JP3694038B2 - 固体電解コンデンサ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、導電性有機高分子を固体電解質とする固体電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
電解コンデンサは、アルミニウムやタンタルからなる金属箔や金属焼結体の表面に電解酸化処理にて絶縁被膜を形成し、この絶縁被膜を誘電体として構成してなるコンデンサである。電解コンデンサに対する最近の主な技術的要求として、小型化、回路の高周波化に伴う低インピーダンス、高信頼性、低コスト化等が挙げられる。これらの要求に対して、アルミニウム電解コンデンサ分野では、液体であった電解コンデンサの電解質を固体化する方向の研究が行われており、このような固体電解質として、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン等、種々の導電性高分子が提案されている。
【0003】
より詳細には、例えば、特開昭63−173313号公報に、被膜形成金属上に誘電体酸化被膜を形成し、その上にピロールの化学酸化重合によってポリピロールを析出させて、これを導電層とし、この導電層を利用して、更に、ピロールを電解重合させ、そのポリピロールからなる導電性高分子を固体電解質として積層させることが記載されている。また、特開平1−253226号公報には、同じく、誘電体被膜上に二酸化マンガンからなる導電層を形成し、その上にポリピロール又はポリチオフェンを電解重合によって積層させて、固体電解質とすることが記載されている。
【0004】
しかしながら、これらの方法には、いずれも、本来、導電体ではない誘電体被膜上にポリピロール等を電解反応によって積層させる必要があり、この点に問題がある。即ち、誘電体被膜上に電解重合用電極となるべき導電層として、化学酸化重合膜層や二酸化マンガン層を設けなければならず、このようにしてはじめて電解重合が可能となる。
【0005】
そこで、特開平3−35516号公報には、溶剤に可溶性のポリアニリンの溶液を調製し、この溶液を誘電体被膜上に塗布し、製膜した後、このポリアニリン膜をプロトン酸の溶液中に浸漬して、ドーピング処理する方法が提案されている。この方法によれば、電極を設ける必要なしに、誘電体被膜上に導電性のポリアニリン膜を簡単な手段にて形成させることができるので、上述した方法に比べれば、製造効率、コスト面から有利である。
【0006】
更に、上述したような可溶性ポリアニリンからなる導電性膜を電解コンデンサ用固体電解質として用いる場合、誘電体被膜とポリアニリンとの密着性が問題になることがあり、特開平5−3138号公報には、芳香族ポリアミック酸、可溶性の芳香族ポリイミド、ポリアルキレングリコール類、ビニル化合物の重合体等を可溶性ポリアニリンに対して、その1〜25重量%、より好ましくは2〜15重量%、特に好ましくは3〜10重量%の範囲にて添加混合することにより、これを解決しようとする提案がなされている。
【0007】
しかしながら、このような方法によって得られた固体電解コンデンサは、容量達成率、tan δ、高周波インピーダンス等にはすぐれた性能を示すものの、漏れ電流がやや大きく、電解コンデンサとして十分な特性を有しているとはいい難い問題がある。ここに、漏れ電流は、電解コンデンサの特性において非常に重要な項目であり、実用的な電解コンデンサとするためには、この漏れ電流の値を極力小さくすることが必要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、可溶性ポリアニリンから得られる導電性膜を固体電解質として利用する固体電解コンデンサにおける上述した問題を解決するために鋭意研究した結果、特定の化学構造を有する重合体を可溶性ポリアニリンに添加混合し、このような複合重合体を製膜し、ドーピング処理して、導電性膜とすることによって、電解コンデンサの重要な特性である漏れ電流を実用レベルにまで十分に小さくすることができることを見出して、本発明に至ったものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による固体電解コンデンサは、被膜形成金属上に形成された誘電体酸化被膜と、この誘電体酸化被膜上に、
(a)一般式
【0010】
【化2】
【0011】
(式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイミン構造単位及びフェニレンジアミン構造単位のモル分率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1である。)
で表されるキノンジイミン構造単位及びフェニレンジアミン構造単位を主たる繰返し単位として有する重合体であって、脱ドープ状態において有機溶剤に可溶性である第1の重合体としてのポリアニリンと、
(b)ポリビニルピロリドンとメトキシメチル化ポリアミドとから選ばれる第2の重合体と、
(c)pKa値が4.8以下であるプロトン酸
とからなる導電性複合重合体膜が固体電解質として形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明において、被膜形成金属としては、一般には、アルミニウムやタンタル等が用いられるが、必要に応じて、その他の金属や合金等の複合体を用いることができる。このような被膜形成金属上に誘電体被膜を形成して、電解コンデンサの陽極体とする。
【0013】
本発明において、第1の重合体として用いるポリアニリンは、脱ドープ状態において溶剤に可溶性のポリアニリンであり、前記一般式(I)で表されるものである。かかるポリアニリンの製造、脱ドーピング方法、溶剤への溶解性等については、特開平3−28229号公報に詳細に記載されている。特に、本発明において用いるポリアニリンは、N−メチルピロリドン中、30℃で測定した極限粘度〔η〕が0.40dL/g以上であることが好ましい。かくして、本発明において用いるポリアニリンは、特開平3−28229号公報に詳細に記載されているように、従来より知られているポリアニリンに比べて、高分子量であり、溶剤可溶性である点で区別され、更に、構造的にも区別され得る。
【0014】
本発明において用いる前記一般式(I)で表されるキノンジイミン構造単位及びフェニレンジアミン構造単位を主たる繰返し単位として有する重合体であって、脱ドープ状態において有機溶剤に可溶性であるポリアニリン(以下、脱ドープされたポリアニリンという。)は、特開平3−28229号公報に詳細に記載されているように、酸解離定数pKa値が3.0以下であるプロトン酸の存在下に溶剤中にてアニリンに温度を5℃以下、好ましくは0℃以下の温度に保持しつつ、標準水素電極を基準とする還元半電池反応における起電力として定められる標準電極電位が0.6V以上である酸化剤の水溶液をアニリン1モル当りに、酸化剤の1モルを、酸化剤1分子を還元するのに必要な電子数で割った量として定義される当量で、2当量以上、好ましくは2〜2.5当量徐々に加えて、上記プロトン酸にてドープされたアニリンの酸化重合体(以下、ドープされたポリアニリンという。)を生成させ、次いで、このドープされたポリアニリンを塩基性物質によって脱ドープすることによって得ることができる。
【0015】
このように、プロトン酸の存在下にアニリンを酸化重合してポリアニリンを得、次いで、このポリアニリンを脱ドープして得られるポリアニリンは、高分子量を有し、しかも、種々の有機溶剤に溶解する。かかる有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン等を挙げることができる。溶解度は、脱ドープされたポリアニリンの平均分子量や溶剤にもよるが、重合体の0.5〜100%が溶解し、1〜30重量%の溶液を得ることができる。特に、脱ドープされたポリアニリンは、N−メチル−2−ピロリドンに高い溶解性を示し、通常、重合体の20〜100%が溶解し、3〜30重量%溶液を得ることができる。しかし、テトラヒドロフラン、80%酢酸水溶液、60%ギ酸水溶液、アセトニトリル等には溶解しない。
【0016】
更に、本発明では、前記脱ドープ状態のポリアニリンを還元剤を用いて、部分又は完全還元して用いることができる。前記ポリアニリンの還元の度合いは、用いる還元剤のポリアニリンに対する当量比を選択することによって調節することができる。このように、前記脱ドープ状態のポリアニリンを還元することによって、ポリアニリンの有機溶剤に対する溶解性を高めることができる。
【0017】
前記ポリアニリンの還元の度合いは、ポリアニリンをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させた溶液の電子スペクトルから評価することができる。溶剤可溶性のポリアニリンのN−メチル−2−ピロリドン溶液の電子スペクトルは、340nmと640nmとに極大吸収を有する。前記一般式(I)で表されるポリアニリンを完全に還元すれば、640nmの吸収が消失し、340nmの吸収の強度が増すので、640nmの吸収はキノンジイミン構造に由来し、340nmの吸収はフェニレンジアミン構造に由来するものと考えられる。
【0018】
このようなポリアニリンの還元のためには、抱水ヒドラジン、フェニルヒドラジン等のヒドラジン類、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム等の金属水素化物、水素等が好適に用いられる。有機溶剤、特に、N−メチル−2−ピロリドンに溶解するが、N−メチル−2−ピロリドンを還元しない点から、フェニルヒドラジンが最も好ましく用いられる。
【0019】
本発明においては、溶剤可溶性ポリアニリンとしては、前記一般式(I)で表されるポリアニリンにおいて、フェニレンジアミン構造単位のモル分率nがキノンジイミン構造単位のモル分率mよりも大きいポリアニリンが好ましく用いられ、従って、上述したように、前記ポリアニリンを部分又は完全還元したものが好ましく用いられる。
【0020】
次に、本発明の目的である固体電解コンデンサにおける漏れ電流の低減について述べる。漏れ電流は、電圧印加時にコンデンサの誘電体である酸化被膜の欠陥部分を流れる電流であり、誘電体表面積が大きいぼど、また、電圧が高いほど、漏れ電流は大きくなる。そこで、漏れ電流の大きさは、誘電体表面積に比例する静電容量の値と印加電圧の値との積を基準にして表現される場合が多い。従って、静電容量をC(μF)、印加電圧をV(V)としたとき、漏れ電流(μA)は、CVの値に対して幾らかという意味で、例えば、CV値の百分の一であれば、0.01CVというように表される。通常、製品の電解コンデンサでは0.01CV以下でなければならない。
【0021】
可溶性ポリアニリンをドープしただけの導電性膜を固体電解質とした固体電解コンデンサでは、漏れ電流は0.1〜0.5CV程度と高いが、本発明に従って、特定の化学構造を有する重合体を第2の重合体として、第1の重合体としての前記可溶性ポリアニリンに添加混合し、得られた複合重合体膜をドーピングして得られる導電性複合重合膜を固体電解質とした電解コンデンサによれば、その漏れ電流は0.01CV以下である。
【0022】
しかし、実用的な固体電解コンデンサを得る観点からは、前述したように、単に、漏れ電流が小さいのみならず、電解コンデンサの他の特性、即ち、容量達成率やtanδがそれぞれすぐれた値を有している必要がある。即ち、容量達成率は、従来の電解質(アルミニウム電解コンデンサであれば電解質溶液であり、タンタル電解コンデンサであれば二酸化マンガンである。)を用いたときに得られる静電容量に対して、これをポリアニリンからなる導電性膜に代えたときに得られる静電容量がどのくらいになるかをパーセントで表したものであり、従来の電解液のときと同じ容量が出れば100%であり、半分の容量しか出なければ、容量達成率は50%である。容量達成率が低いために漏れ電流が低い場合があるので、注意する必要がある。容量達成率の目標値として、ここでは、一応、95%以上とする。tanδについては、値が小さいほどよく、20%以下を目安とする。製品の場合には数%以下である。電解質の電導度が高くならない場合、tanδが大きくなることがよくあり、この場合も、漏れ電流が小さくなる場合があるので、注意を要する。従って、本発明において、漏れ電流が小さいという場合は、容量達成率、tanδ共に、目標値を達成したうえで、漏れ電流が小さいということを意味する。
【0023】
本発明においては、第2の重合体は、第1の重合体であるポリアニリンに対して、10〜300重量%、通常、25〜150重量%というような多量が配合される。これによって、絶縁体である第2の重合体の量がポリアニリンの量と比べて相対的に非常に多くなり、常識的には、このような複合重合体は高い電導度は示さないであろうと考えられ、従って、このような複合重合体を固体電解質として電解コンデンサに用いても、導電性が高くならないので、容量達成率が低く、tanδが大きくなると考えられる。事実、前記特開平5−3138号公報には、高分子バインダーとして添加する重合体の量は、ポリアニリンに対して1〜25重量%、より好ましくは2〜15重量%であって、その添加量が多すぎるときは、電解コンデンサの誘電特性に悪影響を及ぼすので好ましくないことが記載されており、また、実施例においては、高分子バインダーはポリアニリンに対して5重量%添加されており、比較例において、第2の重合体としてポリアミック酸をポリアニリンに対して30重量%添加混合した場合は、tanδが数十%以上にもなることが記載されている。
【0024】
しかしながら、本発明においては、特定の化学構造を有する第2の重合体を選択してポリアニリンに添加混合し、このようなポリアニリン複合重合体を製膜し、ドーピング処理すると、複合重合体において、第2の重合体がポリアニリンの重量の10〜300%というように多量に存在するにもかかわらず、そのような複合重合体から得られる導電性膜の導電性は損なわれず、電解コンデンサ用固体電解質として用いても、得られる電解コンデンサの容量達成率、tanδは十分目標値を達成しており、そのうえ、従来のポリアニリンのみからなる固体電解質について問題であった大きい漏れ電流が、本発明に従って、上記複合重合体からなる膜を用いることによって大幅に低減され、0.1CVよりも小さくすることが可能となったのである。
【0025】
更に、本発明によれば、上述したようなポリアニリンと第2の重合体からなるポリアニリン複合重合体膜をドーピング処理してなる導電性膜を固体電解質とする電解コンデンサは、これを相対湿度80%以上の高湿度雰囲気下にて直流電圧を印加することによって、漏れ電流の値を著しく低下させて、0.01CV以下にすることができる。直流電圧の印加時間は、1〜30分、好ましくは、1〜15分程度である。
【0026】
以上に述べたように、本発明によるポリアニリン複合重合体導電性膜を固体電解質として有せしめ、これを高湿度雰囲気下にて直流電圧を印加することによって、漏れ電流の値を著しく低下させることができる。このようにして、漏れ電流が大幅に低減される理由は必ずしも明らかではないが、前記複合重合体膜がその製膜時に塗布される誘電体酸化被膜へ与える損傷を抑制する働きと、高湿度雰囲気下での直流電圧印加時に誘電体酸化被膜上に存在する欠陥部分に水を供給し、その状態で陽極酸化により欠陥部が修復され、その結果漏れ電流を低減させる働きとの二つが同時に関与しているものと考えられる。
【0027】
本発明において用いる特定の化学構造を有する第2の重合体は、ポリビニルピロリドンとメトキシメチル化ポリアミドとから選ばれる重合体である。本発明においては、これら重合体は、ポリアニリン溶液に添加混合して用いるので、ポリアニリンの溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに可溶性である必要がある。メトキシメチル化ポリアミドは、ポリアミド樹脂のアミド基の一部をメトキシメチル化したものであって、有機溶剤に対する溶解性にすぐれている。
【0028】
本発明においては、これらの第2の重合体は、通常、ポリアニリンに対して10〜300重量%の範囲で用いられ、好ましくは、20〜300重量%の範囲で用いられる。ポリアニリンに対する第2の重合体の添加量が少なすぎるときは、得られる固体電解コンデンサにおいて漏れ電流の低減効果を得ることができないし、他方、上記範囲よりも多い場合は、導電性膜の電導度が下がり、電解コンデンサ特性に悪影響を及ぼすこととなる。
【0029】
本発明において用いるpKa値が4.8以下であるプロトン酸としては、特に制限はないが、以下の有機酸を挙げることができる。本発明において、有機酸は、脂肪族、芳香族、芳香脂肪族、脂環式等の一又は多塩基酸であり、このような有機酸は、水酸基、ハゲロン、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等を有していてもよい。
【0030】
従って、かかる有機酸の具体例として、例えば、酢酸、n−酪酸、ペンタデカフルオロオクタン酸、ペンタフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、モノフルオロ酢酸、モノブロモ酢酸、モノクロロ酢酸、シアノ酢酸、アセチル酢酸、ニトロ酢酸、トリフエニル酢酸、ギ酸、シュウ酸、安息香酸、m−ブロモ安息香酸、p−クロロ安息香酸、m−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、2,4−ジニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ピクリン酸、o−クロロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、トリメチル安息香酸、p−シアノ安息香酸、m−シアノ安息香酸、チモールブルー、サリチル酸、5−アミノサリチル酸、o−メトキシ安息香酸、1,6−ジニトロ−4−クロロフェノール、2,6−ジニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、p−オキシ安息香酸、ブロモフェノールブルー、マンデル酸、フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、α−アラニン、β−アラニン、グリシン、グリコール酸、チオグリコール酸、エチレンジアミン−N,N' −二酢酸、エチレンジアミン−N,N,N' ,N' −四酢酸等を挙げることができる。
【0031】
また、有機酸は、スルホン酸又は硫酸基を有するものであってもよい。このような有機酸としては、例えば、アミノナフトールスルホン酸、メタニル酸、スルファニル酸、アリルスルホン酸、ラウリル硫酸、キシレンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、1−ヘプタンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ノナンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ペンチルベンゼンスルホン酸、ヘキシルベンゼンスルホン酸、ヘプチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸、ジエチルベンゼンスルホン酸、ジプロピルベンゼンスルホン酸、ジブチルベンゼンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、エチルナフタレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ペンチルナフタレンスルホン酸、ヘキシルナフタレンスルホン酸、ヘプチルナフタレンスルホン酸、オクチルナフタレンスルホン酸、ノニルナフタレンスルホン酸、デシルナフタレンスルホン酸、ウンデシルナフタレンスルホン酸、ドデシルナフタレンスルホン酸、ペンタデシルナフタレンスルホン酸、オクタデシルナフタレンスルホン酸、ジメチルナフタレンスルホン酸、ジエチルナフタレンスルホン酸、ジプロピルナフタレンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、ジペンチルナフタレンスルホン酸、ジヘキシルナフタレンスルホン酸、ジヘプチルナフタレンスルホン酸、ジオクチルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、トリメチルナフタレンスルホン酸、トリエチルナフタレンスルホン酸、トリプロピルナフタレンスルホン酸、トリブチルナフタレンスルホン酸、カンフアースルホン酸、アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸等を挙げることができる。
【0032】
特に、本発明において好ましく用いることができるプロトン酸は、分子内に2つ以上のスルホン酸基を有する多官能有機スルホン酸である。このような多官能有機スルホン酸としては、例えば、エタンジスルホン酸、プロパンジスルホン酸、ブタンジスルホン酸、ペンタンジスルホン酸、ヘキサンジスルホン酸、ヘプタンジスルホン酸、オクタンジスルホン酸、ノナンジスルホン酸、デカンジスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、トルエンジスルホン酸、エチルベンゼンジスルホン酸、プロピルベンゼンジスルホン酸、ブチルベンゼンジスルホン酸、ジメチルベンゼンジスルホン酸、ジエチルベンゼンジスルホン酸、ジプロピルベンゼンジスルホン酸、ジブチルベンゼンジスルホン酸、メチルナフタレンジスルホン酸、エチルナフタレンジスルホン酸、プロピルナフタレンジスルホン酸、ブチルナフタレンジスルホン酸、ペンチルナフタレンジスルホン酸、ヘキシルナフタレンジスルホン酸、ヘプチルナフタレンジスルホン酸、オクチルナフタレンジスルホン酸、ノニルナフタレンジスルホン酸、ジメチルナフタレンジスルホン酸、ジエチルナフタレンジスルホン酸、ジプロピルナフタレンジスルホン酸、ジブチルナフタレンジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、ナフタレンテトラスルホン酸、アントラセンジスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、フェナントレンジスルホン酸、フルオレノンジスルホン酸、カルバゾールジスルホン酸、ジフェニルメタンジスルホン酸、ビフェニルジスルホン酸、ターフェニルジスルホン酸、ターフェニルトリスルホン酸、ナフタレンスルホン酸−ホルマリン縮合物、フェナントレンスルホン酸−ホルマリン縮合物、アントラセンスルホン酸−ホルマリン縮合物、フルオレンスルホン酸−ホルマリン縮合物、カルバゾールスルホン酸−ホルマリン縮合物等を挙げることができる。芳香環におけるスルホン酸基の位置は任意である。
【0033】
更に、本発明において用いる有機酸は、ポリマー酸であってもよい。このようなポリマー酸としては、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリビニル硫酸、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化スチレン−ブタジエン共重合体、ポリアリルスルホン酸、ポリメタリルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリハロゲン化アクリル酸、ポリイソプレンスルホン酸、N−スルホアルキル化ポリアニリン、核スルホン化ポリアニリン等を挙げることができる。ナフィオン(米国デュポン社登録商標)として知られている含フッ素重合体も、ポリマー酸として好適に用いられる。
【0034】
本発明においては、1,5−ナフタレンジスルホン酸のような芳香族多価スルホン酸やポリマー酸は、耐熱性、耐水性等にすぐれる導電性ポリアニリンを与えるので、特に、好ましく用いられる。
【0035】
本発明による固体電解コンデンサを得るには、表面積を高めるために多孔質化した被膜形成金属上に陽極酸化により誘電体被膜を形成し、これを可溶性ポリアニリンと第2の重合体とからなる混合物の溶液中に浸漬し、次いで、乾燥機中にて溶剤を蒸発させて、ポリアニリンと第2の重合体とからなる複合重合体膜を上記誘電体被膜上に形成させ、この後、この複合重合体膜をドーピング処理して、導電性複合体膜とすれば、固体電解コンデンサを得ることができる。
【0036】
また、場合によっては、可溶性ポリアニリンと第2の重合体とからなる混合物の溶液中にpKa値が4.8以下であるプロトン酸又はその塩を溶解させて、可溶性ポリアニリンと第2の重合体とプロトン酸又はその塩を含む混合溶液を調製し、これを上記誘電体被膜上に塗布し、乾燥させて、複合重合体膜を形成させ、この後、酸化処理して、導電性複合膜とすることよっても、固体電解コンデンサを得ることができる。
【0037】
誘電体被膜上に複合重合体膜を形成させるには、上述した複合重合体の溶液中に誘電体被膜を浸漬し、乾燥させる方法のほか、上記複合重合体の溶液を誘電体被膜上に塗布し、乾燥させてもよい。また、ディスペンサ等の装置にて誘電体被膜上に溶液を垂らしてもよいし、真空下にて含浸させることもできる。また、乾燥方法も、常圧で乾燥させてもよく、常圧の不活性ガス下に乾燥させてもよく、減圧下に低温で乾燥させてもよく、また、減圧下に加熱乾燥させてもよく、このように、特に、限定されることなく、種々の方法を用いることができる。乾燥温度は、通常、30〜200℃の範囲の温度であるが、好ましくは60〜180℃、更に好ましくは80〜160℃の範囲の温度であり、所要時間は、通常、10分乃至3時間の範囲であるが、好ましくは20分乃至2時間、更に好ましくは30分乃至1時間の範囲である。
【0038】
このようにして得られた複合重合体膜におけるポリアニリンをドーピングすることによって導電性複合体膜とする。本発明において、前記複合重合体膜をドーピングするには、3つの方法、即ち、第1に、特開平3−35516号公報に記載されているようなプロトン酸ドーピング法、第2に、特願平4−279675号明細書に記載されているような酸化ドーピング法、及び第3に、特願平5−175739号明細書に記載されているような酸化イオン交換ドーピング法のいずれによってもよい。
【0039】
第1のプロトン酸ドーピング法は、キノンジイミン構造単位及びフェニレンジアミン構造単位を主たる繰り返し単位として有するポリアニリン(酸化型ポリアニリン)をpKa値が4.8以下である前記プロトン酸の溶液又は無溶剤状態にて接触させ、電導度が上がるまでそのまま保持する方法である。この方法は、電導度が高くなるまでにかなり時間がかかり、工業的に実施するには、生産性が低い。第2の酸化ドーピング法は、上記プロトン酸ドーピング法のドーピング速度の遅さを改良したものであって、酸化型ポリアニリンを一旦還元剤で還元して、イノミ−p−フェニレン構造単位を主たる繰返し単位として有するポリアニリン(還元型ポリアニリン)とし、この後、酸化剤とプロトン酸との混合溶液中に浸漬することによって、ドーピングする方法である。この方法は、第1のプロトン酸ドーピング法に比べて、ドーピング速度が格段に早く、工業的生産に適する方法である。第3の方法は、プロトン酸を塩の状態にして還元状態のポリアニリン溶液の中に予め加えておき、更に、これに第2の重合体を添加混合して、これらよりなる複合重合体膜を製膜した後、これを酸化剤とプロトン酸との混合溶液中に浸漬してトーピングする方法である。この方法は、第2の酸化ドーピング法ではドーピングし難い嵩高いプロトン酸ドーパントをドーピングするときに好適に用いることができる方法である。
【0040】
本発明によれば、上述したいずれの方法によっても、ポリアニリンと第2の重合体とプロトン酸とからなり、電導度1〜80S/cmの導電性複合体膜が固体電解質として形成された固体電解コンデンサを製造することができる。このようなドーピング処理の後、導電性複合体膜をエタノールやアセトン等、適宜の溶剤にて洗浄し、乾燥させ、その後,この導電性複合体膜の上にカーポンや銀ペースト等の導電性ペーストを用いて端子を取り付け、次いで、エポキシ樹脂等にてモールドし、好ましくは前述したようなエージング処理を行って、固体電解コンデンサを得る。
【0041】
本発明において、被膜形成金属としては、通常、アルミニウム又はタンタルが好ましく用いられ、従って、誘電体被膜としては、通常、酸化アルミニウム又は酸化タンタルの被膜が好ましく用いられる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明による固体電解コンデンサは、第1の重合体としての可溶性ポリアニリンと前述した第2の重合体とpKa値が4.8以下であるプロトン酸とからなる導電性複合重合体膜が固体電解質として誘電体酸化被膜上に形成されているので、高い容量達成率と低いtanδを示し、且つ、漏れ電流が非常に低いというすぐれた特性を有している。
【0043】
即ち、本発明によれば、上記所定の第2の重合体をポリアニリンと共に複合化することにより、ポリアニリン単独では0.1〜0.5CV程度であった漏れ電流を0.1CV以下に低減すると共に、この第2の重合体を配合したことによって、高湿度雰囲気下にて直流電圧を印加すると、漏れ電流を0.01CV以下にまで更に低減させることができる。また、ポリアニリンを第2の重合体と共に複合化することにより、ポリアニリンがこの第2の重合体によって外環境から保護され、固体電解コンデンサの耐久性にもよい効果を生み、高耐久性の固体電解コンデンサを得ることができる。
【0044】
【実施例】
以下に参考例及び実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0045】
参考例1
(アニリンの酸化重合によるドープ状態のキノンジイミン・フェニレンジアミン型導電性ポリアニリンの製造)
攪拌装置、温度計及び直管アダプターを備えた10L容量セパラブル・フラスコに蒸留水6000g、36%塩酸360mL及びアニリン400g(4.295モル)をこの順序にて仕込み、アニリンを溶解させた。別に、氷水にて冷却しながら、ビーカー中の蒸留水1493gに97%濃硫酸434g(4.295モル)を加え、混合して、硫酸水溶液を調製した。この硫酸水溶液を上記セパラブル・フラスコに加え、フラスコ全体を低温恒温槽にて−4℃まで冷却した。
【0046】
次に、ビーカー中にて蒸留水2293gにペルオキソ二硫酸アンモニウム980g(4.295モル)を加え、溶解させて、酸化剤水溶液を調製した。フラスコ全体を低温恒温槽で冷却して、反応混合物の温度を−3℃以下に保持しつつ、攪拌下にアニリン塩の酸性水溶液に、チュービングポンプを用いて、直管アダプターから上記ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液を1mL/分以下の割合にて徐々に滴下した。最初、無色透明の溶液は、重合の進行に伴って緑青色から黒緑色となり、次いで、黒緑色の粉末が析出した。
【0047】
この粉末析出時に反応混合物において温度の上昇がみられたが、冷却して、反応系内の温度を−3℃以下に抑えた。粉末析出後は、ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液の滴下速度を例えば8mL/分程度とやや速くしてもよい。しかし、この場合にも、反応混合物の温度をモニターしつつ、温度を−3℃以下に保持するように、滴下速度を調整することが必要である。かくして、7時間を要して、ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液の滴下を終了した後、更に1時間、−3℃以下の温度にて攪拌を続けた。
【0048】
得られた重合体粉末を濾別し、水洗、アセトン洗浄し、室温で真空乾燥して、黒緑色のキノンジイミン・フェニレンジアミン型導電性ポリアニリン粉末430gを得た。これを直径13mm、厚さ700μmのディスクに加圧成形し、ファン・デル・ポー法によって、その電導度を測定したところ、14S/cmであった。
【0049】
(導電性有機重合体の脱ドーピングによるキノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンの製造)
上記ドープされている導電性ポリアニリン粉末350gを2Nアンモニア水4L中に加え、オートホモミキサーにて回転数5000rpmにて5時間攪拌した。混合物は、黒緑色から青紫色に変化した。
【0050】
ブフナーろうとにて粉末を濾別し、ビーカー中にて攪拌しながら、蒸留水にて濾液が中性になるまで繰り返して洗浄し、続いて、濾液が無色になるまでアセトンにて洗浄した。この後、粉末を室温にて10時間真空乾燥して、黒褐色の脱ドーピングした溶剤可溶性キノンジイミン・フェニレンジアミン型ポリアニリン粉末280gを得た。このポリアニリンはN−メチル−2−ピロリドンに可溶性であって、溶解度は同溶剤100gに対して8g(7.4%)であった。また、これを溶剤として30℃で測定した極限粘度〔η〕は1.23dL/gであった。
【0051】
実施例1
被膜形成金属として、タンタルの微粉末を焼結した多孔質焼結体(体積20.8mm3 )を用い、90℃の0.3重量%リン酸水溶液中で直流電圧30Vを印加し、絶縁被膜(誘電体被膜)を形成させ、コンデンサの陽極体とした。
【0052】
上述した可溶性ポリアニリン50gをエチルエーテル450g中に加え、攪拌下に分散させた。この分散液中にフェニルヒドラジン15gを加え、室温にてポリアニリンを還元した。この後、得られた還元ポリアニリンを濾過し、エーテル洗浄した後、室温にて10時間、真空乾燥させた。
この還元されたポリアニリン10gをN−メチル−2−ピロリドン90gに攪拌下に溶解させ、10重量%のポリアニリン溶液とし、この溶液をG2ガラスフィルターにて減圧濾過した。第2の重合体として、(株)鉛市製メトキシメチル化ポリアミド樹脂を用い、この樹脂10gをN−メチル−2−ピロリドン90gに攪拌下に溶解させ、10重量%の第2の重合体の溶液を得た。
【0053】
上記還元ポリアニリンの10重量%溶液と上記(株)鉛市製メトキシメチル化ポリアミド樹脂「FR−301」の10重量%溶液とを同重量混合して得られた混合溶液に、上記コンデンサ陽極体を1分間浸漬した後、熱風循環乾燥器中にて20℃にて30分間加熱乾燥させ、陽極体上にポリアニリンと第2の重合体であるメトキシメチル化ポリアミド樹脂とからなる複合重合体膜(ポリアニリンと第2の重合体とは同重量となっている。)を形成させた。この操作を2回繰り返した。
【0054】
25重量%ポリビニルスルホン酸ナトリウム水溶液(アルドリッチ社製)をカチオン交換樹脂を用いて遊離酸に変換し、エバポレーターにて濃縮し、水分をすべて留去し、ポリビニルスルホン酸を得て、これより20重量%ポリビニルスルホン酸水溶液を調製した。別に、5重量%のp−ベンゾキノンのエタノール溶液を調製し、これら両方の溶液を同重量混合して、ドーピング溶液とした。
【0055】
上記ポリアニリンと第2の重合体の複合重合体膜を積層したコンデンサ陽極体を40℃に加温した上記ドーピング溶液中に浸漬し、60分間ドーピング処理した後、エタノールで洗浄し、60℃で20分間乾燥させた。その後、導電性ペーストを塗布し、電極端子を取り付けた。このようにして得られたタンタル電解コンデンサは、120Hzにおいて92μFの静電容量を有し、容量達成率は100%であり、損失角の正接(tanδ)は7.2%であった。また、10Vにて測定したときの漏れ電流は14.7μA(0.016CV)であった。
【0056】
次に、上記タンタル電解コンデンサを温度40℃、相対湿度90%の雰囲気下にて直流電圧21Vを印加し、2分間通電した。次いで、電解コンデンサを高湿度雰囲気から取出し、60℃で20分間程度乾燥させた後、10Vにて漏れ電流を測定したところ、1.9μA(0.0021CV)であった。
【0057】
実施例2
実施例1で用いたのと同じタンタル陽極体を用いると共に、第2の重合体として、ポリビニルピロリドン(ISP製PVP)を用いた以外は、すべて実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製し、特性評価を行った。また、同様に、温度40℃、相対湿度90%の雰囲気下にて直流電圧21Vを印加し、2分間通電した。次いで、電解コンデンサを高湿度雰囲気から取出し、60℃で20分程度乾燥させた後、10Vにて漏れ電流を測定した。結果を表1に示す。
【0058】
第2の重合体をポリアニリンに基づいて100重量%添加することにより、漏れ電流を低減することができる。特に、コンデンサ作製後、高湿度雰囲気下にて直流電圧を印加することにより、漏れ電流を著しく低減させることができ、0.05CV以下、更には0.01CV以下にまで小さくすることができ、すぐれた電解コンデンサを得ることができる。
【0059】
比較例1
第2の重合体として、ゼネラルエレクトリック社製ウルテム(ULTEM))を用いた以外は、すべて実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製し、特性評価を行った。結果を表1に示す。これより明らかなように、第2の重合体としてポリイミドをポリアニリンに基づいて100重量%添加した場合には、コンデンサ特性はよくなく、特に高湿度雰囲気下にて直流電圧印加した後の漏れ電流値が本発明の値よりも著しく高くなっている。
【0060】
比較例2
第2の重合体を全く用いなかったほかは、実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製し、特性評価を行った。結果を表1に示す。容量達成率、tanδは良好な特性を示したが、漏れ電流の値は0.01CVに到達できなかった。
【0061】
【表1】
Claims (3)
- 被膜形成金属上に形成された誘電体酸化被膜と、この誘電体酸化被膜上に、
(a)一般式
で表されるキノンジイミン構造単位及びフェニレンジアミン構造単位を主たる繰返し単位として有する重合体であって、脱ドープ状態において有機溶剤に可溶性である第1の重合体としてのポリアニリンと、
(b)ポリビニルピロリドンとメトキシメチル化ポリアミドとから選ばれる第2の重合体と、
(c)pKa値が4.8以下であるプロトン酸
とからなる導電性複合重合体膜が固体電解質として形成されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。 - 有機溶剤に可溶性であるポリアニリンがN−メチル−2−ピロリドン中、30℃で測定した極限粘度〔η〕が0.40dL/g以上である請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 第2の重合体をポリアニリンの重量の10〜300%の範囲で含む請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
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