JP5317466B2 - 医療器具用洗浄剤組成物 - Google Patents
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近年では医療機関の大小を問わず内視鏡を用いた検査や処置が増加している。しかし一方で、内視鏡は非常に高価なものであり、多くの医療機関では使用に余裕のある十分な本数を確保しておくことが困難なため、1本の内視鏡を1日のうちで洗浄、消毒を繰り返しながら何度も使用しなければならない。そこで少数の内視鏡を効率よく使用するために、洗浄や消毒等の付帯作業に割く時間を短くしたいという要求が高まっている。
これら洗浄作業を短時間、簡便にしたとしても、汚れの確実な洗浄除去は要求される。特に、医療用内視鏡は、処置や検査で使用されることにより血液等の体液によって汚染される。汚れは内視鏡の表面だけでなく、管路内といった目視で確認できない部分にも付着する。更にはこの付着物が洗浄によって完全に除去されずに残るということは、単なる洗浄不良ということだけではなく、次の消毒工程にも重大な影響を及ぼすことになる。
特許文献3にはポリオキシアルキレンアルキルエーテルを添加したアルカリ性洗浄剤が提案されているが、曇点調整用有機溶媒が含有されており温水等を用いた高温下での使用を前提としているため、常温での有機汚れ除去性が不十分である。
(a)下記一般式(a1)で表されるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーの1種以上 0.5〜20重量%
HO−(EO)x−(PO)y−(EO)z−H (a1)
〔式(a1)中、EOはオキシエチレン基を示し、POはオキシプロピレン基を示し、x及びzはエチレンオキシドの平均付加モル数を示し、yはプロピレンオキシドの平均付加モル数を示し、x、y及びzがそれぞれ1〜100の数であり、x+y+z=30〜102の数である。〕
(b)下記一般式(b1)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの1種以上 0.5〜20重量%
R1−O−〔(EO)s−(PO)t〕−(EO)u−R2 (b1)
〔式(b1)中、R1は炭素数1〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、R2は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、EOはオキシエチレン基を示し、POはオキシプロピレン基を示す。s及びuはエチレンオキシドの平均付加モル数を示し、tはプロピレンオキシドの平均付加モル数を示し、s及びtがそれぞれ1〜20の数であり、uが0〜20の数であり、s+t+u=5〜22の数である。(EO)s及び(PO)tはこの順にブロック結合しているか、またはランダム結合している。〕
(c)アルカノールアミン類 1〜20重量%
(d)アルカリ金属の水酸化物及びアルカリ金属の珪酸塩から選ばれる一種以上の無機アルカリ剤 1〜15重量%
を含有し、(a)と(b)の重量比(b)/(a)が0.2〜5であり、(c)と(d)の重量比(d)/(c)が0.15〜5である医療器具用洗浄剤組成物を提供するものである。
HO−(EO)x−(PO)y−(EO)z−H (a1)
〔式(a1)中、EOはオキシエチレン基を示し、POはオキシプロピレン基を示し、x及びzはエチレンオキシドの平均付加モル数を示し、またyはプロピレンオキシドの平均付加モル数を示し、x、y及びzがそれぞれ1〜100の数であり、x+y+z=30〜102の数である。〕
で表わされるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーである。
このようなポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーとしては、例えば、エクセノール510、エクセノール511、エクセノール530、エクセノール540〔旭硝子(株)製〕、プルロニックPE6200〔BASFジャパン(株)製〕及びアデカプルロニックL−34、アデカプルロニックL−44、アデカプルロニックL−62、アデカプルロニックL−64、アデカプルロニックL−72、アデカプルロニックL−101〔(株)ADEKA製〕として市販されているものが挙げられる。
R1−O−〔(EO)s−(PO)t〕−(EO)u−R2 (b1)
〔式(b1)中、R1は炭素数1〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、R2は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、EOはオキシエチレン基を示し、POはオキシプロピレン基を示す。s及びuはエチレンオキシドの平均付加モル数を示し、tはプロピレンオキシドの平均付加モル数を示し、s及びtがそれぞれ1〜20の数であり、uが0〜20の数であり、s+t+u=5〜22の数である。(EO)s及び(PO)tはこの順にブロック結合しているか、またはランダム結合している。〕
で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルである。
式(b1)中R2は、製剤の安定化の観点から、水素原子が好ましい。式(b1)中、s+t+uは5〜22の数であるが、6〜20が好ましく、更に6〜16が変性血液汚染物の除去の点で好ましい。
このようなポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、プルラファックLF300、プルラファックLF400、プルラファックLF431、プルラファックLF711、プルラファックLF900、プルラファックLF901、プルラファックLF1300〔BASFジャパン(株)製〕及びエマルゲンLS−106、エマルゲンLS−110、エマルゲンLS114、エマルゲンMS110〔花王(株)製〕として市販されているものが挙げられる。
(d)成分の含有量は組成物中1〜15重量%であるが、好ましくは2〜12重量%、さらに好ましくは4〜8重量%である。このうちアルカリ金属の水酸化物については5重量%未満であると取り扱い上の危険性が低減される。また、アルカリ金属の珪酸塩は、洗浄中に失活するアルカリ金属塩の水酸化物を補って洗浄力を維持するのに寄与するため、これらを併用することが好ましい。
(e)成分としては、エチレンジアミン4酢酸やニトリロ3酢酸及びこれらの塩(ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩)が好ましい。(e)成分の含有量は組成物中、2〜15重量%、好ましくは2〜12重量%である。(e)成分の含有量が2重量%以上であるとスケール発生を抑制でき、15重量%以下であると製剤の安定性が良好となる。
浸漬静置状態での洗浄は、機械力をかけ積極的に洗浄液を動かす洗浄方法とは異なるが、スポンジやブラシを用いた用手による洗浄を行うことを妨げるものではない。
表1及び表2に示す洗浄剤組成物を調製し、以下の方法で洗浄性を評価した。
(1−1)モデル汚れ(硬質表面塗布用血液)の準備
馬無菌保存血〔(株)日本生物材料センター製〕を遠心分離機にかけ(条件;遠心加速度300×g,時間10分)、丁寧に上澄み部分を取り除く。この操作により得られた、遠心分離血液の下層部を均一にしたものをモデル汚れ用血液とした。
上記により調製したモデル汚れ用血液20mgを、テフロン(登録商標)製プレート(1mm×30mm×80mm)のほぼ中央部で15mm×15mmの面積に均一に塗布し、25℃で2時間自然乾燥させた後、さらに50℃に設定した乾燥機で1時間乾燥させたものを変性血液汚れ(I)とした。
(1−2)と同様にテフロン(登録商標)製プレートにモデル汚れ用血液20mgを塗布し、すぐに50℃に設定した乾燥機中に1時間置いたものを変性血液汚れ(II)とした。
アクリル製プレート(2mm×10mm×80mm)の長辺に垂直方向に、長さ10mm、幅1mm、深さ0.5mmのV字型の溝を7mm以内に4本刻む。この溝にモデル汚れ用血液10mgを均一に塗布し、25℃で2時間自然乾燥させた後、さらに50℃に設定した乾燥機で1時間乾燥させたものを変性血液汚れ(III)とした。
表1及び表2に示す洗浄剤組成物をそれぞれイオン交換水で200倍に希釈したものを洗浄液とした。
液温を25℃に調整した洗浄液にテストピースを静置条件で浸け込み、5分間接触させた後、直ぐに取り出しイオン交換水ですすいだ。
機械洗浄のモデルとして流水下での洗浄を行った。水流装置はコールパーマ社(米国)製マスターフレックス送液ポンプを使用した。装置はポンプ(型式PA−21B)、ポンプヘッド(型番7024−21)4連装着、チューブ(型番96410−24)で構成した(最大送液量約6500mL/min)。
流水洗浄は上記装置に内径10mmのシリコンチューブを装着し、その管路内に(1−4)で作成したテストピースを入れ4000mL/minの流量の洗浄液と1分間接触させた。洗浄後直ぐに取り出しイオン交換水ですすいだ。
液温を50℃に調整した洗浄液にテストピースを静置条件で浸け込み、5分間接触させた後、直ぐに取り出しイオン交換水ですすいだ。
(3−1)テフロン(登録商標)製プレートに作成した変性血液汚れ(I)、変性血液汚れ(II)については静置浸漬洗浄を行ない、残存汚れを目視にて判定した。尚そのときの評価基準は以下の通りである。
◎:汚れの付着が無く、洗浄性が極めて良好であった。
○:僅かながら汚れの痕跡が認められたが、洗浄性は良好である。
△:汚れが残存し、洗浄性は悪かった。
×:汚れがほとんど除去されず、洗浄性は極めて悪かった。
ATP測定用チューブに滅菌水1.0mLを入れ、そこに綿棒を浸し、その綿棒で洗浄後のテストピースに残存した血液汚れをふき取る。綿棒を測定チューブに戻し、チューブ内の滅菌水中にふき取った汚れを十分に洗い出す。そのうち0.1mLを別の測定チューブに分注する。そこに、「ルシフェール250プラス〔キッコーマンATP測定試薬キット,キッコーマン(株)〕」の取扱い説明に則り測定液を調製し、ルミノメーター「ルミテスターC−100〔発売元キッコーマン(株)〕」を用いて測定する。残存血液中のATPは測定試薬を発光させ、ルミノメーターにより発光量(RLU:Relative Light Unit)が数値データとして得られる。同様に、洗浄していないテストピースの汚れ量を測定すれば次式により洗浄率が算出できる。
RLUt1:洗浄後のテストピースに残存している血液のATP発光量(RLU)
Claims (5)
- 次の(a)、(b)、(c)及び(d)成分:
(a)下記一般式(a1)で表されるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーの1種以上 0.5〜20重量%
HO−(EO)x−(PO)y−(EO)z−H (a1)
〔式(a1)中、EOはオキシエチレン基を示し、POはオキシプロピレン基を示し、x及びzはエチレンオキシドの平均付加モル数を示し、yはプロピレンオキシドの平均付加モル数を示し、x、y及びzがそれぞれ1〜100の数であり、x+y+z=30〜102の数である。〕
(b)下記一般式(b1)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの1種以上 0.5〜20重量%
R1−O−〔(EO)s−(PO)t〕−(EO)u−R2 (b1)
〔式(b1)中、R1は炭素数1〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、R2は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、EOはオキシエチレン基を示し、POはオキシプロピレン基を示す。s及びuはエチレンオキシドの平均付加モル数を示し、tはプロピレンオキシドの平均付加モル数を示し、s及びtがそれぞれ1〜20の数であり、uが0〜20の数であり、s+t+u=5〜22の数である。(EO)s及び(PO)tはこの順にブロック結合しているか、またはランダム結合している。〕
(c)モノエタノールアミン 1〜20重量%
(d)アルカリ金属の水酸化物及びアルカリ金属の珪酸塩から選ばれる一種以上の無機アルカリ剤 1〜15重量%
を含有し、(a)と(b)の重量比(b)/(a)が0.2〜5であり、(c)と(d)の重量比(d)/(c)が0.15〜5である医療器具用洗浄剤組成物。 - 更に、(e)アミノカルボン酸系キレート剤を含有する請求項1記載の医療器具用洗浄剤組成物。
- 組成物を0.2〜5重量%に水で希釈したときのpHが10以上12未満の範囲である請求項1又は2記載の医療器具用洗浄剤組成物。
- 請求項1〜3の何れか1項記載の医療器具用洗浄剤組成物を0.2〜5重量%に水で希釈し、そのときのpHが10以上12未満の範囲である洗浄液で医療器具を洗浄する医療器具の洗浄方法。
- 前記洗浄液に対して医療器具を浸け込み静置状態で接触させるか、又は循環装置による水流若しくは超音波発生装置による振動をおこし、動的条件下で該洗浄液と接触させて洗浄する請求項4記載の医療器具の洗浄方法。
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