JP2002138135A - 導電性高分子製造用酸化剤および導電性高分子 - Google Patents

導電性高分子製造用酸化剤および導電性高分子

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JP2002138135A JP2000334064A JP2000334064A JP2002138135A JP 2002138135 A JP2002138135 A JP 2002138135A JP 2000334064 A JP2000334064 A JP 2000334064A JP 2000334064 A JP2000334064 A JP 2000334064A JP 2002138135 A JP2002138135 A JP 2002138135A
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正明 戸澤
Ryosuke Sugihara
良介 杉原
Daisaku Takasugi
大作 高杉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電性高分子を化学酸化重合により製造する
に際して酸化剤として有用性を有し、かつ電導度が高い
導電性高分子を製造できる導電性高分子製造用酸化剤を
提供する。 【解決手段】 キシレンスルホン酸、エチルベンゼンス
ルホン酸およびイソプロピルベンゼンスルホン酸よりな
る群から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸の遷移金
属塩で導電性高分子製造用酸化剤を構成する。上記スル
ホン酸としてはm−キシレンスルホン酸が好ましく、遷
移金属塩としては第二鉄塩が好ましい。導電性高分子
は、上記酸化剤を用いて複素五員環化合物を酸化重合さ
せ、得られる高分子のマトリックス中に上記酸化剤の構
成成分であるキシレンスルホン酸、エチルベンゼンスル
ホン酸およびイソプロピルベンゼンスルホン酸よりなる
群から選ばれる少なくとも一種のスルホン酸をドーパン
トとして含有させることによって製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性高分子製造
用酸化剤およびそれを用いて製造した導電性高分子に関
する。
【0002】
【従来の技術】導電性高分子は、その高い導電性によ
り、アルミニウムコンデンサやタンタルコンデンサなど
の固体電解質として使用されている。
【0003】これらの用途における導電性高分子は、ピ
ロール、アニリン、チオフェン、それらの誘導体などの
複素五員環化合物を原料モノマーとして用いて化学酸化
重合によって製造されている。
【0004】そして、化学酸化重合に用いられる酸化剤
には、有機スルホン酸の遷移金属塩が使用されており、
それら中でも、ベンゼン骨格やナフタレン骨格を有する
芳香族スルホン酸の遷移金属塩が有用であると報告され
ている(例えば、特開平4−94108号公報、特開平
11−297570号公報)。
【0005】しかしながら、ナフタレン骨格を有する芳
香族スルホン酸遷移金属塩、例えば、ナフタレンスルホ
ン酸第二鉄塩、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸第
二鉄塩、ブチルナフタレンスルホン酸第二鉄塩などは、
それらを酸化剤として用いて化学酸化重合した場合、ナ
フタレン骨格に由来する分子サイズが大きいため、それ
らのナフタレンスルホン酸を製造される高分子のマトリ
ックス中にドーパントとして導入させることが難しく、
そのため、初期重合段階では充分な導電性が得られない
という問題があった。また、ナフタレン骨格に由来する
分子サイズが大きいため、酸化剤として作用する第二鉄
イオンの分子内に占める割合が少なく、モノマーに対す
る使用量が多くなって不経済でもあった。
【0006】また、工業的な見地から見た場合、ナフタ
レン骨格を有する材料のスルホン化は、過剰の硫酸や発
煙硫酸などを使用する必要があり、その製造工程も複雑
なので、結果的に製品中に不純物を多く含むことにな
る。例えば、ナフタレンスルホン酸の場合、未反応のナ
フタレン、過剰の硫酸、さらには副生成物のナフタレン
ジスルホン酸、ジナフタレンスルホンなどが混入してい
て、遷移金属塩を製造にする際にもそれらの不純物がそ
のまま持ち込まれるため、導電性高分子の導電率を低下
させることも起こり得る。
【0007】一方、ベンゼン骨格を有する長鎖の芳香族
スルホン酸遷移金属塩、例えば、分岐型アルキルベンゼ
ンスルホン酸第二鉄塩、直鎖型アルキルベンゼンスルホ
ン酸第二鉄塩なども、工業的には出発材料のアルキルベ
ンゼンのアルキル鎖が混合アルキルであって一定してい
ないため、導電性高分子の導電率がばらつく原因とな
る。
【0008】これに対して、例えば、ベンゼンスルホン
酸第二鉄塩やトルエンスルホン酸第二鉄塩などの短鎖の
芳香族スルホン酸遷移金属塩は、分子サイズが小さく、
得られる高分子のマトリックス中にドーパントとして導
入させやすく、初期重合段階では良好な導電率が得られ
るものの、その分子サイズが小さいために高分子マトリ
ックス中から脱離しやすく、特に高温、高湿下で放置し
た場合には、導電率が著しく低下するという問題があっ
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術における問題点を解決し、導電性高分子を化
学酸化重合法により製造するに際して酸化剤として有用
性を有し、かつ、その構成成分のスルホン酸が得られる
高分子のマトリックス中にドーパントとして導入しやす
く、しかも脱離しにくい導電性高分子製造用酸化剤を提
供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、キシレンスル
ホン酸、エチルベンゼンスルホン酸およびイソプロピル
ベンゼンスルホン酸よりなる群から選ばれる少なくとも
1種のスルホン酸の遷移金属塩で導電性高分子製造用酸
化剤を構成することによって、上記課題を解決したもの
である。
【0011】すなわち、上記キシレンスルホン酸の遷移
金属塩、エチルベンゼンスルホン酸の遷移金属塩、イソ
プロピルベンゼンスルホン酸の遷移金属塩は、それらの
遷移金属塩が導電性高分子の化学酸化重合(以下、「酸
化重合」と略記する)による製造時に酸化作用を発揮し
てモノマーを重合させ、かつ、その酸成分のキシレンス
ルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベ
ンゼンスルホン酸が得られる高分子のマトリックス中に
ドーパントとして導入されて導電性を向上させ、しか
も、高分子マトリックス中から脱離しにくいという優れ
た特性を有している。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において、導電性高分子製
造用酸化剤として用いるキシレンスルホン酸、エチルベ
ンゼンスルホン酸およびイソプロピルベンゼンスルホン
酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸
の遷移金属塩を構成する遷移金属としては、例えば、鉄
(III)、銅(II)、クロム(VI)、セリウム
(IV)、マンガン(VII)、ルテニウム(II
I)、亜鉛(II)などが好適に用いられるが、特に3
価の鉄(第二鉄)が好ましい。そして、本発明の導電性
高分子製造用酸化剤としては、キシレンスルホン酸の遷
移金属塩、エチルベンゼンスルホン酸の遷移金属塩およ
びイソプロピルベンゼンスルホン酸の遷移金属塩のいず
れもそれぞれ単独で用いることができるし、また、それ
らの2種以上を併用することもできるが、特にキシレン
スルホン酸の遷移金属塩が好ましく、その中でも、m−
キシレンスルホン酸の第二鉄塩が最も優れた初期導電性
および高温高湿下での安定した導電性を示すことから好
ましい。
【0013】本発明において導電性高分子製造用酸化剤
を構成するキシレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホ
ン酸およびイソプロピルベンゼンスルホン酸よりなる群
から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸(以下、これ
を総称して「短鎖芳香族スルホン酸」と表現する場合が
ある)の遷移金属塩の製造方法について、鉄塩を例に挙
げて説明すると、まず、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、酢酸
第二鉄などの3価の鉄化合物を、例えば水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属で処理し
て水酸化第二鉄を調製した後、遠心分離、限外濾過、フ
ィルター濾過などにより水溶性の不純物を取り除き、そ
の不純物が取り除かれた水酸化第二鉄を3倍モル濃度の
短鎖芳香族スルホン酸と溶媒中で反応させることによ
り、導電性高分子製造用酸化剤として用い得る短鎖芳香
族スルホン酸の遷移金属塩を製造することができる。
【0014】本発明は、また、上記キシレンスルホン
酸、エチルベンゼンスルホン酸およびイソプロピルベン
ゼンスルホン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種
のスルホン酸の遷移金属塩からなる導電性高分子製造用
酸化剤を用いて原料モノマーとしての複素五員環化合物
を酸化重合させ、得られる高分子のマトリックス中に上
記導電性高分子製造用酸化剤の構成成分であるキシレン
スルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸およびイソプロ
ピルベンゼンスルホン酸よりなる群から選ばれる少なく
とも1種のスルホン酸をドーパントとして含有させた導
電性高分子をも対象としている。
【0015】上記導電性高分子を製造するにあたっての
原料モノマーとしての複素五員環化合物としては、例え
ば、チオフェン、ピロール、アニリンおよびそれらの誘
導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好適に用
いられるが、特に好ましいのは、チオフェンおよびその
誘導体であって、その中でも、3,4−エチレンジオキ
シチオフェンが好ましい。
【0016】上記導電性高分子の製造方法について概略
を説明すると、まず、短鎖芳香族スルホン酸遷移金属塩
と、原料モノマーとしての複素五員環化合物を、それぞ
れあらかじめ有機溶媒で特定濃度となるように溶解して
おき、それらの溶液同士を混合して一定時間反応させた
後、洗浄、乾燥して導電性高分子を製造することができ
る。上記導電性高分子の製造にあたって溶剤として用い
る有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、
n−プロパノール、n−ブタノールなどを用いることが
でき、洗浄の際にも上記溶媒のいずれかを用いればよ
い。
【0017】上記のようにして製造された導電性高分子
は、そのマトリックス中に導入されたドーパントにより
電導度が高く、また、耐熱性が優れており、従って、コ
ンデンサー、バッテリー、帯電防止シート、耐腐食用塗
料などの用途において有用である。
【0018】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明は実施例に例示のもののみ
に限定されることはない。
【0019】実施例1〜5および比較例1〜4 室温下、100mlの蒸留水にFe2 (SO4 3 8H
2 Oを11g(0.02mol)溶解した溶液中に、こ
の溶液を激しく攪拌しながら、5mol/lの水酸化ナ
トリウム水溶液をゆっくりと添加してpH7に調整した
後、遠心分離により上澄みを取り除いて水酸化第二鉄の
沈殿物を得た。余分の水溶性塩を取り除くため、400
mlの蒸留水に上記沈殿物を分散させた後、遠心分離で
上澄みを取り除く操作を2回繰り返した。得られた沈殿
物を50gのノルマルブタノールに分散させた。
【0020】別途、表1に示す各スルホン酸をあらかじ
め50gのノルマルブタノールにそれぞれ溶解してお
き、その溶液中に上記沈殿物の分散液を添加した。室温
下、12時間かきまぜて反応させた後、蒸留して濃度4
0重量%のスルホン酸第二鉄塩のノルマルブタノール溶
液を得た。
【0021】このようにして得られたスルホン酸第二鉄
塩からなる導電性高分子製造用酸化剤の実施例番号およ
び比較例番号と、使用したスルホン酸の種類および量と
の関係を、次の表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】試験例1 前記実施例1〜5および比較例1〜4で得たそれぞれの
スルホン酸第二鉄塩を酸化剤とし、それらのそれぞれ
と、3,4−エチレンジオキシチオフェンとを、あらか
じめそれぞれノルマルブタノールに濃度0.5mol/
lになるようにしてノルマルブタノール溶液を調製し
た。室温下、内容積5mlの密栓付きバイアル瓶中で、
上記2種のノルマルブタノール溶液をそれぞれ250μ
lずつ混合し、充分にかき混ぜて、各スルホン酸第二鉄
塩を酸化剤として、それぞれ3,4−エチレンジオキシ
チオフェンの酸化重合を開始させ、それらをそれぞれ直
ちに3cm×5cmのセラミックプレート上に15μl
滴下し、湿度30%、温度20℃で60分放置して酸化
重合を進行させた後、エタノール中に上記プレートを入
れて洗浄し、50℃で30分間乾燥した。乾燥後、得ら
れたポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンシートの
電導度を4探針方式の電導度測定器〔三菱化学社製MC
P−T600(商品名)〕で測定した。その結果を表2
に使用した酸化剤の実施例番号および比較例番号と共に
示す。なお、実施例の酸化剤を用いて酸化重合すること
により得られた試料(ポリ3,4−エチレンジオキシチ
オフェン)はA系統で示し、比較例の酸化剤を用いて酸
化重合することにより得られた試料(ポリ3,4−エチ
レンジオキシチオフェン)はB系統で示す。
【0024】
【表2】
【0025】表2に示すように、実施例1〜5の酸化剤
を用いて酸化重合することにより得られた試料記号A−
1〜A−5のポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン
は、比較例1〜4の酸化剤を用いて酸化重合することに
より得られた試料記号B−1〜B−4のポリ3,4−エ
チレンジオキシチオフェンより、電導度が高く、高導電
性であることを示していた。すなわち、m−キシレンス
ルホン酸第二鉄塩からなる実施例1の酸化剤、o−キシ
レンスルホン酸第二鉄塩からなる実施例2の酸化剤、p
−キシレンスルホン酸第二鉄塩からなる実施例3の酸化
剤、エチルベンゼンスルホン酸第二鉄塩からなる実施例
4の酸化剤、イソプロピルベンゼンスルホン酸第二鉄塩
からなる実施例5の酸化剤などを用いて、3,4−エチ
レンジオキシチオフェンを酸化重合させて得られた試料
記号A−1〜A−5のポリ3,4−エチレンジオキシチ
オフェンは、p−トルエンスルホン酸第二鉄塩からなる
比較例1の酸化剤、直鎖型ドデシルベンゼンスルホン酸
第二鉄塩からなる比較例2の酸化剤、分岐型ドデシルベ
ンゼンスルホン酸第二鉄塩からなる比較例3の酸化剤、
ブチルナフタレンスルホン酸第二鉄塩からなる比較例4
の酸化剤などを用いて、3,4−エチレンジオキシチオ
フェンを酸化重合させて得られた試料記号B−1〜B−
4のポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンより、高
い電導度を有していた。
【0026】試験例2 前記実施例1〜5および比較例1で得たスルホン酸第二
鉄からなる酸化剤を用いて、それぞれ実施例1と同様に
3,4−エチレンジオキシチオフェンを酸化重合させ
た。ただし、湿度30%、温度20℃の条件下で放置時
間(酸化重合反応時間)を実施例1の60分間から24
時間に延長した。そして、得られたポリ3,4−エチレ
ンジオキシチオフェンシートの電導度を実施例1と同様
に測定した。その結果を表3に使用した酸化剤の実施例
番号および比較例番号と共に示す。
【0027】
【表3】
【0028】表3に示すように、実施例1〜5の酸化剤
を用いて酸化重合することにより得られた試料記号A−
6〜A−10のポリ3,4−エチレンジオキシチオフェ
ンは、比較例1の酸化剤を用いて酸化重合することによ
り得られた試料記号B−5のポリ3,4−エチレンジオ
キシチオフェンより、電導度が高かった。すなわち、m
−キシレンスルホン酸第二鉄塩からなる実施例1の酸化
剤、o−キシレンスルホン酸第二鉄塩からなる実施例2
の酸化剤、p−キシレンスルホン酸第二鉄塩からなる実
施例3の酸化剤、エチルベンゼンスルホン酸第二鉄塩か
らなる実施例4の酸化剤、イソプロピルベンゼンスルホ
ン酸第二鉄塩からなる実施例5の酸化剤などを用いて、
3,4−エチレンジオキシチオフェンを酸化重合させた
場合は、放置時間(酸化重合反応時間)を長くした場合
においても、p−トルエンスルホン酸第二鉄塩からなる
比較例1の酸化剤を用いて3,4−エチレンジオキシチ
オフェンを酸化重合させた場合より、導電性の高い導電
性高分子が得られることが明らかであった。
【0029】試験例3 前記実施例1〜5および比較例1で得たスルホン酸第二
鉄塩からなる酸化剤を用いて、それぞれ実施例1と同様
に3,4−エチレンジオキシチオフェンを酸化重合させ
た。ただし、放置条件(酸化重合反応条件)を、湿度は
30%と一定に保ったものの、実施例1の温度20℃、
60分間放置から、温度50℃の乾燥機中での30分間
放置に変えた。得られたポリ3,4−エチレンジオキシ
チオフェンシートの電導度を実施例1と同様に測定し
た。その結果を表4に使用した酸化剤の実施例番号およ
び比較例番号と共に示す。
【0030】
【表4】
【0031】表4に示すように、実施例1〜5の酸化剤
を用いて酸化重合することにより得られた試料記号A−
11〜A−15のポリ3,4−エチレンジオキシチオフ
ェンは、比較例1の酸化剤を用いて酸化重合することに
より得られた試料記号B−6のポリ3,4−エチレンジ
オキシチオフェンより、電導度が高かった。すなわち、
m−キシレンスルホン酸第二鉄塩からなる実施例1の酸
化剤、o−キシレンスルホン酸第二鉄塩からなる実施例
2の酸化剤、p−キシレンスルホン酸第二鉄塩からなる
実施例3の酸化剤、エチルベンゼンスルホン酸第二鉄塩
からなる実施例4の酸化剤、イソプロピルベンゼンスル
ホン酸第二鉄塩からなる実施例5の酸化剤などを用い
て、3,4−エチレンジオキシチオフェンを酸化重合さ
せた場合は、放置温度を高く(すなわち、酸化重合反応
時の温度を高く)した場合においても、p−トルエンス
ルホン酸第二鉄塩からなる比較例1の酸化剤を用いて
3,4−エチレンジオキシチオフェンを酸化重合させた
場合より、導電性の高い導電性高分子が得られることが
明らかであった。
【0032】試験例4 試験例1で得た試料記号A−1〜A−5および試料記号
B−1〜B−4のポリ3,4−エチレンジオキシチオフ
ェンのシートについて、電導度を測定した後、該シート
を130℃の高温槽中に放置し、経時的にシートを取り
出して電導度を測定した。その時のそれぞれのシートの
電導度の低下率を表5に示す。なお、電導度の低下率
は、初期電導度値(試験例1で測定した電導度値)から
経時後の電導度値を引いた差を初期電導度値で割り、パ
ーセント(%)表示したものである。これを式で示す
と、次の通りである。
【0033】
【表5】
【0034】表5に示すように、実施例1〜5に基づく
試料記号A−1〜A−5のポリ3,4−エチレンジオキ
シチオフェンは、比較例1〜4に基づく試料記号B−1
〜B−4のポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンよ
り、時間経過に伴う電導度の低下が少なかった。すなわ
ち、m−キシレンスルホン酸第二鉄塩からなる実施例1
の酸化剤、o−キシレンスルホン酸第二鉄塩からなる実
施例2の酸化剤、p−キシレンスルホン酸第二鉄塩から
なる実施例3の酸化剤、エチルベンゼンスルホン酸第二
鉄塩からなる実施例4の酸化剤、イソプロピルベンゼン
スルホン酸第二鉄塩からなる実施例5の酸化剤などを用
いて、3,4−エチレンジオキシチオフェンを酸化重合
させた場合は、p−トルエンスルホン酸第二鉄塩からな
る比較例1の酸化剤、直鎖型ドデシルベンゼンスルホン
酸第二鉄塩からなる比較例2の酸化剤、分岐型ドデシル
ベンゼンスルホン酸第二鉄塩からなる比較例3の酸化
剤、ブチルナフタレンスルホン酸第二鉄塩からなる比較
例4の酸化剤などを用いて、3,4−エチレンジオキシ
チオフェンを酸化重合させた場合より、耐熱性の優れた
ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンを得ることが
できた。特にm−キシレンスルホン酸第二鉄塩からなる
実施例1の酸化剤を用いて、3,4−エチレンジオキシ
チオフェンを酸化重合させて得られた試料記号A−1の
ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンは、130℃
という高温下で長時間放置した場合でも、電導度の低下
率が少なく、m−キシレンスルホン酸第二鉄塩が導電性
高分子製造用酸化剤として優れていることが明らかであ
った。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、導電
性高分子を酸化重合により製造するに際して酸化剤とし
て有用性を有し、かつ電導度が高く、かつ高温下でも電
導度の低下が少ない耐熱性が優れた導電性高分子を製造
できる導電性高分子製造用酸化剤を提供することができ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高杉 大作 大阪市大正区船町1丁目3番47号 テイカ 株式会社内 Fターム(参考) 4J032 BA01 BA03 BA13 BC03 CG01 CG06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キシレンスルホン酸、エチルベンゼンス
    ルホン酸およびイソプロピルベンゼンスルホン酸よりな
    る群から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸の遷移金
    属塩からなる導電性高分子製造用酸化剤。
  2. 【請求項2】 スルホン酸が、m−キシレンスルホン酸
    である請求項1記載の導電性高分子製造用酸化剤。
  3. 【請求項3】 遷移金属塩が、第二鉄塩である請求項1
    記載の導電性高分子製造用酸化剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の導電性
    高分子製造用酸化剤を用いて複素五員環化合物を酸化重
    合させ、得られる高分子のマトリックス中に上記導電性
    高分子製造用酸化剤の構成成分であるキシレンスルホン
    酸、エチルベンゼンスルホン酸およびイソプロピルベン
    ゼンスルホン酸よりなる群から選ばれる少なくとも一種
    のスルホン酸をドーパントとして含有させたことを特徴
    とする導電性高分子。
  5. 【請求項5】 導電性高分子を製造するための原料モノ
    マーとしての複素五員環化合物が、チオフェンおよびそ
    れらの誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種で
    ある請求項4記載の導電性高分子。
  6. 【請求項6】 導電性高分子を製造する方法が化学酸化
    重合法によるものである請求項4または5記載の導電性
    高分子。
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