JP2000264981A - ポリプロピレン系シート - Google Patents

ポリプロピレン系シート

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JP2000264981A
JP2000264981A JP11071222A JP7122299A JP2000264981A JP 2000264981 A JP2000264981 A JP 2000264981A JP 11071222 A JP11071222 A JP 11071222A JP 7122299 A JP7122299 A JP 7122299A JP 2000264981 A JP2000264981 A JP 2000264981A
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晋児 大野
Sadafumi Furukawa
禎史 古川
Masaru Terao
賢 寺尾
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明によれば、熱成形可能な温度幅が広
く、しかも連続成形において、成形部と金型部とがずれ
る現象(いわゆるピッチずれ)が著しく改良されたポリ
プロピレン系シートを提供することである。 【解決手段】 示差走査熱量計によって測定された融点
の差が3〜40℃である2種以上のポリプロピレンに平
均アスペクト比が2〜1000である、針状、繊維状、
あるいは板状フィラーをすくなくとも1種類、配合して
なるポリプロピレン系シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、押出成形などの一
般のシーティング方法で成形可能なポリプロピレン系シ
ートに関する。詳しくは、防湿性が要求されるPTPと
称する医薬品(固形剤)包装用ポリプロピレン系シートに
関する。
【0002】
【従来の技術】医薬品包装において、より高い防湿性を
得るためポリプロピレン系シートが使用されている。し
かしながら、ポリプロピレンは熱成形性が極めて悪いと
いう工業上大きな問題がある。すなわち、ポリプロピレ
ンは熱成形における予熱の際、熱によるドローダウンが
大きく、良好な成形品を得ることのできる最適な成形温
度幅が2〜3℃程度であり非常に狭い。このため、ポリ
プロピレンの熱成形にあたっては、非常に高度な温度制
御が必要であり、従来の汎用成形機では成形不良率が高
く工程管理は極めて困難である。また、ポリプロピレン
は熱成形後の冷却過程において収縮するため、連続成形
において、成形部と金型部とがずれる(いわゆるピッチ
ずれ)などの問題もある。このピッチずれは、特に、一
旦成形を中止した後、成形を再開する場合に多発するこ
とが知られており、ポリプロピレン系シートを成形加工
する場合の大きな欠点の一つとなっている。
【0003】熱成形性の良好なポリプロピレンについて
の検討はこれまで種々なされており、例えば、ポリプロ
ピレンに比較的成形性の良好なポリエチレンやエチレン
−プロピレン共重合体、無機フィラーあるいは低分子量
の石油樹脂をブレンドして改質することについての提案
がある。例えば、溶融時に高粘度のポリプロピレンに、
高粘度のポリエチレン(低密度ポリエチレン)及び含水ケ
イ酸マグネシウム粉末を添加する方法(特公昭56−1
5744号公報)、ポリプロピレンに、ポリエチレン(高
密度ポリエチレン)及びエチレン−プロピレン共重合体
を添加する方法(特公昭63−29704号公報)、ポリ
プロピレンと分子量分布の狭いポリエチレンを使用し、
成形加工性・耐振動疲労性を改良する方法(特公昭63
−53213号公報)、ポリプロピレンに石油樹脂及び
エチレン−α−オレフィン共重合体を添加する方法(特
公平6−89191号公報)などが知られている。しか
しながら、これらは各々特定の温度条件におけるシート
軟化緊張保持時間、溶融体強度、絞り加工性、ドローダ
ウン等の成形加工性の改善に対しては効果が認められる
ものの成形性改良の実質的な指標である成形可能温度幅
の拡大についてはほとんど効果がなく、現実的な成形性
の改善について未だ満足できるポリプロピレン系シート
は得られていなかった。
【0004】一方、熱成形後の冷却過程におけるポリプ
ロピレンの収縮を改良する方法については、特定の結晶
化時間及び立体規則性を有するポリプロピレンに石油樹
脂等を添加する方法(特開平7−157573号公報)
が知られている。しかし、この方法でも、フィルムをロ
ール状に巻いたときの巻き締まりによる平面性の悪化に
対しては改善効果があるものの、連続成形時の加工安定
性にはほとんど効果がなく、ピッチずれの改善について
未だ満足できるポリプロピレン系シートは得られていな
かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱成形可能
な温度幅が広く、しかも連続成形において、成形部と金
型部とがずれる現象(いわゆるピッチずれ)が著しく改
良されたポリプロピレン系シートを提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
について研究を行った結果、特定のポリプロピレンに針
状、繊維状あるいは板状フィラーを少なくとも1種類を
配合してなるポリプロピレン樹脂シートが、熱成形可能
な温度幅が広く、かつ連続成形において、成形部と金型
部とがずれる現象(いわゆるピッチずれ)が著しく改良
されることを見いだし本発明を完成させるに至った。す
なわち、本発明は、示差走査熱量計によって測定された
融点の差が3〜40℃である2種以上のポリプロピレン
に針状、繊維状あるいは板状フィラーのうち、少なくと
も1種類を配合してなるポリプロピレン系シートであ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるポリプロピレ
ンの種類としてはプロピレンを単独重合したホモポリマ
ー、プロピレンとエチレンやα−オレフィンとのブロッ
クコポリマー、ランダムコポリマーなどの公知のポリプ
ロピレンが挙げられる。本発明における2種以上のポリ
プロピレンは示差走査熱量計によって測定された融点
(JIS−K−7121)の差においてが3〜40℃、
さらに好ましくは5〜35℃であることが好ましい。こ
こに示す融点差とは、2種類以上のポリプロピレンのう
ち最も融点が高いものと、最も融点が低いものの差であ
る。ポリプロピレンの融点差が3℃より小さい場合、得
られたシートの真空、圧空成形性が悪くなり好ましくな
い。ポリプロピレンの融点差が40℃以上の場合、シー
トの外観が悪くなる。
【0008】シートの耐熱性が要求される分野では、組
み合わせるポリプロピレンにおいて最も融点が高いポリ
プロピレンの融点は150℃以上であるのが好ましく、
155℃以上であるのがさらに好ましい。最も融点が高
いポリプロピレンの融点が150℃より小さいとシート
の耐熱性が悪くなる。また、組み合わせるポリプロピレ
ンにおいて最も融点が高いポリプロピレンの含量は95
〜50重量%であるのが好ましく、85〜60重量%で
あるのがさらに好ましい。最も融点が高いポリプロピレ
ンの含量が95重量%より大きいと、真空、圧空成形性
が悪くなり、50重量%より小さいとシートの耐熱性が
悪くなる。組み合わせるポリプロピレンの種類に特に制
限はないが、シートに水蒸気バリア性が要求される場
合、ホモポリマーとランダムコポリマーまたはブロック
コポリマーの組み合わせが好ましく、より好ましくはホ
モポリマー同士の組み合わせである。
【0009】また、カレンダー法により本発明のポリプ
ロピレン系シートを作成する場合、使用するポリプロピ
レンは、分子量1万以下の低分子量成分が全体の5重量
%以下であるのが好まく、さらに好ましくは3重量%以
下、最も好ましくは1重量%以下である。分子量1万以
下の低分子量成分が5重量%より多いと、カレンダー加
工時に熱ロールへの粘着が起こり、得られるシートの平
滑性、外観が悪くなる。低分子量成分の割合はゲルパー
ミエーションクロマトグラフィーによって測定した微分
分子量分布曲線から求めることができる。
【0010】本発明に用いられるフィラーとしては繊維
状、針状、板状フィラーが挙げられる。例えば、繊維状
フィラーとしては、ガラス繊維、炭素繊維など、針状フ
ィラーとしてはウォラストナイト、チタン酸カリウムな
ど、さらに板状フィラーとしてはタルク、マイカ、ガラ
スフレークなどが挙げられる。フィラーは平均アスペク
ト比(繊維、針状フィラーの場合は繊維長/繊維径、板
状フィラーの場合は粒子径/厚み)が2〜1000のも
のであり、さらに5〜100がより好ましい。フィラー
の平均アスペクト比が2を下回ると熱成形後の冷却過程
におけるピッチずれを改良する効果が小さくなり、10
00を上回ると配向の影響が大きく、機械特性等の異方
性が大きくなり好ましくない。
【0011】またフィラーの大きさ(繊維、針状フィラ
ーの場合は繊維長、板状フィラーの場合は平均粒子径)
は、0.1〜30μmであるのが好ましく、さらに0.
2〜20μmであるものがより好ましい。フィラーの大
きさが0.1μmを下回ると熱成形後の冷却過程におけ
るピッチずれを改良する効果が小さくなり、30μmを
上回ると透明性等の他の特性が低下する。フィラーの添
加量としては、当該ポリプロピレン100重量部に対し
て、0.1重量部から20重量部が好ましく、さらに
0.5〜10重量部がより好ましく、最も好ましくは1
〜5重量部である。フィラーの添加量が0.1重量部を
下回るとピッチずれを改良する効果が小さく、20重量
部を上回るとシートが白化、成形温度幅が低下するなど
の問題が生じる。
【0012】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明す
る。実施例、比較例は下記に示す方法で評価を行った。 (融点の測定)JIS−K−7121に従い、示差走査
型熱量計で融点を測定した。 (真空、圧空成形性)圧空方式成形機[FBP−M2;
シーケーディ(株)製]を用いて一定圧力(5kgf/cm2
で、熱板温度を120〜160℃の間において1℃単位
で上昇させ、得られたシートの成形性を評価した。成形
型は直径10mm、高さ4.5mm、R1.5とした。
得られた成形品の全体厚みが均一である温度を成形可能
温度とし、その温度幅を求めた。 (ピッチずれの評価)圧空方式成形機[FBP−M2;
シーケーディ(株)製]を用いて一定圧力(5kgf/cm2
で成形時にポリプロピレン系シートが収縮してピッチず
れを生じるものを×、ピッチずれしないものを○とし
た。
【0013】実施例、比較例に使用したポリプロピレ
ン、フィラーを示す。 PP−A(ホモPP) ;日本ポリケム(株)製 EA7A (融点:164℃) PP−B(ホモPP) ;日本ポリオレフィン(株)製 PC410A (融点:158℃) PP−C(ランダムPP);日本ポリオレフィン(株)製 PB322M (融点:149℃) 針状フィラー ;巴工業(株)製 HN−3 (ウォラストナイト、繊維長20μm、アスペクト 比14.3) 板状フィラー ;コープケミカル(株)製 MK−100 (マイカ、平均粒径3μm、アスペクト比25) 粒状フィラー ;株式会社ニッチツ NA2200 (炭酸カルシウム、平均粒子径0.93、球状) 実施例、比較例について、以下の方法でシートを作製し
た。示差走査熱量計によって測定された融点の差が3〜
40℃である2種以上のポリプロピレンとフィラーとを
シリンダー温度230℃に設定した50mm二軸押出機
にて溶融混練後、Tダイ法で厚さ0.3mmのシートを
作製した。
【0014】
【表1】
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、熱成形可能な温度幅が
広く、しかも連続成形において、成形部と金型部とがず
れる現象(いわゆるピッチずれ)が著しく改良されたポ
リプロピレン系シートを提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 23:00 B29L 7:00 Fターム(参考) 4F071 AA20 AA20X AA84 AB03 AB20 AB26 AB28 AD01 AD05 AD07 AF09 AG22 AG23 AH04 BA01 BB04 BB06 BB13 BC01 4F207 AA03E AA04E AA11E AB11 AG01 AH63 KA01 KA17 KF01 KF02 KW41 4J002 BB11W BB11X BB12W BB12X BB15W BB15X BP02W BP02X DA016 DE187 DJ007 DJ048 DJ058 DL006 DL008 FA018 FA046 FA077 GG02

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 示差走査熱量計によって測定された融点
    の差が3〜40℃である2種以上のポリプロピレンに針
    状、繊維状あるいは板状フィラーのうち、少なくとも1
    種類を配合してなるポリプロピレン系シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006052292A (ja) * 2004-08-11 2006-02-23 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 板状フィラーを含む樹脂組成物及びフィルム

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006052292A (ja) * 2004-08-11 2006-02-23 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 板状フィラーを含む樹脂組成物及びフィルム
JP4614710B2 (ja) * 2004-08-11 2011-01-19 三菱樹脂株式会社 板状フィラーを含む樹脂組成物及びフィルム

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