子製造条件で順に被覆形成することにより、原子炉内で使用した際に、核分裂反応により発生する核分裂生成物に対する閉じ込め性能の最も高い高品質な被覆層を持つ被覆燃料粒子を工業規模で安定して製造することが可能となる効果がある。
更に、好ましい態様として、第4層の高密度熱分解炭素層の被覆終了後の降温速度を20℃/分以下として徐々に温度を下げることにより、被覆層の破損が軽減され、核分裂生成物に対する閉じ込め性能の高い高品質な被覆層が得られる。
また、本発明の各層の被覆形成は、燃料核を流動床に装荷して、被覆ガスを熱分解させることにより被覆を施す。具体的には、第1層の低密度炭素の場合は約1400℃でアセチレン(C)を、第2層及び第4層の高密度熱分解炭素の場合は約1400℃でプロピレン(C)を、第3層のSiCの場合は約1600℃でメチルトリクロロシラン(CHSiCl)を熱分解する。
前述の被覆ガスを使用して各被覆層を形成させる際には、被覆層を各粒子に均一に付けるため別のガスを用いて粒子を反応管内で十分に流動させた状態で行う。粒子を流動させるための流動ガスとしては、第1、2及び4層を被覆する場合は不活性ガスの一つであるアルゴンガスを、そして第3層を被覆する際には水素ガス又は水素ガス+不活性ガスの一つであるアルゴンガスが一般的に使用されている。
尚、被覆層厚さについては、上記被覆条件のうち、被覆時間のみを増減させることにより調節することが可能であり、本製造条件によりいかなる仕様の被覆燃料粒子も製造が可能である。
日本原子力研究所 高温工学試験研究炉(HTTR)に装荷される初装荷燃料及び第1回取り替え燃料の約2トン−Uの被覆燃料粒子の製造工程のうち、二酸化ウラン燃料核に第1層の低密度炭素層と、第2層の高密度熱分解炭素層と、第3層のSiC層と、第4層の高密度熱分解炭素層とを連続被覆する製造工程を、上記の条件を適用して実施した。その被覆条件を決定するにあたって、昇温速度、被覆温度、被覆ガス流量、流動ガス流量、被覆速度の最適化を行った。
(1) 第1層の低密度炭素層の被覆条件を、室温から第1層被覆温度までの昇温速度と、被覆温度、被覆ガス流量と、流動ガス流量、被覆速度を種々変化させた条件で行った。
室温から第1層被覆温度までは昇温温度が25℃/分を越えると、内部欠陥の存在する燃料核が熱応力により割れることがあるため、昇温速度は25℃/分以下である必要がある。また、被覆温度は、1300℃未満であると、アセチレンの熱分解反応が進まず、分解が不充分となり、健全な低密度炭素層を形成することができない。一方、1500℃を越えると燃料核のUO と反応し、UCOが形成される。
被覆ガス(アセチレン)流量は、60L/min未満であると、被覆温度が1500℃であっても、被覆速度を10μm/分以上とすることができない。一方、220L/minを越えると流動ガス(アルゴン)流量を最小の90L/minにしても、粒子の流動が激しく、被覆層の破損が生じる。
流動ガス(アルゴン)流量は、90L/min未満であると、粒子の流動が不充分となり、均一な被覆層を形成することができない。一方、250L/minを越えると、被覆ガス(アセチレン)流量を最小の60L/minにしても、粒子の流動が激しく、被覆層の破損が生じる。
被覆速度は、10μm/分未満であると、気孔の少ない被覆層となり、第1の機能である核分裂反応により発生するガス状のFPのガス溜や粒子のスウェリングを吸収するバッファとしての働きが不充分になる。被覆速度が速くなると被覆層の密度は低くなる傾向があるが、特に上限はない。
(2) 第2層の高密度熱分解炭素層の被覆条件を、第1層被覆温度から第2層被覆温度までの昇温速度、被覆温度、被覆ガス流量、流動ガス流量、被覆速度を種々変化させた条件で行った。
第1の被覆温度から第2層被覆温度までは昇温速度が25℃/分を越えると、内部欠陥の存在する燃料核が熱応力により割れることがあるため、昇温速度は25℃/分以下である必要がある。また、被覆温度は、1350℃未満であるとプロピレンの熱分解反応が進まず、分解が不充分となり、健全な高密度炭素層を形成することができない。一方、1480℃を越えると被覆速度の制御が困難となり、均一な厚さ、組織を持つ被覆ができない。
被覆ガス(プロピレン)流量は、30L/min未満であると、被覆ガス/(被覆ガス+流動ガス)の値が小さくなる。つまり、被覆ガスの濃度が低くなり、被覆層密度が低くなってしまう。一方、190L/minを越えると流動ガス(アルゴン)流量を最小の140L/minにしても、粒子の流動が激しく、被覆層の破損が生じる。
流動ガス(アルゴン)流量は、140L/min未満であると、粒子の流量が不充分となり、均一な被覆層を形成することができない。一方、190L/minを越えると、被覆ガス(プロピレン)流量を最小の30L/minにしても、粒子の流動が激しく、被覆層の破損が生じる。また、被覆速度が、4μm/分を越えると、均一な厚さや組織を持つ被覆層ができない。
(3) 第3層のSiC層の被覆条件を、第2層被覆温度から第3層被覆温度までの昇温速度、被覆温度、被覆ガス流量、流動ガス流量、被覆速度を種々変化させた条件で行った。
第2層の被覆温度から第3層の被覆温度までの昇温速度が25℃/分を越えると、内部欠陥の存在する燃料核が熱応力により割れることがあるため、昇温速度は25℃/分以下である必要がある。
被覆温度は、1500℃未満であると、SiCの形態をとらないフリーSiが発生するため、Si/Cの比が1よりも大きくなる。Si/C=1でないと、SiCの特性が低下する。また、被覆装置の被覆ガス噴出口にSiCの堆積物ができ、流動状態が悪化するため、均一な被覆ができない。一方、1650℃を越えると、被覆層に積層欠陥が生じると共に、被覆装置の被覆ガス噴出口に粒子が付着し、堆積物となり、流動状態を悪化させるため、均一な被覆ができない。
被覆ガスであるメチルトリクロロシランを運ぶ水素ガス流量が5L/min未満であると、被覆ガス濃度が低くなり、被覆層密度が低くなってしまう。一方、9L/minを越えると余剰のメチルトリクロロシランが被覆装置の被覆ガス噴出口に堆積物を形成し、流動状態を悪化させるため、均一な被覆ができない。
流動ガス(水素)流量が350L/min未満であると、粒子の流動が不充分となり、均一な被覆層を形成することができない。一方、450L/minを越えると、粒子の流動が激しく、被覆層の破損が生じる。また、被覆速度は0.3μm/分を越えると積層欠陥を生じる。
(4) 第4層の高密度熱分解炭素層の被覆条件を、第3層被覆温度から第4層被覆温度までの降温速度:20℃/分以下、被覆温度:1350〜1520℃、被覆ガス(プロピレン)流量:35〜110L/min、流動ガス(アルゴン)流量:65〜240L/min、被覆速度:1.7〜3.4μm/分とした。
第3層の被覆温度から第4層被覆温度までの降温速度が、20℃/分を越えると、被覆層の剥離や破損が生じることがあるため、昇温速度は20℃/分以下である必要がある。また、被覆温度は、1350℃未満であると、プロピレンの熱分解反応が進まず、分解が不充分となり、健全な高密度炭素層を形成することができない。一方、1520℃を越えると、被覆速度の制御が困難となり、均一な厚さ、組織を持つ被覆ができない。
被覆ガス(プロピレン)流量は、30L/min未満であると、被覆ガス濃度が低くなり、被覆層の密度が低くなってしまう。一方、110L/minを越えると流動ガス(アルゴン)流量を最小の35L/minにしても、粒子の流動が激しく、被覆層の破損が生じる。また、被覆速度が3.4μm/分を越えると、均一な厚さや組織を持つ被覆層ができない。
(5) 第4層の高密度炭素層の被覆終了後の降温速度を20℃/分以下とした。第4層の被覆終了後の降温速度が、20℃/分を越えると、SiC層と高密度炭素層の熱収縮率の違いから、被覆層の剥離や破損が生じることがあるからである。
二酸化ウラン燃料核に第1層の低密度炭素層、第2層の高密度熱分解炭素層、第3層のSiC層及び第4層の高密度熱分解炭素層を連続被覆する製造工程は、約600バッチからなるものであったが、得られた被覆燃料粒子は各々以下の被覆層厚さ及び被覆層密度を安定して持つものであった。各層の被覆層厚さ及び被覆層密度の平均値を次の表1に示す。また、図1に本発明の被覆燃料粒子製造条件で製造された被覆燃料粒子の外観写真を示す。
また、原子炉内で使用した際、核分裂反応により発生する核分裂生成物に対する閉じ込め性能についても、現在燃焼中の初装荷燃料に対する950℃高温運転試験の結果、核分裂生成物の放出量/核分裂生成物の生成量の比の値は10−8レベルであり、非常に高い品質の被覆層を持つ被覆燃料粒子を工業規模で安定して製造することができていることが実証されている。
本発明の被覆燃料粒子製造条件で製造された被覆燃料粒子の外観写真である。 従来の高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置の構成を示す説明図である。

Claims (2)

  1. 二酸化ウランを焼結した燃料核の表面に、第1層の低密度炭素層と、第2層の高密度熱分解炭素層と、第3層のSiC層と、第4層の高密度熱分解炭素層とを順に被覆形成する高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造法において、
    第1層の低密度炭素層被覆温度を1300〜1500℃とする場合、室温から第1層の被覆温度までの昇温速度を25℃/分以下、被覆ガスとしてのアセチレンの流量を60〜220L/min、流動ガスとしてのアルゴンの流量を90〜250L/min、被覆速度を10μm/分以上とし、
    第2層の高密度熱分解炭素層被覆温度を1350〜1480℃とする場合、第1層の被覆温度から第2層の被覆温度までの昇温速度を25℃/分以下、被覆ガスとしてのプロピレンの流量を30〜120L/min、流動ガスとしてのアルゴンの流量を140〜190L/min、被覆速度を4μm/分以下とし、
    第3層のSiC層被覆温度を1500〜1650℃とする場合、第2層の被覆温度から第3層の被覆温度までの昇温速度を25℃/分以下、被覆ガスとしての水素+メチルトリクロロシランの流量を5〜9L/min、流動ガスとしての水素の流量を350〜450L/min、被覆速度を0.3μm/分以下とし、
    第4層の高密度熱分解炭素層被覆温度を1350〜1520℃とする場合、第3層の被覆温度から第4層の被覆温度までの降温速度を20℃/分以下、被覆ガスとしてのプロピレンの流量を35〜110L/min、流動ガスとしてのアルゴンの流量を65〜240L/min、被覆速度を3.4μm/分以下とする被覆条件で形成することを特徴とする高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造法。
  2. 前記第4層の高密度熱分解炭素層の被覆終了後の降温速度が20℃/分以下であることを特徴とする請求項に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造法。
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