JP5310224B2 - 冷凍装置 - Google Patents

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この出願の発明は、蒸気圧縮式冷凍機と該蒸気圧縮式冷凍機の排熱で駆動される吸収式冷凍機とを備え、それらを所望に組み合わせて作動可能とした冷凍装置に関するものである。
一般に蒸気圧縮式冷凍機は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器をヒートポンプ作動可能に冷媒配管で接続して冷凍回路を構成しており、同冷凍回路中を流れる冷媒の方向を逆にすることにより、冷房や暖房を行えるようにしている(例えば特許文献1を参照)。
このような蒸気圧縮式冷凍機における冷凍性能を改善する一つの方法として、例えば熱駆動型冷凍機である吸収式冷凍機を組み合わせることが従来から知られており、ガスエンジンその他の排熱で吸収式冷凍機を駆動し、そこで得られる冷熱を蒸気圧縮式の冷凍機に取り込み、蒸気圧縮式冷凍機の冷凍性能を増大させることについて、従来から種々の方法が提案されている(例えば特許文献2を参照)。
一方、これとは逆に上記蒸気圧縮式冷凍機側の排熱を利用して、吸収式冷凍機を駆動することについては、蒸気圧縮式冷凍機自体の排熱量が少なく、また排熱温度も低いため、そのままでは一般に吸収式冷凍機を駆動させることが困難であり、仮に駆動することが出来たとしても、その得られる冷凍性能向上効果が小さいこと、またコスト的にも課題があるなどの理由から、これまでは余り検討される事がなかった。
しかし、最近のエネルギーコストの上昇に対する対策や、CO2冷媒等の自然冷媒を利用する空気調和機を開発するに際して蒸気圧縮式冷凍機の性能改善が必要である等の事情から、上記蒸気圧縮式冷凍機自身の排熱を単なる給湯や暖房のためではなく、冷熱自体に変換して更に有効に利用する利用方法が求められつつある。
このような事情に基いて提案されたものとして、例えば再生器、凝縮器、蒸発器、吸収器を備える吸収式冷凍サイクルと、圧縮機、熱源側熱交換器、減圧装置、利用側熱交換器を備える蒸気圧縮式冷凍サイクルとを備え、吸収式冷凍サイクルの再生器を含む各機器を循環する冷媒に蒸気圧縮式冷凍サイクルの熱源側熱交換器の排熱を熱回収させるとともに、吸収式冷凍サイクルの蒸発器によって蒸気圧縮式冷凍サイクルの熱源側熱交換器の出口側冷媒を冷却させることにより、系全体としての放出熱量を削減するとともに、消費電力の削減、並びに成績係数の向上を図るようにした冷凍装置がある(例えば特許文献3を参照)。
このような構成によれば、蒸気圧縮式冷凍機自身の排熱を単なる給湯や暖房ではなく、必要な冷熱に変換して吸収式冷凍機の駆動源として有効に利用することが可能となる。
特開2002−228229号公報 特開2004−28374号公報 特開2006−17350号公報
ところで、以上のような蒸気圧縮式冷凍機と吸収式冷凍機を組み合わせた冷凍装置の冷凍能力を向上させるためには、上記蒸気圧縮式冷凍機および吸収式冷凍機相互の排熱を、冷房運転時、暖房運転時の如何にかかわらず何に有効に活用するかが課題となる。
また、その場合にあって、同時に相互の装置の構成を可能な限り簡素化して、低コスト化を図ることも重要であり、特に蒸気圧縮式冷凍機側圧縮冷媒の熱を放熱又は吸熱する熱交換器を不要とすることが望まれる。
また、排熱利用型の吸収式冷凍機においては、コストの面から単効用冷凍サイクルで使用されるケースが多いが、排熱により冷媒蒸気を発生させる発生器を如何に低コスト化するかが課題となる。
すなわち、排熱利用型の吸収式冷凍機は、より安価な機器でないと回収熱量との関係で成立が困難であり、発生器の大幅な低コスト化が強く求められている。
しかし、上記特許文献3の冷凍装置の場合、蒸気圧縮式冷凍機からの圧縮冷媒を吸収式冷凍サイクル側再生器(発生器)中の冷媒蒸気発生用第1の熱源側熱交換器に加え、外部空気を取り入れる冷却ファンを備えた圧縮冷媒熱放熱用の第3の熱源側熱交換器を介して吸収式冷凍機の蒸発器を構成している第2の熱源側熱交換器に供給して過冷却するようにしており、再生器(発生器)の簡素化が不可能で、かつ蒸気圧縮式冷凍機の冷媒熱放熱用の第3の熱源側熱交換器が必要であることから、システム全体が複雑で高コストなものになる欠点があり、上述のような要求に応じ切れていない。
また、上記蒸気圧縮式冷凍装置を四路切換弁を有した冷暖房型のものとして、暖房運転を行おうとすると、上記利用側熱交換器からの冷媒を、上記冷房運転時とは逆の方向に流して、圧縮機に戻す前に低圧下で吸熱させることが必要であるが、上記特許文献3の装置では、それらの対応が採られておらず、暖房運転時には吸収式冷凍機を利用することができない。
本願発明は、このような課題を解決するためになされたもので、冷房運転時には、圧縮式冷凍機の圧縮後の冷媒の熱を予じめ吸収式冷凍機の吸収希溶液で熱回収し、その上で昇温された吸収希溶液を吸収式冷凍機の発生器内に流入させて冷媒蒸気を分離することにより、吸収式冷凍機の発生器の構成の簡素化を図り、また蒸気圧縮式冷凍機側の冷媒を冷却することによって利用側熱交換器に供給される冷媒を冷却又は過冷却することで、冷房性能をアップする一方、暖房運転時にも吸収式冷凍機を有効に利用することで蒸気圧縮式冷凍機Xの放熱用の熱交換器を不要として低コスト化し、暖房ができるようにした冷凍装置を提供することを目的とするものである。
本願発明は、上記の目的を達成するために、次のような有効な課題解決手段を備えて構成されている。
(1) 請求項1の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、蒸気圧縮式冷凍機と該蒸気圧縮式冷凍機の排熱で駆動される吸収式冷凍機とを組み合わせ、冷房運転時における上記蒸気圧縮式冷凍機の圧縮冷媒を上記吸収式冷凍機の蒸発器で冷却又は過冷却する冷媒冷却方式を採用するとともに、上記蒸気圧縮式冷凍機の圧縮冷媒の熱を上記吸収式冷凍機の吸収希溶液と熱交換させることによって回収する冷媒熱回収用熱交換器を設け、該冷媒熱回収用熱交換器で圧縮冷媒の熱を回収して昇温された吸収希溶液を上記吸収式冷凍機の発生器に流入させて冷媒を蒸発させることにより、上記蒸気圧縮式冷凍機の定格冷房運転時における冷媒の熱量の全てを上記吸収式冷凍機の加熱源として利用し、上記蒸気圧縮式冷凍機の冷房運転時の性能を改善するとともに、上記蒸気圧縮式冷凍機の冷凍回路に四路切換弁を設け、暖房運転時には、該蒸気圧縮式冷凍機側の四路切換弁を切換えることにより、上記蒸気圧縮式冷凍機の冷媒を利用側熱交換器に供給後、上記吸収式冷凍機側蒸発器および上記冷媒熱回収用熱交換器に冷房運転時とは逆の方向に流入させて、上記吸収式冷凍機側の吸収液と熱交換させるようにしてなる冷凍装置であって、上記吸収器に流入させる吸収器出口側からの吸収液を冷却する空冷冷却器を設け、冷房運転時には吸収器出口側の吸収液を同空冷冷却器を介して冷却した上で吸収器に流入させ、同流入した吸収液の顕熱で吸収熱を除去することにより冷媒蒸気を吸収させるようにする一方、暖房運転時には、上記吸収器出口側の吸収液を上記空冷冷却器を介して外部空気の熱を吸収させた上で冷媒熱回収用熱交換器に供給することにより、上記蒸気圧縮式冷凍機側の冷媒と吸収式冷凍機側の吸収液とを熱交換させるようにしたことを特徴としている。
このような構成によると、外部熱源がないような場合にも吸収式冷凍機の駆動用熱源を確保することができ、また定格冷房運転時の蒸気圧縮式冷凍機における冷媒を凝縮、もしくは放熱する際の熱量を吸収式冷凍機の加熱源に全て利用することが可能となる。
そして、吸収式冷凍機の発生器では、供給される吸収溶液の温度で吸収溶液が効率良くフラッシングされて冷媒蒸気を放出するので、発生器を外部熱源用熱交換器のない単に冷媒蒸気を分離しさえすれば足りる貫流型の気液分離器で構成することもできる。そして、そのようにした場合、従来のような外部熱源を流す熱源用熱交換器が不要となる。したがって、その構成が極めて簡単になり、低コスト化される。
もちろん、後に述べるように、それに加えて吸収液加熱用の外部熱源を併用することも可能であり、そのようにした場合には、同外部熱源による希溶液加熱作用と相乗して冷媒蒸気の発生効率が向上する。
また、同時に、蒸気圧縮式冷凍機の圧縮冷媒の熱は同吸収式冷凍機側の吸収希溶液によって熱回収されて効率良く冷却されるから、以降の蒸発器部分での過冷却度も向上し、冷房運転時における蒸気圧縮式冷凍機自体の冷凍性能が向上するとともに、従来のような圧縮冷媒の冷媒熱放熱用の熱交換器が不要になり、装置構成がシンプルで低コストなものになる。
さらに、同構成では、冷房運転時、上記蒸気圧縮式冷凍機の冷媒を上記吸収式冷凍機の蒸発器によって冷却もしくは過冷却するようにしており、従来のように吸収式冷凍機の蒸発器に冷却水を循環させて過冷却する場合に比較して、蒸発器における冷媒の蒸発温度を高くすることができる。
その結果、吸収式冷凍機を可及的に小型化することができ、また冷熱を有効に利用することができるようになる。
一方、この発明の構成では、そのようにして上記蒸気圧縮式冷凍機の冷房運転時の性能を改善するようにした場合において、さらに上記蒸気圧縮式冷凍機の冷凍回路に冷媒の流れる方向を切り換える四路切換弁を設け、暖房運転時には、該蒸気圧縮式冷凍機側の四路切換弁を切換えて、利用側熱交換器に供給後、上記蒸気圧縮式冷凍機の低温・低圧の冷媒を上記吸収式冷凍機側蒸発器および上記冷媒熱回収用熱交換器に上述の冷房運転時とは逆の方向に流入させて、上記吸収式冷凍機側の冷媒液および吸収液の熱を回収させるようにしている。
上記により、暖房時に上記蒸気圧縮式冷凍機の冷媒と熱交換し温度が低下した上記吸収式冷凍機の吸収溶液は上記吸収式冷凍機の空冷熱交換器により、外気より吸熱し、この結果、暖房運転時にも吸収式冷凍機を有効に利用することが可能になり、可能な限り圧縮機に入る膨張冷媒の温度を上げることができるので、蒸気圧縮式冷凍機の暖房性能が向上する。
しかも、この発明の課題解決手段では、上記の構成において、さらに吸収器に流入させる吸収器出口側からの吸収液を冷却する空冷冷却器を設け、冷房運転時には吸収器出口側の吸収液を同空冷冷却器を介して冷却した上で吸収器に流入させ、同流入した吸収液の顕熱で吸収熱を除去することにより冷媒蒸気を吸収させるようにする一方、暖房運転時には、上記吸収器出口側の吸収液を上記空冷冷却器を介して外部空気の熱を吸収させた上で冷媒熱回収用熱交換器に供給することにより、上記蒸気圧縮式冷凍機側の冷媒と吸収式冷凍機側の吸収液とを熱交換させるようにしている。
このように、冷房運転時、吸収器に流入させる吸収液を過冷却する空冷冷却器を設け、該空冷冷却器により吸収液を過冷却した上で吸収器に供給するようにし、吸収器では流入した吸収液の顕熱で蒸発器からの冷媒蒸気を吸収させる溶液分離冷却方式を採用した吸収式冷凍装置は、溶液自体の顕熱で吸収熱を取り去る方式のため、発生器への希溶液供給量を増加させても、従来の直接冷却方式の空冷又は水冷吸収器と比較して性能の低下がほとんど生じない。
したがって、発生器への希溶液供給量を増大させ、冷媒蒸気発生量を増大させることができる。
一方、そのような空冷冷却器を設け、吸収器では流入した吸収液の顕熱で吸収熱を除去して蒸発器からの冷媒蒸気を吸収させるように構成した場合、暖房運転時には、上記吸収器出口側の吸収希溶液を上記空冷冷却器を介して外部空気からの熱を回収して昇温させた後に、さらに冷媒熱回収用熱交換器に供給して、低温・低圧の膨張冷媒と熱交換させることにより、上記蒸気圧縮式冷凍機側の冷媒の温度を上げることができ、吸収式冷凍機を有効に利用し、外気から可能な限り吸熱が出来る暖房運転が実現される。
(2) 請求項2の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1の発明の課題解決手段の構成において、吸収式冷凍機の吸収器出口から溶液ポンプを介して発生器に供給される吸収希溶液と発生器から吸収器に戻される吸収濃溶液とを熱交換させることによって吸収濃溶液側の熱を吸収希溶液側に回収させる溶液熱交換器と、該溶液熱交換器に入る前の吸収希溶液を分流して熱回収用熱交換器に供給する溶液分流回路と、該溶液分流回路と空冷冷却器を介した吸収器入口側の吸収液供給回路とを電磁弁を介して連通させる溶液連通路とを設け、冷房運転時には、上記溶液連通路の連通状態を閉じて空冷冷却器を介して冷却した吸収器入口側の吸収液を吸収器にのみ供給する一方、吸収式冷凍機の蒸発器を出た蒸気圧縮式冷凍機の冷媒温度が設定温度以上の場合、または暖房運転時には、上記溶液連通路を開いて上記空冷冷却器により冷却された上記吸収器出口側の吸収液を上記溶液分流回路を介して上記冷媒熱回収用熱交換器に供給するようにしたことを特徴としている。
このような構成によると、冷房運転時には蒸気圧縮式冷凍機の圧縮冷媒の熱は吸収式冷凍機側の吸収希溶液によって熱回収されて効率良く冷却されるから、以降の蒸発器部分での過冷却度も向上し、冷房運転時における蒸気圧縮式冷凍機自体の冷凍性能が向上するとともに、従来のような圧縮冷媒の冷媒熱放熱用の熱交換器が不要になり、装置構成がシンプルで低コストなものになる。
そして、同状態では、上記溶液連通路の連通状態を閉じて、空冷冷却器を介して過冷却した吸収器出口側の吸収液は吸収器にのみ供給され、高効率な吸収作用を実現する。
他方、部分負荷時や蒸気圧縮式冷凍機の冷媒の温度が低下して吸収式冷凍機を駆動するのに加熱源としての熱量が不十分な場合、また吸収式冷凍機の吸収溶液との熱交換量が少なくて上記蒸気圧縮式冷凍機の冷媒温度が低下しない場合、すなわち吸収式冷凍機の蒸発器を出た蒸気圧縮式冷凍機の冷媒温度が設定温度以上の場合、または暖房運転時には(暖房運転時には四路切換弁を切り換え、利用側熱交換器に供給した後の冷媒を、上記吸収式冷凍機側蒸発器および上記熱回収用熱交換器に冷房運転時とは逆の方向に流入させて)、上記溶液連通路を開とし、吸収式冷凍機の吸収器出口側からの吸収液を空冷冷却器にて外部空気と熱交換(放熱又は吸熱)させた後、蒸気圧縮式冷凍機の冷媒を冷却する冷媒熱回収用熱交換器に流入して蒸気圧縮式冷凍機の冷媒と熱交換させる。この結果、上記冷房時には同冷媒の温度を有効に低下させ、また暖房時には同冷媒の温度を有効に上げることができる。
(3) 請求項3の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1又は2の発明の課題解決手段の構成において、空冷冷却器を介して吸収器に吸収液を供給する吸収液供給回路の吸収液入口と蒸発器の冷媒液入口とを電磁弁を介して連通させる分岐通路を設け、定格冷房運転時には同分岐通路を閉じる一方、吸収式冷凍機の蒸発器を出た蒸気圧縮式冷凍機の冷媒温度が設定温度以上の場合、または暖房運転時には、同分岐通路を開いて上記空冷冷却器により外気と熱交換した吸収器出口からの吸収液を蒸発器に流入させて蒸気圧縮式冷凍機の冷媒と熱交換させるようにしたことを特徴としている。
このような構成によると、定格冷房運転時には、上記吸収器入口側から蒸発器入口側に至る分岐通路の電磁弁が閉じられ、蒸気圧縮式冷凍機の圧縮冷媒の熱は吸収式冷凍機側の吸収希溶液によって熱回収されて効率良く冷却されるから、以降の蒸発器部分での過冷却度も向上し、冷房運転時における蒸気圧縮式冷凍機自体の冷凍性能が向上するとともに、従来のような圧縮冷媒の冷媒熱放熱用の熱交換器が不要になり、装置構成がシンプルで低コストなものになる。
他方、部分負荷時や蒸気圧縮式冷凍機の冷媒の温度が低下して吸収式冷凍機を駆動するのに加熱源としての熱量が不十分な場合、また吸収式冷凍機の吸収溶液との熱交換量が少なくて上記蒸気圧縮式冷凍機の冷媒温度が低下しない場合、すなわち吸収式冷凍機の蒸発器を出た蒸気圧縮式冷凍機の冷媒温度が設定温度以上の場合、または暖房運転時には(暖房運転時には四路切換弁を切り換え、利用側熱交換器に供給した後の冷媒を、上記吸収式冷凍機側蒸発器および上記熱回収用熱交換器に冷房運転時とは逆の方向に流入させて)、上記吸収器入口から蒸発器入口側分岐通路の電磁弁が開かれ、吸収式冷凍機の吸収器出口からの吸収溶液を空冷冷却器にて外部空気で冷却又は加熱した後に蒸発器に流入させるから、冷房時には蒸気圧縮式冷凍機の冷媒の温度を有効に低下させ、また暖房時には同冷媒の温度を有効にアップさせることができる。
(4) 請求項4の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1又は2の発明の課題解決手段の構成において、空冷冷却器を介して吸収器に吸収液を供給する吸収液供給回路の吸収器入口側部分を電磁弁を介して蒸発器内に分岐し、定格冷房運転時には同分岐通路を閉じる一方、吸収式冷凍機の蒸発器を出た蒸気圧縮式冷凍機の冷媒温度が設定温度以上の場合、または暖房運転時には、同分岐通路を開いて上記空冷冷却器により外気と熱交換した吸収器出口からの吸収液を蒸発器に流入させて蒸気圧縮式冷凍機の冷媒と熱交換させるようにしたことを特徴としている。
このような構成によると、定格冷房運転時には、上記吸収器入口側から蒸発器入口側に至る分岐通路の電磁弁が閉じられ、蒸気圧縮式冷凍機の圧縮冷媒の熱は吸収式冷凍機側の吸収希溶液によって熱回収されて効率良く冷却されるから、以降の蒸発器部分での過冷却度も向上し、冷房運転時における蒸気圧縮式冷凍機自体の冷凍性能が向上するとともに、従来のような圧縮冷媒の冷媒熱放熱用の熱交換器が不要になり、装置構成がシンプルで低コストなものになる。
他方、部分負荷時や蒸気圧縮式冷凍機の冷媒の温度が低下して吸収式冷凍機を駆動するのに加熱源としての熱量が不十分な場合、また吸収式冷凍機の吸収溶液との熱交換量が少なくて上記蒸気圧縮式冷凍機の冷媒温度が低下しない場合、すなわち吸収式冷凍機の蒸発器を出た蒸気圧縮式冷凍機の冷媒温度が設定温度以上の場合、または暖房運転時には(暖房運転時には四路切換弁を切り換え、利用側熱交換器に供給した後の冷媒を、上記吸収式冷凍機側蒸発器および上記熱回収用熱交換器に冷房運転時とは逆の方向に流入させて)、上記吸収器入口から蒸発器入口側分岐通路の電磁弁が開かれ、吸収式冷凍機の吸収器出口からの吸収溶液を空冷冷却器にて外部空気で冷却又は加熱した後に蒸発器に流入させるから、冷房時には蒸気圧縮式冷凍機の冷媒の温度を有効に低下させ、また暖房時には同温度を有効にアップさせることができる。
(5) 請求項5の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1,2,3又は4の発明の課題解決手段の構成において、吸収器出口から溶液ポンプを介して溶液熱交換器に吸収溶液を供給する溶液供給路に電磁弁を設け、冷房運転時には同電磁弁を開いて溶液熱交換器に吸収器出口側の吸収液を供給する一方、吸収式冷凍機の蒸発器を出た蒸気圧縮式冷凍機の冷媒温度が設定温度以上の場合、またはび暖房運転時には、同電磁弁を閉じて上記吸収器出口からの吸収液の全てを空冷冷却器により外気と熱交換した上で蒸発器又は及び熱回収用熱交換器に流入させることにより蒸気圧縮式冷凍機の冷媒と熱交換させるようにしたことを特徴としている。
このような構成によると、定格冷房運転時には溶液供給路の電磁弁が開かれ、吸収器出口からの吸収溶液が溶液ポンプを介して溶液熱交換器に供給され、蒸気圧縮式冷凍機の圧縮冷媒の熱は吸収式冷凍機側の吸収希溶液によって熱回収されて効率良く冷却されるから、以降の蒸発器部分での過冷却度も向上し、冷房運転時における蒸気圧縮式冷凍機自体の冷凍性能が向上するとともに、従来のような圧縮冷媒の冷媒熱放熱用の熱交換器が不要になり、装置構成がシンプルで低コストなものになる。
他方、部分負荷時や蒸気圧縮式冷凍機の冷媒の温度が低下して吸収式冷凍機を駆動するのに加熱源としての熱量が不十分な場合、また吸収式冷凍機の吸収溶液との熱交換量が少なくて上記蒸気圧縮式冷凍機の冷媒温度が低下しない場合、すなわち吸収式冷凍機の蒸発器を出た蒸気圧縮式冷凍機の冷媒温度が設定温度以上の場合、または暖房運転時には(暖房運転時には四路切換弁を切り換え、利用側熱交換器に供給した後冷媒を、上記吸収式冷凍機側蒸発器および上記熱回収用熱交換器に冷房運転時とは逆の方向に流入させて)、上記溶液供給路の電磁弁を閉じ、上記吸収器入口側から蒸発器入口側又は熱回収用熱交換器側への通路の電磁弁を開として、吸収式冷凍機の吸収器出口からの吸収液を空冷冷却器にて冷却又は加熱した上で、吸収式冷凍機の蒸発器又は及び熱回収用熱交換器に流入させて蒸気圧縮式冷凍機側の冷媒と熱交換することにより、冷房時には蒸気圧縮式冷凍機の冷媒の温度を有効に低下させ、また暖房時には同温度を有効にアップさせることができる。
(6) 請求項6の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1,2,3,4又は5の発明の課題解決手段の構成において、蒸発器には、冷媒液用の散布器と吸収液用の散布器が別々に設けられていることを特徴としている。
上述の請求項3,4又は5の発明の課題解決手段の構成のように、冷媒液の散布蒸発を前提としている蒸発器に対して、さらに吸収液を供給するようにした場合、それらの散布器を専用のものとするか又は兼用のものとするか、何れかの方法が考えられるが、その1つとして別々の専用のものとして、それぞれをスムーズに散布する方法が採用される。
(7) 請求項7の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1,2,3,4又は5の発明の課題解決手段の構成において、蒸発器には、冷媒液用の散布器と吸収液用の散布器とを兼用した1つの散布器が設けられていることを特徴としている。
他方、このように、冷媒液および吸収液の散布器を共通のものとした場合、散布器部分で冷媒液と吸収液が混合され、スムーズに流れるとともに、蒸発器がコンパクトになる。
(8) 請求項8の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1,2,3,4,5,6又は7の発明の課題解決手段の構成において、蒸発器は、冷媒液が蒸発器の伝熱面を一過性で流れるようになっており、同伝熱面を流下した未蒸発の冷媒液は、吸収器側に移動して吸収器を流下した吸収溶液に吸収されるようになっていることを特徴としている。
このような構成によると、蒸発器の伝熱面で蒸発し切れずに底部まで流れ落ちた未蒸発の冷媒液は吸収器の底部へ移動し、同吸収器底部で再び吸収溶液に吸収される。そのため、吸収効率が向上する。
(9) 請求項9の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1,2,3,4,5,6,7又は8の発明の課題解決手段の構成において、複数台の蒸気圧縮式冷凍機と、それら各蒸気圧縮式冷凍機に対応した冷媒熱回収用熱交換器とを備え、各蒸気圧縮式冷凍機の圧縮冷媒の熱を回収して対応する吸収式冷凍機駆動用の熱源として利用するようにしたことを特徴としている。
このような構成によると、上述の各発明の構成による作用効果が得られることはもちろん、蒸気圧縮式冷凍機側圧縮冷媒の排熱量が大きくなるので(設置台数分だけ)、吸収式冷凍機側の駆動能力(冷媒蒸気再生量)も大きくすることができる。
(10) 請求項10の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1,2,3,4,5,6,7,8又は9の発明の課題解決手段の構成において、発生器には外部熱源からの排熱が導入されるようになっており、該排熱によっても加熱されて冷媒蒸気を発生するようになっていることを特徴としている。
このような構成によると、外部熱源に加えて蒸気圧縮式冷凍機側の冷媒用の熱が有効に利用されることになり、外部熱源の熱量変動如何に拘わらず安定した駆動が可能となる。
以上の結果、本願発明によると、冷房運転時および暖房運転時の何れの場合にも蒸気圧縮式冷凍機および吸収式冷凍機相互の排熱を有効に活用して蒸気圧縮式冷凍機の性能を向上させることができることはもちろん、従来のような蒸気圧縮式冷凍機側の圧縮冷媒の放熱および吸熱用の熱交換器が不要になるとともに、吸収式冷凍機側発生器も気液分離器によるシンプルかつ低コストな構成のもので足りるようになる。
本願発明の実施の形態1に係る冷凍装置の構成を示す冷凍回路図である。 本願発明の実施の形態2に係る冷凍装置の構成を示す冷凍回路図である。 本願発明の実施の形態3に係る冷凍装置の構成を示す冷凍回路図である。 本願発明の実施の形態4に係る冷凍装置の構成を示す冷凍回路図である。 本願発明の実施の形態5に係る冷凍装置の構成を示す冷凍回路図である。 本願発明の実施の形態6に係る冷凍装置の構成を示す冷凍回路図である。 本願発明の実施の形態7に係る冷凍装置の構成を示す冷凍回路図である。
以下、本願発明の幾つかの実施の形態について、詳細に説明する。
(実施の形態1)
先ず図1は、蒸気圧縮式冷凍機と該蒸気圧縮式冷凍機の排熱で駆動される吸収式冷凍機とを組み合わせ、冷房運転時における上記蒸気圧縮式冷凍機の圧縮冷媒を上記吸収式冷凍機の蒸発器で冷却又は過冷却する冷媒冷却方式を採用するとともに、上記蒸気圧縮式冷凍機の圧縮冷媒の熱を上記吸収式冷凍機の吸収希溶液と熱交換させることによって回収する冷媒熱回収用熱交換器を設け、該冷媒熱回収用熱交換器で圧縮冷媒の熱を回収して昇温された吸収希溶液を上記吸収式冷凍機の発生器に流入させて冷媒を蒸発させることにより、上記蒸気圧縮式冷凍機の定格冷房運転時における冷媒の熱量の全てを上記吸収式冷凍機の加熱源として利用し、上記蒸気圧縮式冷凍機の冷房運転時の性能を改善するようにしてなる冷凍装置において、上記蒸気圧縮式冷凍機の冷凍回路に冷媒の流れる方向を切り換える四路切換弁を設け、暖房運転時には、該蒸気圧縮式冷凍機側の四路切換弁を切換えることにより、利用側熱交換器に供給後の上記蒸気圧縮式冷凍機の冷媒を上記吸収式冷凍機側蒸発器および上記冷媒熱回収用熱交換器に冷房運転時とは逆の方向に流入させて、上記吸収式冷凍機側の吸収液と熱交換させて、可及的に昇温するようにした以下の各実施の形態の基本となる本願発明の実施の形態1に係る冷凍装置の構成を示している。
<システム構成>
(1) 冷房運転時を中心として
先ず、この実施の形態における蒸気圧縮式冷凍機Xは、冷媒として自然冷媒である二酸化炭素(CO2)が採用されており、同冷媒を圧縮する圧縮機1、四路切換弁9、暖房時の膨張弁2b、冷房時の逆止弁(暖房時のバイパス弁)2c、冷房時の膨張弁2a,2a、暖房時の逆止弁(冷房時のバイパス弁)2d,2d、利用側熱交換器(室内機)3,3、アキュムレータ4等を、図示のようにヒートポンプ作動可能に冷媒配管5a,5bで接続して冷凍回路を構成しており、上記四路切換弁9を切り換えて同冷凍回路中を流れる冷媒の方向を逆にすることにより、冷房または暖房運転を行えるようにしている。すなわち、上記利用側熱交換器3,3は冷房運転時には上記二酸化炭素冷媒(CO2)を膨張し温度を低下させて室内の冷房を行う蒸発器としての作用を果す一方、暖房運転時には上記二酸化炭素冷媒(CO2)の圧縮熱を放熱して室内の暖房を行う熱交換器としての作用を果たすようになっている。
一方、吸収式冷凍機Yは、例えば臭化リチウム(LiBr)を吸収液、水(H2O)を冷媒とし、吸収液(LiBr)への冷媒(H2O)の吸収および放出作用を利用して必要な冷凍能力を発揮するようになっている。そして、この実施の形態の場合、外部熱源による加熱用熱交換器(温水コイル等)を備えることなく、吸収器13で冷媒を吸収して吸収剤の濃度が低下した吸収希溶液中から冷媒蒸気を分離して吸収剤の濃度が高い吸収濃溶液を得る気液分離器構造の発生器11と、冷却ファン12aを備え、上記発生器11中において吸収希溶液から分離した冷媒蒸気を導入し、外部空気により冷却することによって凝縮液化させる空冷凝縮器12と、1つの密閉容器19内に相互に隣接して配置されていて、上記空冷凝縮器12によって液化された冷媒液を導入して低圧下で蒸発(気化)させる蒸発器14および上記蒸発器14で発生した冷媒蒸気を吸収させる吸収器13と、上記発生器11で濃縮された吸収濃溶液を吸収器13を出た希溶液とを混合し溶液ポンプ17により冷却ファン15aを備えた空冷冷却器15を介して、過冷却した後に吸収器13に導入するが、、溶液ポンプ17から吐出される吸収希溶液の一部(濃溶液と希溶液の混合液の大部分)を上記空冷冷却器15と、上記発生器11からの高温の吸収濃溶液と上記吸収器13からの低温の吸収希溶液とを相互に熱交換させて吸収希溶液の温度を上げる溶液熱交換器16と、上記吸収器13で冷媒蒸気を吸収して吸収剤の濃度が低下した吸収希溶液を濃縮するために再び上記発生器11に供給するとともに上記空冷冷却器15を介して過冷却した上で上記吸収器13に供給する溶液ポンプ17とを備え、これらの各々を図示のように冷媒配管21および溶液配管23〜27によってヒートポンプ作動可能に接続して構成されている。
すなわち、この実施の形態の場合、上記のように吸収器13に入る吸収溶液を冷却ファン15aを備えた空冷冷却器15によって十分に過冷却(溶液配管25を介して循環)し、同過冷却された吸収溶液に対し、上記蒸発器14と並設された吸収器13内で上記蒸発器14で蒸発させた冷媒蒸気を吸収させるようになっており、冷媒蒸気吸収時に発生する吸収熱は当該空冷冷却器15により過冷却された吸収溶液の顕熱で取り去り、吸収溶液は空冷冷却器15で間接的に冷却される溶液分離冷却(間接空冷)方式が採用されている。
このように、吸収器13に流入させる吸収溶液を過冷却する空冷冷却器(吸収液過冷却器)15を設け、吸収器13では流入した吸収溶液の顕熱で蒸発器14からの冷媒蒸気を吸収する溶液分離冷却方式を採用した吸収式冷凍機の場合、溶液の顕熱で吸収熱を取り去る方式のため、発生器11への希溶液供給量を増加させても、性能の低下がほとんど生じない。したがって、発生器11への吸収希溶液供給量を増大させることができる。
また吸収器13部分において直接流入溶液を冷却して冷媒蒸気を吸収させる直接冷却方式に比較して、吸収器13のコンパクト化を図ることができる。
なお、図1では詳細な構造は示していないが、上記蒸発器14、吸収器13の各々上部には、例えば冷媒、吸収溶液をそれぞれ均等に分配するための冷媒液散布トレイ、吸収溶液散布トレイを各々設けている。また上記蒸発器14の熱交換器7は例えば蒸気圧縮式冷凍機X側冷凍回路の圧縮機吐出側冷媒配管(冷房運転時)5aの一部をなすように構成されており、その内部は圧縮機1から吐出された高温・高圧の圧縮冷媒(CO2ガス冷媒)を流す被冷却体通路となっている。
そして、同熱交換器7の表面(伝熱面)に冷媒を例えば液膜状態で流下させて蒸発させることにより内部の圧縮冷媒を効率良く冷却するようになっている。また上記吸収器15の熱交換器18は、例えばコルゲート構造に折り曲げて並設したプレートの両面を溶液が液膜状態で垂直に流下することで、冷媒蒸気の吸収をより効果的に促進させるような構造になっている。
また、上記蒸発器14は、例えば冷媒液が一過性で上記熱交換器7の伝熱面を流れ落ちるようになっており、底部まで流れ落ちた未蒸発の冷媒液は上記吸収器13底部の液留り部19aへ移動し、同液留り部19a部分で再び吸収溶液に吸収されるようになっている。そのため、吸収効率が向上する。
また、符号10は、一例として、その内側熱交換器部6が、上記蒸発器14の熱交換器7の上流側で上記蒸発器14の熱交換器7と同じように、上記蒸気圧縮式冷凍機Xの圧縮機吐出側冷媒配管5aの一部を形成しているとともに、同熱交換器部6の外周に希溶液通路8が設けられた2重構造の熱交換器に構成され、上記蒸気圧縮式冷凍機Xの圧縮機1で圧縮された圧縮冷媒の熱を上記吸収式冷凍機Yの吸収器13の出口から溶液配管24,溶液ポンプ17,溶液配管26,26B(分岐管)を介して上記発生器11側に供給される吸収希溶液により熱回収するための熱回収用熱交換器であり、同冷媒熱回収用熱交換器10の上記希溶液通路8内に、上記吸収器13で冷媒蒸気を吸収して濃度および温度が低下した吸収希溶液の一部、例えば溶液熱交換器16を通す前の吸収器13出口側からの温度の低い吸収希溶液を溶液配管24,26,26Bを介して導入して、高温・高圧の圧縮冷媒の下流側から上流側方向の全体に流し、上記圧縮機1から吐出された高温・高圧の圧縮冷媒の熱を有効に回収させた上で、溶液配管27を介して上記吸収式冷凍機Yの発生器11内に液体で流入混合させることによって、発生器11内で溶液のフラッシングを生じさせることによって効率良く冷媒蒸気を発生させる一方、さらに蒸気圧縮式冷凍機X側の圧縮冷媒を効率良く冷却することによって、以降の蒸発器14の過冷却熱交換器7部分での冷却又は過冷却性能をアップさせ、従来の蒸気圧縮式冷凍機側の放熱用熱交換器(特許文献3の第3の熱源用熱交換器35に相当)を不要にしている。
この冷媒熱回収用熱交換器10は、発生器11および吸収式冷凍機Yの外部(例えば吸収式冷凍機Yと蒸気圧縮式冷凍機Xとの間)にあって別体に構成されている。
一方、この実施の形態の場合、上記溶液熱交換器16を通して熱交換され、昇温された吸収希溶液は、そのまま下流側溶液配管26Aを介して発生器11内に流入される。
そして、これによって、上記吸収器13の出口から発生器11側に供給される希溶液は低温から高温まで効果的に熱が回収される。
すでに述べたように、蒸気圧縮式冷凍機Xと吸収式冷凍機Yを組み合わせた冷凍装置の冷凍能力を向上させるためには、蒸気圧縮式冷凍機Yおよび吸収式冷凍機X相互の排熱を如何に有効に活用するかが課題となる。
また、同時に相互の装置の構成を簡素化して、低コスト化を図ることも重要であり、蒸気圧縮式冷凍機X側圧縮冷媒の熱を放熱する従来の放熱用熱交換器を不要にすることが望まれる。
また、一般に排熱で駆動される排熱利用型の吸収式冷凍機Xにおいては、コストの面から単効用冷凍サイクルで使用されるが、排熱により冷媒蒸気を発生させる発生器を如何に低コスト化するかが問題となる。
すなわち、排熱利用型吸収式冷凍機は、より安価な機器でないと回収熱量との関係で成立が困難であり、発生器の大幅な低コスト化が排熱駆動型の吸収式冷凍装置には求められている。
これに対し、以上のような構成の場合、冷媒蒸気発生手段である発生器11の外部に位置して、発生器11とは全く別体に構成された上記冷媒熱回収用熱交換器10部分で、吸収器13の出口から発生器11側に供給される低温の吸収希溶液により、蒸気圧縮式冷凍機X側の圧縮機1から吐出された高温・高圧の圧縮冷媒が効率良く冷却された後に、さらに吸収式冷凍機Yの蒸発器に供給されて冷却又は過冷却されるとともに、それに対応して同吸収希溶液が高温状態に加熱された後に、上記冷媒熱回収用熱交換器10の出口側溶液配管27を介して発生器11内の液中に貫流状態で供給され、外部熱源を用いることなく効果的にフラッシングして、冷媒蒸気と吸収濃溶液とに気液分離される。
したがって、同構成によると、定格冷房運転時における蒸気圧縮式冷凍機X側圧縮冷媒の熱(放熱する熱量の全て)を吸収式冷凍機Y側の駆動熱源として有効に活用することができるようになり、その分吸収式冷凍機Yの冷凍能力を増大させることができる。
また、外部排熱源がないような場合にも、安定した吸収冷凍作用を確保することができる。
特に上記蒸気圧縮式冷凍機X側の圧縮冷媒は、上記のように吸収希溶液側に熱が奪われることにより冷却されて温度が低下した後に、さらに吸収式冷凍機Y側の蒸発器14に供給されて冷却もしくは過冷却される。したがってより有効に圧縮冷媒が過冷却され、利用側熱交換器3に供給される液冷媒の温度を有効に低下させることができる。その結果、利用側熱交換器の冷房性能が十分に向上する。
それらの結果、従来のような蒸気圧縮式冷凍機X側の圧縮冷媒の冷媒熱放熱用熱交換器(特許文献3の第3の熱源側熱交換器)が不要になるとともに、吸収式冷凍機Y側従来タイプの熱交換器を内蔵し、冷媒蒸気を発生させるような発生器が不用で、単に発生器11は気液を分離させるだけのシンプルかつ低コストな構成のもので足りるようになる。
さらに、上記のように、上記蒸気圧縮式冷凍機Xの膨張前の冷媒を上記吸収式冷凍機Yの蒸発器14によって冷却もしくは過冷却するようにすると、従来のように吸収式冷凍機Yの蒸発器14に冷却水を循環させて過冷却する場合に比較して、該蒸発器14における冷媒の蒸発温度を高くすることができる。
その結果、吸収式冷凍機Yを可及的に小型化することができ、また冷熱を有効に利用することができるようになる。
(2) 暖房運転時の場合
一方、暖房運転時には、上記蒸気圧縮式冷凍機Xの上記四路切換弁9が図示実線の状態から、図示破線の状態に切り換えられる。
その結果、圧縮機1で圧縮された高温・高圧の圧縮冷媒(CO2ガス冷媒)は、同四路切換弁9の破線側ポートを介して利用側熱交換器(凝縮器)3,3に供給されて暖房が行われた後、バイパス弁2d,2d、暖房時の膨張弁2bを経て吸収式冷凍機Y側蒸発器14、蒸気圧縮式冷凍機Xと吸収式冷凍機Yとの間(外部)に設けられている冷媒熱回収用熱交換器10に供給され、蒸発器14の熱交換器7部分、冷媒熱回収用熱交換器10の熱交換器部6での吸収希溶液との間で、それぞれ吸熱作用が行われ、低温・低圧のガス冷媒となった後に、四路切換弁9、アキュムレータ4を経て圧縮機1に戻される。
すなわち、暖房時には、上述のように吸収式冷凍機Yの蒸発器14の熱交換器7、吸収式冷凍機Y外部の冷媒熱回収用熱交換器10の熱交換器6に上記冷房時とは逆の方向に蒸気圧縮式冷凍機X側の低温・低圧の膨張冷媒が流され、蒸発器14および冷媒熱回収用熱交換器10部分で吸収式冷凍機Y側の温熱を吸収して昇温せしめられた後に圧縮機1内に吸引される。その結果、利用側熱交換器3,3に供給される圧縮冷媒の温度が高くなり、暖房効率が向上する。
この場合、例えば吸収式冷凍機Y側の温熱は、次のようにして得るようにしている。
すなわち、この実施の形態の場合、上述のように、冷房運転時には、上記吸収器13に入る吸収溶液を冷却ファン15aを備えた空冷冷却器15によって外部空気の熱を利用して過冷却(溶液配管25を介して循環)し、同過冷却された吸収溶液に対し、上記蒸発器14と並設された吸収器13内で冷媒蒸気を吸収させるようになっており、冷媒蒸気吸収時に発生する吸収熱は当該空冷冷却器15により過冷却された吸収溶液の顕熱で取り去り、吸収溶液は空冷冷却器15で間接的に冷却される溶液分離冷却(間接空冷)方式が採用されている。
したがって、暖房運転時においても、該空冷冷却器15を駆動することによって外部空気の熱を取り込み、上記溶液熱交換器16の手前側から上記冷媒熱回収用熱交換器10側に供給される吸収液を同空冷冷却器15によって取り込んだ外部空気の熱によって加熱昇温し、それによって蒸気圧縮式冷凍機X側の圧縮機1側に戻る膨張冷媒を昇温せしめる。
この結果、暖房運転時にも吸収式冷凍機Yを有効に利用することが可能になり、上述のように蒸気圧縮式冷凍機Xの暖房性能が向上する。
(実施の形態2)
次に図2は、本願発明の実施の形態2に係る冷凍装置の構成を示している。
この実施の形態は、上記実施の形態1のものにおいて、吸収式冷凍機Yは、吸収器13の出口24から溶液ポンプ17を経て溶液熱交換器16に至る溶液配管(溶液供給路)26の溶液熱交換器16の手前側より冷媒熱回収用熱交換器10側に分岐した溶液配管(溶液分流回路)26Bと吸収器13の空冷冷却器15を介して吸収液が供給される入口側の配管(吸収液供給回路下流の吸収液入口側配管)とを連通配管(連通路)25Aで連結し、同連通配管25Aの途中に第1の電磁弁V1を設けると共に、上記溶液配管26Bの溶液配管26との分岐部から上記連通配管25Aとの連結部までの途中に第2の電磁弁V2を設けている。
そして、定格冷房運転時には、上記吸収器13入口側の第1の電磁弁V1を閉、第2の電磁弁V2を開として上述の実施の形態1の場合と同様の冷房運転を行う一方、例えば部分負荷時や蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が低下して吸収式冷凍機Yを駆動するのに加熱源としての熱量が不十分な場合、また吸収式冷凍機の溶液との熱交換量が少なくて上記圧縮式冷凍機の冷媒温度が低下しない場合、すなわち吸収式冷凍機Yの蒸発器14を出た蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が設定温度以上の場合、そのまま(図示実線の状態のまま)上記四路切換弁9を切り換えることなく、上記吸収器13の入口側配管と上記溶液配管26Bとを連通させる連通管25Aの第1の電磁弁V1を開とする一方、他方溶液配管26B上流側の第2の電磁弁V2を閉にすることにより、上記吸収式冷凍機Yの吸収器13の出口24からの吸収液を空冷冷却器5により外部空気と熱交換(冷却)させた後、連通配管25A、冷媒配管26Bを介して蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒を冷却する冷媒熱回収用熱交換器10内に流入させて蒸気圧縮式冷凍機X側の冷媒と熱交換(冷却)させて蒸気圧縮式冷凍機X側圧縮冷媒の温度を低下させるようにしている。
また、暖房運転時には、図示破線のように上記四路切換弁9を切り換えて冷媒の流れる方向を逆にした上で、利用側熱交換器3に供給後、上記吸収器13の入口側配管と上記溶液配管26Bとを連通させる連通管25Aの第1の電磁弁V1を開とする一方、他方溶液配管26B上流側の第2の電磁弁V2を閉にすることにより、上記吸収式冷凍機Yの吸収器13の出口24からの吸収液を空冷冷却器5により外部空気と熱交換(加熱)させた後、連通配管25A、冷媒配管26Bを介して蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒を冷却する冷媒熱回収用熱交換器10内に流入させて蒸気圧縮式冷凍機X側の低温・低圧の膨張冷媒と熱交換(加熱)させて同膨張冷媒の温度を上昇させるようにしている。
このような構成によれば、定格冷房運転時もちろん、部分負荷時や蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が低下して吸収式冷凍機Yを駆動するのに加熱源として不十分な場合、また吸収式冷凍機Yの溶液との熱交換が少なく上記蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が低下しない場合、すなわち吸収式冷凍機Yの蒸発器14を出た蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が設定温度以上の場合、および暖房運転時の何れの場合にも蒸気圧縮式冷凍機Xおよび吸収式冷凍機Yを有効に活用して蒸気圧縮式冷凍機Xの性能を向上させることができる。
(実施の形態3)
次に図3は、本願発明の実施の形態3に係る冷凍装置の構成を示している。
この実施の形態は、上記実施の形態1のものにおいて、空冷冷却器15を介して冷却された吸収液が供給される吸収器13の入口側配管と蒸発器14の空冷凝縮器12を介して冷媒液が供給される入口側配管とを吸収器13の入口側からの分岐配管25Bで相互に連結し、同分岐配管25Bの途中に電磁弁V3を設け、定格冷房運転時は当該電磁弁V3を閉として上述の実施の形態1のものと同様の冷房運転を行う。
また、部分負荷時や蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が低下して吸収式冷凍機Yを駆動するのに加熱源としての熱量が不十分な場合、また吸収式冷凍機の溶液との熱交換量が少なく上記蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が低下しないような場合、すなわち吸収式冷凍機Yの蒸発器14を出た蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が設定温度以上の場合、蒸気圧縮式冷凍機側四路切換弁9を図示破線の状態のまま切り換えることなく上記電磁弁V3を開として、上記吸収式冷凍機Yの吸収器13の出口側吸収液を空冷冷却器15により外気と熱交換させることによって冷却した上で空冷凝縮器12からの冷媒液とともに蒸発器14内の共通の散布トレイ14C上に流入させて、その熱交換器7内を流れる蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度を低下させる。
他方、暖房運転時には、蒸気圧縮式冷凍機側四路切換弁9を図示破線の状態から実線の状態に切り換えて蒸気圧縮式冷凍機X側の冷凍回路の冷媒を上記冷房時とは逆の方向に流す一方、上記電磁弁V3を開として、上記吸収式冷凍機Yの吸収器13の出口側吸収液を空冷冷却器15により外気と熱交換させて昇温させた吸収溶液を空冷凝縮器12側からの冷媒液とともに蒸発器14内の散布トレイ14C上に流入させて、その熱交換器7内を流れる蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度を上昇させるようにしている。
このような構成によれば、定格冷房運転時はもちろん、部分負荷時や蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が低下して吸収式冷凍機Yを駆動するのに加熱源として不十分な場合、また吸収式冷凍機Yの溶液との熱交換量が少なく上記蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が低下しないような場合、すなわち吸収式冷凍機Yの蒸発器14を出た蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が設定温度以上の場合、および暖房運転時の何れの場合にも蒸気圧縮式冷凍機Xおよび吸収式冷凍機Y相互の排熱を有効に活用して蒸気圧縮式冷凍機Xの性能を向上させることができる。
(実施の形態4)
次に図4は、本願発明の実施の形態4に係る冷凍装置の構成を示している。
この実施の形態は、上記実施の形態1のものにおいて、吸収式冷凍機Yの空冷冷却器15を介して冷却された吸収液が供給される吸収器13入口側の配管を蒸発器14側に分岐し、該分岐管25Cの先端を蒸発器14の冷媒液用の散布トレイ14aとは別に設けた吸収液用の散布トレイ14b上に独立して開口させることによって蒸発器14内に空冷冷却器15を介して冷却された吸収液を流入させることができるようにするとともに、当該分岐管25Cの途中に電磁弁V3を設ける。
そして、定格冷房運転時には同電磁弁V3を閉として上記実施の形態1のものと同様の冷房運転を行わせるが、部分負荷時や蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が低下して吸収式冷凍機Yを駆動する加熱源としての熱量が不十分な場合、また吸収式冷凍機Yの溶液との熱交換量が少なく上記蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が低下しないような場合、すなわち吸収式冷凍機Yの蒸発器14を出た蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が設定温度以上の場合には、蒸気圧縮式冷凍機側四路切換弁9を図示破線の状態のまま切り換えることなく、上記電磁弁V3を開として、上記吸収式冷凍機Yの吸収器13の出口側吸収液を空冷冷却器15により外気と熱交換させることにより冷却し、空冷凝縮器12からの冷媒液と独立して蒸発器14内に流入させて、その熱交換器7内を流れる蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度を低下させるようにしている。
また暖房運転時には、蒸気圧縮式冷凍機Xの四路切換弁9を図示破線の状態から実線の状態に切り換えた上で、上記電磁弁V3を開とし、吸収式冷凍機Yの吸収器13の出口側吸収溶液を上記空冷冷却器15に外部空気の熱により加熱した上で、吸収式冷凍機Yの蒸発器14に流入させて低温・低圧の膨張冷媒と熱交換することにより、蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度を上昇させるようにしたことを特徴としている。
このような構成によれば、定格冷房運転時はもちろん、部分負荷時や蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が低下して吸収式冷凍機Yを駆動するのに加熱源として不十分な場合、また吸収式冷凍機Yの溶液との熱交換量が少なく上記蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が低下しないような場合、および暖房運転時の何れの場合にも蒸気圧縮式冷凍機Xおよび吸収式冷凍機Y相互の排熱を有効に活用して蒸気圧縮式冷凍機Xの性能を向上させることができる。
(実施の形態5)
次に図5は、本願発明の実施の形態5に係る冷凍装置の構成を示している。
この実施の形態は、吸収器13の出口24から溶液ポンプ17を経て溶液熱交換器16に至る溶液配管26の溶液熱交換器16の手前側より分岐した溶液配管(分岐管)26Bと吸収器13の空冷冷却器15を介して吸収液が供給される吸収器13入口側の配管とを連通配管25Aで連結し、同連通配管25Aの途中に第1の電磁弁V1を設けると共に、溶液配管26Bの溶液配管26との分岐部から上記連通配管25Aとの連結部までの途中に第2の電磁弁V2を設けてなる上記実施の形態2の冷凍装置に対して、空冷冷却器15を介して吸収液が供給される吸収器13の入口側配管と蒸発器14の空冷凝縮器12を介して冷媒液が供給される入口側配管とを分岐配管25Bで連結し、該連結配管25Bの途中に第3の電磁弁V3を設けた上記実施の形態3の構成を組み合わせる一方、さらに上記吸収器13の出口24から溶液ポンプ17を経て溶液熱交換器16に至る溶液配管26の溶液ポンプ17直下流側の配管の途中に第4の電磁弁V4、吸収器13の吸収器13に入る吸収液入口の溶液配管の途中に第5の電磁弁V5を設ける。
そして、定格冷房運転時(図示破線の状態)には、上記第1の電磁弁V1を閉、第2の電磁弁V2を開、第3の電磁弁V3を閉、第4,第5の電磁弁V4,V5を開として実施の形態2,3のものと同様の冷房運転を行うが、他方部分負荷時や蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が低下して吸収式冷凍機Yを駆動するのに加熱源としての熱量が不十分な場合、また吸収式冷凍機Yの溶液との熱交換が少なく上記蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が低下しない場合、すなわち吸収式冷凍機Yの蒸発器14を出た蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度が設定温度以上の場合には、蒸気圧縮式冷凍機側四路切換弁9を図示破線の状態のまま切り換えることなく、上記第1の電磁弁V1、第3の電磁弁V3を開、第2,第4,第5の電磁弁V2,V4,V5を閉として、上記吸収式冷凍機Yの吸収器13の出口側吸収液を空冷冷却器15により外気と熱交換させることによって冷却した後、空冷凝縮器12からの冷媒液とともに蒸発器14内に流入させて、その熱交換器7内を流れる蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度を低下させるようにしている。
また、暖房運転時には、上記蒸気圧縮式冷凍機X側四路切換弁9を図示破線の状態から実線の状態に切り換えて冷媒を上記冷房時と逆の方向に流す一方、上記第1,第3の電磁弁V1,V3を開、第2,第4,第5の電磁弁V2,V4,V5を閉として上記吸収式冷凍機Yの吸収器13の出口側吸収液の全てを空冷冷却器15により外気と熱交換させて昇温した吸収溶液を外気と熱交換させることにより加熱し、空冷凝縮器12からの冷媒液とともに蒸発器14内に流入させて、その熱交換器7内を流れる蒸気圧縮式冷凍機Xの冷媒温度を上昇させるようにしたことを特徴としている。
このような構成によれば、冷房運転時および暖房運転時の何れの場合にも蒸気圧縮式冷凍機Xおよび吸収式冷凍機Y相互の排熱を有効に活用して蒸気圧縮式冷凍機Xの性能を向上させることができる。
(実施の形態6)
次に図6は、本願発明の実施の形態6に係る冷凍装置の構成を示している。
この実施の形態は、上記実施の形態5のものにおいて、蒸気圧縮式冷凍機Xを複数台X1,X2分設け、それらの各々に同様の冷媒熱回収用熱交換器10,10・・を設けた上で、各実施の形態同様の一台の吸収式冷凍機Yに共通に組み合わせて構成したことを特徴とするものである。
このような構成によると、上述の実施の形態5の構成による作用効果が得られることはもちろん、蒸気圧縮式冷凍機X側圧縮冷媒の排熱量が大きく増大するので、それに応じて吸収式冷凍機Y側の駆動能力も大きく増大させることができ、より性能が向上する。なお、これと同様の構成は、もちろん上記実施の形態1〜4のものにおいても、全く同様に採用することができる。
(実施の形態7)
次に図7は、本願発明の実施の形態7に係る冷凍装置の構成を示している。
この実施の形態は、上記実施の形態5のものにおいて、上述した吸収式冷凍機Yの発生器11内に外部熱源により加熱される吸収液加熱用の熱交換器30を設置し、小型発電機やGHP等外部熱源からの温水を流して吸収希溶液を加熱するようにし、さらに冷媒蒸気の発生効率、気液分離効率を向上させるようにしたことを特徴とするものである。
このような構成によると、上述の実施の形態5の構成による作用効果が得られることはもちろん、吸収式冷凍機Y側発生器11の加熱熱量が大きく増大するので、それに応じて吸収式冷凍機Y側の駆動能力も大きく増大させることができ、より性能が向上する。
なお、これと同様の構成は、もちろん上記実施の形態1〜4のものにおいても、全く同様に採用することができる。
1は圧縮機、2aは冷房時の膨張弁、2bは暖房時の膨張弁、3は利用側熱交換器、4はアキュムレータ、5a,5bは蒸気圧縮式冷凍機側冷凍回路の冷媒配管、6は熱回収用熱交換器の熱交換部、7は吸収式冷凍機の蒸発器の熱交換器部、9は四路切換え弁、10は熱回収用熱交換器、11は発生器、12は空冷凝縮器、13は吸収器、14は蒸発器、15は空冷冷却器、17は溶液ポンプ、21は蒸気圧縮式冷凍機側冷凍回路の冷媒配管、23〜27は同回路の溶液配管、Xは蒸気圧縮式冷凍機、Yは吸収式冷凍機である。

Claims (10)

  1. 蒸気圧縮式冷凍機と該蒸気圧縮式冷凍機の排熱で駆動される吸収式冷凍機とを組み合わせ、冷房運転時における上記蒸気圧縮式冷凍機の圧縮冷媒を上記吸収式冷凍機の蒸発器で冷却又は過冷却する冷媒冷却方式を採用するとともに、上記蒸気圧縮式冷凍機の圧縮冷媒の熱を上記吸収式冷凍機の吸収希溶液と熱交換させることによって回収する冷媒熱回収用熱交換器を設け、該冷媒熱回収用熱交換器で圧縮冷媒の熱を回収して昇温された吸収希溶液を上記吸収式冷凍機の発生器に流入させて冷媒を蒸発させることにより、上記蒸気圧縮式冷凍機の定格冷房運転時における冷媒の熱量の全てを上記吸収式冷凍機の加熱源として利用し、上記蒸気圧縮式冷凍機の冷房運転時の性能を改善するとともに、上記蒸気圧縮式冷凍機の冷凍回路に四路切換弁を設け、暖房運転時には、該蒸気圧縮式冷凍機側の四路切換弁を切換えることにより、上記蒸気圧縮式冷凍機の冷媒を利用側熱交換器に供給後、上記吸収式冷凍機側蒸発器および上記冷媒熱回収用熱交換器に冷房運転時とは逆の方向に流入させて、上記吸収式冷凍機側の吸収液と熱交換させるようにしてなる冷凍装置であって、上記吸収器に流入させる吸収器出口側からの吸収液を冷却する空冷冷却器を設け、冷房運転時には吸収器出口側の吸収液を同空冷冷却器を介して冷却した上で吸収器に流入させ、同流入した吸収液の顕熱で吸収熱を除去することにより冷媒蒸気を吸収させるようにする一方、暖房運転時には、上記吸収器出口側の吸収液を上記空冷冷却器を介して外部空気の熱を吸収させた上で冷媒熱回収用熱交換器に供給することにより、上記蒸気圧縮式冷凍機側の冷媒と吸収式冷凍機側の吸収液とを熱交換させるようにしたことを特徴とする冷凍装
  2. 吸収式冷凍機の吸収器出口から溶液ポンプを介して発生器に供給される吸収希溶液と発生器から吸収器に戻される吸収濃溶液とを熱交換させることによって吸収濃溶液側の熱を吸収希溶液側に回収させる溶液熱交換器と、該溶液熱交換器に入る前の吸収希溶液を分流して冷媒熱回収用熱交換器に供給する溶液分流回路と、該溶液分流回路と空冷冷却器を介した吸収器入口側の吸収液供給回路とを電磁弁を介して連通させる溶液連通路とを設け、冷房運転時には上記溶液連通路の連通状態を閉じて空冷冷却器を介して冷却した吸収器入口側の吸収液を吸収器にのみ供給する一方、吸収式冷凍機の蒸発器を出た蒸気圧縮式冷凍機の冷媒温度が設定温度以上の場合、または暖房運転時には、上記溶液連通路を開いて上記空冷冷却器により冷却された上記吸収器出口側の吸収液を上記溶液分流回路を介して上記冷媒熱回収用熱交換器に供給するようにしたことを特徴とする請求項記載の冷凍装置。
  3. 空冷冷却器を介して吸収器に吸収液を供給する吸収液供給回路の吸収液入口と蒸発器の冷媒液入口とを電磁弁を介して連通させる分岐通路を設け、定格冷房運転時には同分岐通路を閉じる一方、吸収式冷凍機の蒸発器を出た蒸気圧縮式冷凍機の冷媒温度が設定温度以上の場合、または暖房運転時には、同分岐通路を開いて上記空冷冷却器により外気と熱交換した吸収器出口からの吸収液を蒸発器に流入させて蒸気圧縮式冷凍機の冷媒と熱交換させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の冷凍装置。
  4. 空冷冷却器を介して吸収器に吸収液を供給する吸収液供給回路の吸収器入口側部分を電磁弁を介して蒸発器内に分岐し、定格冷房運転時には同分岐通路を閉じる一方、吸収式冷凍機の蒸発器を出た蒸気圧縮式冷凍機の冷媒温度が設定温度以上の場合、または暖房運転時には、同分岐通路を開いて上記空冷冷却器により外気と熱交換した吸収器出口からの吸収液を蒸発器に流入させて蒸気圧縮式冷凍機の冷媒と熱交換させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の冷凍装置。
  5. 吸収器出口から溶液ポンプを介して溶液熱交換器に吸収溶液を供給する溶液供給路に電磁弁を設け、冷房運転時には同電磁弁を開いて溶液熱交換器に吸収器出口側の吸収液を供給する一方、吸収式冷凍機の蒸発器を出た蒸気圧縮式冷凍機の冷媒温度が設定温度以上の場合、または暖房運転時には、同電磁弁を閉じて上記吸収器出口からの吸収液の全てを空冷冷却器により外気と熱交換した上で蒸発器又は及び熱回収用熱交換器に流入させることにより蒸気圧縮式冷凍機の冷媒と熱交換させるようにしたことを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の冷凍装置。
  6. 蒸発器には、冷媒液用の散布器と吸収液用の散布器が別々に設けられていることを特徴とする請求項3,4又は5記載の冷凍装置。
  7. 蒸発器には、冷媒液用の散布器と吸収液用の散布器とを兼用した1つの散布器が設けられていることを特徴とする請求項3,4又は5記載の冷凍装置。
  8. 蒸発器は、冷媒液が蒸発器の伝熱面を一過性で流れるようになっており、同伝熱面を流下した未蒸発の冷媒液は、吸収器側に移動して吸収器を流下した吸収溶液に吸収されるようになっていることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6又は7記載の冷凍装置。
  9. 複数台の蒸気圧縮式冷凍機と、それら各蒸気圧縮式冷凍機に対応した冷媒熱回収用熱交換器とを備え、各蒸気圧縮式冷凍機の圧縮冷媒の熱を回収して対応する吸収式冷凍機駆動用の熱源として利用するようにしたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8記載の冷凍装置。
  10. 発生器には外部熱源からの排熱が導入されるようになっており、該排熱によっても加熱されて冷媒蒸気を発生するようになっていることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8又9は記載の冷凍装置。
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