JP5325561B2 - 三相交流モータの制御装置、及びその制御方法 - Google Patents

三相交流モータの制御装置、及びその制御方法 Download PDF

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本発明は、三相交流モータの各相に供給する電力を調整するインバータを制御する技術に関する。
三相交流モータをインバータで駆動させる場合、その制御装置は、インバータに設けられたシャント抵抗に流れる電流の値に基づいて、インバータに設けられた複数のスイッチング素子のスイッチングタイミングを制御している。
制御装置は、シャント抵抗に流れる電流の値をサンプリングするにあたり、各種タイミングでサンプリングすることで、三相交流モータに流れる各相に流れる電流値を推定している。この電流値サンプリングのタイミングは、時々刻々と変化するシャント電流に対して、極めて細かく調整する必要がある。言い換えれば、直流シャント電流の検知には、動的なサンプリングタイミングを求める必要がある。このため、この方法を実現するためには、コンピュータで、インバータのスイッチングに準ずる高速な演算でサンプリングタイミングを求め、その上で、求めたタイミングで正確にサンプリングする必要がある。したがって、この方法を実現するためには、コンピュータに多大な負荷を強いることになる。
そこで、コンピュータの負荷を軽減するために、サンプリングタイミングを固定する方法が、以下の特許文献1で提案されている。
具体的に、この特許文献1に記載の技術では、パルス幅変調(PWM)制御のキャリア信号である三角波信号を正負に等分するゼロクロスの固定タイミングで、シャント電流をサンプリングしている。そして、この技術では、この固定タイミングでサンプリングされる電流が、電圧指令値の絶対値の最大相の電流であることを利用し、d軸電流値及びq軸電流値を求め、これらd軸電流値及びq軸電流値に基づいてインバータを制御している。
特開2004−282969号公報 (図2,図5)
シャント抵抗に流れる電流は、インバータの複数のスイッチング素子のスイッチングのタイミングに合ったパルス波形状になる。このシャット抵抗に流れる電流には、スイッチング素子のスイッチングに起因して発生するデッドタイムやリンギング等の影響を受けるため、スイッチング直後の電流値、つまり、パルス波形中の初期の所定期間の部分は、モータの相電流を正確に示していない。
前述の動的なタイミングで電流値をサンプリングする場合、パルス波形中の初期部分を避けることが可能であるが、特許文献1に記載の固定タイミングでサンプリングする場合、パルス波形のいずれの位置でサンプリングするか不定となるため、パルス波形の初期部分の電流値をサンプリングする場合がある。特に、電圧利用率を示す電圧変調率が低くなる低速運転では、パルス波形の幅が狭くなる関係で、パルス波形中の初期の所定期間の部分をサンプリングする可能性が高まる。したがって、特許文献1に記載の技術では、モータの運転範囲が狭くなってしまうという問題点がある。
本発明は、このような従来技術の問題点に着目してなされたもので、固定タイミングでシャント電流をサンプリングしつつも、モータの運転範囲を狭めない技術を提供することを目的とする。
前記問題点を解決するため、本発明では、
直流電源から三相交流モータの各相に供給する電力を調整するための複数のスイッチング素子を備えているインバータに対して、該直流電源と該複数のスイッチング素子との間に接続されたシャント抵抗に流れる電流値に応じて該複数のスイッチング素子のそれぞれのオンオフを示すスイッチング信号を出力する三相交流モータの制御装置を提供する。
当該制御装置は、
前記シャント抵抗に流れる前記電流値を用いて、前記三相交流モータの各相の第一の電圧指令値を生成する。さらに、前記各相の第一の電圧指令値に、所定の調整量を加算した各相の第二の電圧指令値を生成する。そして、電圧を振幅とするキャリア信号と前記各相の第二の電圧指令値との交点のタイミングで、前記複数のスイッチング素子に対して、前記スイッチング信号を出力する。また、キャリア信号が示す電圧値が該キャリア信号の中間レベルになるタイミングで、前記シャント抵抗で検出される電流値をサンプリングする。
以上において、前記各相の第一の電圧指令値は、サンプリングされた前記電流値を用いて生成される。また、前記所定の調整量として、前記各相の第一の電圧指令値のうちで中間電圧の中間相指令値と前記キャリア信号の中間レベルとの差の値が用いられる。また、前記所定の調整量として、前記中間相指令値と前記キャリア信号の中間レベルとの差に、前記電流サンプリング手段でのサンプルホールド時間に対応する電圧値を、該中間相指令値が正のときには加算した値、該中間相指令値が負のときには減算した値が用いられる。
本発明によれば、固定タイミングでシャント抵抗に流れる電流をサンプリングしつつも、動的なタイミングで直流シャント電流をサンプリングする場合と同様に、三相交流モータの正確な相電流を取得することができる。しかも、本発明では、電圧変調率が低くなる低速運転で、パルス状の電流波形の幅が狭くなる場合でも、この波形の終端部分をサンプリングしているため、正確な相電流を検出することができる。
以下、本発明に係る三相交流モータの制御装置の各種実施形態について、図面を用いて説明する。
「第一の実施形態」
図1〜図9を用いて、本発明に係る三相交流モータの駆動制御装置の第一の実施形態について説明する。
本実施形態の駆動制御装置100は、図1に示すように、三相交流モータ1を駆動制御するものである。この駆動制御装置100は、交流電源2からの交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器30と、AC/DC変換器30からの直流電力を三相交流モータ1の各相毎の交流電力に変換して、これを三相交流モータ1に供給するインバータ20と、インバータ20内を流れる電流の値を検出する電流検出回路25と、この電流回路25により検出された電流値に応じてインバータ20を制御する制御ユニット10と、を備えている。
インバータ20は、IGBTやMOSFET等の6個のスイッチング素子21,22と、シャント抵抗23とを有している。6個のスイッチング素子21,22のうち、3個のスイッチング素子21u,21v,21wは、三相交流モータ1を基準にして一方の側に配置され、残りの3個のスイッチング素子22u,22v,22wは、三相交流モータ1を基準にして他方の側に配置されている。三相交流モータ1を基準にして一方の側に配置されているスイッチング素子21u,21v,21wの各ソースは、互いに結線されて、AC/DC変換器30に接続されている。また、三相交流モータ1を基準にして他方の側に配置されているスイッチング素子22u,22v,22wのドレインは、互いに結線され、シャント抵抗23の一端に接続されている。このシャント抵抗23の他端は、AC/DC変換器30に接続されている。
電流検出回路25は、インバータ20のシャント抵抗23に流れる電流を検出する。
制御ユニット10は、マイクロコンピュータで、各種演算を実行するCPUと、各種プログラムや固定データ等が予め記憶されているROMと、CPUのワークエリア等になるRAMと、外部との間で信号の入出力を行うインタフェースと、アナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器とを有している。この制御ユニット10は、機能的には、電流検出回路25で検出されたアナログ信号のシャント電流値ISHTを所定のタイミングでサンプリングしてディジタル信号のシャント電流値ISHT’に変換するA/D変換部11と、シャント電流値ISHT’に基づいて三相交流モータ1のd軸電流値Idc及びq軸電流値Iqcを求めるdq軸電流生成部12と、d軸電流値Idc及びq軸電流値Iqcを用いてモータ1の各相毎の第一の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を生成する電圧指令生成部13と、第一の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*から第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**を生成する電圧変調部14と、第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**に基づいてパルス幅変調(PWM)によりインバータ20の各スイッチング素子21,22毎のスイッチング信号を生成するPWM制御部15と、を有している。
図2に示すように、制御ユニット10と、ICチップ化されたインバータ20と、電流検出回路25と、AC/DC変換器30と、インバータ20への直流電力を安定化させるコンデンサ35とは、基板40に搭載され、モータ1の駆動制御装置100を構成している。
なお、ここでは、6個のスイッチング素子21,22とシャント抵抗23とパッケージングすることで、インバータ20を構成し、このインバータ20とは別に電流検出回路25が設けられているが、スイッチング素子21,22とシャント抵抗23と電流検出回路25とのうち、三つ全てをパッケージングして、インバータを構成するようにしてもよいし、いずれか二つをパッケージングしてもよいし、以上の三つを個別にパッケージングしてもよい。
次に、図6を用いて、インバータ20のシャント抵抗23に流れる電流について説明する。
ここで、モータ1の各相のうち、u相が電圧指令値の最大相であり、v相が電圧指令の中間相であり、w相が電圧指令値の最小相である場合について説明する。
同図(a)に示すように、インバータ20の一方のスイッチング素子21のうち、u相用のスイッチング素子21uのゲートのみがオンで、残りのv相用及びw相用のスイッチング素子21v,21wのゲートがオフであり、インバータ20の他方のスイッチング素子22のうち、u相用のスイッチング素子22uのゲートのみがオフで、残りのv相用及びw相用のスイッチング素子22v,22wのゲートがオンの場合、シャント抵抗23には、電流(−Iv−Iw)が流れる。ところで、Iu+Iv+Iw=0の関係があることから、このシャント抵抗23には、電圧指令値が最大相であるu相の電流(Iu)が流れることになる。
また、同図(b)に示すように、インバータ20の一方のスイッチング素子21のうち、u相用及びv相用のスイッチング素子21u,21vのゲートがオンで、残りのw相用のスイッチング素子21wのゲートがオフであり、インバータ20の他方のスイッチング素子22のうち、u相用及びv相用のスイッチング素子22u,22vのゲートがオフで、残りのw相用のスイッチング素子21wのゲートがオンの場合、シャント抵抗23には、電圧指令値が最小相であるw相の電流(−Iw)が流れる。
同図(c)に示すように、インバータ20の一方のスイッチング素子21のうち、u相用及びv相用のスイッチング素子21u,21vのゲートがオフで、残りのw相用のスイッチング素子21wのゲートがオンであり、インバータ20の他方のスイッチング素子22のうち、u相用及びv相用のスイッチング素子22u,22vのゲートがオンで、残りのw相用のスイッチング素子222wのゲートがオフの場合、シャント抵抗23には、電圧指令値が最小相であるw相の電流(Iw)が流れる。
以上のように、シャント抵抗23には、電圧指令値が最高電圧値である相の電流と、電圧指令値が最低電圧値である相の電流とが流れる。言い換えると、シャント抵抗23に流れる電流には、電圧指令値の絶対値最大相の電流が含まれる。なお、シャント抵抗23に流れる電流の波形は、パルス波形状である。
したがって、図1に示す電流検出回路25は、電圧指令値が絶対値最大相の電流の値を検出し、電圧指令値が中間相の電流の値を検出しない。
A/D変換部11は、PWM制御部15からのタイミング信号(Timing)に併せて、電流検出回路25で検出されたアナログ信号のシャント電流値ISHTをサンプリングし、このアナログ信号のシャント電流値ISHTをディジタル信号のシャント電流値ISHT’に変換する。
dq軸電流生成部12は、前述したように、A/D変換部11からのシャント電流値ISHT’を用いて、モータ1のd軸電流値Idc及びq軸電流値Iqcを求める。このd軸電流値Idc及びq軸電流値Iqcの求め方については、背景技術の欄で示した特許文献1に詳細に記載されているので、ここでは簡単に説明する。
dq軸電流生成部12は、まず、シャント電流値ISHT’を電気角60°区間で積分してIam及びIrmを求め、これらIam,Irmを用いて、以下の(数1)により、有効電流成分Ia及び無効電流成分Irを求める。
Figure 0005325561
次に、dq軸電流生成部12は、以上で求めた有効電流成分Ia及び無効電流成分Irを用いて、以下の(数2)により、d軸電流値Idc及びq軸電流値Iqcを求める。
Figure 0005325561
ここで、ψは、電圧位相とq軸との位相差角であり、以下の(数3)により定義される。なお、(数3)中のd軸電圧指令値V*及びq軸電圧指令値V*に関しては、後述の(数4)で求められる。
Figure 0005325561
電圧指令生成部13は、以上のように求められたd軸電流値Idc及びq軸電流値Iqcを用いて、前述したように、モータ1の各相毎の第一の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を生成する。具体的には、電圧指令生成部13は、まず、モータ定数R*,Ld*,Lq*,Ke*とd軸電流指令値I*及びq軸電流指令値I*と、図示されていないホスト等の上位装置から与えられる速度指令値ω1*とを用いて、以下の(数4)により、d軸電圧指令値V*及びq軸電圧指令値V*を求める。なお、d軸電流指令値I*及びq軸電流指令値I*は、dq軸電流生成部12で生成されたd軸電流値Idc及びq軸電流値Iqcと速度指令値ω1*とに基づいて定められる。
Figure 0005325561
ここで、
R*:1相分の抵抗の設定値
Ld*:d軸インダクタンス値の設定値
Lq*:q軸インダクタンス値の設定値
Ke*:誘起電圧定数の設定値
次に、電圧指令生成部13は、以上で求めたd軸電圧指令値V*及びq軸電圧指令値V*を、以下の(数5)により座標変換して、第一のu相電圧指令値V*、第一のv相電圧指令値V*、第一のw相電圧指令値V*を求める。
Figure 0005325561
電圧変調部14は、前述したように、第一の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*から第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**を生成する。
図3に、第一の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*の波形を示す。同図において、横軸は、U相電圧指令値Vu*の位相を基準にした電圧位相(電気角で0°〜360°)を示し,縦軸は電圧指令値を示す。電圧変調部14は、まず、第一の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*のうちで指令値が中間値の中間相を選択する。例えば、図3中で、電圧位相θvが90°〜150°の60°期間Aでは、u相が最大相、v相が中間相、w相が最小相となり,中間相としてV相が選択される。
電圧変調部14は、次に、後述のキャリア信号を正負に等分する中間レベル、つまりゼロ電圧値と中間相の電圧指令値との差分である調整量Vを求める。そして、電圧変調部14は、第一の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に調整量VXを加算して、第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**を生成する。
ここで、中間相の電圧指令値Vmid*とおく。このVmid*は,電気角の位相60°毎に、u相電圧指令値V*、V相電圧指令値V*、W相電圧指令値V*のいずれかに切り替わる。このVmid*を用いて,調整量Vを表すと、以下の(数6)のようになる。
Figure 0005325561
また、第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**を調整量Vを用いて表すと、以下の(数7)のようになる。
Figure 0005325561
図4に、調整量Vと共に、第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**の波形を、図3と同様に示す。なお、同図中、v相の第二の電圧指令値Vu**を太実線で示し、v相の第二の電圧指令値Vv**を一点破線で示し、w相の第二の電圧指令値Vw**を二点破線で示す。また、調整量Vを細実線で示す。
中間相の第二の電圧指令値は、前述したように、ゼロ電圧値と中間相の第一の電圧指令値との差を、中間相の第一の電圧指令値に加えたものであるから、常にゼロ電圧値となる。例えば、図4中で、電圧位相θvが90°〜150°の60°期間Aでは、u相が最大相、v相が中間相、w相が最小相であり、中間相であるv相の第二の電圧指令値Vv**は、ゼロ電圧である。また、第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**は、第一の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に所定量(調整量V)加えたものであるから、第一の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*の相互の指令値差と、第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**の相互の指令値差とは、図3と図4からも理解できるように、同じである。
PWM制御部15は、以上のように求めた第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**に基づいてパルス幅変調(PWM)によりインバータ20の各スイッチング素子21,22毎のスイッチング信号を生成する。
図5に、第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**の波形と、三角波キャリア信号の波形と、電流検出回路25で検出された直流シャント電流IDCの波形を示す。なお、図5中に示す第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**の波形は、いずれも直線で描いているが、これは、図5が図4中の電圧位相が極めて狭い範囲を表しているからに過ぎない。
三角波キャリア信号は、PWM制御部15自身が生成するもので、電圧を振幅とし、振幅の中心がゼロ電圧になっている。また、直流シャント電流IDCは、前述したように、電圧指令値が絶対値最大相の電流(最大相又は最小相の電流)であり、各電流の波形はパルス状の波形である。仮に、電圧指令値の最大相、中間相、最小相が、順に、u相、v相、w相である場合には、直流シャント電流IDCは、最大相のu相の電流か、最小相であるw相の電流である。
PWM制御部15は、三角波キャリア信号と第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**との交点のタイミングで、インバータ20の対応相用のスイッチング素子21,22にスイッチング信号を出力する。このため、三角波キャリア信号と第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**との交点を境として、直流シャント電流IDCがステップ的に変化する。
また、PWM制御部15は、三角波キャリア信号の振幅の中間点、つまり三角波キャリア信号のゼロ電圧値のタイミングで、A/D変換部11にサンプリング信号を出力する。このため、A/D変換部11は、三角波キャリア信号の周期をTとすると、周期T/2で、直流シャント電流IDC(最大相の電流又は最小相の電流)をサンプリングすることにとなる。
ところで、中間相(v相)の第二の電圧指令値Vv**は、ゼロ電圧値であるから、インバータ20の中間相用のスイッチング素子21v,22vのオンオフが切り替わり、直流シャント電流IDCがステップ的に変化するタイミングと、A/D変換部11が直流シャント電流IDCをサンプリングするタイミングとは、実質的に一致する。したがって、A/D変換部11は、中間相用のスイッチング素子21v,22vのオンオフが切り替わる直前及び直後の直流シャント電流IDCをサンプリングする。
中間相用のスイッチング素子21v,22vのオンオフが切り替わった直後の直流シャント電流IDCは、前述したように、デッドタイムやリンギング等の影響を受けるため、モータ1の相電流を正確に示していない。一方、中間相用のスイッチング素子21v,22vのオンオフが切り替わる直前、言い換えると、切り替わってから、最も遅いタイミングでの直流シャント電流IDCは、デッドタイムやリンギング等の影響を受けないため、モータ1の相電流を正確に示している。
そこで、dq軸電流生成部12は、A/D変換部11で、三角波キャリア信号の前半周期のゼロ電圧値タイミングでサンプリングされた直流シャント電流IDC(スイッチング素子のオンオフが切り替わった直後の直流シャント電流)と、後半周期中のゼロ電圧タイミングでサンプリングされた直流シャント電流IDC(スイッチング素子のオンオフが切り替わる直前の直流シャント電流)のうち、後半周期中のゼロ電圧タイミングでサンプリングされた直流シャント電流IDC、つまり、スイッチング素子のオンオフが切り替わる直前の直流シャント電流のみを採用して、d軸電流値Idc及びq軸電流値Iqcを生成している。
なお、ここでは、三角波キャリア信号の後半周期のゼロ電圧値タイミングでサンプリングされた直流シャント電流IDCが、スイッチング素子のオンオフが切り替わる直前のシャント電流である例と示したが、三角波キャリア信号の前半周期のゼロ電圧値タイミングでサンプリングされた直流シャント電流IDCが、スイッチング素子のオンオフが切り替わる直前のシャント電流である場合もある。この場合には、当然、後半周期中のゼロ電圧タイミングでサンプリングされた直流シャント電流IDCを採用して、d軸電流値Idc及びq軸電流値Iqcを生成することが好ましい。
以上のように、本実施形態では、簡便な固定タイミングで直流シャント電流をサンプリングしつつも、動的なタイミングで直流シャント電流をサンプリングする場合と同様に、モータ1の正確な相電流を取得することができる。しかも、電圧変調率が低くなる低速運転で、パルス状の電流波形の幅が狭くなる場合でも、本実施形態では、パルス状の電流波形のうち、パルス波形の終端部分をサンプリングしているため、正確な相電流を検出することができる。
なお、本実施形態において、第一の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*の波形と第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**とが異なっているものの、第一の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*の各相の指令値相互間での差と、第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**の各相の指令値間での差とは、同じであるため、第一の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*によるスイッチング素子21,22の動作と、第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**によるスイッチング素子21,22の動作とは、基本的に同じになる。このため、指令値の変調により、モータ1の動作が変わることは基本的にない。
次に、本実施形態の効果について、具体的に説明する。
インバータ20のシャント抵抗23には、以上で述べたように、インバータ20のスイッチング素子21,22のスイッチングタイミングによって、所定の幅のパルス状の電流が流れる。このパルス幅は、基本的に、三相のうちいずれか二相の電圧指令値のうち、一相の電圧指令値とキャリア信号との交点と、他の一相の電圧指令値とのキャリア信号との交点との時間差により定まる。このため、パルス幅は、電圧指令値の振幅や位相の変化により変化する。そこで、ここでは、電圧指令絶対値の最大相に注目して、相電流の検出確率について考察する。
仮に、電流検出が可能な最小パルス幅をTW_min、キャリア信号の周波数をf、電圧変調率をKとすると、最小パルス幅TW_minに一致するパルス幅となる位相θp1は、以下の(数8)のように表される。
Figure 0005325561
この(数8)において、電圧指令値の絶対値が最大となる最大相に着目すれば、θp1の範囲は、π/3(60°)〜π/2(90°)となる。シャント抵抗23には、異なる2相の電流が流れるが、ここでは、そのうち1相の電流のみを正確に検出できる電流検出率Kについて考える。この電流検出率Kは、以下の(数9)で示すように、θp1からπ/2までの期間と、π/6(=π/2−π/6)期間との比率とする。
Figure 0005325561
ここで、(数9)において、π/3≦θp1≦π/2とする。
図7を用いて、以上で示した(数8)及び(数9)について、さらに詳細を述べる。
同図には、正弦波となる第一の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*が示されている。u相電圧指令値Vu*に注目すると、(数8)で与えられるθp1が、同図に示すように、60°〜90°の間にある場合、(数9)で求める電流検出率Kは、60°〜90°の期間に対する斜線で示す期間の比率である。これに対して、θp1が30°〜60°(π/6〜π/3)の間にある場合には、電流検出率Kは1(100%)となる。つまり、θp1が30°〜60°の間にある場合、電圧指令絶対値が最大となる相の電流値は必ず正確に検出できるということである。
ところで、(数9)で示されるKは、絶対値最大相の電圧指令値と絶対値中間相の電圧指令値との差に対応する時間が少なくとも最小パルス幅TW_minであれば、正確に検出可能であるという仮定に基づいている。この仮定を実現するには、検出タイミングを動的に定めか、本実施形態のように、電圧指令値を変調する必要がある。
しかし、特許文献1のように、単に、電流サンプリングタイミングがキャリア信号の零レベルに実質的に一致する固定タイミングでは、電流検出率はKに一致しない。そこで、このような固定タイミングにおいては、(数8)が絶対値最大相の電圧指令値と零レベルとの差で表されることから、最小パルス幅TW_minに一致するパルス幅となる新たな位相θp0を、以下の(数10)のように定める。
Figure 0005325561
ここで、(数8)に基づいて(数9)を導き出したのと同様に、新たな位相θp0による新たな電流検出率Kは、(数10)に基づいて、以下の(数11)のように定義できる。
Figure 0005325561
ここで、(数11)において、π/3≦θp0≦π/2とする。
図8を用いて、以上で示した(数10)及び(数11)について、さらに詳細を述べる。
図7を説明した場合と同様に、u相電圧指令値Vu*に注目すると、(数10)で与えられるθp0が、同図に示すように、60°〜90°の間にある場合、(数11)で求める電流検出率K0は、60°〜90°の期間に対する斜線で示す期間の比率であり、図7に示す電流検出率K1に比べて小さい。また、θp0が30°〜60°(π/6〜π/3)の間にある場合には、電流検出率K0は1(100%)となる。
次に、電圧変調率KHに対する電流検出率K1,K0の関係にについて、図9を用いて説明する。なお、同図では、Kを実線で示し、Kを破線で示している。また、ここでは、キャリア周波数fを15kHzとし、最小パルス幅TW_minを4μsとしている。
同図に示すように、本実施形態における電流検出率K1は、変調率KHが16%から26%の間で、0%から100%まで変化している。これに対して、特許文献1に記載の電流サンプリングが固定タイミングである場合の電流検出率K0は、変調率KHが24%から26%の間で、0%から100%まで変化している。このことは、本実施形態の方が、特許文献1に記載の電流サンプリングが固定タイミングである場合よりも、前述したように、低変調率領域における運転範囲が広いことを意味する。
次に、本実施形態による変調方法を適用できる範囲について説明する。
第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**の振幅は、第一の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*のうちで、絶対値が最大の指令値(最大相の指令値又は最小相の指令値)と中間相の指令値との差である。この差が最大となる位相は、電圧指令値の振幅が最大となる位相である。そこで、この位相における第一の電圧指令値の相互差を求めるために、図3中のu相電圧指令値Vu*とv相電圧指令値Vv*を例にする。u相電圧指令値Vu*及びv相電圧指令値Vv*は、以下の(数12)のように表すことができる。なお、(数12)中のθは電圧位相である。
Figure 0005325561
したがって、u相電圧指令値Vu*とv相電圧指令値Vv*との電圧差△Vは、(数13)のようになる。
Figure 0005325561
電圧差△Vは、電圧位相θがπ/2ときに最大となるので、最大電圧差△Vmaxは、(数14)のようになる。
Figure 0005325561
ところで、モータ1に出力できる最大電圧は、AC/DC変換器30の直流電圧EDCの2分の1であるから、最大電圧差△Vmaxと直流電圧EDCの間には、以下の(数15)の関係が成立する。
Figure 0005325561
従って、この(数15)により、直流電圧EDCの3分の2が第二の電圧指令値の振幅の最大値であることが分かる。つまり、直流電圧EDCの3分の2を超える運転範囲では、第二の電圧指令値を適用することができない。
そこで、本実施形態では、図1に示すように、電圧指令生成部13が第一の電圧指令値を作成した段階で、この指令値の最大が直流電圧EDCの3分の2以上であるか否かを判断し、3分の2未満である場合には、第一の電圧指令値を電圧変調部14に渡して、この電圧変調部14から第二の電圧指令値を出力するようにし、3分の2以上である場合には、第一の電圧指令値を直接PWM制御部15に出力するようにしている。
なお、本実施形態では、第一の電圧指令値の波形が正弦波であるが、この正弦波に3次調波を加算して、電圧利用率を向上する線間変調後の線間変調波を第一の電圧指令値としてもよい。
また、本実施形態では、電圧指令作成部13でのベクトル制御演算は、速度指令型のものであるが、トルク指令型であってもよい。トルク指令型にするには,トルク制御を行うために電流制御器を構成するのが一般的であるが、電流指令値と比較する検出電流には、電流検出回路25の出力である検出電流IdcまたはIqcもしくは両方を用いてもよい。さらに,速度制御器を構成して速度制御を行う場合には、モータ1の実速度ω1を検出し、または、推定し、指令値に追従させる制御を行ってもよい。
また、d軸位相θと速度ωは、モータ1の回転子位置の位相を検出する位置センサを用いても、回転子位置をモータ定数と電圧指令値及び検出電流により推定してもよい。いずれの場合であっても、本実施形態においては、モータ1の位相及び速度が既知であることを前提としている。
「第二の実施形態」
図10及び図11を用いて、本発明に係る三相交流モータの駆動制御装置の第二の実施形態について説明する。
本実施形態の駆動制御装置は、電流検出回路25からの電流値のサンプリングにあたり、この電流値をサンプリングするための時間、つまりサンプリングホールド時間を考慮した第二の電圧指令値を作成するものである。このため、基本的な構成は、第一の実施形態と同じであり、電圧変調部14における動作が第一の実施形態と異なるのみである。
そこで、以下では、本実施形態における第二の電圧指令値と、この第二の電圧指令値を採用した場合の電流サンプルリングについて説明する。
本実施形態における第二の電圧指令値は、以下の(数16)で定める調整量V’を第一の電圧指令値に加算したものである。
Figure 0005325561
(数16)に示すように、調整量V’は、中間相の第一の電圧指令値Vmid*の正負に応じて、第一の実施形態における調整量Vから、A/D変換器11におけるサンプルホールド時間TSHに相当する電圧差VSHを加算又は減算したものである。
サンプルホールド時間TSHに相当する電圧差VSHは、以下の(数17)(数18)に示すように、三角波キャリア信号の周期Tと、AC/DC変換器30から出力される直流電圧EDCとの関係から求めることができる。
Figure 0005325561
Figure 0005325561
図10に、上記調整量V’を用いた場合の第二の電圧指令値(Vu**,Vv**,Vw**)の波形を示す。以下では、電圧位相θvが90°〜150°の期間に注目して説明する。なお、同図中、u相の第二の電圧指令値Vu**を太実線で示し、v相の第二の電圧指令値Vv**を一点破線で示し、w相の第二の電圧指令値Vw**を二点破線で示し、第一の実施形態における第二の電圧指令値を細実線で示し、本実施形態における調整量V’を破線で示している。
電圧位相θvが90°〜120°の期間では、図3に示すように、中間相vの第一の電圧指令値Vmid*は負の値である。従って、調整量V’は、(数16)に示しように、第一の実施形態の調整量VにVSHを減算した値になる。ところで、第一の実施形態の調整量Vは、図4に示すように、電圧位相θvが90°〜120°の期間で正の値である。このため、本実施形態の調整量V’の絶対値が第一の実施形態のVの絶対値よりも、VSH分小さくなる。この結果、中間相であるV相の第二の電圧指令値V**は、ゼロではなく,−VSHとなる。また、残る2相のu相の第二の電圧指令値とw相の電圧指令値も、第一の実施形態における対応相の第二の電圧指令値に対して、それぞれVSH分小さくなっている。なお、図10中、第一の実施形態における第二の電圧指令値に対する、本実施形態の第二の電圧指令値の変化分を斜線で明示している。
電圧位相θvが120°〜150°の期間では、図3に示すように、中間相vの第一の電圧指令値Vmid*は正の値である。従って、調整量V’は、(数16)に示しように、第一の実施形態の調整量VにVSHを加算した値になる。ところで、第一の実施形態の調整量Vは、図4に示すように、電圧位相θvが120°〜150°の期間で負の値である。このため、本実施形態の調整量V’の絶対値が第一の実施形態のVの絶対値よりも、VSH分大きくなる。この結果、中間相であるV相の第二の電圧指令値V**は、ゼロではなく,+VSHとなる。また、残る2相のu相の第二の電圧指令値とw相の電圧指令値も、第一の実施形態における対応相の第二の電圧指令値に対して、それぞれVSH分大きくなっている。なお、図10中、第一の実施形態における第二の電圧指令値に対する、本実施形態の第二の電圧指令値の変化分を斜線で明示している。
本実施形態においても、PWM制御部15は、以上のように求めた第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**に基づいてパルス幅変調(PWM)によりインバータ20の各スイッチング素子21,22毎のスイッチング信号を生成する。
図11に、本実施形態の第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**の波形と、三角波キャリア信号の波形と、電流検出回路25で検出された直流シャント電流IDCの波形を示す。なお、同図(a)では、電圧位相θvが90°〜120°の期間を示し、同図(b)では、電圧位相θvが120°〜150°の期間を示す。
PWM制御部15は、前述したように、三角波キャリア信号と第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**との交点のタイミングで、インバータ20の対応相用のスイッチング素子21,22にスイッチング信号を出力する。このため、三角波キャリア信号と第二の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**との交点を境として、直流シャント電流IDCがステップ的に変化する。
また、PWM制御部15は、三角波キャリア信号のゼロ電圧値のタイミングで、A/D変換部11にサンプリング信号を出力する。
ところで、図9(a)に示す電圧位相θvが90°〜120°の期間では、キャリア信号の前半周期では、インバータ20の中間相用のスイッチング素子21v,22vのオンオフが切り替わり、直流シャント電流IDCがステップ的に変化してから、サンプル・ホールド時間TSHが経過した後に、PWM制御部15からA/D変換部11へタイミング信号が出力され、このタイミングで、A/D変換部11が直流シャント電流IDCをサンプリングする。このため、サンプル・ホールド時間TSHが電流検出可能なパルス幅相当の時間以下でない限り、正確な相電流をサンプリングすることはできない。
一方、キャリア信号の後半周期では、PWM制御部15からA/D変換部11へタイミング信号が出力されてから、サンプル・ホールド時間TSHが経過した後に、インバータ20の中間相用のスイッチング素子21v,22vのオンオフが切り替わり、直流シャント電流IDCがステップ的に変化する。したがって、最大相電流のパルス幅が電流検出可能な最小パルス幅以上であれば、サンプリングされた電流値は有効な電流値となる。逆に、最大相電流のパルス幅が電流検出可能な最小パルス幅未満の場合には、原理的に、直流シャント電流IDCの検出自体が困難である。すなわち、キャリア信号の後半周期では、最大相電流のパルス幅が電流検出可能な最小パルス幅以上であれば、スイッチング素子21,22のスイッチング動作に起因するデッドタイムやリンギング等の影響を受けない、正確な相電流をサンプリングすることができる。
また、図9(b)に示す電圧位相θvが120°〜150°の期間では、キャリア信号の前半周期では、PWM制御部15からA/D変換部11へタイミング信号が出力されてから、サンプル・ホールド時間TSHが経過した後に、インバータ20の中間相用のスイッチング素子21v,22vのオンオフが切り替わり、直流シャント電流IDCがステップ的に変化する。したがって、最大相電流のパルス幅が電流検出可能な最小パルス幅以上であれば、サンプリングされた電流値は有効な電流値となる。したがって、キャリア信号の前半周期では、最大相電流のパルス幅が電流検出可能な最小パルス幅以上であれば、スイッチング素子21,22のスイッチング動作に起因するデッドタイムやリンギング等の影響を受けない、正確な相電流をサンプリングすることができる。
一方、キャリア信号の後半周期では、インバータ20の中間相用のスイッチング素子21v,22vのオンオフが切り替わり、直流シャント電流IDCがステップ的に変化してから、サンプル・ホールド時間TSHが経過した後に、PWM制御部15からA/D変換部11へタイミング信号が出力され、このタイミングで、A/D変換部11が直流シャント電流IDCをサンプリングする。このため、サンプル・ホールド時間TSHが電流検出可能なパルス幅相当の時間以下でない限り、正確な相電流をサンプリングすることはできない。
なお、第一の実施形態では、キャリア信号周期Tを基準にして、中間相用のスイッチング素子のオンオフが切り替わる周期がT/2であるのに対して、本実施形態では、中間相用のスイッチング素子のオンオフが切り替わりが、(T/2+2TSH)時間と(T/2−2TSH)時間が交互に繰り返される形で行われる。
dq軸電流生成部12は、第一の実施形態と同様に、A/D変換部11で、スイッチング素子21,22のオンオフが切り替わった直後の直流シャント電流と、スイッチング素子21,22のオンオフが切り替わる直前の直流シャント電流とのうち、スイッチング素子21,22のオンオフが切り替わる直前の直流シャント電流のみを採用して、d軸電流値Idc及びq軸電流値Iqcを生成している。
以上のように、本実施形態でも、第一の実施形態と同様に、簡便な固定タイミングで直流シャント電流をサンプリングしつつも、動的なタイミングで直流シャント電流をサンプリングする場合と同様に、モータ1の正確な相電流を取得することができる。さらに、本実施形態では、A/D変換部11のサンプル・ホールド時間TSHを考慮したサンプリングタイミングとなるため、第一の実施形態よりも、正確な相電流を検出する確率を高めることができ、運転範囲を広げることができる、言い換えると、本実施形態は、第一の実施形態と比較して、A/D変換部11のサンプル・ホールド時間TSHが長い場合に有効である。
「三相交流モータの駆動制御装置の適用例」
図12及び図13を用いて、本発明に係る三相交流モータの駆動制御装置の具体的な適用例について説明する。
第一の適用例は、図12に示すように、エアーコンディショナーの各種モータに適用したものである。
エアーコンディショナー200は、室外機210と室内機250とを備えている。室外機210は、冷媒を圧縮するモータ付き圧縮機211と、冷媒の熱交換を行う熱交換器212と、熱交換器212に送風するモータ付きファン213と、圧縮機212のモータを駆動制御する駆動制御装置100aと、ファン213のモータを駆動制御する駆動制御装置(図示されていない)と、を備えている。室内機250は、送風ファン251と、この送風ファン251を駆動するモータ1bと、このモータ1bを駆動制御する駆動制御装置100bと、を備えている。室外機210と室内器250とは、冷媒配管260で接続されている。以上の各モータは、いずれも、三相交流モータであり、これらのモータは、いずれも、以上で説明した駆動制御装置と同じ構成の駆動制御装置により駆動制御される。
本適用例では、以上で説明した駆動制御装置と同じ構成の駆動制御装置100a,100bを用いているため、各モータの運転範囲を広げることができる。この結果、各運転範囲で細かな調整が可能になり、快適性と省エネを実現することができる。
なお、室内機250の送風ファン251には、集塵フィルタが搭載されていてもよい。また、この送風ファン251は、ここでは、軸流ファンであるが、シロッコファン(多翼ファン)や他のファンであってもよい。
第二の適用例は、図13に示すように、油圧システム300のモータに適用したものである。
油圧システム300は、油圧回路を切替えるソレノイドバルブ312と、ソレノイドバルブ312による油圧回路の切替に応じて動作するシリンダ311と、油圧を設定値以下に保つためのリリーフバルブ313と、油を溜める油タンク314と、油圧を発生させる油圧ポンプ302と、このポンプ302を駆動させる三相交流モータ1cと、この三相交流モータ1cを駆動制御する駆動制御装置100cと、を備えている。この油圧システム300では、ソレノイドバルブ312により油圧回路が切り替わることで、油圧ポンプ302に対する負荷が急激に変化し、モータ1cの負荷外乱となる。
本適用例でも、モータの運転範囲を広げることができるため、以上のような負荷外乱が各種運転条件のときにあったとしても、優れた応答性を実現することができる。このため、本適用例では、高効率な運転を行うことができる。
本発明に係る第一の実施形態における三相交流モータの駆動制御装置の構成図である。 本発明に係る第一の実施形態における三相交流モータ及びその駆動制御装置の斜視図である。 本発明に係る第一の実施形態における第一の電圧指令値を示すグラフである。 本発明に係る第一の実施形態における第二の電圧指令値を示すグラフである。 本発明に係る第一の実施形態における第二の電圧指令値と三角波キャリア信号と、これらで定まる電流サンプリングタイミングを示す説明図である。 本発明に係る第一の実施形態におけるインバータの動作を示す説明図である。 本発明に係る第一の実施形態における位相θp1と電流検出率Kとの関係を示す説明図である。 本発明に係る第一の実施形態における位相θp0と電流検出率K0との関係を示す説明図である。 変調率に対する電流検出率K及び電流検出率Kの関係を示すグラフである。 本発明に係る第二の実施形態における第二の電圧指令及び調整量を示すグラフである。 本発明に係る第二の実施形態における第二の電圧指令値と三角波キャリア信号と、これらで定まる電流サンプリングタイミングを示す説明図である。 本発明に係る駆動制御装置を搭載したエアコンディショナーの構成を示す構成図である。 本発明に係る駆動制御装置を搭載した油圧システムの構成を示す構成図である。
符号の説明
1…三相交流モータ、2…交流電源、10…制御ユニット、11…A/D変換部、12…dq軸電流生成部、13…電圧指令生成部、14…電圧変調部、15…PWM制御部、20…インバータ、21u,21v,21w,22u,22v,22w…スイッチング素子、23…シャント抵抗、25…電流検出回路、30…AC/DC変換器、100…駆動制御装置、200…エアーコンディショナー、300…油圧システム

Claims (6)

  1. 直流電源から三相交流モータの各相に供給する電力を調整するための複数のスイッチング素子を備えているインバータに対して、該直流電源と該複数のスイッチング素子との間に接続されたシャント抵抗に流れる電流値に応じて該複数のスイッチング素子のそれぞれのオンオフを示すスイッチング信号を出力する三相交流モータの制御装置において、
    前記シャント抵抗に流れる前記電流値を用いて、前記三相交流モータの各相の第一の電圧指令値を生成する電圧指令値生成手段と、
    前記各相の第一の電圧指令値に、所定の調整量を加算した各相の第二の電圧指令値を生成する指令値変換手段と、
    電圧を振幅とするキャリア信号と前記各相の第二の電圧指令値との交点のタイミングで、前記複数のスイッチング素子に対して、前記スイッチング信号を出力するスイッチング信号発生手段と、
    前記キャリア信号が示す電圧値が該キャリア信号の中間レベルになるタイミングで、前記シャント抵抗に流れる電流値をサンプリングする電流値サンプリング手段と、
    を備え、
    前記電圧指令値生成手段は、前記電流値サンプリング手段によりサンプリングされた前記電流値を用いて、前記三相交流モータの前記各相の第一の電圧指令値を生成し、
    前記指令値変換手段は、
    前記所定の調整量として、
    前記各相の第一の電圧指令値のうちで中間電圧の中間相指令値と前記キャリア信号の中間レベルとの差の値を用いる、
    又は、前記中間相指令値と前記キャリア信号の中間レベルとの差に、前記電流サンプリング手段でのサンプルホールド時間に対応する電圧値を、該中間相指令値が正のときには加算した値、該中間相指令値が負のときには減算した値を用いる、
    ことを特徴とする三相交流モータの制御装置。
  2. 請求項1に記載の三相交流モータの制御装置において、
    前記電圧指令値生成手段は、
    前記各相の第一の電圧指令値の最大電圧値が、前記インバータに供給される電力の最大電圧の2/3以上であるか否かを判断し、
    2/3以上である場合には、該各相の第一の電圧指令値を前記スイッチング信号発生手段に渡して、該スイッチング信号発生手段により、前記キャリア信号と該各相の第一の電圧指令値との交点で、前記複数のスイッチング素子に対して、スイッチング信号を出力させ、
    2/3未満である場合には、該各相の第一の電圧指令値を前記指令値変換手段に渡し、該指令値変換手段で前記各相の第二の電圧指令値を作成させ、前記スイッチング信号発生手段により、前記キャリア信号と該各相の第二の電圧指令値との交点で、前記複数のスイッチング素子に対して、スイッチング信号を出力させる、
    ことを特徴とする三相交流モータの制御装置。
  3. 直流電源から三相交流モータの各相に供給する電力を調整するための複数のスイッチング素子を備えているインバータに対して、該直流電源と該複数のスイッチング素子との間に接続されたシャント抵抗に流れる電流値に応じて該複数のスイッチング素子のそれぞれのオンオフを示すスイッチング信号を出力する三相交流モータの制御装置において、
    前記シャント抵抗に流れる前記電流値を用いて、前記三相交流モータの各相の電圧指令値を生成する電圧指令値生成手段と、
    電圧を振幅とするキャリア信号と前記各相の電圧指令値との交点のタイミングで、前記複数のスイッチング素子に対して、前記スイッチング信号を出力するスイッチング信号発生手段と、
    前記キャリア信号が示す電圧値が該キャリア信号の中間レベルになるタイミングで、前記シャント抵抗に流れる電流値をサンプリングする電流値サンプリング手段と、
    を備え、
    前記電圧指令値生成手段は、前記電流値サンプリング手段によりサンプリングされた前記電流値を用いて、前記三相交流モータの各相の電圧指令値を生成し、
    前記電圧指令値生成手段は、
    前記各相の電圧指令値のうちで中間電圧の中間指令値として、
    前記キャリア信号に同期し、該キャリア信号の半周期の周期で、前記スイッチング信号発生手段が前記スイッチング信号を出力させ得る電圧指令値を作成する、
    又は、前記キャリア信号の半周期の周期に、前記電流サンプリング手段でのサンプルホールド時間の2倍の時間を加算した第一の時間と、該キャリア信号の半周期の周期に、該サンプルホールド時間の2倍の時間を減算した第二の時間とが、前記キャリア信号に同期して、交互に繰り返され、各第一の時間の終わり及び各第二の時間の終わりに、前記スイッチング信号発生手段が前記スイッチング信号を出力させ得る電圧指令値を作成する、
    ことを特徴とする三相交流モータの制御装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の三相交流モータの制御装置と、
    前記インバータとしてのインバータICと、
    前記シャント抵抗と、
    前記シャント抵抗に流れる電流値を検出し、検出した電流値を前記電流値サンプリング手段に渡す電流検出回路と、
    前記制御装置、前記インバータIC、前記シャント抵抗及び前記電流検出回路を搭載する基板と、
    を備えていることを特徴とする三相交流モータの駆動制御装置。
  5. 請求項4に記載の三相交流モータの駆動制御装置と、
    前記駆動制御装置により駆動制御される前記三相交流モータと、
    前記三相交流モータの駆動で駆動する流体機械と、
    を備えていることを特徴とする流体処理システム。
  6. 直流電源から三相交流モータの各相に供給する電力を調整するための複数のスイッチング素子を備えているインバータに対して、該直流電源と該複数のスイッチング素子との間に接続されたシャント抵抗に流れる電流値に応じて該複数のスイッチング素子のそれぞれのオンオフを示すスイッチング信号を出力する三相交流モータの制御方法において、
    前記シャント抵抗に流れる前記電流値を用いて、前記三相交流モータの各相の第一の電圧指令値を生成する電圧指令値生成ステップと、
    前記各相の第一の電圧指令値に、所定の調整量を加算した各相の第二の電圧指令値を生成する指令値変換ステップと、
    電圧を振幅とするキャリア信号と前記各相の第二の電圧指令値との交点のタイミングで、前記複数のスイッチング素子に対して、前記スイッチング信号を出力するスイッチング信号発生ステップと、
    前記キャリア信号が示す電圧値が該キャリア信号の中間レベルになるタイミングで、前記シャント抵抗に流れる電流値をサンプリングする電流値サンプリングステップと、
    を実行し、
    前記電圧指令値生成ステップでは、前記電流値サンプリングステップでサンプリングされた前記電流値を用いて、前記三相交流モータの各相の第一の電圧指令値を生成し、
    前記指令値変換ステップでは、
    前記所定の調整量として、
    前記各相毎の第一の電圧指令値のうちで中間電圧の中間相指令値と前記キャリア信号の中間レベルとの差の値を用いる、
    又は、前記中間相指令値と前記キャリア信号の中間レベルとの差に、前記電流サンプリング手段でのサンプルホールド時間に対応する電圧値を、該中間相指令値が正のときには加算した値、該中間相指令値が負のときには減算した値を用いる、
    ことを特徴とする三相交流モータの制御方法。
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