JP5293625B2 - シリコン単結晶の製造方法及びシリコン単結晶の製造装置 - Google Patents
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Description
このCZ法による単結晶の成長においては、種結晶の引き上げ開始後、無転位結晶を得るために種結晶より細く成長させる絞り工程を行うが、融液表面の温度が高すぎると、単結晶部分と融液面が切り離れてしまい、単結晶の成長を行うことができない。また、融液表面の温度が低すぎると、単結晶が細くならずに無転位結晶が得られない。このため、CZ法では、種付け時の融液表面温度と引き上げ開始の決定が非常に重要である。
このように、凸形状の高さを測定することで、形状を数値化することができ、その高さによりシリコン融液の温度を調節できるため、よりバラツキが小さく、温度調節が容易になる。
このように、着液された種結晶とシリコン融液との界面を、TVカメラで撮影することにより観察し、撮影した画像で界面の凸形状を画像処理装置により検出して凸形状の高さを測定し、測定した凸形状の高さを基にシリコン融液の温度を調節することで、より精度高くシリコン融液の温度調節が可能で、シリコン融液の温度調節の自動化も可能となる。
このように、予め、着液された種結晶とシリコン融液との界面の凸形状の高さと、シリコン融液の温度との間の関係を調べて、実際のシリコン単結晶の製造において、測定した凸形状の高さと予め調べた関係を基にシリコン融液の温度を調節することで、シリコン融液の温度をより効率的かつ精度良く適正温度に調節することができる。
図5に示すように、従来では、シリコン単結晶の製造において、種付けの際のシリコン融液103の温度を調節するために、シリコン単結晶の製造装置100のルツボ104内のシリコン融液103の温度を湯面温度計102で測定し、さらに、ヒータ105の温度をヒータ温度計101で測定していた。これらの測定値を基に温度調整するが、実際の湯面温度と測定値はズレがあり、このため作業者の目視でシリコン融液103の適正温度を判断し温度調節して、種結晶の着液及び絞りを行っていた。このため、シリコン融液103の温度調節に時間がかかったり、作業者の判断が誤っていた場合には絞りが失敗したりする問題があった。
この知見を基に、本発明者らは、再現性良く、効率的にシリコン融液の温度調節することができる以下のような本発明に想到した。
図1は、本発明のシリコン単結晶の製造装置の実施態様の一例を示す概略図である。図2は、着液させた角柱形状の種結晶とシリコン融液との界面の形状を示す概略図である。図3は、本発明のシリコン単結晶の製造方法において、着液させた角柱形状の種結晶とシリコン融液との界面の形状を撮影した画像を処理する際のフロー図である。図4は、本発明のシリコン単結晶の製造方法において、回転する角柱形状の種結晶の正面画像を抽出する方法を説明するための説明図である。
このようなシリコン単結晶の製造装置であれば、種結晶を着液した際の界面形状をTVカメラで撮影、処理装置で画像処理することにより数値化して、制御装置でシリコン融液の温度を調整することができるため、再現性良く、誰にでも容易に最適な融液温度に調整できるため、温度調整の失敗による損失時間を無くすことが可能な装置となる。また、本発明の装置を用いる際に、角柱形状の種結晶で単結晶を成長させれば、シリコン融液との界面の凸形状の高さが融液温度によって一定になり、再現性良くシリコン融液の温度調節ができる。従って、その後の単結晶の育成においても、所望の引き上げ速度で成長させることができ、単結晶の品質も安定化させることができる。
シリコン単結晶の製造では、まず、ルツボ20内に多結晶シリコン原料を充填して、ヒータ15により加熱して融解しシリコン融液19とする。そして、そのシリコン融液19に角柱形状の種結晶22を着液させて種付けを行う。
このように、撮像手段により観察した種結晶とシリコン融液との界面の形状を基にシリコン融液の温度を調節すれば、簡易な方法で、効率的かつ精度高く適正な温度に調節することができる。
また、種結晶22が角柱形状であるため、シリコン融液19との界面の形状が、シリコン融液19の温度によって一定の形状になり、再現性良くシリコン融液の温度状態を知ることができる。
このように、界面の凸形状の高さを測定することで数値化して、それを基にシリコン融液の温度を調節できるため、より簡易に精度良く温度調節することができる。
種結晶22が着液した状態でシリコン融液19の温度を調整すれば、界面の凸形状の高さがシリコン融液19の温度に追従して変化し、凸形状の高さが目標値となった時点で、シリコン融液19が適正温度に到達した事が判断できる。最適なシリコン融液温度での凸形状の高さは、炉内構造(ホットゾーン)や、使用する種結晶22の大きさにも影響されるが、例えば、1辺が10〜20mm程度の正四角柱の種結晶を使用する場合、凸形状の高さは1.0mm〜1.1mmとなる。
撮影した画像で界面の凸形状を画像処理装置17により検出して凸形状の高さを測定する方法としては、例えば図3に示すように、まず、種結晶22の正面の画像を抽出して(図3(a))、種結晶22とシリコン融液19との高輝度の境界(メニスカスリング)を抽出し(図3(b))、当該境界の外周部分(エッジ)を検出(図3(b)での黒色から白色への変化点を検出)する。次に図3(c)のように、検出した形状(エッジ)の下端から中央の凸までの距離(高さ)を算出して出力する。以上のように、画像処理して凸形状の高さを測定することができる(図3(d))。
ここで、種結晶22の正面以外の画像でも、本発明では温度調節が可能であるが、正面であれば、より再現性の良い温度調節ができる。
また、種結晶22についても、角柱形状であれば、特に限定されないが、上記した四角柱であれば凸形状が明確に出易く、より高い精度でシリコン融液の温度調節ができる。
予め調べた界面の凸形状の高さとシリコン融液温度との関係を基にシリコン融液の温度を調節することで、より再現性良く効率的に温度調節することができる。
(実施例、比較例)
まず、一辺が15mmの正四角柱の種結晶を用意して種付けから絞り工程までを、図5に示す従来の製造方法(比較例)と上記した本発明の製造方法(実施例)によりそれぞれ行った。
実施例、比較例ともに、種結晶をシリコン融液に着液させるまでは、光温度計の検出値から融液温度を調節した。
その後、比較例では、種付け状態を作業者が目視で判断して融液温度を調節して、種付け、絞りを行った。一方、実施例では、図1に示す本発明の装置によりTVカメラでシリコン融液と種結晶との界面を撮影して、画像処理装置により界面の凸形状の高さを検出、測定し、その高さを基に融液温度を調節して、種付け、絞りを行った。
一方、実施例では、種結晶着液後、種結晶と融液との界面形状を画像処理で検出した結果、凸形状の高さが0.8mmと測定され、その測定値を基に+5ポイント調節し、25分後に凸形状の高さは1.1mmで安定し、次工程の絞りを行い成功した。このように本発明では、短時間(1回の温度調節)で最適温度に調節できた。
ここで、絞り工程では、絞り直径を引上速度を可変させ制御しているが、融液温度が高ければ絞り直径が細くなるため引上速度を遅くし、温度が低ければ直径が太くなるため引上速度を速くしている。当然、融液温度が大きくずれると、絞りが切れたり、絞りが細くならず無転位化しないなどの失敗となる。
そこで、実施例、比較例では、融液温度の調節のみによる絞りの成否判定を行うために、コーン開始前(絞りの後半)の絞り直径と平均引上速度に以下の規定を設けて判定した。判定は、絞り直径3.5〜4.5mmで平均引上速度2.0〜4.0mm/minの範囲内で絞り工程ができた場合を成功とした。
12…チャンバー、 13…引上げワイヤー、 14…断熱部材、
15…ヒータ、 16…窓、 17…画像処理装置、 18…制御装置、
19…シリコン融液、 20…ルツボ、 21…種保持具、 22…種結晶。
Claims (3)
- 単結晶製造装置内のルツボに多結晶シリコン原料を充填し、ヒータで加熱して多結晶シリコン原料を融解した後に、該シリコン融液に角柱形状の種結晶を着液して該種結晶の下方に単結晶を育成するチョクラルスキー法を用いたシリコン単結晶の製造方法であって、前記着液された種結晶と前記シリコン融液との界面を撮像手段であるTVカメラで撮影することにより観察し、該観察した界面が上方に凸形状であって、該界面の凸形状を画像処理装置により検出して、該検出した界面の凸形状の高さを測定し、該測定した凸形状の高さを基に前記シリコン融液の温度を調節することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
- 前記測定した凸形状の高さを基に前記シリコン融液の温度を調節する際に、予め、着液された種結晶とシリコン融液との界面の凸形状の高さと、前記シリコン融液の温度との間の関係を調べて、実際のシリコン単結晶の製造において、前記測定した凸形状の高さと前記予め調べた関係を基に前記シリコン融液の温度を調節することを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 単結晶製造装置内のルツボに多結晶シリコン原料を充填し、ヒータで加熱して多結晶シリコン原料を融解した後に該シリコン融液に角柱形状の種結晶を着液して該種結晶の下方に単結晶を育成するチョクラルスキー法を用いたシリコン単結晶の製造装置であって、少なくとも、
前記多結晶シリコン原料を充填するためのルツボと、前記多結晶シリコン原料を加熱して融解させるためのヒータと、前記ルツボ内のシリコン融液に着液させた種結晶と前記シリコン融液との界面を撮影するTVカメラと、前記TVカメラにより撮影された画像で前記界面の凸形状を検出して該凸形状の高さを測定する画像処理装置と、該測定した凸形状の高さを基にヒータパワーを制御する制御装置とを備えたものであることを特徴とするシリコン単結晶の製造装置。
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