JP2002173697A - 硬質表面洗浄剤組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 泡立ち及び洗浄力に優れ且つ環境にも優しい
硬質表面洗浄剤組成物を提供する。 【解決手段】 （１）α−ヒドロキシイソ酪酸エステ
ル、（２）陰イオン性界面活性剤及び／又はノニオン性
界面活性剤、及び（３）アルカリ化剤を含有する硬質表
面洗浄剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は液体洗浄剤組成物に
関するものであり、更に詳しくは住まいの手垢汚れ、キ
ッチンの変性油脂汚れなどの除去に適した硬質表面洗浄
剤組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般家庭における台所の換気扇やガスレ
ンジなどには油に起因した落ちにくい汚れ、すなわち
熱、埃などにより変質した油脂汚れが付着している。こ
の汚れは、油を用いた料理を行った際の飛び散った油、
油煙となって飛んだりして換気扇やガスレンジの回りに
付着、変質した汚れである。一般に、食用油に用いられ
る油には二重結合を持った不飽和炭化水素構造のものが
多く、長時間熱と空気、及び光に曝されると容易に酸化
されたり、重合したりして、大きな分子量のものに変わ
っていき樹脂状を呈するようになる。これらが取れにく
い油汚れの原因と考えられる。一般家庭における換気扇
やレンジ回りは６ヶ月程度の使用により油汚れの付着量
が多くなり、目に見えて見苦しい状況となり、最近では
油の変質程度もかなり進み、汚れが落ちにくくなってく
る。このような汚れを落とすには、ブチルカルビトール
等のアルキレングリコールエーテル系溶剤が配合された
特殊な洗浄剤が使用されてきた。しかしながら、これら
の溶剤は臭い、安全性、毒性、洗浄効果に問題があっ
た。

【０００３】そこで、上記問題を解決する洗浄剤組成物
として特開平２−２９８５９９号公報には陰イオン界面
活性剤及び／又は非イオン界面活性剤、ヒドロキシカル
ボン酸又はその塩とを主成分とした液体洗浄剤組成物に
より、洗浄力を増大させることができと記載されてい
る。また、特開平８−２０７９４号公報には、ポリオキ
シアルキレン化合物とアルカリ化剤及び／又は金属イオ
ン封鎖剤及び水とから成る硬質表面洗浄剤組成物が記載
されており、この硬質表面洗浄剤組成物は泡立ちがよ
く、低温保存性に優れていると記載されている。

【０００４】しかしながら、これら洗浄剤組成物はしつ
こい汚れ、特に温度や湿度、光、酸素、微生物などの影
響を受けて変質した油汚れに対しては十分に満足行くも
のではなかった。また、製品の保存安定性、特に貯蔵時
において沈殿物が生成するなどの問題点があり、さらに
は、エチレングリコールエーテル類は比較的毒性が高
く、問題を残している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、泡立
ちに優れ、住まいの手垢汚れからキッチンの変性油脂汚
れまで、効果的に洗浄除去でき、且つ安全性に優れ、衛
生的であること、下水での廃液処理が容易であること、
さらに、廃液により環境・地下水等を汚染しない、蓄積
しない硬質表面洗浄組成物を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の好
ましい性質を有する液体洗浄剤組成物を開発すべく鋭意
研究を重ねた結果、（１）ヒドロキシイソ酪酸エステ
ル、（２）陰イオン性界面活性剤及び／又はノニオン性
界面活性剤、及び（３）アルカリ化剤を含有する液体洗
浄剤組成物が、上記目的を達成しうることがわかった。
特に、（１）ヒドロキシイソ酪酸エステルを１０〜９０
重量％、（２）陰イオン性界面活性剤及び／又はノニオ
ン性界面活性剤を０．１〜２０重量％、及び（３）アル
カリ化剤を１〜２０重量％含有する前記洗浄剤組成物が
好適であることがわかった。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明で使用されるヒドロキシイ
ソ酪酸エステルとしては、α−ヒドロキシイソ酪酸メチ
ル、α−ヒドロキシイソ酪酸エチル、α−ヒドロキシイ
ソ酪酸イソプロピル及びα−ヒドロキシイソ酪酸ブチル
等が好適な例として挙げられる。該ヒドロキシイソ酪酸
エステルの洗浄剤組成物中の好適な濃度は１０〜９０重
量％である。

【０００８】本発明で使用されるアニオン性界面活性剤
としては、通常のスルホン酸塩型及び／又は硫酸塩型ア
ニオン性界面活性剤が挙げられ、好ましくはアルカンス
ルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩類、直鎖アルキル
ベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジ
スルホン酸塩類、α−オレフィンスルホン酸塩類、ポリ
オキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩類、ポリオキ
シアルキレンアルキルエーテルスルホン酸塩類、アルキ
ルジフェニルエーテルスルホン酸塩であり、更に好まし
くは、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシ
アルキレンアルキルエーテル硫酸塩類等が挙げられる。
具体例としては、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、Ｃ₁₂−α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、Ｃ₁₄
−α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエ
チレン（ｎ＝４）ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポ
リオキシエチレン（ｎ＝１２）ラウリルフェニルエーテ
ルスルホン酸ナトリウム、アルキル（Ｃ₁₂）ジフェニル
エーテルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。上記ア
ニオン性界面活性剤は１種又は複数種を混合して用いる
ことができる。本発明で使用されるノニオン性界面活性
剤としては、ポリオキシエチレン（６〜３０モル）長鎖
アルキル（Ｃ₆ 〜Ｃ₂₄）フェニルエーテル等が挙げられ
る。アニオン性及び／又はノニオン性界面活性剤の洗浄
剤組成物中の濃度は、好ましくは０．１〜２０重量％で
あり、０．１重量％より低いと十分な洗浄効果が得ら
ず、また２０重量％より高くてもそれに見合った効果が
見られず不経済である。

【０００９】本発明で使用されるアルカリ化剤には、特
に限定されるものではないが、モノ、ジ、トリアルカノ
ールアミン等のアルカノールアミン、アンモニア、Ｎ−
アルキルアルカノール、Ｎ−アミノアルキルアルカノー
ルアミン、ジアルキレントリアミン、モルホリン、Ｎ−
アルキルモルホリン等が挙げられ、好ましくは、アンモ
ニア、アルカノールアミンが挙げられ、特に洗浄力を向
上させるためにはモノエタノールアミン及びジエタノー
ルアミンが優れている。これらのアルカリ化剤は１種又
は２種以上混合して用いることができる。上記アルカリ
化剤の洗浄剤組成物中の濃度は好ましくは１〜２０重量
％である。濃度が１重量％より低いとその洗浄効果がな
く、また２０重量％を越えてもそれに見合った効果が見
られない。

【００１０】本発明の液体洗浄剤組成物のｐＨを好まし
くは６〜１２に調整する。ｐＨを調節することにより、
比較的汚れ程度の少ない手垢汚れや未変性油汚れ除去用
にしたり、変質した油汚れの除去用にしたりすることが
できる。これら洗浄剤組成を調整することにより、種々
の汚れに対して効果的に除去することができる。上記ｐ
Ｈが６未満の場合は、洗浄効果が不十分であり、ｐＨが
１２を越えても洗浄効果は増大しないばかりか皮膚等へ
の腐食性が大きくなるばかりか、保存安定性を損なう場
合もある。

【００１１】本発明で使用される洗浄剤組成物は原液の
まま使用することもできるが、通常は使用前に水により
２〜１０倍に希釈して使用する。希釈する場合は、原液
の所定量を容器に移し、水を加えて調合すると良い。本
発明での液体洗浄剤組成物の溶液粘度は使用する際の便
宜を図るために１〜１００ｍＰａ・ｓの範囲で使用され
る。

【００１２】これら液体洗浄剤組成物に洗浄力を向上さ
せるために、場合によっては低温安定化剤、粘度調節
剤、香料、防腐剤、酸化防止剤、着色剤、増粘剤、その
他添加剤を併用することができる。次に、本発明の液体
洗浄剤組成物に関する洗浄作用について代表的な実施例
及び参考例を示すが、本発明はこれらだけに限定される
ものではい。なお、組成は重量部数を示す。

【００１３】

【実施例】実施例１〜６及び比較例１〜７（手垢汚れ除
去） 表１に示した組成の硬質表面洗浄剤組成物を常法に従っ
て調製した。得られた組成物について、洗浄力試験、泡
立ち試験を行った。結果を表１に示した。市販品を用い
た洗浄テスト結果を表２に示した。 「洗浄力試験方法」：１０cm×１０cmのガラスプレート
上に手垢汚れ（皮膚の油）を付着させ、１５０℃のプレ
ート上で２０分間保持し、モデル汚染物とした。表１に
示した組成の硬質表面洗浄組成物及び表２〜３に示した
市販品洗浄剤をタオルに染み込ませて、上記のモデル汚
れを拭き取り、洗浄力を下記の評価基準にて目視判定し
た。 「泡立ち試験」：調製した硬質表面洗浄剤を市販のスプ
レーで縦置きのガラス板に吹き付け、そのときの泡立ち
の状況を目視判定した。判定は以下の基準に従った。 泡立ち判定基準 ；（◎）スプレーしたとき泡立ちが非常に良好 （○）スプレーしたとき泡立ちが良好 （△）スプレーしたとき少し泡立ちがある （×）スプレーしたとき殆ど泡立たない

【００１４】 表１ 実施例 １ ２ ３ ４ ５ ６ 成分（重量部） ＨＢＭ 76 76 84 84 80 80 エマール20CM 12 12 ０ ０ 10 ０ エマルゲン707 ０ ０ ８ ８ ０ 10 モノエタノールアミン 12 12 ０ ０ ０ ０ ジエタノールアミン ０ ０ ８ ８ ０ ０ トリエチルアミン ０ ０ ０ ０ 10 10 水 ０ 500 ０ 600 ０ 100 評価 洗浄力 ◎ ◎ ◎ ○ ○ ○ 泡立ち ○ ○ ○ ○ ○ ○ ＨＢＭ：α−ヒドロキシイソ酪酸メチル エマール20CM：ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム エマルゲン707 ：ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル

【００１５】 表２ 比較例 １ ２ ３ ４ ５ 商品名 ママロイヤ ルック強力 チャーミー ジフ マジックリン ル クリーナ Ｖ 製造者 ライオン ライオン ライオン 日本リーバ 花王 評価 洗浄力 △ △ △ △ △ 泡立ち ○ ○ ○ ○ ○

【００１６】 表３ 比較例 ６ ７ 商品名 バスマジックリン モアエクセレント 製造者 花王 花王 評価 洗浄力 △ △ 泡立ち ○ ○

【００１７】実施例７〜１６及び比較例８〜１４（変成
油汚れ除去） 表４〜５に示した組成の硬質表面洗浄剤組成物を常法に
従って調製した。得られた組成物について、洗浄力試
験、泡立ち試験を行った。結果を表４〜５に示した。市
販品を用いた洗浄テスト結果を表６〜７に示した。 「洗浄力試験方法」：天ぷら油を鋼板に膜厚１００μｍ
で均一に塗布し、１５０℃、２０分間加熱変性処理し
た。これをモデル汚染物とし、表４〜５に示した組成の
硬質表面洗浄組成物及び表６〜７の市販品洗浄剤を垂直
に固定したモデル汚染板に滴下し、１分間放置した後、
浮き上がった汚れを脱脂綿で軽く除去し、その洗浄力を
下記の評価基準にて目視判定した。 「泡立ち試験」：調整した硬質表面洗浄剤を市販のスプ
レーで縦置きのガラス板に吹き付け、そのときの泡立ち
の状況を目視判定した。判定は以下の基準に従った。 泡立ち判定基準 ；（◎）スプレーしたとき泡立ちが非常に良好 （○）スプレーしたとき泡立ちが良好 （△）スプレーしたとき少し泡立ちがある （×）スプレーしたとき殆ど泡立たない

【００１８】 表４ 実施例 ７ ８ ９ 10 11 12 成分（重量部） ＨＢＭ 76 76 84 84 76 76 エマール20CM 12 12 ８ ８ ０ ０ エマルゲン707 ０ ０ ０ ０ 12 12 モノエタノールアミン 12 12 ０ ０ 12 12 ジエタノールアミン ０ ０ ８ ８ ０ ０ トリエチルアミン ０ ０ ０ ０ ０ ０ 水 ０ 100 ０ 1000 ０ 100 評価 洗浄力 ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ○ 泡立ち ○ ○ ○ ○ ○ ○ ＨＢＭ：α−ヒドロキシイソ酪酸メチル エマール20CM：ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム エマルゲン707 ：ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル

【００１９】 表５ 実施例 13 14 15 16 成分（重量部） ＨＢＭ 80 80 76 76 エマール20CM ０ ０ 12 12 エマルゲン707 10 10 ０ ０ モノエタノールアミン ０ ０ ０ ０ ジエタノールアミン 10 10 ０ ０ トリエチルアミン ０ ０ 12 12 水 ０ 500 ０ 50 評価 洗浄力 ◎ ○ ○ ○ 泡立ち ○ ○ ○ ○ ＨＢＭ：α−ヒドロキシイソ酪酸メチル エマール20CM：ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸メチル エマルゲン707 ：ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル

【００２０】 表６ 比較例 ８ ９ 10 11 12 商品名 ママロイヤ ルック強力 チャーミー ジフ マジックリン ル クリーナ Ｖ 製造者 ライオン ライオン ライオン 日本リーバ 花王 評価 洗浄力 △ △ △ △ △ 泡立ち ○ ○ ○ ○ ○

【００２１】 表７ 比較例 13 14 商品名 バスマジックリン モアエクセレント 製造者 花王 花王 評価 洗浄力 △ △ 泡立ち ○ ○

【００２２】

【発明の効果】本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、泡立
ちが良く、住まいの手垢汚れや、未変性油汚れは勿論、
キッチン等での熱、光により変質した油脂汚れを効果的
に洗浄することができる。そして、洗浄作業が安全に且
つ衛生的に行うことができ、その廃液等は地球環境に対
して蓄積することもない。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 （１）ヒドロキシイソ酪酸エステル、
   （２）陰イオン性界面活性剤及び／又はノニオン性界面
   活性剤、及び（３）アルカリ化剤を含有することを特徴
   とする硬質表面洗浄剤組成物。
2. 【請求項２】 （１）ヒドロキシイソ酪酸エステルを１
   ０〜９０重量％、（２）陰イオン性界面活性剤及び／又
   はノニオン性界面活性剤を０．１〜２０重量％、及び
   （３）アルカリ化剤を１〜２０重量％含有する請求項１
   記載の硬質表面洗浄剤組成物。
3. 【請求項３】 ヒドロキシイソ酪酸エステルがα−ヒド
   ロキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸エチ
   ル、α−ヒドロキシイソ酪酸イソプロピル又はα−ヒド
   ロキシイソ酪酸ブチルである請求項１記載の硬質表面洗
   浄剤組成物。
4. 【請求項４】 ｐＨが６〜１２である請求項１記載の硬
   質表面洗浄剤組成物。
5. 【請求項５】 使用する前に水により２〜１０倍に希釈
   して使用する請求項１記載の硬質表面洗浄剤組成物。