JP5661435B2 - 定着装置、画像形成装置、定着装置の温度制御方法、プログラムおよびその記録媒体 - Google Patents

定着装置、画像形成装置、定着装置の温度制御方法、プログラムおよびその記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に備えられる定着装置、および上記定着装置における温度制御方法に関するものである。
複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着装置として、熱ローラ定着方式の定着装置が多用されている。熱ローラ定着方式の定着装置は、互いに圧接されたローラ対(定着ローラ及び加圧ローラ)を備え、このローラ対の両方あるいは何れか一方の内部に配置されたハロゲンヒータ等からなる加熱手段によりローラ対を所定の温度(定着目標温度)に加熱した後、未定着トナー画像が形成された記録紙をローラ対の圧接部(定着ニップ部)に給紙し、圧接部を通過させることで熱と圧力によりトナー画像の定着を行うようになっている。
なお、カラー画像形成装置に備えられる定着装置においては、定着ローラ表層にシリコンゴム等からなる弾性層を設けた弾性ローラを用いることが一般的である。定着ローラを弾性ローラとすることで、定着ローラ表面が、未定着トナー画像の凹凸に対応して弾性変形し、トナー画像面を覆い包むように接触するため、モノクロに比べてトナー量の多いカラーの未定着トナー画像に対して良好に加熱定着を行うことが可能となる。
また、定着ニップ部出口での弾性層の歪み解放効果により、モノクロに比べてオフセットしやすいカラートナーに対して離型性を向上することができる。
さらに、定着ニップ部のニップ形状が上(定着ローラ側)に凸(所謂、逆ニップ形状)となることから、用紙の剥離性能を向上させることができ、剥離爪等の剥離手段を用いずとも用紙の剥離が可能となり(セルフストリッピング)、剥離手段に起因する画像欠陥を解消することができる。
また、このようなカラー定着装置において、プロセス速度(記録材の搬送速度)の高速化に対応するためには、定着ニップ部のニップ幅を広くする必要がある。また、ニップ幅を広くする手段としては、定着ローラの弾性層を厚くする方法と定着ローラ径を大きくする方法の2つがある。
しかしながら、従来のように定着ローラ内部に加熱手段がある構成においてプロセス速度を高速化する場合、定着ローラの弾性層を厚くする方法では、弾性層の熱伝導性が低いために定着ローラ表面への熱供給が不十分になり、定着ローラ表面の温度が低下してしまうという問題がある。一方、定着ローラ径を大きくする方法では、各ローラの熱容量が大きくなるので、ウォームアップ時間が長くなったり、消費電力が増大したりするという問題がある。
このような問題を解決するために、近年、定着ローラと加熱ローラとの間に定着ベルトを掛け渡し、定着ベルトを介して定着ローラと加圧ローラとを圧接させた構成のベルト定着方式のカラー定着装置が使用されるようになってきた。
この種のベルト定着方式の定着装置では、熱容量が小さい定着ベルトを加熱するためウォームアップ時間が短く、また定着ローラにハロゲンランプ等の熱源を内蔵する必要がないので、スポンジゴム等からなる低硬度の弾性層を厚く設けることができ、広いニップ幅を確保することができる。
ところで、上述したような熱ローラ定着方式あるいはベルト定着方式の定着装置において、さらなるウォームアップ時間の短縮を図るためには、加熱部材(定着ローラあるいは定着ベルト)の低熱容量化や加熱部材を加熱する加熱手段の高出力化を行うことが考えられる。しかしながら、加熱部材の低熱容量化や加熱手段の高出力化を行う場合、最適な温度制御が困難になり、加熱部材の温度が目標温度付近で大きく変動して大きな温度幅を持った温度変動(温度リップル)が生じてしまうという問題がある。
つまり、従来の定着装置の温度制御方法では、定着部材や加圧部材などの温度制御対象物の温度制御を行う際、温度制御対象物の現在の温度が目標温度より低ければ加熱手段への通電をONにし、高ければ加熱手段への通電をOFFするようになっている。この場合、温度制御対象物の熱容量が少ない場合、加熱手段からの供給熱量が多い場合、温度制御対象物の熱時定数が小さい場合、あるいは温度制御対象物の温度を検知する温度検知手段の熱時定数が大きい場合などに、温度制御対象物の温度が目標温度に到達してもすぐには温度上昇が収まらずに過剰に加熱してしまう場合がある。また、加熱手段による加熱を停止したときに、放熱や熱負荷の影響で急激な温度低下が生じてしまう場合もある。
温度リップルが大きいと、トナーが過剰に溶融して溶融トナーが記録紙と加熱部材(定着ローラあるいは定着ベルト)との間で粘着剤として作用し、記録紙が加熱部材に巻き付いたり、巻き付きまでには至らなくても定着後の画像表面が荒れてしまい画像劣化を引き起こしてしまったりする。また、加熱過多になると、熱エネルギーを余分に供給することになるので、消費電力が増大してしまう。また、加熱部材への供給熱量が不足してトナーを十分に溶融させることができず、定着不良を起こしてしまう場合もある。
そこで、加熱手段への通電を精密に制御する方法として、特許文献1に開示されているPID制御がある。
このPID制御は、比例制御(P動作)、積分制御(I動作)、微分制御(D動作)を組み合わせて、現在の温度状態や過去の制御状態などから、現在の加熱手段への出力を決定するものであり、これら3つの動作の各パラメータを制御対象に上手く合わせることができれば、温度リップルを劇的に抑制することが可能である。
特許文献1では、加熱部材の温度を検知する温度検知手段からの温度情報を元に加熱手段の出力値を細かく計算し、それに合わせて、通電量を緻密に制御することで、温度リップルの抑制を図っている。
しかしながら、特許文献1の技術では、温度リップルを抑制するために加熱手段への通電の制御周期を高速化する必要があるので、制御系を高速なものにする必要がある。
また、加熱部材の温度が短時間で急激に変化した場合に温度低下や温度リップルを効果的に抑制するためには加熱手段への出力を即座に最大値にする必要があるが、特許文献1のようなPID制御を用いる場合、加熱手段への出力を最大にして温度低下を抑制する動作に遅れが生じ、温度低下を十分に抑制できない場合が生じる。また、特許文献1の構成において加熱部材の温度が短時間で急激に変化した場合に加熱手段への出力を即座に変化させると、温度制御が不安定になって十分な温度リップル抑制効果が得られなくなる場合もある。
また、特許文献1の技術では、制御系の温度リップル抑制効果を高めるために、細かい制御周期で制御を行っているが、出力の変化周期が短くなるので、交流電源の高調波ノイズの原因になる場合がある。また、制御周期を短くする場合、各種パラメータの決定が容易ではなく、これら各種パラメータの調整に手間が掛かる場合が多い。
そこで、もっと簡便な制御系で温度リップルの抑制を行う方法として、特許文献2〜4には、現在の温度と目標温度との温度差と現在の温度遷移状態とから加熱手段への通電電力波形のデューティ比を決定し、加熱手段への通電をデューティ制御する方法が開示されている。
具体的には、特許文献2では、電源投入時に所定温度まで昇温するのに要した時間に基づいて複数のテーブルの中から温度制御に用いるテーブルを選択し、選択したテーブルを用いてデューティ制御を行っている。
また、特許文献3では、現在の温度と目標温度との温度差から温度区分を決定し、今回と前回の温度区分の変化に応じてデューティ制御を行っている。
また、特許文献4では、記録材の搬送状態の変化に応じて、記録材通過時はデューティ比を100%に設定し、記録材が通過してから次の記録材が搬送されるまでの記録材間では温度差と温度遷移状態とからデューティ比を設定して加熱手段への通電をディーティ制御している。
特開平9―258601号公報(平成9年10月3日公開) 特開2000―330418号公報(平成12年11月30日公開) 特開2007−3663号公報(平成19年1月11日公開) 特開2008−134377号公報(平成20年6月12日公開)
しかしながら、特許文献2〜4の方法では、十分な温度リップルの抑制効果が得られない場合がある。
具体的には、特許文献2では、環境や電源電圧変動などの外乱要因によって電源投入から所定温度に昇温するまでの時間にばらつきが生じるので、最適なデューティ比設定テーブルを選択することが困難であり、十分な温度リップルの抑制効果が得られない場合がある。
また、特許文献3では、現在の温度と目標温度との温度差から温度区分を決定し、今回と前回の温度区分の変化に応じてデューティ制御を行っているが、上記温度区分の変化では今回の温度区分を決定した直後の温度の変化傾向を予測することが困難であり、十分な温度リップルの抑制効果が得られない場合がある。
また、特許文献4では、記録材の通紙時にはデューティ比を100%に設定し、記録材間では温度差と温度遷移状態に基づいてデューティ比を設定しているが、記録材の搬送速度が速い場合や記録材同士の搬送間隔が短い場合には温度差と温度遷移状態に基づいて設定されるデューティ比で温度制御を行う時間が短くなるので、十分な温度リップルの抑制効果が得られない場合がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、定着部材の温度リップルを簡単かつ効果的に抑制することのできる定着装置および定着方法を提供することにある。
本発明の定着装置は、上記の課題を解決するために、回転可能に備えられた定着部材および加圧部材と、供給される電力量に応じた加熱量で上記定着部材を加熱する加熱部材と、上記加熱部材に供給する電力量を制御する温度制御部とを備え、上記定着部材と上記加圧部材との間に挿入される記録材を上記定着部材と上記加圧部材とで挟持しながら搬送することによって上記記録材上の未定着画像を熱と圧力によってこの記録材に定着させる定着装置であって、上記温度制御部は、上記定着部材の温度を検知する温度検知部と、上記温度検知部の温度検知結果を記憶する温度記憶部と、上記温度検知部によって検知された上記定着部材の現在の温度である第1検知温度と上記定着部材の制御目標温度との偏差である第1温度偏差、および上記第1検知温度と上記温度検知部によって検知された上記定着部材の所定時間前の温度である第2検知温度との偏差である第2温度偏差を算出する温度偏差算出部と、上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせと上記加熱部材に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた出力設定テーブルを記憶するテーブル記憶部と、上記出力設定テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記加熱部材に供給する電力量を決定する出力決定部と、上記出力決定部の決定した電力量に応じて上記加熱部材に供給する電力量を制御する電力制御部とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、定着部材の温度を検知する温度検知部と、温度検知部の温度検知結果を記憶する温度記憶部とを備えており、温度偏差算出部が、温度検知部によって検知された定着部材の現在の温度である第1検知温度と定着部材の制御目標温度との偏差である第1温度偏差、および第1検知温度と温度検知部によって検知された定着部材の所定時間前の温度である第2検知温度との偏差である第2温度偏差を算出する。そして、出力決定部が、テーブル記憶部に記憶されている第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせと加熱部材に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた出力設定テーブルから温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて加熱部材に供給する電力量を決定する。そして、電力制御部が、出力決定部の決定した電力量に応じて加熱部材に供給する電力量を制御する。
これにより、第1温度偏差には制御目標温度に対する到達度合いが反映され、第2温度偏差には定着部材の現在の温度変化傾向が反映されているので、制御目標温度に対する到達度合いと現在の温度変化傾向とを考慮して過加熱や加熱不足を防止するように加熱部材に供給する電力量を適切に制御し、温度リップルを低減することができる。したがって、トナーの溶融過多による記録材の定着部材への巻き付き、ホットオフセット、画像荒れ、あるいはトナーの溶融不足による定着不良を防止するとともに、消費電力の低減を図ることができる。また、上述したPID制御を行う場合に比べて、PID制御のパラメータを決定する際の複雑なチューニングが不要なので、加熱部材に供給する電力量を適切に制御できる定着装置を簡単な構成で実現できる。
また、上記温度偏差算出部は、上記第1温度偏差または上記第2温度偏差の所定時間あたりの変化量である変化率を算出し、上記出力設定テーブルは、上記第1温度偏差、上記第2温度偏差、および上記変化率の組み合わせと上記情報とを対応付けたものであり、上記出力決定部は、上記出力設定テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差、第2温度偏差、および上記変化率の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記加熱部材に供給する電力量を決定する構成としてもよい。
上記の構成によれば、上記第1温度偏差または上記第2温度偏差の変化率には現在の温度変化の傾向が反映されているので、第1温度偏差および第2温度偏差に加えて上記変化率に基づいて変更後の電力量を決定することにより、定着部材の温度をより精密に制御することができる。
また、上記出力設定テーブルに記憶されている上記情報は、上記加熱部材に供給すべき電力量の値を上記加熱部材に現在供給している電力量に依存せずに示す情報であってもよい。
上記の構成によれば、上記加熱部材に供給すべき電力量の値を上記加熱部材に現在供給している電力量に依存せずに直接設定することにより、予備実験等で得られたデータを出力設定テーブルに容易に反映させることができる。また、出力設定テーブルの格納値の調整や補正を容易に行うことができる。また、出力決定部が加熱部材に供給する電力量を決定する処理を容易に行うことができ、電力量の決定までの処理時間を短縮できる。
また、上記出力設定テーブルに記憶されている上記情報は、上記加熱部材に現在供給している電力量に対する変化の程度を示す情報であってもよい。
例えば、上記テーブル記憶部は、上記出力設定テーブルと、上記加熱部材に供給する電力量を電力量の多さに応じた順で複数のレベルに分類した各レベルのレベル番号と、当該各レベルに対応する電力量とを対応付けた出力規定テーブルとを記憶しており、上記出力設定テーブルは、上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせと、上記加熱部材に現在供給している電力量に対応する上記レベルに対するレベルの変更量を示すレベル変更値とを対応付けたレベル変更値テーブルであり、上記出力決定部は、上記レベル変更値テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応するレベル変更値を読み出し、上記加熱部材に現在供給している電力量に対応するレベルと上記レベル変更値テーブルから読み出したレベル変更値とに基づいて変更後のレベルを特定し、特定したレベルに対応する電力量を上記加熱部材に供給する電力量として決定する構成としてもよい。
上記の構成によれば、加熱部材に対する電力供給を開始する際や定着部材の温度制御条件を変更して温度制御を再開する際などに加熱部材に供給する電力量である基準電力量を調整あるいは補正することにより、その結果をその後の温度制御に反映させることができる。これにより、例えば、環境条件や記録材の条件等の変化に基づいて加熱部材に供給する電力量を調整あるいは補正する処理を容易に行うことができる。
また、上記出力決定部は、上記加熱部材に現在供給している電力量がゼロまたは所定の設定値以下であって、当該電力量と上記出力設定テーブルにおける上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報によって特定される電力量との差が所定値以上である場合には、上記加熱部材に供給する電力量を、上記出力設定テーブルにおける上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報によって特定される電力量よりも多くなるように予め設定された所定の電力量に変更する構成としてもよい。
上記の構成によれば、加熱部材に供給する電力量がゼロまたは上記設定値以下で推移することによって温度応答性が低下してしまうことを防止できる。
また、上記テーブル記憶部は、上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせと上記加熱部材に供給すべき電力量を上記加熱部材に現在供給している電力量に依存せずに示す情報とを対応付けて記憶した出力直接設定テーブルを記憶しており、上記出力決定部は、上記加熱部材に現在供給している電力量が所定の設定値以下である場合には、上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差に対応する上記情報を上記出力直接設定テーブルから読み出すことによって上記加熱部材に供給する電力量を決定し、上記加熱部材に現在供給している電力量が上記設定値よりも多い場合には、上記レベル変更値テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応するレベル変更値を読み出し、上記加熱部材に現在供給している電力量に対応するレベルと上記レベル変更値テーブルから読み出したレベル変更値とに基づいて変更後のレベルを特定し、特定したレベルに対応する電力量を上記加熱部材に供給する電力量として決定する構成としてもよい。
上記の構成によれば、加熱部材に供給する電力量がゼロまたは上記設定値以下で推移することによって温度応答性が低下してしまうことを防止できる。
また、上記情報は、予め設定される基準電力量に対する相対値を示したものであり、上記出力決定部は、上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する上記相対値を読み出し、読み出した相対値と上記基準電力量とに基づいて特定される電力量を上記加熱部材に供給する電力量として決定するようになっており、当該定着装置の動作状態あるいは環境条件が変更された場合に、変更後の上記動作状態あるいは上記環境条件に応じて上記基準電力量を補正する構成としてもよい。なお、上記の定着装置の動作状態の変更としては、例えば、ウォームアップ状態、定着処理状態、Ready状態(定着処理を迅速に開始できるように定着部材の温度を定着処理時の制御目標温度あるいはそれに近い温度に維持して待機する状態)、冷却状態(定着部材の温度をReady状態よりも低い温度にする状態)などの各状態間の移行、あるいは、定着部材の制御目標温度の変更などが挙げられる。また、制御目標温度の変更については、例えば、上記状態間の移行を行ってから所定時間が経過したとき、定着処理を開始してから所定枚数の定着処理を行ったとき、記録材の種類(厚さ、秤量など)を変更したとき、カラーモードとモノクロモードとを変更したときなどに行うことが考えられる。また、環境条件としては、環境温度、環境湿度などが挙げられる。
上記の構成によれば、定着部材の動作状態や環境条件が変更された場合に、基準電力量を変更するだけで変更後の動作状態あるいは環境条件に応じて定着部材の温度を適切に制御することができる。
また、上記テーブル記憶部は、複数の上記出力設定テーブルを記憶しており、上記出力決定部は、この定着装置の動作状態あるいは環境条件に応じて複数の上記出力設定テーブルの中から上記加熱部材に対して供給する電力量を決定する際に用いる出力設定テーブルを選択する構成としてもよい。
上記の構成によれば、定着装置の動作条件あるいは環境条件を考慮した複数の出力設定テーブルを記憶させておくことにより、定着装置の動作条件あるいは環境条件に応じて加熱部材に供給する電力量をより適切に決定することができる。また、複数の出力設定テーブルを記憶させておくだけでよいので、装置構成の複雑化やコストアップを生じさせることなく、加熱部材に供給する電力量をより適切に決定することができる。
また、上記出力決定部は、上記出力設定テーブルから読み出した上記情報によって特定される電力量をこの定着装置の動作状態あるいは環境条件に応じて補正し、上記電力制御部は、上記出力決定部によって補正された上記電力量に応じて上記加熱部材に供給する電力量を制御する構成としてもよい。
上記の構成によれば、定着装置の動作条件あるいは環境条件に応じて加熱部材に供給する電力量を補正することにより、加熱部材に供給する電力量をより適切に決定することができる。
また、上記電力制御部は、電源回路から上記加熱部材に供給される交流電源電圧の位相を制御する位相制御法、あるいは電源回路から上記加熱部材への所定時間あたりの通電時間を制御するデューティ制御法のいずれかを用いて上記加熱部材への通電量を制御する構成であってもよい。
上記の構成によれば、加熱部材に供給する電力量を出力決定部の決定した電力量に応じて制御することができる。
また、上記電力制御部は、電源回路から上記加熱部材に供給される交流電源電圧の位相を制御する位相制御法と、電源回路から上記加熱部材への所定時間あたりの通電時間を制御するデューティ制御法とを利用可能であり、これら両制御法のうち、消費電力が低くなる制御法を選択して上記加熱部材に供給する電力量を制御する構成としてもよい。
上記の構成によれば、定着装置の動作条件等に応じて位相制御法およびデューティ制御法のうち消費電力が低くなる方の制御法を用いて加熱部材に供給する電力量を制御することができるので、消費電力をより低減することができる。
また、上記電力制御部は、電源回路から上記加熱部材に供給される交流電源電圧の位相を制御するとともに、電源回路から上記加熱部材への所定時間あたりの通電時間を制御することによって上記加熱部材に供給する電力量を制御する構成としてもよい。
上記の構成によれば、電源回路から上記加熱部材に供給される交流電源電圧の位相を制御する位相制御法と、電源回路から上記加熱部材への所定時間あたりの通電時間を制御するデューティ制御法とを組み合わせて加熱部材に供給する電力量を制御する。これにより、電流過剰を抑えて無駄な電力消費が生じることを抑制するとともに、温度リップルを抑制して過剰加熱や加熱不足を抑制することができる。これにより、省エネルギー性および制御特性に優れた定着装置を実現できる。
また、上記定着部材は、複数のベルト懸架部材に懸架された無端状のベルト部材であり、上記ベルト懸架部材のうちの少なくとも1つと上記加圧部材とが上記ベルト部材を介して圧接している構成としてもよい。
上記の構成によれば、熱容量が小さいベルト部材を定着部材として用いる構成であっても、定着部材の温度リップルが生じることを防止できる。
また、上記温度制御部は、供給される電力量に応じた加熱量で上記加圧部材を加熱する加圧部材加熱部と、上記加圧部材の温度を検知する加圧部材温度検知部とを備えており、上記温度記憶部は、上記加圧部材温度検知部の温度検知結果を記憶し、上記温度偏差算出部は、上記加圧部材温度検知部によって検知された上記加圧部材の現在の温度である第3検知温度と上記加圧部材の制御目標温度との偏差である第3温度偏差、および上記第3検知温度と上記温度検知部によって検知された上記加圧部材の所定時間前の温度である第4検知温度との偏差である第4温度偏差を算出し、上記テーブル記憶部は、上記第3温度偏差および上記第4温度偏差の組み合わせと上記加圧部材加熱部に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた加圧部材用テーブルを記憶しており、上記出力決定部は、上記加圧部材用テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第3温度偏差および第4温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記加圧部材加熱部に供給する電力量を決定し、上記電力制御部は、上記出力決定部の決定した上記加圧部材加熱部に供給する電力量に応じて上記加圧部材加熱部に供給する電力量を制御することを構成としてもよい。
上記の構成によれば、定着部材と同様、加圧部材の温度リップルについても低減することができる。
また、上記加熱部材は、上記定着部材における回転軸方向中央部を加熱する中央加熱部材と、上記定着部材における回転軸方向両端部を加熱する端部加熱部材とを備えており、上記温度検知部は、上記定着部材における回転軸方向中央部の温度を検知する中央温度検知部と、上記定着部材における回転軸方向端部の温度を検知する端部温度検知部とを備えており、上記温度偏差算出部は、上記中央温度検知部によって検知された上記定着部材における回転軸方向中央部の現在の温度である上記第1検知温度と上記定着部材の制御目標温度との偏差である上記第1温度偏差、および上記第1検知温度と上記中央温度検知部によって検知された上記定着部材における回転軸方向中央部の所定時間前の温度である上記第2検知温度との偏差である第2温度偏差を算出し、上記端部温度検知部によって検知された上記定着部材における回転軸方向端部の現在の温度である上記第5検知温度と上記定着部材の制御目標温度との偏差である上記第5温度偏差、および上記第5検知温度と上記端部温度検知部によって検知された上記定着部材における回転軸方向端部の所定時間前の温度である上記第6検知温度との偏差である第6温度偏差を算出し、上記テーブル記憶部は、上記出力設定テーブルとして、上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせと上記中央加熱部材に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた中央部用テーブルと、上記第5温度偏差および上記第6温度偏差の組み合わせと上記端部加熱部材に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた端部用テーブルとを記憶しており、上記出力決定部は、上記中央部用テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記中央加熱部材に供給する電力量を決定し、上記端部用テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第5温度偏差および第6温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記端部加熱部材に供給する電力量を決定し、上記電力制御部は、上記出力決定部の決定した上記中央加熱部材および上記端部加熱部材に供給する電力量に応じて上記中央加熱部材および上記端部加熱部材に供給する電力量を制御する構成としてもよい。
上記の構成によれば、定着部材の軸方向中央部および軸方向端部の温度検知結果に応じて、中央加熱部材および端部加熱部材に供給する電力量を定着部材の軸方向中央部および軸方向端部において温度リップルが生じないように制御することができる。これにより、定着部材の温度リップルが生じることをより好適に防止することができる。
また、上記温度制御部は、上記加熱部材に供給する電力量を前回設定したときから所定時間が経過したとき、または上記加熱部材に供給する電力量を前回設定したときから所定枚数の記録材に対する定着処理を行ったときに上記第1検知温度の上記制御目標温度に対する到達状況を判定する到達判定部と、上記到達判定部の判定結果に応じて上記出力決定部が上記出力設定テーブルに基づいて算出した上記加熱部材に供給する電力量を補正するための補正係数を算出する電力補正係数算出部と、上記出力決定部が算出した上記電力量を上記補正係数に基づいて補正した電力量に応じて上記加熱部材に供給する電力量を補正する出力補正部とを備えている構成としてもよい。
上記の構成によれば、例えば、環境温度、記録材温度、記録材の含水率、および電源電圧変動などの外乱要因の変動や、個々の装置の性能のバラツキなどに起因して、出力設定テーブルのみに基づいて加熱部材に供給する電力量を設定すると第1検知温度を制御目標温度に到達あるいは維持させることができないような場合であっても、出力設定テーブルに基づいて算出される電力量を補正して第1検知温度を制御目標温度に到達あるいは維持させることができる。
また、上記到達判定部は、上記加熱部材に供給する電力量を前回設定したときから所定時間が経過したとき、または上記加熱部材に供給する電力量を前回設定したときから所定枚数の記録材に対する定着処理を行ったときに上記第1検知温度が上記制御目標温度に到達したか否かを判定し、上記電力補正係数算出部は、上記到達判定部によって上記第1検知温度が上記制御目標温度に到達していないと判定されたときに、上記加熱部材に供給する電力量を、上記出力決定部が上記出力設定テーブルに基づいて算出した電力量よりも多くするように上記補正係数を算出する構成としてもよい。
上記の構成によれば、例えば、環境温度、記録材温度、記録材の含水率、および電源電圧変動などの外乱要因の変動や、個々の装置の性能のバラツキなどに起因して、出力設定テーブルのみに基づいて加熱部材に供給する電力量を設定すると第1検知温度を制御目標温度に到達させることができないような場合であっても、出力設定テーブルに基づいて算出される電力量を補正して第1検知温度を制御目標温度に到達させることができる。
また、上記到達判定部は、上記加熱部材に供給する電力量を前回設定したときから所定時間が経過したとき、または上記加熱部材に供給する電力量を前回設定したときから所定枚数の記録材に対する定着処理を行ったときに上記第1検知温度と上記制御目標温度との差が小さくなるように推移しているか否かを判定し、上記電力補正係数算出部は、上記到達判定部によって上記第1検知温度と上記制御目標温度との差が小さくなるように推移していないと判定されたときに、上記加熱部材に供給する電力量を、上記出力決定部が上記出力設定テーブルに基づいて算出した電力量よりも多くするように上記補正係数を算出する構成としてもよい。
上記の構成によれば、例えば、環境温度、記録材温度、記録材の含水率、および電源電圧変動などの外乱要因の変動や、個々の装置の性能のバラツキなどに起因して、出力設定テーブルのみに基づいて加熱部材に供給する電力量を設定すると第1検知温度を制御目標温度に到達させることができないような場合であっても、出力設定テーブルに基づいて算出される電力量を補正して第1検知温度を制御目標温度に到達させることができる。
また、上記到達判定部による上記到達状況の判定処理、上記電力補正係数算出部による上記補正係数の算出処理、および上記出力補正部による上記電力量の補正処理を、上記第1検知温度が上記制御目標温度に到達するまで、または上記第1検知温度が上記制御目標温度に維持された状態が所定期間以上継続するまで、上記加熱部材に供給する電力量を前回設定したときから所定時間が経過する毎、または上記加熱部材に供給する電力量を前回設定したときから所定枚数の記録材に対する定着処理を行う毎に繰り返し行う構成としてもよい。
上記の構成によれば、外乱要因の変動等があった場合であっても、第1検知温度を制御目標温度に確実に近づけることができる。
また、当該定着装置の動作条件が変更されるまで、上記電力補正係数算出部が算出した上記補正係数を維持し、上記出力決定部が上記出力設定テーブルに基づいて算出した上記電力量を上記出力補正部が上記補正係数を用いて補正した電力量に基づいて上記加熱部材に供給する電力量を制御する構成としてもよい。
上記の構成によれば、外乱要因の変動等があった場合であっても、第1検知温度を制御目標温度に近づけることができる。
また、上記温度偏差算出部は、画像形成動作開始時または前回の画像形成動作の終了時よりも前の所定時期から現在までの上記第1温度偏差の累積値と、上記第2検知温度と上記第1検知温度との差を算出し、上記出力決定部は、上記累積値に第1定数を乗じて得られる第1補正値と、上記第2検知温度と上記第1検知温度との差に第2定数を乗じて得られる第2補正値とを算出し、上記出力設定テーブルから読み出した上記情報に基づいて決定した上記加熱部材に供給する電力量を上記第1補正値および上記第2補正値に基づいて補正し、上記電力制御部は、上記出力決定部によって補正された上記電力量に応じて上記加熱部材に供給する電力量を制御する構成としてもよい。
上記の構成によれば、定常偏差や外乱の影響等による制御誤差を低減し、加熱部材の温度を制御目標温度により近づけるとともに、制御目標温度に近い状態を安定して維持することができる。
また、上記第1定数および上記第2定数をそれぞれ複数記憶しており、上記出力決定部は、複数の上記第1定数および上記第2定数の中から、当該定着装置が備えられる画像形成装置の動作状態、当該定着装置の動作状態、記録材の種類、記録材の含水率、環境温湿度、当該定着装置が備えられる画像形成装置における画像形成処理方法、定着処理を行う記録材の枚数、記録材の搬送速度、所定時間あたりに搬送される記録材の枚数、上記加熱部材の種類、上記加熱部材の性能、および当該定着装置の電源電圧のうちのいずれか、またはこれら各条件のうちの2つ以上の組み合わせに応じて上記第1定数および上記第2定数をそれぞれ1つ選択し、選択した上記第1定数および上記第2定数を用いて上記第1補正値および上記第2補正値を算出する構成としてもよい。
上記の構成によれば、上記の各条件に応じて加熱部材の温度制御を適切に制御することができる。また、上記の各条件に対応する出力設定テーブルをそれぞれ記憶させておく場合に比べて、出力設定テーブルを記憶する記憶手段に要求される記憶容量を低減できる。また、上記温度制御を第1定数および第2定数を変更するだけで異なる条件に適用できるので、条件に応じた制御内容の設定を容易にすることができる。
また、上記加熱部材は、上記定着部材に対する加熱対象範囲が異なる複数の加熱部を備えており、上記出力決定部は、上記各加熱部について共通の上記出力設定テーブルから読み出した上記情報に基づいて当該各加熱部に供給する電力量を算出するとともに、上記各加熱部について個別に設定される上記第1定数および上記第2定数に基づいて当該各加熱部についての上記第1補正値および上記第2補正値を算出し、上記各加熱部について上記情報に基づいて算出した上記電力量を、当該各加熱部について算出した上記第1補正値および第2補正値に基づいて補正し、上記電力制御部は、上記出力決定部によって補正された上記各加熱部についての上記電力量に応じて当該各加熱部に供給する電力量を制御する構成としてもよい。
あるいは、上記加熱部材は、上記定着部材に対する加熱対象範囲が異なる複数の加熱部を備えており、上記出力決定部は、複数の上記出力設定テーブルの中から予め設定された条件に応じて上記加熱部毎に出力設定テーブルを選択し、選択した出力設定テーブルから読み出した上記情報に基づいて上記各加熱部に供給する電力量を算出し、上記加熱部毎かつ上記出力設定テーブル毎に設定されている上記第1定数および上記第2定数に基づいて上記各加熱部についての上記第1補正値および上記第2補正値を算出し、上記各加熱部について上記情報に基づいて算出した上記電力量を、当該各加熱部について算出した上記第1補正値および第2補正値に基づいて補正し、上記電力制御部は、上記出力決定部によって補正された上記各加熱部についての上記電力量に応じて当該各加熱部に供給する電力量を制御する構成としてもよい。
上記各構成によれば、複数の加熱部を備えた構成において、これら各加熱部の温度制御を加熱部毎に適切に行うことができる。また、各加熱部に対応する出力設定テーブルをそれぞれ記憶させておく場合に比べて、出力設定テーブルを記憶する記憶手段に要求される記憶容量を低減できる。また、第1定数および第2定数を変更するだけで各加熱部の温度制御を加熱部毎に行えるので、加熱部毎の制御内容の設定を容易にすることができる。
本発明の画像形成装置は、上記したいずれかの定着装置を備えている。したがって、定着部材の温度リップルを低減し、トナーの溶融過多による記録材の定着部材への巻き付き、ホットオフセット、画像荒れ、あるいはトナーの溶融不足による定着不良を防止するとともに、消費電力の低減を図ることができる。
本発明の定着装置の温度制御方法は、回転可能に備えられた定着部材および加圧部材と、供給される電力量に応じた加熱量で上記定着部材を加熱する加熱部材とを備え、上記定着部材と上記加圧部材との間に挿入される記録材を上記定着部材と上記加圧部材とで挟持しながら搬送することによって上記記録材上の未定着画像を熱と圧力によってこの記録材に定着させる定着装置の温度制御方法であって、上記定着部材の温度を検知する温度検知工程と、上記温度検知工程での温度検知結果を記憶する温度記憶工程と、上記温度検知工程で検知された上記定着部材の現在の温度である第1検知温度と上記定着部材の制御目標温度との偏差である第1温度偏差、および上記第1検知温度と上記温度検知工程で検知された上記定着部材の所定時間前の温度である第2検知温度との偏差である第2温度偏差を算出する温度偏差算出工程と、上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせと上記加熱部材に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた出力設定テーブルから上記温度偏差算出工程で算出した第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記加熱部材に供給する電力量を決定する出力決定工程と、上記出力決定工程で決定した電力量に応じて上記加熱部材に供給する電力量を制御する電力制御工程とを含むことを特徴としている。
上記の方法によれば、第1温度偏差には制御目標温度に対する到達度合いが反映され、第2温度偏差には定着部材の現在の温度変化傾向が反映されているので、制御目標温度に対する到達度合いと現在の温度変化傾向とを考慮して過加熱や加熱不足を防止するように加熱部材に供給する電力量を適切に制御し、温度リップルを低減することができる。したがって、トナーの溶融過多による記録材の定着部材への巻き付き、ホットオフセット、画像荒れ、あるいはトナーの溶融不足による定着不良を防止するとともに、消費電力の低減を図ることができる。また、上述したPID制御を行う場合に比べて、PID制御のパラメータを決定する際の複雑なチューニングが不要なので、加熱部材に供給する電力量を適切に制御できる定着装置を簡単な構成で実現できる。
なお、上記温度制御部は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記温度制御部として動作させることにより、上記温度制御部をコンピュータにて実現させるプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に含まれる。
以上のように、本発明の定着装置は、上記定着部材の温度を検知する温度検知部と、上記温度検知部の温度検知結果を記憶する温度記憶部と、上記温度検知部によって検知された上記定着部材の現在の温度である第1検知温度と上記定着部材の制御目標温度との偏差である第1温度偏差、および上記第1検知温度と上記温度検知部によって検知された上記定着部材の所定時間前の温度である第2検知温度との偏差である第2温度偏差を算出する温度偏差算出部と、上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせと上記加熱部材に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた出力設定テーブルを記憶するテーブル記憶部と、上記出力設定テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記加熱部材に供給する電力量を決定する出力決定部と、上記出力決定部の決定した電力量に応じて上記加熱部材に供給する電力量を制御する電力制御部とを備えている。
また、本発明の定着装置の温度制御方法は、上記定着部材の温度を検知する温度検知工程と、上記温度検知工程での温度検知結果を記憶する温度記憶工程と、上記温度検知工程で検知された上記定着部材の現在の温度である第1検知温度と上記定着部材の制御目標温度との偏差である第1温度偏差、および上記第1検知温度と上記温度検知工程で検知された上記定着部材の所定時間前の温度である第2検知温度との偏差である第2温度偏差を算出する温度偏差算出工程と、上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせと上記加熱部材に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた出力設定テーブルから上記温度偏差算出工程で算出した第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記加熱部材に供給する電力量を決定する出力決定工程と、上記出力決定工程で決定した電力量に応じて上記加熱部材に供給する電力量を制御する電力制御工程とを含む。
それゆえ、本発明の定着装置および定着装置の温度制御方法によれば、簡単な構成で温度リップルを低減することができる。
本発明の一実施形態にかかる定着装置における温度制御処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の断面図である。 図2の画像形成装置に備えられる定着装置の断面図である。 図3の定着装置に備えられる加熱部材の断面図である。 図3の定着装置に備えられる加熱部材の平面図である。 図3の定着装置に備えられる制御部のブロック図である。 図3の定着装置において用いられる出力設定テーブルの例を示す表である。 (a)および(b)は、図3の定着装置における加熱部材への通電電圧の波形を示すグラフである。 (a)は従来の制御方法で温度制御を行った場合の定着ベルトおよび加圧ローラの温度検知結果を示すグラフであり、(b)は図1に示した本発明の制御方法で温度制御を行った場合の定着ベルトおよび加圧ローラの温度検知結果を示すグラフである。 図3の定着装置において用いられる出力設定テーブルの他の例を示す表である。 本発明の他の実施形態にかかる定着装置の断面図である。 図11に示した定着装置における温度制御処理の流れを示すフローチャートである。 (a)は図11に示した定着装置において用いられる出力規定テーブルの一例を示す表であり、(b)は図11に示した定着装置において用いられるレベル変更値テーブルの一例を示す表である。 (a)は従来の制御方法で温度制御を行った場合の定着ベルトおよび加圧ローラの温度検知結果を示すグラフであり、(b)は図11に示した本発明の制御方法で温度制御を行った場合の定着ベルトおよび加圧ローラの温度検知結果を示すグラフである。 図11に示した定着装置において用いられるレベル変更値テーブルの他の例を示す表である。 図11に示した定着装置において、複数の出力規定テーブルと複数のレベル変更値テーブルとを用いる場合の、出力規定テーブルとレベル変更値テーブルとの組み合わせと出力値との関係を示す表である。 図11に示した定着装置において、複数の出力規定テーブルと複数のレベル変更値テーブルとを用いる場合の温度制御処理の流れを示すフローチャートである。 図11に示した定着装置において、出力設定テーブルを用いて電力量を決定する処理と、レベル変更値テーブルおよび出力規定テーブルを用いて電力量を決定する処理とを切り替えて用いる場合の温度制御処理の流れを示すフローチャートである。 図11に示した定着装置において、第2温度偏差の変化率に応じて加熱部材に供給する電力を設定する場合のレベル変更値テーブルの一例を示す表である。 本発明の定着装置の変形例を示す断面図である。 本発明の定着装置の変形例を示す断面図である。 本発明の定着装置の変形例を示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかる定着装置の変形例およびその動作条件を示す説明図である。 本発明の一実施形態にかかる定着装置において用いられる出力設定テーブルの例を示す表である。 本発明の一実施形態にかかる定着装置において用いられる出力設定テーブルの例を示す表である。 本発明の一実施形態にかかる定着装置において用いられる出力設定テーブルの例を示す表である。 (a)〜(c)は、本発明の一実施形態にかかる定着装置において、出力設定テーブルに基づいて算出される通電量を画像形成装置の負荷変動に応じて補正する場合の補正方法の一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態にかかる定着装置において、動作モード毎に設定される出力設定テーブルの例を示す表である。 本発明の一実施形態にかかる定着装置において、電源電圧毎に設定される出力設定テーブルの例を示す表である。 本発明の一実施形態にかかる定着装置において、全幅加熱部用の出力設定テーブルと中央加熱部用の出力設定テーブルとを別々に設定する場合の出力設定テーブルの例を示す表である。 (a)および(b)は、本発明の一実施形態にかかる定着装置において、全幅加熱部用の出力設定テーブルと中央加熱部用の出力設定テーブルとを別々に設定するとともに、電源電圧および動作モードに応じて出力設定テーブルを切り替える場合の各出力設定テーブルの例を示す表である。 本発明のさらに他の実施形態にかかる定着装置に備えられる制御部の構成を示すブロック図である。 図32に示した制御部の動作の流れを示すフローチャートである。 (a)〜(c)図32に示した定着装置において用いられる補正値テーブルの例を示す表であり、(a)は温度未達時用の補正値テーブルの一例、(b)は温度超過時用の補正値テーブルの一例、(c)は温度未達時用の補正値テーブルの他の例を示している。 本発明のさらに他の実施形態にかかる定着装置における処理の流れを示すフローチャートである。 本発明のさらに他の実施形態にかかる温度制御方法で温度制御を行った場合の第1検知温度、出力設定テーブルに基づいて設定される電力量(補正前の電力量)、積分補正値、微分補正値、および補正後の通電量の時間推移を示すグラフである。 図11に示した定着装置における各ヒータランプを出力設定テーブルに基づいて設定された電力量に基づいて温度制御した場合の各ヒータランプのON/OFF状態および各サーミスタの温度検知結果を示すグラフである。 図11に示した定着装置における各ヒータランプを、出力設定テーブルに基づいて設定された電力量を上述した積分制御用の補正値および微分制御用の補正値に基づいて補正した電力量に基づいて温度制御した場合の各ヒータランプのON/OFF状態および各サーミスタの温度検知結果を示すグラフである。
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について説明する。なお、本実施形態では本発明をカラープリンタに適用する場合について主に説明するが、本発明の適用対象はこれに限るものではなく、電子写真方式の画像形成装置であれば適用できる。例えば、カラープリンタの他、カラー複合機、カラー複写機、モノクロ複合機、モノクロ複写機、モノクロプリンタなどに適用することができる。
図2は、本実施形態にかかる画像形成装置(カラープリンタ)100の断面図である。この図に示すように、画像形成装置100は、露光ユニット(光学系ユニット)E、4組の可視画像形成ユニットpa〜pd、中間転写ベルトユニット10、二次転写ユニット14、定着装置30、内部給紙ユニット16、および手差し給紙ユニット17を備えている。なお、画像形成装置100に備えられる各部材の動作は、図示しないCPU等からなる主制御部によって制御される。
画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。このため、図2に示すように、上記各色に対応する4組の可視画像形成ユニットpa〜pdが設けられており、これら4組の可視画像形成ユニットpa〜pdによって形成された4色のトナー画像が中間転写ベルトユニット10に備えられる中間転写ベルト11上で重ね合わされるようになっている。
可視画像形成ユニットpaは、トナー画像担持体である回転可能に備えられた感光体101aの周囲に、帯電ユニット103a、現像ユニット102a、およびクリーニングユニット104aが感光体101aの回転方向に沿ってこの順で配置された構成である。
帯電ユニット103aは、感光体101aの表面を所定の電位に均一に帯電させるためのものである。本実施形態では、帯電ユニット103aとして、オゾンを極力発生させることなく感光体101aの表面を一様に帯電させるために、帯電ローラ方式(接触帯電方式)を採用している。ただし、帯電ユニット103aの構成はこれに限るものではなく、例えば、コロナ放電方式などの非接触型の帯電器を用いてもよく、ブラシ帯電などの接触型の帯電器を用いてもよい。
現像ユニット102aは、感光体101a上に形成された静電潜像を現像剤によって顕像化する現像処理を行う。上記現像剤としては、例えば、非磁性一成分現像剤(非磁性トナー)、非磁性二成分現像剤(非磁性トナーおよびキャリア)、磁性現像剤(磁性トナー)等を用いることができる。
クリーニングユニット104aは、トナー画像を中間転写ベルト111に転写した後に感光体101a表面に残留したトナーを除去・回収するためのものである。
なお、可視画像形成ユニットpb〜pdは現像処理に用いるトナーの色が異なる以外は可視画像形成ユニットpaと実質的に同様の構成である。すなわち、各可視画像形成ユニットpa,pb,pc,pdの現像ユニットにはそれぞれブラック(B),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)のトナーが収容されている。
露光ユニットEは、帯電ユニット103a〜103dによって帯電された感光体101a〜101dを画像データに応じて露光することにより、各感光体101a〜101dの表面に画像データに応じた静電潜像を形成する。露光ユニットEには、レーザ照射部4および反射ミラー8などを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)が用いられている。なお、露光ユニットEとして、発光素子をアレイ状に並べた、例えばELやLED書込みヘッドなどを用いてもよい。
中間転写ベルトユニット10は、中間転写ベルト11、中間転写ベルト駆動ローラ(テンションローラ)11a、中間転写ベルト従動ローラ(テンションローラ)11b、中間転写ベルトクリーニングユニット12、および中間転写ローラ13a〜13dを備えている。
中間転写ベルト11は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムからなる無端状のベルトであり、中間転写ローラ13a〜13d、中間転写ベルト駆動ローラ11a、および中間転写ベルト従動ローラ11bに張架され、図2に示した矢印B方向に回転駆動される。また、感光体101a〜101d上に形成された各色のトナー画像は中間転写ベルト11に順次重ね合うように転写され、この中間転写ベルト11上にカラーのトナー画像(多色トナー画像)が形成されるようになっている。なお、中間転写ローラ13a〜13dは、感光体101a〜101dにおける現像ユニット102a〜102dとの対向部とクリーニングユニット104a〜104dとの対向部との間の位置において中間転写ベルト11を介して感光体101a〜101dに対向するように配置されている。そして、これら中間転写ローラ113a〜113dにトナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧を印加することによって感光体101a〜101d上のトナー画像が中間転写ベルト11上に転写されるようになっている。また、中間転写ベルト11上に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト駆動ローラ11aと二次転写ユニット14との対向部に搬送され、この対向部に搬送される記録用紙上に転写されるようになっている。なお、中間転写ベルトクリーニングユニット12は中間転写ベルト11に当接し、記録用紙上へのトナー画像の転写後に中間転写ベルト11上に残留したトナーを除去・回収する。
定着装置30は定着ローラ(ベルト懸架部材)31と、加熱部材(ベルト懸架部材)32と、定着ローラ31および加熱部材32に懸架された定着ベルト(定着部材)33と、定着ローラ31に対して定着ベルト33を介して所定の荷重で圧接する加圧ローラ(加圧部材)34とを備えている。そして、二次転写ユニット14によってトナー画像が転写された記録材を加圧ローラ34と加熱部材32によって加熱された定着ベルト33との圧接部(定着ニップ部N)に所定の定着速度および所定の用紙間隔で給紙し、この圧接部を通過させることで熱と圧力とによりトナー画像を記録材に定着させる。なお、定着速度とは記録材の搬送速度(所謂プロセス速度)のことであり、本実施形態では定着速度を225mm/secとしている。また、複写速度(1分あたりのコピー枚数)がA4サイズ用紙を横送りで51枚/分となるように記録材同士の搬送間隔を設定している。
なお、記録材における未定着トナー画像(未定着画像)が形成された面は定着ベルト33に当接し、記録材における未定着トナー画像が形成された面とは反対側の面は加圧ローラ34に当接する。定着装置30の詳細については後述する。
内部給紙ユニット16は、画像形成に使用する記録材を蓄積しておくためのものである。また、手差し給紙ユニット17は、画像形成装置100の側壁に折り畳み自在に設けられ、手差しによる記録材の給紙を行うためのものである。また、排紙トレイ18は、画像形成済みの記録材を載置するためのトレイである。
また、画像形成装置100には、内部給紙ユニット16からピックアップローラ16aによって給紙される記録材、および手差し給紙ユニット17からピックアップローラ17aによって給紙される記録材を二次転写ユニット14や定着装置30を経由させて排紙トレイ18に送るための用紙搬送路が設けられている。用紙搬送路には、記録材を搬送するためのローラ部材rが多数配置されている。
次に、定着装置30の構成について説明する。図3は、定着装置30の断面図である。この図に示すように、定着装置30は、定着ローラ31と、加熱部材32と、定着ローラ31および加熱部材32に懸架された定着ベルト33と、定着ローラ31に対して定着ベルト33を介して所定の荷重(本実施形態では216N)で圧接する加圧ローラ(加圧部材)34とを備えている。なお、本実施形態では、定着ニップ部Nのニップ幅(定着ベルト33と加圧ローラ34とが当接する部分の記録材搬送方向の幅)を7mmとしている。
また、定着ベルト33に対向する位置には定着ベルト33の温度を検知するためのサーミスタ(温度検知部、中央温度検知部)35aおよびサーミスタ(温度検知部、端部温度検知部)35bが備えられており、加圧ローラ34に対向する位置には加圧ローラ34の温度を検知するためのサーミスタ(温度検知部、加圧部材温度検知部)35cが備えられている。なお、サーミスタ35aは定着ベルト33が加熱部材32に巻き付けられている領域における定着ベルト33の幅方向の略中心(具体的には幅方向の中心から25mmずれた位置)に対向する位置に設けられており、サーミスタ35bは定着ベルト33が加熱部材32に巻き付けられている領域における定着ベルト33の幅方向の端部近傍(具体的には幅方向の中心から150mmずれた位置)に対向する位置に設けられている。また、サーミスタ35cは加圧ローラ34における軸方向の中心から軸方向に沿って150mmずれた位置において加圧ローラ34に対向するように配置されている。また、加圧ローラ34の内部には加圧ローラ34を加熱するためのヒータランプ(ハロゲンランプ、加圧部材加熱部)36が備えられている。また、サーミスタ35a,35b、35cの温度検知結果は温度制御部42(後述する図6参照)に伝達され、温度制御部42はこれら各サーミスタの温度検知結果に基づいて、定着ベルト33、加圧ローラ34の表面温度をそれぞれ所定の温度に近づけるように加熱部材32およびヒータランプ36への通電を制御するようになっている。なお、本実施形態では、サーミスタ35aとして非接触式のサーミスタを用い、サーミスタ35b,35cとして接触式のサーミスタを用いている。
定着ローラ31は、定着ベルト33を介して加圧ローラ34に圧接することで定着ニップ部Nを形成する。また、定着ローラ31は、図示しないモータやギア、アクチュエータ、通電素子等からなる回転駆動手段によって図3に示した矢印方向に回転駆動される。そして、定着ローラ31が回転駆動されると、この定着ローラ31に懸架された定着ベルト33が定着ローラ31に従動回転し、さらに定着ベルト33に圧接している加圧ローラ34が定着ベルト33に従動回転するようになっている。なお、本実施形態では、定着ローラ31を回転駆動させ、定着ベルト33および加圧ローラ34をそれに従動回転させるものとしているが、これに限らず、例えば、加圧ローラ34を回転駆動させてもよく、定着ローラ31と加圧ローラ34の両方を回転駆動させてもよい。また、定着ベルト33に当接する駆動ローラを設け、この駆動ローラを回転駆動させるようにしてもよい。
本実施形態では、定着ローラ31として、円柱状の芯金31aの周囲に弾性層31bを形成した2層構造のものを用いている。芯金31aの材質は特に限定されるものではないが、例えば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、チタン、マグネシウム等の金属あるいはそれらの合金等を用いることができる。また、弾性層31bの材質についても適度な耐熱性を弾力性とを有する材質であれば特に限定されるものではないが、例えば、シリコンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料を用いることができる。また、芯金31aは中実の円柱状のものに限らず、中空の円筒状のものを用いてもよい。なお、本実施形態では、定着ローラ31として、直径18mmの円柱状のステンレス鋼からなる芯金31aの周囲に厚さ5mmのシリコンスポンジゴムからなる弾性層31bを形成した、直径28mm、長さ320mmの円柱状のローラ部材を用いた。
また、本実施形態では、加圧ローラ34として、内側から順に円筒状の芯金34a、弾性層34b、離型層34cが形成された3層構造のものを用いている。芯金34aの材質は適度な強度と熱伝導性を有するものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、チタン、マグネシウム等の金属あるいはそれらの合金等を用いることができる。また、弾性層34bの材質は、適度な耐熱性を弾力性とを有する材質であれば特に限定されるものではないが、例えば、シリコンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料を用いることができる。また、離型層34cの材質は、耐熱性および離型性に優れた材質であればよく、例えば、PFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂が適している。なお、本実施形態では、加圧ローラ34として、外径24mm、肉厚2mmの鉄合金(STKM)からなる芯金34aの周囲に厚さ3mmのシリコンソリッドゴムからなる弾性層34bを形成し、さらにその周囲に厚さ30μmのPFAチューブからなる離型層34cを装着した外径30mmの円筒状のローラ部材を用いた。
また、加圧ローラ34の内部には、加圧ローラ34を内面から加熱するためのヒータランプ36を配置した。なお、ヒータランプ36の動作は温度制御部42によって行われる。具体的には、熱源駆動手段45が温度制御部42から出力される制御信号に応じて電源回路43からヒータランプ36に供給(通電)する電力を制御することにより、ヒータランプ36が供給される電力に応じて発光し、ヒータランプ36から赤外線が放射される。なお、熱源駆動手段45は、例えば、ソリッド・ステート・リレー(SSR)、トライアック、サイリスタ、メカニカル・リレー(単に、リレーとも言う)、FET(電界効果トランジスタ)などの、高電圧・大電流を扱うことができる駆動素子からなる。これにより、加圧ローラ34の内周面が赤外線を吸収して加熱され、加圧ローラ34全体が加熱される。なお、本実施形態では、定格電力300Wのヒータランプ36を用いている。なお、ヒータランプ36が放射する赤外線を吸収しやすくするために、加圧ローラ34の内面に赤外線の波長域に良好な吸収特性を有する耐熱黒色塗料を塗布してもよい。
定着ベルト33は、加熱部材32が発生する熱によって所定の温度に加熱され、定着ニップ部Nを通過する未定着トナー像が形成された記録材Pを加熱するためのものであり、定着ローラ31および加熱部材32に回転可能に張架されている。これにより、定着ベルト33は、定着ローラ31が回転駆動されるとこの定着ローラ31に従動回転するようになっている。
本実施形態では、定着ベルト33として、中空円筒状の基材(図示せず)の表面に弾性層(図示せず)を形成し、さらのその表面に離型層(図示せず)を形成した3層構造の無端状のベルト部材を用いた。基材の材質は特に限定されるものではなく、例えば、ポリイミド、ポリアミド、アラミド樹脂等の耐熱樹脂、あるいはステンレスやニッケル等の圧延や電鋳によって製作された金属材料を用いることができる。また、弾性層の材質についても耐熱性および弾性に優れた材質であれば特に限定されるものではないが、例えば、シリコンゴムやフッ素ゴムなどエラストマー材料を用いることができる。また、離型層の材質についても耐熱性と離型性に優れた材質であれば特に限定されるものではないが、例えば、PFAやPTFE等のフッ素樹脂を用いることができる。また、離型層は、PFAやPTFE等のフッ素樹脂からなるチューブ部材を弾性層の外周面に装着したものであってもよく、弾性層の外周面をPFAやPTFE等のフッ素樹脂でコーティング(被覆)したものであってもよい。また、基材としてポリイミド等の耐熱樹脂を用いる場合、加熱部材32との摩擦抵抗を低減するために、耐熱樹脂にフッ素樹脂を内添させてもよい。
なお、本実施形態では、厚さ70μmのポリイミドからなる基材の外周面に厚さ150μmのシリコンゴムからなる弾性層を形成し、さらにこの弾性層の外周面に厚さ30μmのPFAチューブからなる離型層を設けた内径(内周長を円周率πで除算した値)50mm、長さ315mmの無端状のベルト部材を用いた。これにより、定着ローラ31の軸方向に垂直な断面において、定着ベルト33の回転によってこの定着ベルト33が定着ローラ31に当接し始める点と定着ローラ31の軸心とを結ぶ直線と、定着ベルト33が定着ローラ31から離れる点と定着ローラ31の軸心とを結ぶ直線とのなす角度である定着ベルト33の定着ローラ31に対する当接角度θは185°になっている。
加熱部材32は、定着ローラ31とともに定着ベルト33を懸架するとともに、定着ベルト33を加熱するためのものである。図4は加熱部材32の断面図である。図3および図4に示したように、本実施形態では、加熱部材32として、定着ベルト33と当接する領域が、内側から順に抵抗発熱層(面状発熱体)32a、絶縁層32b、基材層32c、および加熱部材32と定着ベルト33との間の摩擦抵抗を低減するためのコート層32dが形成された4層構造からなる面状発熱体であるものを用いている。
具体的には、本実施形態では、基材層32cとして、外径28mm、厚さ1mmのアルミニウム合金製パイプの一部を軸方向に沿って切除したものを用いた。また、基材層32cの外周面に厚さ20μmのPTFE(四フッ化エチレン樹脂)からなるコート層32dを形成し、基材層32cの内周面に厚さ30μmのポリイミドからなる絶縁層32bを形成した。そして、絶縁層32bの内周面に抵抗発熱層32aを設けた。これにより、定着ベルト33と加熱部材32との接触幅(定着ベルト33の回転方向の幅)である加熱ニップ幅は44mmになっている。
なお、加熱部材32の軸方向両端部における定着ベルト33と当接しない領域は直径20mmのアルミニウム合金製パイプからなる支持部が取り付けられており、この支持部が定着装置30のサイドフレームに固定されている。これにより、定着ベルト33が回転しても加熱部材32は回転せず、定着ベルト33は加熱部材32の表面を摺動するようになっている。
図5は加熱部材32を内周面側から見た平面図である。なお、加熱部材32は図3に示したように円弧状に湾曲しているが、説明の便宜上、図5では平板状に引き伸ばした形態で描いている。
図5に示したように、抵抗発熱層32aは、複数の電気抵抗線が加熱部材32の周方向(円弧方向)に沿って延伸するとともに、周方向の端部で折り返されることにより、電気抵抗線が面状に配置された面状発熱体である。また、各電気抵抗線の一端は給電部32eに接続され、他端は給電部32fに接続されている。なお、給電部32eと32fとの間の電気抵抗は10Ωであり、温度制御部42が熱源駆動手段45の動作を制御することによって電源回路43から電力が供給されて給電部32e,32fに100Vの交流電圧が印加され、約1000Wの熱エネルギーが発生するようになっている。
本実施形態では、各電気抵抗線の線幅を2.4mmとし、隣り合う電気抵抗線同士(同一の電気抵抗線における折り返された部分同士を含む)の間隔を2.4mmとし、各電気抵抗線の加熱部材32の周方向に延伸する部分の長さ(加熱部材32の周方向の一端部において折り返された位置から他端部において折り返された位置までの長さ)を320mm、電気抵抗線の数を6本、各電気抵抗線の折り返し回数を2回とした。なお、説明の便宜上、図5には電気抵抗線の数が2本の場合の例を描いている。
なお、加熱部材32における抵抗発熱層32aで発生した熱は、絶縁層32b、基材層32c、およびコート層32dを介して定着ベルト33に伝熱する。また、本実施形態では、基材層32cとして熱伝導性の高いアルミニウム合金を用いている。このため、抵抗発熱層32aの各電気抵抗線で発生した熱を基材層32cによって加熱部材32の周面の全域に分散させることができるので、各電気抵抗線のパターン形状に起因して定着ベルト33の加熱ムラが生じることを緩和できる。また、定着ベルト33と加熱部材32との軸方向についての接触幅に比べて定着ベルト33に対する軸方向についての接触幅が小さい小サイズの記録材を連続通紙した場合であっても、加熱部材32の軸方向の温度分布を均一化し、非通紙部において過昇温が生じることを防止できる。
次に、定着装置30における定着処理時の処理について説明する。図6は定着装置30の各部の動作を制御する制御部40の概略構成を示すブロック図である。
図6に示すように、制御部40は、駆動制御部41と温度制御部42とを備えている。なお、制御部40は、画像形成装置100の主制御部に備えられていてもよく、主制御部とは別に備えられ、主制御部と協同して定着装置30の動作を制御するものであってもよい。また、制御部40は、各種データを一時的に記憶するRAM(図示せず)を備えており、制御部40に備えられる各部は、当該各部で取り扱うデータを必要に応じて上記RAMに一時的に記憶させたり上記RAMから必要に応じて読み出したりするようになっている。
駆動制御部41は、定着ローラ31を駆動するための回転駆動手段44の動作を制御するものであり、画像形成装置100の主制御部からの制御命令やサーミスタ35a,35b,35cの温度検知結果等に応じた所定のタイミングで定着ローラ31を回転駆動させたり、回転を停止させたりするように定着ローラ31の回転駆動手段44を制御する。上記主制御部は、ユーザーからの指示入力や、記録材の載置状態、搬送状態、サイズ検知結果、画像形成装置100の各部の動作状態、画像形成装置100における画像形成モード(例えばカラーモードであるかモノクロモードであるか)、あるいは画像形成装置100に備えられる各種センサの検知結果などに応じて駆動制御部41に定着ローラ31の回転を制御させるための信号を送る。上記の各種センサとしては、例えば、記録材の通過位置を光学的あるいは機械的に検出するセンサ、モータや可動部などの機械的な状態を検出するセンサ、カバーや清掃部材の取り付け状態を検出するセンサ、加圧ローラ34の加圧状態を検出するセンサなどが挙げられる。
温度制御部42は、サーミスタ35a,35b,35cの温度検知結果等に応じて加熱部材32に備えられる抵抗発熱層32aおよび加圧ローラ34の内部に備えられるヒータランプ36への通電量を制御するための制御信号を熱源駆動手段45に出力することで定着ベルト33および加圧ローラ34の表面温度を制御するものである。
図6に示したように、温度制御部42は、センサデータ入力部51、温度記憶部52、温度偏差算出部53、テーブル記憶部54、出力決定部55、および電力制御部56を備えている。
センサデータ入力部51は、サーミスタ35a〜35cの出力信号に基づいて温度変化を抵抗値の変化として検出し、抵抗値変化を電圧値変化に変換し、さらにこの電圧値変化をコンピュータで取り扱うことのできるデジタル信号に変換する。そして、温度検知結果を示す信号を温度記憶部52および温度偏差算出部53に出力する。なお、サーミスタ35a〜35cは、例えば、温度が高くなると抵抗値が小さくなり、温度が低くなると抵抗値が大きくなる、負の温度係数を有している。
温度記憶部52は、サーミスタ35a〜35cによる過去所定時間分の温度検知結果を記憶する。なお、上記所定時間は、例えば、加熱部材32およびヒータランプ36の温度制御周期(加熱部材32およびヒータランプ36への通電量の制御周期)の整数倍に設定する。具体的には、本実施形態では、上記所定時間を1秒前から現在まで、あるいは2秒前から現在までに設定する。
温度偏差算出部53は、サーミスタ35aによる現在の検知温度である第1検知温度と予め設定されている定着ベルト33の目標温度(制御目標温度)との偏差である第1温度偏差、および第1検知温度とサーミスタ35aによる所定時間前(例えば1秒前あるいは2秒前)の検知温度である第2検知温度との偏差である第2温度偏差を算出し、出力決定部55に出力する。なお、温度偏差算出部53は上記第2検知温度を温度記憶部52から読み出す。また、第1検知温度については、温度偏差算出部53が温度記憶部52から読み出してもよく、あるいはセンサデータ入力部51から温度偏差算出部53に入力するようにしてもよい。
また、温度偏差算出部53は、サーミスタ35cによる温度検知結果についても同様に、サーミスタ35cによる現在の検知温度である第3検知温度と予め設定されている加圧ローラ34の目標温度(制御目標温度)との偏差である第3温度偏差、および上記第3検知温度とサーミスタ35cによる所定時間前(例えば1秒前あるいは2秒前)の検知温度である第4検知温度との偏差である第4温度偏差を算出し、出力決定部55に出力する。
テーブル記憶部54は、第1温度偏差と第2温度偏差との組み合わせと加熱部材32へ供給すべき電力量とを対応付けた第1出力設定テーブル(出力直接設定テーブル、中央部用テーブル)、および第3温度偏差と第4温度偏差との組み合わせとヒータランプ36へ供給すべき電力量とを対応付けた第2出力設定テーブル(加圧部材用テーブル)を記憶している。
出力決定部55は、温度偏差算出部53から入力される第1温度偏差および第2温度偏差に応じた通電量をテーブル記憶部54に記憶されている第1出力設定テーブルから読み出して加熱部材32への通電量を決定し、電力制御部56へ伝達する。また、出力決定部55は、温度偏差算出部53から入力される第3温度偏差および第4温度偏差に応じた通電量をテーブル記憶部54に記憶されている第2出力設定テーブルから読み出してヒータランプ36への通電量を決定し、電力制御部56へ伝達する。
なお、サーミスタ35bの温度検知結果(定着ベルト33の幅方向端部近傍の温度)とサーミスタ35aの温度検知結果(定着ベルト33の幅方向中央部の温度)との差に応じて第1出力設定テーブルから読み出した通電量を補正するようにしてもよい。例えば、上記の差に応じて定着ベルト33における幅方向の端部(記録材に当接しない非通紙領域)から定着ベルト33における幅方向中央部(記録材に当接する通紙領域)への伝熱量等を考慮して通紙領域の温度が目標温度に近づくように補正すればよい。あるいは、温度偏差算出部53が、サーミスタ35bによる所定時間前(例えば1秒前あるいは2秒前)の検知温度とサーミスタ35bによる現在の検知温度との偏差を算出し、出力決定部55がその偏差に応じて第1出力設定テーブルから読み出した通電量を補正するようにしてもよい。
電力制御部56は、出力決定部55から伝達された通電量に基づいて電源回路43から加熱部材32への通電量を制御させるための制御信号を熱源駆動手段45に出力する。
図1は、温度制御部42における加熱部材32の温度制御処理の流れを示すフローチャートである。
まず、センサデータ入力部51がサーミスタ35aの検知信号を受け付け、この検知信号に基づいて第1検知温度を検出(算出)し(S1)、検出した第1検出温度を温度記憶部52に記憶させる(S2)。
次に、温度偏差算出部53が温度記憶部52から第1検知温度および第2検知温度を読み出し(S3)、これら各検知温度に基づいて第1温度偏差および第2温度偏差を算出し(S4)、出力決定部55に出力する。
次に、出力決定部55は、温度偏差算出部53の算出した第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する通電量をテーブル記憶部54に記憶している第1出力設定テーブルから読み出し(S5)、電力制御部56に出力する。
図7は第1出力設定テーブルの一例を示す表である。この表に示す例では、加熱部材32への基準通電量(基準電力量)が予め設定されており、第1温度偏差と第2温度偏差との組み合わせに応じた、加熱部材32に供給可能な通電量の最大値(定格電力)に対する相対値が第1出力設定テーブルに格納されている。そして、基準通電量に第1出力設定テーブルから読み出した通電量を加算した通電量を加熱部材32への通電量として決定するようになっている。
例えば、目標温度が165℃に設定されており、サーミスタ35aの検知温度(第1検知温度)が164℃、サーミスタ35aの1秒前の検知温度(第2検知温度)が169℃の場合、
第1温度偏差=第1検知温度−目標温度=164−165=−1℃
第2温度偏差=第1検知温度−第2検知温度=164−169=−5℃
となる。
したがって、この場合、図7に示した第1出力設定テーブルより、加熱部材32に対する通電量は、基準通電量に最大通電量の50%を加算した値に設定される。例えば、基準通電量が最大通電量の50%に設定されている場合には、加熱部材32に対する通電量は、50%+50%=100%に設定される。
また、目標温度が165℃に設定されており、サーミスタ35aの検知温度(第1検知温度)が163℃、サーミスタ35aの1秒前の検知温度(第2検知温度)が163℃の場合、
第1温度偏差=第1検知温度−目標温度=163−165=−2℃
第2温度偏差=第1検知温度−第2検知温度=163−163=0℃
となる。
したがって、この場合、図7に示した第1出力設定テーブルより、加熱部材32に対する通電量は、基準通電量に最大通電量の13%を加算した値に設定される。例えば、基準通電量が最大通電量の50%に設定されている場合には、加熱部材32に対する通電量は、50%+13%=63%に設定される。
その後、電力制御部56は、出力決定部55によって決定された通電量に基づいて熱源駆動手段45の動作を制御することにより、電源回路43から加熱部材32への通電量を制御する(S6)。
図8(a)は、電力制御部56による加熱部材32への通電量の制御方法(制御波形)を示す説明図である。この図に示すように、電力制御部56は、出力決定部55によって決定された通電量に基づいて加熱部材32への通電をONにする時間とOFFにする時間との比(デューティ比)を決定し、加熱部材32への通電をデューティ制御法によって制御する。例えば、通電量が最大通電量に設定されている場合には、インターバル時間(制御周期)の全時間において通電をONにする。また、通電量が最大通電量の63%に設定されている場合、インターバル時間中の63%に対応する時間だけ通電をONにし、残り37%に対応する時間では通電をOFFにする。なお、本実施形態では、加熱部材32として抵抗性発熱体(抵抗発熱層32a)を用いている。これにより、抵抗性発熱体は通電ONと通電OFFの繰り返しによる突入電流が定着装置の加熱手段として多用されているハロゲンランプに比べて小さいので、ちらつきの原因となるフリッカを防止することができる。
なお、加熱部材32への通電量の制御方法は上記したようなデューティ制御に限るものではない。例えば、図8(b)に示すように、電源回路43から熱源駆動手段45を介して加熱部材32に供給される交流電源電圧の位相を制御する位相制御法を用いてもよい。この位相制御法では、交流電圧の半波長毎に通電時間を規定し、交流電圧の半波長毎の通電時間に応じて導通時間の位相角を制御して電力制御を行う。位相制御法では、ハロゲンランプのような誘導性発熱体の突入電流を抑えながら、電力制御を行うことができる。つまり、ハロゲンランプのような誘導性発熱体に対して通電ONと通電OFFを細かく行うと、誘導性負荷による電流変動が大きくなり、交流電源の大きな電圧変動を誘発するので、このような誘導性発熱体を用いる場合の電力制御には位相制御が好適である。
また、上記したデューティ制御と位相制御とを組み合わせて加熱部材32に供給する電力量を制御してもよい。この場合、例えば、出力決定部55の決定した通電量に応じて、デューティ制御を行うか、位相制御を行うかを予め設定された条件に基づいて適宜選択するようにしてもよい。また、例えば、インバータを用いて交流電圧を直流電圧に変換してパルス駆動する構成とし、出力決定部55の決定した通電量に応じて交流電圧の振幅を制御するようにしてもよい。また、直流電圧のパルス幅やパルス数などを制御することで通電量を制御してもよい。
その後、温度制御部42は、定着処理を終了するか否かを判断し(S7)、終了しない場合にはS1からの処理を繰り返す。
なお、図1の例では加熱部材32の温度制御処理について説明したが、温度制御部42はヒータランプ36の温度制御についても同様の方法で行う。すなわち、センサデータ入力部51がサーミスタ35cの検知信号を受け付て第3検知温度を検出し、検出した第3検出温度を温度記憶部52に記憶させる。また、温度偏差算出部53が温度記憶部52から第3検知温度および第4検知温度を読み出し、これら各検知温度に基づいて第3温度偏差および第4温度偏差を算出し、出力決定部55が第3温度偏差および第4温度偏差の組み合わせに対応する通電量をテーブル記憶部54に記憶している第2出力設定テーブルから読み出し、電力制御部56がその通電量に基づいて熱源駆動手段45の動作を制御することにより、電源回路43からヒータランプ36への通電量を制御する。
図9(a)は定着ベルトおよび加圧ローラの温度制御をこれら各部材の現在の温度検知結果のみに基づいて制御した場合(比較例1)のサーミスタ35a〜35cの温度検知結果を示すグラフである。また、図9(b)は、定着ベルトおよび加圧ローラの温度制御を本実施形態にかかる制御方法で制御した場合(実施例1)のサーミスタ35a〜35cの温度検出結果を示すグラフである。なお、比較例および実施例のいずれにおいても、室温(25℃)からウォームアップを開始し、ウォームアップ完了後にA4サイズの記録材に対してプロセス速度140mm/s、複写速度25枚/分で画像形成を行った。また、加熱部材32およびヒータランプ36に対する通電量の算出周期(制御周期)を510ms、インターバル時間を1020msとし、インターバル期間中に510ms毎に算出した通電量(2回の算出値)の平均値に基づいて加熱部材32およびヒータランプ36への通電量を制御した。
図9(a)に示したように、比較例ではウォームアップ終了直後、定着開始時の約5秒間に定着ベルト33の温度が約20℃低下する大きな温度リップルが生じた。このような状態で、定着処理を行うと、温度が高い状態のときと温度が低い状態のときとでトナーの溶融状態に差が生じ、定着動作後の画像に光沢の差が生じてしまって画質が低下する。
これに対して、本実施形態にかかる温度制御方法を用いることにより、図9(b)に示したように温度リップルを大幅に低減し、温度リップルに起因する画質の低下を抑制できる。
以上のように、本実施形態にかかる定着装置30では、定着ベルト33の現在の温度検知結果である第1検知温度と定着ベルト33の目標温度との偏差である第1温度偏差と、上記第1検知温度と定着ベルト33の所定時間前(例えば1秒前)の温度検知結果である第2検知温度との偏差である第2温度偏差との組み合わせに対応する加熱部材32への通電量を予め設定しておく。そして、定着ベルト33の温度検知結果に基づいて算出した第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに基づいて加熱部材32に供給する電力量を制御する。また、加圧ローラ34の現在の温度検知結果である第3検知温度と加圧ローラ34の目標温度との偏差である第3温度偏差と、上記第3検知温度と加圧ローラ34の所定時間前(例えば1秒前)の温度検知結果である第4検知温度との偏差である第4温度偏差との組み合わせに対応するヒータランプ36への通電量を予め設定しておく。そして、加圧ローラ34の温度検知結果に基づいて算出した第3温度偏差および第4温度偏差の組み合わせに基づいてヒータランプ36に供給する電力量を制御する。
これにより、定着ベルト33および加圧ローラ34の温度リップルを簡単な構成で効果的に抑制することができる。したがって、過加熱や熱量不足に起因する画質の低下や記録材の巻き付きなどの不具合を防止できる。また、定着ベルト33および加圧ローラ34の過加熱を防止できるので、余分なエネルギー消費が削減し、省エネルギー化を図ることができる。
なお、図7の例では第1出力設定テーブルから読み出した通電量を基準通電量に加算する場合について説明したが、これに限らず、第1温度偏差と第2温度偏差との各組み合わせに対応する加熱部材32に対する通電量そのものを示す値を格納してもよい。図10は、第1温度偏差と第2温度偏差との各組み合わせに対応する通電量として、加熱部材32に対する通電量の最大値(定格電力)に対する供給電力の割合を示す値を格納する場合の第1出力設定テーブルの一例を示している。例えば、第1温度偏差ΔT1が−1℃、第2温度偏差ΔT2が−5℃の場合には加熱部材32への供給電力は定格電力の100%に設定される。また、第1温度偏差ΔT1が−2℃、第2温度偏差ΔT2が0℃の場合には加熱部材32への供給電力は定格電力の63%に設定される。
また、第1温度偏差と第2温度偏差との各組み合わせと、加熱部材32に対して現在供給している通電量に対する変更の程度を示す値とを対応付けた第1出力設定テーブルを用いてもよい。例えば、加熱部材32に対して現在供給している通電量に対して加算あるいは減算すべき電力量を上記値として第1出力設定テーブルに格納しておいてもよい。
また、出力決定部55が、環境温度、環境湿度、記録材のサイズ、記録材の秤量、定着装置30あるいは画像形成装置100の動作条件等に応じて第1出力設定テーブルから読み出した通電量を補正するようにしてもよい。
例えば、環境温度に応じて定着対象となる記録材の温度が異なるので定着装置30による加熱量も異なることから、環境温度に応じて第1出力設定テーブルから読み出した通電量を補正してもよい。例えば、環境温度が13℃以上18℃未満(15℃環境)の場合には基準通電量の3%を加算し、8℃以上13℃未満(10℃環境)の場合には基準通電量の5%を加算し、8℃未満(5℃環境)の場合には基準通電量の10%を加算し、30℃以上(高温環境)の場合には基準通電量の5%を減算し、18℃以上30℃未満(常温環境)の場合には第1出力設定テーブルから読み出した通電量をそのまま用いるようにしてもよい。
また、第1出力設定テーブルから読み出した通電量を補正する構成に限らず、基準通電量を環境温度、環境湿度、記録材のサイズ、記録材の秤量、定着装置30あるいは画像形成装置100の動作条件等に応じて補正するようにしてもよい。なお、上記補正に用いる補正値あるいは補正パラメータは、例えば、テーブル記憶部54に第1出力設定テーブルとともに記憶させておいてもよく、他の記憶手段に記憶させておいてもよい。
例えば、常温環境での基準通電量を出力可能な最大値(定格電力)の50%にしておき、10℃環境の場合には基準通電量を上記最大値の60%に変更して全体として10%の出力アップを行い、高温環境の場合には余分に加熱する必要がないので加熱過多を防止するために基準通電量を上記最大値の30%に変更して全体として20%の出力ダウンを行うといったように補正すればよい。
また、環境温度に応じて通電量を補正する構成に限らず、相対湿度に応じて通電量を補正してもよい。例えば、相対湿度65%以上の場合には通電量を10%多くし、相対湿度30%未満の場合には通電量を20%少なくするといったように補正すればよい。
また、記録材のサイズおよび秤量(重さ)に応じて、厚さが厚い場合および重さが重い場合には通電量を多くし、厚さが薄い場合および軽い場合には通電量を少なくするようにしてもよい。例えば、秤量が90g/m以上の場合には通電量を10%多くし、60g/m未満の場合には20%少なくするようにしてもよい。
また、定着装置30の動作状態(例えば、ウォームアップ中、ウォームアップ後所定時間(例えば5分)経過までの待機状態、印字中、所定時間経過までの印字中、印字終了後所定時間経過までの状態、予熱待機中、冷却動作中、復帰中など)、画像形成装置100の動作状態(例えば、ウォームアップ中、画像読取中、プロセス調整中、印字中、予熱中、画像データ受信中、復帰中など)、あるいはこれら各装置の動作状態の組み合わせに応じて通電量を補正するようにしてもよい。例えば、画像形成装置100が電源OFFの状態から起動させた直後の5分間に実行する印字に関しては通電量を10%多くし、それ以降は補正しないようにしてもよい。また、画像形成装置100の装置内温度が所定値以上上昇した場合や、所定枚数(例えば500枚)以上の連続印字を実行した直後の印字については、通電量を20%少なくして所定時間(例えば3分間)実行し、その後は元に戻して補正を行わないようにしてもよい。
また、例えばトナーの補給や画像形成装置100に備えられる部材の調整等のために画像形成動作(印字動作)を一旦中断し、その後に画像形成動作を再開する場合に、出力設定テーブルから求めた通電量を予め定めた補正値に基づいて補正するようにしてもよい。
画像形成動作を中断する場合、記録材が搬送されなくなるため、記録材に奪われると想定していた熱量によって定着ベルト33および加圧ローラ34の温度が目標温度よりも高くなってしまう場合がある。このため、画像形成動作の再開時に、中断前と同様の方法で温度制御を行うと過加熱による画像不良が生じる場合がある。特に、定着ベルトや薄肉の定着ローラなどの低熱容量の定着部材(加熱部材)を用いる低熱容量タイプの定着装置の場合にこのような不具合が発生しやすい。
これに対して、上記したように、画像形成動作の中断を考慮して予め定めた補正値に基づいて出力設定テーブルから求めた通電量を補正することにより、定着ベルト33および加圧ローラ34への供給電力を適切に制御し、これら各部材の過加熱・過昇温を防止することができる。また、余分なエネルギー消費を抑制して省エネルギー化を図ることができる。また、低熱容量タイプの定着装置の場合であっても、上記のような不具合を適切に防止できる。
また、加熱部材32およびヒータランプ36に対応する出力設定テーブル(出力直接設定テーブル)をそれぞれ複数通り用意しておき、定着装置30の動作状態、画像形成装置100の動作状態、あるいはこれら各装置の動作状態の組み合わせに応じて使用する出力設定テーブルを切り替えるようにしてもよい。
また、本実施形態では、温度記憶部52に第1検知温度および第2検知温度を記憶させているが、これに加えて、第1温度偏差、第2温度偏差、加熱部材32に対する通電量の設定履歴などを記憶させるようにしてもよい。これにより、これらの情報を、定着装置30にトラブルが生じた場合のトラブル解析、異常状態の判定、解析などに用いることができる。
また、本実施形態では、加熱部材32が定着ベルト33の幅方向について一様に加熱する構成について説明したが、これに限るものではない。例えば、定着ベルト33の幅方向の中央部を加熱する加熱部材(中央加熱部材)と幅方向の端部を加熱する加熱部材(端部加熱部材)とを設けてもよい。この場合、例えば、中央加熱部材についてはサーミスタ(中央温度検知部)35aの温度検知結果に基づく第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに基づいて温度制御し、端部加熱部材についてはサーミスタ(端部温度検知部)35bの現在の検知温度である第5検知温度と目標温度との偏差である第5温度偏差と、所定時間前の検知温度である第6検知温度と第5検知温度との偏差である第6温度偏差との組み合わせに基づいて温度制御してもよい。すなわち、第5温度偏差と第6温度偏差との組み合わせに対応する端部の加熱部に対して供給すべき電力量を示す第3出力設定テーブル(端部用テーブル)をテーブル記憶部54に記憶させておき、それを読み出すことで供給する電力量を決定すればよい。
なお、本実施形態では、本発明を、定着速度(プロセス速度、記録材搬送速度)が225mm/secであり、複写速度(1分あたりのコピー枚数)がA4サイズ用紙を横送りで51枚/分である定着ベルト方式の定着装置に適用する場合について説明したが、これに限るものではない。また、定着装置30に備えられる各部材の構成、サイズ、制御条件等も本実施形態に示した例に限るものではなく、適宜変更することができる。また、出力設定テーブルについても、上述した例に限るものではなく、定着速度、複写速度、定着方式、各部材の構成、サイズ、制御条件等に応じて適宜設定すればよい。
例えば、図23に示す5種類の画像形成装置A〜Eについて、本実施形態と同様の制御方式で定着処理を行うことにより、上述したリップル抑制効果を得ることができる。
画像形成装置Aは、従来のローラ定着方式(定着ローラと加圧ローラとを当接させ、これら両ローラのニップ部(当接部)に記録材を通紙させる構成)の定着装置を用いた構成である。具体的には、図3の定着装置30における定着ローラ31、加熱部材32、および定着ベルト33に代えて、加圧ローラ34と同様の構成からなる定着ローラを加圧ローラ34に当接するように配置した構成である。また、この定着ローラの内部には、ヒータランプ36と同様の構成のヒータランプが備えられており、サーミスタ35aは定着ローラに対向する位置に配置されてこの定着ローラの表面温度を検出するようになっている。画像形成装置Aの複写速度は20枚/分であり、定着速度(プロセス速度)は104mm/sであり、定着ローラの設定温度(制御目標温度)は160℃である。
画像形成装置B〜Eは、図3に示した定着装置30と同様の構成を有する、ベルト定着方式の定着装置を用いている。ただし、複写速度、定着速度(プロセス速度)、および設定温度(制御目標温度)は図23に示すように設定されている。すなわち、画像形成装置Bの複写速度は23枚/分であり、定着速度は104mm/sであり、設定温度(制御目標温度)は145℃である。また、画像形成装置Cの複写速度は26枚/分であり、定着速度は140mm/sであり、設定温度(制御目標温度)は150℃である。また、画像形成装置Dの複写速度は31枚/分であり、定着速度は140mm/sであり、設定温度(制御目標温度)は155℃である。また、画像形成装置Eの複写速度は36枚/分であり、定着速度は165mm/sであり、設定温度(制御目標温度)は160℃である。
また、画像形成装置A〜Eの制御に用いる出力設定テーブルとして、画像形成装置A,Bについては図24に示すテーブルAを用い、画像形成装置C,Dについては図24に示すテーブルBを用い、画像形成装置Eについては図24に示すテーブルCを用いた。これら各テーブル(テーブルA〜C)は、定着ローラの内部に備えられるヒータランプ(画像形成装置Aの場合)、または加熱部材32(画像形成装置B〜Eの場合)に対する通電量を、これら各部材に供給可能な通電量の最大値(定格電力)に対する比率で表している。図24に示したように、一番左端の列は全て100%(供給可能な通電量の最大値)とし、一番右端の列は全て0%(通電なし)としている。すなわち、第1検知温度が大きく目標温度より下回っている場合には通電量を最大(100%)に設定して素早く昇温させ、逆に第1検知温度が目標温度より大きく上回っている場合には通電量を最小(0%)に設定して加熱を停止させて過昇温を防止するようにしている。
なお、本実施形態にかかる画像形成装置と同一の定着方式を用いる系列の画像形成装置、あるいは異なる定着方式であってもプロセス速度や複写速度等の条件が近い画像形成装置では、本実施形態と同じ制御方法によってリップルの抑制効果を得ることができる。この場合、本実施形態と同様の出力設定テーブルを用いてもよく、出力設定テーブルの内容を少しの修正して用いてもよい。
例えば、図23に示した画像形成装置AとBとは定着方式が異なっているが、同じ出力設定テーブル(テーブルA)を用いて制御することでリップルの抑制効果を得ることができる。また、図23に示した画像形成装置CとDとは複写速度が異なっているが、同一の出力設定テーブル(テーブルB)を用いることでリップルの抑制効果を得ることができる。
換言すれば、図24に示した3種類の出力設定テーブルを用いて定着処理を制御することにより、少なくとも5種類の画像形成装置においてリップルの抑制効果を得ることができる。すなわち、1つの出力設定テーブルを、プロセス速度、複写速度、定着方式、制御目標温度、環境条件等が異なる幅広い条件で適用することができる。
したがって、複数種類の画像形成装置において共通の出力設定テーブルを用いてリップルを抑制することができるので、必ずしも画像形成装置の種類毎(プロセス速度、複写速度、または定着方式が異なる画像形成装置毎)に出力設定テーブルを用意する必要がなく、画像形成装置の開発にかかる開発者の労力を省力化するとともに、開発にかかるコストを低減することができる。
また、本実施形態では、出力設定テーブルの行を5行(第2温度偏差の区分を5段階)とし、列を7列(第1温度偏差の区分を7段階)としている。すなわち、第2温度偏差により、定着装置の温度状態を、温度上昇に対応する2種類の温度勾配(温度勾配大および温度勾配小)、温度平衡状態(温度勾配なし)、および温度降下に対応する2種類の温度勾配(温度勾配小および温度勾配大)の合計5つの温度勾配のいずれかに分類し、この分類結果と、第1温度偏差にについての7段階の分類結果に応じて通電量を設定するようになっている。ただし、これに限らず、出力設定テーブルの行数(第2温度偏差の区分数)および列数(大1温度偏差の区分数)は適宜変更してもよい。すなわち、より細かな制御を行いたい場合には行数および/または列数を増やせばよく、設定内容をより簡略化したい場合には行数および/または列数を減らせばよい。なお、行数および列数が多すぎると温度リップルの抑制効果は向上するものの設定が繁雑になり、少なすぎると設定は簡略化されるものの温度リップルの抑制効果が低下することから、出力設定テーブルの行数は5行〜8行であることが好ましく、列数は5列〜10列であることが好ましい。
ところで、上述した例では、記録材が所定のプロセス速度および定着速度で連続して定着装置30に搬送される場合を想定して出力設定テーブルを設定しているが、実際の装置使用時には、例えば画像形成動作中に画質調整やトナー補給といったプロセス制御を行う必要が生じる場合があり、これらのプロセス制御中には記録材の搬送が中断される場合がある。このような記録材の搬送が中断されている状態で、記録材が連続して搬送される状態を想定して設定された出力設定テーブルを用いて温度制御を行うと、トナーの溶融に用いられるはずであった熱や記録材に奪われることを想定していた熱が定着装置にこもることになるので、過昇温が生じてしまう場合がある。その結果、記録材の定着ベルト33への巻き付き、ホットオフセット、あるいは画像荒れといった不具合が生じる場合がある。そこで、画像形成動作中(印字中)の画像形成装置100の負荷変動に応じて出力設定テーブルを切り替えたり、通電量を調節したりするようにしてもよい。
図25は記録材を搬送している場合(記録材を連続的に通紙する場合、および記録材を1枚のみ通紙する場合)に用いられる出力設定テーブルの一例を示しており、図26は画像形成装置100の負荷変動が生じて記録材の搬送が一時的に中断される場合に用いられる出力設定テーブルの例を示している。なお、図26に示した出力設定テーブルを、(i)画像形成動作を開始した後、記録材が定着装置30に搬送されるまでの期間や、(ii)最終の記録材の通紙が終了して待機状態に移行する際の後回転期間に用いるようにしてもよい。これら各図に示すように、記録材の搬送が一時的に中断された場合に通電量を低めに設定した出力設定テーブルに切り替えて制御することにより、定着ベルト33の過昇温を防止し、記録材の定着ベルト33への巻き付き、ホットオフセット、あるいは画像荒れといった不具合が生じることを防止できる。
また、画像形成動作中(印字中)の画像形成装置100の負荷変動に応じて出力設定テーブルを切り替える方法に限らず、出力設定テーブルとしては同じものを用い、この出力設定テーブルに基づいて算出される通電量を画像形成装置100の負荷変動に応じて補正するようにしてもよい。
図27(a)〜図27(c)は、出力設定テーブルに基づいて算出される通電量を画像形成装置100の負荷変動に応じて補正する場合の補正方法の一例を示す説明図である。
図27(a)は、記録材の搬送が中断された状態で定着装置30が動作を続けている状態(空転状態)の経過時間(空転時間)に応じて通電量を補正する場合の補正値(補正比率)を示している。この図に示す例では、記録材の搬送が中断されてから5秒以内の期間では出力設定テーブルに基づいて算出される通電量から加熱部材32に供給可能な通電量の最大値(定格電力)の2%を減算し、5秒を超えて10秒以内の期間では上記最大値の5%を減算し、10秒を超えて20秒以内の期間では上記最大値の10%を減算し、20秒を超えて30秒以内の期間では上記最大値の15%を減算し、30秒を超えて45秒以内の期間では上記最大値の20%を減算し、45秒を超えて60秒以内の期間では上記最大値の25%を減算し、60秒を超えた期間では上記最大値の30%を減算するようになっている。
図27(b)は、記録材の搬送が中断された状態で定着装置30が動作を続けている状態(空転状態)における定着ローラ31、定着ベルト33、および加圧ローラ34の回転速度に応じて通電量を補正する場合の補正値(補正比率)を示している。この図に示す例では、定着ローラ31、定着ベルト33、および加圧ローラ34の回転速度を、低速、中速1、中速2、中速3、および高速の5段階に切り替え可能になっており、低速の場合には出力設定テーブルに基づいて算出される通電量から加熱部材32に供給可能な通電量の最大値(定格電力)の5%を減算し、中速1の場合には上記最大値の10%を減算し、中速2および中速3の場合には上記最大値の15%を減算し、高速の場合には記最大値の20%を減算するようになっている。
図27(c)は、図23に示した画像形成装置A〜Eにおいて、記録材の搬送が中断された状態で定着装置30が動作を続けている状態(空転状態)で第1検知温度が制御目標温度を超えた場合に温度の遷移状態に応じて通電量を補正する場合の補正値(補正比率)を示している。この図に示す例では、各画像形成装置A〜Eについて、第1検知温度が制御目標温度を超えている場合に、第2温度偏差に基づいて定着ベルト(あるいは定着ローラ)の表面温度が低下中であるか、平衡状態であるか、上昇中であるかを判断し、それぞれの状態に応じて設定されている補正値を用いて出力設定テーブルに基づいて算出される通電量を補正するようになっている。
なお、図27(a)および図27(b)の例では、空転時間、回転速度に応じて補正値(補正比率)を切り替えているが、これに限らず、補正値を空転時間および回転速度にかかわらず一定値としてもよい。
また、記録材の搬送が中断したときに出力設定テーブルを切り替えたり、出力設定テーブルを用いて算出した通電量を補正する構成に限らず、画像形成動作(印字動作)を開始する際に記録材搬送を開始する前の前回転時、画像形成動作終了時の後回転、電源電圧の変動が生じたとき、画像形成装置100の動作モードが切り替えられたとき、加熱部材の種類が変更されたときなどに出力設定テーブルの切り替え、あるいは出力設定テーブルを用いて算出した通電量の補正を行うようにしてもよい。なお、この場合、記録材の搬送中断時と前回転時および後回転時とで同じ出力設定テーブルおよび/または補正値(補正比率)を用いてもよく、それぞれの場合について個別に出力設定テーブルおよび/または補正値(補正比率)を設定してもよい。また、各出力設定テーブルを、加熱部材の種類や定格電力などに応じて適宜設定してもよい。
図28は、画像形成装置100の動作モード毎に出力設定テーブルを設定する場合の出力設定テーブルの例を示している。この図に示す例では、画像形成モード(印字モード)用、前回転モード・後回転モード・空転モード(画像形成動作中に記録材の搬送を中断するモード)用、および待機モード(定着処理を迅速に行える温度状態を維持して待機するReady待機モード)用の3種類の出力設定テーブルが設定されている。
図29は、電源電圧の電圧値毎に出力設定テーブルを設定する場合の出力設定テーブルの例を示している。この図に示す例では、電源電圧が100Vの場合、120Vの場合、および230Vの場合について、合計3種類の出力設定テーブルが設定されている。なお、商用電源の電圧値は国ごとに異なっており、日本では100V、米国等では120V、欧州諸国の一部では220〜230Vに設定されている。
また、定着ベルト33を加熱するための加熱部材32として、定着ベルト33の全幅にわたって加熱する全幅加熱部と、定着ベルト33の幅方向中央部のみを加熱する中央加熱部とを有する加熱部材を用い、これら両加熱部に供給する電力量を別々の出力設定テーブルに基づいて制御してもよい。図30は、全幅加熱部用の出力設定テーブルと中央加熱部用の出力設定テーブルとを別々に設定する場合の例を示している。全幅加熱部および中央加熱部の構成は特に限定されるものではないが、例えば、全幅加熱部として100V、930Wのものを用い、中央加熱部として100V、530Wのものを用いる。
図31(a)〜図31(d)は、全幅加熱部用の出力設定テーブルと中央加熱部用の出力設定テーブルとを別々に設定するとともに、電源電圧および動作モードに応じて出力設定テーブルを切り替える場合の各出力設定テーブルの例を示している。
具体的には、図31(a)は全幅加熱部用の出力設定テーブルa〜dを示している。テーブルaは、電源電圧220V〜240V(200V電源系)、待機モード中の条件のときに用いられる出力設定テーブルである。テーブルbは、電源電圧220V〜240V、画像形成動作中(印字動作中)の条件のときに用いられる出力設定テーブルである。テーブルcは、電源電圧100V〜120V(100V電源系)、待機モード中の条件のときに用いられる出力設定テーブルである。テーブルdは、電源電圧100V〜120V、画像形成動作中(印字動作中)の条件のときに用いられる出力設定テーブルである。
また、図31(b)は中央加熱部用の出力設定テーブルe〜hを示している。テーブルeは、電源電圧220V〜240V、待機モード中の条件のときに用いられる出力設定テーブルである。テーブルfは、電源電圧220V〜240V、画像形成動作中(印字動作中)の条件のときに用いられる出力設定テーブルである。テーブルgは、電源電圧100V〜120V、待機モード中の条件のときに用いられる出力設定テーブルである。テーブルhは、電源電圧100V〜120V、画像形成動作中(印字動作中)の条件のときに用いられる出力設定テーブルである。
例えば、電源電圧(商用電源)が100Vである日本国内で使用する場合には、待機時には、テーブルcを用いて全幅加熱部への通電量を制御し、テーブルgを用いて中央加熱部への通電量を制御する。また、日本国内で使用する場合、画像形成動作中には、テーブルdを用いて全幅加熱部への通電量を制御し、テーブルhを用いて中央加熱部への通電量を制御する。また、電源電圧が220V〜240Vの国で使用する場合には、待機時には、テーブルaを用いて全幅加熱部への通電量を制御し、テーブルeを用いて中央加熱部への通電量を制御する。また、電源電圧が220V〜240Vの国で使用する場合、画像形成動作中には、テーブルbを用いて全幅加熱部への通電量を制御し、テーブルfを用いて中央加熱部への通電量を制御する。
このように、電源電圧、動作モード、および加熱部材の種類等の条件に応じて複数種類の出力設定テーブルを切り替えて用いることにより、単一の出力設定テーブルを用いて温度制御を行う場合よりも、定着装置30の温度を状況に応じて適切に制御することができる。
なお、上記の例では、電源電圧、動作モード、および加熱部材の種類に応じて出力設定テーブルを切り替える場合について説明したが、これらの条件に代えて、あるいはこれらの条件に加えて、環境温度、記録材の種類、あるいは記録材の含水量等の条件に応じて出力設定テーブルを切り替えるようにしてもよい。
また、複数種類の出力設定テーブルを切り替えて用いるとともに、出力設定テーブルを用いて算出した各加熱部材への通電量を、電源電圧、動作モード、および加熱部材の種類等の条件に応じて適宜補正することにより、柔軟かつ安定した温度制御を行うことができる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1と同様の機能を有する部材については実施形態1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
図11は本実施形態にかかる定着装置30bの断面図である。この定着装置30bは、実施形態1にかかる定着装置30に代えて画像形成装置100に備えられるものである。
図11に示すように、定着装置30bは、実施形態1の定着装置30における加熱部材32に代えて、加熱ローラ(加熱部材)132を備えており、加熱ローラ132の内部にハロゲンランプ等からなるヒータランプ(中央加熱部材)133aおよびヒータランプ(端部加熱部材)133bを備えている。
加熱ローラ132は、アルミニウムからなる外径28mm、肉厚0.5mmのアルミニウムからなる中空円筒状のローラ部材であり、その両端部は耐熱樹脂製の断熱ブッシュ及びボールベアリングからなる支持部材によって回転可能に保持されている。また、これら各支持部材は定着ローラ31から遠ざかる方向にバネ等の付勢部材で付勢されたフレームに固定されている。これにより、定着ローラ31および加熱ローラ132に張架される定着ベルト33に所定の張力が付与されるようになっている。これにより、定着ローラ31が回転駆動されて定着ベルト33が定着ローラ31に従動回転すると、加熱ローラ132が定着ベルト33に従動回転するようになっている。
加熱ローラ132の内部には、ヒータランプ133aおよび133bが配置されている。なお、ヒータランプ133aは加熱ローラ132の軸方向中央部の所定幅の領域に設けられており、ヒータランプ133bは加熱ローラ132の軸方向両端部の所定幅の領域に設けられている。また、サーミスタ35aは定着ベルト33および加熱ローラ132を介してヒータランプ133aに対向する位置に配置されており、サーミスタ35bは定着ベルト33および加熱ローラ132を介してヒータランプ133bに対向する位置に配置されている。
ヒータランプ133a,133bの動作は温度制御部42が熱源駆動手段45の動作を制御することによって行われる。具体的には、熱源駆動手段45が温度制御部42からの制御信号に応じて電源回路43からヒータランプ133a,133bに供給(通電)する電力を制御することにより、ヒータランプ133a,133bが供給される電力に応じて発光し、ヒータランプ133a,133bから赤外線が放射される。これにより、加熱ローラ132の内周面が赤外線を吸収して加熱され、加熱ローラ132全体が加熱される。なお、ヒータランプ133a,133bが放射する赤外線を吸収しやすくするために、加熱ローラ132の内面に赤外線の波長域に良好な吸収特性を有する耐熱黒色塗料を塗布してもよい。
図12は、本実施形態にかかる定着装置30bに備えられる温度制御部42における加熱部材32の温度制御処理の流れを示すフローチャートである。
S1〜S4の処理は実施形態1に示した図1と略同様である。ただし、本実施形態では、第2温度検知温度を1.5秒前の検知温度としている。
S4で温度偏差算出部53が第1温度偏差および第2温度偏差を算出した後、出力決定部55は、テーブル記憶部54に記憶させているレベル変更値テーブル(出力設定テーブル)から第1温度偏差および第2温度偏差に対応するレベル変更値を読み出す(S5−3)。そして、テーブル記憶部54に記憶させている出力規定テーブルからS5−3で読み出したレベル変更値に対応するレベルの出力値(電力量)を読み出す(S5−5)。
具体的には、本実施形態では、各ヒータランプへの通電量を定格電力に対する割合に応じて複数のレベルに分割し、所定時間前の各ヒータランプへの通電量がいずれのレベルに設定されていたかを示す出力規定テーブルをヒータランプ毎にテーブル記憶部54に記憶させている。図13(a)はヒータランプ133aについての出力規定テーブルである第1出力規定テーブルの一例であり、ヒータランプ133aに対する通電量が定格電力に対する割合に応じて15段階にレベル分けされており、前回のヒータランプ133aへの通電量は定格電力の50%に相当するレベル5である場合の例を示している。
また、本実施形態では、目標温度と現在の検知温度(第1検知温度、第3検知温度、第5検知温度)との温度偏差(第1温度偏差、第3温度偏差、第5温度偏差)と所定時間前の検知温度(第2検知温度、第4検知温度、第6検知温度)と現在の検知温度との温度偏差(第2温度偏差、第4温度偏差、第6温度偏差)の組み合わせと通電量のレベル変更値とを対応付けて記憶したレベル変更値テーブル(第1レベル変更値テーブル(中央部用テーブル)、第2レベル変更値テーブル(加圧部材用テーブル)、第3レベル変更値テーブル(端部用テーブル))をテーブル記憶部54に記憶させている。図13(b)は、第1温度偏差と第2温度偏差との組み合わせに応じたヒータランプ133aに対する通電量のレベル変更値を記憶したレベル変更値テーブルの一例を示している。なお、図13(b)のレベル変更値は、図13(a)の出力規定テーブルにおけるレベルを出力値が大きくなるように変更する方向(図13(a)のレベル値が小さくなる方向)を正としている。
例えば、定着ベルト33の目標温度が165℃に設定されており、サーミスタ35aの検知温度(第1検知温度)が161℃、サーミスタ35aの所定時間前(例えば1.5秒前)の検知温度(第2検知温度)が165℃であり、現在のヒータランプ133aへの通電量がレベル11(定格電力の10%)である場合、図13(b)に示すレベル変更値テーブルからレベル変更値は2なので、図13(a)に示す出力規定テーブルに基づいてレベルをレベル9に変更する。これにより、ヒータランプ133aへの通電力はレベル9に対応する定格電力の25%に変更される。
また、定着ベルト33の目標温度が170℃に設定されており、サーミスタ35aの検知温度(第1検知温度)が172℃、サーミスタ35aの所定時間前(例えば1.5秒前)の検知温度(第2検知温度)が165℃であり、現在のヒータランプ133aへの通電量がレベル5(定格電力の50%)である場合、図13(b)に示すレベル変更値テーブルからレベル変更値は−2なので、図13(a)に示す出力規定テーブルに基づいてレベルをレベル7に変更する。これにより、ヒータランプ133aへの通電力はレベル7に対応する定格電力の30%に変更される。
なお、現在のレベル数にレベル変更値テーブルから読み出したレベル変更値に応じた値を加算するとレベル数の最大値(図13(a)の場合15)を上回る場合には変更後のレベルを最大値に設定し、レベル数の最小値(図13(a)の場合1)を下回る場合には変更後のレベルを最小値に設定すればよい。
その後、電力制御部56が出力決定部55によって決定された通電量に基づいて熱源駆動手段45の動作を制御し、電源回路43から加熱部材32への通電量を制御する(S6)。そして、温度制御部42は、定着処理を終了するか否かを判断し(S7)、終了しない場合にはS1からの処理を繰り返す。
なお、ヒータランプ133b,36の温度制御についてもヒータランプ133aと略同様の方法で行う。
すなわち、本実施形態では、センサデータ入力部51がサーミスタ35a,35b,35cの検知信号を受け付け、これら各検知信号に基づいてサーミスタ35a,35b,35cの検知温度である第1検知温度、第3検知温度、第5検知温度を検出する。そして、これら各検知温度を温度記憶部52に記憶させる。
次に、温度偏差算出部53が温度記憶部52から第1検知温度および第2検知温度(所定時間前(例えば1.5秒前)の第1検知温度)を読み出し、これら各検知温度に基づいて第1温度偏差および第2温度偏差を算出し、出力決定部55に出力する。また、温度偏差算出部53が温度記憶部52から第3検知温度および第4検知温度(所定時間前の第3検知温度)を読み出し、これら各検知温度に基づいて第3温度偏差および第4温度偏差を算出し、出力決定部55に出力する。また、温度偏差算出部53が温度記憶部52から第5検知温度および第6検知温度(所定時間前の第5検知温度)を読み出し、これら各検知温度に基づいて、定着ベルト33の目標温度と第5検知温度との偏差である第5温度偏差、および第6検知温度と第5検知温度との偏差である第6温度偏差を算出し、出力決定部55に出力する。
次に、出力決定部55は、温度偏差算出部53の算出した第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに基づいてヒータランプ133aに供給する電力量を決定し、第3温度偏差および第4温度偏差の組み合わせに基づいてヒータランプ36に供給する電力量を決定し、第5温度偏差および第6温度偏差の組み合わせに基づいてヒータランプ133bに供給する電力量を決定する。
そして、出力決定部55は、第1温度偏差と第2温度偏差との組み合わせに応じたレベル変更値を第1レベル変更値テーブルから読み出し、第1出力規定テーブルにおける現在のレベルをこのレベル変更値に応じて変更するとともに、ヒータランプ133aに対する通電量を変更後のレベルに応じた通電量に変更する。また、出力決定部55は、第3温度偏差と第4温度偏差との組み合わせに応じたレベル変更値を第2レベル変更値テーブルから読み出し、ヒータランプ36に対応する出力規定テーブルである第2出力規定テーブルにおける現在のレベルをこのレベル変更値に応じて変更するとともに、ヒータランプ36に対する通電量を変更後のレベルに応じた通電量に変更する。また、出力決定部55は、第5温度偏差と第6温度偏差との組み合わせに応じたレベル変更値を第3レベル変更値テーブルから読み出し、ヒータランプ133bに対応する出力規定テーブルである第3出力規定テーブルにおける現在のレベルをこのレベル変更値に応じて変更するとともに、ヒータランプ133bに対する通電量を変更後のレベルに応じた通電量に変更する。
その後、電力制御部56は、出力決定部55の決定した通電量に基づいてヒータランプ133a,133b,36に対する通電量を制御する。
なお、本実施形態では、定着処理の実行中だけでなく、定着処理を迅速に行える温度状態を維持して待機するReady待機状態においても上述した制御方法に基づいて各部の温度制御を行うようになっている。
以上のように、本実施形態では、定着ベルト33の幅方向中央部に対応する位置に備えられるヒータランプ133aと、定着ベルト33の幅方向端部に対応する位置に備えられるヒータランプ133bと、加圧ローラ34の内部に備えられたヒータランプ36とを備えている。そして、定着ベルト33における幅方向中央部の現在の検知温度と定着ベルト33の目標温度との偏差である第1温度偏差と、定着ベルト33における幅方向中央部の現在の検知温度と所定時間前の定着ベルト33における幅方向中央部の検知温度との偏差である第2温度偏差との組み合わせに基づいてヒータランプ133aへの通電量を制御する。また、加圧ローラ34の現在の検知温度と加圧ローラ34の目標温度との偏差である第3温度偏差と、加圧ローラ34の現在の検知温度と所定時間前の加圧ローラ34の検知温度との偏差である第4温度偏差との組み合わせに基づいてヒータランプ36への通電量を制御する。また、定着ベルト33における幅方向端部の現在の検知温度と定着ベルト33の目標温度との偏差である第5温度偏差と、定着ベルト33における幅方向端部の現在の検知温度と所定時間前の定着ベルト33における幅方向端部の検知温度との偏差である第6温度偏差との組み合わせに基づいてヒータランプ133bへの通電量を制御する。
これにより、各ヒータランプに対する過去の出力結果(制御履歴)の最終結果を次の出力値の制御に反映されることができ、定着ベルト33および加圧ローラ34の温度リップルを簡単な構成で効果的に抑制することができる。したがって、過加熱や熱量不足に起因する画質の低下や記録材の巻き付きなどの不具合を防止できる。また、定着ベルト33および加圧ローラ34の過加熱を防止できるので、余分なエネルギー消費が削減し、省エネルギー化を図ることができる。
図14(a)は定着ベルトおよび加圧ローラの温度制御をこれら各部材の現在の温度検知結果のみに基づいてON/OFF制御した場合(比較例2)のReady待機状態におけるサーミスタ35a〜35cの温度検知結果を示すグラフである。また、図14(b)は、定着ベルトおよび加圧ローラの温度制御を本実施形態にかかる制御方法で制御した場合(実施例2)のReady待機状態におけるサーミスタ35a〜35cの温度検出結果を示すグラフである。なお、Ready待機状態とは、主制御部から定着処理の実行指示があった場合に定着処理を迅速に開始できるように各部材の温度を目標温度に維持して待機するモードである。また、定着ベルト33の目標温度(サーミスタ35aによる検知温度に基づく目標温度)を180℃とし、加圧ローラ34の目標温度を170℃とした。また、加熱部材32およびヒータランプ36に対する通電量の算出周期(制御周期)を510ms、インターバル時間を1020msとし、インターバル期間中に510ms毎に算出した通電量(2回の算出値)の平均値に基づいて加熱部材32およびヒータランプ36への通電量を制御した。
図14(a)に示すように、比較例の制御方法では定着ベルトの温度が定着ベルトの幅方向中央部および幅方向端部においてそれぞれ10℃程度変動する温度リップルが生じた。これに対して、本実施形態にかかる温度制御方法を用いることにより、図14(b)に示したように温度リップルをほとんど生じさせることなく定着ベルトの温度を目標温度に略均一に維持できた。このように、Ready待機状態において定着ベルト33の温度を略均一に温度制御することにより、この後に定着処理を開始したときに大きな温度リップルが生じることを抑制できるので、定着処理を迅速に開始するとともに、画質の低下や定着ベルト33への記録材の巻き付きなどを防止することができる。
なお、本実施形態では、Ready待機状態にも定着処理時にも共通の出力規定テーブルおよびレベル変更値テーブルを用いているが、これに限らず、より精密な温度制御を行うために、定着装置30bの動作状態や環境条件等の外乱要因に応じた複数種類の出力規定テーブルおよびレベル変更値テーブルを用いてもよい。例えば、定着処理の実行時(印字動作時)には図13(b)に示した第1レベル変更値テーブルに代えて図15に示す第1レベル変更値テーブルを用いるようにしてもよい。
また、例えば、温度制御開始時(例えば、電源投入時やスリープ状態からの復帰時など)、温度制御条件変更時(例えば、目標温度設定の変更時、記録材の種類の変更時、印字速度(プロセス速度)の変更時など)、画像形成装置の動作状態変更時(例えば、Ready待機状態から印字状態(定着処理状態)への移行時、ウォームアップ状態からReady待機状態への移行時、印字状態から冷却状態(定着処理時およびウォーミングアップ時よりも低い温度で待機する状態)へ移行時、冷却状態から待機状態へ移行時、冷却状態から印字状態への移行時など)、印字動作実行中の所定条件(例えば、印字開始からの経過時間、印字開始からの印字枚数、印字中の印字枚数経過状況、残り印字枚数など)の満了時、その他温度制御条件変更時、通電量変更時、定着装置30bにおける印字動作実行中の所定条件満了時、印字動作終了時、予熱状態中の省エネルギー状態時などの定着装置30bにおける動作状態変更時などに応じて複数のレベル変更値テーブルを設けてもよい。また、これらの各条件を複数のグループに分け、グループ毎にレベル変更値テーブルを設けてもよい。同様に、上述した各条件あるいはこれら各条件を複数に分類したグループ毎に出力規定テーブルを設けてもよい。
例えば、図16に示すように、ヒータランプ133aに適用する第1レベル変更値テーブルとしてレベル変更値テーブルAおよびBの2つを設定しておき、第1出力規定テーブルとして出力規定テーブルAおよびBの2つを設定しておく。なお、図16の例では、レベル変更値テーブルAはレベル変更値テーブルBよりも電力量が多めになるように設定されている。また、出力規定テーブルAは出力規定テーブルBよりも電力量が多めになるように設定されている。これにより、選択するレベル変更値テーブルおよび出力規定テーブルの組み合わせに応じて図16に示したように最小、小、大、最大の4通り電力量の設定パターンを切り替えれることができる。
図17は、複数のレベル変更値テーブルを使い分ける場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。S1〜S4の処理は図12と同様である。
S4で温度偏差算出部53が第1温度偏差および第2温度偏差を算出した後、出力決定部55は、予め設定された条件に基づいて複数のレベル変更値テーブルの中から処理に用いるレベル変更値テーブルを選択する(S5−2)。そして、出力決定部55は、選択したレベル変更値テーブルから第1温度偏差および第2温度偏差に対応するレベル変更値を読み出す(S5−3)。
次に、出力決定部55は、予め設定された条件に基づいて複数の出力規定テーブルの中から処理に用いる出力規定テーブルを選択する(S5−4)。そして、出力決定部55は、選択した出力規定テーブルからレベル変更値に対応するレベルの出力値(電力量)を読み出す(S5−5)。
その後、電力制御部56が出力決定部55によって決定された通電量に基づいて熱源駆動手段45の動作を制御することにより、電源回路43から加熱部材32への通電量を制御する(S6)。そして、温度制御部42は、定着処理を終了するか否かを判断し(S7)、終了しない場合にはS1からの処理を繰り返す。
例えば、Ready状態から印字動作を開始する場合、待機している時間にもよるがReady待機状態での放熱により蓄熱していた熱が放出されてしまい、加熱ローラ132、定着ベルト33、定着ローラ31、および加圧ローラ34などの熱容量の小さい部材において印字動作時の必要熱量が不足する場合がある。そこで、印字動作開始初期には、レベル変更値テーブルAと出力規定テーブルAを用いて通電制御を行うことで通電量を多めに設定する。そして、サーミスタ35cで検知した加圧ローラ34の温度が、予め定めた温度に到達すると、レベル変更値テーブルAと出力規定テーブルBとを用いて通電制御を行う。これにより、印字動作開始初期よりは通電量をやや少なめに設定できる。また、所定の印字枚数(例えば、記録材のサイズや片面/両面などの印字モード毎に予め設定しておく)に到達すると、レベル変更値テーブルBと出力規定テーブルAとを用いて通電制御を行う。また、印字処理が途中で中断した場合やReady待機中などの比較的熱供給の少ない場合には、レベル変更値テーブルBと出力規定テーブルBとを用いて通電制御を行う。
これにより、印字動作やReady待機状態など、熱供給条件が異なる状態でも、レベル変更値テーブルおよび出力規定テーブルの4通りの組み合わせに基づいて温度制御を行うことができるので、温度制御をより適切に行える。このため、熱供給状態が急変した場合でも温度リップルが生じることを抑制して過剰加熱や加熱不足を防止することができる。
なお、上記の説明では、熱供給条件に応じて通電量を順次少なくしていく場合について説明したが、熱供給条件に応じて通電量を多くすることが好ましい場合には、通電量が多くなるようにレベル変更値テーブルおよび出力規定テーブルの組み合わせを適宜変更すればよい。
また、1つのヒータランプに対応するレベル変更値テーブルおよび出力規定テーブルの数は各2つに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。また、レベル変更値テーブルの数と出力規定テーブルの数は同数である必要はない。
また、レベル変更値テーブルおよび出力規定テーブルを切り替える構成に限らず、レベル変更値テーブルあるいは出力規定テーブルから読み出した値、あるいはこれら各値に基づいて定まる通電量を定着装置30の動作状態(例えば、ウォームアップ中、ウォームアップ後5分経過までの待機状態、印字中、所定時間経過までの印字中、印字終了後所定時間経過までの状態、予熱待機中、冷却動作中、復帰中など)、画像形成装置100の動作状態(例えば、ウォームアップ中、画像読取中、プロセス調整中、印字中、予熱中、画像データ受信中、復帰中など)、あるいはこれら各装置の動作状態の組み合わせに応じて通電量を補正するようにしてもよい。
また、図13(a)に示した出力規定テーブルを用いる場合、Ready待機状態で定着ベルト33の温度変化が緩やかに推移している場合には、第1検知温度と目標温度との差がある程度生じても第1検知温度と第2検知温度との差が小さいためにレベル変更値は±0となり、ヒータランプ133aへの通電量は0に維持されるので、外乱要因に対する温度制御の応答性が低下する場合がる。
そこで、このような温度制御の応答性の低下を抑制するために、レベル変更値テーブルから読み出したレベル変更値に応じて変更した後のレベルがレベル15(定格出力の0%)となってヒータランプ133aへの通電量をゼロにした後、次にヒータランプ133aへの通電を開始する時にはレベル変更値テーブルから読み出されるレベル変更値に応じたレベルではなく所定のレベル(例えばレベル11(定格電力の10%))で通電を開始するようにしてもよい。あるいは、所定の通電量(例えば定格電力の30%以下の範囲内に設定される所定値)で通電を開始するようにしてもよい。これにより、再通電時に通電量が0%のまましばらく維持されて応答性が低下してしまうことを防止し、定着ベルト33の温度が大きく変動することを抑制できる。
なお、再通電時の通電量の設定レベルは上記した例(定格電力の10%)に限るものではなく、例えば環境温度や印字条件などの外乱要因の程度を考慮して適宜設定すればよい。例えば、常温常湿環境では定格電力の10%で再通電を開始し、低温低湿環境では定格電力の21%で最通電を開始し、高温高湿環境では定格電力の7%で再通電を開始するといったように、環境温湿度に応じて再通電開始時の通電量を設定してもよい。また、現在の通電量が0に設定されている場合からの再通電時にかかわらず、例えば所定レベル以下の通電量から通電量を増加させる方向にレベル変更を行う場合には所定のレベルで通電を行うにしてもよい。また、これとは逆に、所定レベル以上の通電量から通電量を減少させる方向にレベル変更を行う場合に所定レベルで通電を行うようにしてもよい。また、印字動作開始から所定時間経過後、所定枚数の印字完了時、ウォームアップ完了時、Ready待機完了時などに電力量の変更を行う場合にも適用できる。
また、通電量ゼロからの再開時に通電量を所定のレベルに対応する通電量あるいは所定の値に設定する構成に限るものではない。例えば、現在の通電量が第1所定値(例えば定格電力の25%以下の範囲内で設定させる所定値)以下であって、レベル変更値テーブルおよび出力規定テーブルに基づいて決定される通電量と現在の通電量との差が所定値(例えば上記第1所定値)以上である場合や、現在の通電量が第2所定値(例えば定格電力の75%以上の範囲内で設定される所定値)であって、レベル変更値テーブルおよび出力規定テーブルに基づいて決定される通電量と現在の通電量との差が所定値(例えば上記第2所定値)以上である場合などに、通電量をレベル変更値テーブルおよび出力規定テーブルに基づいて決定される通電量ではなく所定のレベルに対応する通電量あるいは所定の値に設定するようにしてもよい。
また、上述した出力規定テーブルおよび第1温度偏差および第2温度偏差に対応するレベル変更値を示すレベル変更値テーブルに加えて、第1温度偏差および第2温度偏差に対応する通電量を示す実施形態1と同様の出力設定テーブル(例えば図7と同様のテーブル)をテーブル記憶部54に記憶させておき、現在の通電量が第1所定値(例えば定格電力の25%以下の範囲内で設定させる所定値)以下の場合、および第2所定値(例えば定格電力の75%以上の範囲内で設定される所定値)以上の場合にはこの出力設定テーブルに基づいて通電量を設定し、その他の場合には出力規定テーブルおよびレベル変更値テーブルに基づいてヒータランプ133aに供給する通電量を設定するようにしてもよい。なお、ヒータランプ36および133bについても同様に、出力規定テーブルおよびレベル変更値テーブルを用いた通電制御と、出力設定テーブルを用いた通電制御とを組み合わせて用いてもよい。
図18は、出力設定テーブルを用いて電力量を決定する処理(直接設定処理)と、レベル変更値テーブルおよび出力規定テーブルを用いて電力量を決定する処理(間接設定処理)とを切り替えて用いる場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。S1〜S4の処理は図12と同様である。
S4で温度偏差算出部53が第1温度偏差および第2温度偏差を算出した後、出力決定部55は、ヒータランプ133aへの通電量を直接設定処理で設定するか、間接設定処理で設定するかを判断する(S5−1)。具体的には、現在の通電量が第1所定値以下の場合、および第2所定値以上の場合には直接設定処理を行い、第1所定値よりも大きく、第2所定値未満の場合には間接設定処理を行う。
そして、間接設定処理を行うと判断した場合、出力決定部55は、レベル変更値テーブルから第1温度偏差および第2温度偏差に対応するレベル変更値を読み出し(S5−3)、出力規定テーブルからレベル変更値に応じて変更されたレベルに対応する出力値(電力量)を読み出す(S5−5)。
一方、直接設定処理を行うと判断した場合、出力決定部55は、出力設定テーブルから第1温度偏差および第2温度偏差に対応する出力値(電力量)を読み出す(S5)。
その後、電力制御部56が出力決定部55によって決定された通電量に基づいて熱源駆動手段45の動作を制御することにより、電源回路43から加熱部材32への通電量を制御する(S6)。そして、温度制御部42は、定着処理を終了するか否かを判断し(S7)、終了しない場合にはS1からの処理を繰り返す。
また、例えば、第1検知温度および第2検知温度に加えて、第2温度偏差の算出結果を温度記憶部52に順次記憶させ、第2温度偏差の変化率に応じてレベル変更値テーブルに格納するレベル変更値を変更するようにしてもよい。なお、第2温度偏差の変化率として、例えば、第1所定時間前(例えば2秒前)の第2温度偏差と第2所定時間(例えば1秒前)の第2温度偏差との差を用いてもよい。図19はこの場合のレベル変更値テーブルの一例を示している。これにより、温度勾配に相当する第2温度偏差の変化率を通電量の決定に反映させることができるので、温度制御をより精度よく行うことができる。なお、第2温度偏差の変化率の極性あるいは大きさに応じてレベル変更値テーブルに格納するレベル変更値をさらに細かく設定してもよい。
また、本実施形態では、定着ベルト33を加熱するための加熱手段としてヒータランプ133a,133bを内蔵した加熱ローラ132を用いたが、これに限らず、例えば実施形態1に示した加熱部材32を用いてもよい。
また、上記各実施形態では、定着ローラ、定着ベルト、および加圧ローラを1組だけ備えた定着装置を用いる場合について説明したが、これに限るものではない。
例えば、図20に示すように、実施形態1で示した定着装置30と、この定着装置30に対して記録材搬送方向の下流側に備えられる第2の定着装置60とを備えた定着装置30cを用いてもよい。
この定着装置30cは、内部にヒータランプ65を備えた定着ローラ61と、内部にヒータランプ66を備えた加圧ローラ62とを所定の荷重で当接させた構成であり、これら両ローラは互いに逆方向に回転駆動される。そして、回転駆動されている定着ローラ61と加圧ローラ62との間に記録材を通紙させることにより、定着装置30によって記録材上に一次定着されたトナー像をこの記録材により強固に定着させる。
なお、定着ローラ61との対向部にはサーミスタ63が配置され、加圧ローラ62との対向部にはサーミスタ64が配置されており、これら各サーミスタによる両ローラの温度検知結果に基づいて温度制御部42がヒータランプ65および66への通電量を制御するようになっている。温度制御方法は、例えば加熱部材32およびヒータランプ36の温度制御方法と同様の方法を用いることができる。
定着ローラ61および加圧ローラ62の構成は特に限定されるものではなく、熱ローラ定着方式の定着装置において従来から用いられているものを用いてもよい。本実施形態では、定着ローラ61および加圧ローラ62として、内側から順に芯金、弾性層、および離型層が形成された3層構造のものを用いた。芯金には、例えば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等の金属あるいはそれらの合金等が用いられる。また、弾性層にはシリコンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性を有するゴム材料が適しており、離型層はPFAやPTFE等のフッ素樹脂が適している。
また、定着装置30と定着装置60との間には、搬送ガイド板または搬送ローラなどのガイド部材70が設けられており、定着装置30で一次定着処理された記録材Pは、ガイド部材に沿って搬送されて、定着装置60で2次定着処理されて排出されるようになっている。
また、記録材が薄い場合や定着処理を素早く行いたい場合には、定着装置30によって一次定着処理された記録材の搬送方向をガイド部材70によって切り替えて定着装置60を介さずに排出するための迂回経路に搬送させ、この迂回経路に配設される複数の搬送ローラ71a,71bによって定着装置30cの外部に排出するようにしてもよい。
なお、定着ローラ61および加圧ローラ62を加熱するための加熱手段はヒータランプに限るものではなく、誘導加熱を利用した誘導加熱方式の加熱手段を用いてもよく、ヒータランプと誘導加熱方式の加熱手段とを適宜組み合わせて用いてもよい。
また、定着装置60に代えて定着装置30を備えた定着装置30dを用いてもよい。つまり、図21に示すように、定着装置30を2組備えた構成としてもよい。
これらの2段階定着方式の定着装置を用いる構成では、各定着装置の熱容量を小さくできるので、熱応答性を高めて定着処理を迅速に行うことができる。また、本実施形態にかかる温度制御方法を適用することにより、温度リップルを低減することができる。
また、上記各実施形態では、加圧部材として加圧ローラ34を用いているが、これに限らず、例えば図22に示すように、加圧部材として加圧ベルトを用いた、ツインベルト定着方式の定着装置を用いてもよい。
図22に示す定着装置30eは、定着ローラ31、加熱部材32、および定着パッド38aに回転可能に懸架された定着ベルト33と、加圧ローラ34、懸架ローラ(テンションローラ)34B、および加圧パッド38bに回転可能に懸架された加圧ベルト33bとを備えている。なお、サーミスタ35a,35bは定着ベルト33の表面温度を検知して温度制御部42に伝達し、サーミスタ35cは加圧ベルト33bの表面温度を検知して温度制御部42に伝達するようになっている。そして、温度制御部42は、実施形態1と同様の方法で加熱部材32およびヒータランプ36への通電量を制御するようになっている。
また、定着パッド38aおよび加圧パッド38bは、定着ローラ31と加圧ローラ34とが定着ベルト33および加圧ベルト33bを介して圧接する位置に対して記録材搬送方向の上流側で定着ベルト33および加圧ベルト33bを介して所定の荷重で圧接するように配置されている。これにより、パッド38aと38bとの対向部から定着ローラ31と加圧ローラ34との対向部までの広い範囲に定着ニップ部が形成され、搬送される記録材Pを効率的に加熱できるようになっている。
また、定着パッド38aと加圧パッド38bとの圧接力は、定着ローラ31と加圧ローラ34との圧接力よりも小さく設定されている。したがって、この構成では、定着ニップ部の最下流部分である定着ローラ31と加圧ローラ34との対向部において記録材搬送方向の圧力分布が最大になる。これにより、定着ベルト33と加圧ベルト33bとが回転時にスリップすることを防止することができる。
定着ローラ31、加熱部材32、定着ベルト33、および加圧ローラ34としては、実施形態1と同様のものを用いることができる。また、加圧ベルト33bとしては定着ベルト33と同様のものを用いることができる。
定着パッド38aおよび加圧パッド38bを構成する材料としては、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)などを用いることができる。
懸架ローラ34Bの構成は特に限定されるものではないが、加圧ベルト33bからの熱伝導性が低いものを用いることが好ましい。本実施形態では、外径30mm、内径26mmの鉄合金製の芯金の周囲にシリコーンスポンジ層を設けたローラ部材を用いた。
なお、回転体ではない定着パッド38aと加圧パッド38bとで定着ニップ部を形成すると、定着ベルト33および加圧ベルト33bの内周面は各パッドに摺擦され、これら各ベルト33,33bの内周面と各パッド38a,38bとの摩擦係数が大きいと、摺動抵抗が大きくなる。その結果として、画像のずれ、ギア破損、駆動モータの消費電力アップ等の問題が発生し、特にツインベルト方式において、この問題が顕著である。そのために、定着パッド38aおよび加圧パッド38bにおける各ベルト33,33bとの接触面には、低摩擦シート層が設けられている。これにより、各ベルト33,33bとの摺擦による各パッド38a,38bの摩耗が防止され、摺動抵抗も低減できるので、良好なベルト走行性、ベルト耐久性が得られる。
このようなツインベルト方式の定着装置においても、本発明の温度制御方法を適用することにより、温度リップルを低減することができる。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1と同様の機能を有する部材については実施形態1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
なお、本実施形態では、図3に示した定着装置30を用い、出力設定テーブルとして図24に示したテーブルAを用いる場合を例として説明する。
このテーブルAは、温度環境が15℃〜18℃であり、記録材が厚手である場合(例えば、秤量90g/m)の条件で画像形成を行う場合を想定して設定したものである。この出力設定テーブルでは、第1検知温度が制御目標温度に対して大幅に低い場合には通電量を大幅に増加させるように設定されているので、それによって目標温度に到達する。しかしながら、環境温度、記録材温度、記録材の含水率、および電源電圧変動などの外乱要因の変動や、個々の装置の性能のバラツキなどのために、加熱部材32による加熱量が不足して第1検知温度が制御目標温度よりも1℃〜3℃程度低い温度までしか到達しない場合がある。
すなわち、予め設定した出力設定テーブルのみに基づいて加熱部材32への通電量を制御する場合、例えば、環境温度、記録材温度、記録材の含水率、および電源電圧変動などの外乱要因の変動や、個々の装置の性能のバラツキなどに起因して、定着ベルト33の温度を制御目標温度に到達させること、あるいは制御目標温度に維持することができないような場合がある。
このような場合、出力設定テーブルを変更して用いることが考えられるが、そうすると他の条件の時に適切な温度制御が行えずに温度リップルを生じさせてしまう場合がある。
そこで、本実施形態では、そのような不具合が生じる場合に、出力設定テーブルに基づいて算出した加熱部材32への通電量を、加熱部材32に供給する電力量を前回設定したときからの経過時間、あるいは加熱部材32に供給する電力量を前回設定したときからの印字枚数(定着処理した記録材の枚数)等に応じて補正する。
図32は、本実施形態にかかる画像形成装置100において、実施形態1における温度制御部42に代えて備えられる温度制御部42bのブロック図である。この図に示すように、温度制御部42bは、実施形態1における温度制御部42(図3参照)の構成に加えて、到達判定部81、出力補正部82、補正値記憶部83、および時間計測部84を備えている。
到達判定部81は、第1検知温度が制御目標温度に到達したか否か、および第1検知温度が制御目標温度よりも高い状態が一定時間以上継続したか否かを判定する。
補正値記憶部83は、出力決定部55が出力設定テーブルに基づいて設定した電力値を補正するための補正値(補正比率)を決定するためのテーブルである補正値テーブルを記憶するものである。
出力補正部82は、補正値記憶部83に記憶している補正値テーブルに基づいて出力決定部55が出力設定テーブルに基づいて設定した電力値を補正する。
時間計測部84は、加熱部材32への電力供給を開始してからの経過時間、あるいは定着ベルト33の温度が制御目標温度に未達である状態または制御目標温度を超過した状態が一定時間継続したときからの経過時間を計測する。
図33は、温度制御部42bによる加熱部材32の温度制御処理の流れを示すフローチャートである。
まず、センサデータ入力部51がサーミスタ35aの検知信号を受け付け、この検知信号に基づいて第1検知温度を検出し(S31)、検出した第1検出温度を温度記憶部52に記憶させる(S32)。次に、温度偏差算出部53が温度記憶部52から第1検知温度および第2検知温度を読み出し(S33)、これら各検知温度に基づいて第1温度偏差および第2温度偏差を算出し(S34)、出力決定部55に出力する。出力決定部55は、温度偏差算出部53の算出した第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせと、テーブル記憶部54に記憶している出力設定テーブルとに基づいて加熱部材32への通電量を設定する(S35)。
次に、出力補正部82が、補正値記憶部83に記憶されているその時点での補正値に基づいて出力決定部55が設定した通電量を補正する(S36)。なお、初期状態では上記補正値はゼロに設定されているので、出力補正部82は出力決定部55が設定した通電量を補正せずに維持する。また、後述するS40またはS42において通電量の補正がなされた場合には、S40またはS42で設定された補正値が補正値記憶部83に記憶されており、出力補正部82はこの補正値に基づいて出力決定部55が設定した通電量を補正する。
次に、電力制御部56は、出力補正部82によって補正された通電量に基づいて熱源駆動手段45の動作を制御することにより、電源回路43から加熱部材32への通電量を制御する(S37)。また、このとき、時間計測部84は経過時間の計測を開始する(S38)。
次に、到達判定部81は、第1検知温度が制御目標温度に到達したか否かを判定する(S39)。
そして、第1検知温度が制御目標温度に到達していないと判定した場合、出力補正部82は、補正値記憶部83に記憶している温度未達時用の補正値テーブルから時間計測部84の計測した経過時間(第1検知温度が制御目標温度に未達である状態の経過時間)に応じた補正値を読み出し、この補正値に基づいて出力決定部55が設定した通電量を補正する(S40)。
図34(a)は、補正値記憶部83に記憶している温度未達時用の補正値テーブルの一例を示している。この図に示す例では、補正後の通電量を、出力決定部55が設定した通電量に対して当該通電量に経過時間に応じた補正値(経過時間が10秒未満の場合には5%、10秒以上15秒未満の場合には10%、15秒以上20秒未満の場合には15%、20秒以上25秒未満の場合には20%、25秒以上30秒未満の場合には25%、30秒を超えた場合には30%)を乗じた値を加算した通電量に設定するようになっている。
また、S39において第1検知温度が制御目標温度に到達したと判定した場合、到達判定部81は、温度記憶部52に記憶している過去の第1検知温度の履歴と、サーミスタ35aによって検知された直近の第1検知温度とに基づいて、第1検知温度が制御目標温度(あるいは制御目標温度よりも高い温度に設定される所定温度)を超過した状態が予め定めた一定時間以上継続したか否かを判定する(S41)。
そして、第1検知温度が制御目標温度を超過した状態が一定時間以上継続したと判定した場合、出力補正部82は、補正値記憶部83に記憶している温度超過時用の補正値テーブルから時間計測部84の計測した経過時間(第1検知温度が制御目標温度を一定時間以上継続して超過してからの経過時間)に応じた補正値を読み出し、この補正値に基づいて出力決定部55が設定した通電量を補正する(S42)。
そして、S40またはS42において通電量が補正されると、電力制御部56が補正された通電量に基づいて加熱部材32への通電量を制御し(S43)、S39の処理に戻る。
一方、S40において第1検知温度が制御目標温度を超過した状態が一定時間以上継続していないと判定した場合、出力補正部82は、その時点で採用している補正値を補正値記憶部83に記憶させ(S44)、時間計測部84が計測時間(経過時間の計測値)をリセットする(S45)。
その後、温度制御部42は、定着処理を終了するか否かを判断し(S46)、終了しない場合にはS31からの処理を繰り返す。
以上のように、本実施形態では、第1検知温度が制御目標温度に到達しない場合や、制御目標温度を超過した状態が継続する場合に、そのような状態になってからの経過時間に応じて出力設定テーブルに基づいて設定される加熱部材32への通電量を補正する。これにより、外的要因や装置性能の個体差などに起因して出力不足が生じた場合であっても、安定した温度制御を行うことができ、定着不良や画像欠陥の発生を防止することができる。
なお、本実施形態では、第1検知温度が制御目標温度に到達しない状態、あるいは制御目標温度を超過した状態の経過時間に応じて出力設定テーブルに基づいて設定される加熱部材32への通電量を補正しているが、これに限るものではない。例えば、第1検知温度が制御目標温度に到達しない状態、あるいは制御目標温度を超過した状態で定着処理を行った記録材の枚数を計数し、計数した枚数に応じて出力設定テーブルに基づいて設定される加熱部材32への通電量を補正するようにしてもよい。
また、本実施形態では、通電量の補正値を初期状態ではゼロに設定しているが、これに限るものではない。例えば、環境温湿度、画像形成動作(印字動作)の内容等の条件の履歴と、それら各条件において適切な温度制御を行えたときの補正値とを対応付けて記憶しておき、その後に同一の条件で画像形成動作を行う場合に、記憶しておいた補正値を初期値として補正を行うようにしてもよい。
例えば、電源電圧をモニタリングする電源電圧監視部(図示せず)を設け、電源電圧が変更されたときに、以前に同じ電源電圧で温度制御を適切に行えたときの補正値を初期値として適用して補正を行うことで、動作開始初期においても安定した温度制御を行うことができる。
なお、図34(a)および図34(b)に示した補正値テーブルは単なる一例であり、補正値の設定数、経過時間の分類数、および各経過時間に応じた補正値の値を適宜変更してもよい。
図34(c)は、温度未達時用の補正値テーブルの変形例を示している。この図に示す例では、加熱部材32に供給する電力量を、出力決定部55が設定した通電量に対して、温度未達状態の経過時間が20秒未満の場合には当該通電量の20%を加算した値、20秒以上30秒未満の場合には当該通電量の40%を加算した値、30秒以上40秒未満の場合には当該通電量の50%を加算した値に設定し、40秒以上の場合には加熱部材32に対する通電量を加熱部材32に供給可能な通電量の最大値(出力100%)に設定するようになっている。なお、加熱部材32に対する通電量を加熱部材32に供給可能な通電量の最大値に設定した後、所定期間が経過しても制御目標温度に到達しない場合には、画像形成装置100の動作を一旦停止させ、ユーザーに異常あるいは故障の可能性がある旨を通知するようにしてもよい。
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、図3に示した定着装置30を用いる場合について説明する。このため、説明の便宜上、実施形態1と同様の機能を有する部材については実施形態1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
実施形態3では、主に制御目標温度に未達な状態が継続的に生じることを防止するための構成について説明した。本実施形態では、実施形態3の方法を更に発展させて、制御目標温度を上回ったり、下回ったりすることが頻繁に生じたり、外乱の変動が大きすぎて単一の出力設定テーブルでは温度リップルを十分に抑えきれなくなることを防止するための構成について説明する。
上記各実施形態において、出力設定テーブルは、第1温度偏差を考慮して通電量を制御することにより、制御目標温度付近に近づくと出力を絞ったり増加させたりすることによりオーバーシュート(被加熱部材の温度が制御目標温度よりも高くなること)あるいはアンダーシュート(被加熱部材の温度が制御目標温度よりも低くなること)を低減するように動作するとともに、第2温度偏差を考慮して通電量を制御することにより、温度変化傾向を把握して出力を変化させるように設定されている。
前者の第1温度偏差による出力値(加熱部材32に対する通電量)の調整は主に比例動作(P動作)と同様の効果があり、後者の第2温度偏差による出力値の調整は主に微分動作(D動作)と同様の効果がある。したがって、このような出力設定テーブルによる出力値の制御により、比例−微分制御(PD制御)と同様の効果が得られる。ところが、このような制御だけでは、例えば、出力が少し不足していたり、負荷が少し大きすぎたり、出力が大きすぎたりした場合に、制御目標温度に対して定常偏差が生じてしまう場合がある。
そこで、本実施形態では、出力設定テーブルから求めた出力値をその時の温度変化状況に応じて逐次補正し、出力設定テーブルから求めた出力値を柔軟に調整することにより、定着ベルト33の温度を制御目標温度に素早く到達させて定常偏差を解消し、制御目標温度に素早く収束させる。
図35は、本実施形態における温度制御部42による加熱部材32の温度制御処理の流れを示すフローチャートである。
まず、センサデータ入力部51がサーミスタ35aの検知信号を受け付け、この検知信号に基づいて第1検知温度を検出し(S51)、検出した第1検出温度を温度記憶部52に記憶させる(S52)。
次に、温度偏差算出部53が温度記憶部52から第1検知温度、第2検知温度、および前回の第1温度偏差算出時点までの第1温度偏差の累積値を読み出し(S53)、これら各検知温度に基づいて第1温度偏差、第2温度偏差、および今回算出した第1温度偏差を加えた第1温度偏差の累積値を算出する(S54)。また、温度偏差算出部53は、第1温度偏差および第1温度偏差の累積値を温度記憶部52に記憶させるとともに(S55)、第1温度偏差、第2温度偏差、および第1温度偏差の累積値を出力決定部55に出力する。
なお、本実施形態では、画像形成動作(印字動作)が開始されてから画像形成動作が終了するまでの期間、第1温度偏差の累積値を算出して温度記憶部52に記憶させる処理を継続的に行うようになっている。画像形成動作の途中で画像形成動作が中断された場合(例えば画質調整等のために画像形成動作が中断された場合など)には、この中断期間中も第1温度偏差の累積を継続するようにしてもよく、累積を一旦中止し、印字が再開された時に累積値の算出・記憶も再開するようにしてもよい。
次に、出力決定部55は、温度偏差算出部53の算出した第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する通電量をテーブル記憶部54に記憶している第1出力設定テーブルから読み出す(S55)。
また、出力決定部55は、第1温度偏差の累積値に基づいて積分制御用の補正値(定常偏差解消のための補正値)を算出し(S57)、前回算出した第1温度偏差と今回算出した第1温度偏差との差に基づいて微分制御用の補正値(変動収束させるための補正値)を算出する(S58)。
具体的には、積分制御用の補正値については、
「積分制御用の補正値=積分定数×(−1)×Σ(第1温度偏差)」
に基づいて算出する。なお、Σ(第1温度偏差)は第1温度偏差の累積値を示している。第1温度偏差の累積値に−1を掛けて正負逆の値を変換しているのは、第1温度偏差が正であれば補正値を負の値にし、第1温度偏差が負であれば補正値を正の値にすることにより、第1検知温度を制御目標温度に収束させるためである。すなわち、第1検知温度と制御目標温度との間に定常的なずれが発生している場合に、ずれと正負逆の補正値を適用することにより、制御目標温度に近づけるように補正するようにしている。また、上記積分定数(第1定数)は、制御対象とする画像形成装置を用いた実験等に基づいて予め設定される。
また、微分制御用の補正値については、
「微分制御用の補正値=微分定数×(今回の第1温度偏差−前回の第1温度偏差)
=微分定数×(第2検知温度−第1検知温度)
=微分定数×(前回の第1検知温度−今回の第1検知温度)」
に基づいて算出する。なお、上記微分定数(第2定数)は、制御対象とする画像形成装置を用いた実験等に基づいて予め設定される。
その後、出力決定部55は、S56で出力設定テーブルに基づいて設定した通電量を、S57で算出した積分制御用の補正値、およびS58で算出した微分制御用の補正値に基づいて補正する(S59)。
図36は、本実施形態にかかる温度制御方法で定着ベルト33の温度制御を行った場合の第1検知温度、出力設定テーブルに基づいて設定される電力量、積分補正値、微分補正値、および補正後の通電量の時間推移を示すグラフである。具体的には、制御目標温度155℃、第1温度偏差の累積値の初期値(画像形成動作開始時の累積値)0℃、積分定数0.2〔%/℃〕、微分定数:4.1〔%/℃)の条件で温度制御を行った場合のグラフである。
例えば、図36における370.1秒の時点では、前回の第1検知温度は146℃、前回までの第1温度偏差の累積値は−74℃、今回の第1検知温度は149℃、出力設定テーブルに基づいて設定される電力量は定格電力の86%である。
したがって、今回の第1温度偏差は149℃−155℃=−6℃であり、今回までの第1温度偏差の累積値は(−74℃)+(−6℃)=−80℃である。
この場合、積分制御用の補正値は、
積分制御用の補正値=積分定数×(−1)×Σ(第1温度偏差)
=0.2×(−1)×(−80)
=16%
と算出される。
また、微分制御用の補正値は、
微分制御用の補正値=微分定数×(前回の第1検知温度−今回の第1検知温度)
=4.1×(146−149)
=−12.3%
と算出される。
したがって、加熱部材32に供給する電力量(補正後の電力量)は、出力設定テーブルに基づいて設定される電力量(86%)に、積分制御用の補正値(16%)、および微分制御用の補正値(−12.3%)を加算することによって算出される値、すなわち89.7%に設定される。
次に、電力制御部56は、出力決定部55によって補正された通電量に基づいて熱源駆動手段45の動作を制御することにより、電源回路43から加熱部材32への通電量を制御する(S61)。
その後、温度制御部42は、定着処理を終了するか否かを判断し(S7)、終了しない場合にはS51からの処理を繰り返す。
一方、定着処理を終了する場合、温度制御部42は、温度記憶部52に記憶されている第1温度偏差の累積値を初期化し(S62)、処理を終了する。
なお、本実施形態では、画像形成動作が終了する毎に第1温度偏差の累積値を初期化してゼロに戻すようになっている。ただし、これに限らず、例えば、画像形成動作を開始する毎に累積値を初期化するようにしてもよい。また、画像形成動作が終了した時点の累積値を記憶しておき、次回の画像形成動作開始時の累積値の初期値として用いてもよい。
以上のように、本実施形態では、出力設定テーブルに基づいて決定した電力量を、第1温度偏差の累積値に応じた補正値(積分制御用の補正値)、および今回の第1温度偏差と前回の第1温度偏差との差に応じた補正値(微分制御用の補正値)に基づいて補正する。
このように、第1温度偏差の累積値に応じた補正値(積分制御用の補正値)で出力設定テーブルに基づいて決定した電力量を補正することにより、過去の制御による定常的なずれが平均的にどの程度存在するかを補正値に反映させ、この定常的なずれを解消するように電力量を設定することができる。
また、今回の第1温度偏差と前回の第1温度偏差との差に応じた補正値(微分制御用の補正値)で出力設定テーブルに基づいて決定した電力量を補正することにより、外乱等により前回の第1温度偏差と今回の第1温度偏差との間に大きな変化が生じた場合に、その変化方向とは逆の補正値を適用することができ、第1検知温度を制御目標温度に迅速に近づけることができる。
図37は、図11に示した定着装置30bにおける各ヒータランプ133a、133b、36を出力設定テーブルに基づいて設定された電力量に基づいて温度制御した場合の各ヒータランプのON/OFF状態およびサーミスタ35a,35b,35cの温度検知結果を示すグラフである。図38は図11に示した定着装置30bにおける各ヒータランプ133a、133b、36を、出力設定テーブルに基づいて設定された電力量を上述した積分制御用の補正値および微分制御用の補正値に基づいて補正した電力量に基づいて温度制御した場合の各ヒータランプのON/OFF状態およびサーミスタ35a,35b,35cの温度検知結果を示すグラフである。
これら各図から明らかなように、出力設定テーブルに基づいて設定された電力量を本実施形態のように補正することにより、出力設定テーブルに基づいて設定された電力量をそのまま用いる場合に比べて、各ヒータランプの制御を個別に最適化することができ、定着ベルト33および加圧ローラ34の温度を制御目標温度に収束するように制御できる。
すなわち、図37の例では、画像形成動作の開始直後からしばらくの期間は大きな温度リップルが残ったままになっており、かつ常に定常偏差が残ってしまっているが、本実施形態の温度制御方法により、図38に示すように温度リップルや定常偏差を抑制することができる。
このように、本実施形態のように出力設定テーブルに基づいて設定される電力量を積分制御用の補正値および微分制御用の補正値に基づいて補正することにより、単一の出力設定テーブルを用いる場合であっても制御対象部材の温度を制御目標温度に近づけることができる。したがって、複数の出力設定テーブルを状況に応じて切り替える必要がなくなる。
また、通常のPID制御に比べて、大まかな制御特性を出力設定テーブルで設定しておき、定常偏差や外乱が生じた場合には積分制御用の補正値および微分制御用の補正値による補正によって制御目標温度に収束させることができるので、複雑なパラメータの設定や、詳細な制御モデルの設定などを行わなくても、温度制御の精度を高めることができる。
なお、例えば図11に示した定着装置30bのように、中央加熱部材と端部加熱部材とを備えた構成の場合、これら両加熱部材について共通の出力設定テーブルを用い、積分定数および微分定数をこれら両加熱部材について個別に設定するようにしてもよい。これにより、中央加熱部材と端部加熱部材とについて個別の出力設定テーブルを備える場合と同様の効果を得ることができる。
また、定着ベルト33を加熱するための加熱部材、および加圧ローラ34を加熱するための加熱部材について共通の出力設定テーブルを用い、積分定数および微分定数をこれら両加熱部材について個別に設定するようにしてもよい。また、例えば上述した画像形成装置A〜Eのように、構成の異なる複数の画像形成装置について共通の出力設定テーブルを用い、積分定数および微分定数をこれら各画像形成装置毎に個別に設定するようにしてもよい。
また、実施形態3と本実施形態とを組み合わせ、実施形態3で算出される補正値と、本実施形態で算出される積分制御用の補正値および微分制御用の補正値とを用いて温度制御を行うようにしてもよい。これにより、温度リップルの抑制効果をさらに向上させることができる。
また、上記各実施形態において、画像形成装置100,A〜Eの主制御部、および定着装置30,30bの制御部40を、CPU等のプロセッサを用いてソフトウェアによって実現してもよい。この場合、画像形成装置100,A〜E、定着装置30,30bは、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである画像形成装置100,A〜E、定着装置30,30bの制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、画像形成装置100,A〜E、定着装置30,30bに供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによって達成される。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、画像形成装置100,A〜E、定着装置30,30bを通信ネットワークと接続可能に構成し、通信ネットワークを介して上記プログラムコードを供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
また、画像形成装置100,A〜Eの主制御部、および定着装置30,30bの制御部40は、ソフトウェアを用いて実現されるものに限らず、ハードウェアロジックによって構成されるものであってもよく、処理の一部を行うハードウェアと当該ハードウェアの制御や残余の処理を行うソフトウェアを実行する演算手段とを組み合わせたものであってもよい。
以上、本発明は上述した各実施例に限定されるものではなく、請求項に開示した範囲で、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、画像形成装置に備えられる定着装置およびその温度制御方法に適用できる。
30,30b〜30e 定着装置
31 定着ローラ(ベルト懸架部材)
32 加熱部材(中央加熱部材、端部加熱部材)
33 定着ベルト(定着部材)
33b 加圧ベルト(加圧部材)
34 加圧ローラ(加圧部材)
35a サーミスタ(温度検知部、中央温度検知部)
35b サーミスタ(温度検知部、端部温度検知部)
35c サーミスタ(加圧部材温度検知部)
36 ヒータランプ(加圧部材加熱部)
38a 定着パッド(ベルト懸架部材)
38b 加圧パッド(加圧部材)
40 制御部
41 回転駆動制御部
42 温度制御部
43 電源回路
44 回転駆動手段
45 熱源駆動手段
51 センサデータ入力部
52 温度記憶部
53 温度偏差算出部
54 テーブル記憶部
55 出力決定部
56 電力制御部
100 画像形成装置
132 加熱ローラ(加熱部材)
133a ヒータランプ(中央加熱部材)
133b ヒータランプ(端部加熱部材)

Claims (28)

  1. 回転可能に備えられた定着部材および加圧部材と、供給される電力量に応じた加熱量で上記定着部材を加熱する加熱部材と、上記加熱部材に供給する電力量を制御する温度制御部とを備え、上記定着部材と上記加圧部材との間に挿入される記録材を上記定着部材と上記加圧部材とで挟持しながら搬送することによって上記記録材上の未定着画像を熱と圧力によってこの記録材に定着させる定着装置であって、
    上記温度制御部は、
    上記定着部材の温度を検知する温度検知部と、
    上記温度検知部の温度検知結果を記憶する温度記憶部と、
    上記温度検知部によって検知された上記定着部材の現在の温度である第1検知温度と上記定着部材の制御目標温度との偏差である第1温度偏差、および上記第1検知温度と上記温度検知部によって検知された上記定着部材の所定時間前の温度である第2検知温度との偏差である第2温度偏差を算出する温度偏差算出部と、
    上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせと上記加熱部材に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた出力設定テーブルを記憶するテーブル記憶部と、
    上記出力設定テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記加熱部材に供給する電力量を決定する出力決定部と、
    上記出力決定部の決定した電力量に応じて上記加熱部材に供給する電力量を制御する電力制御部とを備えており、
    上記温度偏差算出部は、上記第1温度偏差または上記第2温度偏差の所定時間あたりの変化量である変化率を算出し、
    上記出力設定テーブルは、上記第1温度偏差、上記第2温度偏差、および上記変化率の組み合わせと上記情報とを対応付けたものであり、
    上記出力決定部は、上記出力設定テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差、第2温度偏差、および上記変化率の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記加熱部材に供給する電力量を決定することを特徴とする定着装置。
  2. 上記出力設定テーブルに記憶されている上記情報は、上記加熱部材に供給すべき電力量の値を上記加熱部材に現在供給している電力量に依存せずに示す情報であることを特徴とする請求項に記載の定着装置。
  3. 上記出力設定テーブルに記憶されている上記情報は、上記加熱部材に現在供給している電力量に対する変化の程度を示す情報であることを特徴とする請求項に記載の定着装置。
  4. 回転可能に備えられた定着部材および加圧部材と、供給される電力量に応じた加熱量で上記定着部材を加熱する加熱部材と、上記加熱部材に供給する電力量を制御する温度制御部とを備え、上記定着部材と上記加圧部材との間に挿入される記録材を上記定着部材と上記加圧部材とで挟持しながら搬送することによって上記記録材上の未定着画像を熱と圧力によってこの記録材に定着させる定着装置であって、
    上記温度制御部は、
    上記定着部材の温度を検知する温度検知部と、
    上記温度検知部の温度検知結果を記憶する温度記憶部と、
    上記温度検知部によって検知された上記定着部材の現在の温度である第1検知温度と上記定着部材の制御目標温度との偏差である第1温度偏差、および上記第1検知温度と上記温度検知部によって検知された上記定着部材の所定時間前の温度である第2検知温度との偏差である第2温度偏差を算出する温度偏差算出部と、
    上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせと上記加熱部材に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた出力設定テーブルを記憶するテーブル記憶部と、
    上記出力設定テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記加熱部材に供給する電力量を決定する出力決定部と、
    上記出力決定部の決定した電力量に応じて上記加熱部材に供給する電力量を制御する電力制御部とを備えており、
    上記出力設定テーブルに記憶されている上記情報は、上記加熱部材に現在供給している電力量に対する変化の程度を示す情報であり、
    上記テーブル記憶部は、上記出力設定テーブルと、上記加熱部材に供給する電力量を電力量の多さに応じた順で複数のレベルに分類した各レベルのレベル番号と、当該各レベルに対応する電力量とを対応付けた出力規定テーブルとを記憶しており、
    上記出力設定テーブルは、上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせと、上記加熱部材に現在供給している電力量に対応する上記レベルに対するレベルの変更量を示すレベル変更値とを対応付けたレベル変更値テーブルであり、
    上記出力決定部は、
    上記レベル変更値テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応するレベル変更値を読み出し、上記加熱部材に現在供給している電力量に対応するレベルと上記レベル変更値テーブルから読み出したレベル変更値とに基づいて変更後のレベルを特定し、特定したレベルに対応する電力量を上記加熱部材に供給する電力量として決定することを特徴とする記載の定着装置。
  5. 回転可能に備えられた定着部材および加圧部材と、供給される電力量に応じた加熱量で上記定着部材を加熱する加熱部材と、上記加熱部材に供給する電力量を制御する温度制御部とを備え、上記定着部材と上記加圧部材との間に挿入される記録材を上記定着部材と上記加圧部材とで挟持しながら搬送することによって上記記録材上の未定着画像を熱と圧力によってこの記録材に定着させる定着装置であって、
    上記温度制御部は、
    上記定着部材の温度を検知する温度検知部と、
    上記温度検知部の温度検知結果を記憶する温度記憶部と、
    上記温度検知部によって検知された上記定着部材の現在の温度である第1検知温度と上記定着部材の制御目標温度との偏差である第1温度偏差、および上記第1検知温度と上記温度検知部によって検知された上記定着部材の所定時間前の温度である第2検知温度との偏差である第2温度偏差を算出する温度偏差算出部と、
    上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせと上記加熱部材に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた出力設定テーブルを記憶するテーブル記憶部と、
    上記出力設定テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記加熱部材に供給する電力量を決定する出力決定部と、
    上記出力決定部の決定した電力量に応じて上記加熱部材に供給する電力量を制御する電力制御部とを備えており、
    上記出力設定テーブルに記憶されている上記情報は、上記加熱部材に現在供給している電力量に対する変化の程度を示す情報であり、
    上記出力決定部は、上記加熱部材に現在供給している電力量がゼロまたは所定の設定値以下であって、当該電力量と上記出力設定テーブルにおける上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報によって特定される電力量との差が所定値以上である場合には、上記加熱部材に供給する電力量を、上記出力設定テーブルにおける上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報によって特定される電力量よりも多くなるように予め設定された所定の電力量に変更することを特徴とする定着装置。
  6. 上記テーブル記憶部は、
    上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせと上記加熱部材に供給すべき電力量を上記加熱部材に現在供給している電力量に依存せずに示す情報とを対応付けて記憶した出力直接設定テーブルを記憶しており、
    上記出力決定部は、
    上記加熱部材に現在供給している電力量が所定の設定値以下である場合には、上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差に対応する上記情報を上記出力直接設定テーブルから読み出すことによって上記加熱部材に供給する電力量を決定し、
    上記加熱部材に現在供給している電力量が上記設定値よりも多い場合には、上記レベル変更値テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応するレベル変更値を読み出し、上記加熱部材に現在供給している電力量に対応するレベルと上記レベル変更値テーブルから読み出したレベル変更値とに基づいて変更後のレベルを特定し、特定したレベルに対応する電力量を上記加熱部材に供給する電力量として決定することを特徴とする請求項に記載の定着装置。
  7. 上記情報は、予め設定される基準電力量に対する相対値を示したものであり、
    上記出力決定部は、
    上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する上記相対値を読み出し、読み出した相対値と上記基準電力量とに基づいて特定される電力量を上記加熱部材に供給する電力量として決定するようになっており、
    当該定着装置の動作状態あるいは環境条件が変更された場合に、変更後の上記動作状態あるいは上記環境条件に応じて上記基準電力量を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
  8. 上記テーブル記憶部は、複数の上記出力設定テーブルを記憶しており、
    上記出力決定部は、この定着装置の動作状態あるいは環境条件に応じて複数の上記出力設定テーブルの中から上記加熱部材に対して供給する電力量を決定する際に用いる出力設定テーブルを選択することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の定着装置。
  9. 上記出力決定部は、上記出力設定テーブルから読み出した上記情報によって特定される電力量をこの定着装置の動作状態あるいは環境条件に応じて補正し、
    上記電力制御部は、上記出力決定部によって補正された上記電力量に応じて上記加熱部材に供給する電力量を制御することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の定着装置。
  10. 上記電力制御部は、電源回路から上記加熱部材に供給される交流電源電圧の位相を制御する位相制御法、あるいは電源回路から上記加熱部材への所定時間あたりの通電時間を制御するデューティ制御法のいずれかを用いて上記加熱部材への通電量を制御することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の定着装置。
  11. 回転可能に備えられた定着部材および加圧部材と、供給される電力量に応じた加熱量で上記定着部材を加熱する加熱部材と、上記加熱部材に供給する電力量を制御する温度制御部とを備え、上記定着部材と上記加圧部材との間に挿入される記録材を上記定着部材と上記加圧部材とで挟持しながら搬送することによって上記記録材上の未定着画像を熱と圧力によってこの記録材に定着させる定着装置であって、
    上記温度制御部は、
    上記定着部材の温度を検知する温度検知部と、
    上記温度検知部の温度検知結果を記憶する温度記憶部と、
    上記温度検知部によって検知された上記定着部材の現在の温度である第1検知温度と上記定着部材の制御目標温度との偏差である第1温度偏差、および上記第1検知温度と上記温度検知部によって検知された上記定着部材の所定時間前の温度である第2検知温度との偏差である第2温度偏差を算出する温度偏差算出部と、
    上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせと上記加熱部材に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた出力設定テーブルを記憶するテーブル記憶部と、
    上記出力設定テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記加熱部材に供給する電力量を決定する出力決定部と、
    上記出力決定部の決定した電力量に応じて上記加熱部材に供給する電力量を制御する電力制御部とを備えており、
    上記電力制御部は、電源回路から上記加熱部材に供給される交流電源電圧の位相を制御する位相制御法と、電源回路から上記加熱部材への所定時間あたりの通電時間を制御するデューティ制御法とを利用可能であり、これら両制御法のうち、消費電力が低くなる制御法を選択して上記加熱部材に供給する電力量を制御することを特徴とする定着装置。
  12. 上記電力制御部は、電源回路から上記加熱部材に供給される交流電源電圧の位相を制御するとともに、電源回路から上記加熱部材への所定時間あたりの通電時間を制御することによって上記加熱部材に供給する電力量を制御することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の定着装置。
  13. 上記定着部材は、複数のベルト懸架部材に懸架された無端状のベルト部材であり、
    上記ベルト懸架部材のうちの少なくとも1つと上記加圧部材とが上記ベルト部材を介して圧接していることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の定着装置。
  14. 上記温度制御部は、
    供給される電力量に応じた加熱量で上記加圧部材を加熱する加圧部材加熱部と、
    上記加圧部材の温度を検知する加圧部材温度検知部とを備えており、
    上記温度記憶部は、上記加圧部材温度検知部の温度検知結果を記憶し、
    上記温度偏差算出部は、上記加圧部材温度検知部によって検知された上記加圧部材の現在の温度である第3検知温度と上記加圧部材の制御目標温度との偏差である第3温度偏差、および上記第3検知温度と上記温度検知部によって検知された上記加圧部材の所定時間前の温度である第4検知温度との偏差である第4温度偏差を算出し、
    上記テーブル記憶部は、上記第3温度偏差および上記第4温度偏差の組み合わせと上記加圧部材加熱部に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた加圧部材用テーブルを記憶しており、
    上記出力決定部は、上記加圧部材用テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第3温度偏差および第4温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記加圧部材加熱部に供給する電力量を決定し、
    上記電力制御部は、上記出力決定部の決定した上記加圧部材加熱部に供給する電力量に応じて上記加圧部材加熱部に供給する電力量を制御することを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の定着装置。
  15. 回転可能に備えられた定着部材および加圧部材と、供給される電力量に応じた加熱量で上記定着部材を加熱する加熱部材と、上記加熱部材に供給する電力量を制御する温度制御部とを備え、上記定着部材と上記加圧部材との間に挿入される記録材を上記定着部材と上記加圧部材とで挟持しながら搬送することによって上記記録材上の未定着画像を熱と圧力によってこの記録材に定着させる定着装置であって、
    上記温度制御部は、
    上記定着部材の温度を検知する温度検知部と、
    上記温度検知部の温度検知結果を記憶する温度記憶部と、
    上記温度検知部によって検知された上記定着部材の現在の温度である第1検知温度と上記定着部材の制御目標温度との偏差である第1温度偏差、および上記第1検知温度と上記温度検知部によって検知された上記定着部材の所定時間前の温度である第2検知温度との偏差である第2温度偏差を算出する温度偏差算出部と、
    上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせと上記加熱部材に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた出力設定テーブルを記憶するテーブル記憶部と、
    上記出力設定テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記加熱部材に供給する電力量を決定する出力決定部と、
    上記出力決定部の決定した電力量に応じて上記加熱部材に供給する電力量を制御する電力制御部とを備えており、
    上記加熱部材は、上記定着部材における回転軸方向中央部を加熱する中央加熱部材と、上記定着部材における回転軸方向両端部を加熱する端部加熱部材とを備えており、
    上記温度検知部は、上記定着部材における回転軸方向中央部の温度を検知する中央温度検知部と、上記定着部材における回転軸方向端部の温度を検知する端部温度検知部とを備えており、
    上記温度偏差算出部は、
    上記中央温度検知部によって検知された上記定着部材における回転軸方向中央部の現在の温度である上記第1検知温度と上記定着部材の制御目標温度との偏差である上記第1温度偏差、および上記第1検知温度と上記中央温度検知部によって検知された上記定着部材における回転軸方向中央部の所定時間前の温度である上記第2検知温度との偏差である第2温度偏差を算出し、
    上記端部温度検知部によって検知された上記定着部材における回転軸方向端部の現在の温度である第5検知温度と上記定着部材の制御目標温度との偏差である第5温度偏差、および上記第5検知温度と上記端部温度検知部によって検知された上記定着部材における回転軸方向端部の所定時間前の温度である第6検知温度との偏差である第6温度偏差を算出し、
    上記テーブル記憶部は、上記出力設定テーブルとして、上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせと上記中央加熱部材に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた中央部用テーブルと、上記第5温度偏差および上記第6温度偏差の組み合わせと上記端部加熱部材に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた端部用テーブルとを記憶しており、
    上記出力決定部は、
    上記中央部用テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記中央加熱部材に供給する電力量を決定し、
    上記端部用テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第5温度偏差および第6温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記端部加熱部材に供給する電力量を決定し、
    上記電力制御部は、上記出力決定部の決定した上記中央加熱部材および上記端部加熱部材に供給する電力量に応じて上記中央加熱部材および上記端部加熱部材に供給する電力量を制御することを特徴とする定着装置。
  16. 回転可能に備えられた定着部材および加圧部材と、供給される電力量に応じた加熱量で上記定着部材を加熱する加熱部材と、上記加熱部材に供給する電力量を制御する温度制御部とを備え、上記定着部材と上記加圧部材との間に挿入される記録材を上記定着部材と上記加圧部材とで挟持しながら搬送することによって上記記録材上の未定着画像を熱と圧力によってこの記録材に定着させる定着装置であって、
    上記温度制御部は、
    上記定着部材の温度を検知する温度検知部と、
    上記温度検知部の温度検知結果を記憶する温度記憶部と、
    上記温度検知部によって検知された上記定着部材の現在の温度である第1検知温度と上記定着部材の制御目標温度との偏差である第1温度偏差、および上記第1検知温度と上記温度検知部によって検知された上記定着部材の所定時間前の温度である第2検知温度との偏差である第2温度偏差を算出する温度偏差算出部と、
    上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせと上記加熱部材に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた出力設定テーブルを記憶するテーブル記憶部と、
    上記出力設定テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記加熱部材に供給する電力量を決定する出力決定部と、
    上記出力決定部の決定した電力量に応じて上記加熱部材に供給する電力量を制御する電力制御部とを備えており、
    上記温度制御部は、
    上記加熱部材に供給する電力量を前回設定したときから所定時間が経過したとき、または上記加熱部材に供給する電力量を前回設定したときから所定枚数の記録材に対する定着処理を行ったときに上記第1検知温度の上記制御目標温度に対する到達状況を判定する到達判定部と、
    上記到達判定部の判定結果に応じて上記出力決定部が上記出力設定テーブルに基づいて算出した上記加熱部材に供給する電力量を補正するための補正係数を算出する電力補正係数算出部と、
    上記出力決定部が算出した上記電力量を上記補正係数に基づいて補正した電力量に応じて上記加熱部材に供給する電力量を補正する出力補正部とを備えていることを特徴とする定着装置。
  17. 上記到達判定部は、上記加熱部材に供給する電力量を前回設定したときから所定時間が経過したとき、または上記加熱部材に供給する電力量を前回設定したときから所定枚数の記録材に対する定着処理を行ったときに上記第1検知温度が上記制御目標温度に到達したか否かを判定し、
    上記電力補正係数算出部は、上記到達判定部によって上記第1検知温度が上記制御目標温度に到達していないと判定されたときに、上記加熱部材に供給する電力量を、上記出力決定部が上記出力設定テーブルに基づいて算出した電力量よりも多くするように上記補正係数を算出することを特徴とする請求項16に記載の定着装置。
  18. 上記到達判定部は、上記加熱部材に供給する電力量を前回設定したときから所定時間が経過したとき、または上記加熱部材に供給する電力量を前回設定したときから所定枚数の記録材に対する定着処理を行ったときに上記第1検知温度と上記制御目標温度との差が小さくなるように推移しているか否かを判定し、
    上記電力補正係数算出部は、上記到達判定部によって上記第1検知温度と上記制御目標温度との差が小さくなるように推移していないと判定されたときに、上記加熱部材に供給する電力量を、上記出力決定部が上記出力設定テーブルに基づいて算出した電力量よりも多くするように上記補正係数を算出することを特徴とする請求項16に記載の定着装置。
  19. 上記到達判定部による上記到達状況の判定処理、上記電力補正係数算出部による上記補正係数の算出処理、および上記出力補正部による上記電力量の補正処理を、上記第1検知温度が上記制御目標温度に到達するまで、または上記第1検知温度が上記制御目標温度に維持された状態が所定期間以上継続するまで、上記加熱部材に供給する電力量を前回設定したときから所定時間が経過する毎、または上記加熱部材に供給する電力量を前回設定したときから所定枚数の記録材に対する定着処理を行う毎に繰り返し行うことを特徴とする請求項16に記載の定着装置。
  20. 上記加熱部材に供給する電力量を上記出力補正部によって補正された上記電力量に設定した後、上記加熱部材に供給する電力量を前回設定したときから所定時間が経過するまで、または上記加熱部材に供給する電力量を前回設定したときから所定枚数の記録材に対する定着処理を行うまで、上記加熱部材に供給する電力量を上記出力補正部によって補正された上記電力量に維持することを特徴とする請求項19に記載の定着装置。
  21. 回転可能に備えられた定着部材および加圧部材と、供給される電力量に応じた加熱量で上記定着部材を加熱する加熱部材と、上記加熱部材に供給する電力量を制御する温度制御部とを備え、上記定着部材と上記加圧部材との間に挿入される記録材を上記定着部材と上記加圧部材とで挟持しながら搬送することによって上記記録材上の未定着画像を熱と圧力によってこの記録材に定着させる定着装置であって、
    上記温度制御部は、
    上記定着部材の温度を検知する温度検知部と、
    上記温度検知部の温度検知結果を記憶する温度記憶部と、
    上記温度検知部によって検知された上記定着部材の現在の温度である第1検知温度と上記定着部材の制御目標温度との偏差である第1温度偏差、および上記第1検知温度と上記温度検知部によって検知された上記定着部材の所定時間前の温度である第2検知温度との偏差である第2温度偏差を算出する温度偏差算出部と、
    上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせと上記加熱部材に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた出力設定テーブルを記憶するテーブル記憶部と、
    上記出力設定テーブルから上記温度偏差算出部によって算出された第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記加熱部材に供給する電力量を決定する出力決定部と、
    上記出力決定部の決定した電力量に応じて上記加熱部材に供給する電力量を制御する電力制御部とを備えており、
    上記温度偏差算出部は、画像形成動作開始時または前回の画像形成動作の終了時よりも前の所定時期から現在までの上記第1温度偏差の累積値と、上記第2検知温度と上記第1検知温度との差を算出し、
    上記出力決定部は、上記累積値に第1定数を乗じて得られる第1補正値と、上記第2検知温度と上記第1検知温度との差に第2定数を乗じて得られる第2補正値とを算出し、上記出力設定テーブルから読み出した上記情報に基づいて決定した上記加熱部材に供給する電力量を上記第1補正値および上記第2補正値に基づいて補正し、
    上記電力制御部は、上記出力決定部によって補正された上記電力量に応じて上記加熱部材に供給する電力量を制御することを特徴とする定着装置。
  22. 上記第1定数および上記第2定数をそれぞれ複数記憶しており、
    上記出力決定部は、複数の上記第1定数および上記第2定数の中から、当該定着装置が備えられる画像形成装置の動作状態、当該定着装置の動作状態、記録材の種類、記録材の含水率、環境温湿度、当該定着装置が備えられる画像形成装置における画像形成処理方法、定着処理を行う記録材の枚数、記録材の搬送速度、所定時間あたりに搬送される記録材の枚数、上記加熱部材の種類、上記加熱部材の性能、および当該定着装置の電源電圧のうちのいずれか、またはこれら各条件のうちの2つ以上の組み合わせに応じて上記第1定数および上記第2定数をそれぞれ1つ選択し、選択した上記第1定数および上記第2定数を用いて上記第1補正値および上記第2補正値を算出することを特徴とする請求項21に記載の定着装置。
  23. 上記加熱部材は、上記定着部材に対する加熱対象範囲が異なる複数の加熱部を備えており、
    上記出力決定部は、上記各加熱部について共通の上記出力設定テーブルから読み出した上記情報に基づいて当該各加熱部に供給する電力量を算出するとともに、上記各加熱部について個別に設定される上記第1定数および上記第2定数に基づいて当該各加熱部についての上記第1補正値および上記第2補正値を算出し、上記各加熱部について上記情報に基づいて算出した上記電力量を、当該各加熱部について算出した上記第1補正値および第2補正値に基づいて補正し、
    上記電力制御部は、上記出力決定部によって補正された上記各加熱部についての上記電力量に応じて当該各加熱部に供給する電力量を制御することを特徴とする請求項21に記載の定着装置。
  24. 上記加熱部材は、上記定着部材に対する加熱対象範囲が異なる複数の加熱部を備えており、
    上記出力決定部は、複数の上記出力設定テーブルの中から予め設定された条件に応じて上記加熱部毎に出力設定テーブルを選択し、選択した出力設定テーブルから読み出した上記情報に基づいて上記各加熱部に供給する電力量を算出し、上記加熱部毎かつ上記出力設定テーブル毎に設定されている上記第1定数および上記第2定数に基づいて上記各加熱部についての上記第1補正値および上記第2補正値を算出し、上記各加熱部について上記情報に基づいて算出した上記電力量を、当該各加熱部について算出した上記第1補正値および第2補正値に基づいて補正し、
    上記電力制御部は、上記出力決定部によって補正された上記各加熱部についての上記電力量に応じて当該各加熱部に供給する電力量を制御することを特徴とする請求項21に記載の定着装置。
  25. 請求項1から24のいずれか1項に記載の定着装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
  26. 回転可能に備えられた定着部材および加圧部材と、供給される電力量に応じた加熱量で上記定着部材を加熱する加熱部材とを備え、上記定着部材と上記加圧部材との間に挿入される記録材を上記定着部材と上記加圧部材とで挟持しながら搬送することによって上記記録材上の未定着画像を熱と圧力によってこの記録材に定着させる定着装置の温度制御方法であって、
    上記定着部材は、無端状のベルト部材であり、
    上記定着部材の温度を検知する温度検知工程と、
    上記温度検知工程での温度検知結果を記憶する温度記憶工程と、
    上記温度検知工程で検知された上記定着部材の現在の温度である第1検知温度と上記定着部材の制御目標温度との偏差である第1温度偏差、および上記第1検知温度と上記温度検知工程で検知された上記定着部材の所定時間前の温度である第2検知温度との偏差である第2温度偏差を算出する温度偏差算出工程と、
    上記第1温度偏差および上記第2温度偏差の組み合わせとベルト部材からなる上記定着部材の過加熱および加熱不足を防止するために上記加熱部材に供給すべき電力量を特定するための情報とを対応付けた出力設定テーブルから上記温度偏差算出工程で算出した第1温度偏差および第2温度偏差の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記加熱部材に供給する電力量を決定する出力決定工程と、
    上記出力決定工程で決定した電力量に応じて上記加熱部材に供給する電力量を制御する電力制御工程とを含み、
    上記温度偏差算出工程では、上記第1温度偏差または上記第2温度偏差の所定時間あたりの変化量である変化率を算出し、
    上記出力設定テーブルは、上記第1温度偏差、上記第2温度偏差、および上記変化率の組み合わせと上記情報とを対応付けたものであり、
    上記出力決定工程では、上記出力設定テーブルから上記温度偏差算出工程で算出した第1温度偏差、第2温度偏差、および上記変化率の組み合わせに対応する上記情報を読み出し、この情報に基づいて上記加熱部材に供給する電力量を決定することを特徴とする定着装置の温度制御方法。
  27. 請求項1から24のいずれか1項に記載の定着装置を動作させるためのプログラムであって、コンピュータを上記温度制御部として機能させるためのプログラム。
  28. 請求項27に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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