JP2004285154A - 人工透析機用殺菌洗浄剤及び人工透析機洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】殺菌性、無機汚れ除去性、有機汚れ除去性を有し、特に有機汚れが脂質系汚れ、或いは脂質系蛋白質系複合汚れであっても良好に除去することのできる人工透析機用殺菌洗浄剤、及びこれを用いた人工透析機洗浄方法を提供すること。
【解決手段】過酸化水素、酢酸、過酢酸、及び界面活性剤を含有する水溶液であって、界面活性剤として少なくとも下記の一般式(1)
HO−(PO)n−(EO)m−(PO)k−H (1)
(式中、POはオキシプロピレン基を表わし、EOはオキシエチレン基を表わし、nは3〜50の数を、mは1〜100の数を、kは3〜50の数を表わす。)で表わされる化合物を用いることを特徴とする人工透析機用殺菌洗浄剤。
【選択図】 なし
【解決手段】過酸化水素、酢酸、過酢酸、及び界面活性剤を含有する水溶液であって、界面活性剤として少なくとも下記の一般式(1)
HO−(PO)n−(EO)m−(PO)k−H (1)
(式中、POはオキシプロピレン基を表わし、EOはオキシエチレン基を表わし、nは3〜50の数を、mは1〜100の数を、kは3〜50の数を表わす。)で表わされる化合物を用いることを特徴とする人工透析機用殺菌洗浄剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工透析機用殺菌洗浄剤及び人工透析機洗浄方法に関する。特に、殺菌性と脂質及び蛋白質等の汚れ除去能に優れる、人工透析機用殺菌洗浄剤及び人工透析機洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
人工透析機は、透析液と血液を半透膜を介して接触させることにより血液の透析を行う装置であるが、透析を繰り返すことによって、人工透析機の配管内等に炭酸カルシウム等の無機汚れや、蛋白質系、脂質系等の有機汚れが沈積する問題がある。従って、これらの汚れを洗浄する洗浄液が求められており、またこのような洗浄液は、人工透析機という医療機器に使用するものであるため殺菌性も求められるものであった。このため、特許文献1のように、過酢酸及び過酸化水素によって殺菌性と無機汚れ除去性を発揮し、非イオン性界面活性剤によって有機汚れを除去しようとする洗浄剤が開発された。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−72996号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開2001−72996号公報(特許文献1)に記載の発明は、殺菌性、無機汚れ除去性、有機汚れ除去性のうち、蛋白質系汚れの除去性は良好であるが、有機汚れが脂質系汚れであったり、或いは脂質系蛋白質系複合汚れである場合には、有機汚れの除去性が不十分なものであった。
【0005】
従って本発明の目的は、殺菌性、無機汚れ除去性、有機汚れ除去性を有し、特に有機汚れが脂質系汚れ、或いは脂質系蛋白質系複合汚れであっても良好に除去することのできる人工透析機用殺菌洗浄剤、及びこれを用いた人工透析機洗浄方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記に鑑み、鋭意研究の結果、本発明に到達した。即ち、本発明は、過酸化水素、酢酸、過酢酸、及び界面活性剤を含有する水溶液であって、界面活性剤として少なくとも下記の一般式(1)
HO−(PO)n−(EO)m−(PO)k−H (1)
(式中、POはオキシプロピレン基を表わし、EOはオキシエチレン基を表わし、nは3〜50の数を、mは1〜100の数を、kは3〜50の数を表わす。)で表わされる化合物を用いることを特徴とする人工透析機用殺菌洗浄剤である。
【0007】
また、本発明は、好ましくは、過酸化水素1質量部に対して、酢酸0.2〜3.5質量部、過酢酸0.03〜0.3質量部、上記一般式(1)で表わされる化合物0.3〜2.5質量部の割合で含有されている、上記人工透析機用殺菌洗浄剤である。また、本発明は、好ましくは、過酸化水素1質量部に対して、0.05〜0.2質量部の包接剤及び/又はキレート剤を更に含有する、上記人工透析機用殺菌洗浄剤である。
また、本発明は、上記人工透析機用殺菌洗浄剤を人工透析機の配管に通液することを特徴とする人工透析機洗浄方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の人工透析機用殺菌洗浄剤は、過酸化水素、酢酸、過酢酸、及び一般式(1)で表わされる界面活性剤を含有する水溶液である。本発明の人工透析機用殺菌洗浄剤に使用する、過酸化水素、酢酸、及び過酢酸は、従来から人工透析機用殺菌洗浄剤に使用できることが公知である過酸化水素、酢酸、過酢酸であれば、どのようなものであっても使用することができる。好ましくは、過酸化水素1質量部に対して、酢酸0.2〜3.5質量部(より好ましくは0.8〜2.5質量部)、過酢酸0.03〜0.3質量部(より好ましくは0.05〜0.2質量部)を含有することが、殺菌性及び無機汚れ除去性の点で好適である。
【0009】
また、本発明に使用する界面活性剤は、界面活性剤として少なくとも下記の一般式(1)
HO−(PO)n−(EO)m−(PO)k−H (1)
(式中、POはオキシプロピレン基を表わし、EOはエチレン基を表わし、nは3〜50の数を、mは1〜100の数を、kは3〜50の数を表わす。)で表わされる化合物である。有機汚れ、特に脂質系或いは脂質蛋白質複合系の汚れの除去性の点から、好ましくは、n=5〜40、m=2〜60、k=5〜40の範囲、より好ましくは、n=10〜30、m=3〜50、k=10〜30の範囲である化合物がよい。
【0010】
また同様の観点から、1分子中に占める、分子中の−(EO)m−部分の質量の割合が、分子全体の質量に対して、好ましくは5〜60%、より好ましくは10〜40%、最も好ましくは15〜25%である化合物がよい。
【0011】
上記一般式(1)で表わされる化合物は、有機汚れ、特に脂質系或いは脂質蛋白質複合系の汚れの除去性の点から、好ましくは、過酸化水素1質量部に対して0.3〜2.5質量部、より好ましくは0.5〜1.2質量部使用することがよい。
【0012】
本発明においては、上記一般式(1)で表わされる化合物以外の界面活性剤も使用することができ、例えば、アルコキシアルコール等を使用することができるが、上記一般式(1)で表わされる化合物による効果をより顕著に発揮する観点から、全界面活性剤中に占める上記一般式(1)で表わされる化合物の割合が、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは50質量%以上とすることがよい。
【0013】
本発明の人工透析機用殺菌洗浄剤は、上記必須の組成に加えて、更に、過酸化水素1質量部に対して0.05〜0.2質量部の包接剤を含有することが、人工透析機中の汚れの再付着を防止して、より優れた洗浄効果を得る点から好ましい。
【0014】
このような包接剤としては、包接剤内部が疎水性であり、外部が親水性であって、安全性が高く、酸に対して安定なものであればどのようなものでも使用することができる。例えば、α−サイクロデキストリン、β−サイクロデキストリン、γ−サイクロデキストリン、これらの分岐サイクロデキストリン等のサイクロデキストリン類に代表わされる環状オリゴ糖や、クラウンエーテル類等が挙げられる。
【0015】
また、本発明の人工透析機用殺菌洗浄剤は、無機系汚れの除去安定性及び過酸化水素の安定性の観点から、本発明の効果を阻害しない範囲内で、所望により更にキレート剤を含有することができる。キレート剤としては公知の化合物を適宜使用することができ、好ましくは過酸化水素1質量部に対して0.05〜0.2質量部配合するのがよい。
【0016】
本発明の人工透析機用殺菌洗浄剤は、上記のような過酸化水素、酢酸、過酢酸、及び界面活性剤(あるいは所望により更に包接剤、キレート剤)を含有する水溶液であり、その濃度は任意であって、濃縮液として流通させ、洗浄使用時に希釈してもよいし、或いは洗浄使用に適した濃度で流通させることもできる。しかし、極端に濃度が大きいと、安定性及び危険物取扱等の観点から不都合となる場合があるので、好ましくは、過酸化水素の濃度として、組成物全質量に対して、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下がよい。尚、過酸化水素濃度として6質量%未満であると、劇物から除外されるので最も好ましいといえる。
【0017】
また、洗浄使用に適した濃度より希薄な濃度であっても使用できないわけではないが、洗浄使用時に濃縮する必要があるので、好ましくは洗浄使用に適した濃度以上の濃度とすることがよい。洗浄使用に適した濃度は具体的には、後述の、本発明の人工透析機洗浄方法の通りである。
【0018】
次に、本発明の人工透析機洗浄方法について詳述する。本発明の人工透析機洗浄方法は、上記本発明の人工透析機用殺菌洗浄剤を人工透析機の配管に通液するものである。人工透析機用殺菌洗浄剤の通液方法に関しては、従来用いられている人工透析機用殺菌洗浄剤の通液方法と同様にすればよい。
【0019】
本発明の上記人工透析機用殺菌洗浄剤は、必要であれば水で希釈して人工透析機の配管に通液することがよい。即ち、本発明の人工透析機洗浄方法において、通液する人工透析機用洗浄剤の濃度は、過酸化水素の濃度として、通液量に対して好ましくは0.02〜0.5質量%、より好ましくは0.04〜0.3質量%として用いるのがよい。濃度が上記より低すぎると、洗浄性或いは殺菌性が不十分となる場合があり、また上記濃度より高すぎると、人工透析機配管内での発泡性や機械の材質を不用意に劣化するため、不適当となる場合がある。
【0020】
本発明の人工透析機洗浄方法において、通液する人工透析機用洗浄剤の温度は特に限定されず、従来用いられている人工透析機用洗浄剤の温度と同程度とすればよいが、例えば、概ね25〜40℃であれば差し支えなく使用することができる。
【0021】
【実施例】
以下に実施例を挙げ本発明を更に説明する。
<実施例1〜19、比較例1〜5>
表1の組成の各種人工透析機用洗浄剤を調製した(残部は水である)。更に過酸化水素濃度として表1に記載の濃度となるように水で希釈した後、速やかに、有機汚れ洗浄性、無機汚れ洗浄性、殺菌性について試験した。結果を表2に示す。
【0022】
尚、各試験の方法、及び表中の化合物等は以下の通りである。
[界面活性剤A]
HO−(PO)15−(EO)10−(PO)15−H
[界面活性剤B]
HO−(PO)22−(EO)14−(PO)22−H
[界面活性剤C]
C12H25O−(EO)8−(PO)5−H
[界面活性剤D]
C14H29O−(EO)10/(PO)3−H
(ポリオキシアルキレン鎖はランダム状)
(尚、EOはオキシエチレン基を、POはオキシプロピレン基をそれぞれ表わし、重合度は平均値である。)
[包接剤]
α−サイクロデキストリン
[キレート剤]
1−ヒドロキシエチリデン−1,1―ジホスホン酸
【0023】
(有機汚れ洗浄性及び無機汚れ洗浄性の試験方法)
汚染液を、内径6mm、長さ20cmのシリコンチューブに封入したまま1昼夜室温に放置した後、汚染液を排出し、濯がずそのまま乾燥し、疑似汚れを付着させた。次に、該チューブに対し、各洗浄剤200mLを20分間チューブポンプにて循環するように流した。その後、チューブを乾燥して、残存汚れを目視にて判定した。尚、BTB溶液を該チューブに流し、青色に着色した部分を有機汚れとし、着色しない部分を無機汚れとした。汚染液の組成と、評価基準は以下の通り。
[汚染液]
脂質を0.02g、タンパク溶液を200g、及び炭酸カルシウム0.05gを混合し、激しく攪拌したものを汚染液とした。尚、脂質及びタンパク溶液の処方は以下の通りである。
[脂質]
・レシチン 5.7g
・固形油脂 0.1g
・リノール酸 2.1g
・コレステロール 0.1g
[タンパク溶液]
・アルブミン 7.7g
・NaCl 1.4g
・リン酸二水素カリウム 0.2g
・ポリビニルピロリドン 2.0g
・水 188.7g
[評価基準]
◎:汚れの付着が無く、洗浄性が極めて良好であった。
○:汚れの痕跡が認められたが実用上支障なく、洗浄性が良好であった。
△:汚れが残存し、実用上支障があり、洗浄性は悪かった。
×:汚れは殆ど残存し、実用不能であり、洗浄性は極めて悪かった。
【0024】
(殺菌性試験)
培地としてSCD寒天斜面培地(栄研化学製)を使用し、37℃、24時間培養した黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)又は大腸菌(Escherichia coli)を、滅菌生理食塩水9mLに懸濁し、その0.1mLをSCDブイヨン(栄研化学製)で37℃、24時間培養して接種菌液を調製した。この菌液を使用して、最小殺菌濃度(MBC)測定法に準じて殺菌性試験を行った。各洗浄液10mLに、上記の接種菌液100μLを加え、10分間作用させた。その後、このうちの0.1mLをSCDLPブイヨン(栄研化学製)10mLに加え、37℃で48時間培養し、肉眼で培地の混濁の有無を判定した。
+:培地が混濁していた。
−:培地が混濁していなかった。
【0025】
【0026】
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、殺菌性、無機汚れ除去性、有機汚れ除去性を有し、特に有機汚れが脂質系汚れ、或いは脂質系蛋白質系複合汚れであっても良好に除去することのできる人工透析機用殺菌洗浄剤及びこれを用いた人工透析機洗浄方法を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工透析機用殺菌洗浄剤及び人工透析機洗浄方法に関する。特に、殺菌性と脂質及び蛋白質等の汚れ除去能に優れる、人工透析機用殺菌洗浄剤及び人工透析機洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
人工透析機は、透析液と血液を半透膜を介して接触させることにより血液の透析を行う装置であるが、透析を繰り返すことによって、人工透析機の配管内等に炭酸カルシウム等の無機汚れや、蛋白質系、脂質系等の有機汚れが沈積する問題がある。従って、これらの汚れを洗浄する洗浄液が求められており、またこのような洗浄液は、人工透析機という医療機器に使用するものであるため殺菌性も求められるものであった。このため、特許文献1のように、過酢酸及び過酸化水素によって殺菌性と無機汚れ除去性を発揮し、非イオン性界面活性剤によって有機汚れを除去しようとする洗浄剤が開発された。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−72996号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開2001−72996号公報(特許文献1)に記載の発明は、殺菌性、無機汚れ除去性、有機汚れ除去性のうち、蛋白質系汚れの除去性は良好であるが、有機汚れが脂質系汚れであったり、或いは脂質系蛋白質系複合汚れである場合には、有機汚れの除去性が不十分なものであった。
【0005】
従って本発明の目的は、殺菌性、無機汚れ除去性、有機汚れ除去性を有し、特に有機汚れが脂質系汚れ、或いは脂質系蛋白質系複合汚れであっても良好に除去することのできる人工透析機用殺菌洗浄剤、及びこれを用いた人工透析機洗浄方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記に鑑み、鋭意研究の結果、本発明に到達した。即ち、本発明は、過酸化水素、酢酸、過酢酸、及び界面活性剤を含有する水溶液であって、界面活性剤として少なくとも下記の一般式(1)
HO−(PO)n−(EO)m−(PO)k−H (1)
(式中、POはオキシプロピレン基を表わし、EOはオキシエチレン基を表わし、nは3〜50の数を、mは1〜100の数を、kは3〜50の数を表わす。)で表わされる化合物を用いることを特徴とする人工透析機用殺菌洗浄剤である。
【0007】
また、本発明は、好ましくは、過酸化水素1質量部に対して、酢酸0.2〜3.5質量部、過酢酸0.03〜0.3質量部、上記一般式(1)で表わされる化合物0.3〜2.5質量部の割合で含有されている、上記人工透析機用殺菌洗浄剤である。また、本発明は、好ましくは、過酸化水素1質量部に対して、0.05〜0.2質量部の包接剤及び/又はキレート剤を更に含有する、上記人工透析機用殺菌洗浄剤である。
また、本発明は、上記人工透析機用殺菌洗浄剤を人工透析機の配管に通液することを特徴とする人工透析機洗浄方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の人工透析機用殺菌洗浄剤は、過酸化水素、酢酸、過酢酸、及び一般式(1)で表わされる界面活性剤を含有する水溶液である。本発明の人工透析機用殺菌洗浄剤に使用する、過酸化水素、酢酸、及び過酢酸は、従来から人工透析機用殺菌洗浄剤に使用できることが公知である過酸化水素、酢酸、過酢酸であれば、どのようなものであっても使用することができる。好ましくは、過酸化水素1質量部に対して、酢酸0.2〜3.5質量部(より好ましくは0.8〜2.5質量部)、過酢酸0.03〜0.3質量部(より好ましくは0.05〜0.2質量部)を含有することが、殺菌性及び無機汚れ除去性の点で好適である。
【0009】
また、本発明に使用する界面活性剤は、界面活性剤として少なくとも下記の一般式(1)
HO−(PO)n−(EO)m−(PO)k−H (1)
(式中、POはオキシプロピレン基を表わし、EOはエチレン基を表わし、nは3〜50の数を、mは1〜100の数を、kは3〜50の数を表わす。)で表わされる化合物である。有機汚れ、特に脂質系或いは脂質蛋白質複合系の汚れの除去性の点から、好ましくは、n=5〜40、m=2〜60、k=5〜40の範囲、より好ましくは、n=10〜30、m=3〜50、k=10〜30の範囲である化合物がよい。
【0010】
また同様の観点から、1分子中に占める、分子中の−(EO)m−部分の質量の割合が、分子全体の質量に対して、好ましくは5〜60%、より好ましくは10〜40%、最も好ましくは15〜25%である化合物がよい。
【0011】
上記一般式(1)で表わされる化合物は、有機汚れ、特に脂質系或いは脂質蛋白質複合系の汚れの除去性の点から、好ましくは、過酸化水素1質量部に対して0.3〜2.5質量部、より好ましくは0.5〜1.2質量部使用することがよい。
【0012】
本発明においては、上記一般式(1)で表わされる化合物以外の界面活性剤も使用することができ、例えば、アルコキシアルコール等を使用することができるが、上記一般式(1)で表わされる化合物による効果をより顕著に発揮する観点から、全界面活性剤中に占める上記一般式(1)で表わされる化合物の割合が、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは50質量%以上とすることがよい。
【0013】
本発明の人工透析機用殺菌洗浄剤は、上記必須の組成に加えて、更に、過酸化水素1質量部に対して0.05〜0.2質量部の包接剤を含有することが、人工透析機中の汚れの再付着を防止して、より優れた洗浄効果を得る点から好ましい。
【0014】
このような包接剤としては、包接剤内部が疎水性であり、外部が親水性であって、安全性が高く、酸に対して安定なものであればどのようなものでも使用することができる。例えば、α−サイクロデキストリン、β−サイクロデキストリン、γ−サイクロデキストリン、これらの分岐サイクロデキストリン等のサイクロデキストリン類に代表わされる環状オリゴ糖や、クラウンエーテル類等が挙げられる。
【0015】
また、本発明の人工透析機用殺菌洗浄剤は、無機系汚れの除去安定性及び過酸化水素の安定性の観点から、本発明の効果を阻害しない範囲内で、所望により更にキレート剤を含有することができる。キレート剤としては公知の化合物を適宜使用することができ、好ましくは過酸化水素1質量部に対して0.05〜0.2質量部配合するのがよい。
【0016】
本発明の人工透析機用殺菌洗浄剤は、上記のような過酸化水素、酢酸、過酢酸、及び界面活性剤(あるいは所望により更に包接剤、キレート剤)を含有する水溶液であり、その濃度は任意であって、濃縮液として流通させ、洗浄使用時に希釈してもよいし、或いは洗浄使用に適した濃度で流通させることもできる。しかし、極端に濃度が大きいと、安定性及び危険物取扱等の観点から不都合となる場合があるので、好ましくは、過酸化水素の濃度として、組成物全質量に対して、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下がよい。尚、過酸化水素濃度として6質量%未満であると、劇物から除外されるので最も好ましいといえる。
【0017】
また、洗浄使用に適した濃度より希薄な濃度であっても使用できないわけではないが、洗浄使用時に濃縮する必要があるので、好ましくは洗浄使用に適した濃度以上の濃度とすることがよい。洗浄使用に適した濃度は具体的には、後述の、本発明の人工透析機洗浄方法の通りである。
【0018】
次に、本発明の人工透析機洗浄方法について詳述する。本発明の人工透析機洗浄方法は、上記本発明の人工透析機用殺菌洗浄剤を人工透析機の配管に通液するものである。人工透析機用殺菌洗浄剤の通液方法に関しては、従来用いられている人工透析機用殺菌洗浄剤の通液方法と同様にすればよい。
【0019】
本発明の上記人工透析機用殺菌洗浄剤は、必要であれば水で希釈して人工透析機の配管に通液することがよい。即ち、本発明の人工透析機洗浄方法において、通液する人工透析機用洗浄剤の濃度は、過酸化水素の濃度として、通液量に対して好ましくは0.02〜0.5質量%、より好ましくは0.04〜0.3質量%として用いるのがよい。濃度が上記より低すぎると、洗浄性或いは殺菌性が不十分となる場合があり、また上記濃度より高すぎると、人工透析機配管内での発泡性や機械の材質を不用意に劣化するため、不適当となる場合がある。
【0020】
本発明の人工透析機洗浄方法において、通液する人工透析機用洗浄剤の温度は特に限定されず、従来用いられている人工透析機用洗浄剤の温度と同程度とすればよいが、例えば、概ね25〜40℃であれば差し支えなく使用することができる。
【0021】
【実施例】
以下に実施例を挙げ本発明を更に説明する。
<実施例1〜19、比較例1〜5>
表1の組成の各種人工透析機用洗浄剤を調製した(残部は水である)。更に過酸化水素濃度として表1に記載の濃度となるように水で希釈した後、速やかに、有機汚れ洗浄性、無機汚れ洗浄性、殺菌性について試験した。結果を表2に示す。
【0022】
尚、各試験の方法、及び表中の化合物等は以下の通りである。
[界面活性剤A]
HO−(PO)15−(EO)10−(PO)15−H
[界面活性剤B]
HO−(PO)22−(EO)14−(PO)22−H
[界面活性剤C]
C12H25O−(EO)8−(PO)5−H
[界面活性剤D]
C14H29O−(EO)10/(PO)3−H
(ポリオキシアルキレン鎖はランダム状)
(尚、EOはオキシエチレン基を、POはオキシプロピレン基をそれぞれ表わし、重合度は平均値である。)
[包接剤]
α−サイクロデキストリン
[キレート剤]
1−ヒドロキシエチリデン−1,1―ジホスホン酸
【0023】
(有機汚れ洗浄性及び無機汚れ洗浄性の試験方法)
汚染液を、内径6mm、長さ20cmのシリコンチューブに封入したまま1昼夜室温に放置した後、汚染液を排出し、濯がずそのまま乾燥し、疑似汚れを付着させた。次に、該チューブに対し、各洗浄剤200mLを20分間チューブポンプにて循環するように流した。その後、チューブを乾燥して、残存汚れを目視にて判定した。尚、BTB溶液を該チューブに流し、青色に着色した部分を有機汚れとし、着色しない部分を無機汚れとした。汚染液の組成と、評価基準は以下の通り。
[汚染液]
脂質を0.02g、タンパク溶液を200g、及び炭酸カルシウム0.05gを混合し、激しく攪拌したものを汚染液とした。尚、脂質及びタンパク溶液の処方は以下の通りである。
[脂質]
・レシチン 5.7g
・固形油脂 0.1g
・リノール酸 2.1g
・コレステロール 0.1g
[タンパク溶液]
・アルブミン 7.7g
・NaCl 1.4g
・リン酸二水素カリウム 0.2g
・ポリビニルピロリドン 2.0g
・水 188.7g
[評価基準]
◎:汚れの付着が無く、洗浄性が極めて良好であった。
○:汚れの痕跡が認められたが実用上支障なく、洗浄性が良好であった。
△:汚れが残存し、実用上支障があり、洗浄性は悪かった。
×:汚れは殆ど残存し、実用不能であり、洗浄性は極めて悪かった。
【0024】
(殺菌性試験)
培地としてSCD寒天斜面培地(栄研化学製)を使用し、37℃、24時間培養した黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)又は大腸菌(Escherichia coli)を、滅菌生理食塩水9mLに懸濁し、その0.1mLをSCDブイヨン(栄研化学製)で37℃、24時間培養して接種菌液を調製した。この菌液を使用して、最小殺菌濃度(MBC)測定法に準じて殺菌性試験を行った。各洗浄液10mLに、上記の接種菌液100μLを加え、10分間作用させた。その後、このうちの0.1mLをSCDLPブイヨン(栄研化学製)10mLに加え、37℃で48時間培養し、肉眼で培地の混濁の有無を判定した。
+:培地が混濁していた。
−:培地が混濁していなかった。
【0025】
【0026】
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、殺菌性、無機汚れ除去性、有機汚れ除去性を有し、特に有機汚れが脂質系汚れ、或いは脂質系蛋白質系複合汚れであっても良好に除去することのできる人工透析機用殺菌洗浄剤及びこれを用いた人工透析機洗浄方法を提供することができる。
Claims (5)
- 過酸化水素、酢酸、過酢酸、及び界面活性剤を含有する水溶液であって、界面活性剤として少なくとも下記の一般式(1)
HO−(PO)n−(EO)m−(PO)k−H (1)
(式中、POはオキシプロピレン基を表わし、EOはオキシエチレン基を表わし、nは3〜50の数を、mは1〜100の数を、kは3〜50の数を表わす。)で表わされる化合物を用いることを特徴とする人工透析機用殺菌洗浄剤。 - 過酸化水素1質量部に対して、酢酸0.2〜3.5質量部、過酢酸0.03〜0.3質量部、上記一般式(1)で表わされる化合物0.3〜2.5質量部の割合で含有されている、請求項1に記載の人工透析機用殺菌洗浄剤。
- 過酸化水素1質量部に対して、0.05〜0.2質量部の包接剤を更に含有する、請求項1又は2に記載の人工透析機用殺菌洗浄剤。
- 過酸化水素1質量部に対して、0.05〜0.2質量部のキレート剤を更に含有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の人工透析機用殺菌洗浄剤。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の人工透析機用殺菌洗浄剤を、人工透析機の配管に通液することを特徴とする人工透析機洗浄方法。
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