JP5296135B2 - 液晶配向剤用処理済ポリマーの製造方法、これにより製造された処理済ポリマー及び液晶配向剤、液晶配向膜、並びに該配向膜を具える液晶表示素子 - Google Patents

液晶配向剤用処理済ポリマーの製造方法、これにより製造された処理済ポリマー及び液晶配向剤、液晶配向膜、並びに該配向膜を具える液晶表示素子 Download PDF

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Description

本発明は、処理済ポリマーの製造方法に関し、特に液晶配向剤用の処理済ポリマーの製造方法に関する発明である。また、本発明はこの処理済ポリマーを含む液晶配向剤、この液晶配向剤で形成された液晶配向膜、及びこの液晶配向膜を具える液晶表示素子に関する発明である。
液晶表示素子はコンピュータのモニターやカメラのビュー・ファインダー、投写型ディスプレイ、テレビなどに広く用いられている。
ネマチック液晶表示素子は一般的な液晶表示素子に広く使用されている。実際に利用されているネマチック液晶表示素子の具体例としては、(1)一方の基板の液晶配向方向が他方の基板の液晶の配向方向に対して90度ツイストした、TN(ツイストネマチック)液晶表示素子、(2)一方の基板の液晶配向方向が他方の基板の液晶の配向方向に対して180度以上ツイストした、STN(スーパーツイストネマチック)液晶表示素子、そして、(3)薄膜トランジスタを使用した、TFT(薄膜トランジスタ)液晶表示素子がある。
残像問題の軽減といった液晶表示素子の表示性能向上のため、液晶配向膜の改善は当該技術分野において継続的に試みられてきた。
液晶配向膜は液晶配向剤を用いて製造される。従来、液晶配向剤はポリアミック酸や可溶性ポリイミドを有機溶媒に溶かすことで調合され、その後基板上に塗布して硬化させることで液晶配向膜を形成する。
残像問題は残存電圧に由来している。特に、残存電圧が大きい場合、一度付加された電界がオフにされた後も残ってしまう。このような場合、消えるべき画像が残像として残ることになる。このため、残存電圧は限りなく零に近いことが望ましい。この残像現象は液晶表示素子における最も重要な問題の一つである。
特許文献1には、液晶配向膜の作成のため、異なる特性を有する2以上のポリアミック酸から製造されたポリイミド樹脂が開示されている。
特許文献2には、特定の構造を有するポリアミド酸、特定の構造を有するポリアミド、またはポリアミドと特定の構造を有する可溶性ポリイミドを含んだポリマー成分からなるワニス組成物が開示されている。
特許文献3には、オリゴイミドまたはオリゴアミド酸の主鎖の少なくとも一端に熱硬化性または光硬化性の官能基を有するオリゴイミドまたはオリゴアミド酸からなる、液晶配向用の組成物が開示されている。また、光分解法の液晶配向用ポリイミドは通常、光分解によって小単位の分解副生成物を生成する。このような分解副生成物によって配向安定性や長期信頼性、特に残像の側面で深刻な問題を引き起こし得ることが開示されている。
特許文献4には、液晶配向剤が開示されている。この中には液晶配向剤を調合するため、貧溶媒を用いてポリアミック酸を精製することが簡単に開示されている。
現在も当該技術分野において、残像時間を効果的に短縮することができる液晶配向剤の開発が求められている。
特開平11−193345号公報 国際公開第00/062684号 国際公開第2007/078153号 米国特許出願公開第2004/0031950号明細書
本発明の目的は、第一に、残像時間を効果的に短縮することができる液晶配向剤を提供することである。
本発明の目的は、第二に、下記のステップ(1)及び(2)を含むことを特徴とする、液晶配向剤用の処理済ポリマーの製造方法、及び、当該製造方法により得られる処理済ポリマーを提供することにある。
(1)ポリアミック酸、ポリイミド、ポリイミド系ブロック共重合体、及び、これらのポリマーの末端変性ポリマー、及び、これらのポリマーの組み合わせからなる群から選ばれる処理前ポリマー、を生成するステップ;
(2)ケトン、エーテル、及び、これらの組み合わせからなる群から選ばれる貧溶媒を、全溶媒1000重量部に対して700〜950重量部含有し、かつ、上記処理前ポリマーを溶解可能な良溶媒を前記1000重量部に対する残量として含有する共沈溶媒を、ステップ(1)で得られた処理前ポリマーと接触させることにより得られる固形物を、小分子量のポリマーが除去された処理済みポリマーとして得るステップ。
本発明の目的は、第三に、上記の処理済みポリマー、及び、当該処理済ポリマーを溶解するための有機溶媒を含有することを特徴とする液晶配向剤を提供することである。特に、下記方法で求められるT値が好ましくは1.0%以下(0%を含む)、より好ましくは0.9%以下(0%を含む)、さらに好ましくは0.8%以下(0%を含む)である、当該液晶配向剤を提供することである。
T値は、以下のステップ(1)〜(4)にて計測される。
(1)液晶配向剤とメタノールを1:6の重量比で混合して、第一の混合剤を得て、当該混合剤をフィルターを用いてろ過して、第一の固体沈殿物を取り出し、
(2)当該第一の固体沈殿物を、オーブン中で60℃の温度で12時間乾燥させ、重量値Wを有する乾燥固体とし、
(3)当該乾燥固体とN−メチル−2−ピロリドンを1:15の重量比で混合して、当該乾燥固体の溶液を得て、当該溶液とアセトンを1:6の重量比で混合して第二の混合剤を得て、当該混合剤をフィルターを用いてろ過して固体沈殿物を取り除いて残ったろ液に含まれる固体成分の重量値WLSを測定し、
(4)前記重量値WLSを前記重量値Wで除算することにより、百分率としてT値が得られる。
本発明の目的は、第四に、上記の液晶配向剤で製造されたことを特徴とする液晶配向膜を提供することにあり、第五に、当該液晶配向膜を備えることを特徴とする液晶表示素子を提供することにある。
本発明により、液晶表示素子の残像時間を効果的に短縮できる液晶配向剤用の処理済ポリマーの製造方法、及び、この方法により得られる処理済ポリマーを用いた液晶配向剤、さらに液晶配向膜と液晶表示素子が提供される。
[1]処理済ポリマー
本発明の液晶配向剤は、処理済ポリマー(A)及びこの処理済ポリマー(A)を溶解させるための有機溶媒(B)を含んでいる。
処理済ポリマー(A):
処理済ポリマー(A)は、ポリアミック酸(A−1)、ポリイミド(A−2)、ポリイミド系ブロック共重合体(A−3)またはこれらの組み合わせを含む。ポリイミド系ブロック共重合体(A−3)は、ポリアミック酸ブロック共重合体(A−3−1)、ポリイミドブロック共重合体(A−3−2)、ポリアミック酸−ポリイミドブロック共重合体(A−3−3)またはこれらの組み合わせを含む。ポリアミック酸(A−1)は、例えば、テトラカルボン酸二無水物化合物とジアミン化合物を反応させて得ることができる。そして、ポリイミド(A−2)とポリイミド系ブロック共重合体(A−3)は、ポリアミック酸(A−1)を用いて得ることができる。
テトラカルボン酸二無水物化合物:
本発明に適したテトラカルボン酸二無水物化合物は、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物及び芳香族テトラカルボン酸二無水物を含む。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えば、エタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロヘプチル−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシルシクロペンチル酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−コハク酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2・2・2]−オクタ−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、及び下記式(I−1)、(I−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005296135
Figure 0005296135
式(I−1)、(I−2)において、R及びRはそれぞれ、芳香環を含む二価の有機基を表し、R及びRはそれぞれ、水素原子又はアルキル基を表し、R及びRは複数ある場合、各々互いに同一であっても異なっていてもよい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’−4,4’−ビフェニルエタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシルフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシルフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキシド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−へキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、及び下記式(1)〜(4)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物化合物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物化合物を単独又は2種以上混合して使用することができる。
Figure 0005296135
Figure 0005296135
Figure 0005296135
Figure 0005296135
上記テトラカルボン酸二無水物化合物のうち、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−コハク酸二無水物、上記式(I−1)で表される化合物において下記式(5)〜(7)で表される化合物、上記式(I−2)で表される化合物において下記式(8)で表される化合物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
Figure 0005296135
Figure 0005296135
Figure 0005296135
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ジアミン化合物:
本発明に用いられるジアミン化合物は、脂肪族ジアミン化合物、脂環式ジアミン化合物、芳香族ジアミン化合物、その他のジアミン化合物などを例示できる。
脂肪族ジアミン化合物や脂環式ジアミン化合物として、例えば、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6・2・1・02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)が挙げられる。
芳香族ジアミン化合物として、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]オクタフルオロビフェニルが挙げられる。
その他のジアミン化合物として、例えば、2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン,及び下記式(II−1)と(II−2)で表される化合物(すなわち、二つの第1級アミノ基と、第1級アミノ基以外の窒素原子とを含むジアミン分子)が挙げられる。
Figure 0005296135
式(II−1)において、Rはピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジン、ピペラジンからなる群から選択される、窒素を含む環状構造を有する一価の有機基であり、Xは二価の有機基である。
Figure 0005296135
式(II−2)において、Rはピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジン、ピペラジンからなる群から選択される、窒素を含む環状構造を有する二価の有機基であり、Xは二価の有機基を表し、Rは複数ある場合、各々互いに同一であっても異なっていてもよい。
また、下記式(II−3)〜(II−5)で表される化合物を例示できる。
Figure 0005296135
式(II−3)において、Rは、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−CO−からなる群から選択される二価の有機基を表し、Rは、ステロイド骨格、トリフルオロメチル基、フルオロ基からなる群から選択される基を有する一価の有機基、または炭素数6〜30のアルキル基を表す。
Figure 0005296135
式(II−4)において、Rは、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−CO−からなる群から選択される二価の有機基であり、XとXはそれぞれ、脂環式基、芳香族基、複素環基からなる群から選択され、R10は、炭素数3〜18のアルキル基、炭素数3〜18のアルコキシ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のフルオロアルコキシ基、シアノ基及びハロゲン原子からなる群から選択される基又は原子を表す。
Figure 0005296135
式(II−5)において、R11は、炭素数1〜12の炭化水素基を表し、複数ある場合は各々互いに同一であっても異なっていてもよく、pは1〜3の整数、qは1〜20の整数である。
また、下記式(9)〜(15)で表される化合物を例示できる。
Figure 0005296135
Figure 0005296135
Figure 0005296135
Figure 0005296135
Figure 0005296135
Figure 0005296135
Figure 0005296135
上記式(12)において、tは2〜12の整数、上記式(13)において、uは1〜5の整数を表す。
上記ジアミン化合物を単独であるいは2種以上混合して使用することができる。
上記ジアミン化合物の中でも、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、上記式(9)〜(15)で表される化合物、上記式(II−1)で表される化合物において下記式(16)で表される化合物、上記式(II−2)で表される化合物において下記式(17)で表される化合物、上記式(II−3)で表される化合物において下記式(18)〜(29)で表される化合物、上記式(II−4)で表される化合物において下記式(30)〜(41)で表される液晶性ジアミン化合物が好ましい。
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上記式(38)〜(41)において、vは3〜12の整数である。
ポリアミック酸(A−1)の合成:
処理前のポリアミック酸(A−1)は、テトラカルボン酸二無水物化合物とジアミン化合物との重縮合反応によって得られ、重縮合反応に用いるテトラカルボン酸二無水物化合物とジアミン化合物の当量比は0.2〜2、好ましくは0.3〜1.2である。
処理前のポリアミック酸(A−1)の重縮合反応において、テトラカルボン酸二無水物化合物とジアミン化合物を有機溶媒に反応させる温度は、通常−20〜150℃、好ましくは0〜100℃である。有機溶媒に関しては、反応物及び生成物を溶かすことができるものであれば、特に制限されない。有機溶媒として、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどのような非プロトン性極性溶媒、メタクレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのようなフェノール系溶媒などが挙げられる。
共沈溶媒として、多量の貧溶媒と少量の良溶媒を調合する。処理前のポリアミック酸(A−1)をこの共沈溶媒と接触させることにより、所望の処理済ポリマーとすることができる。
良溶媒とは、ポリマー(A)(すなわちポリアミック酸(A−1)、ポリイミド(A−2)、ポリイミド系ブロック共重合体(A−3)、さらにこれらの末端変性ポリマー、または、これらの組み合わせ)について良好な溶解度を有する溶媒であり、例えば、上述の有機溶媒、すなわち、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどのような非プロトン性極性溶媒、メタクレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのようなフェノール系溶媒などが挙げられる。
貧溶媒とは、ポリマー(A)が相対的に低い溶解度を示す溶媒であり、本発明に適した貧溶媒としては、例えば、ケトン(例えばアセトン)、エーテル(例えばテトラヒドロフラン)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
前記貧溶媒は、前記共沈溶媒1000重量部に対して700〜900重量部、好ましくは800〜900重量部含ませることによって、小分子量のポリマーを除くことができる。この貧溶媒の共沈溶媒における含有量が700重量部未満では、小分子量のポリマー以外の本発明の液晶配向剤用ポリマーとして必要な、より大きな分子量のポリマーまでもが除去されてしまい、900重量部を超えると小分子量のポリマーを十分に除くことが困難になる。なお、「小分子量のポリマー」とは、それを液晶配向剤用ポリマーから除去することにより、本発明の目的である液晶表示素子における残像現象を十分に抑制できる程度の分子量のポリマーであり、具体的には分子量が3000以下、好適には7000以下のものである。
この小分子量のポリマーが除去されたか否かの確認は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により行うことができる。
処理前のポリアミック酸(A−1)を共沈溶媒に入れ、小分子量のポリマー(分子量が3000以下のポリマー)の画分の少なくとも一部が処理前のポリアミック酸(A−1)から取り除かれて沈殿物を得る。この沈殿物を減圧乾燥し、処理済ポリアミック酸(A−1)を得る。共沈溶媒との処理の後、分子量が7000以下のポリマーの画分が処理前のポリアミック酸(A−1)から取り除かれることが好ましい。
ポリイミド(A−2)の合成:
本発明では、ポリアミック酸(A−1)をさらに脱水/閉環(イミド化)処理することによってポリイミド(A−2)を得る。
ポリアミック酸ポリマー(A−1)のイミド化処理は例えば、ポリアミック酸(A−1)を有機溶媒に溶かし、脱水剤とイミド化触媒の存在下で加熱して、脱水/閉環反応を起こさせることで実施する。イミド化処理のための加熱温度は、通常40〜200℃であり、好ましくは80〜150℃である。
イミド化処理の反応温度が40℃を下回る場合、脱水閉環反応は完全には行われない。反応温度が200℃を超える場合、得られるポリイミド(A−2)の重量平均分子量が減少してしまう。
イミド化処理に適した脱水剤の例として、無水酢酸、プロピオン酸無水物、トリフルオロ無水酢酸などの酸無水物化合物が挙げられる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸(A−1)1モルに対して、0.01〜20モルが好ましい。イミド化処理に適したイミド化触媒の例として、ピリジン、トリメチルピリジン(コリジン)、ジメチルピリジン(ルチジン)、トリメチルアミンなどの第3級アミンが挙げられる。イミド化触媒の使用量は脱水剤1モルに対して0.5〜10モルが好ましい。イミド化反応に用いられる溶媒は上述したポリアミック酸(A−1)の重縮合反応に適した有機溶媒と同じものを用いる。
このようにして合成されたポリイミド(A−2)に対して、上記のポリアミック酸(A−1)において行った共沈溶媒による処理を行って、小分子量のポリマーを除くことで、本発明の処理済みポリマーとすることができる。
ポリイミド系ブロック共重合体(A−3)の合成:
ポリイミド系ブロック共重合体(A−3)は、ポリアミック酸ブロック共重合体(A−3−1)、ポリイミドブロック共重合体(A−3−2)、ポリアミック酸−ポリイミドブロック共重合体(A−3−3)、及びこれらの組み合わせからなる。
ポリイミド系ブロック共重合体(A−3)の合成反応において、ポリイミド系ブロック共重合体(A−3)は、ポリアミック酸(A−1)、ポリイミド(A−2)、テトラカルボン酸二無水物化合物、ジアミン化合物から選ばれた化合物を有機溶媒中でさらに重縮合反応させることにより得られる。例えば、ポリイミド系ブロック共重合体(A−3)は、互いに構造や末端基が異なる第一のポリアミック酸(A−1)と第二のポリアミック酸(A−1)との重縮合反応;互いに構造や末端基が異なる第一のポリイミド(A−2)と第二のポリイミド(A−2)との重縮合反応;互いに構造や末端基が異なるポリアミック酸(A−1)とポリイミド(A−2)との重縮合反応;ポリアミック酸(A−1)、テトラカルボン酸二無水物、ジアミンの重縮合反応であって、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの少なくとも一方がこの重縮合反応に用いられるポリアミック酸(A−1)に使用されるテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの構造と異なっているもの;ポリイミド(A−2)、テトラカルボン酸二無水物、ジアミンの重縮合反応であって、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの少なくとも一方がこの重縮合反応に用いられるポリイミド(A−2)に使用されるテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの構造と異なっているもの;ポリアミック酸(A−1)、ポリイミド(A−2)、テトラカルボン酸二無水物、ジアミンの重縮合反応であって、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの少なくとも一方がこの重縮合反応に用いられるポリアミック酸(A−1)及びポリイミド(A−2)に使用されるテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの構造と異なっているもの;第一のポリアミック酸(A−1)と第二のポリアミック酸(A−1)、テトラカルボン酸二無水物、ジアミンの重縮合反応であって、第一のポリアミック酸(A−1)と第二のポリアミック酸(A−1)の構造が互いに異なるもの;第一のポリイミド(A−2)と第二のポリイミド(A−2)、テトラカルボン酸二無水物、ジアミンの重縮合反応であって、第一のポリイミド(A−2)と第二のポリイミド(A−2)の構造が互いに異なるもの;第一のポリアミック酸(A−1)と第二のポリアミック酸(A−1)、ジアミンの重縮合反応であって、第一のポリアミック酸(A−1)と第二のポリアミック酸(A−1)が末端基として無水物基を有し、かつ構造が互いに異なるもの;第一のポリアミック酸(A−1)と第二のポリアミック酸(A−1)、テトラカルボン酸二無水物の重縮合反応であって、第一のポリアミック酸(A−1)と第二のポリアミック酸(A−1)が末端基としてアミノ基を有し、かつ構造が互いに異なるもの;第一のポリイミド(A−2)と第二のポリイミド(A−2)、ジアミンの重縮合反応であって、第一のポリイミド(A−2)と第二のポリイミド(A−2)が末端基として無水物基を有し、かつ構造が互いに異なるもの;第一のポリイミド(A−2)と第二のポリイミド(A−2)、テトラカルボン酸二無水物の重縮合反応であって、第一のポリイミド(A−2)と第二のポリイミド(A−2)が末端基としてアミノ基を有し、かつ構造が互いに異なるもの;等の組み合わせが含まれる。
ポリイミド系ブロック共重合体(A−3)の重縮合反応において、反応温度は通常0〜200℃であり、好ましくは0〜100℃である。また、重縮合反応に用いる溶媒の例としては、上述したポリアミック酸(A−1)の重縮合反応で説明した溶媒と同じものが挙げられる。
このようにして合成されたポリイミド系ブロック共重合体(A−3)に対して、上記のポリアミック酸(A−1)において行った共沈溶媒による処理を行って、小分子量のポリマーを除くことで、本発明の処理済みポリマーとすることができる。
末端変性ポリマー:
本発明で使用されるポリアミック酸(A−1)、ポリイミド(A−2)、ポリイミド系ブロック共重合体(A−3)は分子量を調節した後に末端を変性したポリマーであってもよい。本発明の効果を損なわない限り、末端変性ポリマーを用いることにより、液晶配向剤の塗布特性などを改善することができる。末端変性ポリマーは、ポリアミック酸を合成する際に、例えば、酸一無水物化合物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などの単官能基化合物を反応系に添加することにより合成することができる。酸一無水物化合物として、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルコハク酸無水物、n−ドデシルコハク酸無水物、n−テトラデシルコハク酸無水物、n−ヘキサデシルコハク酸無水物などが挙げられる。モノアミン化合物として、例えば、アニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−アミルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−セチルアミンなどが挙げられる。モノイソシアネート化合物として、例えば、フェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどが挙げられる。
このようにして合成された末端変性ポリマーに対して、上記のポリアミック酸(A−1)において行った共沈溶媒による処理を行って、小分子量のポリマーを除くことで、本発明の処理済みポリマーとすることができる。
[2]液晶配向剤
本発明の液晶配向剤は、処理済ポリマー(A)と任意添加物(C)を有機溶媒(B)に溶解させることで得られる。
有機溶媒(B):
本発明の液晶配向剤に含まれる有機溶媒(B)として、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−i−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
添加剤(C):
本発明の液晶配向剤には、基板に対する接着度を改善するために、液晶配向剤の好ましい特性を損なわない範囲で、官能基シランを含む化合物やエポキシ基を含む化合物のような添加剤を加えてもよい。
官能基シランを含む化合物として、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
エポキシ基を含む化合物として、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモ−ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
液晶配向剤の製造:
上記のように、本発明の液晶配向剤は処理済ポリマー(A)と任意添加物(C)を有機溶媒(B)に溶解させることで得られる。
本発明の液晶配向剤を調製するための好ましい温度は、0〜200℃の範囲であり、更に好ましくは、20〜60℃である。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度は、粘度や揮発性などの特性に応じて調整され、その範囲は通常1〜15重量%であり、好ましくは、2〜15重量%であり、更に好ましくは、3〜15重量%である。本発明の液晶配向剤が液晶配向膜を形成するために基板表面に塗布されたとき、液晶配向剤の固形分濃度が1〜15重量%である場合、液晶配向剤の塗布特性は向上する。
本発明の液晶配向剤は、T値について、好ましくは1.0%以下(0%を含む)、より好ましくは0.9%以下(0%を含む)、さらに好ましくは0.8%以下(0%を含む)の範囲にある。このT値は、上述した(1)〜(4)のステップを経て求めることができる。「T=WLS/W」(WLSは第二の混合剤由来のろ液中の固体成分の重量値、Wは第一の混合剤中の固体成分の重量値)であり、T値が大きい場合は液晶配向剤に含まれる小分子量のポリマー(分子量3000以下程度、好適な状態としては7000以下程度)が多いことを意味しており、逆にT値が小さい場合は液晶配向剤中の小分子量のポリマーが少ないことを意味するものである。T値が1.0%よりも大きい場合は、これにより製造された液晶配向膜には残像の問題が生じる。T値が小さい方が製造された液晶配向膜による残像消去時間が短くなり、かつ、製造コストが少なくすみ、経済的である。
T値は以下のように測定される。まず、第一の沈殿物を含む第一の混合剤を得るため、液晶配向剤とメタノールを1:6の重量比で混合し、フィルターを用いてこの第一の混合剤をろ過して第一の固体沈殿物を取り出し、この第一の固体沈殿物をオーブン中で60℃の温度で12時間乾燥させ、重量値Wを有する乾燥固体とし、溶液を得るためこの乾燥固体とN−メチル−2−ピロリドンを1:15の重量比で混合し、第二の沈殿物を含む第二の混合剤を得るため、この溶液とアセトンを1:6の重量比で混合し、フィルターを用いてろ過液を得るために第二の混合剤をろ過して第二の固体沈殿物を取り除き、このろ過液に含まれる固体成分の重量値WLSを測定し、この重量値WLSを重量値Wで除算することでT値が得られる。なお、上記のフィルターは固液分離が可能なフィルターであれば孔径は特に限定されず、後述する実施例では孔径0.2μmのフィルターを用いている。
[3]液晶配向膜
本発明の液晶配向剤は、透明導電膜が設けられている基板一面にロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの方法で塗布され、その後加熱して塗膜が形成される。
本発明に適した基板として、例えば、無アルカリ性ガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラスなど、液晶ディスプレイデバイスに一般的に使用されているものや、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどで製造された透明プラスチック基板が挙げられる。基板の片面に形成される透明導電膜には酸化スズ(SnO)で作られたNESAフィルム(NESAは米国PPG社の登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)で作られたITO(インジウムスズ酸化物)フィルムなどを使用することができる。
液晶配向剤を塗布する前に、基板表面及び透明導電膜と塗膜との接着性を良好にするため、官能性シランを含む化合物や官能性チタンを含む化合物を基板の表面に塗布しても良い。
液晶配向膜を形成するための加熱工程は、液晶配向剤で塗布した後のプレベーク及びその後のポストベークを含む。プレベークによって有機溶媒が揮発し、塗膜が形成される。プレベークの温度は通常、30〜120℃であり、好ましくは40〜110℃、更に好ましくは50〜100℃である。
更に、塗膜が形成された後、イミド化された塗膜を形成するために、脱水/閉環(イミド化)反応を起こし、ポストベークが施される。ポストベークの温度は通常150〜300℃であり、好ましくは180〜280℃であり、更に好ましくは200〜250℃である。
形成された塗膜は、膜厚が0.001〜1μmであることが好ましく、0.005〜0.5μmであることが更に好ましい。
形成された塗膜には、必要に応じてナイロン、レーヨン、コットン等の繊維からなる布を巻きつけたロールで所定方向に擦るラビング処理を行い、これにより、液晶分子の配向能を塗膜上に付与させて、液晶配向膜が構成される。また、液晶分子の配向能の付与方法は、例えば、形成された配向膜の少なくとも一枚の基板上に突起形状又はパターン形状を形成させて達成し、この方法はMVA(Multi−domain Vertical Alignment)やPVA(Patterned Vertical Alignment)として広く知られている。
[4]液晶表示素子
二枚の基板にそれぞれ形成された上述の液晶配向膜は、互いに所定の間隔(セルギャップ)をおいて向き合うように配置される。二枚の基板の周辺部はシール剤で張り合わせて、これら基板の表面とシール剤で区画されたセルギャップに液晶が充填された後、注入孔が封止されて液晶セルが形成される。そして、この液晶セルの外表面(すなわち、液晶セルを形成している基板の他面側)に偏光板が貼り付けられ、液晶表示素子を得る。
シール剤は一般的なエポキシ樹脂硬化剤でよく、スペーサーの材料はガラスビーズ、プラスチックビーズ、又は感光性エポキシ樹脂などでもよい。液晶として、例えば、ネマチック液晶、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶,ビフェニルシクロヘキサン系液晶,ピリミジン系液晶,ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などが挙げられる。上述の液晶に、コレステリルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶と、商品名C−15、CB−15(Merck社製)で販売されているカイラル剤を加えることもできる。更に、液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板又はH膜そのものからなる偏光板等が挙げられる。
以下の実施例は本発明の好ましい実施形態を示すものであって、発明の範囲を限定するように解釈されるべきものではない。
以下の実施例で用いられる、上述の化学式(化22)の構造を有する化合物は特開2003−96034号公報に開示された方法に基づいて合成したものであり、以下、C7CDAと称する。以下の実施例で用いられる、上述の化学式(化21)の構造を有する化合物は特開2002−162630号公報に開示された方法に基づいて合成したものであり、以下、BCDAと称する。
[比較合成例1]
窒素ガス雰囲気の下で、窒素ガス導入口、撹拌器、加熱器、冷却器、温度計を備えた500mlの四つ口フラスコに、C7CDAを0.74g(0.0015mol)、p−フェニレンジアミン(以下、PDAと称する)を5.24g(0.0485mol)、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと称する)を75g加えた。C7CDAとPDAがNMPに溶解するまで室温で撹拌した。そして、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAと称する)10.91g(0.05mol)とNMPを20g加え、室温で2時間反応を行わせた。その後、ポリマーを沈殿させるため、反応溶液を1500mlの水に注いだ。ろ過後に得られたポリマーを真空オーブンで60℃の温度で乾燥させ、ポリアミック酸(A−1−a)を得た。
[比較合成例2]
比較合成例1と同様の方法によりポリアミック酸(A−1−b)を得たが、上述の化学式(化31)の化合物(以下、VEDAと称する)を5.64g(0.01mol)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下、DDMと称する)を7.93g(0.04mol)、100gのNMPに溶解させ、そして、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(以下、CBTAと称する)を9.81g(0.05mol)、NMPを30g加えた点が異なっている。
[比較合成例3]
窒素ガス雰囲気の下で、窒素ガス導入口、撹拌器、加熱器、冷却器、温度計を備えた500mlの四つ口フラスコに、BCDAを1.13g(0.0025mol)、PDAを5.14g(0.0475mol)、NMPを45g加えた。BCDAとPDAがNMPに溶解するまで60℃で撹拌した。そして、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−コハク酸二無水物(以下、TDAと称する)を15.01g(0.05mol)、NMPを20g加え、室温で6時間反応を行わせた。NMPを97g、無水酢酸を6g、ピリジンを20g加え、更に60℃で2時間撹拌を続け、イミド化反応を行わせた。その後、ポリマーを沈殿させるため、反応溶液を1500mlの水に注いだ。ろ過後に得られたポリマーを真空オーブンで60℃の温度で乾燥させ、ポリイミド(A−2−a)を得た。
[比較合成例4]
比較合成例3と同様の方法でポリイミド(A−2−b)を得たが、VEDAを4.23g(0.0075mol)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAと称する)を8.51g(0.0425mol)、60gのNMPに溶解させ、そして、TDAを15.01g(0.05mol)、NMPを25g加えた点が異なっている。
[比較合成例5]
比較合成例1と同様の方法でポリアミック酸(A−1−c)とポリアミック酸(A−1−d)を得たが、ポリアミック酸(A−1−c)を調製する際、VEDAを0.71g(0.00125mol)、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、BAPPと称する)を20.01g(0.04875mol)、160gのNMPに溶解させ、その後3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAと称する)を15.95g(0.0495mol)、NMPを50g加えた点が異なる。また、ポリアミック酸(A−1−d)を調製する際、C7CDAを0.61g(0.00125mol)、DDMを9.67g(0.04875mol)、120gのNMPに溶解させ、その後BTDAを16.27g(0.0505mol)、NMPを30g加えた点が異なる。
窒素ガス雰囲気の下で、窒素ガス導入口、撹拌器、加熱器、冷却器、温度計を備えた500mlの四つ口フラスコに、ポリアミック酸(A−1−c)を3g、NMPを17g加えた。室温で撹拌してポリアミック酸(A−1−c)をNMPに溶解させた。更にポリアミック酸(A−1−d)を3g、NMPを17g加え、60℃で6時間撹拌し続けた。その後、ポリマーを沈殿させるため、反応溶液を1500mlの水に注いだ。ろ過後に得られたポリマーを真空オーブンで60℃の温度で乾燥させ、ポリアミック酸ブロック共重合体(A−3−1−a)を得た。
[比較合成例6]
窒素ガス雰囲気の下で、窒素ガス導入口、撹拌器、加熱器、冷却器、温度計を備えた500mlの四つ口フラスコに、BCDAを0.57g(0.00125mol)、PDAを5.27g(0.04875mol)、NMPを100g加えた。室温で撹拌してBCDAとPDAをNMPに溶解させた。BTDAを15.95g(0.0495mol)、NMPを25g更に加え、室温で2時間撹拌し続けた。更に、94gのNMPと、15gの無水酢酸と、12gのピリジンとを加え、110℃で2時間撹拌を続け、イミド化反応を起こさせた。その後、ポリマーを沈殿させるため、反応溶液を1500mlの水に注いだ。ろ過後に得られたポリマーを真空オーブンで60℃の温度で乾燥させ、ポリイミド(A−2−c)を得た。
ポリイミド(A−2−d)は、ポリイミド(A−2−c)を得る方法と同様の方法で得られるが、C7CDAを0.86g(0.00175mol)、そしてDDMを9.57g(0.04825mol)、120gのNMPに溶解し、その後、BTDAを16.27g(0.0505mol)、NMPを30g加えた点が異なる。
窒素ガス雰囲気の下で、窒素ガス導入口、撹拌器、加熱器、冷却器、温度計を備えた500mlの四つ口フラスコに、3gのポリイミド(A−2−c)と17gのNMPを加えた。室温で撹拌し、ポリイミド(A−2−c)をNMPに溶解させた。3gのポリイミド(A−2−d)と17gのNMPを更に加え、60℃で6時間撹拌を続けた。その後、ポリマーを沈殿させるため、反応溶液を1500mlの水に注いだ。ろ過後に得られたポリマーを真空オーブンで60℃の温度で乾燥させ、ポリイミド−ポリイミドブロック共重合体(A−3−2−a)を得た。
[比較合成例7]
窒素ガス雰囲気の下で、窒素ガス導入口、撹拌器、加熱器、冷却器、温度計を備えた500mlの四つ口フラスコに、BCDAを2.26g(0.005mol)、PDAを5.27g(0.04875mol)、NMPを100g加えた。室温で撹拌し、BCDAとPDAをNMPに溶解させた。BTDAを15.95g(0.0495mol)、NMPを35g更に加え、室温で2時間、反応を続けさせた。その後、ポリマーを沈殿させるため、反応溶液を1500mlの水に注いだ。ろ過後に得られたポリマーを真空オーブンで60℃の温度で乾燥させ、ポリアミック酸(A−1−e)を得た。
更に、窒素ガス雰囲気の下で、窒素ガス導入口、撹拌器、加熱器、冷却器、温度計を備えた500mlの四つ口フラスコに、BCDAを2.26g(0.005mol)、DDMを8.92g(0.045mol)、NMPを100g加えた。室温で撹拌してBCDAとDDMをNMPに溶解させた。BTDAを16.27g(0.0505mol)、NMPを55g更に加え、室温で2時間反応を続けさせた。94gのNMP、15gの無水酢酸及び12gのピリジンを更に加え、110℃で2時間撹拌を続け、イミド化反応を行わせた。その後、ポリマーを沈殿させるため、反応溶液を1500mlの水に注いだ。ろ過後に得られたポリマーを真空オーブンで60℃の温度で乾燥させ、ポリイミド(A−2−e)を得た。
窒素ガス雰囲気の下で、窒素ガス導入口、撹拌器、加熱器、冷却器、温度計を備えた500mlの四つ口フラスコに、ポリイミド(A−2−e)を3g、NMPを17g加えた。室温で撹拌してポリイミド(A−2−e)をNMPに溶解させる。更に3gのポリアミック酸(A−1−e)と17gのNMPを加え、60℃で6時間反応させた。その後、ポリマーを沈殿させるため、反応溶液を1500mlの水に注いだ。ろ過後に得られたポリマーを真空オーブンで60℃の温度で乾燥させ、ポリアミック酸−ポリイミドブロック共重合体(A−3−3−a)を得た。
[合成例1]
比較合成例1で得られた100重量部のポリアミック酸(A−1−a)を、850重量部のアセトンと150重量部のNMPの共溶媒系に加えた。撹拌を30分間行った。ろ過後に得られた沈殿物を60℃の真空オーブン内に置き、残留溶媒を除去して、ポリアミック酸(A−1−a’)を得た。
[合成例2]
比較合成例2で得られた100重量部のポリアミック酸(A−1−b)を、900重量部のアセトンと100重量部のNMPの共溶媒系に加えた。撹拌を30分間行った。ろ過後に得られた沈殿物を60℃の真空オーブン内に置き、残留溶媒を除去した。上述の溶解、沈殿、除去のプロセスを二回行い、ポリアミック酸(A−1−b’)を得た。
[合成例3]
比較合成例3で得られた100重量部のポリイミド(A−2−a)を、800重量部のアセトンと200重量部のNMPの共溶媒系に加えた。撹拌を30分間行った。ろ過後に得られた沈殿物を60℃の真空オーブン内に置き、残留溶媒を除去した。上述の溶解、沈殿、除去のプロセスを三回行った。これにより得られた沈殿物を950重量部のアセトンと50重量部のNMPの共溶媒系に加え、撹拌を30分間行った。ろ過後に得られた沈殿物を60℃の真空オーブン内に置き、残留溶媒を除去した。上述の溶解、沈殿、除去のプロセスを三回行い、ポリイミド(A−2−a’)を得た。
[合成例4]
比較合成例4で得られた100重量部のポリイミド(A−2−b)を、800重量部のアセトンと200重量部のNMPの共溶媒系に加えた。撹拌を30分間行った。ろ過後に得られた沈殿物を60℃の真空オーブン内に置き、残留溶媒を除去した。上述の溶解、沈殿、除去のプロセスを四回行った。これにより得られた沈殿物を900重量部のアセトンと100重量部のNMPの共溶媒系に加え、撹拌を30分間行った。ろ過後に得られた沈殿物を60℃の真空オーブン内に置き、残留溶媒を除去した。上述の溶解、沈殿、除去のプロセスを五回行い、ポリイミド(A−2−b’)を得た。
[合成例5]
比較合成例5で得られた100重量部のポリアミック酸ブロック共重合体(A−3−1−a)を、500重量部のテトラヒドロフラン、400重量部のアセトン、100重量部のNMPの共溶媒系に加えた。撹拌を30分間行った。ろ過後に得られた沈殿物を60℃の真空オーブン内に置き、残留溶媒を除去した。上述の溶解、沈殿、除去のプロセスを三回行い、ポリアミック酸ブロック共重合体(A−3−1−a’)を得た。
[合成例6]
比較合成例6で得られた100重量部のポリイミド−ポリイミドブロック共重合体(A−3−2−a)を、700重量部のテトラヒドロフラン、200重量部のアセトン、100重量部のNMPの共溶媒系に加えた。撹拌を30分間行った。ろ過後に得られた沈殿物を60℃の真空オーブン内に置き、残留溶媒を除去した。上述の溶解、沈殿、除去のプロセスを四回行い、ポリイミド−ポリイミドブロック共重合体(A−3−2−a’)を得た。
[合成例7]
比較合成例7で得られた100重量部のポリアミック酸−ポリイミドブロック共重合体(A−3−3−a)を、600重量部のテトラヒドロフラン、300重量部のアセトン、100重量部のNMPの共溶媒系に加えた。撹拌を30分間行った。ろ過後に得られた沈殿物を60℃の真空オーブン内に置き、残留溶媒を除去した。上述の溶解、沈殿、除去のプロセスを四回行い、ポリアミック酸−ポリイミドブロック共重合体(A−3−3−a’)を得た。
[液晶配向剤と液晶表示素子の調製]
以下の実施例と比較例において、液晶配向剤と液晶表示素子を調製し、次の評価方法によって評価した。
[評価方法]
1.ろ過液中の固体成分の分析:
調製した液晶配向剤とメタノールを1:6の重量比で混合し、第一の固体沈殿物を含む第一の混合剤を得る。第一の固体沈殿物は第一の混合剤を孔径0.2μmのフィルター(Critical Process Filtration社製、型番はETM、PTFE材質、孔径0.2μm)を用いてろ過することで取り出され、オーブン中で60℃の温度で12時間乾燥させ、乾燥固体を得る。この乾燥固体の重量を測定し、重量値Wとする。
この乾燥固体とNMPを1:15の重量比で混合し、溶液を得る。この溶液をアセトンと1:6の重量比で混合し、第二の固体沈殿物を含む第二の混合剤を得る。第二の固体沈殿物は第二の混合剤を孔径0.2μmのフィルター(Critical Process Filtration社製、型番はETM、PTFE材質、孔径0.2μm)を用いてろ過することで取り出される。このろ過液の重さを測定し、重量値WLとする。
5mlのろ過液をアルミニウム盤に置き、ヒーターで225℃で30分間乾燥する。アルミニウム盤の重量(W)、乾燥前のアルミニウム盤とろ過液の総重量(W)、乾燥後のアルミニウム盤と固体残留物の総重量(W)を測定する。ろ過液中の固体成分は下記の式1と式2により計算され、値WLSとして表される。
TS = [(W−W)/(W−W)]× 100% (式1)
LS = W × TS (式2)
ここで、TSはろ過液中の固体成分のパーセンテージを表す。このWLSの値をWの値で除算して、重量比(T)は計算する。
2.プレチルト角
「T.J.Scheffer,et.al.,J.Appl.Phys.,vol.19,2013(1980)」に記載の方法に基づき、He−Neレーザー光を用いた結晶回転法で液晶配向膜のプレチルト角を測定した。該測定には、CHUO PRECISION INDUSTRIAL社製、型番はOMS−CM4RDを使用した。
3.残像
液晶表示素子に直流3.0V、交流6.0V(ピーク−ピーク)を重畳した30Hz、3.0Vの矩形波を70℃の環境温度で20時間印加した後、電圧を解除して、目視により、残像現象が消去するまでの時間を測定した。
「○」は、残像現象が消去するまでの時間が20秒以下であることを意味し、「△」は、残像現象が消去するまでの時間が20秒から90秒の間であることを意味し、「×」は、残像現象が消去するまでの時間が90秒以上であることを意味する。
[実施例1]
合成例1で得られた100重量部のポリアミック酸(A−1−a’)を1250重量部のNMPと250重量部のエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(以下、BCと称する)の共溶媒に室温で溶解させ、配向剤溶液を得た。
配向剤溶液をITO(インジウムスズ酸化物)ガラス基板上に印刷機(Japan Nissha Printing社製、型番はS15−036)を用いて塗布し、配向剤溶液で塗布されたITOガラス基板を100℃のホットプレート上に5分間でプレベーク処理を行い、220℃のオーブンにおいて30分間でポストベーク処理を行い、ITOガラス基板に膜を形成した。膜厚測定装置(KLA−Tencor社製、型番はAlpha−step500)を用いて膜厚が、約800±200Åであると測量した。
液晶膜配向装置(Iinuma Gauge Mfg.社製、型番はRM02−11)を用いて膜表面の配向処理を行った。スデージの移動速度50mm/sec、毛足押し込み長さ0.3mmで、一方へ一回ラビング処理を行った。液晶配向膜でそれぞれ塗布された二枚のガラス基板は上述の工程で製造した。熱圧接着剤が一枚のガラス基板に塗布され、もう一枚のガラス基板には4μmのスペーサーを付着して、二枚のガラス基板が相対し、かつ、ラビング方向が90度ねじれた状態で重ね合わせた。熱圧装置を用いて10kgの圧力をかけ、150℃で熱加圧処理を行った。液晶は液晶注入装置(Shimadzu社製、型番はALIS−100X−CH)を用いて注入し、液晶注入口を封止するため、紫外線光を用いて紫外線硬化剤を硬化させ、オーブンにて60℃で30分間アニール処理を行った。このようにして液晶表示素子を製造した。
このようにして得られた液晶配向剤と液晶表示素子を上述の評価方法に基づいて評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例2〜10]
実施例2〜10は、実施例1と同一の方法により、表1に示すポリマー(A)、有機溶媒(B)、添加剤(C)を用いて行われた。実施例2〜10によって得られた液晶配向剤と液晶表示素子を上述の評価方法に基づいて評価した。評価結果を表1に示す。なお、実施例2と実施例4においては配向処理が省略されていることに留意すべきである。
[比較例1〜8]
比較例1〜8は、実施例1と同一の方法により、表1に示すポリマー(A)、有機溶媒(B)、添加剤(C)を用いて行われた。比較例1〜8によって得られた液晶配向剤と液晶表示素子を上述の評価方法に基づいて評価した。評価結果を表1に示す。なお、比較例2と比較例4においては、配向処理が省略されていることに留意すべきである。
Figure 0005296135
表1に示すように、残像現象が消去するまでの時間は、比較例1〜7において90秒を超えており、比較例8においては、20〜90秒となっている。一方、実施例1〜10までの全ての例において、残像現象が消去するまでの時間が20秒を下回っている。これにより、本発明の液晶配向剤の使用によって、残像問題が大幅に改善されたことが示された。さらに、表1に示すように、本発明の液晶配向膜のプレチルト角は、一般に使用されている液晶配向膜と大きく異なることもなく、工業基準にも沿ったものとなっている。
本発明について、最も実用的かつ好ましい実施形態により以上の通り説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、すべての修正や同様の形態を包含するように、最も広い解釈の精神と範囲内の様々な形態を含んでいると理解すべきものである。

Claims (14)

  1. 下記のステップ(1)及び(2)を含むことを特徴とする、液晶配向剤用の処理済ポリマーの製造方法。
    (1)ポリアミック酸、ポリイミド、ポリイミド系ブロック共重合体、及び、これらのポリマーの末端変性ポリマー、及び、これらのポリマーの組み合わせからなる群から選ばれる処理前ポリマー、を生成するステップ;
    (2)ケトン、エーテル、及び、これらの組み合わせからなる群から選ばれる貧溶媒を、全溶媒1000重量部に対して700〜950重量部含有し、かつ、上記処理前ポリマーを溶解可能な良溶媒を前記1000重量部に対する残量として含有する共沈溶媒を、ステップ(1)で得られた処理前ポリマーと接触させることにより得られる固形物を、小分子量のポリマーが除去された処理済みポリマーとして得るステップ。
  2. 処理前ポリマーであるポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物化合物とジアミン化合物を反応させて生成されたポリアミック酸であり、その他の処理前ポリマーは当該ポリアミック酸を用いて生成されたポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 処理前ポリマーであるポリイミド系ブロック共重合体は、ポリアミック酸ブロック共重合体、ポリイミドブロック共重合体、ポリアミック酸−ポリイミドブロック共重合体からなる群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 良溶媒は、非プロトン系極性溶媒、及び/又は、フェノール系溶媒であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 共沈溶媒における貧溶媒及び良溶媒の比率は、貧溶媒が当該共沈溶媒1000重量部に対して800〜900重量部、であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 貧溶媒のケトンとして、アセトンを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 貧溶媒のエーテルとして、テトラヒドロフランを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られることを特徴とする、液晶配向剤用の処理済ポリマー。
  9. 請求項8に記載の処理済みポリマー、及び、当該処理済ポリマーを溶解するための有機溶媒を含有することを特徴とする、液晶配向剤。
  10. T値が1.0%以下(0%を含む)であることを特徴とする、請求項9に記載の液晶配向剤。
    当該T値は、以下のステップ(1)〜(4)にて計測される。
    (1)液晶配向剤とメタノールを1:6の重量比で混合して、第一の混合剤を得て、当該混合剤をフィルターを用いてろ過して、第一の固体沈殿物を取り出し、
    (2)当該第一の固体沈殿物を、オーブン中で60℃の温度で12時間乾燥させ、重量値Wを有する乾燥固体とし、
    (3)当該乾燥固体とN−メチル−2−ピロリドンを1:15の重量比で混合して、当該乾燥固体の溶液を得て、当該溶液とアセトンを1:6の重量比で混合して第二の混合剤を得て、当該混合剤をフィルターを用いてろ過して固体沈殿物を取り除いて、残ったろ液に含まれる固体成分の重量値WLSを測定し、
    (4)前記重量値WLSを前記重量値Wで除算することにより、百分率としてT値が得られる。
  11. T値は、0.9%以下(0%を含む)であることを特徴とする、請求項10に記載の液晶配向剤。
  12. T値は、0.8%以下(0%を含む)であることを特徴とする、請求項10に記載の液晶配向剤。
  13. 請求項9〜12のいずれかに記載の液晶配向剤で製造されたことを特徴とする、液晶配向膜。
  14. 請求項13に記載の液晶配向膜を備えることを特徴とする、液晶表示素子。
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