JP5315930B2 - 焼菓子用油脂組成物及びそれを使用した焼菓子 - Google Patents

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本発明は、油脂含有焼菓子、特に他の油性食品との組み合わせ菓子において、油脂成分のマイグレーション(migration)を抑制する焼菓子用油脂組成物及びそれを使用してなる焼菓子に関する。
従来より、マーガリンあるいはショートニングといった油脂を生地中に含有したビスケットやクッキー、プレッツェルなどといった焼菓子が存在しているが、それらの焼菓子のなかでも、チョコレートやファットクリーム等油性食品をコーティングあるいはサンドするなどした組み合わせ菓子は市場での人気の高い商品である。
これらの組み合わせ菓子において、組み合わされる油性食品中に含まれる油脂と、焼菓子生地中に含まれる油脂とは組成や物性の異なることが多い。
組成の異なる油脂を含む食品同士を組み合わせた場合において、例えば、ビスケットやクッキーなどに使われているショートニングやマーガリンの液体油成分がチョコレートやファットクリームにマイグレート(移行)し、ビスケットの白変、チョコレートの軟化、ブルーミングの発生などの現象の起こることが知られている。
この様な現象は、その外観上の悪化だけでなく、それら食品の商品としての価値を著しく低下させるものであり、望ましくない。
このような油脂のマイグレーションのメカニズムについては異なる油脂組成を持つ隣接した2種の油脂相間で起き、一方の油脂相から分離した液体油が他方の油脂相へ吸油あるいは拡散する現象であると考えられている。
従来、このような油脂のマイグレーションを防止する方法として、例えば油脂のマイグレーションに於いて、より多くの液体油を含む油脂相に於ける固液分離を添加剤等で抑制し、マイグレーションを防止しようとする方法がある。(例えば非特許文献1・特許文献1)
しかしながら、上記方法は移行現象そのものの機構及びメカニズムを解明し、究明された移行現象の直接的な原因に対して講じられた方法ではない。
ヨウ素価52〜70のパーム分別軟部油を70質量%以上含む油脂配合物をエステル交換した油脂を、油相中に80〜100質量%含有することを特徴とする油脂性素材配合焼菓子練り込み用油脂組成物が提案されている。(例えば特許文献2)
しかしながら、成後経時的に発生するブルームや白色化を抑制するという課題こそ本願発明の意図するものとは似ているものの、パーム分別軟部油の量が多すぎる為、焼成品の食感が悪くなりねちゃついた食感になるといった問題点がある。
エステル交換により改質した油脂はいろいろと考案されている。構成脂肪酸として、炭素数18〜20の飽和脂肪酸を15〜60重量%、炭素数22の飽和脂肪酸を2〜20重量%含有することで酸化安定性、熱安定性が良好であり、油脂組成物や食品の口溶け、風味、食感及び物性を良好なものとし、さらに油っぽくないものとすることができるエステル交換油脂組成物が考案されている。(特許文献3)しかしながら、その用途には、マーガリン用油脂組成物やショートニング用油脂組成物は、ロールイン用、練りこみ用、サンド用、フィリング用、トッピング用、スプレッド用として用いることができるとの記載はあるが、その効果は単に口溶けや風味、さくさく感や油っぽさを評価しているのみであり、本願の課題としている油脂のマイグレーションを防止して、ビスケットの白変、チョコレートの軟化、ブルーミングの発生などを抑制するといったものには触れられていない。また、その組成も、炭素数16の飽和酸であるパルミチン酸と炭素数18の不飽和脂肪酸であるオレイン酸やリノール酸主体であるパーム油低融点画分と炭素数18〜20の飽和脂肪酸を15〜60重量%含む事を特徴とする引用文献は本質的に異なる。
また、構成脂肪酸としてC20以上の飽和脂肪酸が5%以上である高融点油脂を3〜50%配合し、且つ全油脂中の飽和脂肪酸含量が35%以下であり、実質的にトランス脂肪酸を含まないことで、不飽和脂肪酸量が任意に調整可能で、好適な可塑性やその他の物性を有する油脂組成物が考案されている。(特許文献4)
しかしながら、この発明もトランス酸を含まずに、従来のトランス酸含有油脂組成物のすぐれた特性の1つである可塑性といった物性を発現させる事を目的としている為、引用文献3と同様にマイグレーションを防止といった本願課題については触れられておらず、またその組成も不飽和脂肪酸量が任意に調整可能としてあるものの、飽和脂肪酸含量が35%以下であり、これもパルミチン酸とオレイン酸やリノール酸、特に不飽和脂肪酸のオレイン酸とリノール酸が多い主体であるパーム油低融点画分とは本質的に異なる。
他にもトリグリセリド構成脂肪酸としてC(炭素数の意)20以上の飽和脂肪酸を10〜40重量%、C16〜C24の不飽和脂肪酸を40重量%以上含有し、且つ不飽和脂肪酸中の異性化率(トランス酸量/全不飽和脂肪酸量)が0.5以上であることで、流動性が良好で、温度変化に対して安定で固液分離し難く、製パン特性においても良好な流動ショートニングが考案されている。(特許文献5)
しかしながら、異性化率0.5以上というのは昨今のトランス酸低減を是とする市場には受け入れられない。
C16:0+C18:0+C20:0+C22:0+C18:1+C18:2の合計含量が90重量%以上(ただし、Cの直後の数字は炭素数、:の直後の数字は不飽和結合の数を示す、それぞれトリグリセライドの構成脂肪酸を意味する)であり、(1)スリップ融点が36℃以下で固形脂肪含量が20℃で25重量%以上、(2)飽和脂肪酸の合計含量が40〜75重量%、(3)C20:0+C22:0の合計含量3〜40重量%、C16:0+C18:0の合計含量が25〜60重量%(4)構成脂肪酸総炭素数C56〜C60が9重量%以上、(5)S2U型トリグリセリドの総含量≧25重量%である非ラウリン非トランスでノーテンパリングタイプのランダム化トリグリセリドである脂肪組成物が考案されている。(特許文献6)
この発明により得られた脂肪組成物は極めて広汎な用途への使用が謳われているものの、抗ブルーム剤として他のチョコレート様食品に添加してブルームを防止したり、水分移行のバリア能であったり、フィリングに添加してチョコレートシェルのセンターとして用いた際のシェルの軟化防止については記載も実施例もあるが、焼菓子用途では請求項として記載はあるものの実施例がないし、さらに焼菓子用途で使用した状態で他の油性食品との組み合わせという本願課題については触れられていない。
焼菓子用練り込み油脂組成物およびそれを用いた複合菓子製造方法として、構成脂肪酸の炭素数20〜24の飽和脂肪酸(A)を2〜20%、及び炭素数8〜14の飽和脂肪酸(B)を5〜25%含有し、且つ、前記飽和脂肪酸(A)及び飽和脂肪酸(B)をトリグリセリド1分子中に少なくとも1個以上含むトリグリセリドを5%以上30%未満含有することを特徴とする焼菓子用練り込み油脂組成物を用いることで焼菓子類とチョコレート類、クリーム類等と組み合わせた複合菓子が保存中に白色化する現象を抑制する方法が考案されている。(特許文献7)しかし、炭素数8〜14の飽和脂肪酸を用いると加水分解による遊離脂肪酸が石鹸臭(ソーピーと称され商品価値を大きく損なう)を発生させかねない。
特開昭63─126457号公報 特開2007−143433号公報 特開2003−003195号公報 特開2001−139983号公報 特開平07−203847号公報 特表2005−507028号公報 特開平4−71441号公報 Confectionaly Production, G.Talbot,et al,April,256,(1990)
本発明の目的は、油脂含有焼菓子、特に他の油性食品との組み合わせ菓子において、油脂成分のマイグレーション(migration)を抑制する焼菓子用油脂組成物及びそれを使用してなる焼菓子を提供する事にある。
本発明者らは鋭意研究を行った結果、パーム油低融点画分30重量%〜70重量%含む油脂配合物をランダムエステル交換した油脂を、全油脂中に50重量%以上含有する焼菓子用油脂組成物を焼菓子に用いることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、
(1)としては、パーム油低融点画分30重量%〜70重量%含む油脂配合物をランダムエステル交換した油脂Aを、全油脂中に50重量%以上含有する焼菓子用油脂組成物であり、(2)としては、油脂Aにおける構成脂肪酸中の飽和酸含量が40重量%以上である(1)記載の焼菓子用油脂組成物であり、(3)としては、油脂Aにおける構成脂肪酸中の炭素数18〜20の飽和酸含量が15重量%未満である(1)記載の焼菓子用油脂組成物であり、(4)としては、油脂Aにおける構成脂肪酸中の炭素数20と炭素数22の飽和脂肪酸含量が15重量%未満である(1)記載の焼菓子用油脂組成物であり、(5)としては、油脂Aの融点が37℃以上である(1)記載の焼菓子用油脂組成物であり、(6)としては、(1)乃至(5)の何れか1項に記載の焼菓子用油脂組成物を2〜40重量%使用してなる焼菓子であり、(7)としては、(6)記載の焼菓子とチョコレート様食品とを組み合わせた複合菓子である。
本発明により油脂含有焼菓子、特に他の油性食品との組み合わせ菓子において、油脂成分のマイグレーションを抑制する焼菓子用油脂組成物及びそれを使用してなる焼菓子を得ることが可能になった。
本発明で言うところの焼菓子とは、澱粉性原料粉や焼菓子用油脂組成物など原料を焼成した食品をさし、澱粉性原料粉としては小麦粉が代表的に例示できるが、その他、小麦澱粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ等の各種澱粉類、あるいは大麦粉、蕎麦粉、トウモロコシ粉、ハト麦粉、ライ麦粉、カラス麦粉等の各種の穀粉が例示できる。焼菓子用油脂組成物と澱粉性原料粉以外の原料は糖類や水分、卵や乳などが挙げられるが、特に限定はされない。従来の焼菓子に用いられる原料は適宜使用可能である。
また、焼菓子用油脂組成物の配合方法には焼菓子用油脂組成物以外の原料と層状に組み合わせたもの、一例としてはパイ菓子のようなものと、焼菓子用油脂組成物を生地中に練りこんだもの、一例としては一例としては、ビスケット、クッキー、プレッツェル等のようなものが挙げられる。配合方法に限定はされないものの、後者の練りこんだものの方が、よりマイグレーションの防止効果が大きい。
焼菓子用油脂組成物自体はショートニングなどといった油脂単独であってもかまわないし、水相を含むマーガリンなどでもよいが、特に限定はされず、用途にあわせ適宜用いることができる。
また、ショートニングやマーガリンなどの形状への加工も従来よりある方法を適宜用いることができる。
焼菓子用油脂組成物にはパーム油低融点画分30重量%〜70重量%含む油脂配合物をランダムエステル交換した油脂(以降、このランダムエステル交換した油脂を油脂Aと称する)を、全油脂中に50重量%以上含有する必要がある。
ランダムエステル交換は公知の方法によって行うことができ、具体的な例としては、ナトリウムメチラート等の金属触媒を用いる方法や位置特性をもたない酵素リパーゼを用いる方法が挙げられる。これにより油脂の主成分であるトリグリセリド間で脂肪酸基の交換を行う。
油脂Aはパーム油低融点画分を30重量%〜70重量%、望ましくは40重量%〜70重量%、さらに好ましくは50重量%〜70重量%含む油脂配合物を原料とすることが好ましい。パーム油低融点画分が30重量%以下の場合は焼成品の食感が硬く脆くなり、組み合わせる際に破損しやすくなる、70重量%以上の場合は焼成品の口溶けが悪くなりねちゃついた食感になるので不適当である。パーム油低融点画分とはパーム油を分別した液体側画分を指し、分別精度にもよるが、ヨウ素価55以上のものが好ましい。55未満のものは低温ブレームが発生し、外観が悪化してしまう。
油脂Aを構成する脂肪酸における飽和酸含量は40重量%以上、望ましくは45重量%以上、さらに望ましくは50重量%以上であることが好ましい。40重量%未満の場合は油脂移行が起こり易くブルームが生じるため不適応である。
また、油脂Aを構成する脂肪酸における炭素数18〜20の飽和酸含量は15%未満、望ましくは12重量%未満、さらに望ましくは10重量%未満であることが好ましい。15重量%以上の場合は焼成品の口溶けが悪くなり、食感も重たくなる。
さらに、油脂Aの原料にはパーム油低融点画分以外に構成脂肪酸中炭素数20と炭素数22の飽和脂肪酸含量が15重量%未満の油脂を用いることが望ましく、その使用量は油脂Aに対して10重量%以下、望ましくは8重量%以下であることが好ましい。15重量%を越えると焼成品の口当りが硬くなり、口溶けも悪くなる。
油脂Aの融点は37℃以上、望ましくは39℃以上であることが好ましい。37℃未満の場合はハンドリングが悪く、作業性に劣る。また、油脂移行も生じやすく、グレーニングが発生しやすい。なお、融点の測定法としては、AOCS Cc3-25 の方法に準じて行なうものとする。
油脂Aの構成脂肪酸総炭素数56〜60の含量は9重量%未満であることが望ましい。9重量%以上あると、焼成品の口当りが硬くなり、口溶けも悪くなる。さらに焼成品が堅くもろくなり、組み合わせ作業時に破損する場合がある。
また、焼菓子用油脂組成物中には、油脂Aを含む必要があり、焼菓子用油脂組成物に含まれる全油脂中において50重量%以上、望ましくは70重量%以上、さらに望ましくは90重量%以上であることが好ましい。油脂Aが50重量%未満の場合は結晶性が悪くブルームが発生してしまうので不適当である。
特に焼菓子用油脂組成物の焼菓子に対する配合量に関しては、目的とする焼菓子の従来より用いられる配合量に倣って適宜配合してかまわないが、本願発明の菓子用油脂組成物は焼菓子中に2重量%〜40重量%使用する事が好ましい。2重量%未満の場合は、本願発明の効果が顕実化しにくく、40重量%を越えると焼菓子として保持する油脂量が多いため、これも本願発明の効果が顕実化しにくい。
こうして得られた焼菓子用油脂組成物、ならびにそれを用いた油脂含有焼菓子は、他の油性食品、特にチョコレート様食品との組み合わせ菓子において、油脂成分のマイグレーション(migration)を抑制する効果をより効果的に発揮することができる。
組み合わせ菓子における油脂のマイグレーションは異なる油脂組成を持つ隣接した2種の油脂相間で起きるため、上記のような組み合わせ菓子においてこそ特に好適に用いられる。
なお、本発明において言うところの油性食品とは、油脂が連続相を為す食品であれば特に限定はされないが、一例を挙げると、チョコレートやチョコレート様食品、グレーズ(糖を油脂中に分散させたもので上掛けなどの目的で用いられる)といったものが挙げられる。またチョコレートは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(昭和46年3月29日、公正取引委員会告示第16号)による「チョコレート生地」及び「準チョコレート生地」を含むものであって、カカオ豆から調製したカカオマス、カカオ脂、ココアパウダー及び糖類を原料とし、必要により他の食用油脂、乳製品、香料等を加え、チョコレート製造の工程を経たものをいい、またカカオマスを使用しない所謂ホワイトチョコレート生地をも包含するものである。
さらにチョコレート様食品とはチョコレートに加え、製造の際のテンパリング操作の必要のない、所謂ノーテンパリングタイプチョコレートをも含めたものを指す。
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は、いずれも重量基準を意味する。
<実施例1〜実施例5>
・検討油脂の作製
表1に示される配合の油脂をナトリウムメチラート触媒にて、ランダムエステル交換を行い、それぞれの検討油脂を得た。
・ショートニングの製造
上記の実施例1〜5の油脂をそれぞれ用いて、急冷可塑化してショートニングを製造した。
<チョコレート及びクッキー組み合わせ食品の作製>
表3の配合にて型抜きのクッキー生地を調製した。別途、表4配合にて調製したチョコレートをテンパリング処理後クッキー生地に全面コーティングした。10℃に15分間冷却固化後、20℃に7日間静置しチョコレートクッキーを得た。
(テンパリング処理:チョコ品温45℃から28℃に冷却し、再び31℃にリヒートした。)
<チョコレート及びクッキー組み合わせ食品のブルーム耐性テスト>
こうして得られたチョコクッキーについて、チョコレート部分のブルームの発生の有無やクッキー部分の表面性状について温度サイクルテストによる評価を行った。なお、ここで言う温度サイクルテストとは、チョコチップクッキーを17℃で10時間保持した後2時間かけて32.5℃まで昇温し、32.5℃で10時間保持、さらに2時間かけて17℃まで降温する温度変化を1サイクルとしたテストを繰り返し行って、サイクルのたびに組み合わせ食品の状態変化の観察と食感の評価を行った。
この結果を表1に示す。
<比較例1〜比較例5>
表2に示される配合の油脂をナトリウムメチラート触媒にて、ランダムエステル交換を行い、それぞれの検討油脂を得た。
ショートニングの製造、及びチョコレート及びクッキー組み合わせ食品の作製法は実施例1と同様の工程にてチョコレートクッキーを得、実施例と同様に組み合わせ食品の状態変化を観察し、食感の評価を行った。
この結果を表2に示す。
<表1>
Figure 0005315930
※ 単位は、サイクルテスト以外は重量%
※ 温度サイクルテスト評価 -:良好 +:ブルーム発生、不良 ++:激しくブルーム発生、不良(20サイクルまで-を維持できたら市場価値あり)
<表2>
Figure 0005315930
※ 単位は、サイクルテスト以外は重量%
※ 温度サイクルテスト評価 -:良好 +:ブルーム発生、不良 ++:激しくブルーム発生、不良(20サイクルまで-を維持できたら市場価値あり)
<表3>
Figure 0005315930
<表4>
Figure 0005315930
各評価より、実施例1〜5のチョコレートクッキーは、油脂のマイグレーションが抑制され、クッキーの表面性状は良好で、チョコレートの軟化やブルームも発生しなかった。これに対し、比較例1〜5のチョコレートクッキーは、マイグレーションが発生し、クッキー中の油分の低下による白変化、チョコレートの軟化、ブルーミングの現象が起こった。食感に関しても、実施例1〜5は口溶け良好であったが比較例1はクッキー生地に錬り込まれたショートニング中のパーム油低融点画分配合が高いため、べたつきを感じ、比較例2、3はパサついた食感になった。比較例4、5はパーム油低融点画分配合が低いため噛み口が重くて硬い、食べにくい食感になることが確認された。
<実施例6〜実施例7・比較例6>
実施例2の検討油脂と従来のショートニングには良く用いられる油脂である魚油硬化油(融点36.0℃)をそれぞれ表5の比率で混合したものをそれぞれの実施例の検討油脂とし、以降は実施例2と同様の方法で、ショートニングを製造し、チョコレート及びクッキー組み合わせ食品を得た。また、実施例2と同様に温度サイクルテストによる評価を行った。
参考の為、実施例2を表記したうえで、この結果を表5に示す。
<実施例8>
実施例2の検討油脂と従来のショートニングには良く用いられる油脂である豚脂(不二製油株式会社製「ラー ド700」融点36.1℃)を表5の比率で混合したものをそれぞれの実施例の検討油脂とし、以降は実施例2と同様の方法で、ショートニングを製造し、チョコレート及びクッキー組み合わせ食品を得た。また、実施例2と同様に温度サイクルテストによる評価を行った。
<表5>
Figure 0005315930
※ 単位は、サイクルテスト以外は重量%
※ 温度サイクルテスト評価 -:良好 +:ブルーム発生、不良 ++:激しくブルーム発生、不良(20サイクルまで-を維持できたら市場価値あり)
各評価より実施例6〜実施例7・比較例6のチョコレートクッキーは、検討油脂におけるランダムエステル交換油脂のショートニング全油脂における含有率が低下するに従い、油脂のマイグレーション抑制効果、ならびにクッキーの表面性状(白変化)の抑制効果、が低下していき、またチョコレートの軟化やブルームも発生しやすい傾向であった。実際に市場価値があるレベルは実施例7までであり、比較例6は市場性が乏しいものであった。これにより、ランダムエステル交換油脂含有量/全油脂は50重量%以上が必要であることが確認された。
また、実施例8においてもランダムエステル交換油脂含有量/全油脂の含有率が同じ実施例7と同程度の評価となった。
<実施例9〜実施例12>
表6に示される配合の油脂をナトリウムメチラート触媒にて、ランダムエステル交換を行い、それぞれの検討油脂を得た。
ショートニングの製造、及びチョコレート及びクッキー組み合わせ食品の作製法は実施例1と同様の工程にてチョコレートクッキーを得、実施例と同様に温度サイクルテストによる評価を行った。
この結果を表6に示す。
<表6>
Figure 0005315930
各評価より、実施例9〜実施例12のチョコレートクッキーは、実施例1には劣るものの、油脂のマイグレーションが抑制され、クッキーの表面性状は良好で、チョコレートの軟化やブルームも20サイクルまでは発生しなかった。
本発明によって、平易な方法にて油脂含有焼菓子、特に他の油性食品との組み合わせ菓子において、油脂成分のマイグレーション(migration)を抑制する焼菓子用油脂組成物及びそれを使用してなる焼菓子を提供する事ができる。

Claims (5)

  1. ヨウ素価55以上のパーム油低融点画分35重量%〜65重量%、及びハイエルシン菜種極度水素添加油脂を3重量%〜25重量%含む油脂配合物をランダムエステル交換した油脂Aを、全油脂中に50重量%以上含有する焼菓子用油脂組成物。但し、当該油脂Aにおける構成脂肪酸中の飽和酸含量が40重量%以上、かつ、当該油脂Aにおける構成脂肪酸中の炭素数20と炭素数22の飽和脂肪酸含量が10重量%未満であるものに限る。
  2. 油脂Aにおける構成脂肪酸中の炭素数18〜20の飽和酸含量が15重量%未満である請求項1記載の焼菓子用油脂組成物。
  3. 油脂Aの融点が37℃以上である請求項1記載の焼菓子用油脂組成物。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の焼菓子用油脂組成物を2〜40重量%使用してなる焼菓子。
  5. 請求項4記載の焼菓子とチョコレート様食品とを組み合わせた複合菓子。
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