JP3223081B2 - 電池用電極基板の製造法およびこれに用いる鋳型 - Google Patents

電池用電極基板の製造法およびこれに用いる鋳型

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    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/64Carriers or collectors
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池用電極基板、
特に鉛蓄電池用格子の製造法、およびこれに用いる電極
基板用鋳型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の電池用電極基板の製造法として
は、エキスパンド方式、プレス打ち抜き方式、鋳造方式
がある。エキスパンド方式は、予め基板シートを作り、
これに不連続のスリット状の切り込みをいれ、網状に拡
張して電極基板を製造する方法である。プレス打ち抜き
方式は、予め基板シートを作り、これにプレス金型を用
いて打ち抜き加工することにより電極基板を製造する方
法である。鋳造方式は、溝の形成された一対の合わせ型
の間に溶融合金を流し込んで、電極基板を鋳造する方法
である。連続鋳造方式は、溝を有する回転型と固定型の
金型に溶融合金を流し込み、連続的に電極基板を製造す
る方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの製造
法では、生産性、品質、性能のいずれかに問題がある。
例えば、エキスパンド方式は、生産性は高いが次のよう
な問題がある。 (1)周囲に枠体がないため、電極基板が膨張し、使用
中に活物質が脱落したり、側面部で陰極板と陽極板が短
絡したりする。 (2)連続基板を切断する際、切断部が基板の骨部や交
差部であるため、バリが発生し、使用中に電極基板間で
短絡する。 (3)固い合金の基板シートはエキスパンド加工できな
い。 (4)電極基板の上下方向に引張り応力が残留し、使用
中に変形する。上側に伸びると、ストラップと接触し短
絡しやすい。また、下側に伸びると、セパレータ底部が
破れ短絡しやすい。
【0004】プレス打ち抜き方式では、次のような問題
がある。 (1)打ち抜き部の断面が直線になるため、活物質の保
持が悪く、脱落しやすい。 (2)基板シートを打ち抜いた部分の割合が多く、材料
のロスが多い。
【0005】一般的な鋳造方式である重力鋳造法では、
次のような問題がある。 (1)離型と保温を目的として鋳型表面にコルクを塗布
するが、これにより重量や厚みを均一に製造するのが困
難である。 (2)設備を停止してコルクを塗布するため、生産性が
低い。 (3)冷却が緩やかなため、結晶組織が粗く、腐食され
やすい。 (4)薄型の基板や複雑な形状の鋳型を用いた場合に
は、基板全面に溶融合金が行き渡る前に固まりやすく、
製造が困難である。
【0006】連続鋳造方式では、次ような問題点があ
る。 (1)形成された格子の縦の格子と横の格子の硬化速度
が異なるため、結晶組織が不均一となり、その界面から
腐食されやすい。 (2)薄型や複雑な形状に成形すると、型全面に溶融合
金が行き渡る前に固まりやすく、製造が困難である。 (3)移動型と固定型のセットで構成されており、移動
型は回転式であるため固定型との間に回転するための一
定の隙間が必要であり、バリが発生しやすい。 (4)スタートアップ時に不良が発生しやすく、安定す
るまでに時間がかかる。
【0007】
【課題を解決するための手段】 本発明の電極基板用鋳型
は、得ようとする電極基板に対応する形状の溝部を表面
に有するとともに、前記溝部の交差する位置の底面に
分的に吸引手段に連通した通気性を有する多孔体層を具
備するものである。また、前記多孔体の孔径が300μ
m以下であることが好ましい。さらに、円筒状の構造を
有し、前記円筒の円筒面に前記溝部を具備するとともに
前記円筒の中心軸に回転軸を具備することが好ましい。
本発明の電池用電極基板の製造法は、得ようとする電極
基板に対応する形状の溝部を表面に有するとともに、少
なくとも前記溝部の交差する位置の底面に吸引手段に連
通した通気性を有する多孔体層を具備する鋳型を用い、
前記吸引手段により前記鋳型の溝部に吸引力を発生させ
ることにより溶融合金を前記溝部に付着させる工程と、
付着した前記溶融合金を冷却水の噴霧で冷却することに
より固化させる工程と、固化により得られた成形体を前
記鋳型より分離する工程とを連続して行うものである。
これにより、安価かつ効率よく、電池用電極基板を製造
することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施例を、図面とともに
詳細に説明する。図1および図2に示すように、溶融合
金槽1内に、鉛を主成分とする溶融合金2を400℃の
温度で循環させる。この溶融合金2を吸引ポンプ3で吸
引し、上方向に噴出させる。この噴流の高さのバラツキ
は±1.0mmに設定される。この溶融合金槽1の上部
には、円筒形鋳型10が中心軸を水平にして配されてい
る。円筒形鋳型10は、円筒面に、得ようとする電極基
板に対応した形状の、深さ1〜2.5mmの溝部12を
有する。円筒形鋳型10は、溝部12底面が上方向に噴
出された溶融合金2の最上点より2〜3mm下方になる
ように設定される。この円筒形鋳型10は、モータ9に
接続され、最大20m/分で矢印方向に回転する。円筒
形鋳型10の中空部は、ロータリージョイントを介して
真空配管6に接続されており、真空配管6に接続された
真空ポンプ7により、常時4.0×104〜7.0×1
4Paで吸引される。
【0009】円筒形鋳型10は、図3もしくは図4に示
す構造を有する。図3に示す円筒形鋳型10は、以下の
方法により成型される。粒径50μmのステンレス鋼粉
末を円筒形の型に充填し、1500℃で焼結することに
より、多孔質焼結体を得る。こうして得られた焼結体
は、密度が4〜5g/cm2、空隙率が約40%であっ
た。また、その孔径は300μmであった。この焼結体
の外表面全体にニッケルめっき処理を施し、表面の微細
孔を潰す。その後、円筒面に所定の形状の溝部12を形
成する。ここで、溝部12の微細孔が目詰まりしないよ
うに放電加工により行うことが好ましい。図3に示すよ
うに、円筒形鋳型10の円筒部を構成する多孔質焼結体
13は通気性を有し、溝部12以外の円筒面はめっき層
15により被覆されている。鋳型の中空部11と溝部1
2とは連通している。上記実施例では多孔質焼結体13
にステンレス鋼粉末を焼結したものを用いたが、孔径3
00μm以下の多孔体であればセラミックス等の他の材
質でも使用可能である。また、溝部12以外には、溶融
合金2が付着しないように、さらにフッ素樹脂もしくは
セラミックスでコーティングすることが好ましい。
【0010】また、図4に示す円筒形鋳型は、金属ある
いはセラミックス等からなる円筒体を用い、この円筒体
の円筒面14に形成された溝部12の交差する位置の底
に、鋳型の中空部11にのぞませて、通気性を有する多
孔体層16を形成したものである。このように、溝部1
2の底面はその全面が通気性を有する必要はない。溝部
12の交差する位置など、部分的に通気性の多孔体層1
6を設け、吸引手段を働かせたとき、溝部12全体にほ
ぼ均一な吸引力を発生するようにすればよい。
【0011】次に、図1〜3を用いて、電池用電極基板
を製造する方法を説明する。図1に示すように、吸引ポ
ンプ3により上方向に噴出された溶融合金2が円筒形鋳
型10と接触すると、溶融合金2は溝部12に吸着され
る。円筒形鋳型10の上部には、円筒形鋳型10に20
℃の冷却水を噴霧する冷却シャワー5が配されている。
円筒形鋳型10が回転し、付着した溶融合金2が上方に
達すると、溶融合金2は、冷却水の噴霧により100〜
150℃に冷却され、固化する。固化した合金は分離部
4により円筒形鋳型10から分離され、溝部12に対応
した形状の基板シート8が得られる。この後、基板シー
ト8表面に活物質となる鉛粉末のペーストを塗布し、所
定の長さに切断することにより、電池用電極基板が得ら
れる。
【0012】上記実施例では、吸引ポンプ3により溶融
合金2を噴出させ、円筒形鋳型10に付着させる方法を
説明したが、図5に示すように、溶融合金2に円筒形鋳
型10の溝部12を浸漬させることによっても、同様の
効果が得られる。さらに、上記実施例では、溶融合金槽
1を鋳型10の下に配置し、下から上に溶融合金2を吸
引して付着しているが、溶融合金を鋳型の上から滴下
し、付着させる方法も可能である。
【0013】本発明の電池用電極基板の製造法による
と、溶融合金2を円筒形鋳型10の溝部12に吸着さ
せ、瞬間的に固化成型するため、急冷効果により合金結
晶が緻密となり、腐食防止に大きな効果がある。この製
造法を窒素ガスや不活性ガス雰囲気下で行えば、溶融合
金表面の酸化膜を低減することができ、ロスを少なくで
きるため、より好ましい状態で成型できる。円筒形鋳型
10の溝部12の幅を拡大すれば、無地シートを製造す
ることもできる。また、上記実施例では円筒形の鋳型を
用いたが、同様に、柱面に形成された溝部、および溝部
底面に形成された多孔体層を有する中空の六角柱や八角
柱といった多角柱の鋳型を用いても同様の効果が得られ
ることは明白である。さらに、平板形の鋳型を用いて、
吸着成型することも同様である。
【0014】溝部12の断面形状を、図3または図4の
(a)に示すようにテーパ状としたり、あるいは三角溝
とすることもでき、この場合、成型体の鋳型からの分離
時等の作業性は向上する。また、溝部12の深さを変え
ることによって、薄い電極基板でも、厚い電極基板でも
製造できるメリットがある。さらに、型が単型であるた
め、吸着する溝部12の形状により、扇形、斜線状、円
形パンチ穴状、枠体状等、任意の形状の電極基板を得る
ことができる。このとき、極板格子に膜やバリが発生す
ることがあるが、砂粒子等を圧縮空気によって吹きつけ
るサンドブラスト法等で極板格子を処理することによ
り、容易に除去することができる。また、方式がシンプ
ルなため、設備投資が他の工法に比べて非常に安価であ
る。エキスパンド方式や、プレス方式のような基板シー
トの製造の必要がなく、製造工程が短縮され、大幅なコ
ストダウンが図れる。さらに、生産性が高く、工業的に
多大な効果がある。
【0015】
【発明の効果】本発明によると、電池用電極基板の生産
性および品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による電池用電極基板製造装
置の模式的な側面図である。
【図2】同電池用電極基板製造装置の平面図である。
【図3】本発明の一実施例の電極基板用鋳型の要部の縦
断面図である。
【図4】本発明の他の実施例の電極基板用鋳型を示す図
であり、(a)は要部の縦断面図、(b)は同平面図で
ある。
【図5】本発明の他の実施例による電池用電極基板製造
装置の模式的な側面図である。
【符号の説明】
1 溶融合金槽 2 溶融合金 3 吸引ポンプ 4 分離部 5 冷却シャワー 6 真空配管 7 真空ポンプ 8 基板シート 9 モータ 10 円筒形鋳型 11 中空部 12 溝部 13 多孔質焼結体 14 円筒面 15 めっき層 16 多孔体層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 25/04 B22D 11/06 H01M 4/73

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 得ようとする電極基板に対応する形状の
    溝部を表面に有するとともに、前記溝部の交差する位置
    の底面に部分的に吸引手段に連通した通気性を有する多
    孔体層を具備する電極基板用鋳型。
  2. 【請求項2】 前記多孔体の孔径が300μm以下であ
    る請求項1記載の電極基板用鋳型。
  3. 【請求項3】 円筒状の構造を有し、前記円筒の円筒面
    に前記溝部を具備するとともに前記円筒の中心軸に回転
    軸を具備する請求項1記載の電極基板用鋳型
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