JP5314291B2 - 高分子膜およびその製造方法 - Google Patents
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Description
近年、膜により気体成分を分離する技術の中でも、二酸化炭素を選択的に分離する技術が精力的に検討されている。この技術は、油田のオフガス、ゴミ焼却や火力発電の排ガス、天然ガスなどからの二酸化炭素の分離回収に利用することができる。
このような膜を得るために、二酸化炭素に対して選択的に親和性が高い素材を用いることが提案されている。例えば、室温で液状物質であるポリアミドアミンデンドリマーを、微多孔質の支持体に含浸させた分離膜が提案されている(非特許文献2および3)。この含浸膜の分離性能を、ヘリウムキャリアー法と言う膜に圧力差を設けない方法を用いて測定すると、二酸化炭素選択性が1000を超える優れた二酸化炭素選択性を示した。
しかしながら、液状物質であるポリアミドアミンデンドリマーを微多孔質の支持体に含浸させた分離膜では、この膜に圧力を掛けると、含浸させたデンドリマーが時間と共に支持体から抜け出して、性能を維持できないため、実用に供することが困難である。
ガス分離技術の新展開、東レリサーチセンター調査研究事業部編、株式会社東レリサーチセンター発行、1990年、第345〜362頁 J.Am.Chem.Soc.122(2000)7594〜7595 Ind.Eng.Chem.Res.40(2001)2502〜2511
[1] 多官能重合性単量体を重合させて得られる高分子重合体内に、式(1)
で示される基、または式(2)
で示される基を有するアミン化合物が固定化されてなることを特徴とする高分子膜、
[2] アミン化合物が、ポリアミドアミン系デンドリマーである前記[1]に記載の高分子膜、
[3]ポリアミドアミン系デンドリマーが、式
[4] 多官能重合性単量体が、多官能(メタ)アクリルアミド類、多官能(メタ)アクリレート類、多官能ビニルエーテル類およびジビニルベンゼンからなる群から選ばれる1種以上である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の高分子膜、
[5] 多官能(メタ)アクリレート類が、ジ(メタ)アクリレート類、トリ(メタ)アクリレート類またはテトラ(メタ)アクリレート類である前記[4]に記載の高分子膜、
[6] ジ(メタ)アクリレート類が、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である前記[5]に記載の高分子膜、
[7] 高分子重合体が、多官能重合性単量体に単官能重合性単量体を加えて重合させて得られることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれかに記載の高分子膜、
[8] 単官能重合性単量体が、単官能(メタ)アクリルアミド類、単官能(メタ)アクリレート類、単官能ビニルエーテル類、単官能N−ビニル化合物類、単官能ビニル化合物類および単官能α,β−不飽和化合物類からなる群から選ばれる1種以上である前記[7]に記載の高分子膜、
[9] 単官能(メタ)アクリレート類が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールメタクリレートおよびポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である前記[8]に記載の高分子膜、
[10] 単官能重合性単量体がポリエチレングリコールメタクリレートであり、多官能重合性単量体がポリエチレングリコールジメタクリレートである前記[7]〜[9]のいずれかに記載の高分子膜、
[11] 該高分子膜が、ガス分離膜である前記[1]〜[10]のいずれかに記載の高分子膜、
[12] 式(1)
で示される基、または式(2)
で示される基を有するアミン化合物の存在下に、多官能重合性単量体を重合反応させて生成する高分子重合体内に上記アミン化合物を固定化させることを特徴とする高分子膜の製造方法、
[13] アミン化合物が、ポリアミドアミン系デンドリマーである前記[12]に記載の高分子膜の製造方法、
[14] ポリアミドアミン系デンドリマーが、式
[15] 多官能重合性単量体が、多官能(メタ)アクリルアミド類、多官能(メタ)アクリレート類、多官能ビニルエーテル類およびジビニルベンゼンからなる群から選ばれる1種以上である前記[12]〜[14]のいずれかに記載の高分子膜の製造方法、
[16] 多官能(メタ)アクリレート類が、ジ(メタ)アクリレート類、トリ(メタ)アクリレート類またはテトラ(メタ)アクリレート類である前記[15]に記載の高分子膜の製造方法、
[17] ジ(メタ)アクリレート類が、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である前記[16]に記載の高分子膜の製造方法、
[18] 重合反応における重合成分として、多官能重合性単量体と単官能重合性単量体とを併用することを特徴とする前記[12]〜[17]のいずれかに記載の高分子膜の製造方法、
[19] 単官能重合性単量体が、単官能(メタ)アクリルアミド類、単官能(メタ)アクリレート類、単官能ビニルエーテル類、単官能N−ビニル化合物類、単官能ビニル化合物類および単官能α,β−不飽和化合物類からなる群から選ばれる1種以上である前記[18]に記載の高分子膜の製造方法、
[20] 単官能重合性単量体がポリエチレングリコールメタクリレートであり、多官能重合性単量体がポリエチレングリコールジメタクリレートである前記[18]または[19]に記載の高分子膜の製造方法、
[21] 重合反応が、光重合反応である前記[12]〜[20]のいずれかに記載の高分子膜の製造方法、
[22] 重合反応が、熱重合反応である前記[12]〜[20]のいずれかに記載の高分子膜の製造方法、
[23] 光重合反応を光重合開始剤の存在下に行う前記[21]に記載の高分子膜の製造方法、
[24]熱重合反応を熱重合開始剤の存在下に行う前記[22]に記載の高分子膜の製造方法、
[25] 光重合開始剤が1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである前記[23]に記載の高分子膜の製造方法、
[26] 熱重合開始剤がアゾビスイソブチロニトリルである前記[24]に記載の高分子膜の製造方法、
[27] さらに、増感剤の存在下に重合反応を行う前記[23]または[25]に記載の高分子膜の製造方法、
[28] 増感剤が三級アミンである前記[27]に記載の高分子膜の製造方法、
[29] 三級アミンがトリエタノールアミンである前記[28]に記載の高分子膜の製造方法、および
[30] 二酸化炭素を含む混合ガスを、前記[1]〜[11]のいずれかに記載の高分子膜に接触させて、該混合ガス中の二酸化炭素を選択的に透過させる工程を含むことを特徴とする二酸化炭素の分離方法、
に関する。
なお、本発明の高分子膜は、二酸化炭素分離能を有するアミン化合物が高分子膜の表面に担持されているのではなく、該高分子膜内に固定化されているため、安定性が非常に優れているという特長を有する。すなわち、本発明で得られる高分子膜は圧力をかけた場合に式(1)または(2)で示される基を有するアミン化合物が漏出することがないため、支持膜との複合膜にすることなく、自立膜として使用することができる特長を有する。
で示される基、または式(2)
で示される基を有するアミン化合物が固定化されてなることを特徴とする。
また、本発明で使用されるアミン化合物において、式(1)または式(2)の基が占める重量分率は、特に制限されるものではない。二酸化炭素と水素の分離能を高めるという観点から、該アミン化合物に占める式(1)または式(2)で示される基の重量分率が5%以上、好ましくは10〜94%、更に好ましくは15〜53%であるのが望ましい。
メチルエステル基を有する化合物と、式(1a)で示されるアミン化合物との反応は、通常、適当な溶媒中で行われる。溶媒としては、反応を阻害しない溶媒であれば公知のものを広く使用できる。このような溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。これらの溶媒には、水が含まれていていることを妨げるものではない。
メチルエステル基を有する化合物と、(1a)で示されるアミン化合物との反応は、通常約0〜40℃、好ましくは約20〜30℃で、約90〜180時間、好ましくは約160〜170時間攪拌を続けることにより行われる。
原料として用いられるメチルエステル基を有する化合物、および式(1a)で示されるアミン化合物は公知化合物の化合物を用いることができる。
上記反応によって得られた反応混合物を、例えば、冷却した後、濾過、濃縮、抽出などの単離操作に供して粗反応生成物を分離し、更に必要に応じてカラムクロマトグラフィー、再結晶などの通常の精製操作を行うことによって式(1)で示される基を有するアミン化合物を単離精製することができる。
多官能重合性単量体としては、炭素−炭素不飽和結合を2個以上有する重合可能な化合物であれば、特に限定されない。例えば、多官能(メタ)アクリルアミド類、多官能(メタ)アクリレート類等の多官能アクリル系単量体、多官能ビニルエーテル類またはジビニルベンゼン等の多官能ビニル系単量体等が挙げられる。これらの多官能重合性単量体は、単独または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
上記多官能(メタ)アクリレート類としては、ジ(メタ)アクリレート類、トリ(メタ)アクリレート類またはテトラ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
上記ジ(メタ)アクリレート類としては、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類が挙げられる。
上記トリ(メタ)アクリレート類としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記テトラ(メタ)アクリレート類としては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記多官能ビニルエーテル類としては、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル等が挙げられる。
単官能重合性単量体としては、単官能(メタ)アクリルアミド類、単官能(メタ)アクリレート類等の単官能アクリル系単量体、単官能ビニルエーテル類、単官能N−ビニル化合物類または単官能ビニル化合物類等の単官能ビニル系単量体、単官能α,β−不飽和化合物類等が挙げられる。
上記単官能(メタ)アクリルアミド類としては、2−アセトアミドアクリル酸、(メタ)アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、等が挙げられる。
上記単官能(メタ)アクリレート類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記単官能ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
上記単官能N−ビニル化合物類としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等が挙げられる。
上記単官能ビニル化合物類としては、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。
上記単官能α,β−不飽和化合物類としては、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、無水イタコン酸、イタコン酸、イタコン酸ジメチル、メチレンマロン酸、メチレンマロン酸ジメチル、桂皮酸、桂皮酸メチル、クロトン酸、クロトン酸メチル等が挙げられる。
上記熱重合開始剤としては、公知のものを使用でき、具体的には、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエー卜、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物等が好適である。また、熱重合時には硬化促進剤を混合して使用してもよく、硬化促進剤としては、ナフテン酸コバルトやオクチル酸コバルト等または3級アミン等が好適である。熱重合開始剤の添加量としては、上記多官能重合性単量体100重量部に対し、好ましくは約0.01〜10重量部、より好ましくは約0.1〜1重量部である。
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類。
上記三級アミン化合物としては、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミン、メチルジエタノールアミン、メチルジイソプロパノールアミン、メチルジブタノールアミン、エチルジエタノールアミン、エチルジイソプロパノールアミン、エチルジブタノールアミン、プロピルジエタノールアミン、プロピルジイソプロパノールアミン、プロピルジブタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルブタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジエチルイソプロパノールアミン、ジエチルブタノールアミン、ジプロピルエタノールアミン、ジプロピルイソプロパノールアミン、ジプロピルブタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、ジブチルイソプロパノールアミン、ジブチルブタノールアミン、メチルエチルエタノールアミン、メチルエチルイソプロパノールアミン、メチルエチルブタノールアミン、ベンジルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、テトラエタノールエチレンジアミン、テトラプロパノールエチレンジアミン等が挙げられる。また、これら水酸基含有三級アミン化合物にエチレンオキサイドを付加させてポリエチレングリコール鎖を導入したもの、水酸基含有三級アミン化合物に水酸基と反応性を有する官能基を含有するモノマーを付加させて重合性二重結合を導入したもの、ポリマーまたはオリゴマーに三級アミノ基を導入したもの等も用いることができる。これらのアミン化合物は単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
かくして、高分子重合体が生成すると同時に、該高分子重合体内に式(1)または式(2)で示される基を有するアミン化合物が固定化されてなる高分子膜が得られる。得られる高分子膜は、三次元網目構造を有する高分子重合体の該網目構造内に式(1)または式(2)で示される基を有するアミン化合物が封入され、固定化されているものが好適に挙げられる。
本発明の他の一つは、上記で得られた高分子膜を用いて、二酸化炭素を含む混合ガスから、二酸化炭素を分離する方法である。すなわち、本発明のガス分離方法は、二酸化炭素を含む混合ガスを上記で得られた高分子膜に接触させて該混合ガス中の二酸化炭素を選択的に透過させる工程を含むことを特徴とする。
当該ガス分離方法は、分離膜のガス供給側とガス透過側との間に圧力差を設けておくのが好ましい。この圧力差は、通常、ガス透過側を減圧にすることにより設けられる。また、本分離方法は、通常5〜80℃、好ましくは室温〜50℃の温度条件下で実施するのが望ましい。
本発明の分離方法に適用できる混合ガスは、二酸化炭素を含む混合ガスであれば特に制限されないが、二酸化炭素と他のガスとの分離性能を向上させるためには、混合ガスの相対湿度を30%以上、好ましくは60〜100%に調製しておくのが好ましい。
上記ガス分離方法は、例えば、火力発電所、鉄鋼プラントなどで発生する燃焼排ガスから二酸化炭素(CO2)を分離するのに適用することができる。
下記式
次いで、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとトリエタノールアミンをそれぞれ0.04mmol/mL、0.8mmol/mLとなるように加えた。得られた溶液をシャーレに展開し、B−100APランプ(UVP社製)を用いて紫外光(波長ピーク:360nm)を室温で1分間照射することにより、ポリエチレングリコールジメタクリレートを重合した。その後、反応溶媒であるエタノールを減圧下で留去し、目的の高分子膜(以下、本発明品1という)を得た。本高分子膜の膜厚は約0.54mmで、該高分子膜中のPAMAMデンドリマーの含有量は50重量%であった。
実施例1において、PAMAMデンドリマーとポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGDMA)の使用量、膜厚を下記表1の通りとする以外は、実施例1と同様にして目的の高分子膜を得た(以下、本発明品2、3、4という)。本高分子膜の膜厚は下記表2の通りである。
実施例1において、第0世代のPAMAMデンドリマーの代わりに第1、3、5世代のPAMAMデンドリマー(表面基:−CONHCH2CH2NH2;表面基の数:8個(第1世代)、32個(第3世代)、128個(第5世代);20重量%メタノール溶液;アルドリッチ社製)とする以外は、実施例1と同様にして目的の高分子膜を得た(以下、本発明品5、6、7という)。本高分子膜の膜厚は下記表3の通りである。
実施例1において、ポリエチレングリコールジメタクリレート(分子量:750;アルドリッチ社製)の代わりにポリエチレングリコールジメタクリレート(分子量:750;アルドリッチ社製)とポリエチレングリコールメタクリレート(分子量:475;アルドリッチ社製)の混合物(モル比1:3、合計量2g)とする以外は、実施例1と同様にして目的の高分子膜を得た。
実施例1において、ポリエチレングリコールジメタクリレート(分子量:750;アルドリッチ社製)の代わりにポリエチレングリコールジメタクリレート(分子量:550;アルドリッチ社製)とする以外は、実施例1と同様にして目的の高分子膜を得た(以下、本発明品9という)。
実施例1において、ポリエチレングリコールジメタクリレート(分子量:750;アルドリッチ社製)に対してトリメチロールプロパントリメタクリレート(アルドリッチ社製)を25重量%添加し、溶媒としてエタノールの代わりに、重量比で5:1のメタノールと水の混合溶液を用いる以外は、実施例1と同様にして目的の高分子膜を得た(以下、本発明品10という)。
実施例1において、ポリエチレングリコールジメタクリレート(分子量:750;アルドリッチ社製)に対してトリメチロールプロパントリメタクリレート(アルドリッチ社製)を25、50重量%添加する以外は、実施例1と同様にして目的の高分子膜を得た(以下、本発明品11、12という)。
PAMAMデンドリマーを加えない以外は実施例1と同様にして高分子膜を得た(以下、比較品という)。得られた高分子膜の膜厚は0.48mmであった。
実施例1〜7、9〜12および比較例で得た高分子膜(本発明品1〜7、9〜12および比較品)を用いてCO2分離能を測定した。すなわち、該高分子膜に混合ガス(二酸化炭素ガス5%、水素ガス95%)を供給し、分離膜を透過したガスの透過速度QCO2およびQH2(m3(STP)/m2sPa)を下記条件でガスクロマトグラフィーと流量計を用いて測定し、下記式に従って透過係数を算出し、該透過係数から選択性α=PCO2/PH2を算出した。その結果を表4に示す。
供給ガス量:約100ml/分、
測定温度:25℃、
供給ガス組成:CO2/H2=5/95(vol/vol)、
透過側循環ガス:He(乾燥)、
相対湿度:80%、
圧力:供給側;100kPa、透過側;0kPa
<ガスクロマトグラフィー分析条件>
製品:GC390B(ツクバリカセイキ社製)
Heキャリアーガス量:約10ml/分、
カラム1: シリコ 1/8 inch×4m/MS/シリコ 1/8 inch×2m
カラム2: ユニビーズ 2S 1/8 inch×4m
2 高分子膜
3 ガス透過セル
4 温湿度計
5 加湿器
6 恒温槽
Claims (30)
- 多官能重合性単量体を重合させて得られ、三次元網目構造を有する高分子重合体の該網目構造内に、式(1)
で示される基、または式(2)
で示される基を有するアミン化合物が固定化されてなることを特徴とする高分子膜。 - アミン化合物が、ポリアミドアミン系デンドリマーである請求項1に記載の高分子膜。
- ポリアミドアミン系デンドリマーが、式
- 多官能重合性単量体が、多官能(メタ)アクリルアミド類、多官能(メタ)アクリレート類、多官能ビニルエーテル類およびジビニルベンゼンからなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の高分子膜。
- 多官能(メタ)アクリレート類が、ジ(メタ)アクリレート類、トリ(メタ)アクリレート類およびテトラ(メタ)アクリレート類からなる群から選ばれる1種以上である請求項4に記載の高分子膜。
- ジ(メタ)アクリレート類が、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である請求項5に記載の高分子膜。
- 高分子重合体が、多官能重合性単量体に単官能重合性単量体を加えて重合させて得られることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高分子膜。
- 単官能重合性単量体が、単官能(メタ)アクリルアミド類、単官能(メタ)アクリレート類、単官能ビニルエーテル類、単官能N−ビニル化合物類、単官能ビニル化合物類および単官能α,β−不飽和化合物類からなる群から選ばれる1種以上である請求項7に記載の高分子膜。
- 単官能(メタ)アクリレート類が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールメタクリレートおよびポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である請求項8に記載の高分子膜。
- 単官能重合性単量体がポリエチレングリコールメタクリレートであり、多官能重合性単量体がポリエチレングリコールジメタクリレートである請求項7〜9のいずれかに記載の高分子膜。
- 該高分子膜が、ガス分離膜である請求項1〜10のいずれかに記載の高分子膜。
- 式(1)
で示される基、または式(2)
で示される基を有するアミン化合物の存在下に、多官能重合性単量体を重合反応させて生成され、三次元網目構造を有する高分子重合体の該網目構造内に上記アミン化合物を固定化させることを特徴とする高分子膜の製造方法。 - アミン化合物が、ポリアミドアミン系デンドリマーである請求項12に記載の高分子膜の製造方法。
- ポリアミドアミン系デンドリマーが、式
- 多官能重合性単量体が、多官能(メタ)アクリルアミド類、多官能(メタ)アクリレート類、多官能ビニルエーテル類およびジビニルベンゼンからなる群から選ばれる1種以上である請求項12〜14のいずれかに記載の高分子膜の製造方法。
- 多官能(メタ)アクリレート類が、ジ(メタ)アクリレート類、トリ(メタ)アクリレート類およびテトラ(メタ)アクリレート類からなる群から選ばれる1種以上である請求項15に記載の高分子膜の製造方法。
- ジ(メタ)アクリレート類が、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である請求項16に記載の高分子膜の製造方法。
- 重合反応における重合成分として、多官能重合性単量体と単官能重合性単量体とを併用することを特徴とする請求項12〜17のいずれかに記載の高分子膜の製造方法。
- 単官能重合性単量体が、単官能(メタ)アクリルアミド類、単官能(メタ)アクリレート類、単官能ビニルエーテル類、単官能N−ビニル化合物類、単官能ビニル化合物類および単官能α,β−不飽和化合物類からなる群から選ばれる1種以上である請求項18に記載の高分子膜の製造方法。
- 単官能重合性単量体がポリエチレングリコールメタクリレートであり、多官能重合性単量体がポリエチレングリコールジメタクリレートである請求項18または19に記載の高分子膜の製造方法。
- 重合反応が、光重合反応である請求項12〜20のいずれかに記載の高分子膜の製造方法。
- 重合反応が、熱重合反応である請求項12〜20のいずれかに記載の高分子膜の製造方法。
- 光重合反応を光重合開始剤の存在下に行う請求項21に記載の高分子膜の製造方法。
- 熱重合反応を熱重合開始剤の存在下に行う請求項22に記載の高分子膜の製造方法。
- 光重合開始剤が1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである請求項23に記載の高分子膜の製造方法。
- 熱重合開始剤がアゾビスイソブチロニトリルである請求項24に記載の高分子膜の製造方法。
- さらに、増感剤の存在下に重合反応を行う請求項23または25に記載の高分子膜の製造方法。
- 増感剤が三級アミンである請求項27に記載の高分子膜の製造方法。
- 三級アミンがトリエタノールアミンである請求項28に記載の高分子膜の製造方法。
- 二酸化炭素を含む混合ガスを、請求項1〜11のいずれかに記載の高分子膜に接触させて、該混合ガス中の二酸化炭素を選択的に透過させる工程を含むことを特徴とする二酸化炭素の分離方法。
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