JP5327842B2 - 導電性高分子製造用酸化剤、それを用いた固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

導電性高分子製造用酸化剤、それを用いた固体電解コンデンサ及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は導電性高分子製造用酸化剤に関し、より詳しくは固体電解コンデンサの固体電解質として好適な導電性高分子層の形成時に使用し、高容量かつ低等価直列抵抗(以下、「ESR」と表す。)を示し、耐熱性に優れた固体電解コンデンサの製造に資する導電性高分子製造用酸化剤に関する。さらに、該酸化剤を使用してなる固体電解コンデンサ及びその製造方法に関する。
導電性高分子は、高い導電性を有するため、例えば、アルミニウム電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサなどの固体電解質として有用である。
前記導電性高分子としては、例えば、ピロール又はその誘導体あるいはチオフェン又はその誘導体等を化学酸化重合または電解酸化重合することによって得られたものが知られている。
前記ピロール又はその誘導体あるいはチオフェン又はその誘導体の化学酸化重合を行う際のドーパントとしては主に有機スルホン酸が用いられ、その中でも、芳香族スルホン酸を用いることが知られている。また、重合用酸化剤としてはそれら芳香族スルホン酸の遷移金属塩が用いられ、その中でも第二鉄塩を用いることが知られている。
特許文献1には、芳香族スルホン酸第二鉄塩であるp−トルエンスルホン酸第二鉄塩を酸化剤として使用し重合した導電性高分子層を固体電解質とするコンデンサが開示されている。
しかし、p−トルエンスルホン酸第二鉄塩を使用し、導電性高分子層を形成した固体電解コンデンサは、長期間高温に曝されると静電容量の低下や、ESRの増大を発生しやすく、耐熱性に欠けるという問題があり、さらなる耐熱性の向上が求められている。
特許文献2には高濃度かつ低粘性の酸化剤を使用することで、等価直列抵抗を低下せしめる固体電解コンデンサの製造方法が開示されている。
該文献によれば、従来高濃度の酸化剤溶液を用いることで導電性高分子の重合効率を向上させ、導電性高分子層の電気伝導度を高め、固体電解コンデンサのESRを低下できることが記載されている。
しかしながら、従来知られている酸化剤溶液の酸化剤濃度を向上させると、酸化剤溶液の粘度も急激に向上し、導電性高分子層形成工程における酸化剤溶液の取扱いが極めて困難になる問題点が指摘されている。
このような問題に鑑み、該文献においては酸化剤の溶媒を低粘性のものに変え、酸化剤濃度を高濃度に維持したまま、酸化剤の取扱い性を向上させる技術が開示されている。
上記特許文献2によれば、上記構成の酸化剤溶液を用いることで初期特性に優れた固体電解コンデンサが得られるが、長期使用におけるコンデンサ特性の安定性が不十分であり、さらなる信頼性、耐熱性の向上が求められている。
さらに、当該文献に酸化剤溶液の溶媒として具体的に開示されているプロピルアルコールあるいはエチルアルコールは、比較的低沸点であるため、加熱重合時に急激かつ局所的な重合反応を招来する、酸化剤溶液の保存安定性に支障を来す、等のおそれがあることが指摘されている。
特開平02−015611号公報 特開2003−272953号公報
一般に、化学重合法を用いてコンデンサ素子に導電性高分子層を形成する工程では、有機スルホン酸系金属塩等を酸化剤とする酸化剤溶液と、チオフェン系等のモノマーとを混合して混合液を作製し、該混合液をコンデンサ素子に含浸させた後、コンデンサ素子を乾燥させることによって導電性高分子層をコンデンサ素子に形成、あるいはコンデンサ素子をモノマー溶液と酸化剤溶液に浸漬し、乾燥することを繰り返すことによって導電性高分子層をコンデンサ素子に形成している。
しかしながら、従来知られている酸化剤は、酸化剤溶液の濃度が高くなるにつれて酸化剤溶液の粘度が急激に高くなるため、50重量%を超える濃度の酸化剤溶液を用いると、コンデンサ素子への含浸性が悪くなり、かつ、重合速度が向上するため、微細な空隙を有する多孔性コンデンサ素子内部へ重合液が浸入し難くなり、取り扱いの面で問題がある。
本発明の目的は、固体電解質に導電性高分子を有した固体電解コンデンサの製造に資する新規な導電性高分子製造用酸化剤を提供することであり、高濃度かつ低粘性を示し、取り扱いに優れた酸化剤を提供することである。
また、そのような酸化剤を用い、高静電容量、低ESR等の電気特性に優れ、かつ、耐熱性に優れた固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することである。
本発明者等は鋭意検討し、分岐鎖状アルキル基を有するベンゼンスルホン酸誘導体の第二鉄塩を使用することで、著しく耐熱性に優れた固体電解コンデンサが得られることを見出した。
さらに、驚くべきことに当該ベンゼンスルホン酸誘導体の第二鉄塩を高濃度に溶解させた酸化剤溶液は、その濃度が50重量%以上であるにもかかわらず、粘性が低く、重合速度が制御された酸化剤溶液となることを見出し、そのような酸化剤溶液を用いることで高容量かつ低ESRの固体電解コンデンサが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に示すものである。
第一の発明は、一般式(1)、
Figure 0005327842
(式中、Rは分岐鎖状アルキル基を示す。)
で示されるベンゼンスルホン酸誘導体の第二鉄塩を含む導電性高分子製造用酸化剤である。
第二の発明は、Rが、1−メチルエチル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、又は2−エチルブチル基であることを特徴とする第一の発明に記載の導電性高分子製造用酸化剤である。
第三の発明は、第一又は第二の発明に記載の導電性高分子製造用酸化剤が、n−ブタノールに50重量%以上溶解されてなることを特徴とする導電性高分子製造用酸化剤溶液である。
第四の発明は、第三の発明に記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液の水分含有量が3.0重量%未満であることを特徴とする導電性高分子製造用酸化剤溶液である。
第五の発明は、第三又は第四の発明に記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液を用いて重合した導電性高分子を固体電解質として用いることを特徴とする固体電解コンデンサである。
第六の発明は、導電性高分子モノマーと酸化剤溶液との混合液をコンデンサ素子に含浸させることにより、又は導電性高分子モノマー溶液と酸化剤溶液とをコンデンサ素子に含浸させることにより、
モノマーと酸化剤を重合反応させて導電性高分子層をコンデンサ素子に形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法において、第三の発明又は第四の発明に記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液を用いて重合した導電性高分子を固体電解質として用いることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法である。
本発明の導電性高分子製造用酸化剤は、導電性及び耐熱性に優れた導電性高分子を与えることができる。
また、本発明の導電性高分子製造用酸化剤を用い、導電性高分子層を形成した固体電解コンデンサは低ESRかつ高容量を示し、耐熱性に優れた固体電解コンデンサとなる。
本発明の導電性高分子製造用酸化剤としては、ベンゼンスルホン酸誘導体の金属塩が用いられ、ベンゼンスルホン酸誘導体としては下記一般式(1)で示されるものである。
Figure 0005327842
上記一般式(1)中のRは分岐鎖状アルキル基を示す。
上記一般式(1)中の分岐鎖状アルキル基を有するベンゼンスルホン酸誘導体は、導電性高分子中にドーパントとして取り込まれることによって高導電性の導電性高分子を与え、かつ該ドーパントを有する導電性高分子は該ドーパントの脱離が生じにくく、極めて耐熱性に優れたものとなる。
また、上記一般式(1)中のベンゼンスルホン酸誘導体の金属塩は溶媒への溶解性に優れるため、高濃度の酸化剤溶液を容易に調整することができる。
上記一般式(1)中の分岐鎖状アルキル基の具体例としては、好ましくは、1−メチルエチル基(iso−プロピル基)、1,1−ジメチルエチル基(t−ブチル基)、1−メチルプロピル基(sec−ブチル基)、1,1−ジメチルプロピル基、2−メチルプロピル基(iso−ブチル基)、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基(iso−アミル基)、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基からなる群から選ばれる分岐鎖状アルキル基が挙げられる。
これらの中でも、1−メチルエチル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基及び2−エチルブチル基からなる群から選ばれる分岐鎖状アルキル基が、酸化剤溶液とした際の粘性あるいは溶解性の面から好ましく、より好ましくは、1−メチルエチル基である。
上記一般式(1)中のベンゼンスルホン酸誘導体と金属塩を形成する金属としては、好ましくは遷移金属であり、具体的には、鉄(III)、銅(II)、クロム(VI)、セリウム(IV)、マンガン(IV)、マンガン(VII)、ルテニウム(III)及び亜鉛(II)が挙げられ、より好ましくは鉄(III)である。
本発明の酸化剤は、有機溶剤に溶解した酸化剤溶液として用いることが好ましい。当該有機溶剤としては、上記ベンゼンスルホン酸誘導体金属塩の溶解性の面からアルコールを好ましく使用することができる。該アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール及びアミルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコールが挙げられる。これらアルコールは、単独で用いることができるが、2種以上併用し混合溶媒とすることもできる。
これらの中でも、高濃度に調整した場合の酸化剤溶液の保存安定性の面から、n−ブタノールを主溶媒とするものが特に好ましい。
前記溶媒に溶解させる酸化剤濃度は少なくとも50重量%以上であり、より好ましくは50〜65重量%の範囲のものである。本発明の酸化剤は、n-ブタノール中でも50重量%以上と高濃度でも安定性を保つことができ、かつ、50重量%を超える濃度においても、低粘性を示す。
酸化剤溶液として使用する際には、上記保存安定性を損なわない程度に、副溶媒が添加されたものでも良い。
該副溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコール、プロピレングリコール類等のグリコール類等を添加することができる。
また、本発明の酸化剤は、好ましくは水分を少量含んでなることを特徴とする酸化剤溶液である。水分を含有することで重合速度を適切に制御することができ、重合効率を向上することができる。
水分含有量としては、好ましくは3.0重量%未満であり、より好ましくは0.01〜2.0重量%含むものである。水分含有量が0.01重量%に満たない場合、重合速度が速すぎて微細な多孔質孔内に重合溶液が含浸する前に重合反応が開始してしまい、容量出現率あるいはESRが低下する場合がある。また、水分含有量が2.0重量%を超える場合、重合効率が低下し、ESRが増大する場合がある。
次に、本発明の酸化剤の製造方法について、鉄塩を例に挙げて説明する。
上記一般式(1)で示されるベンゼンスルホン酸誘導体の水溶液に、酸化鉄を加え、撹拌後、ろ過により、未反応酸化鉄及び不純物を除去した後、水を除去し目的とするベンゼンスルホン酸誘導体第二鉄塩を得る。
反応に用いるベンゼンスルホン酸誘導体の水溶液濃度は40〜80%の濃度のものを用いることができる。
また、加える酸化鉄の量は、ベンゼンスルホン酸誘導体に対し、概ね当量加える。
通常、反応は100〜120℃にて5〜72時間行うことにより、目的とするベンゼンスルホン酸誘導体第二鉄塩を生成させることができる。
反応終了後、得られる反応液をろ過し、ろ液を濃縮、脱水する。
酸化剤溶液中の水分量はこの濃縮工程にて適宜コントロールすることができる。
また、脱水工程中に酸化剤の溶媒であるn−ブタノール等を添加し、濃縮することによって所定酸化剤濃度の酸化剤溶液とすることができる。さらに、脱水工程中に、エーテル化合物等の低沸点溶媒を加え、水、アルコール、エーテル化合物として共沸させながら脱水してもよい。
この脱水工程を複数回繰り返すことで、所望の水分含有量に調整することができる。
次に、本発明の酸化剤を用いる固体電解コンデンサの製造方法について説明する。まず、巻回型コンデンサの場合を例にとり説明する。
まずアルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン等からなる弁作用金属表面に酸化皮膜を形成した陽極箔及び対向陰極となる金属製の陰極箔を準備する。帯状の陽極箔と陰極箔とを、帯状の絶縁性のセパレータを介して巻回して作製された巻回部を具備した素子を準備する。
素子への導電性高分子層への形成は該素子の巻回部に、本発明の酸化剤溶液と導電性高分子モノマーとの混合液を含浸させ、乾燥し、素子内で重合反応させることによる。
該素子部への重合液の含浸は、導電性高分子モノマー溶液と酸化剤溶液とを混合液とせず別途に含浸させても良い。
なお、この含浸、乾燥工程は繰り返し行っても良い。
導電性高分子モノマーとしては、チオフェン系の導電性高分子材料、ピロール系又はアニリン系の導電性高分子材料が使用され、より好ましくは3,4−エチレンジオキシチオフェンである。
酸化剤としては、上記一般式(1)で示されるベンゼンスルホン酸誘導体の第二鉄塩を用いる。
使用する酸化剤の濃度は50重量%以上のものを用い、好ましくは50〜65重量%のものである。使用する酸化剤の濃度が50〜65重量%では、粘度が低く、適切な重合速度をとるためである。好ましい粘度は500mPa・s以下、より好ましくは150mPa・s以下であり、好ましい重合速度は70〜160秒である。また、重合反応させる際のモノマーと酸化剤溶液との重量配合比は、好ましくは1:1〜1:10である。
重合反応は通常45〜150℃にて行い、反応時間は0.5〜5時間とする。
重合後、重合残渣や余剰のモノマー、酸化剤溶液を取り除くために洗浄を行っても良い。その後、金属製ケースに封入し、必要に応じてエージング等の処理を行い、巻回型コンデンサを完成する。
また、チップ型コンデンサの場合を例にとり説明する。
アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン等の弁作用金属の板状箔または焼結体を準備し、この陽極体表面を酸化し誘電体酸化皮膜を形成させた陽極体を準備する。この陽極体に導電性高分子からなる固体電解質層、導電性カーボンを含有するカーボン層、銀ペーストなどからなる陰極引き出し層が順次形成されコンデンサ素子が構成される。
該陽極体の一端面に植立された陽極リード部材に陽極端子が接続され、陰極引き出し層に陰極端子が接続され、コンデンサ素子がエポキシ樹脂などの外装樹脂によって被覆密封され、チップ型コンデンサを完成する。
チップ型コンデンサの場合においても固体電解質層(導電性高分子層)の形成は、上記巻回型コンデンサの場合と同様に行うことができる。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。なお、本発明は本実施例によりなんら限定されない。
(酸化剤1〜7)
98重量%の1−メチルエチルベンゼンスルホン酸(ハンツマン社製)30.7gに水30gを加え、酸化鉄(チタン工業社製)4gを撹拌しながら混合し、温度100℃で24時間還流した。
反応後、水を留去し、n−ブタノール20mlを加え、水と共沸させ、この操作を5回繰り返し、水を留去した。その後、n−ブタノールを加え、1−メチルエチルベンゼンスルホン酸第二鉄/n−ブタノール溶液を得た。
上記で得られた1−メチルエチルベンゼンスルホン酸第二鉄/n−ブタノール溶液の濃度は、0.1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定し濃度を求めた。
その後、所定濃度(各々、30、40、50、55、60、65及び70重量%)となるようn−ブタノール溶液を添加し、酸化剤溶液1〜7を完成した。
なお、各酸化剤溶液中の水分量は、カールフィッシャー法によって測定し、それぞれ0.5重量%であった。
(酸化剤8〜10)
上記酸化剤1〜7の1−メチルエチルベンゼンスルホン酸をp−トルエンスルホン酸に替えた以外は同様の方法で作製した。
〔酸化剤溶液の評価〕
上記工程にて所定の各濃度に調整した酸化剤溶液を準備し、粘度及び重合速度の評価を行った。なお、粘度は振動式粘度計(CBCマテリアルズ社製、VM−100A)を用いて測定した。重合速度は、各酸化剤と3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、「EDOT」と略記する。)をスクリュー管に入れ、20℃サーモプレート上に10分以上保持した。酸化剤とEDOTを5:1(重量比)混合し、10秒撹拌した。その後、直径1mm以上のポリマーの塊が析出するまでの時間を計測し、これを重合速度とした。
なお、この重合速度の測定方法で得られる重合速度の値が概ね70〜160秒であるものが、固体電解コンデンサにおける導電性高分子層の形成に適することが経験的に判っている。測定結果を表1に示す。
Figure 0005327842
表1より、本発明の酸化剤溶液は濃度が50重量%以上であるにも関わらず、粘度が小さく、適切な重合速度を有している。
〔固体電解コンデンサの評価〕
上記で調整した酸化剤溶液と、導電性高分子モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェンとを重量比が6:1となるように加え、18℃サーモプレート上で攪拌し重合溶液を準備した。
上記重合溶液に巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ素子(直径7mm、高さ6mm)を1分間含浸させた。その後45℃で1時間、次いで105℃で15分重合し、さらに105℃で30分、125℃で1時間乾燥し、巻回型コンデンサに導電性高分子層を形成し固体電解コンデンサを完成した。乾燥後、デシケーター中で30分以上保存しLCRメーター(型式名 4284A、Agilent Technologeis製)で静電容量(μF)、ESR(mΩ)を測定した。測定結果を表2及び表3に示す。
Figure 0005327842
表2に示すように、本発明の酸化剤溶液を用いることで、高容量かつ低ESRを示す固体電解コンデンサが得られた。
酸化剤の濃度が高いほどESRが低下する傾向がある。しかし70%に関しては、粘度が高く且つ重合速度が速いため、コンデンサに含浸される前に重合してしまうため、ESRがやや高くなったと考えられる。
Figure 0005327842
*酸化剤4−1〜4−8:1−メチルエチルベンゼンスルホン酸第二鉄塩/n−BuOH溶液(55重量%)
*酸化剤5−1〜5−7:1−メチルエチルベンゼンスルホン酸第二鉄塩/n−BuOH溶液(60重量%)
表3に示すように、水分含有率が低いほどESRが低い傾向がある。水分が増加することにより、重合速度が低下し、未反応EDOT量が増加するためであると考えられる。しかし、0.01重量%以下では0.01〜2.0重量%よりもESRが高い。これは水分が少ないことにより重合速度が大幅に速くなり、重合液がコンデンサに含浸される前に重合してしまうためであると考えられる。以上より、高濃度の酸化剤においては水分含有率0.01〜2.0重量%が好ましい。
〔耐熱性試験の評価〕
上記と同様の方法で巻回型コンデンサに導電性高分子層を形成し、125℃の恒温槽中で負荷電圧4.0V、500時間の耐熱試験を行い、LCRメーター(型式名 4284A、Agilent Technologeis製)で静電容量(μF@120Hz)、抵抗損失:tanδ(%)、ESR(mΩ@100kHz)を測定した。測定結果を表4に示す。
Figure 0005327842
表4に示すように、1−メチルエチルベンゼンスルホン酸第二鉄/n−BuOHを用いた酸化剤4から6では静電容量、tanδ、ESRが安定しているのに対し、p−トルエンスルホン酸第二鉄/n−BuOHを用いた酸化剤8から10では大幅に劣化している。これより、分岐鎖状アルキル基が置換したベンゼンスルホン酸がドーパントとして含有された固体電解質層を有する固体電解コンデンサは熱安定性に優れることがわかる。
本発明の導電性高分子製造用酸化剤を用いて製造した固体電解コンデンサは優れた電気特性を有し、高周波領域で使用される様々なデジタル機器等に適用できる。
また、本発明の導電性高分子製造用酸化剤は、導電性及び耐久性に優れた導電性高分子を与えるため、固体電解コンデンサのみならず、帯電防止処理用途の導電性高分子等の製造に好適に使用することができる。

Claims (3)

  1. 一般式(1)、
    Figure 0005327842
    (式中、Rは1−メチルエチル基を示す。)
    で示されるベンゼンスルホン酸誘導体の第二鉄塩を含む導電性高分子製造用酸化剤が、n−ブタノールに50〜65重量%溶解されてなる導電性高分子製造用酸化剤溶液であって、
    導電性高分子製造用酸化剤溶液の水分含有量が0.01〜2.0重量%であることを特徴とする導電性高分子製造用酸化剤溶液。
  2. 請求項に記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液を用いて重合した導電性高分子を固体電解質として用いることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  3. 導電性高分子モノマーと酸化剤溶液との混合液をコンデンサ素子に含浸させることにより、又は導電性高分子モノマー溶液と酸化剤溶液とをコンデンサ素子に含浸させることにより、
    モノマーと酸化剤を重合反応させて導電性高分子層をコンデンサ素子に形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法において、請求項に記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液を用いて重合した導電性高分子を固体電解質として用いることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
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