JP5329805B2 - 植物生長促進剤の製造方法及びこの製造方法を用いて得られる植物生長促進剤 - Google Patents

植物生長促進剤の製造方法及びこの製造方法を用いて得られる植物生長促進剤 Download PDF

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Description

本発明は、植物生長促進剤の製造方法及びこの製造方法を用いて得られる植物生長促進剤に関する。更に、本発明は、前記植物生長促進剤を肥料に混合することにより植物の生育に効果ならしめる植物生長促進剤に関する。
近年、日本では家庭において植物の栽培、農作、園芸やガーデニング(以下、ガーデニング等という)が盛んに行われている。これらガーデニング等の場合、植物の栽培の規模は、農家の農地に比べて小規模で、植物間の間隔が狭くなるのが通常である。植物間の間隔が狭い場合、植物は大きく生育しにくい環境となり、ガーデニング等より多くの収穫物や優れた観賞物を得たい場合には、その目的に応じて植物を効率よく生育させることが重要な課題となっている。
一方、専業農家では、最終的に野菜、果物、観賞用の花卉等の植物を商品として取り扱うため、植物の大きさ、品質及び収穫量が重要な課題となっている。
従来の多数の植物生長促進剤は、家畜動物の糞尿を発酵させたもの、植物エキス等を原料とするものであった。しかしながら、これらの植物生長促進剤は、植物の種類により促進効果にばらつきがあり、ある程度の効果は得られるものの、顕著な生育促進効果を得ることは難しかった。また、独特の臭いがあり、使用するに際し、抵抗があった。それらにより従来の植物生長促進剤は、費用対効果が悪く、専業農家或いは家庭でのガーデニングでの使用を躊躇する原因となっていた。
ところで、本発明者は、以前から、焼却灰を水酸化ナトリウム水溶液と水熱反応させることにより得られた人工ゼオライトを共同開発し、種々の研究を行ってきた(特許文献1〜5)。近年では、人工ゼオライトを土壌改良剤又は砂漠の緑化促進剤等に使用する試みも行われている(特許文献6〜8)。しかしながら、人工ゼオライトを用いた発酵肥料については知られていない。
特開2005−231906号公報 特開2003−238146号公報 特許登録第3476123号公報 特許登録第3420055号公報 特許登録第3370267号公報 特開2007−002007号公報 特開2005−281477号公報 特開2002−84877号公報
本発明は、従来の植物生長促進剤と比べて植物の顕著な生育促進効果が期待できる植物生長促進剤を低コストで効率よく製造することができる植物生長促進剤の製造方法及び該製造方法により得られる植物生長促進剤並びに該植物生長促進剤を肥料に混合することにより植物の生育に効果ならしめる植物生長促進剤を提供することにある。
即ち、本発明は、発酵槽100容量%中に、カラギーナン3〜6容量%、人工ゼオライト3〜6容量%、シリカブラックと珪酸ジルコニウムの超微細粉体の混合物3〜7容量%、魚から取り出した内臓を撹拌・混合して得られたペプチドとアミノ酸の濃縮液14〜16容量%及び黒糖溶液9〜11容量%を添加・混合し、15〜40℃で通気しながら10日から20日好気発酵させる工程を有する植物生長促進剤の製造方法を特徴とする。
また、前記カラギーナンが、カラギーナン原藻をアルカリ処理して得られる粗カラギーナンである植物生長促進剤の製造方法を特徴とする。
更に、前記人工ゼオライトが、カルシウム型、鉄型、マグネシウム型又はカリウム型のいずれか或いはそれらを併用したもので、且つイオン交換容量の数値が合成ゼオライトの数値と同等に高い植物生長促進剤の製造方法を特徴とする。
また、前記が、アジ、イワシ、カツオ又はサバいずれか或いはそれら2種以上である植物生長促進剤の製造方法を特徴とする。
更に、前記植物生長促進剤の製造方法を用いて得られる植物生長促進剤を特徴とする。
また、酵母菌及び乳酸菌からなる群より選ばれる1種以上の菌体を含む植物生長促進剤を特徴とする。
本発明を用いることで、従来の植物生長促進剤と比べて植物の顕著な生長促進効果が期待でき、且つ植物生長促進剤を低コストで効率よく製造することが可能となった。また、ホルミシス超微細粉体を混合することにより、発酵に要する時間を大幅に短縮することができると同時に、魚内臓分解濃縮液の独特の生ぐさ臭や黒糖溶液の臭を完全に除去することが可能となった。更に、本発明の植物生長促進剤を土壌や砂漠に散布或いは植物生長促進剤を混合した肥料を与えることで、各種の有用植物の生長を促進して、その収量を顕著に向上し、且つ観賞に優れた花卉等を得ることが可能となった。
以下、本発明を実施例に沿って詳細に説明する。
本発明の植物生長促進剤の製造方法は、カラギーナン、人工ゼオライト、マイナスイオンを大量に発生するホルミシス超微細粉体、魚内臓分解濃縮液及び黒糖溶液を混合し、好気発酵させる工程を有することを特徴とする。
前記カラギーナンとは、紅藻類の中で、カラギーナン原藻と呼ばれる海藻から抽出される増粘多糖類をいう。カラギーナン原藻としては、「アイルランド苔」(学名Chondrus crispus、和名ヤハズツノマタ、トチャカ)と呼ばれるツノマタ属の紅藻、別のツノマタ属、スギノリ属の紅藻、及びミリン科のキリンサイ属の紅藻等が挙げられる。本発明のカラギーナンは、これらのカラギーナン原藻から抽出されたものを使用する。このような抽出物としては、その抽出方法により、粉末カラギーナン、λカラギーナン、κカラギーナンに大別されるが、これらのカラギーナンは、食品その他の工業でゲル化剤、増粘剤及び安定剤等として使われるものであればよい。
中でも、前記カラギーナンとしては、カラギーナン原藻をアルカリ処理して得られる粗カラギーナンであることが好ましい。粗カラギーナンは、前記カラギーナン以外の海藻成分であるフコイダン、アルギン酸等を含有している。粗カラギーナンを用いた場合には、カラギーナン以外の海藻成分による作用効果も発揮されるという利点がある。
前記アルカリ処理とは、例えば、原藻を風乾又は天日乾燥し、冷水で洗浄して汚れや付着物を除いた後、適量の弱アルカリ中で加熱抽出する方法をいう。このようにアルカリ処理を行うことで、カラギーナンの塩型を調整することができ、得られるカラギーナンの物性を所望のものとなるように調整することができる。
前記カラギーナンとしては、土壌環境を整えるという観点から、フコイダンを乾物重量で10重量%以上含有するものが好ましい。
また、前記カラギーナンとしては、土壌環境を整えるという観点から、アルギン酸を乾物重量で10重量%以上含有するものが好ましい。
本発明に用いられる人工ゼオライトは、焼却灰を水酸化ナトリウム水溶液と水熱反応させることにより得られたものである。本発明ではかかる人工ゼオライトを用いることにより、好気発酵時には、発酵条件(特にpH条件)を好適に整え、土壌へ植物生長促進剤を添加した場合には、土壌改質も期待できるため好ましい。従って、本発明の植物生長促進剤には、pH調整剤を配合しなくとも、発酵条件を好適に保つことができるという利点がある。前記人工ゼオライトは、本発明者が以前に提出した特許文献1乃至5に記載の方法に準じて製造することができる。
中でも、前記人工ゼオライトとしては、発酵条件を適度に保つことができる観点から、カルシウム型、鉄型、マグネシウム型又はカリウム型のいずれかであることが好ましく、更に、これら4種を略同量で併用することがより好ましい。また、イオン交換容量の数値は、通常の人工ゼオライトでは180〜300meq/100gであるが、本発明の人工ゼオライトは合成ゼオライトの数値と同等程度に高い400〜600meq/100gの数値のものを得ることができ、その使用により効果を高めることが可能である。
前記マイナスイオンを大量に発生するホルミシス超微細粉体としては、マイナスイオンを発生する天然鉱石の超微細粉体に、該マイナスイオンの発生量を顕著に増加することを励起させる放射線含有の超微細粉体を混合したものである。天然鉱物には、そのままの状態でも僅かながらマイナスイオンを発生するものがある。しかし、それだけでは微弱であり、効果は期待できない。そこで、それらの超微細粉体に、低線領域の放射性材料を混合することにより、当該マイナスイオンの発生量を著しく増加させ、生体にとって有効なホルミシス効果を得ることが可能となる。
ホルミシス効果とは、微弱な放射線を放射することにより、生体細胞を活性化させ、その免疫力を向上させるものである。この低線領域の放射性材料が放射する微弱な放射線により、マイナスイオンを効率よく発生するとともに、ホルミシス効果に基づく活性化作用を生体にもたらすことになる。更に、波長4〜14μmの赤外線は、育成光線とも称され、生体の細胞に共鳴してこれを活性化することがわかっている。そこで、本発明に使用する天然鉱石は、特に前記波長となる赤外線の放射率が95%以上となる材料を選定採用することにより、一層の効果を奏することになる。
上記に使用する天然鉱石及び低線領域の放射性材料は、殺菌、脱臭、空気清浄化等の効果を奏するものである。更に、希土類元素を含む材料を混合することにより、微弱な放射線をより一層励起することができる。
希土類元素とは、周期律表のA3族に属する元素であり、ランタン(La)からテルシウム(Lu)までの15元素にイットリウム(Y)とスカンジウム(Sc)を加えた合計17元素の総称である。希土類元素の単体及び化合物は、合金や触媒等に用いられるほか、磁性や誘電性を利用した用途も多い。
更に、必要によっては、光を吸収することにより励起された価電子帯の電子が外部の物質と反応することにより殺菌、脱臭、空気清浄化等の効果を有するチタン酸化物を混合して一層の格別なる効果を奏することができる。
前記の通り、本発明に使用するホルミシス超微細粉体は、マイナスイオンの発生、ホルミシス効果及び育成光線を発生し、更に、殺菌、脱臭等を達成することを可能とする材料を選択したものである。上記マイナスイオンを発生する天然鉱石の超微細粉体は、10μm以下の粉体で、望ましくは1μm以下の通称シリカブラックが採用される。その他として、電気石、麦飯石、赤石膏等が採用できる。
また、低線領域の放射線を放射する超微細粉体は、10μm以下の粉体で、珪酸ジルコニウム等の珪酸系の鉱石を採用する。ラドン鉱等の天然のトリウムやウランを極微量に含む鉱物であればそれらも採用することができる。
更に、希土類元素を含む超微細粉体材料としては、前述の元素材料のいずれかを10μm以下の粉体として採用する。更に、チタン酸化物を含むセラミックも10μm以下の超微細粉体となるものを採用する。
シリカブラックと珪酸ジルコニウムは、ほぼ同量を混合する。また、希土類元素材料を混合する場合は、前者のほぼ半量を混合する。更に、チタン酸化物は、前者と同量程度混合する。
一例として、100容量%中、シリカブラック35〜55容量%、珪酸ジルコニウム20〜40容量%、希土類元素材料15〜30容量%及びチタン酸化物20〜40容量%とする。
本発明に用いられる前記魚内臓分解濃縮液とは、魚から取り出した内蔵を原料として撹拌・混合した後、抽出した液を自己消化で分解したペプチドとアミノ酸の濃縮液をいう。前記抽出方法及び自己消化方法としては、公知の方法であればよい。例えば、魚の加工を行う会社より、魚の内臓を購入し、これを所定の大きさの撹拌装置で撹拌・混合し、混合液から液体成分を抽出し、そのまま所定の温度条件下で静置することで、内臓に含まれる酵素により自己消化を行い、魚ペプチドとアミノ酸に富む液体を得ることができる。この液体を公知の方法で濃縮することにより魚内臓分解濃縮液が得られる。また、濃縮の程度は特に限定はない。
原料の魚としては、特に限定されるものではないが、低コストで、重量あたりのアミノ酸成分が豊富で発酵しやすいものという観点から、アジ、イワシ、カツオ又はサバいずれか或いはそれらを併用したものであることが好ましい。
本発明においては、前記魚内臓分解濃縮液を用いることで、植物の成長、根の育成、芽だし等に促進効果を付与するという利点がある。
上記魚内臓分解濃縮液のみではそれらによる独特の生ぐさ臭があるが、前記したマイナスイオンを大量に発生するホルミシス超微細粉体は、脱臭作用に優れており、下記するように当該ホルミシス超微細粉体と混合することにより生ぐさ臭を完全に除去することが可能となる。
また、本発明に用いられる前記黒糖溶液としては、市販されている黒糖を水に溶解させた水溶液であればよい。黒糖溶液中の黒糖濃度としては、混合が容易という観点から、9〜11重量%であることが好ましい。また、廃糖蜜も使用できる。前記黒糖溶液中には、発酵条件の変化を抑える観点から、黒糖のみを水に溶解させたものを用いることが好ましい。
本発明の植物生長促進剤の製造方法としては、例えば、発酵槽100容量%中、カラギーナン3〜6容量%、人工ゼオライト3〜6容量%、マイナスイオンを大量に発生するホルミシス超微細粉体3〜7容量%、魚内臓分解濃縮液14〜16容量%及び黒糖溶液9〜11容量%を添加・混合し、15〜40℃で通気しながら10日から20日好気発酵させる工程を有する。
発酵槽としては、通気が可能なものであれば、発酵槽の容積、形、材質等に特に限定はない。ただし、雑菌の混入を防ぐ観点から、発酵槽は気密性に優れたものであることが好ましい。
また、前記発酵槽に通気させる空気量としては、発酵物の量に応じて決定すればよい。
前記発酵時の温度条件としては、室温であればよく、15〜40℃が好ましい。25℃付近であることがより好ましい。例えば、前記発酵槽を屋外におく場合、春季〜秋季までは温度調整を行う必要はないが、冬季では気温が低くなりすぎると発酵が進みにくいという観点から、発酵槽内の温度が15〜40℃になるように、暖気した空気を通気させて温度調整することが好ましい。
前記発酵の期間としては、10日から20日、好ましくは15日から20日である。1ヶ月を超えて発酵を行ってもよいが、その場合、コストがかかる上、腐敗しやすいという不利な点がある。また、10日未満となると、発酵が未成熟な場合が多いため、植物生長促進剤としての性能が十分に発揮できず好ましくない。
前記のようにして得られる本発明の植物生長促進剤中には、酵母菌又は乳酸菌からなる群より選ばれる1種以上の菌体が含まれる。本発明では、前記発酵時、特定の発酵用の菌体を用いる必要はなく、各成分において、中でも魚内臓分解濃縮液中に存在する魚酵母菌又は乳酸菌を利用すればよい。
また、本発明の植物生長促進剤には、作用を阻害しない成分であれば他の成分を含有してもよい。
上記のようにして得られる前記植物生長促進剤は、肥料中に含有させることで植物の生育をよリ促進することができる。従って、本発明は、前記植物生長促進剤を含有する肥料を含むものである。
なお、肥料中の前記植物生長促進剤の量としては、植物種の耕地面積あたりに施肥する肥料の量に応じて決定すればよい。
また、本発明の植物生長促進剤は、液肥又は追肥としても使用することができる。例えば、本発明の植物生長促進剤を、対象植物に対して葉面散布であれば4,000〜10,000倍程度に水等の液体に希釈したものを液肥、追肥として、2〜4回/月で使用することができる。
従って、本発明は、前記植物生長促進剤を肥料中に混合したものを使用することにより植物の生育手段とすることができる。
本発明の植物生長促進剤は、窒素源としてアミノ酸、淡白質を主体としているため、魚粉、大豆粕、なたね油粕等と同等以上の効力が期待でき、また流亡、脱窒が少なく効果の持続性に優れた、環境保全型肥料である。
また、本発明の植物生長促進剤は、特定の成分を混合し、発酵・熟成を施すことで、窒素、リン酸、カリウムという植物の生育に必須の成分に加え、各種微量要素、酵素等を含有しているため、従来の植物生長促進剤に比べて、植物の生育増進に十分な効果がある。
また、本発明の植物生長促進剤では、発酵により増加させた微生物の働きにより、土壌の団粒化構造を促進させ、透水性、保水性、通気性を改善させることで、植物の根張りを効率よく行うことができる。
カラギーナン粉末(ノルウェー製)5容量%、人工ゼオライト(商品名「シンデレライト」、カルシウム型、鉄型、マグネシウム型及びカリウム型をそれぞれ同量混合)5容量%、マイナスイオンを大量に発生するホルミシス超微細粉体としてシリカブラックと珪酸ジルコニウムの超微細粉体を混合した5容量%、魚内臓分解液(静岡県焼津漁協より入手したアジ、イワシ、カツオ及びサバの内臓を取り出して混合・抽出した液状物)15容量%、10%黒糖溶液10容量%となるように、発酵槽(1トン容量)に添加・混合した。次いで、撹拌せずに、室温の空気を約20m/分で発酵槽の底部から通気した。通気は、20日間行って発酵物を得、これを植物生長促進剤とした。
植物生長促進剤は、黒色の液状物で、そもそもは臭いが強いものであるが、魚内臓分解濃縮液及び黒糖の臭いを完全に抑えることができ、漬物や発酵食品のような独特の発酵臭が完全に抑えられたものとなった。
なお、前記カラギーナンは、カラギーナン原藻をアルカリ処理したもので、フコイダンを10重量%、アルギン酸を10重量%含有していた。
また、前記発酵槽は、通常の好気発酵に用いられるものであればよく、気密性に優れたもので、通気可能なようにバブリング装置と、撹拌装置が底部に配置されたもの或いは邪魔板が設置されたものである。前記バブリング装置には温度調整された空気が連通されるように送気装置が接続されている。
また、実施例1で得られた植物生長促進剤は、いずれも有毒性のある成分を原料として使用していないことから、安全性に優れたものであることがわかる。
(アスパラガスの生産)
実施例1で得られた植物生長促進剤を用いて、以下の手順でアスパラガスの生産を行った。
1.佐賀県に設置した約1,000mのハウス内にある、アスパラガスを定植している土壌表面に、元肥としてウズラ発酵糞を15kg×13袋を散布した
2.以降、1週間に2回、実施例1で得られた植物生長促進剤を水道水で300倍に希釈した液肥を3.3mあたり8〜10L散布した。この作業を3ヶ月続けた。
3.2.の後、続いて、実施例1で得られた植物生長促進剤を水道水で500倍に希釈した液肥を1ヶ月に2回、3.3mあたり10L散布した。
4.収穫は、年に2回行い、春芽(4月頃)、夏芽(7〜8月頃)と行い、10aあたり5,800〜7,200kg得た。この収量は従来の液肥を使用した場合の収量と比べると約6倍であり、本発明の植物生長促進剤に顕著な生長促進作用があることがわかる。
また、収穫したアスパラガスは、外観もよく、通常の方法で調理したところ食味もよかった。
(米の生産)
実施例1で得られた植物生長促進剤を用いて、稲作を行った。以下に育成段階毎の使用例とその効果をまとめる。
(1)育苗期
実施例1で得られた植物生長促進剤を水道水で10,000倍に希釈した液肥(以下、液肥と略す)に、播種前の種を2回(1回あたり24時間)浸漬させた。
次いで、播種した育苗箱(30×60cm)に前記液肥400mLを散布した。発芽後にも前記液肥を施した。
以上の作業により、苗が健全に育成し、根張り・樹勢がよくなることがわかった。
(2)成長・収穫期
本圃に苗を定植後、葉面散布として3,000〜5,000倍に希釈した液肥を200L/10aで、5〜7月に各1回ずつ行ったところ、幹が太くなり、色も良好になった。また、生長した稲は、倒伏しにくく、米を収穫した後の米飯とした場合の食味を複数のモニターに確認しところ、全員が顕著に向上しているという回答であった。
また、無農薬栽培を行っている本圃で前記植物生長促進剤を使用した場合には、害虫が寄り付きにくく、いもち病等の病害も発生しなかったことから、植物の病害に対する抵抗力も向上させることが示唆された。収穫量は通常の約2割増となった。
また、葉面散布の代わりに、田に流し込む水200Lあたり前記植物生長促進剤70〜700g程度を混入させた場合でも上記と同様の効果が得られた。
本発明の植物生長促進剤を用いることで高品質で栄養価の高い、商品性に優れた有用植物を生育することができる。前記有用植物としては、例えば、キュウリ、イチゴ、トマト、メロン、スイカ、白菜、ダイコン、ホウレンソウ、トウモロコシ、ニンジン、ジャガイモ、キャベツ、アスパラガス、タマネギ、ペチュニア、茶、米、麦、観賞用植物等が挙げられる。
また、本発明の植物生長促進剤は、前記有用植物における発芽・発根等の生長促進効果に加えて、食味・糖度・実の肥大等の品質向上効果、収量増加効果、樹勢回復効果、病害予防効果等のさまざまな植物の成育をサポートする効果を有するため、多くの生育段階の植物に使用することができる。
また、本発明の植物生長促進剤は、人工ゼオライトにより土壌の改質効果を有するため連作障害が生じにくく、上記のように植物の根張りも促進することができるため、化学肥料の多用により疲弊した土壌や植物間が狭い環境下でも好適な栽培を可能にし得ることがわかった。

Claims (6)

  1. 発酵槽100容量%中に、カラギーナン3〜6容量%、人工ゼオライト3〜6容量%、シリカブラックと珪酸ジルコニウムの超微細粉体の混合物3〜7容量%、魚から取り出した内臓を撹拌・混合して得られたペプチドとアミノ酸の濃縮液14〜16容量%及び黒糖溶液9〜11容量%を添加・混合し、15〜40℃で通気しながら10日から20日好気発酵させる工程を有することを特徴とする植物生長促進剤の製造方法。
  2. 前記カラギーナンが、カラギーナン原藻をアルカリ処理して得られる粗カラギーナンであることを特徴とする請求項1記載の植物生長促進剤の製造方法。
  3. 前記人工ゼオライトが、カルシウム型、鉄型、マグネシウム型又はカリウム型のいずれか或いはそれらを併用したもので、且つイオン交換容量の数値が合成ゼオライトの数値と同等に高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の植物生長促進剤の製造方法。
  4. 前記魚が、アジ、イワシ、カツオ又はサバいずれか或いはそれら2種以上であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1に記載の植物生長促進剤の製造方法。
  5. 請求項1乃至のいずれか1に記載の植物生長促進剤の製造方法を用いて得られることを特徴とする植物生長促進剤。
  6. 酵母菌及び乳酸菌からなる群より選ばれる1種以上の菌体を含むことを特徴とする請求項記載の植物生長促進剤。
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