JP5306879B2 - 補強材付き配線基板 - Google Patents

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Description

本発明は、配線基板の反りを防止するための補強材を備えた補強材付き配線基板に関するものである。
コンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される半導体集積回路素子(ICチップ)は、近年ますます高速化、高機能化しており、これに付随して端子数が増え、端子間ピッチも狭くなる傾向にある。一般的にICチップの底面には多数の端子が密集してアレイ状に配置されており、このような端子群はマザーボード側の端子群に対してフリップチップの形態で接続される。ただし、ICチップ側の端子群とマザーボード側の端子群とでは端子間ピッチに大きな差があることから、ICチップをマザーボード上に直接的に接続することは困難である。そのため、通常はICチップをICチップ搭載用配線基板上に搭載してなる半導体パッケージを作製し、その半導体パッケージをマザーボード上に搭載するという手法が採用される(例えば特許文献1参照)。
なお、ICチップは、一般に熱膨張係数が2.0ppm/℃〜5.0ppm/℃程度の半導体材料(例えばシリコン等)を用いて形成される。一方、ICチップ搭載用配線基板は、それよりも熱膨張係数がかなり大きい樹脂材料等を用いて形成された樹脂配線基板であることが多い。この樹脂配線基板の一例としては、コア基板の表面及び裏面にビルドアップ層を形成したものが実用化されている。この樹脂配線基板においては、コア基板として、例えば、補強繊維に樹脂を含浸させた樹脂基板(ガラスエポキシ基板など)が用いられている。そして、そのコア基板の剛性を利用して、コア基板の表面及び裏面に樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層することにより、ビルドアップ層が形成される。つまり、この樹脂配線基板において、コア基板は、補強の役割を果たしており、ビルドアップ層と比べて非常に厚く形成されている。また、コア基板には、表面及び裏面に形成されたビルドアップ層間の導通を図るための配線(具体的には、スルーホール導体など)が貫通形成されている。
ところで近年では、半導体集積回路素子の高速化に伴い、使用される信号周波数が高周波帯域となってきている。この場合、コア基板を貫通する配線が大きなインダクタンスとして寄与し、高周波信号の伝送ロスや回路誤動作の発生につながり、高速化の妨げとなってしまう。この問題を解決するために、樹脂配線基板を、コア基板を有さない基板とすることが提案されている(例えば特許文献2参照)。この基板は、比較的に厚いコア基板を省略することにより全体の配線長を短くしたものであるため、高周波信号の伝送ロスが低減され、半導体集積回路素子を高速で動作させることが可能となる。
しかし、コア基板を省略すると樹脂配線基板が薄肉化されるため、樹脂配線基板の剛性の低下が避けられなくなる。この場合、フリップチップ接続に用いたはんだが冷却される際に、チップ材料と基板材料との熱膨張係数差に起因する熱応力の影響を受けて、樹脂配線基板がチップ搭載面側に反りやすくなる。その結果、チップ接合部分にクラックが起こり、オープン不良などが生じやすくなる。つまり、上記のようなICチップを用いて半導体パッケージを構成した場合、高い歩留まりや信頼性を実現できないという問題が生じる。
上記の問題を解決するために、樹脂配線基板101の片面(ICチップ106の搭載面102またはその裏面103)に、環状のスティフナ105(補強材)を貼付した半導体パッケージ100が提案されている(図18参照)。前記スティフナ105は、樹脂配線基板101よりも剛性の高い材料(例えば金属材料)を用いて形成される。
特開2002−26500号公報(図1など) 特開2002−26171号公報(図5など)
ところが、従来の半導体パッケージ100では、その外形が配線基板101と同じ寸法、あるいは小さい寸法のスティフナ105が用いられている。ここで、配線基板101と同じ外形寸法のスティフナ105を用いた場合において、そのスティフナ105の接着位置にズレが生じると、スティフナ105の外周から配線基板101の外縁部が露出してしまう(図19参照)。また、配線基板101よりも外形寸法が小さいスティフナを用いた場合でも、スティフナ105の外周から配線基板101の外縁部が露出してしまう(図20参照)。この場合、配線基板101同士の接触や他の部品との接触によって配線基板101の外縁部が破損するおそれがある。特に、コア基板を有さないコアレス配線基板では、基板強度が弱いため破損し易くなる。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、破損し易い配線基板の外縁部を確実に保護することができる補強材付き配線基板を提供することにある。
そして上記課題を解決するための手段としては、チップ部品を接続可能な複数の主面側接続端子が配設された基板主面及び母基板との電気的な接続を図るために用いる複数の裏面側接続端子が配設された基板裏面を有し、複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を積層してなる構造を有する配線基板と、前記基板主面側に接合され、前記複数の主面側接続端子を露出させる開口部が貫通形成されている補強材とを備える補強材付き配線基板であって、前記補強材の外形寸法は前記配線基板の外形寸法よりも大きく設定され、前記補強材の外縁部が前記配線基板の外縁部よりも基板平面方向へ基板全周にわたって張り出した状態で、前記補強材が前記配線基板に接合されているとともに、前記補強材の外縁部には、前記配線基板の側面を覆うべく基板厚さ方向に屈曲した被覆部が設けられ、前記被覆部は、前記基板裏面が向く方向へ張り出しているとともに、その張出量は、前記基板裏面を基準とした前記複数の裏面側接続端子上の裏面側はんだバンプの突出量よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする補強材付き配線基板がある。
上記手段に記載の発明によると、配線基板の剛性を確保するために基板主面側及び基板裏面側のいずれかに補強材が接合される。本発明の補強材は、外形寸法が配線基板の外形寸法よりも大きく設定されており、補強材の外縁部が配線基板の外縁部よりも基板平面方向へ全体的に張り出した状態で配線基板に接合されている。このようにすると、相対的に配線基板の外縁部が補強材の外縁部よりも引っ込んだ状態となり、配線基板の外縁部に他部材等が接触しにくくなる。その結果、配線基板の外縁部を補強材で確実に保護することができ、配線基板の外縁部の破損を防止することができる。
前記補強材の外縁部には、前記配線基板の側面を覆うべく基板厚さ方向に屈曲した被覆部が設けられていることから、配線基板の外縁部の破損をより確実に防止することができる。また、補強材の表面積が増すため、放熱性も高めることができる。
前記配線基板としては、基板主面及び基板裏面を有し、複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を積層してなる構造を有するものが使用される。具体的には、前記基板主面上には、チップ部品を接続可能な複数の主面側接続端子が配設され、前記基板裏面上には、母基板との電気的な接続を図るために用いる複数の裏面側接続端子が配設される配線基板を挙げることができる。この配線基板において、前記基板主面側に接合される補強材には、前記複数の主面側接続端子を露出させる開口部が貫通形成されている。つまり、この補強材としては平面視で矩形枠状の部材が用いられる。この場合、配線基板の基板主面上において、チップ部品の周囲を囲むように矩形枠状の補強材が接合されるので、配線基板の強度を確実に高めることができる。また、前記配線基板において、前記基板裏面側に接合される補強材には、前記複数の裏面側接続端子を露出させる複数の孔部が貫通形成されている。この補強材としては平面視で矩形状の部材が用いられる。この場合、配線基板の基板裏面全体に補強材を接合することができ、配線基板の強度を確実に高めることができる。
また、前記被覆部は、前記基板裏面が向く方向へ張り出しているとともに、その張出量は、前記基板裏面を基準とした前記複数の裏面側接続端子上の裏面側はんだバンプの突出量よりも大きくなるように設定されている。このように、前記被覆部の張出量を裏面側接続端子上の裏面側はんだバンプの突出量よりも大きくなるように設定すれば、複数枚の補強材付き配線基板を積み重ねた場合、他方の配線基板に裏面側接続端子が接触しにくくなる。この結果、配線基板の取り扱い性が向上する。さらに、前記配線基板の側面を覆う被覆部は、当該側面にも接合されていることがより好ましい。このようにすると、補強材による補強強度を確実に高めることができる。
前記補強材の外縁部には、前記配線基板の外縁部に至らない大きさの位置決め構造部が形成されていてもよい。このように位置決め構造部を設けることにより、補強材付き配線基板の位置決めを容易に行うことができ、母基板との電気的な接続を迅速に行うことができる。なお、位置決め構造部の具体例としては、貫通孔、切欠部、凹部などの構造部を挙げることができる。
さらに、前記補強材の平面視での外形形状は、前記配線基板の平面視での外形形状よりも正方形に近いことが好ましい。このようにすると、補強材付き配線基板の搬送や収納を容易に行うことができるため、配線基板の取り扱い性を高めることができる。
また、前記補強材は、枠内面から枠外面にわたって延びるスリットを介して完全に分割された複数の分割片からなるものでもよい。このように補強材にスリットを入れることにより、補強材と配線基板との熱膨張係数差に起因して補強材に加わる熱応力を確実に緩和することができる。
前記配線基板において、前記複数の樹脂絶縁層には前記複数のビア導体が形成され、前記複数のビア導体は前記複数の樹脂絶縁層の各層において同一方向に拡径していることが好ましい。このようにすると、コア基板を含まないコアレス配線基板を確実に製造することができる。
前記樹脂絶縁層は、絶縁性、耐熱性、耐湿性等を考慮して適宜選択することができる。樹脂絶縁層を形成するための高分子材料の好適例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂等が挙げられる。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料、あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等を使用してもよい。
前記導体層、前記主面側接続端子、及び前記裏面側接続端子は主として銅からなり、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法などといった公知の手法によって形成される。具体的に言うと、例えば、銅箔のエッチング、無電解銅めっきあるいは電解銅めっきなどの手法が適用される。なお、スパッタやCVD等の手法により薄膜を形成した後にエッチングを行うことで導体層や各接続端子を形成したり、導電性ペースト等の印刷により導体層や各接続端子を形成したりすることも可能である。
また、前記複数の主面側接続端子に接続可能なチップ部品としては、チップコンデンサ、半導体集積回路素子(ICチップ)、半導体製造プロセスで製造されたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子などを挙げることができる。ICチップの具体例としては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory )などを挙げることができる。ここで、「半導体集積回路素子」とは、主としてコンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される素子をいう。チップ部品の他の具体例としては、チップトランジスタ、チップダイオード、チップ抵抗、チップコイル、チップインダクタなどを挙げることができる。
上記補強材は、前記配線基板を構成する樹脂材料よりも高剛性であることが好ましい。その理由は、補強材自体に高い剛性が付与されていれば、それを面接合することで配線基板に高い剛性を付与することができ、外部から加わる応力に対していっそう強くなるからである。また、高い剛性を有する補強材であれば、補強材を薄くしても配線基板に十分高い剛性を付与することができるため、補強材付き配線基板全体の薄肉化を阻害しないからである。
なお、前記補強材は、例えば、剛性の高い金属材料やセラミック材料を用いて形成することが好ましく、例えば、樹脂材料中に無機材料を含有させた複合材料によって形成するものでもよい。
前記補強材を構成する金属材料としては、鉄、金、銀、銅、銅合金、鉄ニッケル合金、珪素、ガリウム砒素などがある。また、前記補強材を構成するセラミック材料としては、例えばアルミナ、ガラスセラミック、結晶化ガラス等の低温焼成材料、窒化アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素などがある。前記補強材を構成する樹脂材料としては、エポキシ樹脂、ポリブテン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS樹脂)などがある。
前記補強材は配線基板の基板主面または基板裏面に接着剤を介して接合されるため、配線基板に対して補強材を確実かつ容易に接合することができる。なお、接着剤としては、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ゴム系接着剤などが挙げられる。
第1の実施形態における半導体パッケージを示す概略断面図。 半導体パッケージを示す概略平面図。 スティフナ付き配線基板の製造方法を示す説明図。 スティフナ付き配線基板の製造方法を示す説明図。 スティフナ付き配線基板の製造方法を示す説明図。 スティフナ付き配線基板の製造方法を示す説明図。 スティフナ付き配線基板の製造方法を示す説明図。 スティフナ付き配線基板の製造方法を示す説明図。 スティフナ付き配線基板の製造方法を示す説明図。 スティフナ付き配線基板の製造方法を示す説明図。 スティフナ付き配線基板の製造方法を示す説明図。 スティフナ付き配線基板の製造方法を示す説明図。 スティフナ付き配線基板の製造方法を示す説明図。 第2の実施形態における半導体パッケージを示す概略断面図。 第3の実施形態における半導体パッケージを示す概略断面図。 別の実施形態における半導体パッケージを示す概略平面図。 別の実施形態における半導体パッケージを示す概略平面図。 従来技術の半導体パッケージを示す斜視図。 従来技術の半導体パッケージを示す概略断面図。 従来技術の半導体パッケージを示す概略断面図。
[第1の実施の形態]
以下、本発明を補強材付き配線基板に具体化した第1の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1及び図2に示されるように、本実施形態の半導体パッケージ10は、スティフナ付き配線基板11(補強材付き配線基板)と、ICチップ21(チップ部品)とからなるBGA(ボールグリッドアレイ)である。なお、半導体パッケージ10の形態は、BGAのみに限定されず、例えばPGA(ピングリッドアレイ)やLGA(ランドグリッドアレイ)等であってもよい。ICチップ21は、縦15.0mm×横15.0mm×厚さ0.8mmの矩形平板状であって、熱膨張係数が4.2ppm/℃のシリコンからなる。
スティフナ付き配線基板11は、配線基板40と、補強材である配線基板用スティフナ(以下「スティフナ」という)31とを備えている。本実施の形態の配線基板40は、基板主面41及び基板裏面42を有し、縦50.0mm×横50.0mm×厚さ0.4mmの平面視略矩形状に形成されている。また、配線基板40は、コア基板を含まずに形成されたコアレス配線基板であって、エポキシ樹脂からなる4層の樹脂絶縁層43,44,45,46と銅からなる導体層51とを交互に積層した構造を有する。本実施の形態の配線基板40において、樹脂絶縁層43〜46の熱膨張係数は約30ppm/℃となっており、導体層51の熱膨張係数は約17ppm/℃となっている。なお、熱膨張係数は、0℃〜ガラス転移温度(Tg)間の測定値の平均値をいう。
図1に示されるように、配線基板40の基板主面41上(第4層の樹脂絶縁層46の表面上)には、端子パッド52(主面側接続端子)がアレイ状に配置されている。さらに、端子パッド52の表面上には、複数の主面側はんだバンプ54が配設されている。各主面側はんだバンプ54は、前記ICチップ21の面接続端子22に電気的に接続されている。即ち、ICチップ21は、配線基板40の基板主面41側に搭載されている。なお、各端子パッド52及び各主面側はんだバンプ54が形成されている領域は、ICチップ21を搭載可能なICチップ搭載領域23である。
一方、配線基板40の基板裏面42上(第1層の樹脂絶縁層43の下面上)には、BGA用パッド53(裏面側接続端子)がアレイ状に配設されている。また、各BGA用パッド53の表面上には、マザーボード接続用の複数の裏面側はんだバンプ55が配設されており、各裏面側はんだバンプ55により、配線基板40は図示しないマザーボード(母基板)上に実装される。
各樹脂絶縁層43〜46には、それぞれビア穴56及びビア導体57が設けられている。各ビア穴56は、円錐台形状をなし、各樹脂絶縁層43〜46に対してYAGレーザまたは炭酸ガスレーザを用いた穴あけ加工を施すことで形成される。各ビア導体57は、基板裏面42側(図1では下方向)に行くに従って拡径した導体であって、各導体層51、前記端子パッド52及びBGA用パッド53を相互に電気的に接続している。
図1及び図2に示されるように、前記スティフナ31は、例えば、縦55.0mm×横55.0mm×厚さ2.0mmの矩形枠状体であり、その外形寸法は前記配線基板40の外形寸法よりも大きく設定されている。なお、スティフナ31は、金属材料(例えば、銅)を用いて配線基板40よりも厚く形成されている。従って、スティフナ31は、配線基板40よりも高剛性となっている。さらに、スティフナ31の熱膨張係数は、約17ppm/℃であり、配線基板40を構成する樹脂絶縁層43〜46の熱膨張係数(約30ppm/℃)よりも小さい値となっている。
スティフナ31は、配線基板40に接合される接合面32と、接合面32の反対側に位置する非接合面33とを有している。接合面32は、基板主面41の外周部(即ち、基板主面41において前記ICチップ搭載領域23を除く領域)に面接触可能となっている。
また、スティフナ31には、接合面32の中央部及び非接合面33の中央部にて開口する平面視で矩形状の開口部35が貫通形成されている。開口部35は、端子パッド52及び前記主面側はんだバンプ54を露出させるようになっている。具体的に言うと、開口部35は、縦20mm×横20mmで、四隅に半径1.5mmのアールを有する断面略正方形状の孔である。
そして図1に示されるように、スティフナ31の接合面32は、基板主面41の外周部に対して接着剤30(例えば、エポキシ系接着剤)を介して面接合(接合固定)される。ここで、スティフナ31は、その外縁部が配線基板40の外縁部よりも基板平面方向へ全体的に張り出した状態で、配線基板40に接合されている。このようにスティフナ付き配線基板11を構成すれば、スティフナ31により配線基板11に高い剛性が付与される。また、本実施の形態のスティフナ付き配線基板11では、配線基板40の外縁部に対するスティフナ31の外縁部の張出量は、基板全周にわたって均一に設定されている。このようにすると、スティフナ付き配線基板11の重量バランスが良好となり、スティフナ付き配線基板11の取り扱い性が向上する。
次に、スティフナ付き配線基板11の製造方法について説明する。
準備工程において、配線基板40及びスティフナ31を作製し、あらかじめ準備しておく。
配線基板40は、以下の配線基板作製工程を経て作製される。配線基板作製工程では、まず、図3に示されるように、ガラスエポキシ基板などの十分な強度を有する支持基板70を準備する。次に、支持基板70上に、エポキシ樹脂からなるシート状の絶縁樹脂基材を貼り付けて下地樹脂絶縁層71を形成することにより、支持基板70及び下地樹脂絶縁層71からなる基材69を得る。そして、図4に示されるように、基材69の片面(具体的には下地樹脂絶縁層71の上面)に、積層金属シート体72を配置する。ここで、下地樹脂絶縁層71上に積層金属シート体72を配置することにより、以降の製造工程で積層金属シート体72が下地樹脂絶縁層71から剥がれない程度の密着性が確保される。積層金属シート体72は、2枚の銅箔73,74を剥離可能な状態で密着させてなる。具体的には、金属めっき(例えば、クロムめっき)を介して各銅箔73,74を積層することで積層金属シート体72が形成されている。
その後、図5に示されるように、積層金属シート体72を包むようにシート状の絶縁樹脂基材75を配置し、真空圧着熱プレス機(図示略)を用いて真空下にて加圧加熱することにより、絶縁樹脂基材75を硬化させて第4層の樹脂絶縁層46を形成する。ここで、樹脂絶縁層46は、積層金属シート体72と密着するとともに、その積層金属シート体72の周囲領域において下地樹脂絶縁層71と密着することで、積層金属シート体72を封止する。
そして、図6に示されるように、レーザ加工を施すことによって樹脂絶縁層46の所定の位置にビア穴56を形成し、次いで各ビア穴56内のスミアを除去するデスミア処理を行う。その後、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことで、各ビア穴56内にビア導体57を形成する。さらに、従来公知の手法(例えばセミアディティブ法)によってエッチングを行うことで、樹脂絶縁層46上に導体層51をパターン形成する(図7参照)。
また、第1層〜第3層の樹脂絶縁層43〜45及び導体層51についても、上述した第4層の樹脂絶縁層46及び導体層51と同様の手法によって形成し、樹脂絶縁層46上に積層していく。以上の工程によって、基材69上に積層金属シート体72、樹脂絶縁層43〜46及び導体層51を積層した積層体80を形成する(図8参照)。なお図8に示されるように、積層体80において積層金属シート体72上に位置する領域が、配線基板40となるべき配線積層部81となる。
この積層体80をダイシング装置(図示略)により切断し、積層体80における配線積層部81の周囲領域を除去する。この際、図8に示すように、配線積層部81とその周囲部82との境界(図中では矢印で示す境界)において、配線積層部81の下方にある基材69(支持基板70及び下地樹脂絶縁層71)ごと切断する。この切断によって、樹脂絶縁層46にて封止されていた積層金属シート体72の外縁部が露出した状態となる。つまり、周囲部82の除去によって、下地樹脂絶縁層71と樹脂絶縁層46との密着部分が失われる。この結果、配線積層部81と基材69とは積層金属シート体72のみを介して連結した状態となる。
ここで、図9に示されるように、積層金属シート体72における2枚の銅箔73,74の界面にて剥離して、配線積層部81を基材69から分離する。そして、図10に示されるように、配線積層部81(樹脂絶縁層46)の下面上にある銅箔73に対してエッチングによるパターニングを行うことにより、最表層の樹脂絶縁層46上に端子パッド52を形成する。
続くはんだバンプ形成工程では、最表層の樹脂絶縁層46上に形成された複数の端子パッド52上に、ICチップ接続用の主面側はんだバンプ54を形成する(図11参照)。具体的には、図示しないはんだボール搭載装置を用いて各端子パッド52上にはんだボールを配置した後、はんだボールを所定の温度に加熱してリフローすることにより、各端子パッド52上に主面側はんだバンプ54を形成する。同様に、樹脂絶縁層43上に形成された複数のBGA用パッド53上に、裏面側はんだバンプ55を形成する。
スティフナ31は、従来周知の切断装置を用いて銅板を切断することにより矩形状に加工される。また、スティフナ31の開口部35は、座繰りカッター、メカニカルドリル、パンチング装置等を用いて孔あけ加工を行うことにより形成される。
接合工程では、配線基板40の基板主面41にスティフナ31を接着する。具体的には、図12に示されるように、スティフナ31の接合面32に接着剤30を塗布した後、配線基板40の基板主面41上にスティフナ31を配置し、接合面32を基板主面41に接触させる。なおここでは、スティフナ31の外縁部が配線基板40の外縁部よりも基板平面方向へ全体的に張り出した状態でスティフナ31を配線基板40に接触させる。この状態で、例えば150℃程度で加熱処理(キュア)を行って接着剤30を固化させれば、加熱処理後に接着剤30が室温まで冷却されるとともに、スティフナ31が基板主面41に対して接着剤30を介して接合固定される(図13参照)。
その後、配線基板40のICチップ搭載領域23にICチップ21を載置する。このとき、ICチップ21側の面接続端子22と、配線基板40側の主面側はんだバンプ54とを位置合わせするようにする。そして、加熱して各主面側はんだバンプ54をリフローすることにより、面接続端子22と主面側はんだバンプ54とが接合され、配線基板40にICチップ21が搭載される(図1参照)。
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施の形態のスティフナ付き配線基板11において、スティフナ31は、外形寸法が配線基板40の外形寸法よりも大きく設定されており、スティフナ31の外縁部が配線基板40の外縁部よりも基板平面方向へ全体的に張り出した状態で配線基板40に接合されている。このようにすると、相対的に配線基板40の外縁部がスティフナ31の外縁部よりも引っ込んだ状態となり、配線基板40の外縁部に他部材等が接触しにくくなる。その結果、スティフナ31によって配線基板40の外縁部を確実に保護することができ、配線基板40の外縁部の破損を防止することができる。
(2)本実施の形態のスティフナ付き配線基板11では、配線基板40の基板主面41上において、ICチップ21の周囲を囲むように矩形枠状のスティフナ31が接合されるので、配線基板40の強度を確実に高めることができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態を図面に基づき説明する。図14は、本実施の形態の半導体パッケージ10Aを示す概略断面図である。本実施の形態では、スティフナ31Aの形状が第1の実施の形態と異なる。なお、配線基板40等の他の構成は上記第1の実施の形態と同じである。
図14に示されるように、本実施の形態の半導体パッケージ10Aにおいて、スティフナ31Aの外縁部には、配線基板40の側面を覆うべく基板厚さ方向に屈曲した被覆部90が設けられている。被覆部90は、基板裏面42が向く方向へ張り出しているとともに、その張出量は、基板裏面42を基準とした複数のBGA用パッド53上の裏面側はんだバンプ55の突出量よりも大きくなるように設定されている。
また、本実施の形態のスティフナ付き配線基板11Aでは、スティフナ31Aの接合面32(被覆部90よりも内側の下面)と基板主面41の外周部とが接着剤30を介して接合されている。さらに、配線基板40の側面を覆う被覆部90とその配線基板40の側面とが接着剤30を介して接合されている。本実施の形態のように、スティフナ付き配線基板11Aを構成すると、配線基板40の外縁部をスティフナ31Aで確実に保護することができ、配線基板40の外縁部の破損を防止することができる。さらに、スティフナ付き配線基板11Aでは、基板裏面42を基準とした被覆部90の張出量が裏面側はんだバンプ55の突出量よりも大きいため、複数枚のスティフナ付き配線基板11Aを積み重ねた場合、他方の配線基板40に裏面側はんだバンプ55が接触しなくなる。この結果、スティフナ付き配線基板11Aの取り扱い性が向上する。さらに、スティフナ付き配線基板11Aでは、スティフナ31Aの被覆部90が配線基板40の側面にも接着固定されているので、スティフナ31Aによる補強強度を確実に高めることができる。また、被覆部90を設けたことによって、スティフナ31Aの表面積が増すため、放熱性を高めることができる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明を具体化した第3の実施の形態を図面に基づき説明する。図15は、本実施の形態の半導体パッケージ10Bを示す概略断面図である。上記各実施の形態では、配線基板40の基板主面41上にスティフナ31,31Aが接合されるものであったが、本実施の形態のスティフナ付き配線基板11Bでは、配線基板40の基板裏面42上に、平面視で矩形状のスティフナ31Bが接合されている。なお、配線基板40等の構成は上記第1の実施の形態と同じである。
このスティフナ31Bには、裏面側接続端子としてのBGA用パッド53及び裏面側はんだバンプ55を露出させる複数の孔部92が貫通形成されている。また、本実施の形態のスティフナ31Bも、外形寸法が前記配線基板40の外形寸法よりも大きく設定されている。そして、スティフナ31Bは、その外縁部が配線基板40の外縁部よりも基板平面方向へ全体的に張り出した状態で配線基板40に接合されている。スティフナ31Bは、接着剤30(例えば、エポキシ系接着剤)を介して配線基板40の基板裏面42に面接合されている。
このようにスティフナ付き配線基板11Bを構成しても、配線基板40の外縁部をスティフナ31Bで確実に保護することができ、配線基板40の外縁部の破損を防止することができる。またこの場合、配線基板40の基板裏面42全体にスティフナ31Bが接合されるため、スティフナ31Bによる補強面積を十分に確保することができる。
なお、本発明の各実施の形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施の形態において、スティフナ31,31A,31Bの外縁部に、配線基板40の外縁部に至らない大きさの位置決め構造部を形成してもよい。その具体例を図16に示している。図16に示されるように、スティフナ付き配線基板11Cに用いられるスティフナ31Cは、外形寸法が配線基板40の外形寸法よりも大きく設定されており、その外縁部が配線基板40の外縁部よりも基板平面方向へ全体的に張り出した状態で配線基板40に接合されている。また、スティフナ31Cにおいて、その外縁部に位置決め構造部としての略半円状の凹部94が形成されている。この凹部94は、スティフナ31Cの対向する2辺(図16では左右の2辺)となる位置に設けられ、配線基板40の外縁部に至らない大きさを有している。より具体的にいうと、図16の凹部94の深さは3mm程度に設定されているため、スティフナ31Cの張り出し量である5mmよりも2mm少なくなっている。このように、スティフナ31Cに凹部94を形成することにより、スティフナ付き配線基板11Cの位置決めを容易に行うことができ、マザーボードとの電気的な接続を迅速に行うことができる。また、スティフナ31Cに設けられる凹部94は配線基板40の外縁部に至らない大きさであるので、凹部94を設けたことによる強度低下を回避でき、スティフナ31Cの強度を十分に確保することができる。しかも、位置決め時に位置決めピンなどが配線基板40の外縁部に直接的に当たらないので、配線基板40の外縁部の破壊を確実に防止することができる。加えて、このような構造によれば、配線基板40の外縁部に同様の位置決め構造部を設けて位置決めを図る場合に比べて、位置決め精度を向上させやすくなる。なお、位置決め構造部としては、凹部94以外に貫通孔や切欠部などの構造部に変更してもよい。
・上記各実施の形態において、スティフナ31,31A〜31Cを複数の分割片から構成してもよい。その具体例を図17に示している。図17に示されるスティフナ31Dは、L字状をなす4つの分割片96からなる。各分割片96は、枠内面97から枠外面98にわたって延びるスリット99を介して完全に分割されている。このスティフナ31Dも、外形寸法が配線基板40の外形寸法よりも大きく設定されており、その外縁部が配線基板40の外縁部よりも基板平面方向へ全体的に張り出した状態で配線基板40に接合されている。このようにスティフナ付き配線基板11Dを構成することにより、配線基板40の外縁部をスティフナ31Dで確実に保護することができ、配線基板40の外縁部の破損を防止することができる。さらに、スティフナ31Dにスリット99を入れることにより、スティフナ31Dと配線基板40との熱膨張係数差に起因してスティフナ31Dに加わる熱応力を確実に緩和することができる。
・上記第2の実施の形態において、基板裏面42側への被覆部90の張出量は、BGA用パッド53上の裏面側はんだバンプ55の突出量よりも大きくなるように設定されていたが、例えば半導体パッケージの種類に応じて適宜変更することができる。具体的には、例えば、半導体パッケージの形態がピングリッドアレイである場合、接続ピンの長さに応じて被覆部90の張出量を変更する。また、裏面側はんだバンプ55や接続ピンが設けられていないランドグリッドアレイの半導体パッケージの場合には、基板裏面42に形成される裏面側接続端子の突出量に応じて被覆部90の張出量を変更する。
・上記各実施の形態において、配線基板11は正方形状の基板であったがこれに限定されるものではなく、正方形状以外の多角形状や円板状などの基板であってもよい。ただし、配線基板に接合されるスティフナについては、その平面視での外形形状が配線基板の平面視での外形形状よりも正方形に近いことが好ましい。このようにすると、補強材付き配線基板の搬送や収納を容易に行うことができるため、配線基板の取り扱い性を高めることができる。
・上記各実施の形態のスティフナ付き配線基板11,11A〜11Dでは、補強材として銅からなるスティフナ31,31A〜31Dを用いたが、銅以外の金属製のスティフナを用いてもよいし、セラミック製のスティフナや樹脂製のスティフナを用いてもよい。さらに、樹脂材料からなる基材の表面に金属板やセラミック板を貼り付けてなるスティフナを用いてもよい。
次に、前述した各実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)基板主面及び基板裏面を有し、複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を積層してなる構造を有し、前記基板主面上にはチップ部品を接続可能な複数の主面側接続端子が配設され、前記基板裏面上には、母基板との電気的な接続を図るために用いる複数の裏面側接続端子が配設された配線基板と、前記基板主面側及び前記基板裏面側のいずれかに接合された、平面視で矩形枠状または矩形状の補強材とを備える補強材付き配線基板であって、前記補強材の外形寸法は前記配線基板の外形寸法よりも大きく設定され、前記補強材の外縁部が前記配線基板の外縁部よりも基板平面方向へ全体的に張り出した状態で、前記補強材が前記配線基板に接合されていることを特徴とする補強材付き配線基板。
(2)技術的思想(1)において、前記補強材の平面視での外形形状は、前記配線基板の平面視での外形形状よりも正方形に近いことを特徴とする補強材付き配線基板。
(3)技術的思想(1)または(2)において、前記補強材の外縁部には、前記配線基板の側面を覆うべく基板厚さ方向に屈曲した被覆部が設けられるとともに、前記被覆部は前記配線基板の側面にも接合されていることを特徴とする補強材付き配線基板。
(4)技術的思想(1)乃至(3)のいずれかにおいて、前記補強材の外縁部には、前記配線基板の外縁部に至らない大きさの位置決め構造部が形成され、前記位置決め構造部は、貫通孔、切欠部、及び凹部のいずれかの構造部であることを特徴とする補強材付き配線基板。
(5)技術的思想(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記補強材は、枠内面から枠外面にわたって延びるスリットを介して完全に分割された複数の分割片からなることを特徴とする補強材付き配線基板。
(6)技術的思想(1)乃至(5)のいずれかにおいて、前記複数の樹脂絶縁層には前記複数のビア導体が形成され、前記複数のビア導体は前記複数の樹脂絶縁層の各層において同一方向に拡径していることを特徴とする補強材付き配線基板。
11,11A〜11D…補強材付き配線基板としてのスティフナ付き配線基板
21…チップ部品としてのICチップ
31,31A〜31D…補強材としてのスティフナ
35…開口部
40…配線基板
41…基板主面
42…基板裏面
43〜46…樹脂絶縁層
51…導体層
52…主面側接続端子としての端子パッド
53…裏面側接続端子としてのBGA用パッド
90…被覆部
92…孔部
94…位置決め構造部としての凹部

Claims (2)

  1. チップ部品を接続可能な複数の主面側接続端子が配設された基板主面及び母基板との電気的な接続を図るために用いる複数の裏面側接続端子が配設された基板裏面を有し、複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を積層してなる構造を有する配線基板と、
    前記基板主面側に接合され、前記複数の主面側接続端子を露出させる開口部が貫通形成されている補強材と
    を備える補強材付き配線基板であって、
    前記補強材の外形寸法は前記配線基板の外形寸法よりも大きく設定され、前記補強材の外縁部が前記配線基板の外縁部よりも基板平面方向へ基板全周にわたって張り出した状態で、前記補強材が前記配線基板に接合されているとともに、
    前記補強材の外縁部には、前記配線基板の側面を覆うべく基板厚さ方向に屈曲した被覆部が設けられ、
    前記被覆部は、前記基板裏面が向く方向へ張り出しているとともに、その張出量は、前記基板裏面を基準とした前記複数の裏面側接続端子上の裏面側はんだバンプの突出量よりも大きくなるように設定されている
    ことを特徴とする補強材付き配線基板。
  2. 前記補強材の外縁部に設けられた前記被覆部には、前記配線基板の外縁部に至らない大きさの位置決め構造部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の補強材付き配線基板。
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