以下に添付図面を参照して、この発明にかかる定着装置および画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明の画像形成装置を複合機に適用した例を示すが、これに限定されるものではなく、複写機、プリンタ、ファクシミリ等にも適用することが可能である。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態にかかる複合機の機構部の一例を示す概略構成図である。この複合機200は、デジタル複写機を含む画像形成装置である。すなわち、複合機200は、複写機能と、それ以外の機能、例えば、プリンタ機能、ファクシミリ機能とを備えており、操作部のアプリケーション切り替えキー(図示せず)の操作により、複写機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能を順次切り替えて選択することが可能である。これにより、複写機能の選択時には複写モードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリ機能の選択時にはファクシミリモードとなる。
この複合機200において、自動紙送り装置(「自動原稿給紙装置」ともいう。以下、「ADF」という)201に設けられている原稿トレイ(「原稿台」ともいう)202に画像面を上にして置かれた原稿束は、コピーモード時に操作部(図示せず)上のスタートキーが押下されると、一番下の原稿から1枚ずつ順次給送ローラ203、給送ベルト204によってコンタクトガラス205上の所定の位置に給送されてセットされる。ADF201は、1枚の原稿の給送完了毎に原稿枚数をインクリメントするインクリメント機能を有する。コンタクトガラス205上のセットされた原稿は、画像読取手段を構成する画像読取装置(「スキャナ」又は「読み取りユニット」ともいう)206によって画像が読み取られ、その読み取りが終了した後、給送ベルト204及び排送ローラ207によって排紙台208上に排出される。
なお、1枚の原稿の画像の読み取りが終了する毎に、原稿セット検知器(「原稿セット検知センサ」ともいう)209によって原稿トレイ202上に次の原稿があるかないかを検知し、原稿セット検知器209で原稿トレイ202上に次の原稿が存在することが検知された場合には、原稿トレイ202上の一番下の原稿を前の原稿と同様にして給送ローラ203、給送ベルト204によってコンタクトガラス205上の所定の位置に給送し、以後上述と同様の動作を行う。また、給送ローラ203、給送ベルト204、排送ローラ207は図示を省略した搬送モータによって駆動される。
第1給紙装置210、第2給紙装置211、第3給紙装置212は、各々選択されたときに、それぞれ第1給紙トレイ213、第2給紙トレイ214、第3給紙トレイ215に積載された転写紙(用紙)を給紙し、その転写紙は縦搬送ユニット216によって感光体217に当接する位置まで搬送される。感光体217は、例えば感光体ドラムが用いられており、図示を省略したメインモータによって回転駆動される。
画像読取装置206による原稿の画像読み取りによって入力された画像データ(画像情報)は、図示を省略した画像処理装置で所定の画像処理が施された後、そのまま、あるいは画像記憶手段を構成する図示を省略した画像メモリに一旦記憶させた後、画像印刷手段(プリンタ)を構成する書き込みユニット218に送られ、その書き込みユニット218によって光情報に変換され、感光体217の面には図示を省略した帯電器によって一様に帯電された後に書き込みユニット218からの光情報で露光されて静電潜像が形成される。この感光体217上の静電潜像は、現像装置(「現像ユニット」ともいう)219により現像されてトナー像が形成される。
感光体217、帯電器、書き込みユニット218、現像装置219や、その他の図示を省略した感光体217回りの周知の装置などにより、電子写真方式で画像データにより画像を転写紙上に形成する画像形成動作を行う画像形成手段であるプリンタエンジンを構成している。搬送ベルト220は、用紙搬送手段及び転写手段を兼ねていて電源から転写バイアスが印加され、縦搬送ユニット216からの転写紙を感光体217と等速で搬送しながら感光体217上のトナー像を転写紙に転写する。この転写紙は、定着装置221によりトナー像が定着され、排紙ユニット222により排紙トレイ223に排出される。感光体217、帯電器、書き込みユニット218、現像装置219、転写手段、画像データにより画像を転写紙上に形成する画像形成手段を構成している。
以上の動作は、通常のモードで転写紙の片面に画像を複写するときの動作であるが、両面モードで転写紙の両面に画像を複写する場合には、第1〜第3給紙トレイ213〜215の何れかより給紙されて表面に上述のように画像が形成された転写紙は、排紙ユニット222により排紙トレイ223側ではなく、両面入紙搬送路224側に切り替えられ、反転ユニット225によりスイッチバックされて表裏が反転され、両面搬送ユニット226へ搬送される。
この両面搬送ユニット226へ搬送された転写紙は、両面搬送ユニット226により縦搬送ユニット216へ搬送され、縦搬送ユニット216により感光体217に当接する位置まで搬送され、感光体217上に上述と同様に形成されたトナー像が裏面に転写されて、定着装置221でトナー像が定着されることにより両面コピーとなる。この両面コピーは排紙ユニット222により排紙トレイ223に排出される。また、転写紙を反転して排出する場合には、反転ユニット225によりスイッチバックされて表裏が反転された転写紙は、両面搬送ユニット226に搬送されずに反転排紙搬送路227を経て排紙ユニット222により排紙トレイ223に排出される。
プリントモードでは、上記画像処理装置からの画像データの代りに、外部からの画像データが書き込みユニット218に入力されて、上述と同様に転写紙上に画像が形成される。さらに、ファクシミリモードでは、画像読取装置206からの画像データが、図示を省略したファクシミリ送受信部により相手に送信され、相手からの画像データがファクシミリ送受信部で受信されて上述の画像処理装置からの画像データの代りに書き込みユニット218に入力されることにより、上述と同様に転写紙上に画像が形成される。
また、この複合機200には、図示を省略した大量用紙供給装置(以下「LCT」という)と、同じく図示を省略したソート、穴あけ、ステイプルを含む処理を行う後処理装置と、原稿の画像の読み取りのためのモード、複写倍率の設定、給紙段の設定、後処理装置で後処理の設定、オペレータに対する表示を行う各種キーやLCDを含むディスプレイを有する操作部とを備えている。
画像読取装置206は、原稿を載置するコンタクトガラス205と光学走査系で構成されており、光学走査系は露光ランプ228、第1ミラー229、レンズ232、CCDイメージセンサ233を含む各部で構成されている。露光ランプ228および第1ミラー229は、図示を省略した第1キャリッジ上に固定され、第2ミラー230および第3ミラー231は、同じく図示を省略した第2キャリッジ上に固定されている。原稿の画像を読み取るときには、光路長が変わらないように、第1キャリッジと第2キャリッジとが2対1の相対速度で機械的に走査される。上記光学走査系は、図示を省略したスキャナ駆動モータを含む駆動部によって駆動される。
画像読取装置206は、原稿の画像を光学的に読み取って電気信号に変換する(原稿の画像データを読み取る)。すなわち、光学走査系の露光ランプ228によって原稿の画像面を照明し、その画像面からの反射光像を第1ミラー229、第2ミラー230、第3ミラー231、レンズ232を介してCCDイメージセンサ233の受光面に結像させ、そのCCDイメージセンサ233によって電気信号に変換する。このとき、レンズ232およびCCDイメージセンサ233を、図1の左右方向に移動させることにより、原稿の給送方向の画像読み取り倍率が変わる。つまり、予め設定された画像読み取り倍率に対応してレンズ232およびCCDイメージセンサ233の左右方向の位置が設定される。
書き込みユニット218は、レーザ出力ユニット234、結像レンズ235、ミラー236を含む各部で構成され、レーザ出力ユニット234の内部にはレーザ光源であるレーザダイオードおよびモータによって高速で定速回転するポリゴンミラー(回転多面鏡)が備わっている。レーザ出力ユニット234より照射されるレーザビーム(レーザ光)は、定速回転するポリゴンミラーで偏向され、結像レンズ235を通り、ミラー236で折り返され、感光体217の帯電面に集光されて結像される。
すなわち、ポリゴンミラーで偏向されたレーザビームは感光体217が回転する方向と直交する方向(主走査方向)に露光走査され、画像処理装置より出力される画像データのライン単位の書き込みを行う。感光体217の回転速度と走査密度(記録密度)に対応する所定の周期で主走査を繰り返すことにより、感光体217の帯電面に静電潜像が形成される。
次に、図1に示す定着装置221の構成について説明する。図2は、図1に示す定着装置の構成例を示す説明図である。図2に示すように、定着装置221は、定着手段としての定着ローラ124、定着ローラ124に架設された定着ベルト130、定着ベルト130を加熱する加熱ローラ131、および加圧ローラ125を有する。なお、加圧ローラ125は、シリコンゴムを含む弾性部材からなる加圧部材であり、図示しない加圧手段により一定の加圧力で定着部材である定着ローラ124に押し当てられている。
脱圧センサ126は、加圧手段により加圧ローラ125が定着ローラ124に押し当てられている圧力を計測する。加圧手段は、脱圧センサ126により計測された圧力に基づいて、加圧ローラ125を定着ローラ124に押し当てる。オイル塗布ローラ127は、加圧ローラ125に少量のシリコンオイルを塗布する。これにより、オイル塗布ローラ127は、加圧ローラ125に付着したトナーを回収する。また、シリコンオイルは、紙表面の滑りを良くすることで、加圧ローラ125への紙の巻き付きを防止し、分離板129による各ローラからの紙の剥離を容易にする。クリーニングローラ128は、オイル塗布ローラ127により加圧ローラ125から収集したトナーを当該オイル塗布ローラ127から回収する。
また、定着装置221は、電力供給されて発熱する複数の加熱手段1〜3(112〜114)を備え、加熱手段1〜3(112〜114)により加熱される被加熱部材(例えば、加熱ローラ131、定着ローラ124、加圧ローラ125)により紙(記録媒体)に転写したトナー像を定着させる。例えば、加熱手段1(112)及び加熱手段2(113)は、加熱ローラ131の内部に配置されており、加熱ローラ131を内側から加熱する。また、加熱手段3(114)は、加圧ローラ125の内部に配置されており、加圧部材である加圧ローラ125を内側から加熱する。
定着ローラ124及び加圧ローラ125は、図示を省略した駆動機構により回転駆動される。サーミスタを含む温度検出回路1(119)は、加熱手段1(112)により加熱される加熱ローラ131の表面に当接され、加熱ローラ131の表面温度(定着温度)を検出する。同じくサーミスタを含む温度検出回路2(120)は、加熱手段2(113)により加熱される加熱ローラ131の表面に当接され、加熱ローラ131の表面温度(定着温度)を検出する。同じくサーミスタを含む温度検出回路3(121)は、加熱手段3(114)により加熱される加圧ローラ125の表面に当接され、加圧ローラ125の表面温度を検出する。トナー像を担持した転写紙を含む記録媒体は、定着ローラ124と加圧ローラ125とのニップ部を通過する際に、定着ローラ124と加圧ローラ125による加熱及び加圧でトナー画像として定着される。
図3は、定着装置を主とした制御系の構成を示すブロック図である。図3に示すように、定着装置221を主とした制御系100は、商用電源101、AC(Alternating Current)電力制御部102、制御部103、主電源SW(スイッチ)104、DC(Direct Current)電源105、モータ,SOL(ソレノイド),CL(クロック)等106(以下、モータ106とする)、およびセンサ,SW(スイッチ)等107(以下、センサ107とする)を備える。また、AC電力制御部102は、過電流保護素子108、ノイズフィルタ109、リレー110、サーモスタット111、加熱手段1(112)、加熱手段2(113)、加熱手段3(114)、電圧供給回路1(115)、電圧供給回路2(116)、電圧供給回路3(117)、ゼロクロス検出回路118、温度検出回路1(119)、温度検出回路2(120)、および温度検出回路3(121)を備える。また、制御部103は、CPU122および記憶手段123を備える。
商用電源101から供給される電力は、ヒューズである過電流保護素子108およびノイズフィルタ109を介して制御系100内の各部に供給される。主電源SW104は、定着装置221が搭載される複合機200のオン/オフを切り替えるスイッチであって、主電源SW104がオンになった場合には、DC電源105に電力が供給されるとともに、DC電源105を介して、制御部103、モータ106、センサ107に電力が供給される。
DC電源105は、AC/DCコンバータ等であって、主電源SW104を介して供給された交流出力を直流電力に変換し、この変換した直流電力を制御部103、モータ106、センサ107に供給する。
また、商用電源101から、過電流保護素子108およびノイズフィルタ109を介して供給された電力は、スイッチング素子であるリレー110を介して電圧供給回路1〜3(115〜117)に夫々供給される。
リレー110は、図示しないが、制御部103からの電力供給信号により、リレーが備えるコイルの両端に電圧(24V)を印加して、開閉される。なお、本実施の形態では、リレー110が備えるコイルの両端に24Vの電圧を印加したが、これに限定するものではない。例えば、12Vや5V等、リレーの仕様に合わせた電圧を印加する。
具体的には、リレー110は、主電源SW104がオンしてDC電源105が定電圧を出力すると、閉じられる構成となっている。例えば、リレー110は、紙のジャム時、トナーカートリッジ等の消耗品の交換時に開かれるドアが開けられ、または複合機200に異常が発生して主電源SW104がオフしてDC電源105からの定電圧の出力が遮断された場合に、リレー110のコイルに電圧が励磁され、AC電力制御部102内への電力供給を遮断する。
電圧供給回路1〜3(115〜117)は、制御部103の制御の下、商用電源101から供給された電力を、加熱手段1〜3(112〜114)に供給することで当該加熱手段1〜3(112〜114)を発熱させる。本実施の形態では、電圧供給回路1〜3(115〜117)は、トライアック(双方向サイリスタ)であり、制御部103からの電力供給信号に応じて、加熱手段1〜3(112〜114)に電力供給する。ここで、電力供給信号は、電圧供給回路1〜3(115〜117)からの電力供給のオン/オフを切り替えるための信号である。
加熱手段1〜3(112〜114)は、電圧供給回路1〜3(115〜117)から電力が供給されて発熱し、被加熱部材(加熱ローラ131、加圧ローラ125)を加熱する。具体的には、加熱手段1〜3(112〜114)は、タングステン等をフィラメント(発熱部)とするハロゲンヒータであり、各ヒータのフィラメントは加熱を行う各ローラの軸方向に発熱領域が規制してある。
また、加熱手段1〜3(112〜114)は、図2に示すように、加熱ローラ131および加圧ローラ125の内部に配置されており、電圧供給回路1〜3(115〜117)から供給される電力に応じて発熱し、加熱ローラ131および加圧ローラ125を内側から加熱する。
また、加熱手段1〜3(112〜114)は、選択的に電力供給される下位ランクの加熱手段(第1加熱手段)または下位ランクの加熱手段より優先して電力供給される上位ランクの加熱手段(第2加熱手段)に分類されているものとする。本実施の形態では、後述する制御部103が備える記憶手段123が、上位ランクの加熱手段または下位ランクの加熱手段への加熱手段1〜3(112〜114)の分類を表すテーブルを記憶する。
図4は、加熱手段の分類を表すテーブルの一例である。加熱手段1〜3(112〜114)は、図4に示すように、複合機200の動作モード((1)ウォームアップ,(2)省エネからの復帰時,(3)コピー時(稼動時),(4)待機時,(5)省エネモード時)ごとに、下位ランクの加熱手段または上位ランクの加熱手段への分類が異なるものとする。ここで、(1)ウォームアップは、複合機200の主電源SW104がオンされた時(投入時)である。また、(2)省エネからの復帰時は、後述する(5)省エネモード時からの復帰した時である。(3)コピー時(稼動時)は、複合機200の主たる動作であるコピーやプリント等の実行時である。(4)待機時は、コピーやプリント等の実行を直ちに開始することができる準備状態である。(5)省エネモード時は、(4)待機時よりも定着装置221への電力供給が低い状態である。
具体的には、加熱手段1(112)は、(5)省エネモード時において、選択的に電力が供給される下位ランクの加熱手段に分類される。また、加熱手段1(112)は、(1)複合機200の主電源投入時(ウォームアップ)、(2)省エネからの復帰時、(3)主たる動作のプリントやコピー時、および(4)プリントやコピーの待機時において、下位ランクの加熱手段より優先して電力が供給される上位ランクの加熱手段に分類される。よって、加熱手段1(112)は、(5)省エネモード時を除く全ての動作モードにおいて、被加熱部材(加熱ローラ131)が基準となる目標温度を下回っている全ての状態で、下位ランクに分類された加熱手段より優先して電力が供給される。また、加熱手段1(112)は、(5)省エネモード時において、被加熱部材(加熱ローラ131)が基準となる目標温度を下回っている全ての状態で、選択的に電力が供給される。
ここで、目標温度(維持温度)とは、記録媒体へのトナー像の定着不良の防止を保障できる定着温度であり、本実施の形態では、全ての被加熱部材(加熱ローラ131および加圧ローラ125)が同一の目標温度に維持されるものとする。なお、本実施の形態では、被加熱部材である加熱ローラ131および加圧ローラ125の目標温度が同じ温度に維持されているものとするが、これに限定するものではない。加熱ローラ131および加圧ローラ125の目標温度をそれぞれ異なる温度に維持することも可能である。
また、加熱手段2(113)は、(4)プリントやコピーの待機時および(5)省エネモード時において、選択的に電力が供給される下位ランクの加熱手段に分類される。また、加熱手段2(113)は、(1)ウォームアップ、(2)省エネからの復帰時、および(3)プリントやコピー時において、下位ランクの加熱手段より優先して電力が供給される上位ランクの加熱手段に分類される。よって、加熱手段2(113)は、(4)プリントやコピーの待機時および(5)省エネモード時を除く全ての動作モードにおいて、被加熱部材(加熱ローラ131)が基準となる目標温度を下回っている全ての状態で、下位ランクに分類された加熱手段より優先して電力が供給される。また、加熱手段2(113)は、(4)プリントやコピーの待機時および(5)省エネモード時において、被加熱部材(加熱ローラ131)が基準となる目標温度を下回っている全ての状態で、選択的に電力が供給される。
加熱手段3(114)は、(4)プリントやコピーの待機時および(5)省エネモード時において、選択的に電力が供給される下位ランクの加熱手段に分類される。また、加熱手段3(114)は、加熱手段2(113)と同様に、(1)ウォームアップ、(2)省エネからの復帰時、および(3)プリントやコピー時において、下位ランクの加熱手段より優先して電力が供給される上位ランクの加熱手段に分類される。よって、加熱手段3(114)は、(4)プリントやコピーの待機時および(5)省エネモード時を除く全ての動作モードにおいて、被加熱部材(加圧ローラ125)が基準となる目標温度を下回っている全ての状態で、下位ランクに分類された加熱手段より優先して電力が供給される。加熱手段3(114)は、(4)プリントやコピーの待機時および(5)省エネモード時において、被加熱部材(加圧ローラ125)が基準となる目標温度を下回っている全ての状態で、選択的に電力が供給される。
温度検出回路1〜3(119〜121)は、加熱手段1〜3(112〜114)毎に設けられ、加熱手段(1〜3)112〜114により加熱される被加熱部材(加熱ローラ131および加圧ローラ125)の温度を検出する。本実施の形態では、温度検出回路1〜3(119〜121)は、被加熱部材の表面近傍の加熱手段1〜3(112〜114)の発熱領域に対応した位置にそれぞれ設けられており、加熱手段1〜3(112〜114)の発熱領域に対応した位置で検出した表面温度を制御部103に出力する。
ヒューズサーモ111は、バイメタル方式サーモスタットまたは温度ヒューズであって、加熱手段1〜3(112〜114)に直列接続される加熱保護装置である。ヒューズサーモ111は、定着装置221が備える定着ローラ(被加熱部材)124等が溶融する温度になると、ヒューズサーモ111内のスイッチを開放し、商用電源101から加熱手段1〜3(112〜114)への電力供給を遮断する。なお、本実施の形態では、ヒューズサーモ111には、ヒューズサーモ111内のスイッチが一度開放されると、温度が低下しても開放を保持するタイプのサーモスタットを採用する。
ゼロクロス検出回路118は、過電流保護素子108、ノイズフィルタ109、およびリレー110を介して商用電源101から供給された交流電圧の位相が反転するタイミングを検知し、この検知信号を制御部103に出力する。
制御部103は、CPU(Central-Processing-Unit)122、およびROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶手段123を備えたマイクロコンピュータである。CPU122は、複合機200を制御するためのプログラムやデータを格納するための記憶手段123と接続されており、記憶手段123に格納されたプログラムを実行して、複合機200が備えるプリンタエンジンや電源回路等の制御動作を行う一方、制御動作に伴う各種情報を記憶手段123に格納する。
まず、制御部103が行う制御動作について簡単に説明する。制御部103は、DC電源104から供給された直流電力を、モータ106、ADF(Auto Document Feeder)等の原稿送り装置、記録媒体を給紙する大量用紙供給装置、印刷後の記録媒体にステープラ処理等の後処理を施す後処理装置に供給する。
また、制御部103は、電圧供給回路1〜3(115〜117)から加熱手段1〜3(112〜114)に電力を供給する時間などの点灯Dutyに従って、電力供給信号を電圧供給回路1〜3(115〜117)に出力することにより、加熱手段1〜3(112〜114)への電力供給を制御する。なお、本実施の形態では、制御部103は、商用電源101の電源周期よりも短い一定周期で電力供給信号を出力するものとする。ここで、商用電源101の電源周期は、記憶手段123内に予め記憶されている態様としてもよいし、ゼロクロス検出回路118から入力される検知信号のタイミングに基づいて制御部103が算定する態様としてもよい。
なお、本実施の形態では、制御部103は、電圧供給回路1〜3(115〜117)に電力供給信号を出力する周期であって、商用電源101の電源周期よりも短い一定周期(例えば、1秒)を、ゼロクロス検出回路118から入力される検知信号のタイミングに基づいて計測しているが、これに限定するものではない。例えば、制御部103が10msごとに割り込みを発生させるタイマー(図示しない)を備え、タイマーからの割り込み回数が100回に達した場合(10ms×100回=1秒)に、一定周期経過したと判定する。そして、制御部103は、一定周期経過する毎に、点灯Dutyに従って、電力供給信号を電圧供給回路1〜3(115〜117)に出力する。
ここで、電圧供給回路1〜3(115〜117)に電力供給信号を出力する際の点灯Dutyの特定処理の一例について説明する。制御部103は、温度検出回路1〜3(119〜121)により検出された被加熱部材(加熱ローラ131および加圧ローラ125)の温度検出結果と目標温度との差分と、当該差分により定まる加熱手段1〜3(112〜114)に電力を供給する時間を示す点灯Dutyと、を対応付けるテーブル(以下、温度テーブルとする)から、被加熱部材の温度検出結果と目標温度との差分に対応する点灯Dutyを特定する。そして、制御部103は、特定した点灯Dutyに従って、電圧供給回路1〜3(115〜117)に電力供給信号を出力する。ここで、電力供給信号は、上述したように、温度テーブルから特定した点灯Dutyに従って、電圧供給回路1〜3(115〜117)に出力される信号であり、電圧供給回路1〜3(115〜117)からの電力供給のオン/オフを切り替えるための信号である。なお、温度テーブルは、記憶手段123に予め格納されているものとする。このように、温度検出回路1〜3(119〜121)の温度検出結果を用いて、電圧供給回路1〜3(115〜117)に出力する点灯Dutyを特定することにより、被加熱部材の温度リップルの低減を図りつつ、フリッカ等を抑制することができる。
次に、このような制御系100において、CPU122が記憶手段123に記憶されたプログラムに従うことにより実現される加熱手段1〜3(112〜114)への電力供給処理であって、複合機200にフリッカ優先モードが設定された場合の電力供給処理の詳細について説明する。図5は、フリッカ優先モードが設定された場合の加熱手段への電力供給処理を実行する制御部の機能構成を示すブロック図である。ここで、フリッカ優先モードとは、電圧供給回路1〜3(115〜117)から加熱手段1〜3(112〜114)への電力供給により発生する電圧変動を抑制するモードである。本実施の形態では、フリッカ優先モードは、操作部(図示しない)を介して設定することができるものとする。制御部103は、図5に示すように、供給制御部103aを備えて構成される。
供給制御部103aは、ゼロクロス検出回路118から入力される検知信号のタイミングに基づいて計測した一定周期ごとに、温度検出回路1〜3(119〜121)により検出された被加熱部材の温度検出結果が目標温度を下回っているか否かを判断する。なお、本実施の形態では、一定周期に到達したか否かは、ゼロクロス検出回路118から入力される検知信号のタイミングに基づいて図示しないカウンタ(以下、一定周期カウンタとする)をインクリメントすることにより計測しているが、これに限定するものではない。例えば、供給制御部103aは、10msごとに割り込みを発生させるタイマー(図示しない)を用いて、タイマーからの割り込み回数が100回に達した場合(10ms×100回=1秒)に、一定周期経過したと判定する。そして、供給制御部103aは、一定周期経過する毎に、後述する処理を経て、温度検出回路1〜3(119〜121)から取得した温度検出結果に基づく電圧供給回路1〜3(115〜117)への電力供給信号の出力を実行する。
供給制御部103aは、被加熱部材の温度検出結果が目標温度を下回っていると判断された場合、温度検出結果が目標温度を下回った被加熱部材を加熱する加熱手段1〜3(112〜114)のうち、記憶手段123に記憶されたテーブルが表す動作モードごとの加熱手段1〜3(112〜114)の分類において、上位ランクの加熱手段に分類されている加熱手段に電力供給するとともに、下位ランクの加熱手段に分類されている加熱手段の中から1つの加熱手段を選択して電力供給する。なお、本実施の形態では、供給制御部103aは、上述したように、電圧供給回路1〜3(115〜117)に電力供給信号を出力して、加熱手段1〜3(112〜114)への電力供給を制御するものとする。これにより、全ての加熱手段1〜3(112〜114)の消灯と点灯のサイクルが繰り返されるのを防止することができるので、フリッカの発生を抑制することができる。また、本実施の形態では、記憶手段123に記憶された動作モードごとの加熱手段1〜3(112〜114)の分類に従って、加熱手段1〜3(112〜114)への電力供給を行うことができるので、動作モード毎に最適な電力供給を行うことができる。
なお、本実施の形態では、フリッカ優先モードに設定された場合に、温度検出結果が目標温度を下回っていると判断された被加熱部材を加熱する加熱手段のうち、上位ランクの加熱手段に分類されている加熱手段に電力供給するとともに、下位ランクの加熱手段に分類されている加熱手段に選択的に電力供給しているが、これに限定するものではない。例えば、フリッカ優先モードの設定の有無に関わらず、常に、温度検出結果が目標温度を下回っていると判断された被加熱部材を加熱する加熱手段のうち、上位ランクの加熱手段に分類されている加熱手段に電力供給するとともに、下位ランクの加熱手段に分類されている加熱手段に選択的に電力供給しても良い。
また、本実施の形態では、供給制御部103aは、温度検出結果が目標温度を下回っていると判断された被加熱部材を加熱する下位ランクの加熱手段の中から1つの加熱手段を選択して電力供給しているが、下位ランクの加熱手段全てに電力供給を行わず、下位ランクの加熱手段に選択的に電力供給するものであれば、これに限定するものではない。例えば、下位ランクの加熱手段が5つある場合、5つの加熱手段の中から2つの加熱手段を選択して電力供給しても良い。
ここで、下位ランクの加熱手段の選択処理について詳細に説明する。供給制御部103aは、温度検出結果と目標温度との差分の大小である第1供給条件、加熱手段に電力供給されていない期間の大小である第2供給条件、または温度検出結果に基づく電力供給時間の大小である第3供給条件に基づいて、下位ランクに分類された加熱手段の中から1つの加熱手段を選択して電力供給する。より具体的には、供給制御部103aは、緊急度が最も高い第1供給条件に基づいて加熱手段を選択することができない場合(つまり、温度検出結果と目標温度との差分が等しい場合)、第1供給条件の次に緊急度の高い第2供給条件に基づいて下位ランクに分類された1つの加熱手段を選択して電力供給し、第2供給条件に基づいて加熱手段を選択することができない場合(つまり加熱手段に電力供給していない期間が等しい場合)、第3供給条件に基づいて加熱手段を選択して電力供給する。これにより、フリッカを抑制するとともに、最も電力供給を必要としている加熱手段を選択して電力供給することができる。
具体的には、供給制御部103aは、第1供給条件に基づいて、下位ランクの加熱手段の加熱による被加熱部材の温度検出結果と目標温度との差分が最も大きい被加熱部材を加熱する下位ランクの加熱手段を選択する。これにより、目標温度を最も大きく下回った被加熱部材を加熱することができるので、特定の加熱手段により加熱される被加熱部材の温度のみが低下または上昇することを防止することができる。
また、供給制御部103aは、下位ランクの加熱手段により加熱される被加熱部材の温度検出結果と目標温度との差分が等しい場合、第2供給条件に基づいて、加熱手段に電力が供給されていない期間が最も長い下位ランクの加熱手段を選択する。なお、本実施の形態では、第2供給条件は、加熱手段1〜3(112〜114)が下位ランクに分類されている間における加熱手段に電力供給されていない期間(以下、消灯期間とする)の大小であるものとする。供給制御部103aは、下位ランクに分類されている間の加熱手段の消灯期間だけを計測することにより、リソースの節約を図ることができる。具体的には、供給制御部103aは、ゼロクロス検出回路118から入力される検知信号のタイミングに基づいて計測した一定周期(1秒)経過する度に、各加熱手段1〜3(112〜114)の図示しないカウンタ(以下、消灯期間カウンタとする)をインクリメントして、各加熱手段1〜3(112〜114)に電力が供給されていない消灯期間を計測する。なお、供給制御部103aは、加熱手段1〜3(112〜114)への電力供給が開始されると、電力供給が開始された加熱手段に対応する消灯期間カウンタの消灯期間をクリアする。また、消灯期間カウンタは、下位ランクの加熱手段についてのみ消灯期間を計測してもよい。
さらに、供給制御部103aは、下位ランクの加熱手段の消灯期間が等しい場合、第3供給条件に基づいて、被加熱部材の温度検出結果に基づく点灯Dutyが最も大きい下位ランクの加熱手段を選択する。本実施の形態では、供給制御部103aは、記憶手段123に記憶された温度テーブルにおいて、被加熱部材の温度検出結果と対応付けられた点灯Dutyが最も大きい下位ランクの加熱手段を選択する。なお、本実施の形態では、温度テーブルを用いて下位ランクの加熱手段の点灯Dutyを特定したが、これに限定するものではない。例えば、供給制御部103aは、被加熱部材の温度検出結果に基づいて、被加熱部材の温度を目標温度まで上げるために必要な点灯Dutyを算出し、算出した点灯Dutyが最も大きい下位ランクの加熱手段を選択しても良い。点灯Dutyは、PID制御または点灯Dutyを導出可能な関係式により算出する。
図6は、(3)プリントおよびコピーの待機時に下位ランクの加熱手段に電力供給する処理の一例を示す説明図である。なお、加熱手段1(112)は、プリントおよびコピーの待機時において、上位ランクに分類されるため、温度検出回路1(119)による加熱ローラ131の温度検出結果が目標温度を下回っている全ての状態で電力供給される。
まず、温度検出制御タイミング(1)においては、下位ランクの加熱手段2(113)および加熱手段3(114)により加熱される加熱ローラ131および加圧ローラ125の温度がともに目標温度に達しているため、加熱手段2(113)および加熱手段3(114)ともに電力供給は行われない。
一方、温度検出制御タイミング(2)および(3)においては、下位ランクの加熱手段2(113)および加熱手段3(114)により加熱される加熱ローラ131および加圧ローラ125ともに目標温度を下回っているため、加熱手段2(113)および加熱手段3(114)ともに電力供給が必要である。しかし、加熱手段2(113)および加熱手段3(114)は、下位ランクに分類されているため、供給制御部103aは、加熱手段2(113)または加熱手段3(114)を選択して電力供給する。具体的には、温度検出制御タイミング(2)および(3)では、加圧ローラ125の温度と目標温度との差分の方が、加熱ローラ131の温度と目標温度の差分よりも大きいため、加熱手段3(114)にのみ電力供給される。なお、温度検出制御タイミング(2)においては、電力供給開始から最初の100s間の電力供給率を60%とすることにより、加熱手段3(114)による加熱をソフトスタートさせる。また、温度検出制御タイミング(3)においては、電力供給開始から最初の100s間の電力供給率を70%とすることにより、加熱手段3(114)による加熱をソフトスタートさせる。
なお、本実施の形態では、電力供給開始から最初の100s間の電力供給率を60%、70%などにすることにより、加熱手段による加熱をソフトスタートさせることとしたが、加熱手段による加熱を段階的に上昇させるものであれば、これに限定するものではない。
また、本実施の形態では、点灯Dutyにソフトスタートの時間:100msを含めたが、これに限定するものではない。例えば、ソフトスタートやソフトストップの時間を含めない点灯Dutyにより加熱手段に電力を供給してもよい。ここで、ソフトスタート/ソフトストップとは、加熱手段に供給する電力量を、段階的に増加または減少させる制御であり、制御部103により制御されるものとする。これにより、電力供給に伴い発生する電圧変動を抑えることができる。
また、温度検出制御タイミング(4)においては、下位ランクの加熱手段2(113)および加熱手段3(114)により加熱される加熱ローラ131および加圧ローラ125ともに目標温度を下回っているため、加熱手段2(113)および加熱手段3(114)ともに電力供給が必要である。しかし、加熱手段2(113)および加熱手段3(114)は、下位ランクに分類されているため、供給制御部103aは、加熱手段2(113)または加熱手段3(114)を選択して電力供給する。具体的には、温度検出制御タイミング(4)では、加圧ローラ125の温度と目標温度との差分と、加熱ローラ131の温度と目標温度との差分と、が等しいが、加熱手段2(113)の方が加熱手段3(114)よりも消灯期間が長いため、加熱手段2(113)にのみ電力供給する。なお、温度検出制御タイミング(4)においては、電力供給開始から最初の100s間の電力供給率を40%とすることにより、加熱手段2(113)による加熱をソフトスタートさせる。
また、仮に、温度検出制御タイミング(4)において加熱手段2(113)および加熱手段3(114)の消灯期間が等しかった場合には、加熱手段2(113)および加熱手段3(114)それぞれの点灯Dutyを特定し、点灯Dutyが大きい方に電力供給する。例えば、加熱手段2(113)の点灯Dutyが40%で、加熱手段3(114)の点灯Dutyが60%の場合には、加熱手段3(114)に電力供給する。
なお、本実施の形態では、第1供給条件(被加熱部材の温度検出結果)、第2供給条件(加熱手段の消灯期間)、または第3供給条件(加熱手段の点灯Duty)に基づいて、電力供給する加熱手段を選択したが、これに限定するものではない。例えば、予め設定された加熱手段ごとの順位や各加熱手段の消費電力量等を用いて、電力供給する加熱手段を選択しても良い。
このように、下位ランクに分類された加熱手段のうち1本にのみ電力供給を行うことにより、(4)待機時は上位ランクの加熱手段と合わせて、同一制御周期では最大2本の加熱手段にしか電力供給が行われないため、フリッカを抑制しつつ、各動作モードに適した電圧制御を実現することができる。
次に、図7を用いて、プリントおよびコピーの待機時に、下位ランクの加熱手段に電力供給する処理の手順について説明する。図7は、(3)プリントおよびコピーの待機時に下位ランクの加熱手段に電力供給する処理の手順を示すフローチャートである。
供給制御部103aは、一定周期カウンタにより計測される時間が一定周期を経過したか否かを判断する(ステップS401)。一定周期カウンタの計測値が一定周期を経過した場合(ステップS401:Yes)、供給制御部103aは、複合機200にフリッカ優先モードが設定されているか否かを判断する(ステップS402)。なお、フリッカ優先モードは、ユーザまたはサービスマンが複合機200の操作画面(図示しない)などから任意に設定できるものとする。フリッカ優先モードが設定されていない場合(ステップS402:No)、供給制御部103aは、各加熱手段1〜3(112〜114)のランクに関わらず、被加熱部材が目標温度を下回っている全ての状態で、温度テーブルから、被加熱部材の温度検出結果と目標温度との差分と対応付けられた点灯Dutyを特定し、特定した点灯Dutyに従って電力供給信号を出力する(ステップS406)。そして、電力供給信号を出力した後、供給制御部103aは、一定周期カウンタをクリアする(ステップS405)。
一方、フリッカ優先モードが設定されている場合(ステップS402:Yes)、供給制御部103aは、被加熱部材の温度検出結果を基に、温度検出結果が目標温度を下回った被加熱部材を加熱する加熱手段のうち、上位ランクに分類された加熱手段1(112)の点灯Dutyを特定し、特定した点灯Dutyに従って電力供給信号を出力する(ステップS403)。次に、供給制御部103aは、被加熱部材の温度検出結果を基に、温度検出結果が目標温度を下回った被加熱部材を加熱する加熱手段のうち、下位ランクの加熱手段2(113)または加熱手段3(114)を選択し、選択した加熱手段の点灯Dutyを特定し、特定した点灯Dutyに従って電力供給信号を出力する(ステップS404)。電力供給信号を出力した後、供給制御部103aは、一定周期カウンタをクリアする(ステップS405)。
なお、ステップS401において一定周期カウンタにより計測される時間が一定周期に達していないと判断された場合(ステップS401:No)、供給制御部103aは、一定周期カウンタにより計測される時間をインクリメントする(ステップS407)。
次に、図8〜10を用いて、図7に示すステップS404の処理を詳細に説明する。図8〜10は、下位ランクに分類された加熱手段の中から電力供給する加熱手段を選択する処理手順を示すフローチャートである。
まず、供給制御部103aは、温度検出回路2(120)から加熱ローラ131の温度検出結果を取得し、加熱ローラ131の温度が目標温度を下回っているか否かを判断する(ステップS501)。加熱ローラの208の温度が目標温度を下回っていた場合(ステップS501:Yes)、供給制御部103aは、加熱手段2(113)の電力供給判定フラグをセットする(ステップS502)。なお、加熱ローラ131の温度が目標温度を下回っていない場合(ステップS501:No)、供給制御部103aは、電力供給判定フラグのセットは行わない。
次に、供給制御部103aは、温度検出回路3(121)から加圧ローラ125の温度検出結果を取得し、加圧ローラ125の温度が目標温度を下回っているか否かを判断する(ステップS503)。加圧ローラ125の温度が目標温度を下回っていた場合(ステップS503:Yes)、供給制御部103aは、加熱手段3(114)の電力供給判定フラグをセットする(ステップS504)。なお、加圧ローラ125の温度が目標温度を下回っていない場合(ステップS503:No)、供給制御部103aは、電力供給判定フラグのセットは行わない。
次に、供給制御部103aは、加熱手段2(113)に電力供給判定フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS505)。加熱手段2(113)に電力供給判定フラグがセットされていない場合(ステップS505:No)、供給制御部103aは、加熱手段3(114)に電力供給判定フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS508)。
そして、加熱手段3(114)に電力供給判定フラグがセットされている場合(ステップS508:Yes)、供給制御部103aは、温度テーブルから、温度検出回路3(121)から取得した加圧ローラ125の温度検出結果と目標温度との差分と対応付けられた点灯Dutyを特定(または算出)し、特定した点灯Dutyに従って、電力供給信号を電圧供給回路3(117)に出力する(ステップS509)。さらに、供給制御部103aは、加熱手段2(113)の消灯期間カウンタのインクリメント、加熱手段3(114)の消灯期間カウンタのクリア、および加熱手段3(114)にセットされた電力供給判定フラグのクリアを実行する(ステップS509)。なお、加熱手段3(114)に電力供給判定フラグがセットされていない場合(ステップS508:No)、供給制御部103aは、加熱手段2(113)および加熱手段3(114)への電力供給を行わない。
一方、加熱手段2(113)に電力供給判定フラグがセットされている場合(ステップS505:Yes)、供給制御部103aは、加熱手段3(114)に電力供給判定フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS506)。加熱手段3(114)に電力供給判定フラグがセットされていなかった場合(ステップS506:No)、供給制御部103aは、温度テーブルから、温度検出回路2(120)から取得した加熱ローラ131の温度検出結果と目標温度との差分と対応付けられた点灯Dutyを特定(または算出)し、特定した点灯Dutyに従って電力供給信号を電圧供給回路2(116)に出力する(ステップS507)。さらに、供給制御部103aは、加熱手段3(114)の消灯期間カウンタのインクリメント、加熱手段2(113)の消灯期間カウンタのクリア、および加熱手段2(113)にセットされた電力供給判定フラグのクリアを実行する(ステップS507)。
また、加熱手段2(113)および加熱手段3(114)に電力供給判定フラグがセットされている場合(ステップS506:Yes)、供給制御部103aは、加熱ローラ131の温度検出結果と目標温度との差分、および加圧ローラ125の温度検出結果と目標温度との差分を算出する(ステップS510)。なお、各被加熱部材の温度検出結果と目標温度との差分に係数を乗算してもよい。そして、供給制御部103aは、加熱ローラ131の温度検出結果と目標温度との差分と、加圧ローラ125の温度検出結果と目標温度との差分と、が等しいか否かを判断する(ステップS511)。
まず、加熱ローラ131の温度検出結果と目標温度との差分と、加圧ローラ125の温度検出結果と目標温度との差分と、が等しくなかった場合(ステップS511:No)の処理について説明する。まず、供給制御部103aは、加熱ローラ131の温度検出結果と目標温度との差分が、加圧ローラ125の温度検出結果と目標温度との差分より大きいか否かを判断する(ステップS520)。
加熱ローラ131の温度検出結果と目標温度との差分が、加圧ローラ125の温度検出結果と目標温度との差分より大きい場合(ステップS520:Yes)、供給制御部103aは、上述したステップS507と同様の処理を行う(ステップS521)。
一方、加熱ローラ131の温度検出結果と目標温度との差分が、加圧ローラ125の温度検出結果と目標温度との差分以下の場合(ステップS520:No)、供給制御部103aは、上述したステップS509と同様の処理を行う(ステップS522)。
次に、加熱ローラ131の温度検出結果と目標温度との差分と、加圧ローラ125の温度検出結果と目標温度との差分と、が等しい場合(ステップS511:Yes)の処理について説明する。まず、供給制御部103aは、加熱手段2(113)の消灯期間と加熱手段3(114)の消灯期間とが等しいか否かを判断する(ステップS512)。
加熱手段2(113)の消灯期間と加熱手段3(114)の消灯期間とが等しくない場合(ステップS512:No)、供給制御部103aは、加熱手段2(113)の消灯期間が加熱手段3(114)の消灯期間より長いか否かを判断する(ステップS517)。そして、加熱手段2(113)の消灯期間が加熱手段3(114)の消灯期間より長い場合(ステップS517:Yes)、供給制御部103aは、上述したステップS507と同様の処理を行う(ステップS518)。
一方、加熱手段2(113)の消灯期間が加熱手段3(114)の消灯期間以下の場合(ステップS517:No)、供給制御部103は、上述したステップS509と同様の処理を行う(ステップS519)。
また、加熱手段2(113)の消灯期間と加熱手段3(114)の消灯期間が等しい場合(ステップS512:Yes)、供給制御部103aは、温度テーブルから、加熱ローラ131の温度検出結果と目標温度との差分および加圧ローラ125の温度検出結果と目標温度との差分それぞれと対応付けられた加熱手段2(113)および加熱手段3(114)の点灯Dutyを特定(または算出)する(ステップS513)。そして、供給制御部103aは、加熱手段2(113)の点灯Dutyが加熱手段3(114)の点灯Dutyより大きいか否かを判断する(ステップS514)。
加熱手段2(113)の点灯Dutyが加熱手段3(114)の点灯Dutyより大きい場合(ステップS514:Yes)、供給制御部103aは、上述したステップS507と同様の処理を行う(ステップS515)。
一方、加熱手段2(113)の点灯Dutyが加熱手段3(114)の点灯Duty以下である場合(ステップS514:No)、供給制御部103aは、上述したステップS509と同様の処理を行う(ステップS516)。
このように、動作モードの加熱手段のランクに基づいて、下位ランクに分類された加熱手段のうち1本にしか電力供給を行わないことにより、待機モード時は上位ランクの加熱手段と合わせて、同一制御周期では最大2本の加熱手段にしか電力供給が行われないため、フリッカを抑制しつつ、各動作モードに適した電圧制御を実現することができる。
図11は、(5)省エネモード時に下位ランクの加熱手段に電力供給する処理の一例を示す説明図である。
温度検出制御タイミング(1)においては、温度検出回路1(119)で検出された加熱ローラ131の温度のみが目標温度を下回っているため、加熱手段1(112)のみ電力供給が必要である。そのため、加熱手段1(112)のみに電力が供給される。なお、温度検出制御タイミング(1)においては、電力供給開始から最初の100s間の電力供給率を80%とすることにより、加熱手段1(112)による加熱をソフトスタートさせる。
温度検出制御タイミング(2)においては、温度検出回路2(120)で検出された加熱ローラ131の温度および温度検出回路3(121)で検出された加圧ローラ125の温度が目標温度を下回っているため、加熱手段2(113)および加熱手段3(114)ともに電力供給が必要である。しかし、加熱手段2(113)および加熱手段3(114)は、下位ランクに分類されているため、供給制御部103aは、加熱手段2(113)または加熱手段3(114)を選択して電力供給する。具体的には、温度検出制御タイミング(2)では、温度検出回路3(121)で検出された加圧ローラ125の温度と目標温度との差分の方が、温度検出回路2(120)で検出された加熱ローラ131の温度の目標温度との差分より大きいため、加熱手段3(114)にのみ電力が供給される。なお、温度検出制御タイミング(2)においては、電力供給開始から最初の100s間の電力供給率を60%とすることにより、加熱手段3(114)による加熱をソフトスタートさせる。
温度検出制御タイミング(3)においては、温度検出回路1(119)で検出された加熱ローラ131の温度、温度検出回路2(120)で検出された加熱ローラ131の温度、および温度検出回路3(121)で検出された加圧ローラ125の温度ともに目標温度を下回っているため、加熱手段1〜3(112〜114)の全てに電力供給する必要がある。しかし、加熱手段1〜3(112〜114)の全てが下位ランクに分類されているため、供給制御部103aは、加熱手段1〜3(112〜114)の中から1つの加熱手段を選択して電力供給する。具体的には、温度検出制御タイミング(3)では、温度検出回路3(121)で検出された加圧ローラ125の温度と目標温度との差分が、温度検出回路1(119)および温度検出回路2(120)で検出された温度と目標温度との差分より大きいため、加熱手段3(114)にのみ電力が供給される。なお、温度検出制御タイミング(3)においては、電力供給開始から最初の100s間の電力供給率を70%とすることにより、加熱手段3(114)による加熱をソフトスタートさせる。
温度検出制御タイミング(4)は、温度検出制御タイミング(3)と同様に、温度検出回路1(119)で検出された加熱ローラ131の温度、温度検出回路2(120)で検出された加熱ローラ131の温度、および電圧検出回路3(121)で検出された加圧ローラ125の温度ともに目標温度を下回っているため、加熱手段1〜3(112〜114)の全てに電力供給する必要がある。しかし、加熱手段1〜3(112〜114)の全てが下位ランクに分類されているため、供給制御部103aは、加熱手段1〜3(112〜114)の中から1つの加熱手段を選択して電力供給する。具体的には、温度検出制御タイミング(4)では、温度検出回路1(119)で検出された加熱ローラ131の温度と目標温度との差分、温度検出回路2(120)で検出された加熱ローラ131の温度と目標温度との差分、および温度検出回路3(121)で検出された加圧ローラ125の温度と目標温度との差分が全て等しい。しかし、温度検出制御タイミング(4)では、加熱手段2(113)が他の加熱手段よりも消灯期間が長いため、加熱手段2(113)を選択して電力供給する。なお、温度検出制御タイミング(4)においては、電力供給開始からの最初の100s間の電力供給率を40%とすることにより、加熱手段2(113)による加熱をソフトスタートさせる。
このように、動作モードの加熱手段のランクに基づいて、下位ランクに分類された加熱手段のうち同一制御周期に1本の加熱手段にしか電力供給が行われないため、フリッカを抑制することができる。
図12は、(5)省エネモード時に下位ランクの加熱手段に電力供給する処理の手順を示すフローチャートである。なお、図12に示すように、(5)省エネモード時に下位ランクの加熱手段に電力供給する処理の手順は、図7に示す処理手順と同様であるため、ここでは説明を省略する。
図13〜15は、下位ランクに分類された加熱手段の中から電力供給する加熱手段を選択する処理手順を示すフローチャートである。
まず、供給制御部103aは、温度検出回路1(119)から加熱ローラ131の温度検出結果を取得し、温度検出回路1(119)で検出された加熱ローラ131の温度が目標温度を下回っているか否かを判断する(ステップS801)。加熱ローラ131の温度が目標温度を下回っている場合(ステップS801:Yes)、供給制御部103aは、加熱手段1(112)の電力供給判定フラグをセットする(ステップS802)。なお、加熱ローラ131の温度が目標温度を下回っていない場合(ステップS801:No)、供給制御部103aは、電力供給判定フラグのセットは行わない。ステップS803〜ステップS806の処理は、図8に示す処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。
次に、供給制御部103aは、加熱手段1(112)に電力供給判定フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS807)。加熱手段1(112)に電力供給判定フラグがセットされていない場合(ステップS807:No)、供給制御部103aは、加熱手段2(113)に電力供給判定フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS815)。加熱手段2(113)に電力供給判定フラグがセットされていない場合(ステップS815:No)、供給制御部103aは、加熱手段3(114)に電力供給判定フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS818)。
加熱手段3(114)に電力供給判定フラグがセットされていない場合(ステップS818:No)、供給制御部103aは、加熱手段1〜3(112〜114)への電力供給を行わない。一方、加熱手段3(114)に電力供給判定フラグがセットされている場合(ステップS818:Yes)、供給制御部103aは、温度テーブルから、温度検出回路3(121)から取得した加圧ローラ125の温度検出結果と目標温度との差分と対応付けられた点灯Dutyを特定(または算出)し、特定した点灯Dutyに従って電力供給信号を電圧供給回路3(117)に出力する(ステップS819)。さらに、供給制御部103aは、加熱手段1(112)および加熱手段2(113)の消灯期間カウンタのインクリメント、加熱手段3(114)の消灯期間カウンタのクリア、および加熱手段3(114)にセットされた電力供給判定フラグのクリアを実行する(ステップS819)。
また、加熱手段2(113)に電力供給判定フラグがセットされている場合(ステップS815:Yes)、供給制御部103aは、加熱手段3(114)に電力供給判定フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS816)。ここで、加熱手段3(114)に電力供給判定フラグがセットされていない場合(ステップS816:No)、供給制御部103aは、温度テーブルから、温度検出回路2(120)から取得した加熱ローラ131の温度検出結果と目標温度との差分と対応付けられた点灯Dutyを特定(または算出)し、特定した点灯Dutyに従って電力供給信号を電圧供給回路2(116)に出力する(ステップS817)。さらに、供給制御部103aは、加熱手段1(112)および加熱手段3(114)の消灯期間カウンタのインクリメント、加熱手段2(113)の消灯期間カウンタのクリア、および加熱手段2(113)にセットされた電力供給判定フラグのクリアを実行する(ステップS817)。なお、加熱手段3(114)に電力供給判定フラグがセットされている場合(ステップS816:Yes)、図15に示す処理に進む。
また、加熱手段1(112)に電力供給判定フラグがセットされている場合(ステップS807:Yes)、供給制御部103aは、加熱手段2(113)に電力供給判定フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS808)。加熱手段2(113)に電力供給判定フラグがセットされている場合(ステップS808:Yes)、図15に示す処理に進む。
さらに、加熱手段2(113)に電力供給判定フラグがセットされていない場合(ステップS808:No)、供給制御部103aは、加熱手段3(114)に電力供給判定フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS812)。そして、加熱手段3(114)に電力供給判定フラグがセットされていない場合(ステップS812:No)、供給制御部103aは、温度テーブルから、温度検出回路1(119)から取得した加熱ローラ131の温度検出結果と目標温度との差分と対応付けられた点灯Dutyを特定(または算出)し、特定した点灯Dutyに従って電力供給信号を電圧供給回路1(115)に出力する(ステップS814)。さらに、供給制御部103aは、加熱手段2(113)および加熱手段3(114)の消灯期間カウンタのインクリメント、加熱手段1(112)の消灯期間カウンタのクリア、および加熱手段1(112)にセットされた電力供給判定フラグのクリアを実行する(ステップS814)。なお、加熱手段3(114)に電力供給判定フラグがセットされている場合(ステップS812:Yes)、図15に示す処理に進む。
次に、ステップS808、ステップS812、またはステップS816において2つ以上の加熱手段に電力供給判定フラグがセットされていると判断された場合の処理について説明する。
まず、供給制御部103aは、電力供給判定フラグがセットされた各加熱手段により加熱される被加熱部材(加熱ローラ131、加圧ローラ125)の温度と、目標温度との差分を算出する(ステップS820)。そして、供給制御部103aは、算出された差分同士が等しいか否かを判断する(ステップS821)。
算出された差分同士が等しくない場合(ステップS821:No)、供給制御部103aは、差分が最も大きい被加熱部材を加熱する加熱手段の点灯Dutyを特定し、特定した点灯Dutyに従って電力供給信号を電圧供給回路に出力する(ステップS825)。さらに、供給制御部103aは、点灯しない加熱手段の消灯期間カウンタのインクリメント、点灯する加熱手段の消灯期間カウンタのクリア、および点灯する加熱手段にセットされた電力供給判定フラグのクリアを実行する(ステップS825)。
一方、算出された差分同士が等しい場合(ステップS821:Yes)、供給制御部103aは、各加熱手段の消灯期間カウンタにより計測された消灯期間が等しいか否かを判断する(ステップS822)。各加熱手段の消灯期間が異なる場合(ステップS822:No)、供給制御部103aは、消灯期間が最も長い加熱手段の点灯Dutyを特定し、特定した点灯Dutyに従って電力供給信号を電圧供給回路に出力する(ステップS826)。さらに、供給制御部103aは、点灯しない加熱手段の消灯期間カウンタのインクリメント、点灯する加熱手段の消灯期間カウンタのクリア、および点灯する加熱手段にセットされた電力供給判定フラグのクリアを実行する(ステップS826)。
また、各加熱手段の消灯期間が等しい場合(ステップS822:Yes)、供給制御部103aは、各加熱手段の点灯Dutyを特定(または算出)する(ステップS823)。そして、供給制御部103aは、特定した点灯Dutyが最も大きい加熱手段を選択するとともに、特定した点灯Dutyに従って電力供給信号を電圧供給回路に出力する(ステップS824)。さらに、供給制御部103aは、点灯しない加熱手段の消灯期間カウンタのインクリメント、点灯する加熱手段の消灯期間カウンタのクリア、および点灯する加熱手段にセットされた電力供給判定フラグのクリアを実行する(ステップS824)。
このように、本実施の形態によれば、下位ランクに分類された2つの加熱手段のうち、1つのみに電力供給することにより、加熱手段への電力供給による電源電圧の変動を低減できるので、フリッカを抑制することができる。
(変形例1)
上述の実施の形態では、下位ランクに分類された加熱手段の中から1つの加熱手段を選択して電力供給したが、本変形例では、上位ランクに分類された加熱手段への電力供給の有無に応じて、下位ランクに分類された加熱手段の中から複数の加熱手段を選択して電力供給する。例えば、上位ランクに分類された加熱手段に電力供給が行われていない場合は、下位ランクに分類された加熱手段を2個選択して電力供給しても、加熱手段の電力容量や消費電流の条件によっては、フリッカの低減を図る効果がある。なお、第1実施の形態と同様の構成について説明を省略し、第1実施の形態と異なる構成のみを説明する。
供給制御部103aは、上位ランクに分類された加熱手段に電力供給されていない場合、下位ランクに分類された加熱手段の中から2つの加熱手段を選択して電力供給する。本変形例は、同時に電力供給される加熱手段を最大2個に制限している点で、上述の実施の形態と変わらないため、上述の実施の形態と同様にフリッカを抑制することができる。
このように、本変形例では、上位ランクに分類された加熱手段に電力供給されていない場合に、下位ランクに分類された2つの加熱手段に電力供給する。
図16は、(3)プリンタおよびコピー待機時に加熱手段に電力供給する処理の一例を示す説明図である。
まず、温度検出制御タイミング(1)においては、温度検出回路1(119)で検出された加熱ローラ131の温度のみが目標温度を下回っているため、加熱手段1(112)のみ電力供給が必要である。そのため、加熱手段1(112)のみに電力が供給される。なお、温度検出制御タイミング(1)においては、電力供給開始から最初の100s間の電力供給率を80%とすることにより、加熱手段1(112)による加熱をソフトスタートさせている。
温度検出制御タイミング(2)においては、温度検出回路2(120)で検出された加熱ローラ131の温度および温度検出回路3(121)で検出された加圧ローラ125の温度が目標温度を下回っているため、加熱手段2(113)および加熱手段3(114)ともに電力供給が必要である。ここで、温度検出制御タイミング(2)では、上位ランクに分類されている加熱手段1(112)により加熱される加熱ローラ131の温度が目標温度を上回っているため、供給制御部103aは、下位ランクに分類された加熱手段2(113)および加熱手段3(114)を選択して電力供給する。なお、温度検出制御タイミング(2)においては、電力供給開始から最初の100s間の電力供給率を40%とすることにより、加熱手段2(113)による加熱をソフトスタートし、電力供給開始から最初の100s間の電力供給率を60%とすることにより、加熱手段3(115)による加熱をソフトスタートさせる。
なお、本実施の形態では、同一制御周期で2つの加熱手段に電力供給することによるフリッカを抑制するために、供給制御部103aは、一方の加熱手段2(113)への電力供給を開始(ソフトスタート開始)してから、100ms後に他方の加熱手段3(114)への電力供給を開始させている。加熱手段の電力供給の開始の間隔は、100msではなく、200ms、50msなどであってもよい、また、本実施の形態では、加熱手段2(113)から電力供給を開始したが、加熱手段3(114)から電力供給を開始してもよい。
温度検出制御タイミング(3)においては、温度検出回路1(119)で検出された加熱ローラ131の温度、温度検出回路2(120)で検出された加熱ローラ131の温度、および温度検出回路3(121)で検出された加圧ローラ125の温度が目標温度を下回っているため、加熱手段1(112)、加熱手段2(113)および加熱手段3(114)ともに電力供給が必要である。ここで、温度検出制御タイミング(3)では、上位ランクに分類されている加熱手段1(112)により加熱される加熱ローラ131の温度が目標温度を下回っているため、加熱手段1(112)に電力供給する。しかし、加熱手段2(113)および加熱手段3(114)は下位ランクに分類されているため、供給制御部103aは、加熱手段2(113)または加熱手段3(114)を選択して電力供給する。なお、温度検出制御タイミング(3)においては、加熱ローラ131の温度検出結果と目標温度との差分よりも、加圧ローラ125の温度検出結果と目標温度との差分の方が大きい。そのため、供給制御部103aは、加熱手段3(115)を選択して電力供給する。
なお、本実施の形態では、同一制御周期で2つの加熱手段に電力供給することによるフリッカを抑制するために、供給制御部103aは、一方の加熱手段1(112)への電力供給を開始(ソフトスタート開始)してから、100ms後に他方の加熱手段3(114)への電力供給を開始させている。加熱手段の電力供給の開始の間隔は、100msではなく、200ms、50msなどであってもよい、また、本実施の形態では、加熱手段1(112)から電力供給を開始したが、加熱手段3(114)から電力供給を開始してもよい。
温度検出制御タイミング(4)においては、温度検出回路1(119)で検出された加熱ローラ131の温度、温度検出回路2(120)で検出された加熱ローラ131の温度、および温度検出回路3(121)で検出された加圧ローラ125の温度が目標温度を下回っているため、加熱手段1(112)、加熱手段2(113)および加熱手段3(114)ともに電力供給が必要である。ここで、温度検出制御タイミング(3)では、上位ランクに分類されている加熱手段1(112)により加熱される加熱ローラ131の温度が目標温度を下回っているため、加熱手段1(112)に電力供給する。しかし、加熱手段2(113)および加熱手段3(114)は下位ランクに分類されているため、供給制御部103aは、加熱手段2(113)または加熱手段3(114)を選択して電力供給する。なお、温度検出制御タイミング(3)においては、加熱ローラ131の温度検出結果と目標温度との差分と、加圧ローラ125の温度検出結果と目標温度との差分と、が等しい。そのため、供給制御部103aは、加熱手段2(113)の消灯期間と加熱手段3(114)の消灯期間とを比較し、消灯期間が長い加熱手段2(113)を選択して電力供給する。
なお、本実施の形態では、同一制御周期で2つの加熱手段に電力供給することによるフリッカを抑制するために、供給制御部103aは、一方の加熱手段1(112)への電力供給を開始(ソフトスタート開始)してから、100ms後に他方の加熱手段2(113)への電力供給を開始させている。加熱手段の電力供給の開始の間隔は、100msではなく、200ms、50msなどであってもよい、また、本実施の形態では、加熱手段1(112)から電力供給を開始したが、加熱手段2(113)から電力供給を開始してもよい。
このように、上位ランクの加熱手段に電力供給されていない場合には、下位ランクの加熱手段を追加で電力供給させても、同一制御周期で同時に電力供給される加熱手段の数を最大2個に制限できるので、加熱手段の電力容量、消費電流によっては、フリッカを抑制することができる。なお、本変形例にかかる処理は、上位ランクに分類された加熱手段が1個以上ある場合である。
また、本変形例にかかる処理は、4つの加熱手段がある場合も適用することができる。具体的には、ある動作モードで上位ランクの加熱手段が2個、下位ランクの加熱手段も2個分類されているとする。上位ランクの加熱手段2個がともに電力供給されていない場合または片方の1個に電力供給されている場合は、下位ランクに分類された2個の加熱手段に電力供給される。また、ある動作モードで上位ランクの加熱手段が1個、下位ランクの加熱手段が3個であり、上位ランクの加熱手段に電力供給されていない場合には、最大2個の下位ランクの加熱手段に対して同一制御周期において電力供給が可能である。
図17は、下位ランクに分類された加熱手段の中から電力供給する加熱手段を選択する処理手順を示すフローチャートである。
図17に示すステップS1003以降の処理は、図10に示す処理と同様であるため、説明を省略する。まず、供給制御部103aは、上位ランクに分類された加熱手段1(112)に電力が供給されているか否かを判断する(ステップS1001)。ここで、加熱手段1(112)に電力が供給されている場合(ステップS1001:Yes)、ステップS1003以降の処理に進む。
一方、加熱手段1(112)に電力が供給されていない場合(ステップS1001:No)、供給制御部103aは、温度テーブルから、温度検出回路2(120)から取得した加熱ローラ131の温度検出結果と目標温度との差分および温度検出回路3(121)から取得した加圧ローラ125の温度検出結果と目標温度との差分それぞれと対応付けられた点灯Dutyを特定し、特定した各点灯Dutyに従って電力供給信号を電圧供給回路2(116)および電圧供給回路3(117)に出力する(ステップS1002)。さらに、供給制御部103aは、加熱手段2(113)および加熱手段3(114)の消灯時間カウンタのクリア、および加熱手段2(113)および加熱手段3(114)にセットされた電力供給判定フラグのクリアを実行する(ステップS1002)。
このように、本変形例よれば、上位ランクに分類された加熱手段への電力供給の有無に応じて、下位ランクに分類された加熱手段の中から複数の加熱手段を選択して電力供給することにより、電力供給する加熱手段を2つに制限することができるので、フリッカを抑制することができる。
(第2の実施の形態)
上述の実施の形態では、加熱手段を3つ備えた定着装置について説明したが、加熱手段を3つ以上備えた定着装置に同様に本願発明を適用することが可能である。なお、第1の実施の形態と同様の構成および処理については、説明を省略する。
図18は、本実施の形態にかかる定着装置の構成例を示す説明図である。図19は、本実施の形態にかかる定着装置を主とした制御系の構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかる定着装置1200は、図18に示すように、加熱ローラ131を加熱する加熱手段4(1101)、および定着ローラ124の表面に当接され、定着ローラ124の表面温度を検出するサーミスタを含む温度検出回路4(1103)が追加された点において、図2に示す定着装置221と異なる。また、本実施の形態にかかる制御系1900は、図19に示すように、上述した加熱手段4(1101)および温度検出回路4(1103)に加えて、制御部103から出力された電力供給信号に従って加熱手段4(1101)に電力供給する電圧供給回路4(1102)が追加された点において、図3に示す制御系100と異なる。なお、本実施の形態でも、上述の実施の形態と同様に、加熱手段にハロゲンヒータを用いた例を想定している。また、供給制御部103aによる加熱手段の選択処理については、第1の実施の形態とほぼ同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施の形態によれば、加熱手段を4つ備える場合であっても、上述の実施の形態と同様に、下位ランクに分類された加熱手段のうち、1つのみに電力供給することにより、加熱手段への電力供給による電源電圧の変動を低減できるので、フリッカを抑制することができる。
(第3の実施の形態)
上述の実施の形態では、被加熱部材の加熱手段としてハロゲンヒータを用いた例について説明したが、他の加熱手段を用いて被加熱部材を加熱することも可能である。なお、第1〜2にかかる複合機200と同様の構成および処理については、説明を省略する。
図20は、本実施の形態にかかる定着装置の構成例を示す説明図である。本実施の形態にかかる定着装置2000は、加熱ローラ131の加熱手段1(1301)としてIH定着方式のヒータを用い、かつ加圧ローラ125をハロゲンヒータである加熱手段2(1302)および加熱手段3(1303)により加熱する点で上述の実施の形態と異なる。なお、IH定着方式のヒータを用いた場合、当該IT定着方式のヒータは、動作モードに関わらず、常に、上位ランクの加熱手段に分類されるものとする。
これにより、通電開始時などに電圧変動が大きくなるハロゲンヒータを下位ランクの加熱手段に分類できるため、ハロゲンヒータによる電圧変動を防止すると同時に、フリッカを抑制することができる。
なお、上述の実施の形態の制御部103で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供されるが、上述の実施の形態の制御部103で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、上述の実施の形態の制御部103で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上述の実施の形態の制御部103で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
上述の実施の形態の制御部103で実行されるプログラムは、上述した供給制御部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU122(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、供給制御部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
なお、本発明は、上記実施の形態とそのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要件の適宜な組合せにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。