JP6323382B2 - 単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、単結晶の製造方法に関する。
従来から各種単結晶が半導体装置等の材料に用いられている。単結晶として、例えば酸化アルミニウム単結晶は、青色LEDや白色LEDを作製する際のエピタキシャル成長用結晶基板として多く利用されている。これらのLEDは、省エネルギーの観点で照明分野への普及が拡大することが予想されており多方面から注目されている。
単結晶として良質で大型の単結晶を製造する方法には、チョクラルスキー法(Czochralski−Method)、キロプロス法(Kyropoulus−Method)などの溶融固化法があり工業的に用いられている。特にチョクラルスキー法は汎用性があり、技術的完成度が高いことから最も広く用いられている。
チョクラルスキー法によって単結晶を製造するには、まず坩堝に単結晶用原料を入れて、坩堝を加熱し原料を溶融する。そして、単結晶用原料が溶融した後、所定の結晶方位に切り出した種結晶を原料融液表面に接触させ、種結晶を所定の回転速度で回転させながら所定の速度で上方に引上げて単結晶を成長させる(例えば、特許文献1)。
しかし、単結晶をチョクラルスキー法で代表される溶融固化法で結晶成長させると、結晶中に小傾角粒界(以下、単に粒界という)が発生しやすい。例えば上述の様に青色LED等を作製する際のエピタキシャル成長用結晶基板となるウエハーに粒界が形成されていると、LED特性に悪影響を与えるため、粒界を含むウエハーは製品から除外する必要があった。このため、融液固化法により得られた単結晶インゴットから所望のエピタキシャル成長用結晶基板を歩留まり良く得ることが難しいとされていた。
結晶中に発生する粒界を低減し、良質な結晶とする方法として、溶融固化法で単結晶を育成する際、坩堝周囲の断熱材の構成及び坩堝とヒータの位置関係を調節し、単結晶引上げ軸方向に対する固液界面近傍の温度勾配を大きくする方法が知られている。しかし、固液界面近傍の温度勾配が大きな状態では、成長した結晶内の応力が大きくなり、内部応力が除去されないまま結晶を冷却した場合、結晶にクラックが発生することがある。また、クラックの無い結晶が得られた場合でもエピタキシャル成長用基板に加工する工程において結晶内の残留応力による基板の変形やクラックが発生し、歩留まりを大きく下げる原因となる。
そこで、応力の小さい単結晶を得る単結晶の製造方法として、結晶成長容器上に後加熱ゾーンを設けた成長装置中で、成長終了後に後加熱ゾーンに育成結晶を搬送させて熱処理を行うことが提案されている(特許文献2)。しかしながら、特許文献2に開示された単結晶の製造方法によれば、熱処理のためだけの後加熱ゾーンを成長装置内に設ける必要があり、成長装置が複雑で高コストになる。また、熱処理による処理時間が長くなるためエピタキシャル成長用基板のコストアップにつながるなどの問題がある。
このため、簡易で安価な装置構成でありながら、熱処理工程による処理時間が短くて済み、低コストでエピタキシャル成長用基板を得ることができる単結晶の製造方法が望まれている。
そこで本発明の発明者らは、成長終了時に、炉内温度を低下しながら原料融液が入ったルツボを下降させるとともに、成長済み酸化物単結晶の直胴部が加熱体の上端より下方になるように保持して、酸化物単結晶の切り離しを行う酸化物単結晶の製造方法を開示した(特許文献3)。
特許文献3に開示した酸化物単結晶の製造方法によれば、ルツボを下降させることによって、成長済み酸化物単結晶の直胴部の上端がルツボ側面に設けられた加熱体の上端より下方に位置するようにして酸化物単結晶と原料融液とを切り離すことができる。このため、結晶内の温度が均一となり、さらにこの状態を維持したまま冷却することによって、成長時に蓄積された結晶内部の応力を除去することができる。すなわち特許文献3に開示した酸化物単結晶の製造方法によれば、後加熱ゾーン等を設ける必要がなく、比較的安価で簡易な装置を用いて結晶内部の応力を除去できる。
しかしながら、坩堝周囲には断熱材やヒータが配置されており、開放部が非常に小さいため、単結晶を原料融液から切り離す際に、育成した単結晶が原料融液から切り離されたことを目視により観察することは困難である。このため、坩堝を下降させて切り離しを行う場合、オペレーターの経験等により行われており、育成した単結晶と原料融液とを完全に切り離すことができず、原料融液と育成した単結晶とが一体化した状態で固化し、育成した単結晶にクラックを生じる場合があった。
特開2007−246320号公報 特開2004−256388号公報 特開2009−242150号公報
そこで、本発明の一側面では、上記従来技術が有する問題に鑑み、引上げ法による単結晶の製造方法において、育成された単結晶を原料融液から確実に切り離すことができる単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、引上げ法による単結晶の製造方法であって、
坩堝内に形成した原料融液から単結晶を育成する単結晶育成工程と、
前記単結晶育成工程終了後に、前記坩堝を下降、および/または育成した単結晶を支持する引上げ軸を上昇させることで、前記育成した単結晶と、前記原料融液とを切り離す切り離し工程と、を有しており、
前記育成した単結晶と、前記原料融液とを切り離す前に、
前記単結晶育成工程で育成した単結晶の重量を測定する重量測定ステップと、
前記重量測定ステップで測定した、前記育成した単結晶の重量から、切り離しを行った際に前記坩堝内に残留する原料融液の高さを算出する原料融液高さ算出ステップと、
切り離しを行った際に、単結晶側面を伝う原料融液により前記育成した単結晶の底面に形成される滴状の結晶部の高さを算出する滴状結晶部高さ算出ステップと、を実施し、
前記切り離し工程での、前記坩堝の移動距離と前記引上げ軸の移動距離との合計が、前記原料融液高さ算出ステップで算出した切り離しを行った際に前記坩堝内に残留する原料融液の高さと、前記滴状結晶部高さ算出ステップで算出した前記滴状の結晶部の高さとを足し合わせた最低移動距離以上である単結晶の製造方法を提供することができる。
本発明の一態様によれば、引上げ法による単結晶の製造方法において、育成された単結晶を原料融液から確実に切り離すことができる単結晶の製造方法を提供することができる。
単結晶育成装置の構成例の説明図。 切り離し時に育成した単結晶の底面に形成される滴状に固化した結晶部の説明図。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
本実施形態の単結晶の製造方法の一構成例について以下に説明する。
本実施形態の単結晶の製造方法は、引上げ法による単結晶の製造方法に関する。
本実施形態の単結晶の製造方法は以下の工程を有することができる。
坩堝内に形成した原料融液から単結晶を育成する単結晶育成工程。
単結晶育成工程終了後に、坩堝を下降および/または育成した単結晶を支持する引上げ軸を上昇させることで、育成した単結晶と、原料融液とを切り離す切り離し工程。
さらに、育成した単結晶と、原料融液とを切り離す前に、以下の各ステップを実施できる。
単結晶育成工程で育成した単結晶の重量を測定する重量測定ステップ。
重量測定ステップで測定した、育成した単結晶の重量から、切り離しを行った際に坩堝内に残留する原料融液の高さを算出する原料融液高さ算出ステップ。
切り離しを行った際に、単結晶側面を伝う原料融液により育成した単結晶の底面に形成される滴状の結晶部の高さを算出する滴状結晶部高さ算出ステップ。
そして、上述の切り離し工程での、坩堝の移動距離と引上げ軸の移動距離との合計を、原料融液高さ算出ステップで算出した切り離しを行った際に坩堝内に残留する原料融液の高さと、滴状結晶部高さ算出ステップで算出した滴状の結晶部の高さとを足し合わせた最低移動距離以上にできる。
以下、本実施形態の単結晶の製造方法について具体的に説明する。
1.単結晶育成装置
本実施形態の単結晶の製造方法において、好適に使用できる単結晶育成装置の一構成例を図1に示す。図1は、単結晶育成装置10内に設置した坩堝11の中心軸を通る面における断面図を模式的に示したものである。
単結晶育成装置10内には単結晶用原料を入れるための坩堝11が備えられており、坩堝11は、上下動が可能な坩堝軸12の上に載置できる。
単結晶用原料を融解するための坩堝11の材質は、単結晶用原料の種類によって異なり、特に限定されるものではない。例えばサファイア単結晶を育成する場合、坩堝11としてはサファイア単結晶用原料の融点以上の耐熱性を有するイリジウム製、モリブデン製、タングステン製又はモリブデン−タングステン合金製等の坩堝を好ましく用いることができる。坩堝11のサイズについても特に限定されるものではなく、育成する単結晶のサイズに応じて所望のサイズのものを用いることができる。
坩堝11の周囲には、坩堝11内に充填した単結晶用原料を融解するための加熱体を設けることができる。図1に示した単結晶育成装置10の場合、加熱体として、坩堝11の側面に対向するように側面ヒータ13を、坩堝11の下方に円盤状のボトムヒータ14を、それぞれ配置した例を示している。なお、単結晶育成装置10ではボトムヒータ14を貫通するように既述の坩堝軸12が配置されている。
また、上述の坩堝11や、加熱体等は単結晶育成装置10のチャンバー16内に配置することができ、チャンバー16の内面に沿って断熱材15を設けることもできる。
そして、坩堝11の上方には上下動可能な引上げ軸17を断熱材15を貫通する形で配置できる。引上げ軸17には種結晶を取り付けることができる。
なお、種結晶は、純度が高い結晶であり、例えば、酸化アルミニウム結晶であれば、チョクラルスキー法、キロプロス法、HEM(Heat Exchanger Method)などの製造方法によって得られたものが好ましく、単結晶製品の用途によって適宜選択することができる。
坩堝軸12及び引上げ軸17を上下動させるために、それぞれに駆動用モータ18、19を配置できる。また、育成した単結晶22の結晶重量を計測するために引上げ軸17には重量測定部20を設けておくこともできる。
また、駆動用モータ18、19及び重量測定部20は制御部21に接続しておくこともできる。制御部21に駆動用モータ18、19及び重量測定部20を接続した場合、例えば重量測定部20で測定した、育成した単結晶22の重量データ等に基づいて制御部21で切り離しに必要な坩堝軸12及び引上げ軸17の移動距離を算出することができる。そして、制御部21が駆動用モータ18、19に対して指令を出すよう構成できる。
なお、単結晶育成装置の構成は上記構成に限定されるものではない。例えば、ボトムヒータ14を設けずに、側面ヒータ13についてL字型又はカップ型のヒータを用いてもよい。また、ボトムヒータ14が無く、円筒状の側面ヒータ13のみの構成とすることもできる。
また、単結晶育成装置を構成する部材は上述の部材に限定されるものではなく、必要に応じて各種部材をさらに設けることができる。例えば、チャンバー16内の雰囲気を制御するため、チャンバー16内を減圧する手段や、減圧度をモニターする手段、チャンバー16内に窒素または不活性ガス等のガスを供給するガス供給手段等を設けることもできる。また、各種温度測定手段や、チャンバー内を観察するための観察窓等を設けることもできる。
2.単結晶の製造方法
本実施形態の単結晶製造方法においては、引上げ法により単結晶を育成することができる。上述の図1に示した単結晶育成装置10を用いて単結晶を製造する場合を例に、以下に説明する。
(単結晶育成工程)
本実施形態の単結晶の製造方法は、坩堝内に形成した原料融液から単結晶を育成する単結晶育成工程を有することができる。単結晶育成工程は例えば以下のステップを含むことができる。
(1)原料融液形成ステップ
単結晶育成工程を実施するにあたって、まず原料融液を形成する原料融液形成ステップを実施できる。
原料融液形成ステップでは、単結晶育成装置10の坩堝11内に単結晶用原料を入れた後、側面ヒータ13およびボトムヒータ14により坩堝11を加熱して原料を溶融させ、原料融液23を形成できる。
単結晶用原料については育成する単結晶の種類により異なるため特に限定されない。本実施形態の単結晶製造方法においては酸化物の単結晶を好適に製造することができる。このため、単結晶用原料としては例えば酸化アルミニウム粉末やタンタル酸リチウム粉末、あるいは酸化ニオブ粉末をはじめ各種酸化物粉末を好適に用いることができる。
また、本実施形態の単結晶の製造方法においては、酸化物の単結晶の中でも特にサファイア単結晶をより好適に製造できる。このため、単結晶用原料として酸化アルミニウム粉末をより好適に用いることができる。
酸化アルミニウム粉末は、実質的にAlとOの2元素からなる酸化アルミニウムであるが、目的とする酸化アルミニウム単結晶の種類に合わせて、AlとOのほかに、Ti、Cr、Si、Ca、Mgなどを含んでいてもよい。ただし、このうちSi、Ca、Mgなどは、焼結助剤の成分として不可避的に含まれうるが、その含有量は極力少ないことが望ましい。特に、Siは10重量ppm以下であることが望ましい。
また、酸化アルミニウム粉末を用いる場合、その粒径や密度は特に制限されないが、取り扱い上、例えば粒径は10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。酸化アルミニウム粉末の密度は、α−アルミナの理論密度4g/cmに近いものが原料充填時に有利である。そのため、使用する酸化アルミニウム粉末の密度は2g/cm以上であることが好ましく、3g/cm以上であることがより好ましい。
上述の様に原料融液形成ステップでは、坩堝11に単結晶用原料を入れて、側面ヒータ13およびボトムヒータ14により坩堝11を加熱して単結晶用原料を溶融させることができる。単結晶用原料が融点に達するまでの加熱速度は、特に制限されるわけではないが、原料が不均一に融解する事で発生する突沸現象の発生を抑制するため、急速に加熱せずに長時間かけて徐々に加熱するほうがよい。そのため、例えば10時間以上、特に12時間以上かけて徐々に加熱することが望ましい。
そして、単結晶用原料が融解した後も、炉内温度を単結晶用原料の融点よりも10℃〜20℃高い温度で加熱を継続することが好ましい。係る温度域で加熱を継続する時間は特に限定されるものではないが、例えば3時間以上継続することが好ましく、5時間以上継続することがより好ましい。このときの温度測定は、例えば加熱体の外周にある断熱材15に差し込まれた図示しない熱電対を用いて行うことができる。
原料融液形成ステップにおけるチャンバー16内の雰囲気は特に限定されるものではなく、チャンバー16内の構成物の材料や、育成する単結晶の種類等に応じて任意に選択することができる。
ただし、チャンバー16内に酸素を導入すると、チャンバー16内の構成物の材質によっては酸化等する場合がある。特に加熱体が酸化し、急速に劣化する恐れがある。このため、原料融液形成ステップにおけるチャンバー16内の雰囲気は、酸素をほとんど含まない低酸素濃度雰囲気とすることが望ましい。例えば、チャンバー16内は不活性ガス雰囲気、または減圧雰囲気(真空雰囲気)とすることができる。
(2)シーディングステップ、単結晶育成ステップ
原料融液形成ステップにおいて、原料融液を形成した後、引上げ軸17を回転させながら、引上げ軸17に取付けた種結晶を原料融液23に接触させるシーディングステップを実施できる。シーディングステップを実施した後は、引上げ軸17を回転させながら、徐々に引上げる単結晶育成ステップを実施することで単結晶を育成することができる。
シーディングステップ、単結晶育成ステップにおける条件は特に限定されるものではなく、例えば常法に従い引上げ軸17の回転数や引上げ速度を調整してネック部および肩部を形成し、引き続き直胴部を形成することができる。この際、図示しない放射温度計などを用いて育成した単結晶22と原料融液23との界面近傍における原料融液23の表面の温度を測定し、加熱体(側面ヒータ13、ボトムヒータ14)の出力や、引上げ速度等を制御することが好ましい。
育成する結晶の結晶形状の調節は、育成中の結晶重量を測定し、直径や育成速度などを計算によって導き出し、引上げ軸17の回転速度や引上げ速度を調整して行うことができる。種結晶は例えば、0.2rpm〜20rpmで回転させるとよい。また、結晶重量を適当な時間間隔で測定し、その変化をフィードバックして原料融液23の融液温度をコントロールできる。
なお、育成する単結晶において粒界の発生を抑制するためには、固液界面近傍における引上げ軸の軸方向、すなわち図1中のZ軸方向の温度勾配を大きくすることが好ましい。そのため、坩堝11は固液界面近傍における側面ヒータ13からの輻射を遮るように坩堝上端11aが原料融液23の表面よりも十分に上方に位置するように坩堝に充填する単結晶用原料の量を調整したうえで結晶育成を開始することが好ましい。
なお、側面ヒータ13およびボトムヒータ14により坩堝11を加熱する際、側面ヒータ上端13aと坩堝上端11aとの高さ方向(図1中のZ軸方向)の位置が一致、又は坩堝上端11aが側面ヒータ上端13aよりも上方に位置するように両部材の位置を調整して単結晶育成を開始することが好ましい。これは、側面ヒータ上端13aと、坩堝上端11aとの高さ方向の位置を一致、又は坩堝上端11aを側面ヒータ上端13よりも上方とさせることで、単結晶育成工程終了後、後述する切り離し工程において、育成した単結晶22と原料融液23との切り離しが行いやすくなるためである。
(切り離し工程)
単結晶育成工程により充分に単結晶が育成した後、坩堝11を下降および/または育成した単結晶22を支持する引上げ軸17を上昇させることで、育成した単結晶22と原料融液23とを切り離す切り離し工程を行うことができる。
既述のように、坩堝周囲には断熱材やヒータが配置されており、開放部が非常に小さいため、育成した単結晶を原料融液から切り離す際に育成した単結晶が原料融液から切り離されたことを目視により観察することは困難である。このため、坩堝を下降させて切り離しを行う場合、オペレーターの経験等に基づいて行う必要があり、育成した単結晶と原料融液とを完全に切り離すことができていない場合もあった。
上記従来技術の課題を解決する方法について、本発明の発明者らは鋭意研究を重ね、単結晶の成長過程を調べた。その結果、育成した単結晶は、原料融液が30%〜50%結晶化した段階で、例えば図1に示すように坩堝11の底近傍まで単結晶22が成長していることを確認した。このため、結晶を原料融液から切り離す場合には、坩堝内容積と残りの原料融液重量から算出される、切り離しを行った際に坩堝11内に残留する原料融液の高さ以上の切り離し距離が必要であることが分かった。
また、本発明の発明者らの検討によれば、切り離しにより原料融液から、育成した単結晶を離隔した際、育成した単結晶の表面のうち、原料融液に浸漬していた部分に表面張力により付着した原料融液が存在する。
育成した単結晶表面に付着した上述の原料融液は、切り離しを行った際に重力を受けて単結晶側面を伝い坩堝内へと流れ落ちる。そして、原料融液は育成した単結晶の側面を流れ落ちる際、育成した単結晶22の底面に滴状に滞留する。育成した単結晶22の底面に滴状に滞留した原料融液は、切り離し後の冷却による温度低下のため固化し、図2に示すように育成した単結晶22の底面に滴状に固化した結晶部222が形成される。
そのため、切り離し後の段階の育成した単結晶22の長さは、上記滴状に固化した結晶部222の高さDの長さの分だけ長くなる。
以上に説明した本発明の発明者らの検討結果から、切り離し工程では、切り離しを行う際に坩堝11内に残っている原料融液の高さ(L)と、滴状に固化した結晶部の高さ(D)との合計の距離(以下、最低移動距離ともいう)以上に移動させることが好ましい。
以上の本発明の発明者らの得た知見に基づいて、切り離し行程において切り離しに必要な坩堝軸12及び引上げ軸17の移動距離(切り離し距離)の算出方法について以下に説明する。
具体的には、育成した単結晶と、原料融液とを切り離す前に以下のステップを実施することで、切り離しに必要な坩堝軸12および/または引上げ軸17の移動距離を算出できる。
なお、説明の便宜上切り離し工程の中で説明しているが、以下のステップのうち、重量測定ステップ、原料融液高さ算出ステップ、滴状結晶部高さ算出ステップは育成した単結晶と原料融液とを切り離す前に実施していればよい。このため、これらのステップは切り離し工程内のステップとして実施する必要はない。例えば、単結晶育成工程において、育成した単結晶の重量を測定し、その測定値により単結晶育成工程の終了を判定することもできる。このため、切り離し工程内で以下の重量測定ステップを実施せずに、単結晶育成工程の最後に実施した重量測定ステップでの測定値を以後の原料融液高さ算出ステップ、滴状結晶部高さ算出ステップでのパラメータとして用いることもできる。
(1)重量測定ステップ
重量測定ステップでは、単結晶育成工程で育成した単結晶22の結晶重量を測定することができる。
育成した単結晶22の結晶重量は、重量測定部20で測定することができる。ただし、育成した単結晶22が原料融液23内に浸漬した状態で測定することになるため、重量測定部20で測定した結晶重量は、育成した単結晶22が原料融液23から浮力を受けた重量(m)となっている。そのため、測定した浮力を受けた重量(m)と、過去の結晶育成の結果と、から推定した真の結晶重量(M)を算出し、真の結晶重量を用いて後述のステップを実施することが好ましい。真の結晶重量(M)の推定には、例えば、浮力を受けた重量(m)と真の結晶重量(M)との関係を予め図示し、近似曲線を求め、浮力を受けた重量(m)から真の結晶重量(M)を求めることができる。
(2)原料融液高さ算出ステップ
原料融液高さ算出ステップでは、上記重量測定ステップで測定した、育成した単結晶の重量から、育成した単結晶と原料融液との切り離しを行った際に坩堝内に残留する原料融液の高さを算出できる。
具体的には、まず、坩堝内に仕込んでいた単結晶用原料の重量と、重量測定ステップで測定、算出した育成した単結晶の結晶重量とから坩堝内の残原料融液重量及び体積が計算できる。そして、係る計算結果と、予め測定しておいた坩堝の内容積とから、切り離しを行った際に坩堝内に残留する原料融液の高さ(L)を計算することができる。
なお、重量測定ステップで既述の様に、計算に当たって育成した単結晶の結晶重量としては真の結晶重量(M)を用いることが好ましい。
(3)滴状結晶部高さ算出ステップ
滴状結晶部高さ算出ステップでは、育成した単結晶と原料融液との切り離しを行った際に、単結晶側面に付着した原料融液が垂れ、単結晶の側面を伝う原料融液により、育成した単結晶の底面に形成される滴状の結晶部の高さを算出することができる。
本発明の発明者らの検討によると、図2に示した滴状の結晶部222の高さDは、切り離し後に育成した単結晶表面に付着した原料融液の量により決定される。つまり、切り離し直前の原料融液に浸漬している育成した単結晶22の表面積が大きいほど、切り離し後に育成した単結晶表面を伝って流れ落ちる原料融液量が多くなり、育成した単結晶の底面に形成される滴状に固化した結晶部の高さが長くなる。このため、滴状の結晶部222の高さDは育成した単結晶22の重量に比例する。そこで、重量測定ステップで測定した育成した単結晶の重量から、滴状の結晶部の高さDを算出することができる。ここでの結晶重量についても真の結晶重量(M)を用いることが好ましい。
なお、育成した単結晶の重量から、育成した単結晶の直径を算出することもできる。そして、育成した単結晶の直径と、滴状の結晶部の高さDとも比例関係を有する。このため、育成した単結晶の重量から、育成した単結晶の直径を算出し、育成した単結晶の直径から滴状の結晶部の高さDを算出することもできる。
また、滴状の結晶部の高さDと、育成した単結晶の重量(直径)との関係式は育成する単結晶の種類等により異なるため、育成する単結晶について予備試験等を実施し、求めておくことができる。
(4)切り離しステップ
切り離しステップでは、坩堝11を下降および/または育成した単結晶22を支持する引上げ軸17を上昇させることで、育成した単結晶22を原料融液23から切り離すことができる。
切り離しステップでは、坩堝11の移動距離と引上げ軸17の移動距離との合計が、最低移動距離(L+D)以上となるように、坩堝11を下降および/または育成した単結晶22を支持する引上げ軸17を上昇させることができる。
なお、最低移動距離とは、既述のように原料融液高さ算出ステップで算出した切り離しを行った際に坩堝11内に残留する原料融液の高さ(L)と、滴状結晶部高さ算出ステップで算出した滴状の結晶部の高さ(D)との合計の距離となる。
ただし、切り離し後に側面ヒータ上端13aよりも育成した単結晶22の直胴部の上端221aが高い位置になるほど、育成した単結晶22のうちスライスしてウエハーとする直胴部221は温度勾配のついた領域で冷却されることとなる。このため、冷却中の単結晶の直胴部内での温度差が大きくなり、歪むことになり、単結晶の直胴部内に残留応力が生じ冷却中や加工中に結晶にクラックが生じる恐れがある。
そこで、切り離しステップにおいては、側面ヒータ13と育成した単結晶22との位置関係が変化しないように、原料融液が入った坩堝11を優先的に下げて切り離すことが好ましい。そして、坩堝11の可動距離を超えた場合に引上げ軸17を上昇させることが好ましい。すなわち、切り離し工程の切り離しステップにおいて、坩堝の下降できる距離の最大値が、上述の最低移動距離未満の場合に、引上げ軸も上昇させることが好ましい。
上述の様に切り離しステップにおいて坩堝11の下降を優先することで、側面ヒータ13と育成した単結晶22との位置関係は、単結晶の育成中の状態を保持できる。このため、切り離しステップによる結晶への急激な温度変化が避けられる。また、冷却中においても温度勾配が小さい領域で育成した単結晶22を冷却できるため、結晶内部の歪みを小さくすることが可能となる。
ここで、坩堝11の可動距離は通常、単結晶育成装置の構成に依存する。例えば図1に示した単結晶育成装置10の構成の場合、坩堝11は、切り離し直前の坩堝位置からボトムヒータ14と坩堝11の下端とが接触しない位置まで下げることが可能である。このように坩堝11の可動距離(C)は、坩堝11内の原料融液の高さ(L)によらず装置構成に応じて一定の値となる。なお、図1の単結晶育成装置10においては坩堝軸12を下方に引き下げることで坩堝11の位置を変位させることができる。
既述の様に、重量測定ステップで測定、算出した真の結晶重量(M)を用いて、既述の各ステップにより、坩堝内に残留する原料融液の高さ(L)、および滴状の結晶部の高さ(D)を算出し、最低移動距離(L+D)を算出できる。
ここで、坩堝内に残留する原料融液の高さ(L)、滴状の結晶部の高さ(D)、および坩堝11の可動距離(C)が、以下の式1の関係を満たす場合には、坩堝11の移動のみ、すなわち坩堝軸12の駆動のみで切り離しを実施することが可能である。このため、以下の式1の関係を満たす場合には、切り離しステップでは、上述の様に坩堝11の下降のみで切り離しを実施することが好ましい。
(C−D)≧L・・・(式1)
しかし、上記式1を満たさない場合、すなわち以下の式2を満たす場合、坩堝11の下降のみでは最低移動距離(L+D)には満たないこととなる。このため、切り離しステップでは坩堝11の下降に加えて、引上げ軸17を上昇させることが好ましい。なお、式2は例えば育成した単結晶の結晶重量(M)が小さく、坩堝11内に残留する原料融液の高さ(L)が大きくなる場合に満たすこととなる。Lが大きい場合、結晶重量(直径)が小さくなるため、切り離しステップや後述する冷却工程中の育成した単結晶22内部の温度差は小さくなる。このため、結晶内の歪みが小さくなるから、引上げ軸17を上昇させて、育成した単結晶を上昇させても問題ないことが本発明の発明者らの検討により分かった。
(C−D)<L・・・(式2)
ただし、式2を満たす場合でも、極力単結晶内に生じる温度勾配を小さくできるように、坩堝11の下降を優先して実施し、最低移動距離(L+D)に満たない分を引上げ軸17の上昇により補うことが好ましい。
このように坩堝11を可動距離(C)一杯まで下降させ、引上げ軸17の上昇で最低移動距離を達成する場合の引上げ軸17の移動距離(S)は以下の式3で表すことができる。
S=L−C+D・・・(式3)
なお、式1、式2から明らかな様に、式3においてS>0の場合には育成した単結晶22を原料融液23から切り離すために坩堝11の下降と、引上げ軸17の上昇とをあわせて行うことで最低移動距離を確保することができる。逆にS≦0の場合には引上げ軸17の上昇は行わずに、坩堝11の下降のみで最低移動距離を確保することが好ましい。
以上の切り離し工程は、単結晶育成工程が終了したことを自動的に判定した後、自動的に開始、実施することができる。
例えば、坩堝を支持する坩堝軸を駆動し、坩堝の位置を変位させる坩堝位置変位手段と、引上げ軸の位置を変位させる引上げ軸位置変位手段と、育成した単結晶の重量を測定する重量測定手段と、制御部とを備えた単結晶育成装置を用いることで自動的に実施できる。なお、坩堝位置変位手段と、引上げ軸位置変位手段と、重量測定手段とは、制御部に接続しておくことができる。
係る単結晶育成装置を用いて自動的に切り離し工程を開始し、実施する場合、まず、制御部は、重量測定手段からの信号に基づいて単結晶育成工程の終了を判断することができる。なお、例えば重量測定手段により測定した育成した単結晶の重量が所定値を超えた場合に、単結晶育成工程の終了の判断を行うことができる。
次いで、制御部は、上述の重量測定ステップ、原料融液高さ算出ステップ、及び滴状結晶部高さ算出ステップを実施できる。そして、坩堝の移動距離と、引上げ軸の移動距離との合計が、既述の最低移動距離以上となるように坩堝位置変位手段と、引上げ軸位置変位手段とを制御することで切り離し工程を実施できる。
この際の最低移動距離については既述のため、説明を省略する。
なお、図1に示した単結晶育成装置10の場合、上記坩堝位置変位手段、および引上げ軸位置変位手段はそれぞれ駆動用モータ18、19に当たる。また、上記重量測定手段が重量測定部20、上記制御部が制御部21に当たる。
このため、例えば図1に示した単結晶育成装置10を用いることで、自動的に切り離し工程を実施することができる。なお、切り離し工程に限定されるものではなく、さらに後述する冷却工程や、単結晶育成工程についても単結晶育成装置を構成する各部材を制御部により制御し、自動的に実施することもできる。
このように切り離し工程等を自動的に実施できるように構成することで、作業者による昼夜の監視なしに安定した大きさ(重量)の結晶の生産が可能となる。
切り離し工程を実施した後は、例えば育成した単結晶を冷却する冷却工程を開始することができる。
冷却工程における冷却条件は特に限定されるものではない、育成した単結晶のサイズ等に応じて、育成した単結晶にクラック等が生じない様に任意の冷却速度で室温まで冷却することができる。
育成した単結晶は用途に応じて所望の形状、表面特性となるように加工することもできる。具体的には例えば、結晶をスライスしてウエハー形状とし、主平面や、端面を所望の表面特性となるように研磨等することができる。
以上に説明した本実施形態の単結晶の製造方法によれば、従来見出されていなかった切り離し時に育成した単結晶の底部に形成される滴状の結晶部の高さを加味して切り離し距離を算出し、それに基づいて切り離しを実施している。このため、引上げ法による単結晶の製造方法において、育成された単結晶を原料融液から確実に切り離すことができる。
以下に具体的な実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示した単結晶育成装置10を用いて、以下の手順によりサファイア単結晶の製造を行った。
(単結晶育成工程)
(1)原料融液形成ステップ
内径370mmのモリブデン製の坩堝11に4N(99.99%)のAl原料を150kg投入した。その後、チャンバー16内をアルゴンガスで十分に置換した後、側面ヒータ13、およびボトムヒータ14に電力を供給し、Al原料を融解した。
(2)シーディングステップ、単結晶育成ステップ、重量測定ステップ
原料融解後、引上げ軸17に取り付けた種結晶を毎分0.5回転の速度で回転させながら原料融液に接触させ、引上げ速度0.4mm/hで引上げ軸17を上昇させて結晶育成を開始した。結晶育成中に育成した単結晶の結晶重量を重量測定部20により測定する重量測定ステップを30秒間隔で繰り返し実施した。原料融液23からの浮力を受けた状態で育成した単結晶の結晶重量が97kgとなったところで、換算した真の結晶重量が130kgであることを自動計算により算出、確認し、単結晶育成工程を終了した。
(切り離し工程)
(1)原料融液高さ算出ステップ
単結晶育成工程の最後に実施した重量測定ステップで算出した、育成した単結晶についての真の結晶重量から、切り離しを行った際に坩堝11内に残留する原料融液の高さ(L)は、63mmであることを制御部21により算出した。切り離しを行った際に坩堝11内に残留する原料融液の高さ(L)は、予め制御部21に入力しておいた坩堝11の内容積と、上述の重量測定ステップで算出した、育成した単結晶についての真の結晶重量と、を用いて算出している。
なお、本実施例で用いた単結晶育成装置において、坩堝の可動距離(C)は105mmであった。
(2)滴状結晶部高さ算出ステップ
また、育成した単結晶の結晶重量と、滴状の結晶部の高さDとの関係を予備試験により求めておいたところ、比例関係を示すことが確認された。そこで、予備試験の結果と、上記単結晶育成工程の最後に実施した重量測定ステップで算出した育成した単結晶についての真の結晶重量とから、滴状の結晶部の高さ(D)を算出したところ、40mmと算出された。
(3)切り離しステップ
以上の算出結果を式3(S=L−C+D)に当てはめ、S=63−105+40=−2mmという解を制御部21において算出した。係る結果によるとS≦0の関係を満たしており育成した単結晶と原料融液とを切り離すために引上げ軸の駆動は不要であることが制御部21において自動で判断された。
このため、制御部21から、坩堝軸12に接続された駆動用モータ18に対して指令を出し、坩堝軸12を駆動させ、坩堝11を105mm下降させ、結晶の切り離しを自動で実施した。
(冷却工程)
切り離し工程後、制御部21からの指令により自動で冷却工程を開始し、育成した単結晶を室温近くまで冷却し、単結晶育成装置10から育成した単結晶22を取り出した。
単結晶育成装置10から育成した単結晶を取出す際、坩堝11内に残っていた原料融液が固化したものと、育成した単結晶22とは分離しており、切り離し工程において適切に切り離しができていたことが確認できた。
育成した単結晶を取り出し、得られた結晶の外観観察を行って、クラックがないか確認を行った。また、結晶をウエハーにスライスし、X線トポグラフ像を観察してウエハー内の小傾角粒界を測定した。小傾角粒界が少ないほど良好な単結晶が育成されていることを示している。
その結果、重量130kgのクラックフリーの酸化アルミニウム単結晶が得られていることが確認できた。また、ウエハーにするため得られた結晶をスライスする加工したところ、加工中にもクラックは発生しないことが確認できた。
また、得られたウエハーについてX線トポグラフ像の観察の結果、小傾角粒界も観察されないことが確認できた。
[実施例2]
(単結晶育成工程)
坩堝の可動距離(C)が95mmである点を除いて、実施例1と同様の構成の単結晶育成装置を用い、実施例1の場合と同様にして単結晶育成工程を行った。そして、原料融液の浮力を受けた状態の結晶重量が85kg、換算した真の結晶重量が120kgであることを自動計算により算出、確認し、単結晶育成工程を終了した。
(切り離し工程)
単結晶育成工程の最後に実施した重量測定ステップで算出した、育成した単結晶についての真の結晶重量から、切り離しを行った際に坩堝11内に残留する原料融液の高さ(L)は、66mmであることを実施例1の場合と同様にして制御部21により算出した。
また、育成した単結晶の結晶重量と、滴状の結晶部の高さDとの関係を予備試験により求めておいたところ、比例関係を示すことが確認された。そこで、予備試験の結果と、上記単結晶育成工程の最後に実施した重量測定ステップで算出した育成した単結晶についての真の結晶重量とから、滴状の結晶部の高さ(D)を算出したところ、35mmと算出された。
以上の算出結果を式3に当てはめ、S=6mmという解を制御部21において算出した。S>0であることから、成長済みの結晶を原料融液から切り離すためには坩堝11の移動だけでは足りず、引上げ軸17についても6mm上昇させることを制御部21で決定した。
このため、制御部21から、坩堝軸12に接続された駆動用モータ18に対して指令を出し、坩堝軸12を駆動させ、坩堝11を95mm下降させ、引上げ軸17を6mm上昇させ、結晶の切り離しを自動で実施した。
切り離し工程後、自動で冷却工程を開始し、育成した単結晶を室温近くまで冷却し、単結晶育成装置から育成した単結晶22を取り出した。
単結晶育成装置10から育成した単結晶を取出す際、坩堝11内に残っていた原料融液が固化したものと、育成した単結晶22とは分離しており、切り離し工程において適切に切り離しができていたことが確認できた。
得られた単結晶について実施例1と同様にして評価を行ったところ、重量120kgのクラックフリーの酸化アルミニウム単結晶が得られていることが確認できた。この結晶を加工したところ、クラックは発生せず、小傾角粒界も観察されなかった。
[比較例1]
実施例2において、切り離しを行った際に坩堝11内に残留する原料融液の高さ(L)、及び滴状の結晶部の高さ(D)の算出を行わなかった。そして、切り離し工程において坩堝の可動距離(C)の95mm分だけ坩堝11を下降させ、引上げ軸17は上昇させなかった。以上の点以外は実施例2同様にしてサファイア単結晶の製造を行った。
冷却工程後、育成した単結晶を単結晶育成装置10から取り出そうとしたところ、坩堝11内に残っていた原料融液が固化したものと、育成した単結晶22とは一体化しており、切り離し工程で切り離しができていなかったことが確認できた。
得られた単結晶について実施例1と同様にしてクラックの有無の評価を行ったところ、得られた酸化アルミニウム単結晶にはクラックが含まれていることが確認できた。
11 坩堝
21 原料融液

Claims (5)

  1. 引上げ法による単結晶の製造方法であって、
    坩堝内に形成した原料融液から単結晶を育成する単結晶育成工程と、
    前記単結晶育成工程終了後に、前記坩堝を下降、および/または育成した単結晶を支持する引上げ軸を上昇させることで、前記育成した単結晶と、前記原料融液とを切り離す切り離し工程と、を有しており、
    前記育成した単結晶と、前記原料融液とを切り離す前に、
    前記単結晶育成工程で育成した単結晶の重量を測定する重量測定ステップと、
    前記重量測定ステップで測定した、前記育成した単結晶の重量から、切り離しを行った際に前記坩堝内に残留する原料融液の高さを算出する原料融液高さ算出ステップと、
    切り離しを行った際に、単結晶側面を伝う原料融液により前記育成した単結晶の底面に形成される滴状の結晶部の高さを算出する滴状結晶部高さ算出ステップと、を実施し、
    前記切り離し工程での、前記坩堝の移動距離と前記引上げ軸の移動距離との合計が、前記原料融液高さ算出ステップで算出した切り離しを行った際に前記坩堝内に残留する原料融液の高さと、前記滴状結晶部高さ算出ステップで算出した前記滴状の結晶部の高さとを足し合わせた最低移動距離以上である単結晶の製造方法。
  2. 前記切り離し工程において、前記坩堝の下降できる距離の最大値が、前記最低移動距離未満の場合に、前記引上げ軸も上昇させる請求項1に記載の単結晶の製造方法。
  3. 前記滴状結晶部高さ算出ステップにおいて、前記重量測定ステップで測定した前記育成した単結晶の重量から、前記滴状の結晶部の高さを算出する請求項1または2に記載の単結晶の製造方法。
  4. 前記坩堝を支持する坩堝軸を駆動し、前記坩堝の位置を変位させる坩堝位置変位手段と、
    前記引上げ軸の位置を変位させる引上げ軸位置変位手段と、
    前記育成した単結晶の重量を測定する重量測定手段と、
    前記坩堝位置変位手段と、前記引上げ軸位置変位手段と、前記重量測定手段と接続された制御部と、を有する単結晶育成装置を用いた単結晶の製造方法であって、
    前記制御部は、前記重量測定手段からの信号に基づいて前記単結晶育成工程の終了を判断した後、
    前記重量測定ステップ、前記原料融液高さ算出ステップ、及び前記滴状結晶部高さ算出ステップを実施し、
    前記坩堝の移動距離と、前記引上げ軸の移動距離との合計が、前記最低移動距離以上となるように前記坩堝位置変位手段と、前記引上げ軸位置変位手段とを制御して前記切り離し工程を実施する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の単結晶の製造方法。
  5. 前記切り離し工程を実施した後、育成した単結晶を冷却する冷却工程を開始する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の単結晶の製造方法。
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