JPH0853566A - 導電性高分子成形体およびその製造方法 - Google Patents

導電性高分子成形体およびその製造方法

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JPH0853566A
JPH0853566A JP18814894A JP18814894A JPH0853566A JP H0853566 A JPH0853566 A JP H0853566A JP 18814894 A JP18814894 A JP 18814894A JP 18814894 A JP18814894 A JP 18814894A JP H0853566 A JPH0853566 A JP H0853566A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽量で任意の形状に成形可能な導電性高分子
を連続相とするスポンジ状の導電性高分子成形体および
その簡便なる製造方法を提供する。 【構成】 導電性高分子を連続相とするスポンジ状の導
電性高分子成形体であって、その製造方法としては、溶
剤を含むポリアニリンもしくはその誘導体を任意の成形
容器中で冷却し溶剤を凍結させた後溶剤を取り除く方
法、モノマーであるアニリンもしくはアニリン誘導体と
プロトン酸・酸化剤を含む溶液を冷却して溶剤を凍結さ
せた後溶剤の融解温度以下で重合する方法がある。ピロ
ールもしくはピロール誘導体は、酸化剤を含む溶液を冷
却して溶剤を凍結させた後溶剤の融解温度以下で重合す
る方法で製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は導電性材料として利用さ
れる導電性高分子成形体およびその製造方法に関し、特
に充填材として好適な、軽量で任意の形状に成形可能な
ポリアニリンもしくはポリピロール及びそれらの誘導体
を連続相とするスポンジ状の導電性高分子成形体および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、機能性有機材料の分野において技
術革新が進み、ポリアセチレンやポリパラフェニレン、
ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等の電子
共役系高分子に電子供与性や電子受容性化合物をドーパ
ントとして添加した導電性高分子が開発され、電極材料
や導電性薄膜として一部実用化されている。このうち、
ポリアニリンおよびポリピロールは導電率が高く空気中
でも安定な材料として知られており電解コンデンサ固体
電解質等の導電材料への応用が検討されている。また、
ドーピング、脱ドーピングにともなう電荷の授受を利用
した二次電池の電極活物質としても利用されている。こ
のように、ポリアニリンおよびポリピロールは電子工学
分野を初めとする多くの分野で応用が期待されており、
高導電性のポリアニリンおよびポリピロールを任意の形
状で、しかも簡便な方法で製造する技術の開発が望まれ
ている。
【0003】ポリアニリンの合成方法としてはペルオキ
ソ2硫酸アンモニウムや2クロム酸カリウムなどの酸化
剤を用いてアニリンを酸化重合するものや、塩酸などの
プロトン酸水溶液中でアニリンを電解重合する方法が知
られている。これらの方法で得られるポリアニリンは粉
末もしくは薄膜であり、この材料を加熱しても分解温度
まで融解しないために、任意の形状の成形体を得るには
粉末や薄膜を加圧成形する必要があった。また、脱ドー
ピングしたポリアニリンをN−メチルピロリドンなどの
塩基性溶媒に溶解した溶液、およびカンファスルホン酸
やドデシルベンゼンスルホン酸をドーパントとするポリ
アニリンをm−クレゾールに溶解した溶液も知られてい
るが、これらの溶解度はいずれも10重量%以下であ
り、溶媒の沸点も高いために薄膜以外の任意の形状のポ
リアニリン成形体を得ることは困難であった。
【0004】ポリピロールの合成方法としては塩化第2
鉄などの酸化剤を用いてピロールを酸化重合するもの
や、パラトルエンスルホン酸ナトリウムなどの電解質溶
液中でピロールを電解重合する方法が知られている。こ
れらの方法で得られるポリアニリンは粉末もしくは薄膜
であり、この材料を加熱しても分解温度まで融解しない
ために、任意の形状の成形体を得るには粉末や薄膜を加
圧成形する必要があった。さらにポリピロールの場合は
これを溶解する溶媒は知られておらず、従ってポリピロ
ールの溶液も得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、ポ
リアニリンおよびポリピロールは電子工学分野を初めと
する多くの分野で応用が期待されているが、従来の方法
では高導電性のポリアニリンおよびポリピロールを任意
の形状で、しかも簡便な方法で製造することは困難であ
った。
【0006】本発明の課題はこの問題を解決するために
なされたもので、充填材として好適な、軽量で任意の形
状に成形可能な導電性高分子を連続相とするスポンジ状
の導電性高分子成形体およびその製造方法を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために種々の検討を行った。その結果、導電
性高分子を連続相とするスポンジ状の導電性高分子成形
体を、溶剤を含むポリアニリンもしくはポリアニリン誘
導体を任意の成形容器中で冷却し溶剤を凍結させた後、
溶剤を取り除く方法、アニリンもしくはアニリン誘導体
をモノマーとし、プロトン酸、および酸化剤を用いるポ
リアニリンもしくはポリアニリン誘導体の重合方法にお
いて、モノマーとプロトン酸、および酸化剤を含む溶液
を冷却して溶剤を凍結させた後、溶剤の融解温度以下で
重合させる方法、およびピロールもしくはピロール誘導
体をモノマーとし、酸化剤を用いるポリピロールもしく
はポリピロール誘導体の重合方法において、モノマーと
酸化剤を含む溶液を冷却して溶剤を凍結させた後、溶剤
の融解温度以下で重合させる方法で製造し得ることを見
い出し、本発明に至った。
【0008】本発明において導電性高分子はπ電子共役
系高分子を主な成分とする高分子化合物であり、その種
類は特に限定されないが、導電性材料としての安定性と
製造の容易さからポリアニリンもしくはポリアニリン誘
導体、およびポリピロールもしくはポリピロール誘導体
が好ましい。本発明においてポリアニリンもしくはポリ
アニリン誘導体はアニリン骨格を有する化合物の重合
体、ポリアニリンの置換誘導体、およびこれらのポリア
ニリンを主な成分とする共重合体化合物であり、ポリア
ニリンの置換誘導体としては例えばポリアニリンにアル
キル基、アルケニル基、アルコキシ基、フェニル基、シ
アノ基、ハロゲン基、スルホン基、カルボキシル基など
が付加した化合物などがなどが挙げられる。また、本発
明においてポリピロールもしくはポリピロール誘導体は
ピロール骨格を有する化合物の重合体、ポリピロールの
置換誘導体、およびこれらのポリピロールを主な成分と
する共重合体化合物であり、ポリピロールの置換誘導体
としては例えばポリピロールにアルキル基、アルケニル
基、アルコキシ基、フェニル基などが付加した化合物な
どが挙げられる。
【0009】本発明に用いられるポリアニリンもしくは
ポリアニリン誘導体の合成方法は特に限定されず、1種
類、または2種類以上のポリアニリンもしくはポリアニ
リン誘導体をモノマーとして酸化剤で酸化重合する方法
や、電解液中で電解酸化重合する方法などで合成される
が、成形体を製造する容易さから酸化剤を用いる酸化重
合が好ましい。本発明で使用できる酸化剤は特に限定さ
れず、ペリオキソ2硫酸アンモニウム、ペルオキソ2硫
酸ナトリウム、重クロム酸ナトリウム、重クロム酸カリ
ウム、重クロム酸アンモニウム、ベンゾキノン、過酸化
水素、過マンガン酸カリウム、活性二酸化マンガンなど
のポリアニリンを合成する酸化剤として従来より使用さ
れているものが用いられる。
【0010】本発明においてポリアニリンもしくはポリ
アニリン誘導体、およびポリピロールもしくはポリピロ
ール誘導体の導電率は特に限定されず、ドーパントとし
てプロトン酸やアニオンを含むものや、あるいはドーパ
ントを除いた非導電性のものが使用できる。
【0011】本発明の導電性高分子成形体は以下の3つ
の方法で製造される。第1は溶剤を含むポリアニリンも
しくはポリアニリン誘導体を冷却し、溶剤を凍結させる
方法であり、第2はアニリンもしくはアニリン誘導体と
プロトン酸、および酸化剤を混合し、重合反応が進行し
ないうちに急冷して溶剤を凍結させ、その後溶剤の融解
温度以下の温度に保ってアニリンもしくはアニリン誘導
体を重合する方法である。また、第3はピロールもしく
はピロール誘導体をモノマーとし、酸化剤を用いるポリ
ピロールもしくはポリピロール誘導体の重合方法におい
て、モノマーと酸化剤を含む溶液を冷却して溶剤を凍結
させた後、溶剤の融解温度以下で重合する方法である。
このうち、第1の方法では溶媒の凍結にともなってゲル
状のポリアニリン相が濃縮され、分子鎖間に水素結合が
多く形成されるために溶媒に膨潤しない導電性高分子成
形体となるものと考えられる。また、第2および第3の
方法では反応液が濃縮され、しかも低温で重合が進むた
めに導電率の高いポリアニリンもしくはポリアニリン誘
導体、およびポリピロールもしくはポリピロール誘導体
が直接に凍結した溶剤の周囲に形成される。
【0012】本発明の導電性高分子成形体の製造方法に
おいて、使用する溶媒の種類は特に限定されず、m−ク
レゾール(融点5.5℃)、ジメチルホルムアミド(−
61℃)、ジメチルスルホキシド(18.5℃)、N−
メチルピロリドン(−24℃℃)、水(0℃)やこれら
および他の溶剤などとの混合溶媒が用いられるが、第2
および第3の製造方法では溶媒の凝固点以下で重合を進
めるために、ジメチルホルムアミドやN−メチルピロリ
ドンなどの低融点の溶媒を使用すると重合時間が長くな
る。本発明の第2および第3の方法では重合時間は特に
限定されず、重合温度も溶剤の凝固点以下であれば特に
限定されない。本発明において、溶剤を凍結した後に溶
剤を取り除く方法は特に限定されず、そのまま凍結乾燥
したり、溶剤を融解した後に流出させて行われる。
【0013】本発明の導電性高分子成形体の製造方法に
おいてプロトン酸は電子受容性化合物とプロトンの化合
物であり、ポリアニリンの場合には重合時に共存させた
プロトン酸がドーパントとしてポリアニリンと相互作用
し導電率を決める。電子受容性化合物の代表的なものと
してはCl- 、Br- 、I- などのハロゲンイオン、H
SO4 - 、R−SO3 - (Rはアルキル基またはアルケ
ニル基)などの硫酸化合物、ベンゼンスルホン酸アニオ
ン、p−トルエンスルホン酸アニオン、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸アニオンなどの芳香族スルホン酸アニオ
ン、カンファースルホン酸などの脂環族スルホン酸アニ
オン、HNO3 - 、H2 PO4 - 、CH3COO- など
が挙げられる。
【0014】本発明において、溶剤を含むポリアニリン
もしくはポリアニリン誘導体、およびアニリンもしくは
アニリン誘導体とプロトン酸および酸化剤を混合した反
応溶液、ピロールもしくはピロール誘導体と酸化剤を混
合した反応溶液の冷却速度は生成する成形体の形状を決
める上で大きな影響を及ぼす。一般には冷却速度が大き
いと凍結した溶剤の粒子が小さくなるために微細な空孔
を有するスポンジ状成形体となり易い。
【0015】本発明の導電性高分子成形体は導電性高分
子を連続相とするスポンジ状のものであり、空隙の形態
としては連通気泡状、独立気泡状のものがある。そのた
め、軽量で任意の形状に成形可能なスポンジ状の導電性
高分子成形体として充填剤などに好適に使用することが
できる。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例に従って説明するが、
本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定さ
れるものではない。
【0017】(実施例1)1モル/lのパラトルエンス
ルホン酸水溶液に等モルのアニリンを溶解し、更に酸化
剤として重クロム酸アンモニウム水溶液を等モル滴下し
て0℃で2時間攪拌した。得られた黒色のポリアニリン
を大量のアンモニア水で洗浄し、濾過した後、N−メチ
ルピロリドンに溶解し、さらに不溶性成分を濾別して5
重量%のポリアニリンを含む溶液を得た。この溶液を−
76℃に急冷したところ凍結した。これを、そのまま2
時間放置して徐々に室温まで昇温し、次に、水、メタノ
ールで洗浄して乾燥するとスポンジ状のポリアニリン成
形体が得られた。
【0018】得られたスポンジ状ポリアニリン成形体は
導電率10-10 S/cm以下の絶縁体であったが、1N
の塩酸水溶液に浸漬したところ0.5S/cmの導電体
となった。
【0019】(実施例2)実施例1で合成した5重量%
のポリアニリンを含むN−メチルピロリドン溶液に、ポ
リアニリンのアニリンのモル数の2倍量のブロモオクタ
ンを滴下し、室温で3時間攪拌してポリアニリンのN−
アルキル置換体とした。反応終了後、過剰の硝酸を加え
てポリ(N−オクチルアニリン)を析出させ、濾別して
純水およびメタノールで交互に洗浄した。これを大量の
アンモニア水で洗浄し、濾過した後、N−メチルピロリ
ドンに溶解し、さらに不溶性成分を濾別して10重量%
のポリ(N−オクチルアニリン)を含む溶液を得た。こ
の溶液を−76℃に急冷したところ凍結した。これを、
そのまま2時間放置して徐々に室温まで昇温し、次に、
水、メタノールで洗浄して乾燥するとスポンジ状のポリ
(N−オクチルアニリン)成形体が得られた。
【0020】得られたスポンジ状ポリ(N−オクチルア
ニリン)成形体は導電率10-10 S/cm以下の絶縁体
であったが、1Nの塩酸水溶液に浸漬したところ0.4
S/cmの導電体となった。
【0021】(実施例3)実施例1のN−メチルピロリ
ドンに代えてジメチルスルホキシドを使う以外は実施例
1と同様の方法で3重量%のポリアニリンを含むジメチ
ルスルホキシド溶液を得た。この溶液を−76℃に急冷
したところ凍結した。これを、そのまま2時間放置して
徐々に室温まで昇温し、次に、水、メタノールで洗浄し
て乾燥するとスポンジ状のポリアニリン成形体が得られ
た。
【0022】得られたスポンジ状ポリアニリン成形体は
導電率10-10 S/cm以下の絶縁体であったが、1N
の塩酸水溶液に浸漬したところ0.2S/cmの導電体
となった。
【0023】(実施例4)1モル/lのカンファースル
ホン酸の水溶液に等モルのアニリンを溶解し、更に酸化
剤として重クロム酸アンモニウム水溶液を等モル滴下し
て0℃で2時間攪拌したところ水で膨潤したゲル状のポ
リアニリンが得られた。このゲル状ポリアニリンを−7
6℃に急冷したところ凍結した。これを、そのまま2時
間放置して徐々に室温まで昇温し、次に、水、メタノー
ルで洗浄して乾燥するとスポンジ状のポリアニリン成形
体が得られた。
【0024】得られたスポンジ状ポリアニリン成形体の
導電率は室温で3S/cmであった。
【0025】(実施例5)1モル/lのドデシルベンゼ
ンスルホン酸水溶液に等モルのアニリンを溶解し、更に
アニリンのモル数に対して等モルの重クロム酸アンモニ
ウムおよび5倍量のドデシルベンゼンスルホン酸を含む
水溶液を加え、直ちに−150℃まで急冷したところ凍
結した。これを取り出し、−10℃の冷凍機中で24時
間放置したところ全体が黒変し、ポリアニリンの重合が
認められた。次に、これを徐々に室温まで昇温し、メタ
ノールで洗浄して乾燥するとスポンジ状のポリアニリン
成形体が得られた。
【0026】得られたスポンジ状ポリアニリン成形体の
導電率は室温で10S/cmであった。
【0027】(実施例6)20重量%のドデシルベンゼ
ンスルホン酸第2鉄、および17重量%の水を含むメタ
ノール溶液を−80℃に冷却し、この溶液100部に対
して25部のピロールを滴下して十分に混合した。得ら
れた溶液は黄色の不均一なシャーベット状であった。こ
れを徐々に昇温し、−25℃で72時間放置したところ
全体が黒変し、ポリピロールの重合が認められた。次
に、これを室温まで徐々に昇温し、メタノールで洗浄し
て乾燥するとスポンジ状のポリピロール成形体が得られ
た。
【0028】得られたスポンジ状ポリピロール成形体の
導電率は室温で40S/cmであった。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば特
に充填材として好適な、軽量で任意の形状に成形可能な
導電性高分子を連続相とするスポンジ状の導電性高分子
成形体およびその簡便なる製造方法を提供でき、効果は
大である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性高分子を連続相とするスポンジ状の
    導電性高分子成形体。
  2. 【請求項2】導電性高分子がポリアニリン、ポリアニリ
    ン誘導体、ポリピロール、もしくはポリピロール誘導体
    であることを特徴とする請求項1記載の導電性高分子成
    形体。
  3. 【請求項3】溶剤を含むポリアニリンもしくはポリアニ
    リン誘導体を任意の成形容器中で冷却し溶剤を凍結させ
    た後、溶剤を取り除くことを特徴とする請求項2記載の
    導電性高分子成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】アニリンもしくはアニリン誘導体をモノマ
    ーとし、プロトン酸、および酸化剤を用いるポリアニリ
    ンもしくはポリアニリン誘導体の重合方法において、モ
    ノマーとプロトン酸、および酸化剤を含む溶液を冷却し
    て溶剤を凍結させた後、溶剤の融解温度以下で重合させ
    ることを特徴とする請求項2記載の導電性高分子成形体
    の製造方法。
  5. 【請求項5】ピロールもしくはピロール誘導体をモノマ
    ーとし、酸化剤を用いるポリピロールもしくはポリピロ
    ール誘導体の重合方法において、モノマーと酸化剤を含
    む溶液を冷却して溶剤を凍結させた後、溶剤の融解温度
    以下で重合させることを特徴とする請求項2記載の導電
    性高分子成形体の製造方法。
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