JP5326469B2 - 表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムおよび表面保護フィルム - Google Patents
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Description
また、透明包装袋として使用した場合は、内容物の色や形態によりフィッシュアイが異物として目立つことがある。これらの市場要求により厳しい管理が必要となってきている。また、前記した保護フィルム用途においても、上記外観不良は保護されている商品の商品イメージを低下させるので混入抑制の強い要望がある。特に、例えば、メッキ用の保護フィルムの場合は、該フィッシュアイが存在するとフィルムのフィッシュアイが存在する部分に突起が生じ、該突起により保護すべき対象物との間に粘着不良を起こし粘着層と対象物の間に空間が生じ、該空間部にメッキ液が浸入し保護効果が低下するので極力低下させる必要がある。液晶板保護用のプロテクトフイルムなどの場合、プロテクトフィルム表面のフィッシュアイが液晶板と接する面で貼り付け時に押さえることにより、フィッシュアイによる凹凸や擦れにより損傷を受けるなど問題があり、フィッシュアイの存在そのものが問題となっている。最近は、さらに液晶板保護用プロテクトフィルムを貼り付けた状態で液晶板の検査が実施されており、フィッシュアイがあると液晶板そのものの欠点だと判定されてしまう可能性があり、ノンフィッシュアイグレード、低フィッシュアイグレードなどのフィルム開発が求められている。
年の市場の高度な要求を満たすにはさらなる改善が必要である。例えば、特許文献8等において開示されているメッキ用の保護フィルムにおいては、0.2mm以上のフィッシュアイについては上記面積当りの個数としては実質的に0個であることが求められており、さらに小さなフィッシュアイの低減が必要である。
また、上記の特許文献25において、アクリレート系酸化防止剤と亜リン酸系酸化防止剤の2種の酸化防止剤を併用する実施例が開示されているが、フェノール系酸化防止剤を使用した場合に比べてアクリレート系酸化防止剤を使用すると臭気が抑えられるという効果を示すに過ぎない。
この場合において、前記フィルムの厚み変動率が1〜10%であることが好ましい。
また、この場合においてフィルム中のアンチブロッキング剤の含有量が50ppm以下であり、耐ブロッキング性が10mN以下であることが好ましい。
また、この場合において、フィルム中の最大直径が0.2mm以上のフィシュアイが0個/m2であり、かつ最大直径が0.1mm以上、0.2mm未満のフィシュアイが100個/m2以下であることが好ましい。
また、この場合において、フィルムの23℃における縦方向のヤング率が500Mpa以上であることが好ましい。
また、この場合において、フィルムの23℃におけるインパクト強度が0.6J以上であることが好ましい。
また、この場合において、少なくともアクリレート系酸化防止剤を含んでなり、かつリン系酸化防止剤およびフェノール系酸化防止剤の中から選ばれた少なくとも1種の酸化防止剤を含んでなることが好ましい。
さらにまた、この場合において、前記フィルムがα−オレフィン含有量が5質量%以下のポリプロピレン系ランダム共重合樹脂と20℃キシレン可溶部量が3〜50%であるブロック共重合ポリプロピレン樹からなることが好ましい。
また、本発明は上記の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を設けてなる表面保護フィルムである。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂フィルムはアンチブロッキング剤を実質的に含んでいないのが好ましく、例えば、アンチブロッキング剤を含んだフィルムを走行させた場合に、磨耗等でアンチブロッキング剤の脱落が起こるという課題が回避できるので、該脱落物による汚染や障害発生等が抑制される。また、滑剤やアンチブロッキング剤を実質的に含まないにも拘らず、表面粗さが適切であり、フィルムの滑り性や耐ブロッキング性が良好で、かつ剛性に優れているので、フィルムの取り扱い性に優れている。
また、本発明の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムは滑剤を実質的に含んでいないのが好ましく、例えば、包装袋や保護フィルムの基材フィルムとして用いた場合に、被包装物や被保護体への滑剤の移行がないのでこれらの被包装物や被保護体の汚染が抑制される。
また、透明性に優れているので、被包装物や被保護体の視認性に優れる。また、フィッシュアイの混入が高度に達成されているので、該フィッシュアイによる外観不良や、例えば、保護フィルムの基材フィルムとして用いた場合に、前述した粘着不良によるメッキ液の保護部分への浸透等の障害発生を抑制することができる。また、上記の耐熱寸法安定性が向上しているにも拘らずインパクト強度に優れており、ブロックポリプロピレン系樹脂よりなることにより付加される耐衝撃性のよさが維持されており、包装袋や保護フィルムとして用いた場合の信頼性が高い。従って、食品や精密部品等のフィルム起因の汚染が嫌われる物品の包装や各種精密部品等の保護フィルムとして好適に使用することができる。
また、本発明の保護フィルムは上記表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムを基材としているので、上記基材フィルムの特徴を活かした保護フィルムが得られるので、各種用途の保護フィルム、特に汚染や欠点の抑制要求の強い各種精密製品や部品および該製品や部品の加工や組み立て工程における保護フィルムとして好適に用いることができる。
本発明において用いられるポリプロピレン系樹脂は、ホモポリプロピレン樹脂、エチレンやその他のα−オレフィンを共重合されたランダム共重合ポリプロピレン樹脂、ブロック共重合ポリプロピレン樹脂から1種ないしは2種の混合により用いることができる。
透明性の点からはホモポリプロピレン樹脂またはエチレンやその他のα−オレフィンを共重合されたランダム共重合ポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。耐衝撃性や滑り性、特に耐ブロッキング性を向上させる場合はこれら種々のポリプロピレン系樹脂にブロック共重合ポリプロピレン樹脂を併用することが好ましく、混合比はホモポリプロピレン樹脂、エチレンやその他のα−オレフィンを共重合されたランダム共重合体に対し、任意に調整することができる。
またブロック共重合ポリプロピレン樹脂であれば、耐衝撃性や滑り性、耐ブロッキング性の観点から20℃キシレン可溶部量が3〜50%であるものが好ましい。さらに5〜30%の範囲が好ましい。
エチレン系共重合エラストマーとしては、エチレン−プロピレン共重合エラストマーが挙げられる。
上記ポリプロピレン系樹脂全体の極限粘度が1.5〜4.0、20℃キシレン可溶部の極限粘度が1.0〜4.0、20℃キシレン不溶部の極限粘度が1.0〜4.0であるものが好ましい。また、本発明で使用するポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートは230℃において2〜20g/10分であるものが好ましい。
フィルムの結晶化度の下限は40%以上がより好ましく、50%以上が耐熱寸法安定性の観点から最も好ましい。一方、フィルムの結晶化度の上限は60%以下が透明性の観点から好ましい。
このとき、本発明のフィルムの耐ブロッキング特性としては、後述する評価で10mN以下であることが好ましく。7mN以下であることがさらに好ましい。
一方、該ブロック共重合樹脂による海/島構造によるフィルム表面突起の形成はフィルムの透明性の低下を引き起こすので、該方法においては、表面突起の形成による滑り性や耐ブロッキング性の改善効果と透明性の確保とは二律背反事象となる。従って、フィルムのヘーズ値が重要な要因となる。例えば、特許文献20で開示されているようにエチレン含有量の多いブロック共重合樹脂を使用することが、上記の滑り性や耐ブロッキング性の改善に関しては有効であるが、該方法ではフィルムのヘーズ値が上がり透明性が悪化し、被包装物や被保護体の視認性が低下するので好ましくない。
従って、本発明においては、フィルムのヘーズ値を40%以下にすることが重要となる。35%以下が好ましく、30%以下がよりに好ましい。ヘーズ値を40%以下にすることにより被包装物や被保護体の視認性が向上し、包装袋材料として用いた場合には、被包装物の内容確認が容易となる。また、表面保護フィルム用材料として用いた場合には、表面保護フィルムを貼り付けたままで、例えば、被保護体の検査等を行うことが可能となる。逆に、ヘーズ値が40%を超えた場合は、透明性が悪化し、被包装物や被保護体の視認性が低下するので好ましくない。一方、ヘーズ値の下限は低い方が透明性が向上するので好ましいが、上記方法により滑り性を付与する点との関連において、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。
例えば、前述の特許文献23等で開示されているホモポリプロピレン樹脂を用いた製膜においては発生しない本発明において発生する特有の現象である。
・ 溶融樹脂の冷却条件制御における結晶化度のコントロール
・ 溶融樹脂の引取り・冷却固化時のドラフト比制御
である。
本発明の押出フィルムは、Tダイ法によって製膜された未延伸フィルムであり、フィルムの厚みは特に限定しないが、1〜500μmであるのが一般的であり、好ましい厚みのものが必要に応じ選択される。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物を押出フィルムとして利用するための製膜条件としては、ダイス温度200℃〜250℃、冷却ロール温度40〜65℃で行うのが好ましい。45〜60℃がより好ましい。冷却ロール温度が40℃未満では、耐熱寸法安定性に十分な結晶化度が得られないため好ましくない。逆に、65℃を超えた場合は、冷却ロールのタッチロールマークが発生するので好ましくなく、また透明性が極端に低下することもある。また、冷却時間については特に限定されるものではないが、0.5秒以上の範囲が好ましい。冷却時間が0.5秒未満では冷却効果が不十分なため、冷却ロールのタッチロールマークが発生するので好ましくない。一方、冷却時間の上限は、フィルムの結晶化度の観点からは特に制限されるものではないが、経済性・生産性の観点から5秒以下がより好ましい。
結晶化度を任意に調整する手段として結晶核剤を併用する場合は、前述の通りフィルムのフィッシュアイ増加が懸念されるため100ppm以下の添加にする必要がある。そこで冷却条件による溶融樹脂の冷却条件制御による結晶化度のコントロールを見出した。
本発明の押出フィルムは、溶融押出し後の引取り工程でのドラフト比を0.4〜3.0の範囲に調整することによりフィルムの複屈折率が所定の範囲に達することができる。ドラフト比は以下の製膜条件により算出することが一般的に知られている。
ドラフト比=(フィルム引取速度/ダイス出口溶融樹脂速度)÷エアーギャップ
エアーギャップとはダイス出口から引取(冷却)ロールに溶融樹脂が接するまでの距離(cm)を意味する。
ドラフト比が0.4未満の場合、フィルムの厚み斑が増大し、粘着加工の際にフィルムの平面性が低下するため好ましくない。また、ドラフト比が3.0を超える場合は複屈折率が所定の範囲を超えてしまい耐衝撃性が著しく低下してしまいフィルム自体の力学特性が低下する問題があるので好ましくない。
従来の未延伸ポリプロピレンフィルムでは耐熱寸法安定性を向上させる目的でフィルム引取速度を高める(ドラフト比を小さくすることで)傾向にあるが、本発明の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムは前述のフィルム結晶化度のコントロールと、フィルムの製膜・引取時のドラフト比を一定の範囲に制御することで耐熱寸法安定性やフィルムの平面性、耐衝撃性のバランスがよい表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムを提供できるに至った。
JIS K7210に従い、条件−14の方法(荷重2.16kg、温度230℃)で測定した。
高分子ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の616ページに記載され
ている方法により13C−NMR法で測定した。
試料5gを沸騰キシレン500ccに完全に溶解させた後、20℃に降温し、15時間放置する。その後、これを析出物と溶液とにろ別し、ろ液と析出物とをそれぞれ減圧下に置き、70℃で乾燥した。ろ液の乾固物を20℃キシレン可溶分とし、その比率を求めた。
JIS−K−6714に準拠し、東洋精機製作所製の「ヘーズテスターJ」を用い
て測定した。
広角エッスス線回析透過法(RIGAKU RINT2500)を用い測定した。
アッベ屈折計を用いて、フィルム流れ方向の屈折率Nxとフィルム流れ方向と直角方向の屈折率Nyを測定し、下記式を用いて計算した。
△n=|Nx−Ny|
1m幅のフィルムサンプル1枚を幅方向3cmピッチに測定し、平均厚みを算出した。次に、測定したフィルムサンプルの中での最大値または最小値のうち平均厚みとの差が大きいいずれかを用い、以下の計算式にて算出した。
厚み変動率(%)=|(平均厚み)―(最大値または最小値)|/(平均厚み)×100
ATM−D1893−67に準じて、90Nの荷重をA4サイズの面積にかけ、60℃雰囲気下で2時間放置後に荷重を取り除いてから、φ5mmのアルミ棒による剥離抵抗を移動速度100mm/分の条件で測定した。
JIS K7127に準拠し、サンプル形状は1号形試験片に準拠したもの(サンプル長さ200mm、サンプル幅15mm、チャック間距離100mm)を用い、クロスヘッド速度500mm/分の条件にてMD方向(フィルム長手方向)について23℃にて測定した。
ASTM D3420準拠し、サンプルは、縦方向に55〜60cm横方向に9〜10cmにカットする。23℃の部屋でインパクトテスターを使い打ち抜いた時の強度値を小数点以下第1位まで読み取る。その操作を10回繰り返して、その平均値を求める。
成型されたフィルムを流れ方向に33.3cm×流れ方向に対して横方向に30cm切り取り、フィルムの下から蛍光灯を照射した板の上に置き、透過光で目視により観察し、0.1mm以上のフィッシュアイを計測する。次に、カウントしたフィッシュアイを液体窒素中に浸して、硬くした状態で、剃刀で半分に切りそのフィッシュアイの断面を顕微鏡で50〜300倍で観察することにより、核となる物質が無ければ、例えば、セルロースなどを代表とする異物が無ければ、それは未溶融の塊り、原料の一部がゲル化したための塊り、成形中の材料の部分的劣化による塊り等のゲル起因のフィッシュアイと判定する。核がある場合は、異物起因のフィッシュアイと判定しカウントから除外する。
成型されたフィルムを流れ方向に5cm×流れ方向に対して横方向に25cmに切り出し、金枠にて両端部を保持した状態で水平にフィルム片を120℃の乾熱オーブン内で5分間加熱処理した。加熱処理後直ちにオーブンより取り出して室温下にて30分間放冷却後、フィルムの自体の重さによる垂れ下り(伸び)状態を以下の範囲で目視観察した。
○:垂れ下りがない、または殆どない。
△:僅かに垂れ下り状態が観察される。
×:垂れ下り状態が観察される。
成型されたフィルムを1300mm幅でロール状にスリッター((株)東伸製 SXR−140型)でフィルム長100mを巻き取った際のシワ・タルミの発生状況を目視観察した。
○:走行中及び巻取り時にシワ・タルミの発生がない。
△:僅かに走行中又は巻取り時にシワ・タルミの発生が観察された。
×:走行中又は巻取り時にシワ・タルミの発生が明らかに観察された。
エチレン含有量が0.5質量%のランダム共重合ポリプロピレン樹脂(MFR=7)100重量部およびアクリレート系酸化防止剤であるスミライザーGS(住友化学(株)社製)5重量%を含むホモポリプロピレン樹脂(MFR=7)よりなるアクリレート系酸化防止剤を含むマスターバッチ樹脂2重量部をTダイ製膜機にて溶融押出しを行い、冷却ロール温度60℃で冷却時間2.0秒(製膜速度60m/分)、溶融樹脂の引取り時のドラフト比1.56(ダイスリップギャップ:0.5mm、ダイスリップ出口溶融樹脂速度:4.8m/分、エアーギャップ:8cm)の製膜条件にて厚み40μmの未延伸フィルムを得た。なお、上記押し出し機の供給ゾーン、混練ゾーンおよび計量ゾーンのそれぞれの樹脂温度を230、240および235℃とした。その結果を表1に示す。
本実施例で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムは、表1に示すように熱変形耐熱性及び加工適性のいずれの特性も良好であり高品質であった。
エチレン含有量が0.5質量%のランダム共重合ポリプロピレン樹脂(MFR=7)30重量部、およびリン系酸化防止剤としてイルガホス168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)を0.22質量%およびフェノール系酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)を0.28質量%を含有したゴム成分量が6.7%・エチレン含有量が3.2%のブロック共重合ポリプロピレン樹脂(MFR=2)70重量部を配合した以外は実施例1と同様の方法で実施例2のポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。その結果を表1に示す。
本実施例で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムは、実施例1で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムと同等の特性を有しており高品質であった。
エチレン含有量が0.5質量%のランダム共重合ポリプロピレン樹脂(MFR=7)95重量部、およびエチレン−プロピレン共重合エラストマー(三井化学社製タフマーP0480)を5重量部、環状有機リン酸エステル化合物としてビス(2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−ターシャリ−ブチルフェニル)フォスフェート)−水酸化アルミニウム塩(旭電化工業(株)社製、アデカスタブNA−21)1重量%含むホモポリプロピレン樹脂(MFR=7)よりなる結晶核剤を含むマスターバッチ樹脂(M−1)を1重量部、アクリレート系酸化防止剤であるスミライザーGS(住友化学(株)社製)5重量%を含むホモポリプロピレン樹脂(MFR=7)よりなるアクリレート系酸化防止剤を含むマスターバッチ樹脂1重量部を配合し、Tダイ製膜機にて溶融押出しを行い、冷却ロール温度45℃で冷却時間3.0秒(製膜速度40m/分)、溶融樹脂の引取り時のドラフト比0.63(ダイスリップギャップ:0.5mm、ダイスリップ出口溶融樹脂速度:8.0m/分、エアーギャップ:8cm)の製膜条件にて厚み100μmの未延伸フィルムを得た。なお、上記押し出し機の供給ゾーン、混練ゾーンおよび計量ゾーンのそれぞれの樹脂温度を230、240および235℃とした。その結果を表1に示す。
本実施例で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムは、実施例1で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムと同等の特性を有しており高品質であった。
実施例2の方法において、冷却ロール温度を20℃に変更する以外は、実施例2と同様の方法で比較例1のポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。その結果を表2に示す。
本比較例で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムは、透明性が良好になるものの、フィルムの結晶化度が低下してしまい、熱変形耐熱性に劣る低品質であった。
実施例2の方法において、冷却ロール温度を80℃に変更する以外は、実施例2と同様の方法で比較例2のポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。その結果を表2に示す。
本比較例で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムは、極度の結晶化が進むため透明性及びインパクト強度が低下するなど低品質であった。また、製膜時における熱負けにより、タッチロール跡が発生したりフィルム自体の平面性が損なわれたりのフィルム品位の低下がするものであった。
実施例2の方法において、結晶核剤を含むマスターバッチ樹脂(M−1)5重量部添加する以外は、実施例2と同様の方法で比較例3のポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。その結果を表2に示す。
本比較例で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムは、フィッシュアイが実施例2で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムに比べ大幅に増大し低品質であった。
実施例2の方法において、製膜速度を16m/分に、溶融樹脂の引取り時のドラフト比を0.25(ダイスリップギャップ:2.0mm、ダイスリップ出口溶融樹脂速度:8m/分、エアーギャップ:8cm)に変更する以外は、実施例2と同様の方法で比較例4のポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。その結果を表2に示す。
本比較例で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムは、厚み変動率が悪化し、フィルムの平面性が低下するとともに、複屈折率が下限より小さいためより伸びやすく、加工適性に劣るため低品質であった。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂フィルムはアンチブロッキング剤を実質的に含んでいないので、例えば、アンチブロッキング剤を含んだフィルムを走行させた場合に、磨耗等でアンチブロッキング剤の脱落が起こるという課題が回避できるので、該脱落物による汚染や障害発生等が抑制される。また、滑剤やアンチブロッキング剤を実質的に含まないにも拘らず、フィルムの滑り性が良好で、かつ剛性に優れているので、フィルムの取り扱い性に優れている。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂フィルムは滑剤を実質的に含んでいないので、例えば、包装袋や保護フィルムの基材フィルムとして用いた場合に、被包装物や被保護体への滑剤の移行がないのでこれらの被包装物や被保護体の汚染が抑制される。
また、適度な透明性を有するので、被包装物や被保護体の視認性に優れる。また、フィッシュアイの混入が高度に達成されているので、該フィッシュアイによる外観不良や、例えば、保護フィルムの基材フィルムとして用いた場合に、前述した粘着不良によるメッキ液の保護部分への浸透等の障害発生を抑制することができる。また、上記の耐熱寸法安定性が向上しているにも拘らずインパクト強度に優れており、ブロックポリプロピレン系樹脂よりなることにより付加される耐衝撃性のよさが維持されており、包装袋や保護フィルムとして用いた場合の信頼性が高い。従って、食品や精密部品等のフィルム起因の汚染が嫌われる物品の包装や各種精密部品等の保護フィルムとして好適に使用することができる。
また、本発明の保護フィルムは上記ポリプロピレン系樹脂フィルムを基材としているので、上記基材フィルムの特徴を活かした保護フィルムが得られるので、各種用途の保護フィルム、とくに汚染や欠点の抑制要求の強い各種精密製品や部品および該製品や部品の加工や組み立て工程における保護フィルムとして好適に用いることができる。従って、産業界に寄与することが大である。
Claims (9)
- 実質的にポリプロピレン系樹脂を主成分としたポリプロピレン系樹脂フィルムであって、結晶核剤が100ppm以下であり、かつ、フィルムの結晶化度が30〜65%、複屈折率(Δn)が0.4×10−3〜2.5×10−3であり、前記ポリプロピレン系樹脂が、エチレン含有量が5質量%以下のランダム共重合ポリプロピレン樹脂と、ホモポリプロピレン樹脂またはブロック共重合ポリプロピレン樹脂とを含むものであることを特徴とする表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルム。
- 前記フィルムの厚み変動率が1〜10%であることを特徴とする請求項1記載の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルム。
- 前記フィルム中のアンチブロッキング剤の含有量が50ppm以下であり、耐ブロッキング性が10mN以下であることを特徴とする請求項1に記載の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルム。
- 前記フィルム中の最大直径が0.2mm以上のフィシュアイが0個/m2であり、かつ最大直径が0.1mm以上、0.2mm未満のフィシュアイが100個/m2以下であることを特徴とする請求項1記載の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルム。
- 前記フィルムの23℃における縦方向のヤング率が500MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルム。
- 前記フィルムの23℃におけるインパクト強度が0.6J以上であることを特徴とする請求項1に記載の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルム。
- 前記フィルムが少なくともアクリレート系酸化防止剤を含んでなり、かつリン系酸化防止剤およびフェノール系酸化防止剤の中から選ばれた少なくとも1種の酸化防止剤を含んでなることを特徴とする請求項1記載の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルム。
- 前記フィルムが、さらに、エチレン−プロピレン共重合エラストマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルム。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を設けてなることを特徴とする表面保護フィルム。
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