JP2000063533A - ポリプロピレン系成形品 - Google Patents

ポリプロピレン系成形品

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JP2000063533A
JP2000063533A JP23966098A JP23966098A JP2000063533A JP 2000063533 A JP2000063533 A JP 2000063533A JP 23966098 A JP23966098 A JP 23966098A JP 23966098 A JP23966098 A JP 23966098A JP 2000063533 A JP2000063533 A JP 2000063533A
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polypropylene
copolymer
propylene
mfr
molded product
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English (en)
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Michitaka Sasaki
通孝 佐々木
Shinichi Akitaya
真一 秋田谷
Yoshitaka Morimoto
芳孝 森本
Akihiko Sanpei
昭彦 三瓶
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JNC Corp
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Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性、透明性、光沢、成形収縮率、剛性
及び難白化などの各種特性のバランスが優れ、加えて高
圧蒸気滅菌処理後の透明性が優れるポリプロピレン系組
成物を含有して成るポリプロピレン系成形品を提供する
こと。 【解決手段】 10〜60重量%の結晶性ポリプロピレ
ン(10)と0〜0重量%のプロピレン−α−オレフィ
ン共重合体(20)から成るポリプロピレン系樹脂組成
物を含有するポリプロピレン系成形品である。共重合体
(20)は結晶性ポリプロピレン(10)中に分散して
いる。複数のドメインが成形加工時のポリプロピレン系
樹脂組成物の流れ方向(MD)に延在した状態で分散し
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレン系
成形品に係り、更に詳細には、ポリプロピレン系ポリプ
ロピレン系樹脂組成物を含む成形材料により形成される
成形品に関するもので、耐衝撃性、透明性、光沢、成形
収縮率、剛性及び難白化などの各種特性のバランスが優
れ、加えて高圧蒸気滅菌処理後の透明性が優れるポリプ
ロピレン系樹脂組成物を含有して成る成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン樹脂は、比較的安価で優
れた特性を有することから、多岐の分野に亘って使用さ
れているが、一般にプロピレンホモポリマーは高い剛性
を有する反面、耐衝撃性、特に低温での耐衝撃性に劣っ
ている。これに対し、プロピレンホモポリマーの低温で
の耐衝撃性を向上させたものとして、まずプロピレン系
ホモポリマー成分を生成し、次いでエチレン−プロピレ
ンランダム共重合体成分を生成させてプロピレン系ホモ
ポリマー成分マトリックスへ導入したプロピレン系ブロ
ック共重合体組成物(通称“ブロックコポリマー”)が
知られており、このブロックコポリマーは、自動車や家
電分野等を始めとして各種の産業分野で広く採用されて
いる。
【0003】かかるブロックコポリマーは、耐衝撃性に
優れる反面、ホモポリマーに比較して透明性及び光沢に
劣り、落下や打撃などによる白化を生じやすく、またホ
モポリマーと同様に成形収縮率が大きい。よって、これ
を改善すべく、タルク、マイカ等の無機物を充填した
り、ランダム共重合体成分中のエチレン含有量を低減す
ることが行われているが、前者では、無機物の多量添加
により成形物の重量増加及び外観悪化が生じ、後者で
は、透明性や光沢は向上するものの低温での耐衝撃性と
ともに剛性が低下するのが一般的であった。
【0004】このような問題に対し、特公平7−301
45号公報には、結晶性ポリプロピレン部とエチレンプ
ロピレンランダム共重合体ブロックとから成り、結晶性
ポリプロピレン成分の含有率が55〜95重量%、両成
分の極限粘度比[η]EP/[η]PPが0.5〜2.0、
且つエチレンプロピレンランダム共重合体ブロックのガ
ラス転移温度が−30℃以下であるプロピレンブロック
共重合体が開示されている。また、特開平6−9306
1号公報には、プロピレンを主体とする重合体を全重合
量の60〜80重量%重合し、次いで、エチレン含有量
が20〜50重量%であるエチレン−プロピレン共重合
部を共重合したブロック共重合体であって、エチレン−
プロピレン共重合部の極限粘度[η]Bが2.0dl/
g以上、且つ両成分の極限粘度比[η]B/[η]A
1.8以下のブロック共重合体を溶融混練したポリプロ
ピレンブロック共重合体が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記各
公報に提案されたプロピレンブロック共重合体では、エ
チレン−プロピレン共重合成分の含有率と極限粘度比が
ほぼ同じ範囲に制御されており、前者では、耐衝撃性及
び剛性などの機械的特性は改善されているが、透明性、
高圧蒸気滅菌処理後の透明性、光沢及び外観などが未だ
十分ではなく、後者では、低温での耐衝撃性、耐ブロッ
キング性及び外観などが改善されているものの、剛性な
どが未だ十分とは言えず、更には、両者ともに成形収縮
率が満足し得るものではなかった。
【0006】本発明は、このような従来技術が有する課
題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところ
は、耐衝撃性、透明性、光沢、成形収縮率及び難白化性
などの各種特性のバランスに優れ、加えて高圧蒸気滅菌
処理後の透明性が優れるポリプロピレン系成形品を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリプロピレン系
成形品においてプロピレン−α−オレフィン共重合体を
結晶性ポリプロピレン中に特定の状態で分散させること
により、上記課題が解決されることを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0008】即ち、本発明のポリプロピレン系成形品
は、50〜90重量%の結晶性ポリプロピレンと50〜
10重量%のプロピレン−α−オレフィン共重合体から
成るポリプロピレン系樹脂組成物を含有し、この共重合
体を上記結晶性ポリプロピレン中に分散して成る成形品
であって、上記共重合体は、複数のドメインが成形加工
時の上記樹脂組成物の流れ方向に延在した状態で分散し
ていることを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明のポリプロピレン系成形品では、プロピ
レン−α−オレフィン共重合体が結晶性ポリプロピレン
中に、上述のような特定構造で分散しており、かかる分
散構造を採ることにより、耐衝撃性、透明性、光沢、成
形収縮率、剛性及び難白化性の適切なバランスが実現さ
れ、さらに高圧蒸気滅菌処理後の透明性が優れる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明のポリプロピレン系
成形品について詳細に説明する。上述の如く、この成形
品は、結晶性ポリプロピレンとプロピレン−α−オレフ
ィン共重合体を含有して成るものであり、両成分から成
るポリプロピレン系樹脂組成物を含有する成形材料から
成形され、具体的には、結晶性ポリプロピレンのマトリ
ックス中にプロピレン−α−オレフィン共重合体のドメ
インが特定構造で分散している成形体である。
【0011】ここで、結晶性ポリプロピレンは、主とし
てプロピレン重合単位から成る結晶性の重合体であり、
プロピレン重合単位が結晶性ポリプロピレン全体の90
重量%以上を占めるポリプロピレンを好ましく使用でき
る。また、プロピレンの単独重合体でも、90重量%以
上のプロピレン重合単位と10重量%以下のα−オレフ
ィンとのランダム共重合体であってもよい。ランダム共
重合体の場合、α−オレフィンとしては、エチレン、1
−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテ
ン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペン
テン及び3−メチル−1−ペンテン等を挙げることがで
きる。なお、製造コストの観点からは、プロピレン単独
重合体又はプロピレン重合単位の含有量が90重量%以
上のプロピレン−エチレンランダム共重合体を用いるこ
とが好ましい。
【0012】また、結晶性ポリプロピレンのメルトフロ
ーレート(以下、「MFR」と略すことがある。)は、
成形及び製膜の安定性から0.1〜50g/10分のも
のが好ましい。
【0013】次に、上述のプロピレン−α−オレフィン
共重合体としては、プロピレンとプロピレン以外のα−
オレフィンとのランダム共重合体を用いることができ
る。この場合、プロピレン重合単位の含有量は、この共
重合体全体に対して重量基準で20〜80重量%とする
ことが好ましく、更に好ましくは20〜75重量%、特
に好ましくは20〜70重量%とするのがよい。プロピ
レン重合単位の含有量が80重量%を超えると、結晶性
ポリプロピレンのマトリックスとこの共重合体のドメイ
ンとの後述する特定分散構造が得られず、目的とする成
形品の透明性や引裂性、成形収縮率及び難白化性が向上
しないことがある。一方、20重量%未満では、共重合
体ドメインが形成されにくく、低温での耐衝撃性が不十
分となることがあり、好ましくない。
【0014】上記プロピレン以外のα−オレフィンとし
ては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキ
セン、1−オクテン、1−ドデセン、4−メチル−1−
ペンテン及び3−メチル−1−ペンテン等を挙げること
ができる。なお、製造コストの観点からは、α−オレフ
ィンとしてエチレンを用いたプロピレン−エチレン共重
合体を用いることが好ましい。
【0015】このプロピレン−α−オレフィン共重合体
のMFRは、特に限定されるものではないが、0.1〜
20g/10分のものを好ましく用いることができる。
なお、上述の結晶性ポリプロピレンとの関係では、次式 PP(MFR)/RC(MFR) (式中のPP(MFR)は、結晶性ポリプロピレンのメ
ルトフローレート、RC(MFR)は、プロピレン−α
−オレフィン共重合体のメルトフローレートを示す。)
で表されるMFR比が、10以下となるようにプロピレ
ン−α−オレフィン共重合体を選定することが好まし
く、好ましいMFR比の範囲は0.1〜5、より好まし
くは0.8〜5、更に好ましくは0.5〜5である。
【0016】本発明のポリプロピレン系成形品を成形す
るのに使用する成形材料は、上述の結晶性ポリプロピレ
ンとプロピレン−α−オレフィン共重合体とを含有する
ポリプロピレン系樹脂組成物であるが、これらの含有量
は、結晶性ポリプロピレンが50〜90重量%、好まし
くは60〜80重量%であり、プロピレン−α−オレフ
ィン共重合体が50〜10重量%、好ましくは40〜2
0重量%である。プロピレン−α−オレフィン共重合体
の含有量が10重量%未満では、後述する特定の分散構
造が得られず、所期の効果が得られない。一方、50重
量%を超えて含有させると、結晶性ポリプロピレンの量
が少なくなりすぎて後述する特定の分散構造が得られ
ず、所期の効果が得られない。
【0017】かかる成形材料の製造方法は、特に限定さ
れるものではなく、例えば、各々別個に重合して得られ
た結晶性ポリプロピレンとプロピレン−α−オレフィン
共重合体とを溶融混練等することによって混合してもよ
く、また、結晶性ポリプロピレンとこの共重合体とを多
段重合により連続的に重合することによっても、この成
形材料を得ることができる。
【0018】上述の溶融混練法の具体例としては、チタ
ン担持触媒等のチーグラー・ナッタ触媒を用いて重合し
たプロピレン−α−オレフィン共重合体や市販のエチレ
ン−プロピレンゴム(EPR)と結晶性ポリプロピレン
とを溶融混練して混合する方法を挙げることができる。
一方、上述の多段重合による連続的重合法の具体例とし
ては、複数の重合器を使用し、例えば1段目でプロピレ
ン単独重合体を製造し、2段目でプロピレン−α−オレ
フィン共重合体を製造する方法を挙げることができる。
この連続重合法は、上記溶融混練法に比べて製造コスト
が低く、また、結晶性ポリプロピレン中へのプロピレン
−α−オレフィン共重合体の分散を均一なものとし、且
つ得られる成形品の品質、特に良好な透明性及び引裂性
の安定化を図れるもので、好ましく行うことができる。
【0019】なお、上述した成形材料において、特に好
ましく用いることができるのは、上記連続重合法によっ
て製造され、結晶性ポリプロピレンとプロピレン−α−
オレフィン共重合体とのMFR比を10以下、更に好ま
しくは0.1〜5に調整したものである。MFR比を上
記範囲に調整することにより、プロピレン−α−オレフ
ィン共重合体が結晶性ポリプロピレン中に均一且つ微細
に分散し、特定の分散構造を採りやすくなり、しかも適
切な成形収縮率が実現されるため、透明性が良好で且つ
引裂性や難白化性に優れたポリプロピレン系成形品の一
例であるフィルム又はシートを容易に得られるようにな
る。
【0020】かかるMFR比を有する成形材料、具体的
には、ポリプロピレン系樹脂組成物は、例えば、特開平
6−239918号公報や特開平8−27238号公報
などに記載されている方法により製造することができ
る。
【0021】なお、上記MFR比は、通常は結晶性ポリ
プロピレンのMFR及びプロピレン−α−オレフィン共
重合体のMFRを各々測定することによって求められる
が、上述のように成形材料を多段重合により連続的に製
造した場合には、プロピレン−α−オレフィン共重合体
のMFRを直接測定することが不可能であるため、直接
測定可能な結晶性ポリプロピレンのMFR、上記成形材
料のMFR、及び当該成形材料中のプロピレン−α−オ
レフィン共重合体の含有量から、次式により求めること
ができる。
【0022】
【数1】
【0023】上述のように、この成形材料は、結晶性ポ
リプロピレンとプロピレン−α−オレフィンを主成分と
するが、これ以外にも一般的なポリオレフィン系の成形
材料に使用される各種添加剤、例えば、酸化防止剤、中
和剤、光安定剤(耐候剤)、造核剤、透明化剤、無機充
填剤、滑剤、ブロッキング防止剤及び帯電防止剤等が配
合されていてもよい。
【0024】酸化防止剤としては、テトラキス[メチレ
ン−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]メタン、2,6−ジ−t−ブチル
−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート、トリス(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等の
フェノール系酸化防止剤、又はトリス(2,4−ジ−t
−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ノニルフ
ェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリ
トールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t
−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジフォ
スフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス
(2,4−ジキュミルフェニル)ペンタエリスリトール
ジフォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−6
−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファ
イト等のリン系酸化防止剤などを例示できる。
【0025】中和剤としては、ステアリン酸カルシウム
等の高級脂肪酸塩類を例示できる。無機充填剤及びブロ
ッキング防止剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、ハ
イドロタルサイト、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、
ケイ酸マグネシウム等を例示できる。また、滑剤として
は、ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド等の高
級脂肪酸アマイド類を例示でき、帯電防止剤としては、
グリセリンモノステアレート等の高級脂肪酸エステル類
を挙げることができる。
【0026】かかる添加剤の配合量は、本発明のポリプ
ロピレン系成形品、具体的には、フィルム又はシートや
射出成形品などの各種成形品の使用目的等に応じて適宜
選定することができるが、通常、成形材料全量に対して
0.001〜5重量%程度とするのが好ましい。
【0027】上記成形材料に上記添加剤を配合する方法
は、特に限定されるものではなく、例えば、ヘンシェル
ミキサー(商品名)等の高速撹拌機付混合機及びリボン
ブレンダー並びにタンブラーミキサー等の通常の配合装
置により混合して配合する方法(ドライブレンド)を例
示でき、更に前記方法により得られた混合物を通常の単
軸押出機又は二軸押出機等の溶融混練装置を用いて溶融
混練処理してペレット化する方法を例示できる。
【0028】本発明のポリプロピレン系成形品の代表例
としては、未延伸フィルム、未延伸シート、延伸フィル
ム、延伸シート、射出成形品及び中空成形品が挙げられ
る。ここで、未延伸フィルムは、上述した成形材料を従
来公知の方法により押出成形することにより得られる。
例えば、Tダイキャスト法、水冷インフレーション法な
どにより製造することができる。
【0029】一方、未延伸シートは、公知の押出成形
法、カレンダー成形法及び注型成形法等により製造する
ことができるが、生産性を考慮すれば押出成形法が好ま
しい。具体的には、押出機、Tダイ、ポリシングロール
(冷却ロール)、ガイドロール、引き取りロール、トリ
ミングカッター、マスキング、定尺切断カッター、スタ
ッカー等の工程を有する装置、例えば、Tダイシート成
形機を用いたTダイ法が更に好ましい。
【0030】なお、未延伸シート成形時において、成形
材料の温度は180〜300℃に制御することが好まし
い。成形材料の温度が180℃以上であれば、ポリプロ
ピレン系樹脂組成物が十分に溶融してシート表面が鮫肌
状にならずに良好な外観を得やすく、300℃以下であ
れば、熱によるポリプロピレン系樹脂組成物の熱劣化が
起きにくく、シートの溶融張力を保持することができ、
良好な成形性を実現しやすい。
【0031】また、シート成形時の冷却ロール温度は、
5〜80℃とすることが好ましい。冷却ロール温度が5
℃以上であれば、冷却ロールが結露しないためシート表
面に斑点状の模様ができることなく良好な外観が得ら
れ、80℃以下であれば、シートが十分に冷却できるの
で、ロール状のシートを解く際に生ずる線状の模様がで
きず、良好な外観を得やすい。
【0032】更に、シートの成形速度は、0.1〜10
0m/min程度とすることが好ましい。成形速度が
0.1m/min以上であれば、厚みが均一なシートを
得やすく不良率を小さくでき、100m/min以下で
あれは、シートが十分に冷却できるので、ロール状のシ
ートを解く際に生ずる線状の模様ができず、良好な外観
を得やすい。
【0033】以下、本発明のポリプロピレン系成形品に
おける分散構造について説明する。上述の如く、この成
形品においては、上記プロピレン−α−オレフィン共重
合体の複数のドメイン、即ちこの共重合体から成る複数
の棒状や層状などの領域が、上記結晶性ポリプロピレン
のマトリックス中に分散した構造を有している。
【0034】図1に、本発明のポリプロピレン系成形品
の概念図を示す。同図において、この成形品は、結晶性
ポリプロピレンのマトリックス10中にプロピレン−α
−オレフィンのドメイン20が分散しているが、各ドメ
イン20は矢印で示した成形加工時における樹脂の流れ
方向(以下、「MD方向」という。)に伸びている。
【0035】上記共重合体ドメインとしては、MD方向
に伸張、即ち延在した構造を有すれば十分であり、棒
状、層状、短冊状、雨樋状又は管状及びこれらの任意の
組み合わせ等による種々の形状を採ることができる。ま
た、任意のドメインと他のドメインとの結晶性ポリプロ
ピレンマトリックス中における位置関係は、特に限定さ
れるものではなく、隣接していても、更に他のドメイン
が両者の間に介在していてもよい。
【0036】更に、この成形品においては、そのMD方
向に平行な断面で、上記マトリックスと上記ドメインと
がほぼ交互に配列していてもよく、両者がMD方向に延
在する縞模様を形成することがある(図1参照)。この
際、ドメインはMD方向全体に亘って伸びていてもよい
が、途中で伸びが停止していてもよい。かかる縞模様を
形成することにより、成形品の成形収縮率のMD方向と
TD方向(MD方向と直交する方向)とにおける異方性
が小さくなるものと推定される。また、このような縞模
様間隔、即ち縞模様を形成しているドメイン同士のMD
方向と直交する方向への幅は、0.01〜5μmである
ことが好ましく、この範囲を逸脱すると、透明性や耐熱
性が低下することがあり、好ましくない。
【0037】本発明者らは、上述のような分散構造を有
する成形品、具体的には、未延伸若しくは延伸フィルム
又はシートや射出成形品が、耐衝撃性、透明性、光沢、
成形収縮率、剛性、引裂性及び難白化などの各種特性の
バランスに優れ、加えて高圧蒸気滅菌処理後の透明性に
も優れることを見出したものであり、本発明の成形品
は、この知見に基づきなされたものである。従って、本
発明の成形品としては、かかる分散構造を有する限り、
如何なる方法で得られたものであってもよいが、上述の
ように、連続重合法で製造したポリプロピレン系樹脂組
成物の成形材料を押出成形して得られた未延伸フィルム
又はシート、及び射出成形して得られた射出成形品が特
に好ましい。
【0038】本発明の成形品がフィルム状をなす場合、
特に未延伸フィルムとしては、成形性の点からその厚み
が10〜100μmのものが好ましく、15〜70μm
のものが更に好ましい。また、本成形品がシート状をな
す場合、特に未延伸シートとしては、成形性の点からそ
の厚みが0.07〜4mmのものが好ましく、0.1〜
4mmのものが更に好ましく、0.1〜3mmのものが
特に好ましい。
【0039】以上のように説明してきた本発明に係るポ
リプロピレン系成形品の若干の用途について説明する
と、未延伸成形体のうち、未延伸フィルムは、低温での
耐寒性及び引裂性に優れるとともに、良好な透明性、高
圧蒸気滅菌処理後の透明性及び耐熱性をも保持すること
から、野菜包装用、パン包装用、冷凍食品包装用及び医
療用の材料等として好ましく用いることができる。一
方、未延伸シートは、低温での耐寒性(低温耐衝撃
性)、難白化性、透明性及び高圧蒸気滅菌処理後の透明
性に優れるのみならず、良好な耐熱性をも保持すること
から、ファイル等の文房具、食品包装材、化粧紙、及び
医療用材料等の産業用資材として好ましく用いることが
できる。更に、射出成形品は、医療用具、透明衣装ケー
ス、工具箱、ヒンジ付部品及びヒンジ部材等として好ま
しく用いることができる。
【0040】また、本発明に係るフィルム又はシート
は、その片面又は両面に他の樹脂製フィルム又はシート
を積層して、多層フィルム又は多層シートである積層体
として利用することができる。この際に使用される他の
樹脂は、特に限定されず、種々の樹脂を用いることがで
きる。例えば、本発明のフィルム上に低融点のプロピレ
ン−α−オレフィン共重合体等の熱接着性樹脂から成る
層を設けることにより、各種包装用材料として使用でき
る。
【0041】かかる多層フィルム又は多層シートの製造
法としては、フィルム又はシートの製造段階でのインラ
インラミネート法、共押出法などや、フィルム又はシー
トの製造後に積層を行うドライラミネート法などが適用
できる。
【0042】更に、本発明に係る成形体、上述の多層フ
ィルム又は多層シートには、工業的に採用されている常
法によってコロナ放電処理、火炎処理又はプラズマ処理
などの表面処理を施すことができ、これにより、印刷
性、ラミネート特性及び金属蒸着特性等を向上させるこ
とができる。
【0043】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0044】実施例1〜3 [成形材料の製造]実施例1〜3として表1に示す各重
合体組成のポリプロピレン系樹脂組成物99.8重量%
に、フェノール系酸化防止剤としての2,6−ジ−t−
ブチル−p−クレゾールを0.1重量%及び中和剤とし
てのステアリン酸カルシウムを0.1重量%配合し、ヘ
ンシェルミキサー(商品名)で混合した後、口径40m
mφの単軸押出機を用いて200℃で溶融混練してペレ
ット化し、各実施例に係るポリプロピレン系成形品の成
形材料を得た。
【0045】なお、用いたポリプロピレン系樹脂組成物
は、連続重合法により1段目で結晶性ポリプロピレンを
重合し、ついで2段目でプロピレン−エチレン共重合体
を重合することによって得たものである。また、表1
中、T−MFRは用いたポリプロピレン系樹脂組成物全
体のMFR、T−C2”はポリプロピレン系樹脂組成物
全体のエチレン成分含有量、PPは結晶性ポリプロピレ
ン、PP−MFR及びPP−C2”はPPのMFR及び
PP中のエチレン成分含有量、RCはプロピレン−エチ
レン共重合体、RC−MFR及びRC−C2”はRCの
MFR及びRC中のエチレン成分含有量を示し、RC−
Segはポリプロピレン系樹脂組成物全体におけるRC
の含有量を示している。
【0046】[射出成形品の製造]上述のようにして得
られた成形材料であるペレットを溶融樹脂温度230
℃、金型温度50℃の条件下で射出成形してJIS形の
テストピースを作成し、このテストピースを湿度50
%、温度23℃の室内に72時間放置して状態調節を行
った。得られた各実施例のテストピース(射出成形品)
について下記の性能評価を実施し、その結果を表1に示
した。更に、後述するヘイズで用いた25×50×1c
mの平板状のサンプルを用い、オートクレーブにて高圧
蒸気滅菌処理を行い、その処理1時間後、48時間後、
及び120時間後のヘイズを測定し、その結果を表1に
示した。
【0047】[未延伸フィルムの製造]上述のようにし
て得られた成形材料であるペレットを、Tダイを備えた
単層押出機(口径65mmφ)によって230℃で溶融
押出し、エアーチャンバー及び表面温度30℃の冷却ロ
ールで冷却固化して厚み100μmの未延伸フィルムを
得た。得られた各実施例の未延伸フィルムを上記射出成
形品のテストピースと同様に状態調節した後、この未延
伸フィルムを25×50cmの短冊状に切り抜き、オー
トクレーブにて高圧蒸気滅菌処理を行い、その処理1時
間後、48時間後、及び120時間後のヘイズを測定し
た。
【0048】[未延伸シートの製造]上述のようにして
得られた成形材料であるペレットを、シリンダー温度2
30℃、冷却ロール温度25〜35℃の条件下、Tダイ
及びポリッシングロールを備えたシート成形機でTダイ
法により成形し、厚み0.6mmのシートを得た。得ら
れた各実施例の未延伸シートを上記射出成形品のテスト
ピースと同様に状態調節した後、この未延伸シートを2
5×50cmの短冊状に切り抜き、オートクレーブにて
高圧蒸気滅菌処理を行い、その処理1時間後、48時間
後、及び120時間後のヘイズを測定した。
【0049】[成形材料の評価] (MFR)JIS K 6758に準拠し、試験温度2
30℃、試験荷重21.18Nの条件で測定した。
【0050】[射出成形品の評価]曲げ弾性率、引張り
伸度、ノッチ付きアイゾット衝撃強度(測定温度:23
℃、0℃及び−30℃)及び比重は、JIS K 67
58に準拠して測定した。硬度はJIS K 6758
に準拠してロックウエル硬度を測定した。光沢率はJI
S Z 8741に準拠して指示角60°で測定した。
ヘイズは上記射出成形条件により作成した25×50×
1cmの平板状のサンプルを用い、JIS K 710
5に準拠して測定した。
【0051】
【表1】
【0052】表1から、実施例1〜3は光沢が高く、透
明性の指標であるヘイズが低く良好であり、更に高圧蒸
気滅菌処理後のヘイズも低いことが分かる。よって、本
発明のポリプロピレン系成形品に属する射出成形品は、
低温での耐衝撃性、透明性、高圧蒸気滅菌処理後の透明
性及び光沢に優れていることが分かる。
【0053】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、プロピレン−α−オレフィン共重合体を結晶性ポリ
プロピレン中に特定の状態で分散させることとしたた
め、耐衝撃性、透明性、光沢、成形収縮率、剛性及び難
白化などの各種特性のバランスが優れ、加えて高圧蒸気
滅菌処理後の透明性が優れるポリプロピレン系成形品を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリプロピレン系成形品の概念図であ
る。
【図2】本発明に係る未延伸フィルムの一実施例におけ
る、MD方向と平行な断面のTEM写真(倍率:500
0倍)である。
【図3】本発明に係る未延伸フィルムの一実施例におけ
る、MD方向と垂直な断面のTEM写真(倍率:500
0倍)である。
【図4】本発明に係る未延伸シートの一実施例におけ
る、MD方向と平行な断面のTEM写真(倍率:500
0倍)である。
【図5】本発明に係る未延伸シートの一実施例におけ
る、MD方向と垂直な断面のTEM写真(倍率:500
0倍)である。
【符号の説明】
10 マトリックス 20 ドメイン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA15 AA15X AA20 AA20X AA21 AA21X AF11 AF43Y BA01 BB05 BB06 BC01 4J002 BB121 BB142 BB152 GF00 GG00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 50〜90重量%の結晶性ポリプロピレ
    ンと50〜10重量%のプロピレン−α−オレフィン共
    重合体から成るポリプロピレン系樹脂組成物を含有し、
    この共重合体が上記結晶性ポリプロピレン中に分散して
    成る成形品であって、上記共重合体は、複数のドメイン
    が成形加工時の上記樹脂組成物の流れ方向に延在した状
    態で分散していることを特徴とするポリプロピレン系成
    形品。
  2. 【請求項2】 上記ドメインの形状が、棒状、層状、短
    冊状、雨樋状及び管状から成る群より選ばれた少なくと
    も1種の形状であることを特徴とする請求項1記載のポ
    リプロピレン系成形品。
  3. 【請求項3】 上記樹脂組成物の流れ方向に平行な断面
    において、上記結晶性ポリプロピレンと上記共重合体と
    がほぼ交互に配列しており、上記流れ方向に延在する縞
    模様を形成していることを特徴とする請求項1〜2のい
    ずれか1項記載のポリプロピレン系成形品。
  4. 【請求項4】 上記結晶性ポリプロピレンと上記共重合
    体の各メルトフローレートが、次式 PP(MFR)/RC(MFR)≦10 (式中のPP(MFR)は、結晶性ポリプロピレンのメ
    ルトフローレート、RC(MFR)は、プロピレン−α
    −オレフィン共重合体のメルトフローレートを示す。)
    で表される関係を満足することを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか1項記載のポリプロピレン系成形品。
  5. 【請求項5】 上記共重合体が、共重合体基準で20〜
    80重量%のプロピレン重合単位を含有することを特徴
    とする請求項1〜4のいずれか1項記載のポリプロピレ
    ン系成形品。
  6. 【請求項6】 成形品が厚み10〜100μmのフィル
    ムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項
    記載のポリプロピレン系成形品。
  7. 【請求項7】 成形品が厚み0.1〜4mmのシートで
    あることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載
    のポリプロピレン系成形品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008524388A (ja) * 2004-12-17 2008-07-10 エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク 不均一ポリマーブレンド及びそれらを用いた成形製品
JP2010229380A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Toyo Adl Corp ポリオレフィン系樹脂組成物及びその成形体
JP2019055563A (ja) * 2017-09-22 2019-04-11 リスパック株式会社 熱成形用多層シート及び成形品

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