JP5321007B2 - 樹脂水分散体の製造システム、樹脂水分散体の製造方法および静電荷像現像用トナー - Google Patents

樹脂水分散体の製造システム、樹脂水分散体の製造方法および静電荷像現像用トナー Download PDF

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Description

本発明は、樹脂水分散体の製造システム、樹脂水分散体の製造方法および静電荷像現像用トナーに関する。
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電、露光工程により像保持体上に静電潜像を形成し(潜像形成工程)、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と呼ぶ場合がある。)を含む静電荷像現像用現像剤(以下、単に「現像剤」と呼ぶ場合がある。)で静電潜像を現像し(現像工程)、転写工程、定着工程を経て可視化される。ここで用いられる現像剤には、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤と、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とが知られている。
そのトナーの製法としては、通常、熱可塑性樹脂などの結着樹脂を顔料などの着色剤、帯電制御剤、ワックスなどの離型剤とともに溶融混練し、冷却後、粉砕し、さらに分級する混練粉砕法が利用されている。これらのトナーには、必要に応じて、流動性やクリーニング性を改善するための無機、有機の粒子をトナー粒子表面に添加することがある。これらの方法はかなり優れたトナーを製造しうるが、トナー形状が不定形であること、微粉が発生しやすいこと、離型剤が表面露出しやすいことなどにより、現像器中でのストレス等による現像性の低下や画質劣化、他部材への汚染などの問題を生じることがある。
近年、トナーの形状および表面構造などの制御を意図的に行うことが可能な手段として、乳化重合凝集法などの湿式製法によるトナーの製造方法が提案されている。乳化重合凝集法は、一般に乳化重合などにより樹脂粒子分散液を作製し、一方、溶媒に着色剤を分散した着色剤分散液を作製した後、これらを混合し、トナー粒径に相当する凝集粒子を形成し、加熱することによって融合・合一させてトナーとする製造方法である。
このような樹脂粒子分散液などの樹脂水分散体の製造方法として、例えば、特許文献1には、分子中に極性基を有するポリエステル樹脂を、有機溶剤と水からなる混合溶液に溶解した後、さらに水を添加することにより、転相、自己乳化させる方法が記載されている。
樹脂水分散体は、上記トナーの他にも、例えば、塗料、インキ、接着剤、コーティング剤等の分野においても用いられる。
特開2006−290963号公報
本発明は、廃棄物の発生量を低減することができる樹脂水分散体の製造システムおよび樹脂水分散体の製造方法である。
また、本発明は、その樹脂水分散体の製造システムおよび樹脂水分散体の製造方法により製造した樹脂水分散体を用いて得られる静電荷像現像用トナーである。
本発明は、樹脂、水および有機溶剤を含む樹脂水分散体を収容する分散体槽と、前記樹脂水分散体から、前記水および前記有機溶剤のうち少なくとも一部を回収する回収手段と、前記回収された水および有機溶剤のうち少なくとも1つを含む回収液の導電率を測定する導電率測定手段と、前記回収液を分別する分別手段と、前記分別された分別液の重量を測定する重量測定手段と、前記測定された導電率および重量に応じて、前記分別手段を制御する制御手段と、前記分別液のうち、水を主成分とする分別液を、樹脂水分散体の製造時の添加水として供給する供給手段と、を有する樹脂水分散体の製造システムである。
また、本発明は、樹脂、水および有機溶剤を含む樹脂水分散体から、前記水および前記有機溶剤のうち少なくとも一部を回収する回収工程と、前記回収した水および有機溶剤のうち少なくとも1つを含む回収液を、その重量および導電率の値に応じて分別する分別工程と、を含み、前記分別した分別液のうち、水を主成分とする分別液を、樹脂水分散体の製造時の添加水として使用する樹脂水分散体の製造方法である。
また、本発明は、極性基を有する樹脂を、有機溶剤に溶解する溶解工程と、前記溶解した溶解溶液を塩基性物質により中和する中和工程と、水を添加することにより、前記中和した中和溶液を転相させる転相工程と、前記転相させた樹脂水分散体から、前記水および前記有機溶剤のうち少なくとも一部を回収する回収工程と、前記回収した水および有機溶剤のうち少なくとも1つを含む回収液を、その重量および導電率の値に応じて分別する分別工程と、を含み、前記分別した分別液のうち、水を主成分とする分別液を、前記転相工程における水として使用する樹脂水分散体の製造方法である。
さらに、本発明は、前記樹脂水分散体の製造システムにより製造した樹脂水分散体を用いて製造する静電荷像現像用トナーである。
本発明の請求項1によれば、本構成を有さない場合に比較して、廃棄物の発生量を低減することが可能な樹脂水分散体の製造システムを提供することができる。
本発明の請求項2によれば、本構成を有さない場合に比較して、廃棄物の発生量を低減することが可能な樹脂水分散体の製造方法を提供することができる。
本発明の請求項3によれば、本構成を有さない場合に比較して、廃棄物の発生量を低減することが可能な樹脂水分散体の製造方法を提供することができる。
本発明の請求項4によれば、前記樹脂水分散体の製造システム以外の製造システムで製造した場合に比較して、濃度再現性が良好な静電荷像現像用トナーを提供することができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る樹脂水分散体の製造システムの一例の概略構成を図1に示し、その構成について説明する。樹脂水分散体の製造システム1は、分散体槽10と、導電率測定手段である導電率計12と、重量測定手段である重量測定器14,16をそれぞれ備える回収槽22,24と、分別手段であるバルブ18,20と、制御手段である制御部25と、供給手段であるポンプ30とを備える。
図1の製造システム1において、分散体槽10には、撹拌羽根などを有する撹拌装置26が設置され、塩基性物質供給ライン32と、水供給ライン34と、樹脂供給ライン36と、溶剤供給ライン38とが接続されている。分散体槽10の上部は、凝縮器28を介して溶媒排出ライン40、および溶媒排出ライン40から分岐し、バルブ18を介した溶媒排出ライン42、バルブ20を介した溶媒排出ライン44により、それぞれ回収槽22,24と接続されている。溶媒排出ライン40の凝縮器28の後段側であり、かつ溶媒排出ライン42,44との分岐点の前段側には導電率計12が設置されている。回収槽22の出口は、分別液供給ライン46により、ポンプ30、バルブ50を介して水供給ライン34に接続されている。回収槽24の出口には、分別液排出ライン48が接続されている。また、導電率計12、バルブ18,20、重量測定器14,16は、制御部25と電気的な結線などにより接続されている。
本実施形態に係る樹脂水分散体の製造方法の一例および製造システム1の動作について説明する。
分散体槽10に、有機溶剤および樹脂が、溶剤供給ライン38および樹脂供給ライン36からそれぞれ供給され、撹拌装置26による撹拌混合が行われ、樹脂の少なくとも一部が溶解される(溶解工程)。そして、溶解された溶解溶液に、塩基性物質が塩基性物質供給ライン32から供給され、中和される(中和工程)。次に、中和された中和溶液に、水が水供給ライン34から徐々に供給され、乳化、転相、分散され(転相工程)、樹脂水分散体が得られる。
続いて、分散体槽10において、減圧および加熱のうち少なくとも1つが行われることにより、水および有機溶剤のうち少なくとも一部が蒸発回収される(回収工程)。これにより、所望の固形分濃度の樹脂水分散体が得られる。その際、蒸発した有機溶剤含有水蒸気は、溶媒排出ライン40を通って排出され、凝縮器28により冷却されて、水および有機溶剤のうち少なくとも1つを含む回収液が得られる。回収液は、バルブ18,20の開閉による分別により、溶媒排出ライン42または溶媒排出ライン44を通って、回収槽22または24に分別されて回収される。溶媒排出ライン40において、凝縮器28により冷却されて回収された回収液の導電率が、導電率計12により測定される。また、回収槽22または24に分別されて回収された、それぞれの分別液の重量が、重量測定器14,16により測定される。
ここで、回収液の回収槽22および回収槽24への分別は、重量測定器14,16により測定された回収液の重量と、導電率計12により測定された回収液の導電率の値とに基づいて行われる。回収液の回収槽22および回収槽24への分別は、例えば、重量測定器14,16からの信号および導電率計12からの信号に基づき、制御部25によるバルブ18,20の切り替えにより行われる。
樹脂および有機溶剤の混合溶解系への水の添加により、乳化、転相、分散させることで樹脂水分散体を製造する場合、スケールが大きくなるほど、乳化時に添加する水の混合が困難となり、良好な粒度分布を有する樹脂水分散体が得られにくい。また、樹脂水分散体に有機溶剤が多く残っていると、樹脂水分散体の保存安定性が悪くなる傾向があるために、有機溶剤を除去することが望ましい。しかし、除去、回収した有機溶剤と水の回収液は産業廃棄物であり、大スケールになるほど大量に発生することがあった。
除去した有機溶剤と水の回収液を、樹脂水分散体の製造時の添加水として再利用することが考えられるが、仕込み組成の変化があるために、その重量の把握だけでは再利用する添加水として適する組成であるかどうかを判断するには不十分であった。そこで、本発明者らは、回収水中の有機溶剤や塩基性物質の組成把握のために、回収液の導電率を測定することで、添加水としての再利用が可能かどうかの判断をすることができることを見出した。回収液の重量だけで添加水としての再利用が可能かどうかを判断した場合、回収液に含有される有機溶剤の量が多すぎた場合には、乳化、転相、分散における組成バランスを崩してしまい、所望の粒度分布を獲得することができない。
例えば、用いた有機溶剤の沸点が水よりも低い場合には、減圧および加熱のうち少なくとも1つによる回収において、通常、先に留出する留分は、有機溶剤の含有量が多く、あとの留分になるほど水の含有量が多くなる。一般に、有機溶剤の方が水より導電率が低いため、導電率計12により導電率を測定し、その測定値が、樹脂水分散体の作製に用いた有機溶剤および水の量や組成に応じてあらかじめ設定した基準導電率値と回収重量に到達するまで、先に留出する留分については、バルブ18を閉状態、バルブ20を開状態とし、回収槽24へ分別回収する。あらかじめ設定した基準導電率値と回収重量を超えたら、バルブ18を開状態、バルブ20を閉状態とし、回収槽22へ分別回収する。また、このとき、樹脂水分散体の作製に用いた有機溶剤および水の量や組成があらかじめわかっているので、回収槽22へ分別回収した分別液の重量を、重量測定器14により測定し、その測定値を考慮して回収する。
これにより、樹脂水分散体の製造時に再利用する添加水として適する組成の、水を主成分とする分別液を得ることができる。回収槽22に分別回収された、水を主成分とする分別液は、ポンプ30により、分別液供給ライン46を通って、バルブ50を介して水供給ライン34を通って、転相工程における、乳化、転相、分散時の添加水として再利用される。したがって、廃棄物の発生量を低減することができる。一方、回収槽24に分別回収された、樹脂水分散体の製造時に再利用する添加水として適さない組成の分別液は、分別液排出ライン48を通って系外へ排出される。
また、このようにして回収し、再利用する分別液は、有機溶剤や塩基性物質をわずかに含むため、純水を添加水として使用した場合に比べて、乳化中の液との親和性が向上し、混合が早くなる傾向にある。分別液の溶剤や塩基性物質の含有量が多いと、転相における組成バランスが崩れてしまい、樹脂の所望の粒度分布が得られない。
再利用する分別液における、残存有機溶剤の量は、0.1重量%以上5.0重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上3.0重量%以下であることがより好ましい。残存有機溶剤の量が5.0重量%よりも多い場合や、0.1重量%未満の場合には、いずれも良好な乳化、転相、分散ができずに、濃度の高い部分を再利用できないことになり、廃棄物の発生量を低減することができない場合がある。
再利用する分別液における、残存塩基性物質の量は、0.005重量%以上0.5重量%以下であることが好ましく、0.01重量%以上0.2重量%以下であることがより好ましい。残存塩基性物質の量が0.5重量%よりも多い場合や、0.005重量%未満の場合には、良好な乳化、転相、分散ができずに、廃棄物の発生量を低減することができない場合がある。
また、有機溶剤を主成分とする分別液は、廃棄処分されてもよいし、溶解工程における樹脂の溶解などに再利用してもよい。溶解工程における樹脂の溶解に再利用する分別液における、残存水量は、70重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがより好ましい。残存水量が70重量%よりも多いと、樹脂の溶解や分散が不十分になる場合がある。
本実施形態では、回収槽を2つ設けて、回収液の重量と導電率の値に基づいて、回収液を2つの分別水に分別しているが、回収槽を3つ以上設けて、回収液の重量と導電率の値に基づいて、回収液を3つ以上の分別水に分別してもよい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられるが、トナーの定着特性などの点からポリエステル樹脂について、本実施形態に係る製造システムおよび製造方法を好ましく用いることができる。
ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分と、アルコール(ジオール)成分とから合成されるものである。以下、酸(ジカルボン酸)成分と、アルコール(ジオール)成分について、さらに詳しく説明する。なお、ポリエステルの主鎖に対して、他成分を50重量%以下の割合で共重合した共重合体もポリエステル樹脂とする。
上記酸(ジカルボン酸)成分としては、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、特に直鎖型のジカルボン酸が好ましい。例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,10−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、あるいはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
酸(ジカルボン酸)成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸成分のほか、二重結合を持つジカルボン酸成分、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分等の構成成分が含まれていてもよい。なお、前記二重結合を持つジカルボン酸成分には、二重結合を持つジカルボン酸に由来する構成成分のほか、二重結合を持つジカルボン酸の低級アルキルエステルまたは酸無水物等に由来する構成成分も含まれる。また、前記スルホン酸基を持つジカルボン酸成分には、スルホン酸基を持つジカルボン酸に由来する構成成分のほか、スルホン酸基を持つジカルボン酸の低級アルキルエステルまたは酸無水物等に由来する構成成分も含まれる。
二重結合を持つジカルボン酸は、その二重結合を利用して樹脂全体を架橋させ得る点で、トナーに用いた場合、トナー定着時のホットオフセットを防ぐために好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストなどの点で、フマル酸、マレイン酸等が好ましい。
スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の着色剤の分散を良好にできるなどの点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化あるいは懸濁して、粒子を作製する際にスルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで乳化あるいは懸濁が可能である。このようなスルホン酸基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるがこれらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストなどの点で、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。
これらの脂肪族ジカルボン酸成分以外の酸(ジカルボン酸)成分(二重結合を持つジカルボン酸成分および/またはスルホン酸基を持つジカルボン酸成分)の、酸(ジカルボン酸)成分における含有量としては、1構成モル%以上20構成モル%以下が好ましく、2構成モル%以上10構成モル%以下がより好ましい。
前記含有量が、1構成モル%未満の場合には、トナーに用いた場合、トナー中の顔料の分散性がよくない場合がある。また、乳化重合凝集法を利用してトナーを作製する場合に、分散液中の乳化粒子径が大きくなり、凝集によるトナー径の調整が困難となる場合がある。
一方、20構成モル%を超えると、融点が降下して、トナーに用いた場合、トナーの保存性が悪くなる場合がある。また、乳化重合凝集法を利用してトナーを作製する場合に、分散液中の乳化粒子径が小さ過ぎて、ラテックスが十分な大きさにならず、トナー作製時に粒度の制御が困難になる場合がある。なお、本明細書において「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における各構成成分(酸(ジカルボン酸)成分、アルコール(ジオール)成分)を1単位(モル)したときの百分率を指す。
一方、前記アルコール(ジオール)成分としては脂肪族ジオールが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられるが、この限りではない。
アルコール(ジオール)成分は、脂肪族ジオール成分の含有量が80構成モル%以上であることが好ましく、必要に応じてその他の成分を含む。アルコール(ジオール)成分としては、脂肪族ジオール成分の含有量が90構成モル%以上であることがより好ましい。
前記含有量が、80構成モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下するため、トナーに用いた場合、耐トナーブロッキング性、トナー保存性および低温定着性が悪化してしまう場合がある。
一方、必要に応じて含まれるその他の成分としては、二重結合を持つジオール成分、スルホン酸基を持つジオール成分等の構成成分が挙げられる。
前記二重結合を持つジオールとしては、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジオール、4−ブテン−1,8−ジオール等が挙げられる。一方、前記スルホン酸基を持つジオールとしては、1,4−ジヒドロキシ−2−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、1,3−ジヒドロキシメチル−5−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、2−スルホ−1,4−ブタンジオールナトリウム塩等が挙げられる。
これらの直鎖型脂肪族ジオール成分以外のアルコール(ジオール)成分を加える場合、(二重結合を持つジオール成分、および/または、スルホン酸基を持つジオール成分)の、アルコール(ジオール)成分における含有量としては、1構成モル%以上20構成モル%以下が好ましく、2構成モル%以上10構成モル%以下がより好ましい。前記含有量が、1構成モル%未満の場合には、顔料分散が不良となったり、乳化粒子径が大きくなり、トナーに用いた場合、凝集によるトナー径の調整が困難となる場合がある。一方、20構成モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、トナーに用いた場合、トナーの保存性が悪くなる場合がある。
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては特に制限はなくカルボン酸成分とアルコール成分を反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、モノマの種類によって使い分けて製造する。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、通常1/1程度である。
結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180℃以上230℃以下の間で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。モノマが、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマが存在する場合はあらかじめ相溶性の悪いモノマと、そのモノマと重縮合予定のカルボン酸成分またはアルコール成分とを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
結晶性ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物、リン酸化合物、およびアミン化合物等が挙げられ、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
例えば、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
また、前記結晶性ポリエステル樹脂の融点、分子量等の調整の目的で上記の重合性単量体以外に、より短鎖のアルキル基、アルケニル基、芳香環等を有する化合物を使用することもできる。具体例としては、ジカルボン酸の場合、コハク酸、マロン酸、シュウ酸等のアルキルジカルボン酸類、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ホモフタル酸、4,4’−ジ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、ジピコリン酸、ジニコチン酸、キノリン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸等の含窒素芳香族ジカルボン酸類が挙げられ、ジオール類の場合、コハク酸、マロン酸、アセトンジカルボン酸、ジグリコール酸等の短鎖アルキルのジオール類が挙げられる。これらの重合性単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ポリエステル樹脂末端の極性基を封鎖し、トナーに用いた場合にトナー帯電特性の環境安定性を改善する目的において単官能単量体が結晶性ポリエステル樹脂に導入される場合がある。
単官能単量体としては、安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、スルホ安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ安息香酸モノナトリウム塩、シクロヘキシルアミノカルボニル安息香酸、n−ドデシルアミノカルボニル安息香酸、tert−ブチル安息香酸、ナフトエ酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、サリチル酸、チオサリチル酸、フェニル酢酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、オクタンカルボン酸、ラウリル酸、ステアリル酸、およびこれらの低級アルキルエステル等のモノカルボン酸類;または脂肪族アルコール、芳香族アルコール、脂環族アルコール等のモノアルコール;などを用いることができる。
ポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂であってもよいし、非晶性ポリエステル樹脂であってもよい。
本実施形態において、「結晶性樹脂」の「結晶性」とは、樹脂の示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指す。具体的には、自動接線処理システムを備えた島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、10℃/minの昇温速度で昇温したときのオンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃以内であるときに「明確な」吸熱ピークであるとする。また、トナーに用いる場合、シャープメルト性などの観点から、前記オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度は、10℃以内であることが好ましく、6℃以内であることがより好ましい。DSC曲線におけるベースラインの平坦部の任意の点およびベースラインからの立ち下がり部の平坦部の任意の点を指定し、その両点間の平坦部の接線の交点が「オンセット点」として自動接線処理システムにより自動的に求められる。また、吸熱ピークは、トナーとしたときに、40℃以上50℃以下の幅を有するピークを示す場合がある。
また、結着樹脂として用いる「非晶性樹脂」とは、樹脂の示差走査熱量測定(DSC)において、オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃を超えるとき、あるいは明確な吸熱ピークが認められない樹脂であることを指す。具体的には、自動接線処理システムを備えた島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、10℃/minの昇温速度で昇温したときのオンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃を超えるとき、あるいは明確な吸熱ピークが認められないときに「非晶性」であるとする。また、前記オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度は、12℃を超えることが好ましく、明確な吸熱ピークが認められないことがより好ましい。DSC曲線における「オンセット点」の求め方は上記「結晶性樹脂」の場合と同様である。
結晶性ポリエステル樹脂の融点の範囲は、45℃以上110℃以下の範囲であることが好ましく、50℃以上100℃以下の範囲であることがより好ましく、55℃以上90℃以下の範囲がさらに好ましい。融点が45℃よりも低いと、トナーに用いた場合、トナーの保存が困難となる場合があり、一方、110℃よりも高いと、トナーに用いた場合、低温定着性の効果を享受することができない場合がある。結晶性ポリエステル樹脂の融点は、ASTMD3418−8に準拠した方法で求める。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)の範囲は、50℃以上80℃以下の範囲が好ましく、55℃以上65℃以下の範囲がより好ましい。ガラス転移温度(Tg)が50℃よりも低いと、トナーに用いた場合、トナーの保存が困難となる場合があり、80℃よりも高いと、トナーに用いた場合、低温定着性の効果を享受することができない場合がある。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は8,000以上30,000以下の範囲であることが好ましいが、トナーに用いる場合、低温定着性と機械強度などの観点から、重量平均分子量(Mw)は8,000以上16,000以下の範囲であることがより好ましい。
有機溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系有機溶剤、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、ジオキソラン等の環状エーテル系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール、2−エチルヘキサノール等のアルコール系有機溶剤などを使用することができる。その他、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、n−メチルピロリドン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、メチルエチルケトンなどのケトン系有機溶剤および酢酸エチルなどのエステル系有機溶剤のうちの少なくとも1種類と、イソプロピルアルコールなどのアルコール系有機溶剤との混合有機溶剤を用いることが、系内の溶解性を適度に調整でき、水分散体の粒度分布がより制御しやすいなどの点から好ましい。
溶解工程において、樹脂を溶解するにあたって、有機溶剤の量は、樹脂の重量に対して、10重量%以上200重量%以下の範囲であることが好ましく、30重量%以上150重量%以下の範囲であることがより好ましい。10重量%未満の場合や、200重量%を超える場合には、乳化、転相、分散ができない場合がある。溶解工程において、水を例えば、樹脂に対して1重量%以上100重量%以下の範囲で混合してもよい。
中和工程において、pHを、例えば、7以上9以下の範囲に中和すればよい。
塩基性物質としては、例えば、アンモニア水、トリエチルアミンなどを用いることができる。
転相工程において、添加する水の量は、樹脂の重量に対して、50重量%以上2,000重量%以下の範囲であることが好ましく、100重量%以上1,000重量%以下の範囲であることがより好ましい。50重量%未満であると、乳化、転相、分散ができない場合があり、2,000重量%を超えると、廃棄物の発生量を低減することができない場合がある。
水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水などの水を用いることができる。
回収工程において、減圧は図示しない減圧手段により行われ、加熱は図示しない加熱手段により行われる。本実施形態において、減圧手段および加熱手段のうち少なくとも1つと、凝縮器28とが回収手段として機能している。
減圧手段としては、例えば、真空ポンプなどを用いることができる。
加熱手段としては、例えば、ヒータ、蒸気などを用いることができる。
減圧度、加熱温度は、用いる有機溶剤の種類などに応じて、適宜設定すればよい。
得られる樹脂水分散体の固形分濃度は、例えば、10重量%以上50重量%以下の範囲が好ましい。
得られる樹脂水分散体における樹脂の体積平均粒径は、例えば、0.05μm以上0.5μm以下の範囲が好ましい。
本実施形態に係る樹脂水分散体の製造システムを用いて、乳化、転相、分散を実施すると、製造スケールにおいても極めて容易に行うことができる。また、得られた乳化液は粒度分布が狭く、良好な保存安定性を有するものとすることが可能である。また従来必要であった、有機溶剤含有液の廃棄処理量を低減することができる。乳化時における添加水として適した組成の分別液を回収、再利用することができ、大スケールにおいても廃棄物発生量の極力少ない条件で、保存安定性が良好な、粒度分布の狭い所望の粒径の樹脂水分散体を得ることができる。
本発明の実施形態に係る樹脂水分散体の製造システムの他の例の概略構成を図2に示す。樹脂水分散体の製造システム3は、図1の構成に加えて、さらに回収槽52,54を備える。
図2の製造システム3において、回収槽22の出口は、分別液供給ライン56により、回収槽52に接続され、回収槽52は、分別液供給ライン58により、ポンプ30、バルブ50を介して水供給ライン34に接続されている。回収槽24の出口は、分別液排出ライン48により、回収槽54に接続され、回収槽54には分別液排出ライン60が接続されている。
図1の製造システム1と同様にして得られた回収液は、バルブ18,20の開閉による分別により、溶媒排出ライン42または溶媒排出ライン44を通って、回収槽22または24に分別されて回収される。回収槽22または24に回収された分別液は、さらに、回収槽52または回収槽54に送液される。ここで、回収槽52または回収槽54は、例えば、回収槽22または回収槽24に比べて大きな容量を有し、複数のバッチ分の回収液を貯蔵することができ、バッチ間で回収液の組成に変動があっても、回収液の組成が平均化されるため、樹脂水分散体の仕込みへ安定した組成で再利用することができる。また、廃棄物の発生量をさらに低減することができる。
図1の製造システム1と同様にして、回収液の回収槽22および回収槽24への分別は、重量測定器14,16により測定された回収液の重量と、導電率計12により測定された回収液の導電率の値に基づいて行われる。これにより、樹脂水分散体の製造時に再利用する添加水として適する組成の、水を主成分とする分別液を得ることができる。回収槽52に分別回収された、水を主成分とする分別液は、ポンプ30により、分別液供給ライン58を通って、バルブ50を介して水供給ライン34を通って、転相工程における、乳化、転相、分散時の添加水として再利用される。一方、回収槽54に分別回収された、樹脂水分散体の製造時に再利用する添加水として適さない組成の分別液は、分別液排出ライン60を通って系外へ排出される。
本実施形態に係る樹脂水分散体の製造システムおよび樹脂水分散体の製造方法により製造される樹脂水分散体は、例えば、乳化重合凝集法などの湿式製法における樹脂粒子分散液などとして使用して、トナーの製造に用いることができる。これにより、濃度再現性が良好なトナーを得ることができる。また、トナーの製造以外にも、例えば、塗料、インキ、接着剤、コーティング剤等の分野においても用いることができる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(着色剤分散液の調製)
シアン顔料(大日精化社製、ECB−301)20重量部、アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンSC(有効成分として着色剤に対して10重量%))2重量部、およびイオン交換水78重量部を混合し、ホモジナイザ(大平洋機工株式会社製、キャビトロン)を用いて分散した後、続けて高圧衝撃式分散機アルティマイザ(スギノマシン社製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで分散した。分散は25パス相当行った。その後、イオン交換水を加えて、固形分濃度を25重量%に調整した。得られた着色剤分散液の体積平均粒径を測定したところ、0.14μmであった。
(離型剤分散液の調製)
カルナバワックス(融点:81℃)40重量部、アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンSC)2重量部、イオン交換水58重量部を、撹拌機と温度調節機構とを具備した反応容器内で混合、加熱し、続けて圧力吐出型ゴーリンホモジナイザで分散処理し、その後、イオン交換水を加えて、固形分濃度を25重量%に調整した。得られた離型剤分散液の粒度分布を測定したところ、体積平均粒径は0.21μmであった。
(非晶性ポリエステル樹脂の調製)
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 60モル%
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 40モル%
テレフタル酸ジメチルエステル 65モル%
ドデセニルコハク酸 30モル%
トリメリット酸 5モル%
(上記において、アルコール成分および酸成分を各々100モル%とした。以下もこれに準ずる。)
撹拌装置、窒素導入管、温度センサ、精留塔を備えた反応容器に上記組成比のモノマを仕込み、1時間を要して温度を190℃まで上げ、反応系内がばらつきなく撹拌されていることを確認した後、ジブチル錫オキサイドの1.0重量%を投入した。さらに生成する水を留去しながら同温度から6時間を要して240℃まで温度を上げ、240℃でさらに2時間脱水縮合反応を継続し、ガラス転移点が58℃、酸価が15.0mKOH/g、重量平均分子量40,000、数平均分子量6,500である分岐状の非晶性ポリエステル樹脂を得た。
(実施例1)
<樹脂水分散体の調製>
図1に示す製造システムを使用した。分散体槽に、有機溶剤としてメチルエチルケトン30重量部、酢酸エチル120重量部、イソプロピルアルコール20重量部と、樹脂として上記のように調製した非晶性ポリエステル樹脂300重量部とを添加し、60℃で30分間撹拌し、樹脂を溶解した。得られた溶解溶液に、塩基性物質としてアンモニア水を添加して、pHを7.0±0.2に調整した。次に、中和溶液に、純水1,030重量部と、後述する添加水として回収した液170重量部を徐々に添加し、50℃で120分間撹拌し、乳化、転相、分散し、樹脂水分散体を得た。
続いて、分散体槽において、減圧(減圧度8kPa)および加熱(60℃)を行い、水および有機溶剤の一部を蒸発回収した。固形分濃度30重量%の樹脂水分散体を得た。蒸発した有機溶剤含有水蒸気を、凝縮器により冷却して、水および有機溶剤を含む回収液を得た。回収液の導電率および分別液の重量を測定しながら、導電率が100μS/cmまでで、かつ重量が500重量部を超えるまでを前段の槽に、前段の回収量と合わせた重量が700重量部になるまでを後段の槽に回収する条件で分別し、分別液を回収槽に得た。
これにより、樹脂水分散体の製造時に再利用する添加水として適する組成の、水を主成分とする分別液(有機溶剤の含有量1.5重量%、塩基性物質の含有量0.1重量%)を170重量部、再利用に適さない分別液を530重量部得た。分別回収した、水を主成分とする分別液は、乳化、転相、分散時の添加水として再利用した。結果を表1に示す。
<評価>
[粒度分布]
樹脂水分散体の粒度分布の評価を、レーザー回折式粒度分布測定機(LA−700、堀場製作所製)を用いて行った。
[保存安定性]
樹脂水分散体の保存安定性評価を、30℃、30日後の体積平均粒径の変化を比較して、以下の基準で行った。
○:30℃、30日後でも、体積平均粒径に変化がない、もしくはわずか(±10%)であった
△:30℃、30日後で、体積平均粒径が±10%以上変化した
×:30℃、30日後で、体積平均粒径が大きく変化し、分散状態にはなくなった
[廃棄物削減率]
廃棄物削減率は、回収液を再利用しないシステムでの再利用に適さない分別液の重量(Aとする)を100としたときの、回収液を再利用するシステムでの再利用に適さない分別液の重量(Bとする)の割合で示す。すなわち、
(廃棄物削減率)=(1−B/A)×100(%)
<トナーの調製>
得られた樹脂水分散体を用いて、以下の条件でトナーを製造した。
イオン交換水 250重量部
非晶性ポリエステル樹脂分散液 360重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、ネオゲンRK、20重量%)
2.8重量部
以上を、温度計、pH計、撹拌機、温度調節用ジャケットを具備した反応容器に入れ、温度30℃にて、30分間保持した。その後、着色剤分散液60重量部および離型剤分散液80重量部を投入し、5分間保持した。そのまま、1.0重量%硝酸水溶液を添加し、pHを3.0に調整した。ホモジナイザ(大平洋機工株式会社製、キャビトロン)で分散しながら、ポリ塩化アルミニウム0.4重量部を添加後、撹拌しながら、48℃まで昇温し、マルチサイザII(アパーチャ径:50μm、ベックマン−コールター社製)にて粒径を測定し、体積平均粒径が5.5μmとなったところで、非晶性ポリエステル樹脂分散液150重量部を投入した。投入後30分間保持した後、5重量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、90℃まで昇温し、90℃で3時間保持した後、冷却、ろ過、これをさらにイオン交換水にて再分散し、ろ過して、ろ液の電気伝導度が20μS/cm以下となるまで繰り返し洗浄を行った後、40℃のオーブン中で5時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100重量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)1.5重量部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル社製、T805)1.0重量部とを外添処理した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナーを得た。
トルエン14重量部にカーボンブラック0.2重量部を混合し、サンドミルで20分撹拌分散したカーボン分散液に、スチレン/メチルメタクリレート共重合体(共重合比:15/85)2重量部を混合撹拌したコート剤樹脂溶液と、フェライト粒子(体積平均粒径:50μm)をニーダーに投入し、撹拌しながら減圧し、乾燥させることによりキャリアを作製した。
このキャリア100重量部と、前記トナー8重量部とを混合し、現像剤を得た。
(実施例2)
図2に示す製造システムを使用した。実施例1の製造時に再利用する添加水として適する組成の、水を主成分とする分別液の10バッチ分を、さらに回収槽にまとめることで、その組成を安定化して再利用した以外は、実施例1と同様に実施した。なお、再利用に適さない分別液は517重量部であった。結果を表1に示す。
(比較例1)
同じスケールで回収液を再利用しないシステムで実施した以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。なお、再利用に適さない分別液は700重量部であった。
Figure 0005321007
実施例1では、比較例1に比べて、廃棄物の発生量が減少した。実施例2では、回収液の組成が安定したことで、廃棄物の発生量がさらに減少した。比較例1では、混合不良と思われる粒度分布の悪化が認められ、樹脂水分散体の保存安定性も実施例に比べて悪かった。また、比較例1では、溶剤含有液の廃棄物の量が多大であった。
本発明の実施形態に係る樹脂水分散体の製造システムの一例を示す概略構成図である。 本発明の実施形態に係る樹脂水分散体の製造システムの他の例を示す概略構成図である。
符号の説明
1,3 製造システム、10 分散体槽、12 導電率計、14,16 重量測定器、18,20,50 バルブ、22,24,52,54 回収槽、25 制御部、26 撹拌装置、28 凝縮器、30 ポンプ、32 塩基性物質供給ライン、34 水供給ライン、36 樹脂供給ライン、38 溶剤供給ライン、40,42,44 溶媒排出ライン、46,56,58 分別液供給ライン、48,60 分別液排出ライン。

Claims (4)

  1. 樹脂、水および有機溶剤を含む樹脂水分散体を収容する分散体槽と、
    前記樹脂水分散体から、前記水および前記有機溶剤のうち少なくとも一部を回収する回収手段と、
    前記回収された水および有機溶剤のうち少なくとも1つを含む回収液の導電率を測定する導電率測定手段と、
    前記回収液を分別する分別手段と、
    前記分別された分別液の重量を測定する重量測定手段と、
    前記測定された導電率および重量に応じて、前記分別手段を制御する制御手段と、
    前記分別液のうち、水を主成分とする分別液を、樹脂水分散体の製造時の添加水として供給する供給手段と、
    を有することを特徴とする樹脂水分散体の製造システム。
  2. 樹脂、水および有機溶剤を含む樹脂水分散体から、前記水および前記有機溶剤のうち少なくとも一部を回収する回収工程と、
    前記回収した水および有機溶剤のうち少なくとも1つを含む回収液を、その重量および導電率の値に応じて分別する分別工程と、
    を含み、
    前記分別した分別液のうち、水を主成分とする分別液を、樹脂水分散体の製造時の添加水として使用することを特徴とする樹脂水分散体の製造方法。
  3. 極性基を有する樹脂を、有機溶剤に溶解する溶解工程と、
    前記溶解した溶解溶液を塩基性物質により中和する中和工程と、
    水を添加することにより、前記中和した中和溶液を転相させる転相工程と、
    前記転相させた樹脂水分散体から、前記水および前記有機溶剤のうち少なくとも一部を回収する回収工程と、
    前記回収した水および有機溶剤のうち少なくとも1つを含む回収液を、その重量および導電率の値に応じて分別する分別工程と、
    を含み、
    前記分別した分別液のうち、水を主成分とする分別液を、前記転相工程における水として使用することを特徴とする樹脂水分散体の製造方法。
  4. 請求項1に記載の樹脂水分散体の製造システムにより製造した樹脂水分散体を用いて製造することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
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