JP2766987B2 - 電 池 - Google Patents

電 池

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JP2766987B2
JP2766987B2 JP1041320A JP4132089A JP2766987B2 JP 2766987 B2 JP2766987 B2 JP 2766987B2 JP 1041320 A JP1041320 A JP 1041320A JP 4132089 A JP4132089 A JP 4132089A JP 2766987 B2 JP2766987 B2 JP 2766987B2
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polymer
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正男 阿部
恵子 望月
伸也 秋月
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Nitto Denko Corp
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/36Selection of substances as active materials, active masses, active liquids
    • H01M4/60Selection of substances as active materials, active masses, active liquids of organic compounds
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は電池に関し、詳しくは、アニリンの化学酸化
によつて得られる新規な多孔質導電性高分子有機重合体
を正極活物質とし、高い容量密度とエネルギー密度を有
する電池に関する。
従来の技術 導電性有機重合体が二次電池の活物質として有用であ
ることは、既に1980年頃に見出されており、以後、これ
に関して、多くの研究がなされてきてきいる。かかる研
究の初期のものとしては、例えば、R.Buvetらによるア
ニリン酸化重合体、所謂ポリアニリン(J.Polymer Sc
i.,Part C,22,1187(1969))、A.G.McDiarmidらのポリ
アセチレン(J.C.S.Chem.Commun.,317(1891))等を挙
げることができる。特に、ポリアニリンを正極活物質と
して用いる電池は、環境安定性にすぐれ、充放電容量が
大きく、また、耐久性にすぐれる等の理由から、近年、
注目を集めている。
一般に、ポリアニリンの製造方法としては、電気化学
的酸化法と化学酸化法とが知られており、電気化学酸化
によるときは、重合体は電極上にフイルムとして得ら
れ、化学酸化法によるときは、粉末として得られる。そ
こで、かかるフイルムや、或いは粉末の成形物を用いた
水系又は非水溶剤系の電池が、従来、例えば、A.G.McDi
armidらACS(Polymer Preprints,25,No.2,248(198
4))、木谷ら(電気化学および工業物理化学,53
(8),592(1985))、小浦ら(電気化学および工業物
理化学,55(5),386(1987))、特開昭61−200669号
公報等に種々報告されている。
このような従来のポリアニリンを用いる電池におい
て、電気化学的にポリアニリンを得るときは、ポリアニ
リンが電極上に多孔質膜として析出するので、これをそ
のまま電極として用いることができ、従つて、電池の組
立も比較容易である。しかし、電気化学的方法によるポ
リアニリンの製造には、多大の電気エネルギーを必要と
し、工業的に不利であるうえに、得られる多孔質膜の強
度が低く、また、電極から容易に脱落するために、種々
の後加工が困難である。大面積のフイルムの製造も容易
ではない。
他方、前述したように、化学酸化法によるときは、ポ
リアニリンは、通常、粉末として得られるので、電極と
して用いるには、粉末を加圧成形等の手段にて加工せざ
るを得ず、しかも、得られる成形物は脆く、割れやす
く、従つて、薄膜化が容易ではない。
例えば、アニリンを化学酸化剤にて化学酸化重合し
て、ドーパントしての電解質イオンを含み、電導度が10
-6S/cm以上である導電性有機重合体を製造する方法は既
に知られており、更に、かかる化学酸化重合による導電
性ポリアニリンの製造において、標準水素電極を基準と
する還元半電池反応における起電力として定められる標
準電極電位が0.6V以上である酸化剤が特に好適に用いら
れることも、既に特開昭61−258831号公報に記載されて
いるが、このようにして得られるポリアニリンは、不溶
不融性である。
そこで、従来、有機溶剤に可溶性の中間体を製造し、
その溶液をキヤステイング法にてフイルム化した後、中
間体を物理的又は化学的手段にて導電性重合体に変換さ
せる方法が種々提案されている。しかし、この方法によ
るときは、高温での処理を必要としたり、或いは中間体
から導電性重合体への変換が必ずしも理論どおりに進行
しないので、製造面からも、得られるフイルムの物性の
面からも、導電性有機重合体フイルムの製造方法として
は、実用的ではない。
ポリピロール又はポリチオフエンの分野では、有機溶
剤に可溶性の重合体が知られている。即ち、長鎖アルキ
ル基を置換基として有するチオフエンやアルキルスルホ
ン酸基を置換基として有するピロールを電解酸化重合し
て、それぞれ有機溶剤可溶性のポリ3−アルキルチオフ
エン及びポリチオフエンアルカンスルホン酸を得ること
ができる。これら重合体は、いずれもその溶液からキヤ
ステイング法にてフイルムを得ることができる。しか
し、この方法は、いずれも特殊な単量体を用いると共
に、これを電解酸化重合するので、製造費用が著しく高
い。
他方、アニリンの化学酸化重合の分野においては、最
近、アニリンに対して約1/4モル量のペルオキソ二硫酸
アンモニウムを酸化剤として作用させ、アニリンを化学
酸化重合させて、有機溶剤可溶性のポリアニリンを得る
ことができることが報告されている(A.G.MacDiarmid e
t al.,Synthetic Metals,21,21(1987);A.G.MacDiarmi
d et al.,L.Alcacer(ed.),Conducting Polymers,105
−120(D.Reidel Publishing Co.,1987)。しかし、こ
の重合体は、N−メチル−2−ピロリドンやジメチルス
ルホキシドのみならず、80%酢酸や60%ギ酸水溶液にも
可溶性であるので、その分子量は低い。また、重合体の
N−メチル−2−ピロリドンやジメチルスルホキシドの
溶液から自立性フイルムを得ることができることも記載
されている。更に、酢酸溶液から酢酸にてドープされた
導電性重合体フイルムを得ることができ、これをアンモ
ニアで脱ドープしたフイルムとすることも記載されてい
る。しかし、この脱ドープ状態のフイルムは、ポリアニ
リンの分子量が低いために、強度が小さく、折り曲げに
よつて容易に割れるので、実用に耐えない。
また、アニリンをペルオキソ二硫酸アンモニウムで酸
化して、テトラヒドロフランに溶解するポリアニリンを
得ることができることも知られている(J.Tang,Synthet
ic Metals,24,231(1988)。しかし、この重合体も、テ
トラヒドロフランに溶解するところからみて、分子量は
低いものとみられる。
更に、上記のようにして得られるポリアニリンフイル
ムは、緻密であつて、フイルム内部でのイオンの拡散が
容易ではないので、電池の電極活物質としての利用には
適さない。
発明が解決しようとする課題 本発明者らは、特に、アニリンの化学酸化重合によつ
て有機溶剤可溶性の高分子有機重合体を得るべく鋭意研
究した結果、従来、知られているポリアニリンよりも遥
かに高分子量でありながら、脱ドープ状態において、種
々の有機溶剤に可溶性であつて、容易にその溶液からキ
ヤステイング法にて自立性のフイルムを得ることがで
き、しかも、このフイルムが強靭であり、可撓性にすぐ
れると共に、高い引張強度を有することを既に見出し、
更に、かかるフイルムにプロトン酸をドーピングするこ
とによつて、強靭な高分子量高導電性有機重合体フイル
ムを得ることができることも、既に見出している。
そこで、本発明者らは、かかる導電性有機重合体の電
池への利用について、更に鋭意研究した結果、上記有機
溶剤可溶性の高分子量ポリアニリンの溶液をキヤステイ
ングした後、溶剤を除去する所謂湿式製膜法と称される
方法を採用することによつて、柔軟な多孔質膜を得るこ
とができると共に、これを電池における正極活物質とし
て用いることによつて、高容量、高エネルギー密度であ
つて、且つ、耐久性にすぐれる電池を得ることができる
ことを見出して、本発明に至つたものである。
課題を解決するための手段 本発明による電池は、一般式 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
ミン構造単位及びフエニレンジアミン構造単位のモル分
率を示し、0≦m≦1、0≦n≦1、m+n=1であ
る。) を主たる繰返し単位として有し、脱ドープ状態において
は、有機溶剤に可溶性であり、且つ、N−メチルピロリ
ドン中、30℃で測定した極限粘度〔η〕が0.40dl/g以上
であるが、pKa値が4.0以下のプロトン酸にてドーピング
されて、有機溶剤に不溶性とされた導電性ポリアニリン
からなる多孔質膜を正極活物質として有することを特徴
とする。
先ず、プロトン酸にてドーピングされた有機溶剤不溶
性のポリアニリンの製造及びその脱ドーピングによる有
機溶剤可溶性のポリアニリンの製造について説明する。
プロトン酸の存在下にアニリンを酸化重合して、上記
プロトン酸にてドーピングされているポリアニリンを製
造するに際して、上記酸化剤としては、二酸化マンガ
ン、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、第二
鉄塩、ヨウ素酸塩等が特に好ましく用いられる。これら
の中で、例えば、ペルオキソ二硫酸アンモニウムや二酸
化マンガンは、その酸化反応において、共に1分子当り
に2個の電子が関与するので、通常、アニリン1モルに
対して1〜1.25モルの範囲の量が用いられる。
上記プロトン酸は、酸解離定数pKa値が3.0以下であれ
ば、特に、限定されるものではなく、例えば、塩酸、硫
酸、硝酸、過塩素酸、ホウフツ化水素酸、リンフツ化水
素酸、フツ化水素酸、ヨウ化水素酸等の無機酸、ベンゼ
ンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スル
ホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等のアル
カンスルホン酸、ピクリン酸等のフエノール類、m−ニ
トロ安息香酸等の芳香族カルボン酸、ジクロロ酢酸等の
脂肪酸カルボン酸等を挙げることができる。また、ポリ
マー酸も用いることができる。かかるポリマー酸として
は、例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスル
ホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリビニル硫酸等を挙
げることができる。
用いるプロトン酸の量は、用いる酸化剤の反応様式に
依存する。例えば、二酸化マンガンの場合は、酸化反応
は、 MnO2+4H++2e-→Mn2++2H2O で示されるから、用いる二酸化マンガンの少なくとも4
倍モル量のプロトンを供給し得るプロトン酸を用いる必
要がある。また、過酸化水素の場合も、酸化反応は、 H2O2+2H++2e-→2H2O で示されるから、用いる過酸化水素の少なくとも2倍モ
ル量のプロトンを供給し得るプロトン酸を用いる必要が
ある。他方、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの場合は、
酸化反応は、 S2O8 2-+2e-→2SO4 2- で示されるから、特に、プロトン酸を用いる必要はな
い。しかし、本発明においては、酸化剤として、ペルオ
キソ二硫酸アンモニウムを用いる場合であつても、この
酸化剤と等モル量のプロトン酸を用いることが好まし
い。
アニリンの酸化重合における溶剤としては、アニリ
ン、プロトン酸及び酸化剤を溶解し、且つ、酸化剤によ
つて酸化されないものが用いられる。水が最も好ましく
用いられるが、しかし、必要に応じて、メタノール、エ
タノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリ
ル類、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキ
シド等の極性溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル
類、酢酸等の有機酸類も用いることができる。また、こ
れら有機溶剤と水との混合溶剤も用いることができる。
溶剤可溶性のアニリン酸化重合体を得る方法におい
て、反応の間、特に、酸化剤溶液をアリニン溶液に加え
る間に、反応混合物の温度を常に5℃以下に保持するこ
とが重要である。従つて、酸化剤溶液は、アニリンに徐
々に加えて、反応混合物の温度が5℃を越えないように
する必要がある。急激に酸化剤を加えるときは、外部か
らの冷却によつても、反応混合物の温度が上昇して、低
分子量の重合体を生成したり、或いは後述する脱ドーピ
ング後にも溶剤不溶性の酸化重合体が生成する。
特に、本発明においては、反応温度を0℃以下に保持
するのが好ましく、これによつて、脱ドーピング後、N
−メチル−2−ピロリドン中、30℃で測定した(以下、
同じ。)極限粘度〔η〕が1.0dl/g以上の高分子量の溶
剤可溶性のアリニンの酸化重合体を得ることができる。
このようにして、用いたプロトン酸によつてドーピン
グされたアニリンの酸化重合体、即ち、ポリアニリンを
得ることができる。ドープ状態では、このポリアニリン
は、プロトン酸と塩を形成しているために、後述するよ
うな有機溶剤に溶解しない。高分子量アミンの塩が一般
に有機溶剤に難溶性であることはよく知られている。し
かしながら、本発明によれば、この有機溶剤不溶性のポ
リアニリンを脱ドーピングすることによつて、有機溶剤
に可溶性のポリアニリンとすることができる。
かかるプロトン酸にてドーピングされているポリアニ
リンの脱ドーピングは、一種の中和反応であるから、ド
ーパントとしてのプロトン酸を中和し得る塩基性物質で
あれば、特に、限定されるものではないが、好ましく
は、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カル
シウム等の金属水酸化物が用いられる。脱ドーピング
は、上記アニリンの酸化重合の後、反応混合物中に直接
に塩基性物質を加えてもよく、或いは重合体を一旦単離
した後、塩基性物質を作用させてもよい。
アリニンの酸化重合によつて得られたドープ状態のポ
リアニリンは、通常、10-6S/cm以上の電導度を有して、
黒緑色を呈するが、脱ドーピング後は、紫色或いは紫が
かつた銅色である。この変色は、重合体中の塩構造のア
ミン窒素が遊離アミンに変化したためである。電導度
は、通常、10-10S/cm台である。
このようにして得られる脱ドープ状態のポリアニリン
は、高分子量を有し、しかも、種々の有機溶剤に溶解す
る。かかる有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリ
ドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2
−イミダゾリジノン、スルホラン等の非プロトン性極性
有機溶剤を挙げることができる。
かかる有機溶剤に対する脱ドープ状態のポリアニリン
の溶解性は、ポリアニリンの平均分子量や溶剤にもよる
が、その1〜100%が溶け、1〜30重量%の溶液を得る
ことができる。特に、脱ドーピング状態のポリアニリン
は、N−メチル−2−ピロリドンに高い溶解性を示し、
通常、その20〜100%が溶解し、3〜30重量%溶液を得
ることができる。しかし、テトラヒドロフラン、80%酢
酸水溶液、60%ギ酸水溶液、アセトニトリル等には溶解
しない。
次に、かかる溶剤可溶性のポリアニリンを用いる導電
性多孔質膜の製造について説明する。
本発明によれば、先ず、かかる溶剤可溶性のポリアニ
リンを前記したような非プロトン性極性有機溶剤又は後
述する添加剤を含有するかかる非プロトン性極性有機溶
剤に溶解して製膜溶液とし、この製膜溶液を適宜の支持
基材上に塗布した後、上記有機溶剤と混和性を有する
が、上記ポリアニリンを溶解させない凝固溶剤に接触さ
せ、脱溶剤して、多孔質膜を得る。成膜溶液のための有
機溶剤としては、ポリアニリンを脱ドープ状態に保つた
めに、前述したような非プロトン性有機溶剤が用いられ
るが、特に、N−メチル−2−ピロリドンがポリアニリ
ンに対する溶解性にすぐれいるので、本発明において好
ましく用いられる。
このように、一般に、重合体を含む製膜溶液から多孔
質膜を製造する方法は、湿式法として既によく知られて
おり、限外濾過膜や逆浸透膜がかかる方法にて製造され
ている。このような膜は、表面の緻密な所謂スキン層が
多孔質層にて一体的に支持されている所謂異方性多孔質
膜である。上記多孔質層には空洞を有する指状構造を含
むこともある。上記のようにして得られる溶剤可溶性の
ポリアニリンから得られる多孔質膜も、このような構造
を有する異方性膜である。
本発明においては、強靭で可撓性にすぐれる多孔質膜
を得るには、極限粘度〔η〕が0.40以上の前記した溶剤
可溶性ポリアニリンを用いることが望ましい。また、製
膜溶液におけるポリアニリンの濃度は、通常、0.5〜30
重量%、好ましくは1〜20重量%の範囲である。
本発明においては、得られる多孔質膜の多孔度や表面
積を調整するために、種々の添加剤を製膜溶液に加えて
もよい。かかる添加剤は、製膜溶液に溶解することが必
要であり、例えば、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属
塩が好ましく用いられる。具体例としては、例えば、硝
酸リチウム、硝酸カリウム、臭化リチウム等を挙げるこ
とができるが、これらに限定されるものではない。かか
る無機系添加剤は、通常、ポリアニリン100重量部当た
りに100重量部以下の範囲で用いられる。添加剤を過多
に用いるときは、製膜溶液の均一性を阻害する傾向があ
り、均一な選択性透過膜を得ることが困難となる。
また、添加剤として、有機化合物も用いることができ
る。かかる有機添加剤としては、例えば、一価アルコー
ル、多価アルコール、ケトン、ニトリル、炭化水素、エ
ーテル、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコ
ール、エステル類等が用いられる。具体例としては、例
えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセ
リン、ブタンジオール、アセトン、メチルエチルケト
ン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリ
ル、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、ジエチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレ
ングリコール、ジプロピレングリコール等を挙げること
ができるが、これらに限定されるものではない。
かかる添加剤は、製膜溶液に溶解することが好ましい
が、溶解しない添加剤の使用も可能である。これら有機
系添加剤は、ポリアニリン100重量部当たりに、通常、1
000重量部以下の範囲で用いられる。必要ならば、上記
無機系添加剤と有機系添加剤とを併用することもでき
る。
製膜溶液を塗布する支持基材は、特に、限定されな
い。ガラス、ステンレス、アルミニウム、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等で例示される材料からなる平滑な
表面を有する板部材を用いることによつて、ポリアニリ
ンが凝固した後、これら基材から容易に剥離するので、
シート状多孔質膜を得ることができる。
支持基材への製膜溶液の塗布厚さは、得られる選択性
透過膜の用途や基材の種類によつても異なるが、通常
は、得られる多孔質膜の厚さが10〜700μm、好ましく
は50〜200μmとなるように塗布される。膜厚が薄すぎ
るときは、得られる多孔質膜が機械的強度に劣るように
なり、他方、厚すぎるときは、イオン拡散性に劣るよう
になり、共に、正極物質としての実用性に劣ることとな
る。
このように、製膜溶液を支持基材上に薄層に塗布した
後、この層から有機溶剤を一部蒸発させて、スキン層の
形成を促すのが好ましい。かかる溶剤の蒸発の条件は、
製膜溶液の成分組成等に応じて適宜に選ばれるが、溶剤
の沸点未満の温度、例えば、溶剤がN−メチル−2−ピ
ロリドンの場合であれば、0〜200℃の範囲とし、蒸発
させるための時間は、特に、限定されるものではなく、
数秒から数時間にわたつてよい。
次いで、製膜溶液を塗布した基材を凝固溶剤に浸漬し
て、ポリアニリンを脱溶剤、凝固させて、多孔質膜化さ
せる。凝固溶剤は、ポリアニリンを溶解させないが、製
膜溶液の溶剤と良好な相溶性を有し、好ましくは、任意
の割合にて相溶し、更に、前述した添加剤を溶解させる
ことが必要であり、代表的には、水が用いられる。凝固
溶剤の他の例としては、水に相溶し得る有機溶剤と水と
の混合溶剤を挙げることができ、かかる有機溶剤の具体
例としては、例えば、アセトン、グリセリン、メタノー
ル等を挙げることができる。必要ならば、かかる有機溶
剤を単独で凝固溶剤として用いることもできる。
ポリアニリンを凝固溶剤に接触させて、ポリアニリン
を多孔質膜化する際の温度は、一般的には、用いる凝固
溶剤の沸点未満の温度である。水を凝固溶剤として用い
る場合、通常、0〜80℃、好ましくは0〜50℃の範囲で
ある。凝固に要する時間は、特に、限定されるものでは
ないが、1分から20時間にわたつてよい。
本発明によれば、次いで、このようにして得られたポ
リアニリン多孔質膜をpKa値が4.0以下のプロトン酸にて
ドーピングすることによつて、上記ポリアニリンに導電
性を付与し、かくして、導電性ポリアニリン多孔質膜を
得る。
かかるドーピング剤としては、例えば、塩酸、硫酸、
硝酸、過塩素酸、ホウフツ化水素酸、リンフツ化水素酸
等の無機酸が好ましく用いられる。しかし、必要に応じ
て、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の
芳香族スルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン
酸等の脂肪族スルホン酸、ピクリン酸等のフエノール
類、m−ニトロ安息香酸等の芳香族カルボン酸、ジクロ
ロ酢酸等の脂肪族カルボン酸等の有機酸も用いることが
できる。
ポリアニリン多孔質膜のドーピングは、通常、上記し
たようなドーピング剤を含む溶液中に、通常、数時間か
ら数日間、膜を浸漬し、その後、洗浄、乾燥すればよ
い。
本発明によれば、ポリアニリン多孔質膜がヒドラジン
やフエニルヒドラジン等の還元剤にて完全に還元されて
いるとき、電極活物質として最大の容量を得ることがで
きる。最大の容量とは、アニリン1単位当り1電子の酸
化還元を行なうことができる場合をいい、それらは、ポ
リアニリンが電池に組み込まれる際に、式 において、0<m≦1であつて、mにて表わされるキノ
ンジイミン構造の繰り返し単位中の窒素原子がすべてプ
ロトン化されて、式 で表わされるドープ状態にある場合であるか、又はmは
0であつて、完全に還元されたフエニレンジアミン構造
の繰り返し単位のみからなる場合である。
これらの場合、得られる理論容量は、ポリアニリンの
みの重量を基準とすれば、290Ah/kg、ドーパントとして
例えばHBF4を含めた重量を基準とすれば、150Ah/kgであ
る。
尚、ドーピングされて、導電性を与えられたポリアニ
リンは、プロトン酸の存在下に調製されたポリアニリン
と同様に、プロトン酸にてドーピングされているため
に、前述した理由によつて、前記した有機溶剤には溶解
しない。
本発明による前記可溶性アニリン酸化重合体は、元素
分析、赤外線吸収スペクトル、ESRスペクトル、熱重量
分析、溶剤への溶解性、可視乃至近赤外吸収スペクトル
から、 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
ミン構造単位及びフエニレンジアミン構造単位のモル分
率を示し、0≦m≦1、0≦n≦1、m+n=1であ
る。) を主たる繰返し単位として有する重合体である。
このように、本発明によるアニリンの酸化重合体は、
繰返し単位として、キノンジイミン構造単位及びフエニ
レンジアミン構造単位を有するので、プロトン酸にてド
ーピングされた状態においては、酸化還元反応を伴なわ
ずに、酸塩基反応のみによつて、導電性を有するものと
して説明される。この導電機構は、A.G.MacDiarmidらに
よるものであつて(A.G.MacDiarmid et al.,J.Chem.So
c.,Chem.Commun.,1987,1784)、プロトン酸によるドー
ピングによつて、下に示すように、キノンジイミン構造
がプロトン化され、これがセミキノンカチオンラジカル
構造をとつて、導電性を有するものである。かかる状態
は、ポーラロン状態と呼ばれる。
ドーピングによつて得られるポリアニリンからなる多
孔質膜の電導度は、用いるプロトン酸のpKa値に依存す
る。ポリアニリンのドーピングには、pKa値が4.0以下の
プロトン酸が有効であり、pKa値が1〜4のプロトン酸
を用いるときは、そのpKa値が小さいほど、即ち、酸性
が強いほど、得られる膜の電導度は高い。しかし、pKa
値が1よりも小さいときは、得られる膜の電導度は、最
早、殆ど変化せず、ほぼ一定である。
プロトン酸によるドーピング後のポリアニリンの導電
性は、通常、10-6S/cm以上、多くの場合、10-4S/cm以上
であつて、しかも、この導電性は、湿度には何ら影響さ
れない。特に、低湿度領域にて電導度が変化しない特性
を有する。
次に、本発明による電池について説明する。本発明に
よる電池は、上述したポリアニリンからなる導電性多孔
質膜を正極活物質として用いる。他方、負極活物質とし
ては、例えば、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグ
ネシウム、アルミニウム、亜鉛、カドミウム、スズ、
鉛、鉄及びこれらの合金等が用いられるが、これらに限
定されるものではない。
また、電解質の溶剤としては、水のほか、アルカリ金
属を負極に用いる場合は、非プロトン性有機溶剤も用い
られる。かかる非プロトン性有機溶剤としては、例え
ば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、
テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、
γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホキシド、アセトニトリル、スルホラン等も用いら
れる。
かかる溶剤に溶解させる電解質としては、上記溶剤に
易溶性の負極金属の塩、例えば、塩化物、硫酸塩、硝酸
塩、テトラフルオロホウ酸塩、過塩素酸塩、ヘキサフル
オロリン酸塩等が好適に用いられる。
発明の効果 以上のように、本発明において用いる導電性ポリアニ
リンからなる多孔質膜は、導電性重合体であるポリアニ
リンが従来より知られている導電性ポリアニリンに比べ
て、遥かに高分子量を有するために、強靭で可撓性及び
耐熱性にすぐれ、しかも、高導電性を有し、従つて、本
発明によれば、かかる導電性ポリアニリン多孔質膜を正
極活物質として用いることによつて、高容量高エネルギ
ー密度を有する電池を得ることができる。
しかも、本発明にて用いる導電性ポリアニリン多孔質
膜は、化学酸化法にて得られた溶剤可溶性ポリアニリン
をキヤステイング法にて製膜し、ドーピングすることに
よつて、任意の面積にて容易に得ることができるので、
低廉な電池製作を可能とする。
実施例 本発明による実施例を挙げるが、本発明はこれら実施
例により何ら限定されるものではない。
実施例1 (アニリンの酸化重合によるドープ状態の導電性有機重
合体の製造例1) 撹拌装置、温度計及び滴下ろうとを備えた3容量セ
パラブル・フラスコに蒸留水1500g、36%塩酸90ml及び
アニリン100g(1.07モル)をこの順序にて仕込み、アニ
リンを溶解させた。別に、氷水にて冷却しながら、ビー
カー中の蒸留水370gに97%濃硫酸107g(1.09モル)を加
え、混合して、硫酸水溶液を調製した。この硫酸水溶液
を上記セパラブル・フラスコに加え、フラスコ全体を氷
水で−3℃以下の温度まで冷却した。
次に、ビーカー中にて蒸留水573gにペルオキソ二硫酸
アンモニウム245g(1.07モル)を加え、溶解させて、酸
化剤水溶液を調製した。
フラスコ全体を低温恒温槽で冷却して、反応混合物の
温度を−3℃以下に保持しつつ、撹拌下にアニリン塩の
水溶液に上記ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液を徐
々に200分を要して滴下した。最初、無色透明の溶液
は、重合の進行に伴つて緑青色から黒緑色となり、次い
で、黒緑色の粉末が析出した。ペルオキソ二硫酸アンモ
ニウム水溶液の滴下終了後、更に25分間、−3℃の温度
にて撹拌を続けた。
得られた重合体粉末の一部を採取し、水洗、アセトン
洗浄し、室温で真空乾燥して、黒緑色の重合体粉末を得
た。これを直径13mm、厚さ700μmのデイスクに加圧成
形し、フアン・デル・ポー法によつて、その電導度を測
定したところ、3.70S/cmであつた。
得られた重合体スラリーを蒸留水3にて2回、更
に、アセトン3にて3回、濾過洗浄した後、重合体を
室温で減圧乾燥した。
(導電性有機重合体の脱ドーピングによる溶剤可溶性ポ
リアニリンの製造例1) 上記ドープされている導電性重合体粉末を25%アンモ
ニア水2に分散させ、冷却水、2時間撹拌した後、蒸
留水3にて1回、アセトン3にて4回、撹拌洗浄と
濾過を繰返した。室温で電圧乾燥して、脱ドープされた
ポリアニリン粉末79.5gを得た。
このポリアニリンは、N−メチル−2−ピロリドンに
可溶性であつた。また、これを溶剤として30℃で測定し
た極限粘度〔η〕は1.24であつた。
この重合体は、ジメチルスルホキシド及びジメチルホ
ルムアミドには1%入の溶解度であつた。テトラヒドロ
フラン、ピリジン、80%酢酸水溶液、60%ギ酸水溶液及
びアセトニトリルには実質的に溶解しなかつた。
(アニリンの酸化重合によるドープ状態の導電性有機重
合体の製造例2) 前記ドープ状態の導電性有機重合体の製造例1におい
て、反応温度の制御をやや緩くして、反応中の平均温度
を約1℃(但し、反応中、5℃を越えることはなかつ
た。)とした以外は、同様にして、ドープ状態の導電性
ポリアニリンを得た。このポリアニリンの電導度は2.8S
/cmであつた。
(導電性有機重合体の脱ドーピングによる溶剤可溶性ポ
リアニリンの製造例2) このドープされている導電性有機重合体粉末を前述し
たようにして脱ドープした得た溶剤可溶性ポリアニリン
は、極限粘度0.67であつた。
(溶剤可溶性ポリアニリンを用いる自立性フイルムの製
造例) 前記脱ドーピングによる溶剤可溶性ポリアニリンの製
造例1にて得たポリアニリン粉末5gをN−メチル−2−
ピロリドン95g中に少量ずつ加え、室温にて溶解させ
て、黒青色溶液を得た。この溶液をG3ガラスフイルター
にて真空濾過したところ、フイルター上に残存した不溶
物は極めて少量であつた。このフイルターをアセトンに
て洗浄し、残存する不溶物を乾燥後、重量測定したとこ
ろ、75mgであつた。従つて、重合体は、その98.5%が溶
解し、不溶物は1.5%であつた。
このようにして得られた重合体溶液をガラス板上にキ
ヤステイングし、ガラス棒にてしごいた後、熱風循環乾
燥器中でN−メチル−2−ピロリドンを蒸発揮散させ
た。この後、ガラス板を冷水中に浸漬することによつ
て、重合体フイルムがガラス板より自然に剥離し、かく
して、厚さ40μmの重合体フイルムを得た。
このフイルムをアセトンで洗浄した後、室温で風乾し
て、銅色の金属光沢を有するフイルムを得た。
フイルムは、その乾燥温度によつて、強度及び溶解性
が異なる。乾燥温度が100℃以下のときは、得られるフ
イルムは、N−メチル−2−ピロリドンに少量溶解する
と共に、強度も比較的小さい。しかし、130℃以上の温
度で加熱して得られるフイルムは、非常に強靭であつ
て、また、N−メチル−2−ピロリドンやその他の有機
溶剤にも溶解しない。また、濃硫酸にも溶解しない。こ
のように、高温で加熱すると、その過程で重合体分子が
相互に架橋し、不溶性となるものとみられる。
このようにして得られた脱ドープ状態のフイルムは、
電導度はいずれも10-10S/cm台であつた。
また、フイルムは10000回の折り曲げによつても割れ
ず、引張強度は840kg/cm2であつた。
(自立性フイルムのドーピングによる導電性フイルムの
製造例) 前記溶剤可溶性ポリアニリンを用いる自立性フイルム
の製造例において、150℃で30分間加熱乾燥して得た自
立性フイルムをそれぞれ1Nの硫酸、過塩素酸及び塩酸水
溶液中に室温にて66時間浸漬した後、アセトンで洗浄
し、風乾して、それぞれ導電性フイルムを得た。
フイルムは、いずれも濃青色を呈し、電導度は、それ
ぞれ8.2S/cm、11S/cm及び5S/cmであつた。また、過塩素
酸にてドーピングしたフイルムの引張強度は500kg/cm2
であつた。
(共に脱ドープ状態で可溶性の重合体及び不溶性フイル
ム化された重合体のスペクトル及び構造) 前記溶剤可溶性ポリアニリンの製造例1にて得たポリ
アニリン粉末とこの溶剤可溶性ポリアニリンを用いる自
立性フイルムの製造例にて得た不溶性重合体フイルムの
KBr錠剤法によるFT−IRスペクトル(フーリエ変換赤外
吸収スペクトル)をそれぞれ第1図及び第2図に示す。
2つのスペクトルは殆ど同じであるので、溶剤可溶性の
重合体のキヤステイング後の溶剤の加熱乾燥によつて、
重合体は架橋によつて溶剤不溶化するものの、化学構造
において大きい変化が生じていないことが認められる。
上記可溶性重合体粉末及び不溶性重合体フイルムの熱
重量分析の結果を第3図に示す。いずれも高い耐熱性を
有する。不溶性のフイルムがより高い温度まで分解しな
いので、濃硫酸に不溶性であることを考慮すれば、不溶
性フイルムにおいては、重合体分子が架橋していること
を示すものである。
また、第4図にESRスペクトルを示す。スピン濃度
は、可溶性重合体が1.4×1018スピン/gであり、不溶性
重合体が2.7×1017スピン/gであつた。可溶性重合体か
ら不溶性重合体へのスピン濃度の減少は、前述したよう
に、フイルム調製における溶剤の加熱乾燥過程における
重合体分子の架橋によるものであるとみられる。
次に、可溶性重合体と不溶性重合体について、元素分
析の結果を以下に示す。
可溶性重合体 C,77.97;H,5.05;N,14.68(合計 97.70) 不溶性重合体 C,78.31;H,5.38;N,15.31(合計 99.00) この元素分析に基づいて、C12.00の規格化した可溶性
重合体の組成式はC12.009.261.94であり、不溶性
の重合体の組成式はC12.009.822.01である。他
方、同様に、C12.00に規格化したキノンジイミン構造単
位及びフエニレンジアミン構造単位は、それぞれ下記の
とおりである。
キノンジイミン構造単位 C12H8N2 フエニレンジアミン構造単位 C12H10N2 従つて、可溶性重合体及び溶剤不溶性重合体共に、前
述したように、キノンジイミン構造単位とフエニレンジ
アミン構造単位を主たる繰返し単位として有する重合体
である。
次に、前記溶剤可溶性ポリアニリンを用いる自立性フ
イルムの製造例にて得た脱ドープ状態のフイルムと前記
導電性フイルムの製造例にて得た過塩素酸をドープした
フイルムの可視乃至近赤外領域の反射スペクトルをそれ
ぞれ第5図に示す。脱ドープ状態においては、近赤外光
を殆ど反射しているが、ドープ後には、近赤外光を吸収
しており、反射が殆どないことが認められる。これは、
プロトン酸ドーピングによつて生成した導電性をもたら
すポーラロン又はバイポーラロンによる吸収に基づく。
また、脱ドープ状態のフイルムを過塩素酸にてドープ
することによつて、ESR吸収が大幅に増大し、スピン濃
度は3.8×1021スピン/gにも達する。これは生成したポ
ーラロンであるセミキノンラジカルに由来するものであ
る。
(種々のドーパントによる導電性フイルムの製造) 前記溶剤可溶性ポリアニリンを用いる自立性フイルム
の製造例にて得られた重合体フイルムを種々のpKa値を
有するプロトン酸の水溶液又はアルコール溶液に浸漬
し、ドーピングの可否を調べた。結果を第6図に示す。
種々のpKa値を有するプロトン酸にてドーピングして得
られた重合体フイルムの電導度を第1表に示す。
以上の結果から、pKa値が4.0以下であるプロトン酸が
重合体のドーピングに有効であることが示される。
(正極活物質としての導電性ポリアニリン多孔質膜の製
造) 前記脱ドーピングによる溶剤可溶性ポリアニリンの製
造例1にて得た溶剤可溶性ポリアニリンをN−メチル−
2−ピロリドンに5重量%濃度にて溶解させて、製膜溶
液を調製した。同様に、前記脱ドーピングによる溶剤可
溶性ポリアニリンの製造例2にて得た溶剤可溶性ポリア
ニリンをN−メチル−2−ピロリドンに8重量%濃度に
て溶解させて、製膜溶液を調製した。
これら製膜溶液を厚さ590μmのスペーサを置いたガ
ラス板上にそれぞれ室温にてキヤステイングした後、第
2表に示す条件にて温度及び時間にて処理して、溶剤を
蒸発させた。次いで、キヤステイング層をガラス板と共
に水中に1分間浸漬し、ポリアニリンを凝固させ、ガラ
ス板から剥離させた。得られた多孔質膜をアセトンにて
洗浄液が着色しなくなるまで十分に洗浄した後、室温で 減圧乾燥して、柔軟な脱ドープ状態のポリアニリン多孔
質膜を得た。
次に、この多孔質膜に導電性を与えるために、多孔質
膜を42%ホウフツ化水素酸水溶液中に約12時間浸漬した
後、80℃にて3時間減圧乾燥させて、電池用正極活物質
として用いた。
(電池性能試験) 上記ポリアニリン多孔質膜をアルゴンガス中で約1cm2
に切取つて試料とし、その厚みと重量を測定した後、リ
ード線付きの白金メツシユで包んで正極とした。
電池セパレータとしては、ポリプロピレン製不織布
を、また、負極には厚さ200μmのリチウム箔を2cm角に
切り、ステンレスメツシユを集電材として一体化させた
ものを用いた。また、電解質にはホウフツ化リチウム1
モルを溶解させた精製プロピレンカーボネート溶液を用
いた。
充放電は定電流にて放電終了電圧2V、充電終了電圧4V
にて行なつた。結果を第3表に示す。
実施例2 前記脱ドーピングによる溶剤可溶性ポリアニリンの製
造例1にて得た溶剤可溶性ポリアニリンを第2表に示す
添加剤と共にN−メチル−2−ピロリドンに所定濃度に
溶解させて、製膜溶液を調製した。
これら製膜溶液を厚さ590μmのスペーサを置いたガ
ラス板上にそれぞれ室温にてキヤステイングした後、80
℃の温度で15分間加熱して、溶剤の一部を蒸発除去した
後、キヤステイング層をガラス板と共に25℃の蒸留水中
に浸漬し、残存溶剤を除去して、ポリアニリンを凝固さ
せ、ガラス板から剥離させた。多孔質膜を得た。得られ
た多孔質膜をアセトンにて洗浄液が着色しなくなるまで
十分に洗浄した後、室温で減圧乾燥して、 柔軟な脱ドープ状態のポリアニリン多孔質膜を得た。
次に、この多孔質膜に導電性を与えるために、多孔質
膜を42%ホウフツ化水素酸水溶液中に約12時間浸漬した
後、80℃にて3時間減圧乾燥させて、電池用正極活物質
として用いた。
(電池性能試験) 上記ポリアニリン多孔質膜を用いて、実施例1と同様
に電池を構成し、同様にして電池性能を試験した。
【図面の簡単な説明】
第1図は、脱ドープ状態で可溶性のポリアニリンのKBr
錠剤法によるFT−IRスペクトル、第2図は、上記溶剤可
溶性のポリアニリンをキヤステイングして得た溶剤不溶
性のフイルムのKBr錠剤法によるFT−IRスペクトル、第
3図は、上記可溶性ポリアニリン及び不溶性ポリアニリ
ンフイルムの熱重量分析、第4図は、上記可溶性ポリア
ニリン及び不溶性ポリアニリンのESRスペクトル、第5
図は、脱ドープ状態のポリアニリンフイルムとこれを過
塩素酸にてドープしたフイルムの可視から近赤外領域の
反射スペクトル、第6図は、脱ドープ状態のポリアニリ
ンフイルムを種々のpKa値を有するプロトン酸にてドー
プしたとき、プロトン酸のpKa値と得られたフイルムの
電導度との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋月 伸也 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電工株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−200669(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01M 4/60 H01M 10/40

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
    ミン構造単位及びフエニレンジアミン構造単位のモル分
    率を示し、0≦m≦1、0≦n≦1、m+n=1であ
    る。) を主たる繰返し単位として有し、脱ドープ状態において
    は、有機溶剤に可溶性であり、且つ、N−メチルピロリ
    ドン中、30℃で測定した極限粘度〔η〕が0.40dl/g以上
    であるが、pKa値が4.0以下のプロトン酸にてドーピング
    されて、有機溶剤に不溶性とされた導電性ポリアニリン
    からなる多孔質膜を正極活物質として有することを特徴
    とする電池。
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