JP2015205793A - 単結晶引き上げ方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】直胴部形成開始から単結晶を融液から切り離すまでの引き上げ時間を短縮し、有転位化させることなく単結晶を引き上げ、歩留まりを向上する。
【解決手段】直胴部C2を形成する第1の工程と、前記第1の工程後、直胴部形成の最終工程において結晶下端に下方に突出する下凸形状C3を形成する第2の工程と、前記第2の工程において形成された前記下凸形状を前記シリコン溶融液から切り離す第3の工程とを含み、前記第2の工程において、前記第1の工程よりも、水平磁場の磁束密度を800〜1000Gauss、結晶引き上げ速度を0.2〜0.5mm/min、結晶回転速度を1〜3rpmの範囲に低く制御し、ルツボ回転速度を0.5〜5rpmの範囲に制御する。
【選択図】図2
【解決手段】直胴部C2を形成する第1の工程と、前記第1の工程後、直胴部形成の最終工程において結晶下端に下方に突出する下凸形状C3を形成する第2の工程と、前記第2の工程において形成された前記下凸形状を前記シリコン溶融液から切り離す第3の工程とを含み、前記第2の工程において、前記第1の工程よりも、水平磁場の磁束密度を800〜1000Gauss、結晶引き上げ速度を0.2〜0.5mm/min、結晶回転速度を1〜3rpmの範囲に低く制御し、ルツボ回転速度を0.5〜5rpmの範囲に制御する。
【選択図】図2
Description
本発明は、チョクラルスキー法(以下、「CZ法」という)によって単結晶を育成しながら引き上げる単結晶引き上げ方法に関する。
シリコン単結晶の育成に関し、CZ法が広く用いられている。この方法にあっては、図4に示すように、溶解炉55内のサイドヒータ52の熱により石英ガラスルツボ50(以下、単にルツボ50と称する)内にシリコンの溶融液Mが形成される。そして、輻射シールド51に周囲を囲まれた領域において、溶融液Mの表面M1に種結晶Pを接触させ、ルツボ50を回転させるとともに、この種結晶Pを反対方向に回転させながら上方へ引き上げることによって、種結晶Pの下端に単結晶Cを形成していくものである。
具体的には、種結晶Pの先端部を溶解するネッキングが行われてネック部P1が形成され、ネック部P1から結晶径が拡径されて肩部C1が形成され、製品部分となる直胴部C2が形成される。
具体的には、種結晶Pの先端部を溶解するネッキングが行われてネック部P1が形成され、ネック部P1から結晶径が拡径されて肩部C1が形成され、製品部分となる直胴部C2が形成される。
ここで、直胴部C2が所定の長さに達すると、単結晶Cを溶融液Mから切り離す必要があるが、直胴部C2の太さの状態で切り離しを行うと、切り離した単結晶Cの下端部に急激な温度変化が生じ、単結晶内にスリップ転位が発生し、単結晶化率が低下する。
そのため、従来から、直胴部C2を形成した後、結晶径を徐々に絞ったテール部を形成し、単結晶Cと溶融液面M1との接触面を充分に小さくした状態で、単結晶Cを溶融液面M1から切り離す工程が行われている。
しかしながら、前記テール部の形成工程にあっては、工程時間が長い上、結晶径が小さいために製品として用いることができず、歩留まり低下の原因となっている。そのため、このテール部形成工程を短縮、或いは省略することが課題となっている。
そのため、従来から、直胴部C2を形成した後、結晶径を徐々に絞ったテール部を形成し、単結晶Cと溶融液面M1との接触面を充分に小さくした状態で、単結晶Cを溶融液面M1から切り離す工程が行われている。
しかしながら、前記テール部の形成工程にあっては、工程時間が長い上、結晶径が小さいために製品として用いることができず、歩留まり低下の原因となっている。そのため、このテール部形成工程を短縮、或いは省略することが課題となっている。
そのような課題に対し特許文献1には、直胴部形成後、ルツボの昇降を停止させた状態で、シリコン単結晶の引き上げを完全に停止し、溶融液に接する結晶下端(固液界面)の成長面全体を下方に突出する下凸形状に形成した後、単結晶を溶融液から切り離す方法が開示されている。
即ち、直胴部C2の引き上げ時においては、結晶下端の形状は結晶側に突出する上凸形状であるが、引き上げを停止することにより、結晶下端はフラットになり、その後、下方に突出する方向に成長することを利用している。
結晶下端に充分な凸形状が形成されたか否かの判断は、育成された単結晶の見かけの重量(シリコン単結晶の重量から溶融液の浮力を引いたもの)の変化をモニタし、重量の変化に基づき行われている。
このような単結晶引き上げ方法によれば、従来のテール部形成工程を実施するよりも単結晶の製造時間を短縮することができる。
即ち、直胴部C2の引き上げ時においては、結晶下端の形状は結晶側に突出する上凸形状であるが、引き上げを停止することにより、結晶下端はフラットになり、その後、下方に突出する方向に成長することを利用している。
結晶下端に充分な凸形状が形成されたか否かの判断は、育成された単結晶の見かけの重量(シリコン単結晶の重量から溶融液の浮力を引いたもの)の変化をモニタし、重量の変化に基づき行われている。
このような単結晶引き上げ方法によれば、従来のテール部形成工程を実施するよりも単結晶の製造時間を短縮することができる。
しかしながら、特許文献1に開示された単結晶引き上げ方法にあっては、結晶下端を下凸形状とするために、ルツボの昇降を停止し、且つ結晶引き上げを停止した状態を所定時間維持する必要があるため、従来のテール部形成工程を実施する場合よりも大幅に時間短縮できるものではなかった。
また、結晶下端に適正な凸形状が形成されたかの判断を、単結晶の見かけの重量変化を検出することにより行うため、重量測定の精度が低いと、適正な凸形状が得られず、結晶に転位を発生させてしまう虞があった。即ち、凸形状の形成が不十分の場合には、結晶下端部に急激な温度変化が生じ、単結晶内にスリップ転位が発生する虞があり、極端に尖った凸状態となった場合には、溶融液が過冷却となり有転位化する虞があった。
また、結晶下端に適正な凸形状が形成されたかの判断を、単結晶の見かけの重量変化を検出することにより行うため、重量測定の精度が低いと、適正な凸形状が得られず、結晶に転位を発生させてしまう虞があった。即ち、凸形状の形成が不十分の場合には、結晶下端部に急激な温度変化が生じ、単結晶内にスリップ転位が発生する虞があり、極端に尖った凸状態となった場合には、溶融液が過冷却となり有転位化する虞があった。
本発明は、前記したような事情の下になされたものであり、チョクラルスキー法によってルツボからシリコン単結晶を引き上げる単結晶引き上げ方法において、直胴部形成開始から単結晶を融液から切り離すまでの引き上げ時間を短縮し、有転位化させることなく単結晶を引き上げ、歩留まりを向上することができる単結晶引き上げ方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するためになされた、本発明に係る単結晶引き上げ方法は、ルツボ内にシリコン溶融液を形成し、前記シリコン溶融液に対し水平磁場を印加すると共に、チョクラルスキー法により前記シリコン溶融液からシリコン単結晶を引き上げる単結晶引き上げ方法であって、直胴部を形成する第1の工程と、前記第1の工程後、直胴部形成の最終工程において結晶下端に下方に突出する下凸形状を形成する第2の工程と、前記第2の工程において形成された前記下凸形状を前記シリコン溶融液から切り離す第3の工程とを含み、前記第2の工程において、結晶引き上げ速度を0.2〜0.5mm/minの範囲で結晶育成し、前記第1の工程よりも、水平磁場の磁束密度を800〜1000Gauss、結晶回転速度を1〜4rpmの範囲に低く制御し、ルツボ回転速度を0.5〜5rpmの範囲に制御することに特徴を有する。
尚、前記第2の工程において、結晶引き上げ速度を0.3〜0.5mm/minの範囲で結晶育成し、結晶回転速度を1〜3rpm、ルツボ回転速度を0.5〜3rpmの範囲に制御することが好ましい。
また、前記結晶下端に形成される下凸形状の鉛直方向の長さは、10〜30mmの範囲内であることが好ましい。
尚、前記第2の工程において、結晶引き上げ速度を0.3〜0.5mm/minの範囲で結晶育成し、結晶回転速度を1〜3rpm、ルツボ回転速度を0.5〜3rpmの範囲に制御することが好ましい。
また、前記結晶下端に形成される下凸形状の鉛直方向の長さは、10〜30mmの範囲内であることが好ましい。
このような方法によれば、直胴部形成過程において、結晶下端に下方に突出する下凸形状を短時間に形成することができる。
その結果、無転位の状態で変形させることなく単結晶を溶融液から切り離すことができ、直胴部形成開始から単結晶を融液から切り離すまでの引き上げ時間を大幅に短縮し、歩留まりを向上することができる。
その結果、無転位の状態で変形させることなく単結晶を溶融液から切り離すことができ、直胴部形成開始から単結晶を融液から切り離すまでの引き上げ時間を大幅に短縮し、歩留まりを向上することができる。
本発明によれば、チョクラルスキー法によってルツボからシリコン単結晶を引き上げる単結晶引き上げ方法において、直胴部形成開始から単結晶を融液から切り離すまでの引き上げ時間を短縮し、有転位化させることなく単結晶を引き上げ、歩留まりを向上することができる。
以下、本発明に係る単結晶引き上げ方法の実施形態について図面に基づき説明する。図1は本発明に係る単結晶引き上げ方法が実施される単結晶引き上げ装置の一部構成を示す断面図である。
この単結晶引き上げ装置1は、円筒形状のメインチャンバ10aの上にプルチャンバ10bを重ねて形成された炉体10を備え、この炉体10内に鉛直軸回りに回転可能、且つ昇降可能に設けられたカーボンサセプタ(或いは黒鉛サセプタ)2と、前記カーボンサセプタ2によって保持された石英ガラスルツボ3(以下、単にルツボ3と称する)とを具備している。
この単結晶引き上げ装置1は、円筒形状のメインチャンバ10aの上にプルチャンバ10bを重ねて形成された炉体10を備え、この炉体10内に鉛直軸回りに回転可能、且つ昇降可能に設けられたカーボンサセプタ(或いは黒鉛サセプタ)2と、前記カーボンサセプタ2によって保持された石英ガラスルツボ3(以下、単にルツボ3と称する)とを具備している。
前記ルツボ3は、直胴部3aと、その下に形成された底部3bと有しており、カーボンサセプタ2の回転と共に鉛直軸回りに回転可能となされている。
また、カーボンサセプタ2の下方には、このカーボンサセプタ2を鉛直軸回りに回転させる回転モータなどの回転駆動部14と、カーボンサセプタ2を昇降移動させる昇降駆動部15とが設けられている。
尚、回転駆動部14には回転駆動制御部14aが接続され、昇降駆動部15には昇降駆動制御部15aが接続されている。
また、カーボンサセプタ2の下方には、このカーボンサセプタ2を鉛直軸回りに回転させる回転モータなどの回転駆動部14と、カーボンサセプタ2を昇降移動させる昇降駆動部15とが設けられている。
尚、回転駆動部14には回転駆動制御部14aが接続され、昇降駆動部15には昇降駆動制御部15aが接続されている。
また単結晶引き上げ装置1は、ルツボ3に装填された半導体原料(原料ポリシリコン)を溶融してシリコン溶融液M(以下、単に溶融液Mと呼ぶ)とする抵抗加熱によるヒータ4と、ワイヤ6を巻き上げ、育成される単結晶Cを引き上げる引き上げ機構9とを備えている。前記引き上げ機構9が有するワイヤ6の先端には、種結晶Pが取り付けられている。
尚、サイドヒータ4には供給電力量を制御するヒータ駆動制御部4aが接続され、引き上げ機構9には、その回転駆動の制御を行う回転駆動制御部5aが接続されている。
尚、サイドヒータ4には供給電力量を制御するヒータ駆動制御部4aが接続され、引き上げ機構9には、その回転駆動の制御を行う回転駆動制御部5aが接続されている。
また、この単結晶引き上げ装置1においては、炉体2の外側に磁場印加用電磁コイル8が設置される。この磁場印加用電磁コイル8に所定の電流が印加されると、ルツボ3内のシリコン溶融液Mに対し所定強度の水平磁場が印加されるようになっている。磁場印加用電磁コイル8には、その動作制御を行う電磁コイル制御部8aが接続されている。
即ち、本実施形態においては、溶融液M内に磁場を印加して単結晶を育成するMCZ法(Magnetic field applied CZ法)が実施され、それによりシリコン溶融液Mの対流を制御し、単結晶化の安定を図るようになされる。
即ち、本実施形態においては、溶融液M内に磁場を印加して単結晶を育成するMCZ法(Magnetic field applied CZ法)が実施され、それによりシリコン溶融液Mの対流を制御し、単結晶化の安定を図るようになされる。
また、ルツボ3内に形成される溶融液Mの上方には、単結晶Cの周囲を包囲する輻射シールド7が配置されている。この輻射シールド7は、上部と下部が開口形成され、育成中の単結晶Cに対するサイドヒータ4や溶融液M等からの余計な輻射熱を遮蔽すると共に、炉内のガス流を整流するものである。尚、輻射シールド7の下端と溶融液面との間のギャップは、育成する単結晶の所望の特性に応じて所定の距離を維持するよう制御される。
また、この単結晶引き上げ装置1は、記憶装置11aと演算制御装置11bとを有するコンピュータ11を備え、回転駆動制御部14a、昇降駆動制御部15a、電磁コイル制御部8a、回転駆動制御部9aは、それぞれ演算制御装置11bに接続されている。
このように構成された単結晶引き上げ装置1において、例えば、直径300mmの単結晶Cを育成する場合、次のように引き上げが行われる。即ち、最初にルツボ3に原料ポリシリコン(例えば350kg)を装填し、コンピュータ11の記憶装置11aに記憶されたプログラムに基づき結晶育成工程が開始される。
先ず、炉体10内が所定の雰囲気(主にアルゴンガス雰囲気)となされ、ルツボ3内に装填された原料ポリシリコンが、サイドヒータ4による加熱によって溶融され、溶融液Mとされる。さらに、ルツボ3が所定の高さ位置において所定の回転速度(rpm)で回転動作される。
先ず、炉体10内が所定の雰囲気(主にアルゴンガス雰囲気)となされ、ルツボ3内に装填された原料ポリシリコンが、サイドヒータ4による加熱によって溶融され、溶融液Mとされる。さらに、ルツボ3が所定の高さ位置において所定の回転速度(rpm)で回転動作される。
次いで、磁場印加用電磁コイル8に所定の電流が流され、溶融液M内に1000〜4000Gaussの範囲内で設定された磁束密度(例えば3000Gauss)で水平磁場が印加開始される。
また、ワイヤ6が降ろされて種結晶Pが溶融液Mに接触され、種結晶Pの先端部を溶解するネッキングが行われ、ネック部P1が形成開始される(図2のステップS1)。
ネック部P1が形成されると、サイドヒータ4への供給電力や、引き上げ速度、磁場印加強度などをパラメータとして引き上げ条件が調整され、ルツボ3の回転方向とは逆方向に所定の回転速度で種結晶Pが回転開始される。
また、ワイヤ6が降ろされて種結晶Pが溶融液Mに接触され、種結晶Pの先端部を溶解するネッキングが行われ、ネック部P1が形成開始される(図2のステップS1)。
ネック部P1が形成されると、サイドヒータ4への供給電力や、引き上げ速度、磁場印加強度などをパラメータとして引き上げ条件が調整され、ルツボ3の回転方向とは逆方向に所定の回転速度で種結晶Pが回転開始される。
そして、結晶径が徐々に拡径されて肩部C1が形成され、製品部分となる直胴部C2を形成する第1の工程に移行する(図2のステップS2)。
直胴部C2の形成においては、例えば、引き上げ速度が0.6〜0.8mm/min、結晶回転速度が5〜8rpm、ルツボ回転速度が0.5〜1rpmの範囲に制御される。このような設定条件下において単結晶引き上げを行うことにより、直径300mmのシリコン単結晶を育成し引き上げることができる。尚、直胴部C2の引き上げ時の結晶下端の形状は、結晶側に突出する上凸形状となる。
直胴部C2の形成においては、例えば、引き上げ速度が0.6〜0.8mm/min、結晶回転速度が5〜8rpm、ルツボ回転速度が0.5〜1rpmの範囲に制御される。このような設定条件下において単結晶引き上げを行うことにより、直径300mmのシリコン単結晶を育成し引き上げることができる。尚、直胴部C2の引き上げ時の結晶下端の形状は、結晶側に突出する上凸形状となる。
シリコン単結晶Cの直胴部の形成が進むにつれ、ルツボ3を収容するカーボンサセプタ2は上昇移動され、位置固定された輻射シールド7及びサイドヒータ4に対する溶融液面M1の位置が維持される。
また、1000〜4000Gaussの範囲、より好ましくは2000〜3000Gaussで設定された磁束密度の磁場が印加されていることにより、溶融液Mの自然対流が抑制される。
また、1000〜4000Gaussの範囲、より好ましくは2000〜3000Gaussで設定された磁束密度の磁場が印加されていることにより、溶融液Mの自然対流が抑制される。
そして、直胴部C2が所定の長さまで形成されると、直胴部形成の最終工程である第2の工程に移行する(図2のステップS3)。尚、この第2の工程への移行は、結晶の固化率が0.7〜0.85の時点で行うことが好ましい。このような固化率の範囲であれば、結晶引き上げ後の残融液を十分に確保できるため、残融液に原料を再度追加し(リチャージ)、新たに結晶を引き上げることができる。また、歩留まりを低下させることなく、結晶を引き離すために十分な残融液を確保しながら結晶を引き離すことができる。
そして、この第2の工程においては、結晶引き上げ速度が0.2〜0.5mm/min、より好ましくは0.3〜0.5mm/minの範囲で単結晶の育成が継続され、水平磁場の磁束密度が800〜1000Gauss、結晶回転速度が1〜4rpm、より好ましくは1〜3rpmの範囲まで低下される。さらに、ルツボ回転速度が0.5〜5rpm、より好ましくは0.5〜3rpmの範囲に変更される。
そして、この第2の工程においては、結晶引き上げ速度が0.2〜0.5mm/min、より好ましくは0.3〜0.5mm/minの範囲で単結晶の育成が継続され、水平磁場の磁束密度が800〜1000Gauss、結晶回転速度が1〜4rpm、より好ましくは1〜3rpmの範囲まで低下される。さらに、ルツボ回転速度が0.5〜5rpm、より好ましくは0.5〜3rpmの範囲に変更される。
ここで、第1の工程から第2の工程に移行する際に、水平磁場の磁束密度のみを800〜1000Gaussの範囲に低く設定すると、溶融液Mが不安定となり、結晶変形が生じ易くなるが、結晶引き上げ速度、結晶回転速度、及びルツボ回転速度の値が調整され、一定の範囲内で制御されるため、結晶変形が発生しないようにすることができる。
このように各パラメータの値を設定することにより、図3に示すように単結晶Cの下端形状は、(前記直胴部C2引き上げ時での上凸形状から)溶融液M側に凹む下凸形状に変化する。具体的には、界面内での揺らぎがない、お椀型の形状となる。
そして、図3に示すように結晶下端に10mm以上30mm以下の長さで下方に突出した下凸形状C3が短時間に形成される。尚、前記下凸形状C3の鉛直方向の長さhは、溶融液面M1の高さを0とした場合の結晶中心軸CAと固液界面の接点Ptの(負方向の)高さである。ここで、前記下凸形状C3の長さhが10mm未満の場合には、結晶下端の形状がフラットに近いため、溶融液Mとの接触面積が大きくなり、有転位化しやすくなる。前記下凸形状C3の長さhが30mmを超える場合には、溶融液Mが過冷却となり、結晶を溶融液Mから切り離す前に有転位化する虞がある。
このように各パラメータの値を設定することにより、図3に示すように単結晶Cの下端形状は、(前記直胴部C2引き上げ時での上凸形状から)溶融液M側に凹む下凸形状に変化する。具体的には、界面内での揺らぎがない、お椀型の形状となる。
そして、図3に示すように結晶下端に10mm以上30mm以下の長さで下方に突出した下凸形状C3が短時間に形成される。尚、前記下凸形状C3の鉛直方向の長さhは、溶融液面M1の高さを0とした場合の結晶中心軸CAと固液界面の接点Ptの(負方向の)高さである。ここで、前記下凸形状C3の長さhが10mm未満の場合には、結晶下端の形状がフラットに近いため、溶融液Mとの接触面積が大きくなり、有転位化しやすくなる。前記下凸形状C3の長さhが30mmを超える場合には、溶融液Mが過冷却となり、結晶を溶融液Mから切り離す前に有転位化する虞がある。
そして、結晶下端において前記下凸形状C3が形成されると、第3の工程に移行する(図2のステップS4)。この第3の工程においては、前記下凸形状C3と溶融液Mとの接触面積が徐々に小さくなり、充分な下凸形状C3が形成されることにより単結晶Cと溶融液Mとが切り離される。
以上のように本発明に係る実施の形態によれば、単結晶の直胴部形成過程であって、結晶下端に下方に突出する下凸形状を形成する第2の工程において、結晶引き上げ速度が0.2〜0.5mm/minで単結晶の育成を継続しながら、水平磁場の磁束密度が800〜1000Gauss、結晶回転速度が1〜3rpm、ルツボ回転速度が0.5〜5rpmの範囲にそれぞれ制御される。これにより結晶が短時間に縮径され、下方に突出する下凸形状が形成される。
その結果、無転位の状態で変形させることなく単結晶を溶融液から切り離すことができ、直胴部形成開始から単結晶を融液から切り離すまでの引き上げ時間を大幅に短縮し、歩留まりを向上することができる。
尚、本発明に係る単結晶引き上げ方法により製造された結晶は、例えばFR(フォーカスリング)用の結晶として用いることができる。
その結果、無転位の状態で変形させることなく単結晶を溶融液から切り離すことができ、直胴部形成開始から単結晶を融液から切り離すまでの引き上げ時間を大幅に短縮し、歩留まりを向上することができる。
尚、本発明に係る単結晶引き上げ方法により製造された結晶は、例えばFR(フォーカスリング)用の結晶として用いることができる。
本発明に係る単結晶引き上げ方法について、実施例に基づきさらに説明する。本実施例では、前記実施の形態に示した単結晶引き上げ装置を用いて単結晶引き上げを行い、引き上げた結晶について検証した。
具体的には、直胴部を形成する第1の工程後、直胴部形成の最終工程である第2の工程(固化率0.77時点)において、磁束密度、結晶引き上げ速度、結晶回転速度、ルツボ回転速度の各条件により分けられた実施例1〜8、比較例1〜13を実施した。そして、引き上げられた結晶について、無転位での引き上げ可否、変形の有無、下凸形状の長さを判定した。育成する単結晶の直径は390mmであり、ルツボには、350kgのSi結晶原料をチャージした。
また、第1の工程の条件は、磁束密度が3000Gauss、結晶引き上げ速度が0.6〜0.8mm/min、結晶回転速度が6rpm、ルツボ回転速度が0.5rpmとした。
具体的には、直胴部を形成する第1の工程後、直胴部形成の最終工程である第2の工程(固化率0.77時点)において、磁束密度、結晶引き上げ速度、結晶回転速度、ルツボ回転速度の各条件により分けられた実施例1〜8、比較例1〜13を実施した。そして、引き上げられた結晶について、無転位での引き上げ可否、変形の有無、下凸形状の長さを判定した。育成する単結晶の直径は390mmであり、ルツボには、350kgのSi結晶原料をチャージした。
また、第1の工程の条件は、磁束密度が3000Gauss、結晶引き上げ速度が0.6〜0.8mm/min、結晶回転速度が6rpm、ルツボ回転速度が0.5rpmとした。
表1に、実施例1〜8、比較例1〜13の条件および評価結果を示す。尚、表1における結果において、○は、無転位で変形が無い単結晶が得られ、従来よりも単結晶引き上げ時間の大幅な短縮が図れた条件を示し、△は、無転位で変形の無い単結晶が得られたものの、引き上げ時間に時間を要した条件を示し、×は、転位もしくは変形が生じた条件を示す。
実施例1〜8においては、直胴部形成開始から結晶を溶融液から引き離すまでにかかる時間は、約24時間以下であった。
一方、直胴部形成後に停止時間を設けた比較例12においては、直胴部形成開始から結晶を溶融液から引き離すまでにかかる時間は約25.5時間であった。
この実施例の結果、直胴部形成の最終工程である第2の工程において、実施例1〜8における条件、即ち、水平磁場の磁束密度が800〜1000Gauss、結晶引き上げ速度が0.2〜0.5mm/min(より好ましくは0.3〜0.5mm/min)、結晶回転速度が1〜4rpm(より好ましくは1〜3rpm)、ルツボ回転速度が0.5〜5rpm(より好ましくは0.5〜3rpm)の範囲において、結晶下端に10mm以上30mm以下の長さ下方に突出した下凸形状を短時間の間に形成し、直胴部形成開始から結晶を融液から引き離すまでの引き上げ時間を短縮することができた。
そして、結晶下端に10mm以上30mm以下の長さの下凸形状を形成し、無転位かつ変形のない単結晶を得ることができることを確認した。
一方、直胴部形成後に停止時間を設けた比較例12においては、直胴部形成開始から結晶を溶融液から引き離すまでにかかる時間は約25.5時間であった。
この実施例の結果、直胴部形成の最終工程である第2の工程において、実施例1〜8における条件、即ち、水平磁場の磁束密度が800〜1000Gauss、結晶引き上げ速度が0.2〜0.5mm/min(より好ましくは0.3〜0.5mm/min)、結晶回転速度が1〜4rpm(より好ましくは1〜3rpm)、ルツボ回転速度が0.5〜5rpm(より好ましくは0.5〜3rpm)の範囲において、結晶下端に10mm以上30mm以下の長さ下方に突出した下凸形状を短時間の間に形成し、直胴部形成開始から結晶を融液から引き離すまでの引き上げ時間を短縮することができた。
そして、結晶下端に10mm以上30mm以下の長さの下凸形状を形成し、無転位かつ変形のない単結晶を得ることができることを確認した。
1 単結晶引き上げ装置
2 カーボンサセプタ
3 石英ガラスルツボ(ルツボ)
4 サイドヒータ
6 ワイヤ
7 輻射シールド
10 炉
11 コンピュータ
11a 記憶装置
11b 演算制御装置
14 回転駆動部
15 昇降駆動部
C 単結晶
C3 下凸形状
2 カーボンサセプタ
3 石英ガラスルツボ(ルツボ)
4 サイドヒータ
6 ワイヤ
7 輻射シールド
10 炉
11 コンピュータ
11a 記憶装置
11b 演算制御装置
14 回転駆動部
15 昇降駆動部
C 単結晶
C3 下凸形状
Claims (3)
- ルツボ内にシリコン溶融液を形成し、前記シリコン溶融液に対し水平磁場を印加すると共に、チョクラルスキー法により前記シリコン溶融液からシリコン単結晶を引き上げる単結晶引き上げ方法であって、
直胴部を形成する第1の工程と、前記第1の工程後、直胴部形成の最終工程において結晶下端に下方に突出する下凸形状を形成する第2の工程と、前記第2の工程において形成された前記下凸形状を前記シリコン溶融液から切り離す第3の工程とを含み、
前記第2の工程において、
結晶引き上げ速度を0.2〜0.5mm/minの範囲で結晶育成し、
前記第1の工程よりも、
水平磁場の磁束密度を800〜1000Gauss、
結晶回転速度を1〜4rpmの範囲に低く制御し、
ルツボ回転速度を0.5〜5rpmの範囲に制御することを特徴とする単結晶引き上げ方法。 - 前記第2の工程において、
結晶引き上げ速度を0.3〜0.5mm/minの範囲で結晶育成し、
結晶回転速度を1〜3rpm、
ルツボ回転速度を0.5〜3rpmの範囲に制御することを特徴とする請求項1に記載された単結晶引き上げ方法。 - 前記結晶下端に形成された下凸形状の鉛直方向の長さは、10〜30mmの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された単結晶引き上げ方法。
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