JP2005144515A - 粉末成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 加圧成形時に良好な潤滑性が得られるとともに、所望の状態の成形体を形成できる粉末成形方法を提供する。
【解決手段】 粉末成形方法は、金型潤滑剤21を噴出し、金型潤滑剤21を加熱された金型装置1の内壁3に付着させる工程と、金型装置1に成形用粉末を充填し、成形用粉末を加圧成形することによって成形体を形成する工程とを備える。金型潤滑剤21の平均粒径は、100μmを超え750μm以下である。
【選択図】 図1
【解決手段】 粉末成形方法は、金型潤滑剤21を噴出し、金型潤滑剤21を加熱された金型装置1の内壁3に付着させる工程と、金型装置1に成形用粉末を充填し、成形用粉末を加圧成形することによって成形体を形成する工程とを備える。金型潤滑剤21の平均粒径は、100μmを超え750μm以下である。
【選択図】 図1
Description
この発明は、一般的には、粉末成形方法に関し、より特定的には、潤滑剤を金型の内壁に付着させる場合に乾燥噴霧法を利用する粉末成形方法に関する。
従来、金型に充填された金属粉末を加圧成形する場合に、潤滑剤を用いることによって金型の内壁と金属粉末との間で発生する摩擦を低減させ、品質の優れた成形体を形成する方法が様々考えられている。
たとえば、特開2001−342478号公報には、所定の加圧成形の温度より高い融点を有する2種以上の潤滑剤の混合粉を金型表面に帯電付着させる高密度鉄基粉末成形体の製造方法が開示されている(特許文献1)。また、特開平11−140505号公報には、押型(金型)の表面に潤滑剤を塗布する押型潤滑法と、粉末状の潤滑剤を所定の添加量で原料粉末に添加・混合する混入潤滑法とを併用した粉末成形方法が開示されている(特許文献2)。
特開2001−342478号公報
特開平11−140505号公報
しかし、乾燥した状態の潤滑剤を噴出して金型の内壁に付着させる乾燥噴霧法を用いる場合、潤滑剤を均一に金型の内壁に付着させることは難しい。金型の内壁に潤滑剤が十分に付着していない部分があると、その部分で焼き付きが発生するおそれがある。また逆に、金型の内壁の一部で付着した潤滑剤が多すぎると、その部分に接触して形成された成形体の表面が外観不良を引き起こしたり、成形体の密度が低下するおそれがある。
したがって、特許文献1および2に開示されているように潤滑剤の融点や添加量を適当に制御したとしても、潤滑剤が均一に金型の内壁に付着されていない場合、所望の状態の成形体を得ることはできない。
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、加圧成形時に良好な潤滑性が得られるとともに、所望の状態の成形体を形成できる粉末成形方法を提供することである。
この発明に従った粉末成形方法は、粉末状潤滑剤を噴出し、粉末状潤滑剤を加熱された金型の内壁に付着させる工程を備える。粉末状潤滑剤の平均粒径は、100μmを超え750μm以下である。粉末成形方法は、金型に粉末を充填し、粉末を加圧成形することによって成形体を形成する工程をさらに備える。
このように構成された粉末成形方法によれば、粉末状潤滑剤は、平均粒径が100μmを超えるある程度の大きさをもって形成されている。このため、粉末状潤滑剤の粒径が小さすぎることに起因して、噴出された後、金型の内壁に到達する粉末状潤滑剤の量が、粉末状潤滑剤の噴出される地点から相対的に遠い位置で少なくなり、相対的に近い位置で多くなることを抑制できる。また、粉末状潤滑剤の平均粒径は、750μm以下である。このため、粉末状潤滑剤が自重によって鉛直下方向に移動し、金型の内壁に定着しないということがない。
以上の理由から、本発明によれば、粉末状潤滑剤を金型の内壁の全体に均一に付着させることができる。これにより、成形体を加圧成形する際、金型の内壁にいずれの位置においても良好な潤滑性を得ることができる。また、成形体の一部が粉末状潤滑剤を多く含んで形成されるということもない。このため、所望の外観を有する成形体を均一な密度で形成することができる。
また好ましくは、粉末状潤滑剤の粒径は、100μmを超え750μm以下の範囲にのみ実質的に分布している。このように構成された粉末成形方法によれば、金型の内壁に付着される粉末状潤滑剤には、粒径が100μm以下の粉末状潤滑剤と、粒径が750μmを超える粉末状潤滑剤とが、実質的に含まれていない。このため、上述の効果をより効果的に得ることができる。
また好ましくは、粉末状潤滑剤を付着させる工程は、内壁の一方端に規定された金型の開口部から内壁に向けて粉末状潤滑剤を噴出する工程を含む。内壁の他方端に規定され、開口部より最も離れて位置する金型の底面から開口部までの距離である内壁の高さをHとし、開口部の開口面積をSとする場合、金型は、0.20<(S1/2)/H<0.85の関係を満たすように形成されている。
(S1/2)/Hが0.20以下である場合、開口部の開口面積Sに対して内壁の高さHが大きすぎることに起因して、噴出された後、金型の内壁に到達する粉末状潤滑剤の量が、開口部付近と比較して、金型の底面付近において少なくなる。これにより、成形体を加圧成形する際、金型の底面付近で良好な潤滑性が得られず、焼き付きが発生するおそれが生じる。
また、(S1/2)/Hが0.85以上である場合、開口部の開口面積Sに対して内壁の高さHが小さすぎることに起因して、金型の底面に多量の粉末状潤滑剤が溜まる。これにより、金型の底面に接触して形成された成形体の部分が、外観不良を引き起こしたり、その部分の密度が低下するおそれが生じる。したがって、このように構成された粉末成形方法によれば、粉末の加圧成形時にさらに良好な潤滑性を得ることができる。また、成形体の外観および密度の均一性をさらに向上させることができる。
また好ましくは、粉末状潤滑剤は、金属石鹸、ポリエチレン、アミド系ワックス、ポリアミド、ポリプロピレン、アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体、フッ素系樹脂および層状潤滑剤からなる群より選ばれた少なくとも一種を含む。このように構成された粉末成形方法によれば、これらの材料から形成された粉末状潤滑剤が金型の内壁に付着することにより、粉末の加圧成形時に優れた潤滑性を得ることができる。たとえば、アミド系ワックスやポリアミドから粉末状潤滑剤を形成した場合、材料中に含まれるアミド基が粉末状潤滑剤の硬度を向上させ、脂肪酸基が滑剤として機能する。
また好ましくは、粉末状潤滑剤を付着させる工程は、成形体に対する粉末状潤滑剤の割合が0.005質量%以上0.40質量%以下となるように、粉末状潤滑剤を金型の内壁に付着させる工程を含む。
粉末状潤滑剤の割合が0.005質量%未満である場合、粉末状潤滑剤の割合が小さすぎるため、希望の潤滑性を得ることができない。このため、焼き付きが発生し、加圧成形工程を実施できないおそれがある。また、実施できたとしても、内壁との接触によって表面に引っ掻き傷が形成され、成形体が外観不良になるおそれがある。一方、粉末状潤滑剤の割合が0.40質量%を超える場合、成形体が多量の粉末状潤滑剤を巻き込んで形成されたり、金型の底面に粉末状潤滑剤が溜まるおそれがある。このため、成形体が外観不良を引き起こしたり、成形体の密度が低下したりする。
したがって、このように構成された粉末成形方法によれば、粉末の加圧成形時にさらに良好な潤滑性を得ることができ、所望の状態で成形体を形成することができる。
以上説明したように、この発明に従えば、加圧成形時に良好な潤滑性が得られるとともに、所望の状態の成形体を形成できる粉末成形方法を提供することができる。
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、この発明の実施の形態における加圧成形方法に用いられる金型装置を示す断面図である。図1を参照して、金型装置1は、直径Dの円筒状に開口され、内壁3を有するダイ2と、ダイ2の開口部分の下方を塞ぐように配置され、内壁3に連なる底面6を有する下パンチ5と、ダイ2の上方に配置された潤滑剤供給部8、シュー9および上パンチ10とを備える。ダイ2には、ダイ2を所定の温度に加熱するためのバンドヒータ7が内蔵されている。
ダイ2の内壁3は、下パンチ5の底面6とともに成形用粉末が充填される空間4を規定している。内壁3は、底面6の周縁から鉛直上方向に円筒状に延在している。ダイ2の開口端から下パンチ5の底面6までの距離、つまり内壁3の高さをHとし、ダイ2の開口面積をS(=πD2/4)とする場合、金型装置1は、0.20<(S1/2)/H<0.85の関係を満たして形成されていることが好ましい。
潤滑剤供給部8およびシュー9は、ダイ2の上方でスライド移動可能なように設けられており、各装置は、加圧成形の工程にあわせた適当な位置に位置決めされる。なお、空間4内には、底面6の中央から鉛直上方向に延びるコアロッドが設けられていても良い。
図2および図3は、この発明の実施の形態における粉末成形方法の工程を示す断面図である。図1から図3を参照して、この発明の実施の形態における粉末成形方法を説明する。
図1を参照して、バンドヒータ7に通電し、ダイ2を所定の温度まで加熱する。この際、ダイ2の加熱温度は、後の工程で用いられる金型潤滑剤の種類によって適当に設定され、好ましくは、金型潤滑剤の融点よりも少し低い温度に設定される。なお、バンドヒータ7による加熱温度は、ダイ2の形状によっても操作可能な温度である。次に、空間4の上方に潤滑剤供給部8を位置決めする。エアーを用いて、潤滑剤供給部8の噴射ノズルから内壁3に向けて金型潤滑剤21を吹き付ける。金型潤滑剤21は、帯電付着効果によって内壁3に付着する。なお、図中の金型潤滑剤21は、模式的に表わされている。
ダイ2が金型潤滑剤21の融点よりも少し低い温度まで加熱されている場合、金型潤滑剤21は、若干軟化し、内壁3に付着しやすくなる。このため、帯電付着効果との相乗効果によって良好な付着状態が得られる。また、金型潤滑剤21が液状に変化することがないため、金型潤滑剤21が底面6に溜まることを防止できる。
金型潤滑剤21は、粉末状であり、その平均粒径は、100μmを超え750μm以下である。さらに好ましくは、金型潤滑剤21の平均粒径は、300μmを超え500μm以下である。なお、ここで言う平均粒径とは、ふるい法によって測定した粒径のヒストグラム中、粒径の小さいほうからの質量の和が総質量の50%に達する粒子の粒径、つまり50%粒径Dをいう。
平均粒径が100μmを超える金型潤滑剤21を用いることによって、潤滑剤供給部8の噴射ノズルから吹き付けられ、内壁3に付着した金型潤滑剤21の量が、噴射ノズルに近い位置で多く、底面6に近い位置で少なくなることを防止できる。また、平均粒径が750μm以下の金型潤滑剤21を用いることによって、内壁3に付着した金型潤滑剤21が自重により底面6に溜まるということがない。これらの理由から、金型潤滑剤21を内壁3の全体に均一に付着させることができる。
金型潤滑剤21の粒径は、100μmを超え750μm以下の範囲にのみ実質的に分布している、つまり、粒径が100μm以下の金型潤滑剤と粒径が750μmを超える金型潤滑剤とが強制的に排除されていることが好ましい。この場合、金型潤滑剤21を内壁3の全体により均一に付着させることができる。
また、金型装置1が上述の(S1/2)/H>0.20の関係を満たして形成されている場合、内壁3の高さHが高すぎることに起因して、金型潤滑剤21の付着量の均一性が損なわれるということがない。さらに、金型装置1が上述の(S1/2)/H<0.85の関係を満たして形成されている場合、潤滑剤供給部8の噴射ノズルと底面6との間にある程度の距離が確保されているため、多量の金型潤滑剤21が底面6に溜まるということがない。
金型潤滑剤21としては、たとえば、金属石鹸、ポリエチレン、アミド系ワックス、ポリアミド、ポリプロピレン、アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体、フッ素系樹脂および層状潤滑剤などを用いることができる。また、これらの材料から2以上の材料を適当に選択し、混合したものを用いても良い。
図2を参照して、ダイ2の上方に並んで配置された装置を矢印11に示す方向にスライド移動させ、空間4の上方にシュー9を位置決めする。次に、シュー9から空間4に成形用粉末22を供給する。成形用粉末22は、純鉄粉や鉄粉に適当な金属粉が混合された混合粉であっても良い。また、成形用粉末22にステアリン酸亜鉛などの適当な粉末成形用潤滑剤が混合されていても良い。この粉末成形用潤滑剤は、加圧成形時において成形用粉末22間の潤滑剤として機能するほか、内壁3に対する成形用粉末22の潤滑剤としても一定の役割を果たす。
図3を参照して、ダイ2の上方に並んで配置された装置を矢印12に示す方向にスライド移動させ、空間4の上方から退避させる。次に、上パンチ10を下方に移動させることによって、空間4に充填された成形用粉末22を加圧成形する。これにより、成形体23が形成される。その後、空間4から成形体23を抜き出す。
本実施の形態では、金型潤滑剤21が内壁3の全体に均一に付着されているため、上述の成形用粉末22を加圧成形する工程と成形体23を抜き出す工程との両方において、焼き付きが発生することがない。
空間4から抜き出された成形体23に含まれる潤滑剤の割合は、0.005質量%以上0.40質量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、潤滑剤の割合は、0.01質量%以上0.40質量%以下である。ここで言う潤滑剤は、内壁3および底面6から成形用粉末22に混入した金型潤滑剤21を指し、元々、成形用粉末22に混合されていた粉末成形用潤滑剤は含まれない。
この発明の実施の形態に従った粉末成形方法は、粉末状潤滑剤としての金型潤滑剤21を噴出し、金型潤滑剤21を加熱された金型としての金型装置1の内壁3に付着させる工程を備える。金型潤滑剤21の平均粒径は、100μmを超え750μm以下である。粉末成形方法は、金型装置1に粉末としての成形用粉末22を充填し、成形用粉末22を加圧成形することによって成形体23を形成する工程をさらに備える。
このように構成された粉末成形方法によれば、粉末成形の工程を通じて焼き付きが発生しないため、引っ掻き傷などを表面に付けることなく成形体23を形成することができる。また、金型潤滑剤21が底面6に溜まったり、内壁3に付着する金型潤滑剤21の量が部分的に多くなるということがないため、成形体23の表面に粉末状の金型潤滑剤21が多量に取り込まれるということがない。これにより、成形体23の面粗度が低下することを防止できる。また、部分的に成形体23の密度が低下したり、成形体23の密度が不均一になることを防止できる。
(実施例1)
本発明の粉末成形方法による効果を確認するため、図1中に示す金型装置1を用いてサンプルA−1からH−5の成形体を作製し、その成形体の各種評価を行なった。以下において、成形体の作製条件および評価内容について説明する。
本発明の粉末成形方法による効果を確認するため、図1中に示す金型装置1を用いてサンプルA−1からH−5の成形体を作製し、その成形体の各種評価を行なった。以下において、成形体の作製条件および評価内容について説明する。
本実施例では、図1中に示す内壁3の高さHを60mm、ダイ2の開口径Dを40mmに設定した。これにより、0.20<S1/2(ダイ2の開口面積の平方根)/H(=0.59)<0.85の関係を満たす金型装置1を用いた。成形用粉末22として、ヘガネス社製の鉄粉(商品名「ASC100.29」)に粉末成形用潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛を0.5質量%の割合で添加し、V型ミキサーを用いて2時間混合したものを用いた。成形用粉末22は、常温のまま金型装置1に投入されても良いし、金型装置1による処理に応じた加熱が施された後、金型装置1に投入されても良い。
金型潤滑剤21として、A:エチレンビスステアリン酸アミド(融点147℃)、B:ステアリン酸アミド(融点100℃)、C:ステアリン酸亜鉛(融点127℃)、D:ポリエチレン(融点144℃)、E:ポリエチルアクリレート(融点178℃)、F:ポリプロピレン(融点153℃)、G:ポリメチルメタクリレート(融点160℃)、H:ポリテトラフルオロエチレン(融点346℃)から選ばれた材料を用いた。サンプルA−1からH−5の成形体に用いた金型潤滑剤21の種類と平均粒径とを表1および表2に示した。
ダイ2の加熱温度は、用いる金型潤滑剤21の融点よりも少し低い温度(融点の95%程度の温度)とした。加圧成形時の圧力は、6(ton/cm3)とした。サンプルA−1からH−5の成形体を作製した際のダイ2の加熱温度を金型温度として表1および表2に示した。
加圧成形後、成形体23を空間4から抜き出す際の抜き出し力を測定し、この測定結果から抜き出し圧力を求めた。また、得られた成形体23の外観と、金型装置1の底面6とを観察し、さらに、アルキメデス法によって成形体23の密度を求めた。また、空間4に供給した成形用粉末22の質量と成形体23の質量とから、成形体23に含まれる金型潤滑剤21の割合を求めた。以上の測定結果を表1および表2に示した。
なお、以下に続く表1から表6では、成形体23の外観に焼き付き跡がある場合を「×」とし、焼き付き跡が全く観察されない場合を「◎」とし、その間の状態を「△」「○」として、表中の「成形体の外観」の欄に示した。また、金型装置1の底面6に金型潤滑剤21が溜まっている場合を「×」とし、金型潤滑剤21が全く認められなかった場合を「◎」とし、その間の状態を「△」「○」として、表中の「底面での金型潤滑剤の有無」の欄に示した。
表1および表2を参照して分かるように、金型潤滑剤21の平均粒径が100μm以下のサンプルでは、抜き出し圧力が比較的大きい値となり、成形体の外観に焼き付き跡が観察された。また、金型潤滑剤21の平均粒径が750μmを超えるサンプルでは、成形体の外観に焼き付きは観察されなかったものの、底面6に金型潤滑剤21が認められ、密度が他のサンプルに比べて低い値となった。
これに対して、金型潤滑剤21の平均粒径が100μmを超え750μm以下であるサンプルでは、良好な外観を得ることができ、成形体の密度も大きい値となった。
(実施例2)
実施例1と同様に、図1中に示す金型装置1を用いてサンプル1から10の成形体を作製し、その成形体の各種評価を行なった。本実施例では、図1中に示す内壁3の高さHを60mm、ダイ2の開口径Dを40mmに設定し、空間4の中心に直径20mmのコアロッドを設けた。これにより、0.20<S1/2/H(=0.51)<0.85の関係を満たす金型装置1を用いた。
実施例1と同様に、図1中に示す金型装置1を用いてサンプル1から10の成形体を作製し、その成形体の各種評価を行なった。本実施例では、図1中に示す内壁3の高さHを60mm、ダイ2の開口径Dを40mmに設定し、空間4の中心に直径20mmのコアロッドを設けた。これにより、0.20<S1/2/H(=0.51)<0.85の関係を満たす金型装置1を用いた。
金型潤滑剤21として、実施例1のサンプルA−3およびB−3の成形体に用いた金型潤滑剤を適当なメッシュ粗さの篩にかけ、粒径分布範囲の上限および下限を適当に設定したものを用いた。加圧成形時の圧力など成形体の作製条件については、実施例1と同様とした。サンプル1から10の成形体に用いた金型潤滑剤21の種類と、粒径分布範囲の上限および下限とを表3に示した。また、所定の粒径分布範囲を得るために用いた篩のメッシュ粗さも表3に併せて示した。
実施例1に記載の評価と同様の評価をサンプル1から10の成形体に実施し、その結果を表3に示した。
表3を参照して分かるように、金型潤滑剤21の粒径が100μm超え750μm以下の範囲に収まっているサンプルでは、底面6に金型潤滑剤21が認められず、他のサンプルと比較して、成形体の密度が特に大きい値となった。また、抜き出し圧力が小さい値となり、焼き付き跡のない良好な外観を得ることができた。
(実施例3)
実施例1と同様に、図1中に示す金型装置1を用いてサンプルaからyの成形体を作製し、その成形体の各種評価を行なった。本実施例では、実施例2と同様の金型装置1を用いた。
実施例1と同様に、図1中に示す金型装置1を用いてサンプルaからyの成形体を作製し、その成形体の各種評価を行なった。本実施例では、実施例2と同様の金型装置1を用いた。
成形用粉末22として、ヘガネス社製の鉄粉(商品名「Somaloy500」)に粉末成形用潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛を0.5質量%の割合で添加し、V型ミキサーを用いて2時間混合したものを用いた。
金型潤滑剤21としては、実施例1に記載のAからHの中から選ばれた複数の材料を適当な割合で組み合わせ、混合したものを用いた。また、サンプルfからyでは、篩を用いて金型潤滑剤21の粒径分布範囲の上限および下限を適当に設定した。なお、サンプルfは、サンプルcと同一の金型潤滑剤21を用いて作製されたものであるが、サンプルfの欄には、粒径分布範囲の上限および下限を示した。サンプルaからyの成形体に用いられた金型潤滑剤21の種類および割合と、粒径分布範囲の上限および下限とを表4に示した。
ダイ2の加熱温度は、金型潤滑剤21を構成する材料の融点のうち最も低い融点を基準とし、その融点より少し低い温度とした。加圧成形時の圧力は、6(ton/cm3)とした。成形体に行なった評価内容は実施例1と同様であり、その結果を表4に示した。
表4を参照して分かるように、複数種の材料を組み合わせた金型潤滑剤21を用いた場合であったも、実施例1に記載の考察に従った結果を得ることができた。
(実施例4)
表1中に示すサンプルA−3の成形体の作製条件で、金型潤滑剤21の割合のみを0.005質量%から0.42質量%の範囲で変化させ、サンプル5−1から5−7の成形体を作製した。そして、実施例1で行なった評価をサンプル5−1から5−7の成形体についても実施した。各サンプルにおける金型潤滑剤21の割合と評価結果とを表5に示した。
表1中に示すサンプルA−3の成形体の作製条件で、金型潤滑剤21の割合のみを0.005質量%から0.42質量%の範囲で変化させ、サンプル5−1から5−7の成形体を作製した。そして、実施例1で行なった評価をサンプル5−1から5−7の成形体についても実施した。各サンプルにおける金型潤滑剤21の割合と評価結果とを表5に示した。
表5を参照して分かるように、金型潤滑剤21の割合を0.005質量%以上とすることによって、良好な外観を得ることができた。また、金型潤滑剤21の割合が0.40質量%よりも大きいサンプル5−7では、他のサンプルと比較して、成形体23の密度が若干小さい値となった。
(実施例5)
実施例4と同様に、表1中に示すサンプルA−3の成形体の作製条件で、金型装置1の内壁3の高さHおよびダイ2の開口径Dを適当に変化させ、サンプル5−Aから5−Fの成形体を作製した。そして、実施例1で行なった評価をサンプル5−Aから5−Fの成形体についても実施した。これら各サンプルの作製に用いた金型装置1の形状寸法と各サンプルの評価結果とを、表6に示した。
実施例4と同様に、表1中に示すサンプルA−3の成形体の作製条件で、金型装置1の内壁3の高さHおよびダイ2の開口径Dを適当に変化させ、サンプル5−Aから5−Fの成形体を作製した。そして、実施例1で行なった評価をサンプル5−Aから5−Fの成形体についても実施した。これら各サンプルの作製に用いた金型装置1の形状寸法と各サンプルの評価結果とを、表6に示した。
表6を参照して分かるように、S1/2/Hの値が0.20以下のサンプル5−Aでは、多少の焼き付き跡が成形体23の底面近くに観察された。一方、S1/2/Hの値が0,85以上であるサンプル5−Fでは、成形体23の底面近くに若干の凹凸模様が観察された。一方、S1/2/Hの値が0.20を超え0.85未満の範囲にある他のサンプルでは、好ましい結果を得ることができた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 金型装置、3 内壁、6 底面、21 金型潤滑剤、22 成型用粉末、23 成形体。
Claims (5)
- 粉末状潤滑剤を噴出し、前記粉末状潤滑剤を加熱された金型の内壁に付着させる工程を備え、
前記粉末状潤滑剤の平均粒径は、100μmを超え750μm以下であり、さらに、
前記金型に粉末を充填し、前記粉末を加圧成形することによって成形体を形成する工程を備える、粉末成形方法。 - 前記粉末状潤滑剤の粒径は、100μmを超え750μm以下の範囲にのみ実質的に分布している、請求項1に記載の粉末成形方法。
- 前記粉末状潤滑剤を付着させる工程は、前記内壁の一方端に規定された前記金型の開口部から前記内壁に向けて前記粉末状潤滑剤を噴出する工程を含み、
前記内壁の他方端に規定され、前記開口部より最も離れて位置する前記金型の底面から前記開口部までの距離である前記内壁の高さをHとし、前記開口部の開口面積をSとする場合、前記金型は、0.20<(S1/2)/H<0.85の関係を満たすように形成されている、請求項1または2に記載の粉末成形方法。 - 前記粉末状潤滑剤は、金属石鹸、ポリエチレン、アミド系ワックス、ポリアミド、ポリプロピレン、アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体、フッ素系樹脂および層状潤滑剤からなる群より選ばれた少なくとも一種を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の粉末成形方法。
- 前記粉末状潤滑剤を付着させる工程は、前記成形体に対する前記粉末状潤滑剤の割合が0.005質量%以上0.40質量%以下となるように、前記粉末状潤滑剤を金型の内壁に付着させる工程を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の粉末成形方法。
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JP2003388078A JP2005144515A (ja) | 2003-11-18 | 2003-11-18 | 粉末成形方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008008755A (ja) * | 2006-06-29 | 2008-01-17 | Nuclear Fuel Ind Ltd | 高温ガス炉用燃料コンパクトの製造装置 |
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2003
- 2003-11-18 JP JP2003388078A patent/JP2005144515A/ja not_active Withdrawn
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